2019年01月05日
【BMW Mの謎_06】あの丸形4灯ヘッドライトが消滅!?BMWとBMW Mのデザインはどうなっているのか
伝統的なデザインアイコンにこだわってきたBMWだが、新型3シリーズやZ4を見ると、そのあり方が大きく変わってきているように感じる。またBMWとBMW Mのデザイン上の関係にも微妙な変化が見てとれる。いったい、BMWとBMW Mになにが起きているのか。BMW AGに在籍する唯一の日本人デザイナーである永島譲二氏に最新のBMWデザインについて訊いた。(Motor Magazine 2019年1月号より)
新型3シリーズ/Z4とBMW/BMW Mの最新デザイン
---ニュー3シリーズを見て驚きました。ヘッドライトが丸形ではないし歴代モデルが守り続けてきたジッケ(フロントフェンダーからドアハンドルを経てテールランプまで続くキャラクターライン)もない。デザイナーはこれまでと変えたいと思っていたのでしょうか。
「BMWのクルマは変えないとなぜ変えないんだ、変えるとなぜ変えたんだと言われるんです。一流ブランド品もそうですね。それで誰もが納得する範囲で変えないといけないんです。ジッケも何世代にもわたってずっと入れてきましたが、少し変化が欲しい、破らないといけないと思っていました」
---それが今回たまたま新型3シリーズだったということですか。
「そういう提案は昔から常にありました。たとえば私はZ3(E36)をデザインしましたが、Z3のようなクルマにジッケは考えられなかったんですが、やはり『入れろ』と言われたのです。そこで片側入れて、片側入れないクレイモデルを見せて、『やはり入れない方がいい』と納得してもらいました。それだけBMWには『こうデザインせよ』という文法があります。でもそれは永久に続くわけではありません。それじゃ前に進めませんから」
---今もそうしたデザイン文法はありますか。
「ジッケやホフマイスターキンク(Cピラーに見られる独特の跳ね上げライン)についてはそれほどでもありません。昔はなかったのですが、L字型テールランプは今は必ず入れなければなりません」
---BMWと“M”の違いですが“M”らしいデザインとは何ですか。
「まず標準モデルをデザインしてその上に“M”のデザインがあるのですが、難しいのは標準車にもMスポーツはあるので“M”はそれよりもスポーティにしなければいけないんです。そこでスポーティ度合いを標準車→Mスポーツ→“M”という順番に見えるかどうかです。ただ、使えるコストが違いますから“M”は差別化できます」
---“M”らしさはどこでしょうか。
「それは世代によって違いますね。現行型はキドニーグリルの下のエアインテークなどがそうです。あとはホイールのデザインも。スポーティな方向は意外と楽なんです。それより高級にという方が難しい。スポーティの頂点にはレースカーがあありますから、そこからモチーフを借りてくれば誰でもスポーティだとわかる。でも、高級、ラグジュアリーというのはそういう標準がないので、こうすればラグジュアリーに必ず見えるという裏付けがないんです」
---最初から“M”を意識してデザインすることはありますか。
「基本的にはありません。標準モデルがあって、そこに足し算で“M”らしさを加えていきます」
---新型Z4のようなヘッドランプはこれから増えていくのですか。
「スポーティモデルは、普通のセダンよりもデザインは自由なんです。ただ3シリーズのように世界中で一番注目されるセダンは、なかなか大きく変えられないと思います。つまり3シリーズはBMWのスタンダードなので、そうした意味は大きいですね」
---3/5/7のファミリー感の強いデザインは今後同じでしょうか。
「それはお楽しみに」
---ありがとうございました。(インタビュー:千葉知充)
Posted at 2019/01/05 21:22:59 | |
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BMW | 日記
2019年01月05日
BMWの新たなるフラグシップクーペ、8シリーズの走りはホンモノか? サーキットでがっつり検証してみたところ……。
BMWの最上級クーペとなるM850ixドライブクーペが登場した。低く伸びやかなシルエットや流麗なリヤフェンダーの造形など、フラッグシップクーペとしての華麗なエクステリアが魅力的だ。新開発4.4ℓV8ターボを搭載する魅惑のクーペの走りを堪能したREPORT◎島下泰久(SHIMASHITA Yasuhisa)PHOTO◎BMW AG
初代8シリーズ、Z8、そしてi8と、歴代の車名に“8”がつくモデルはどれもアイコニックな存在であり、それ故に新型8シリーズクーペもやはり特別な存在なのだと、試乗の舞台となったエストリル・サーキット近くのホテルでBMWの開発陣は言う。言外に伝わってくるのは「これは6シリーズの後継車ではない」という強烈なプライドだ。
そんなことを言われるまでもなく、この大胆なスタイリングを見れば誰も6シリーズのことを思い出したりはしないだろう。先端で遂に左右がつなげられたキドニーグリルと天地に薄いヘッドライトが鋭く輝く低いノーズを起点に、ダブルバブルのルーフから流れるように連なるリヤエンドに至るまで、そのフォルムは非常に伸びやか。
