レヴォーグ 欧州販売は年内? 技術開発の一部は日本にもフィードバックも
3月23日、スバルは2014年モデルの各車ラインアップ試乗会を開催した。
会場には、『レヴォーグ』、『レガシィ B4』、『レガシィ アウトバック』、『インプレッサ G4』、『インプレッサ SPORT』、『XV』、『WRX S4』、『WRX STI』、『フォレスター』の9車種が用意され、そのうち、WRX STI、レヴォーグ、レガシィ B4、XVの4車種に試乗した。
試乗会では、スバルの車両開発に関するプレゼンテーションなども行われた。レヴォーグの説明を行ったスバル商品企画本部プロジェクトジェネラルマネージャ 熊谷泰典氏に、レヴォーグの欧州仕様車について聞いてみた。
レヴォーグはジュネーブモーターショー15で欧州デビューを飾っており、欧州の販社、メディア関係者を日本に招待して試乗会なども開催されているという。熊谷氏によれば、レヴォーグの大きさは欧州でも評価されているといい、年内なるべく早いうちに欧州市場へ投入したい考えがあるという。とはいえ、現地で販売するには、やはりヨーロッパの道や気候風土に合わせたチューニングが必要だ。路面の違いもさることながら、150km/hくらいの高速巡航も考えると、足回りや騒音対策など欧州仕様を開発する必要がある。その過程で日本向けにも有効な技術開発があれば、一部のフィードバックもあり得るそうだ。
なお、レヴォーグの最初の欧州仕様車では、EyeSightの採用が見送られる(熊谷氏)ようだ。これは、排気ガス規制やエンジンの特性が日本向けと若干変わるため、ブレーキの制御や調整に少し時間をかけているからだという。
定常領域のスペックでは表せない「動的質感」…スバルが目指す車づくり
スバルでは、モデルチェンジやマイナーチェンジとは別に年次更新として、車の細部の改良・改善を続けている。そこでスバルが求めているのは「動的質感」の向上だという。
スバル技術本部 車両研究実験第1部の藤貫哲郎部長は、動的質感とは「スムースさや気持ちよさといったスペックで表せない感性領域の性能」であり、さらに「定常領域の技術開発ではなく過渡領域での技術開発」だと話す。どういうことか。藤貫氏によれば、車体剛性、ロール、タイヤの接地面、振動・騒音のような性能(結果の数値)を追い求めるのではなく、その特性に至る過程の性能を考えた技術開発をすることで、乗り心地や気持ちよさを高めることだ。
『インプレッサ』のサスペンションを例にあげると、まず定常領域では次のような技術開発を行う。コイルスプリングの形状、ばね定数等のチューニングで接地荷重変動を低減させ、操舵の応答性はステアリングギア比やクロスメンバーの補強他で実現する。リアのねばりを出すためにリアトレーリングアームのブッシュをチューニングする。
これだけで、ロール角を抑えたり、接地荷重を均一にしたり数値データ上での改善は実現できる。しかし、開発をここで止めるのではなく、そのロール角や荷重に至る間の動きもセンシングやシミュレーションで解析し、チューニングを行う。これが過渡領域での技術開発であり、最終的な動的質感の向上につながる。
ステアリング操作の場合、人間がハンドルを操作して、ギアボックスに回転が伝わり、ナックルアームとサスペンションの動きによってホイールが動き、タイヤが動くという多数の要素が連携している。ハンドル操作からタイヤが動くまで、およそ185msかかるという。スバルでは、エンジニアたちが、これらを測定するテスターや計測システムを開発し、ミリ秒単位のサスペンションの動き、ボディのねじれ(応力)、タイヤ接地面・圧の変化を分析している。
年次更新では、このような研究開発の結果をすこしずつ車両にフィードバックしていく。そして、スバルが目指す車づくりは「価格は200万円から300万円でありながら、安心と愉しさは500万円から600万円の上級クラスの車」(藤貫氏)なのだという。
スバルが「動的質感」と突然のように言い出したワケ
先日開催されたスバル2014年モデルの各車ラインアップ試乗会において、同社 技術本部車両研究実験第一部長(兼)スバル研究実験センターセンター長である藤貫哲郎氏は、現在のスバルの運動性能開発への取り組みを説明した。藤貫氏は、現在のスバル車の動力性能を司る人物である。
「我々は新型の『レガシィ』から“動的質感”という言葉を使って開発を進めています。今まで新車説明会などで性能やスペックを示していた数字は、いわゆるピーク値でした。それだけでなく、その先にあるスムーズさや気持ちよさといった感性領域をきちんと作り込んでいこうという取り組みです」と言うのだ。
確かに最近のスバルの新型車の説明では、「ハンドルを切った後の反応時間の短さ」や「振動の少なさ」「剛性の高さ」などの数値の良さが盛んにアピールされていた。しかし藤貫氏は、こうした数字を「それは定常領域の数字です。旋回でいえば旋回しきった最後の姿。ロールの大きさや限界の高さなど、ピークの数字です。それは必ずしもクルマの良さを示していません。そこには質感がないと思っています」と言う。そして大切なのは、限界までいく途中の「過程」にあるという。ハンドリングでいえば、ドライバーがハンドルを切り始めた後、ロールしきるまでの間の動き。ほんのコンマ秒の動きだ。そうした過渡領域をコントロールすることが、気持ちの良さなどの感性領域を高めることになるという。
ではなぜ、スバルは突然のように、そのような主張を始めたのだろうか?
