2020年03月16日
【こんな変な形あり?? かつては常識】超個性的なステアリングの国産車9連発!!
かつてステアリングはスポーティカーならグリップ太目の3本スポークだったりと個性を主張するアイテムのひとつだった。純正品、アフター用品ともいろいろな形状があり、素材はウレタン、本革巻き、ウッドなどなど多種多彩を誇ったものだ。
この図式が崩れた最大の要因はエアバッグの登場で、エアバッグ登場黎明期はデザインの自由度がなく同じようなステアリングを採用するケースが増えていった。
そんなステアリング暗黒期を経て現在ではD型と呼ばれる円形でないステアリングも登場しているし、ボタン、スイッチがアレコレ装着されて複雑になってきている。
そんなか、新型フィットが現代では珍しい2本スポークステアリングを純正採用してきた。かつて存在した2本スポークだが、今見ると逆に新鮮に映るから不思議だ。
本企画では、個性的なデザインのステアリングを純正装着していた1970年代以降に登場した国産車を集めて紹介していく。
文:永田恵一/写真:SUBARU、MITSUBISHI、HONDA、TOYOTA、NISSAN、CITROËN
【画像ギャラリー】独創性が凄い!! 個性的なステアリングと言えばシトロエン!!
左右非対称ステアリング
採用車:スバルアルシオーネ(初代)
販売期間:1985~1991年
1985年にデビューしたスバル初のスペシャリティクーペのアルシオーネは直線基調のデザインが特徴的。北米では人気だったが、日本では苦戦
日本車史上最も斬新なデザインのステアリングを採用したのがアルシオーネと言っていいのではないか。
ステアリングは左右に回すため、左右対称というのが一番理にかなっている。当然の話だが、アルシオーネのステアリングはピストル型のような左右非対称デザインだ。3本スポークの1本が欠けているのだ。
一説では富士重工の頭文字であるFをモチーフとしたデザインだったとも言われていた。
エクステリアに負けず劣らず斬新なインテリア。ピストル型の非対称ステアリングが凄すぎる。ステアリングの両サイドにスイッチが並ぶのは当時としては画期的
アルシオーネはチルト(上下調節)&テレスコ(前後調節)を備えていたが、チルト時はメーターパネルごと動くというのも特徴的だった。個性的なエクステリアに負けず劣らず、ステアリングも超絶斬新だった。
ただし、操作感についてどのくらい切っているのかわかりにくいと不評だったようだ。
1本スポークステアリング
採用車: 三菱ギャランΛ(ラムダ・初代)
販売期間:1976~1980年
三菱のスペシャリティクーペとして大人気となった初代ギャランΛは角型4灯ヘッドランプを日本車で初採用し、スラントノーズのトレンドも作った
今見ると意外にしっかりしている1本スポークステアリング。逆にシフトレバーとウィンカーレバーの細さが強調される
オート三輪や1960年代のクルマでは非常に簡素な1本スポークステアリングが採用されていたが、1980年代以降の日本車で1本スポークステアリングの代表選手と言えば三菱のスペシャルティカーであるギャランΛを置いてほかにない。
1本スポークのステアリングを採用したのはメーターの視認性向上のためだが、デザインにこだわった点も無視できない。
実際の操作感だが、人それぞれ運転に癖があり、スポークに親指をかけて運転する人は多く、慣れるまでかなり違和感があったという。
いっぽう内掛け愛好家には、邪魔するものがないので回しやすくて好評だったという。
ギャランΛは、角型4灯ヘッドランプ、スラントノーズの先鞭をつけ、その後の日本車のエクステリアデザインに大きな影響を与えたが、1本スポークステアリングは伝播せず!!
