スバルがパーツの不具合で全面的に生産停止になったわけ
■生産性の効率化も痛し痒し。ひとつのトラブルが全体に影響してしまった
スバルが1月16日から国内での生産を一時停止していることが公表された。トラブルの原因は「電動パワーステアリング装置に不良が生じている可能性がある」というもので、対象は、スバルの群馬製作所で生産しているフォレスター、インプレッサ、SUBARU XVの全車となっている。つまり、スバルの未来を担うSGP(SUBARU GLOBAL PLATFORM)のモデルにおいて電動パワステに問題が起きていると理解できる。
しかし、スバルの群馬製作所にはいくつもの工場があり、車両組み立てラインとしては本工場に1本、矢島工場に2本と計3本がある。それぞれ独立して動かせるラインであるし、SGPに基づかないモデル(レガシィ、アウトバック、レヴォーグ、WRX、SUBARU BRZ、トヨタ86)もあることを考えると、全てのラインが一時停止させなくても済むように思える。たとえば、本工場の1本だけでも動かせばないのだろうか? と思ってしまうだろう。 そうすれば、少なくとも86/BRZの生産は進められるということもあり得そうだ。
しかし、そうはいかない事情がある。これはスバルに限らず、現代の自動車メーカー全般に言えることだが、かつてのように車種専用ラインというのは特殊なクルマを除いては存在しない。プラットフォームが異なっていても、サイズが違っていても同時に生産する混流ラインとすることは、もはや常識だ。スバルにおいても群馬製作所が持つ3本のラインを無駄なく活用するために、すべてが混流ラインとなっている。つまり、どのラインでもSGP車両が作られていた。
そして、SGP車両はスバルの中心で台数的には多数派である。フォレスター、インプレッサ、SUBARU XVを間引いた状態でラインを動かすというのは、仮説として考えるのも難しいくらいナンセンスな話だろう。ラインを動かすエネルギー、人件費など無駄が多く、ビジネスとして生産することはあり得ないという結論にしかならない。
いずれにして、2018年12月下旬から2019年1月上旬にかけて生産されたクルマに電動パワステの不良が起きていたという(製造期間については伸びる可能性もあり)。完成検査の問題があったスバルだが、しっかりとした検査により部品不良を発見し、徹底した対策を取っていることが、今回の生産停止からは感じられる。
生産停止に至るまでのトラブルが起きたことはけっして良い話ではないが、スバルが品質第一の企業風土に生まれ変わっていることを、今回の一件は示しているのかもしれない。
文:山本晋也
自動車コミュニケータ・コラムニスト
生産停止中のスバル、日立オートモティブ製の電動パワステに不具合の恐れ[新聞ウォッチ]
気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
きのう(1月23日)の朝日が朝刊で“特報”した後、SUBARU(スバル)も同日午後、群馬製作所で主要部品の一部に不具合が見つかり、稼働を停止しているなどと発表したことで、きょうの各紙にもその関連の記事を取り上げている。
このうち、読売は「スバル国内生産停止、影響2万台規模」とのタイトルで「完成車の不正に続き、またも品質を巡る問題でつまずく形となった」と指摘。毎日も「不具合のある部品を搭載した車両の一部は出荷済みという。改めて同社の品質管理体制が問われそうだ」とも。
また、日経は「スバル、リコール検討」との見出しで、「対策部品を準備できたため、28日にも再開できる見通し」としながらも「出荷済みの一部の車にも原因の部品が搭載された可能性があることからリコール(回収・無償修理)も検討する」と伝えた。
きのうの紙面でいち早く報じていた朝日は、きょうも1面準トップで「スバル3車種不具合の恐れ、操業停止1週間後の公表」と報じたほか、経済面のトップ記事としても「スバル不具合公表後手」との関連記事。それによると、「生産車種の不具合の可能性を把握し、工場の操業を止めてから1週間後の公表となった」として「一連の検査不正への対応に続き、今回もスバルの対応は後手に回っている」と厳しく言及している。