前後を貫くショルダーラインのような長年使い続けられてきたモチーフが廃された結果、解き放たれたような自由さもあれば、そのぶんサイドビューなど一瞬でBMWと分からない感もなくはないが、ともあれ実は全長が6シリーズクーペより短いなんて言われなければ分からない、ダイナミックな姿が形作られていることは間違いない。
インテリアも、これまでとは随分テイストを変えてきた。クリスタルのシフトセレクターなんて、オプションとはいえこれまでのBMWでは考えられなかったものだろう。メーターパネルはデジタル化され、大型のヘッドアップディスプレイともど、ADAS関連やナビゲーション等々の豊富な情報を視認性高く表示する。ずらりと並ぶボタンに加えてiドライブのコントローラー、音声入力、そしてコマンドの増えたジェスチャーコントロールによってインフォテインメントシステムもさらに操作しやすくなった。
ボディは軽量化、高剛性化を図るためキャビン前後の支持構造、フロントバルクヘッド、ボンネット、ルーフ、ドアなどの外板バネルがアルミ製とされ、さらにインストゥルメントパネル内リーンフォースをマグネシウム製に、センタートンネルをCFRP製とした。オプションでCFRP製ルーフも選択できる。
やはりアルミや軽量スチールで構成されたサスペンションにはBMWM社のノウハウが注入され、特にキャンバー剛性が重視されたという。お馴染みのインテグラル・アクティブステアリング、電子制御式ダンパー、電子制御式ディファレンシャルどが標準装備とされ、さらに可変アンチロールバーも設定される。
ラインナップはM850ixドライブクーペと840d xドライブクーペの2モデルが用意される。今回試したのは前者。搭載される4.4ℓV型8気筒ツインターボエンジンはクランクケースから別物の新設計ユニットで、最高出力は従来比68㎰増の530㎰、最大トルクも750Nmを獲得している。ギヤボックスは8速ATである。
試乗プログラムはサーキット走行から始まった。ここでまず感心させられたのはエンジンだ。どの回転域からでもアクセル操作に弾けるように反応し、高回転域まで淀みなく吹け上がって実に爽快感がある。腐心したというムービングパーツの徹底的な軽量化が効いているのだろう。
加速もいいが止める方もいい。ブレーキは文句なしに効き、またコントロール性が実にリニアなのだ。一方でハンドリングは、このコースではあまり輝かなかった。まず、重いノーズがなかなかインに向いてくれない。それに加えて、最大2.5度までステアする後輪が、通常時は72km/h、SPORT/SPORT+の両モードでは88km/h以上では前輪と同位相になることもあってか、xドライブは駆動力をリヤ寄りに配分しているはずなのに、特に中速コーナー以上では立ち上がりでラインがどんどん膨らんでしまい、引き戻すのが難しいのである。
しかし、それは言葉を変えれば徹頭徹尾安定しているということでもある。一般道ではスタビリティが高く、6シリーズではまだ残っていた後輪操舵の違和感もほぼ消え去り、非常に安心感の高い走りを楽しめた。特に横風が吹き付けるような場面でのスタビリティ、直進性は目を見張るものがある。しかもサスペンションがよく動くから、ライドコンフォートも申し分ない。
6シリーズに対して車名の数字が大きくなったならば、しかもそれが特別な数字であるならば、今まで見られなかった世界を、もっと色濃く表現してほしかったという思いがもたげてくるのは事実。しかしながら、そういう先入観を脇に置けば完成度は間違いなく高いし、スタイリングも大いに目を惹くこと請け合いの1台だ。でも、やっぱりそれでは物足りない……という人は、来年の登場がすでに予告済みのM8が、期待に応えてくれることを願おう。
※本記事は『GENROQ』2019年1月号の記事を再編集・再構成したものです。
BMW M850i xドライブ クーペ
■ボディサイズ:全長4855×全幅1900×全高1345mmホイールベース:2820mm■エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ総排気量:4394cc最高出力:390kW(530㎰)/5500rpm最大トルク:750Nm(76.5kgm)/1800~4600rpm■トランスミッション:8速AT■駆動方式:AWD■サスペンション形式:FダブルウイッシュボーンRマルチリンク■ブレーキ:F&Rベンチレーテッドディスク■タイヤサイズ(リム幅):F245/35R20(8J)R275/30R20(9J)■車両本体価格:1714万円
BMW 8シリーズ 新型…ラグジュアリークーペを再定義し、プレミアムなドライビング体験を問う
BMW『8シリーズ』が復活した。BMWジャパンは “ラグジュアリークーペを再定義する”クルマだという。
◆美しさと豪華さ、そしてピュアスポーツ
現在SUVマーケットが大きくなっているが、「2019年は、より本質的なドライビングプレジャーの領域で、もう一度お客様に、プレミアムのドライビング体験とは何かをしっかりと問いたい。そのキーとなるクルマが『8シリーズ』であり『3シリーズ』だ」とは、BMWブランド・マネジメント・ディビジョンプロダクト・マーケティングプロダクト・マネジャーの御舘康成氏の弁。