本家三菱は1983年にデビューした5代目ギャランでは極太の1本スポークステアリングに進化させた。相変わらずの視認性のよさはあったが、Λ時代よりもデザインは劣化していた。
FFになって生まれ変わった5代目ギャラン。ギャランΛの後継モデルとして4ドアハードトップが追加された(写真は4ドアセダン)
ギャランΛの1本スポークステアリングの進化版でどっしり感はあるがΛにあった色っぽさは感じられない
4本スポークステアリング
採用車:ホンダアコード(初代)
販売期間:1976~1981年
シビックの兄貴分としてCVCCエンジンを搭載して登場したアコードは最初は3ドアハッチバックのみだったが、後に4ドアセダンを追加
4本スポークのステアリング自体はさして珍しいものではないが、アコードの4本スポークステアリングが世界的に見てレアなのは、時計で言えば10時10分に近い円形の上部にスポークが配置されていることだ。
ステアリングのデザインはメーターの視認性を妨げないようにスポーク類は9時15分の位置より下に配置されるのが一般的だが、アコードはその概念を覆した。
しかし、このステアリングが一般化しなかったのを見ると、評判はイマイチだったんだろうと想像がつく。ちょっとメーターが隠れているから見づらかったんだろう。
初代アコードの4本スポークステアリングは、スポークは9時15分より上の部分に配置しないというクルマ界の常識を覆して登場
ブーメラン型ステアリング(2本スポーク)
採用車:トヨタカローラ(4代目)、日産シルビア(3代目)/ガゼール(初代)、ホンダシティ(初代)
販売期間:1979~1983年(カローラ/シルビア/ガゼール)、シティ(1981~1986年)
カローラレビンと名乗ったのは3ドアハッチバックのみで、写真は2ドアハードトップでそのトップモデルがGTだった
セダンと差別化するために2ドアハードトップにはブーメラン型のステアリングが採用された。スポーティなデザインかつメーターの視認性もバッチリ
メーターの視認性を高めたいが、1本ではデザイン的あっさりし過ぎる、という場合に重宝したのが2本スポークステアリング。ただし、真横にスポークを配置するのではなく、デザインにこだわった結果登場したのがブーメラン型と言っていいだろう。
代表的なのは1979年にデビューした4代目カローラで、2ドアハードトップに純正採用された。今見ると確かに2本スポークでスポーティなイメージに感じる。
そのほかでは、1979年デビューの3代目日産シルビア/初代ガゼールはブーメラン型の変形でより角度のきつい逆V型、ホンダでは1981年にデビューしたシティにブーメラン型2本スポークステアリングがそれぞれ採用された。
3代目シルビアはノッチバッククーペ(写真)のほか、3ドアハッチバックもラインナップされた
3代目シルビアのステアリングはブーメラン型というよりも逆V字といったほうがいいくらいスポークの角度がきつい
ちなみに、よりスポーティなシティターボ、シティターボIIはオーソドックスな3本スポークステアリングを採用していた。
ある意味ブーメラン型が日本車でトレンドだったことがわかる。
1981年にトールボーイの愛称でホンダのコンパクトカーとして一躍人気モデルとなった初代シティ。ターボ、ターボII、カブリオレを追加
シティの標準タイプに装着されたブーメラン型のステアリング。ちなみにターボ、ターボIIはまったくデザインが異なる3本スポークステアリングが装着された
富士山型ステアリング(2本スポーク)
採用車:日産シルビア(4代目)/ガゼール(2代目)
販売期間:1983~1988年
シルビア史上初のリトラクタブルヘッドランプを採用した4代目。トップモデルにはスカイラインと同じFJ20が搭載された
富士山型(←勝手に命名)を採用したのは1983年にデビューした4代目日産シルビア/2代目ガゼールだけというレアタイプ。
基本は円の中心からオフセットされたストレートスポーク(2本)なのだが、ステアリング取り付け部分のボスのところがなだらかな峰の形状をしている。
操作性はさておいて、スポーツスペシャルティのシルビア/ガゼールでは日産はユーザーにアピールするためにあの手この手を駆使していたのがよくわかる。
基本は円の中心からオフセットされたストレートスポークなのだが、その上に稜線のような形状でボスにつながる不思議なデザインを採用
センター固定式ステアリング
採用車:日産セドリック(7代目)/グロリア(8代目)
販売期間:1987~1991年
日産のクラウン対抗モデルでラグジュアリーさとスポーティさを持ち合わせていたセドリック/グロリア(写真はセドリック)
日産セドリック(7代目)/グロリア(8代目)の4ドアハードトップモデルに純正採用されたステアリングの基本デザインは3本スポークなのだが、ステアリングセンターに弁当箱のような形状をしたボックスが付加されているのが特徴だ。
まぁ、これまで紹介してきたステアリングに比べてデザイン的に特徴があるわけではないが、このステアリングは、弁当箱部分が固定されていて動かない。
3本スポークのステアリングのセンター部分に弁当箱状のものを配置。このボックスはステアリングを左右に切っても固定されて動かない
このセドリック/グロリアはステアリングに複数のスイッチ、ボタンを装着されていて、ステアリングを切っても常に操作しやすいように設計されていたのだ。
実際にステアリングだけ回ってセンターが動かないのは慣れるまでかなりの違和感があるものだが、確かにスイッチ類の操作性に優れていた。
センター固定の動かないタイプのステアリングはシトロエンが有名だが、日産もしっかりと実用化してチャレンジしていたのだ。
Posted at 2020/03/16 22:06:46 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年03月16日
【次期レヴォーグに初搭載!!】 スバル浮沈の鍵握る!! 新型アイサイトの超進化
ステレオカメラという仕組みだけで衝突回避や運転支援を行い、ADAS(先進運転支援システム)の先駆けとなったスバルの「アイサイト」。
ところが近年は他社の猛追を受け、圧倒的な優位性を失っていたことも事実。当然スバルもこの状況は認識しており、今年登場する新型レヴォーグには新世代アイサイトを搭載することをアナウンスしている。
その詳細が、スバルとともにアイサイトを共同開発してきた日立オートモティブシステムズから発表された。GM自動運転モデル(運転席にハンドルなし!!!)の話題と併せて紹介しよう。
●【画像ギャラリー】高性能ワゴンの系譜!! 歴代レガシィ&新型レヴォーグ「STIスポーツ」
※本稿は2020年1月のものです
文・写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年2月26日号
■検知範囲を3倍に拡大 レーダーとの連携も!