「この考えは新しいわけではありません。もともとスバルでは、ドライバーの官能評価を大切にしてきました。ただ、そうした部分を計れる技術がなかったんですね」というのは藤貫氏の下で、共に開発を行う荒井英樹氏だ。藤貫氏も「動的質感って、数字で表しづらいですよね。だから避けていたんですよ」と同意する。
しかし、その結果、新車の説明ではしきりにピーク値の数字が飛び交うことになってしまった。
「社内的に変な方向に行きつつあるという危惧もありました。“前よりもピーク値で良くしていきましょう”と、ずっと進んでいたので、これで本当に良い方向に進んでいるのかな? と。ピーク値は、それはそれで大切なんだけど、それだけじゃあクルマづくりをしていることにはなりません。そこを今回はきちんと言おう! ということです」と藤貫氏。
また、スバルでは20年以上も前から欧州車の走りを目指していたが、「20年たっても追いつかない」という思いもあった。その悲願を達成するには、現実をしっかりと直視する必要がある。そして、欧州車のレベルを実現するには、開発チームから生産の現場まで感性領域を理解しなくてもならない。
「欧州に4年間駐在していて、それを痛感しましたね。向こうのメーカーの開発の進め方はそうなんですね。あるキーマンがいて、そこから枝葉の開発メンバーまでみんな同じ考えでやっています。工場の人も、毎日、200kmを通勤したりしますから、話が早いんですね」と荒井氏。
しかし、日本では、そうした環境にない。そのために藤貫氏たちは、測定や評価の技術を磨いた。計測手法や機器を新たに開発したのだ。その努力の末に、これまで見えなかった感性領域が少しずつ見えてきた。そして数値化できるようになれば開発のメンバー内やサプライヤーとの共通認識が生まれ、製品に落としこむことが可能になる。だからこその冒頭の発言である。いわば、決意表明と言ってもいいだろう。
「現状は、まだハッキリと明言できるようなものはありません。ですが、少しずつでも分かったことは、年次改良などで取り入れていきます。そして2020年ごろには欧州車のレベルに近づけるように努力していきたいと思います」と藤貫氏は語った。
アイサイトに頼った販売スタイルが長く続く訳もないが他社との差別化という意味では他社の「車種や金額によって能力が変わってしまうような自動ブレーキ」に比べれば基本的にはどの車種でも同程度の性能を保証されている訳だからソコは前面に出していいとは思う
海外にアイサイトを持っていくには使用環境が違いすぎるからそのまま「ハイどうぞ」とはいかないのは至極当然ですけど日本みたいな国よりは海外の方が自動運転とかに前向きだからウケはいいんでは?とも思うけど
ただ、最近の日本車の傾向というほどのことじゃないけど
軽自動車でも200万円台
小型車で安くて200万円台
普通車で300万円からってなってきているのに
「昔は同程度のシリーズが200万円台だったのに今は300万円台になってその割りに高級感が無いとか言われるんだけど総じて性能が上がっているんだからそんなもんだと思えないもんですかね」
Posted at 2015/03/27 23:54:16 | |
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富士重工 | 日記