さらに、朝日などは「不具合が生じる可能性があるのは、小型車『インプレッサ』、SUV(スポーツ用多目的車)『フォレスター』、小型SUV『XV』の3車種。いずれも日立製作所の100%子会社、日立オートモティブシステムズ製のパワステを搭載している」と紙面でも調達先の部品メーカーを明らかにしているが、その部品を調達したのはスバル側であることも忘れてはならない。
2019年1月24日付
●ゴーン被告3社のトップ退任へ、ルノー会長辞任意向「連合の障害に」(読売・8面)
●ヤマト子会社4支店停止、国交省が事業改善命令(読売・9面)
●スバル3車種不具合の恐れ、操業停止1週間後の公表(朝日・1面)
●技能実習違反の疑い、トヨタ系部品工場、計画と違う作業(朝日・33面)
●日産向け内装材不適切品質検査、カルソニックカンセイ(毎日・4面)
●日本最古モノレール運休、上野動物園内、11月から(毎日・21面)
●「中国に次ぎ欧州も悪化」企業業績への影響拡大も、日本電産会長(産経・10面)
●ガソリン12週連続下落昨秋の高値から11%ダウン(産経・11面)
●無免許で警察車両運転か、埼玉県警、20代女性巡査を聴取(産経・27面)
●輸入車規制1年揺れるベトナム、地場メーカー育成道半ば(日経・11面)
●スバル株価一時大幅安(日経・15面)
●横浜市営地下鉄、新百合ヶ丘に延伸、30年開通(日経・39面)
スバル群馬製作所が生産・出荷を停止、再開は早くて1月28日
スバルは1月23日、群馬製作所で生産しているモデルの一部で不具合が見つかり、1月16日から生産を停止していると発表した。生産再開は早くても1月28日となる見通し。
群馬製作所で生産している『フォレスター』『インプレッサ』『XV』の電動パワーステアリング装置に不具合がある可能性が判明し、品質第一を最優先するため、1月16日夜から、生産・出荷を停止、不具合対象モデルの新車登録を一時停止した。
『レガシィ』や『レヴォーグ』など不具合対象外のモデルでも、不具合対象モデルと同じラインで組み立てられているため、群馬製作所全車両の生産・出荷を停止した。
不具合の可能性のあるモデルは2018年12月下旬から2019年1月16日の間に生産した対象モデル。これらはメーターパネル内のステアリング制御警告灯が点灯するとともに、パワーステアリング機能が停止し、ハンドル操作が重くなる恐れがある。
1月23日までに不良が生じる原因について一定の確認が取れ、それに基づいて対策を施した部品を準備できるめどが立ったことから、早ければ1月28日から群馬製作所での車両生産・出荷を再開する方向で準備を進めるという。
SGPを採用しているインプレッサ&XVとフォレスターって考えれば台数は決して少なくないだろう…
スバル「フォレスター」などハンドルが重くなる不具合で出荷停止 1月28日より再開の見通し
■ステアリング装置の不具合でスバル車の生産停止
スバルは、群馬製作所(群馬県太田市)で生産している「フォレスター」「インプレッサ」「XV」の全車で、電動パワーステアリング装置に不良が生じている可能性があることが2019年1月16日に判明し、同日夜より車両生産・出荷を停止しました。
対象車種の新車登録は一時停止していますが、1月23日までに不良が生じる原因等について一定の確認が取れ、対策を施した部品を準備できるめどが立ったことから、早ければ1月28日より群馬製作所での生産・出荷を再開する方向で準備を進めているといいます。
不良が生じた場合に発生する事象としては、メーターパネル内のステアリング制御警告灯が点灯するとともに、パワーステアリング機能が停止してハンドル操作が重くなる(通常よりも大きな力を要する状態)恐れがあります。詳細な原因・メカニズムについては、調査を継続しているとのことです。
不良が生じている可能性がある車両の製造期間は2018年12月下旬~2019年1月16日(冬期休暇の2018年12月29日から2019年1月6日までは除く)としていますが、製造期間については現在精査している段階で、今後変動することがあります。
また、「レガシィ」「アウトバック」「レヴォーグ」「WRX」「BRZ」「トヨタ 86」の6車種については部品不良の対象ではありませんが、同一の車体組立ラインを使用しているため生産・出荷を停止しています。
Posted at 2019/01/24 21:28:35 | |
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富士重工 | 日記