新世代アイサイトで大きく進化したのは、ステレオカメラの検知範囲。
下の図を見てもらえばわかるが、カメラの視野角自体が拡大していることに加え、左カメラと右カメラの検知範囲を両端に振り分けることで、従来に比べておよそ3倍という圧倒的な検知範囲を実現している。
右が新世代アイサイトのカメラの検知範囲。中央部は左右カメラで立体視を行い、両端は単眼視となる
この結果、新世代アイサイトでは、直進時だけでなく交差点右左折時にも車両や歩行者の検知が可能となった。
通常この領域はソナーや赤外線レーダーの出番だが、スバルはお家芸ともいえるカメラにこだわることで、物体の形状認識も可能な検知範囲の拡大に成功したわけだ。
とはいえ新世代アイサイトがカメラだけに頼るのかといえば答えはノーだ。新型レヴォーグの事前説明でも、スバルは「4つのレーダー」が装備されるとアナウンスしている。
東京モーターショーに出た、次期型レヴォーグのプロトタイプ。アイサイトも大進化!
スバル車の一部はすでに後方警戒支援システムとなる「リヤビークルディテクション」でセンサーを導入しているが、新世代アイサイトではこれらの統合・効率化が図られるとみて間違いない。
さらに新世代アイサイトでは、準天頂衛星みちびきを使った高精度マップ&ロケーターが搭載されるため、道路の線形によるコーナー手前での自動減速や、他車の割り込みにも対応できる渋滞時のハンズフリーも実現しそうだ。
2020年になり、自動運転の進歩がやや鈍化したという声もあるが、新世代アイサイトによってスバルが再び「トップ集団」に加わることは間違いない。
レヴォーグの登場を楽しみに待とう。
■ステアリングなし!!? GM自動運転車の威力 ウェイモに次ぐ実力にホンダもほれ込んだ!
上でも触れたが、ここへ来て自動運転の進展が鈍っている。
トヨタのハイテク部門を率いるギル・プラット氏もそれを認めているし、北米カリフォルニア州の「自動運転の無人公道実験が行える事業者」は、2018年10月のウェイモ以降、新たな事業者が現われていない。
そんななか、沈滞を打ち破ろうとしているのがGMだ。同社は間もなく、史上初の「ステアリングのない自動運転車両による公道実験」を開始するというのだ。
GMクルーズが現在運用している自動運転車。昨年無人タクシーサービスを始める予定だったが今年にずれこんだ
そもそもGMは、2016年にクルーズオートメーションというスタートアップ企業を買収し、あっという間に自動運転のトップランナーに躍り出た。
技術レベルはウェイモに次ぐという人もおり、そこにほれ込んだホンダやソフトバンクが、昨年1000億円以上もの出資を行ったほどの注目企業だ。
■非常時には遠隔地からリモート操縦もできる
下がGMクルーズの公開した車内のイメージだ。ずいぶん整然としているが、やはりステアリングのない風景は相当衝撃的だ。
ステアリングのない実験車両のインテリア。空いた空間には将来的にインフォテインメント類が収まるだろう
とはいえ、このクルマが完全に自律走行するわけではない。車両の状況は遠隔監視されており、非常時にはネットワークを介して、離れた場所から人間が操縦することが可能だ。
この遠隔操縦も自動運転では重要な領域で、特にバスやタクシー、トラックといった商用車は、将来この仕組みを作って自動化が進むとみられている。
GMクルーズは、ステアリングのない車両の公道実験を、現在アメリカ運輸省のNHTSA(国家道路交通安全局)に申請を行っているもようで、政府側も認可に前向きだという。早ければ今年中にも、公道実験が始まる予定だ。
自動運転業界ひさびさの革新に期待したい。
Posted at 2020/03/16 22:02:30 | |
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富士重工 | 日記
2020年03月16日
「D1GP過渡期を代表する滑走戦闘機」4G63を縦置きマウントした衝撃のFRランエボ!
