【新聞ウォッチ】三菱自の燃費データ不正、 i-MiEV なども違反測定疑惑
気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2016年4月22日付
●燃費走行試験で確認、三菱自偽装受け、国交省見直し検討(読売・1面)
●エコカー減税分請求へ、三菱自へ政府検討(読売・2面)
●社説、三菱自燃費不正、法令軽視体質が繰り返すウソ(読売・3面)
●熊本製作所休止延期へ、ホンダ、GW明け再開目指す(読売・6面)
●排ガス不正、VW50万台買い取り案、米国内賠償金1100億円超か(読売・7面)
●燃費試験不備 別車種も、三菱自国の基準に従わず(朝日・1面)
●三菱自、不正新たに1車種、燃費データ、ほか4車種も疑い(産経・1面)
●タイ車生産、3月8%増国内販売は低調(日経・11面)
●豊田通商、最終赤字に、前期(日経・13面)
●車購入先紹介で個人株主に特典、日産(日経・15面)
●車組み立て効率、ホンダ1割向上、タイ工場に新ライン(日経・16面)
ひとくちコメント
国内の自動車業界に大きな激震が走るほどの三菱自動車の燃費データ不正問題。きょうの各紙にも“余震”どころか、“本震”に近いような続報が取り上げられている。
まず、産経が1面トップで「三菱自、不正新たに1車種」とのタイトルで、「国土交通省に報告した4車のほかに、同社の『i-MiEV(アイミーブ)』でも道路運送車両法で定める方法とは異なる方法で燃費試験用データが測定されていた」などと伝えている。ただ、i-MiEVは電気自動車(EV)。産経の記事ではバッテリーの航続距離が不正だったのかどうかまでは言及していない。
読売や朝日なども「燃費試験不備、別車種でも」と報じているが、「普通車でも測定違反か」(読売)としているものの、きょうの紙面では具体的な車種は特定していない。
また、全国紙のすべて6紙が、きょうの社説のテーマに「三菱自燃費不正」を取り上げた。不正に手を染めた三菱自動車を厳しく糾弾する内容的に大差はないが、タイトルが辛らつというのか、凄まじい。
例えば、朝日の「教訓はどこへ行った」や日経の「消費者の信頼を裏切った三菱自の燃費不正」などは、それほど辛口ではない。だが、読売は「法令軽視体質が繰り返すウソ」、毎日も「繰り返された背信行為」、産経は「嘘つき企業に未来はあるか」、また、東京は「車をつくる資格なし」と市場からの退場を勧告している。
そんな中、三菱自動車以外の自動車メーカーにも飛び火するようなニュースも報じられている。毎日などが取り上げているが、国交省がメーカー側の自主申告に基づいた検査制度が悪用されたとして、制度を見直す検討を始めたという。
「無作為に抽出した燃費データが正しいかを実際に道路で走行試験をして確認し、裏付け資料をそろえることを求めることが軸となる」(読売)としている。
三菱自の燃費不正、所有者の「税負担必要ない」...高市総務相
高市早苗総務相は22日の会見で、三菱自動車工業の燃費不正について、「燃費を基準とする税率の軽減をしているので、どの程度の影響額があるのかということを見極める必要がある」と、述べた。
また、国土交通省が同社に求めている27日期限の調査結果を待ち「国交省や経産省と連携して、必要な対応に万全を期すように既に自治税務局長には指示している」と、述べた。
自動車関連諸税の中には、車両の燃費性能を基準としたエコカー減税や軽自動車税のグリーン化特例などがある。型式認定で走行抵抗値を操作した車両は、適法に算出した場合と比べて、燃費が10~15%改善された数値が出ていると同社はいう。
「仮に影響があった場合には、この影響額を三菱自動車が負担するというふうに表明したということは聞いております。当然のことであると思います。税収に明らかに影響があったなら、三菱自動車から各地方に対して、直接その該当額を振り込んでいただくぐらいのことはしていただかなければならない」と、高市氏は厳しく指摘し、対象車両の所有者には、次のような見解を示した。
「車を買われた方は、当然、自動車がエコカーであると、こういう燃費であるということを信じて買われたわけですから、さかのぼってその税を負担される必要はない」
三菱自動車の燃費不正問題の影響は業界再編にまで及ぶ?