新型8シリーズは、「ラグジュアリークーペを再定義するクルマだ」という。この“再定義”という意味について御舘氏は、「ラグジュアリークーペには様々なユニークセールスポイントがある。スタイルの美しさ、内装の豪華さ、ピュアスポーツとしてのパフォーマンス。それらを最新のBMWの技術を使えばこの全てが手に入る。これがラグジュアリークーペを再定義するということだ」と説明。
新型8シリーズはコンセプトカーの時からコンクールデレガンスを含め、世界の名だたるイベントに出品され美しさを訴求、高い評価を得た。その一方で、「新型8シリーズが発表される前から『M8GT』がレースに出場。『M8』など誰もコメントすらしていないにも関わらずだ」と御舘氏。そして新型8シリーズを正式に発表したのはルマン24時間レースの会場だった。「このことは、BMWが新型8シリーズが、ラグジュアリークーペとともにスポーツ性能も再定義する、という意欲の表れだ」と述べる。
1990年代に販売された初代8シリーズは、「色々な要因があり、残念ながら最終的にはMモデルを持つに至らなかった。BMW M社の人間と話すとそのことに関して非常に強い思い入れがある。だからこそ、ベース車の販売もしていないにも関わらず、GTモデルを使ってサーキットパフォーマンスを立証しているのだ。美しさを実証する一方で速さも実証する。このクルマのコンセプトは“ジェントルメンズレーサー”なのだ」とコメントした。
◆目を離せない美しさ
「デザインキーワードは“IRRESISTIVE AESTHETIC APPEARANCE”。目を離すことができない非常に美しいスタイリングだ」と御舘氏。特にエレガントなルーフラインを例に、「BMWは歴史的にも世界で最も美しいといわれるプレミアムクーペを世に多く問うてきており、その究極の形だ」という。ルーフは、「あえてダブルバブル式にすることによって、エレガントなクーペの中にもレーシーな雰囲気を実現している」と説明。
内装にも、上質なレザーやアンビエントライト、クラフティッドクリスタルのシフトノブを採用。このシフトノブは標準装備とし、「もうここをカーボンにして操作する時代ではない。パフォーマンスは超一級のピュアスポーツだが、室内は一級のラグジュアリーな雰囲気で満たされるクルマにしたい。それを象徴的に表しているのがこのシフトノブだ」という。
御舘氏は、「実はある有名なガラス装飾メーカーの作なのだが、BMWの作品としてあえてそのサプライヤーの名前は公表していない。しっかりとガラスを手磨きして立体造形をして出している非常に美しいものだ」と述べた。
◆4シリーズ並みのホイールベース
パフォーマンスは、新開発のV型8気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力は390kw(530ps)、最大トルクは750Nmを発揮し、0-100km/h加速は3.7秒と、「このセグメントにおいては第一線級のピュアスポーツに匹敵するパフォーマンスを実現している」と御舘氏はいう。
この性能を実現するために8シリーズはカーボンコアボディを採用している。「これは元々『7シリーズ』で訴求したもので、Bピラーを囲むようにキャビンを軽量で堅牢に作ることで、快適な乗り心地を実現していた。一方の8シリーズではセンタートンネルにカーボンを使い、センターの曲げ剛性を高めることによってより俊敏なハンドリングワークを実現している」と説明した。
また、ホイールベースは『6シリーズ』の2855mmよりも短い2820mmである。因みに『4シリーズ』は2810mmであることを踏まえ御舘氏は、「4シリーズで大人2人と子供がリアに座れる。つまり家族4人が十分に座れるホイールベースでありながら、より俊敏性の高いハンドリングも実現」。そのためにセンターにカーボンコアボディを使い、かつ、「インテグラルアクティブステアリング、つまりリアステアも含んであたかもひとクラス下の軽量なライトウェイトスポーツのような俊敏性を実現している」と話した。
◆競合と真正面から勝負
「我々はこのクルマでラグジュアリークーペを再定義する。スタイルも快適性も、そして何より第一級のスポーツカーとしての走りを同時に実現するクルマ。全く新しい基準のラグジュアリークーペができたと自負している」と、したうえで、御舘氏は「2019年はもう一度新しい世代のドライビングプレジャーを問いたい」という。競合車として、「レクサス『LC』は約2500台販売された。美しいスタイリングで1000万円越えのクルマだが非常に素晴らしいパフォーマンスだ。また、2019年は先般正式に発表されたポルシェ『911』が市場デビューする。LCの美しいスタイリングと、911の伝統的なピュアスポーツカーとしての比類なきパフォーマンスに、最大限の敬意を払ったうえで、真っ正面から勝負をしたい。それだけの自信のあるクルマだ」と語った。
Posted at 2019/01/05 21:20:21 | |
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