ドリフト界に一石を投じた完全リヤ駆動のランエボIXMR
縦置き4G63を軸にした独創的FRパッケージを振り返る
長いD1グランプリの歴史において、このマシンほど野心的で強烈なインパクトを残した存在はいなかったように思う。D1GP2006シリーズチャンプの熊久保信重選手と、気鋭のチューニングショップであるJUNオートメカニックがタッグを組み創造した、ランエボベースの滑走戦闘機である。
ベースマシンは、“最強の4発”との呼び声が高い名機4G63を搭載する最終モデルにして、第3世代ランエボの集大成的存在『ランエボIXMR』。当然、FFベースの4WDパッケージのままで高度なドリフトなど不可能に近いため、駆動方式はJUNのテクノロジーによってFR化されているのがポイントだ。
まず、4G63ユニットを横置きから縦置きへと配置転換し、合わせてミッションもホリンジャーの6速シーケンシャルドグへとスイッチ。そして、リヤデフを大容量のR200系へとケースごと変更した上、ミッションアウトプットからワンオフのプロペラシャフトをリヤへと伸ばす。そう、シルビアに代表されるFRパッケージを、ランエボでそのまま表現したのだ。
なにより驚かされるのは、ここまでの大規模なモディファイを敢行しておきながら、車重や前後重量配分といった基本ディメンションへの理想追及も忘れなかったことだ。バルクヘッドおよびフロアトンネルを作り直して、縦置き4Gユニットをミッションごと後方に押し込む。さらに、ボディ全体の贅肉を限界までそぎ落としつつ、カーボンをはじめとする軽量マテリアルのチカラをフル活用することで、フロントミッドシップの1250kgを達成したのである。
もちろんエンジン本体はノーマルではなく、腰下にJUNの2.2Lキットを導入した上、ヘッドにはMIVEC用ソリッドカム(272度/10.8リフト)をセット。そこにTD06-25Gタービンをドッキングし、F-CON Vプロ&Vマネージによる緻密なフルコン制御を組み合わせることで、最大ブースト圧1.8キロ時に600psを発揮。4G63の縦置き化にあたっては、ラジエター接続ラインの取り回し変更や、オイル偏り方向の違いによるブローバイガス対策が敢行されている。
重量増を懸念してラジエターはリヤマウントとせず、コアサポート内側にインタークーラーと合わせてVマウント化。インタークーラーはサージングを防止するためにインナーフィンなしとインナーフィンありを組み合わせたツインコアとなる。
妥協なき拘りはサスペンションにまで及ぶ。フロントはオリジナルサスメンバーの導入を軸に、アーム取り付け位置を含めてレイアウトを再構築。これにより、サス形式こそノーマル同様のストラットを踏襲しているものの、ジオメトリーやアーム可動領域はまるで別モノという、文字通りのドリフトスペシャルが完成。ダンパーはDG5だ。
ドリフトで重要なステアリング切れ角に関しても、タイロッドやナックルなどに大手術を敢行することで、ノーマルから15度アップとなる46度を実現した。ブレーキにはグレッディのフルシステム(F6ポット R4ポット)を奢る。
駆動輪となるリヤは、ノーマルの高いトラクション性能を生かすべく調整式アームの導入程度に留めているが、大容量デフの採用にともない、ドラシャやナックルはオリジナル強化品へと変更。なお、燃料タンクは軽量化のために純正を半分カットした『半タン』仕様となる。
コクピットは超スパルタンだ。メインメーターはスタックで、各種制御スイッチはセンターコンソールに整然とレイアウト。サイドブレーキは純正を使用しつつ、使用頻度が高いことから取り付け位置を大幅にアップさせた上、バー形状を変更している。
そんな革新的メカニズムに包まれ産声を上げたFRランエボのアンヴェールは、D1GP2007シリーズ第5戦エビスRdが選ばれた。結果は、テスト走行すらままならない状態だったにも関わらずベスト8を奪取。勢いは止らず、シーズンファイナルのアーウィンデールRd(エキシビション)では、なんと投入からわずか4戦目という異例の速さで、『優勝』の2文字を手中に収めたのだ。
その後も活躍を続けて多くのドリフトファンを魅了し、2009年シーズンでランエボXベースのニューFRマシンにバトンタッチ。以降は同じチームメンバーの末永直人選手がステアリングを握り、2011年まで競技ドリフトの最前線を走り抜けたのだ。(PHOTO:小林克好)
●取材協力:JUNオートメカニック 埼玉県入間市狭山ヶ原松原102-1 TEL:042-934-5335