三菱自動車の燃費不正問題。概要をおさらいすると、三菱自動車製の軽自動車の型式認証取得において、同社が国土交通省へ提出した燃費試験データが燃費を実際よりも良く見せるため、不正な操作が行われていたということです。
なお、4月21日現在、三菱自動車のホームページには、おわびが掲載されるとともにeKシリーズのWEBページは閲覧できなくなっています。日産もホームページからデイズとデイズ ルークスが消えて、モコとNV100クリッパーリオのみとなっています。
では、eKワゴンの登場時はどんな走りだったかというと、とくにNAエンジンモデルは、スロープを上ったり、大きな通りに合流、加速したりする際など「今時こんなに遅いの?」かと驚くほどで、思わずサイドブレーキ引いたまま走り出したのか確認したこともありました。
その後の改良で改善されていますが、デビュー時は燃費を達成するためにこんなに出力を絞るしかないのか、と思い知らされました。
今回の問題点は、クルマの型式認定を受ける際に燃費に有利になる走行抵抗値(主にタイヤの転がり抵抗と、空気抵抗)を使ったというもので、一部報道などによると、カタログ燃費への影響は5~10%くらい悪くなる可能性があるそう。
JC08モード燃費と実燃費の乖離は、三菱車だけではなく全メーカーに当てはまるものですが、唯一の統一基準であるはずのカタログ燃費になる大きな要因の走行抵抗値が不正のものだったとなると、国交省のお墨付きだと思っている人が多そうだけに(メーカーが提出する届け出値とはいえ)カタログ燃費への信頼も揺るぎかねません。
また、問題は軽自動車だけにとどまらない可能性も否定できないようで、同社では「国内市場向け車両についても、社内調査の過程で国内法規で定められたものと異なる試験方法がとられていたことが判明しました。
また、状況の重大性を鑑み、海外市場向け車両についても調査を行います」とコメント。
こちらも調査待ちとなりますが、該当車両以外のカタログ燃費が適正であるかも分からなくなるという事態になりかねません。さらに、一部報道によると国土交通省は他メーカーにも調査するように指示したそうです。
また、記者会見ではエコカー減税などの税金や補助金関連も国や自治体への返納についても言及したようですが、燃費不正による燃料代なども含めてユーザーへの補償も全容が解明されるまでには時間がかかりそう。
三菱自動車は、軽自動車とSUV、EV、PHVなどの電動車両に経営資源を集中して投下していましたが、利益率はSUVや電動車両と比べて低いと想像できる軽自動車とはいえ、その影響は絶大でしょう。
ブランド失墜、販売大不振で経営問題に発展した場合、過去のリコール隠しなどの時のように、三菱グループが支えることができるか気になるところ。
現在の大株主は三菱重工業(約12%)、三菱商事(約10%)と2社だけで22%を超え、三菱UFJなど同グループが多くなっています。
今回の不正は、まだ分からないことだらけですが、自動業界再編も含めた問題になる可能性もはらんでいそうです。
(塚田勝弘)
燃費検査方法見直しへ、三菱不正受け…国交相
石井啓一国土交通相は4月22日の閣議後会見で、三菱自動車工業による燃費試験の不正行為に関連して、今後検査方法の見直しを検討する考えを示した。
三菱自動車工業は、燃費試験に際して国交省が提出を求めている走行抵抗値を不正に操作して提出していた。
石井国交相は「メーカーから提出された走行抵抗値を信頼して台車走行試験を行ってきたが、信頼が失われたことを踏まえ、今後検査方法の見直しなどを行っていきたい」と述べ、見直しを明言した。
同省では、20日以降、三菱自動車工業への立入検査を連日実施しており、走行抵抗の実測値の確認など不正行為の内容や不正に至った経緯を確認している。
ユーザーに対する三菱自動車の責任を問われた国交相は、車両の買い取りやエコカー減税分の返還についても「その可能性はある。誠実に対応して欲しい」と述べた。
三菱自の燃費データ不正、石井国交相「基本的な姿勢に疑問」
石井啓一国土交通相は4月22日の閣議後会見で、三菱自動車工業による燃費試験の不正行為について「猛省を促したい」と述べた。
三菱自動車工業は20日、型式指定取得の際、燃費を実際よりよく見せるため、データを不正に操作して国土交通省に提出していたことを発表した。
また、同社は過去にもリコール隠しやリコールの大幅遅れなどが発覚するなど、度重なる不正行為が明らかになっている。
石井国交相は「コンプライアンスに対する基本的な姿勢に疑問を持たざるを得ず、極めて遺憾」と述べ、さらに「我が国が長年積み上げてきた日本ブランドに対する信頼を失墜させ、ユーザーにも多大な迷惑をかけていることについて、猛省を促したい」と述べた。
不正をはたらいたことそのものは許されることではないんだけど、10~15%なんでしょ?
正直今までのカタログ燃費であれば7割出れば御の字かな~なんていう印象しかないから上々に感じてしまうのはダメなんだろうねw
Posted at 2016/04/23 22:24:43 | |
トラックバック(0) |
自動車業界あれこれ | 日記