Posted at 2020/03/16 21:54:46 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年03月16日
【驚きの額で落札】軍用車キューベル・ワーゲン、水陸両用シュビム・ワーゲン 北米オークション
ドイツ軍が送り出した軽軍用車
text&photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)
photo:BONHAMS
第二次世界大戦用に作られた軽軍用自動車といえばアメリカ軍のジープが代表格といえるが、ドイツはオリジナリティあふれるモデルを創り上げた。それはフォルクスワーゲンkdfのコンポーネンツを利用した2つのワーゲンだった。
1つはポルシェ設計事務所のフェルディナンド・ポルシェ博士が設計し、旧ドイツ陸軍の軽軍用車として生産されたフォルクスワーゲン・キューベル・ワーゲンTYP82型。
俗に「キューベル・ワーゲン」と呼ばれ、過酷な戦地での使用を考慮してシンプルな構造で作られ、リアにおなじみの空冷水平対向4気筒エンジンを搭載する。
今回ボナムス・アメリアアイランド・オークション出品されたのは1944年製のフォルクスワーゲン・キューベル・ワーゲンTYP82型。
完璧なレストアが施されドキュメントが揃うという素晴らしいコンディションを保つ1台だ。
予想額超えの入札
同オークションにはゲルハルト・シュニューラー・コレクションから数多くの車両が出品されたが、このキューベル・ワーゲンもその1台である。
まさに歴史の生き証人といえる貴重な存在なのだが、マーケット的に見るとインターメカニカ社から精巧なレプリカが販売されていることから、こだわりの軍用車マニアでないと手を出さなくなっていたのである。
事前の予想落札価格はレプリカと変わらぬ321~428万円と謳われていたが、コンディションの良い本物だけに熱烈なファンが競り合った。
オークションを終えてみれば、予想を大きく上まわる5万8240ドル(624万円)で終えた。
シュビム・ワーゲン 驚きの額で
もう1台のワーゲンは、キューベル・ワーゲンの姉妹モデルといえるフォルクスワーゲンTYP166シュビム・ワーゲン。
こちらもフォルクスワーゲンkdfのパワーユニットを使用する軽軍用車なのだが、いわゆる水陸両用車なのである。
ドイツ軍の軍用車ファンにとっては極め付きといえる1台なだけに大きな注目を集めていた。
ボディ下部はボートのような形状でリアにはエンジン後端から動力を導く推進用のスクリューが備わる。
このスクリューユニットは、陸上を走行する時は上に跳ね上げられる構造になっている。
1558万円で落札
そしてシュビム・ワーゲンのもう1つの特徴が、上陸する時の岸はぬかるんでいることが多いため、トラクションを確保するために4輪駆動が採用されているのが特徴だ。
このシュビム・ワーゲンはキューベル・ワーゲンと同様にゲルハルト・シュニューラー・コレクションからの放出車で、2006年に時代考証も含め完璧なレストレーションが行われ、素晴らしいコンディションに保たれている。
シュビム・ワーゲンはレプリカが存在せず、かつメカニム的にも革新的で貴重な存在だったことからコレクターが競い合った結果、予想落札価格を大きく超える14万5600ドル(1558万円)で落札された。
Posted at 2020/03/16 21:52:55 | |
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フォルクスワーゲン | 日記
2020年03月16日
【ヒットの法則169】ゴルフR32の6速MTは乗った瞬間からDSGとはまるで違っていた
2006年2月、5代目ゴルフをベースにしたR32が日本に上陸している。その主力は5ドア右ハンドルのDSG仕様だったが、デビュー時は受注生産として3ドア左ハンドルの6速MTも用意されていた。販売台数は多くはなかったが、強烈な印象を残した真のイメージリーダーはどんなクルマだったのか。そのインプレッションを振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年4月号より)
トランスミッションだけでなく、仕様すべてがマニア好み
先代のゴルフR32は、DSGを初めて搭載したモデルとしても名を馳せた。残念ながら、日本市場へは6速MTモデルしか導入されなかったから、ゴルフVベースのR32 DSGを「待ちに待った」と期待しているファンも多いはず。そんな期待に応えるべく新型R32のDSGは文句ナシのGTスポーツカーに仕上がっているが、もうひとつ、忘れてはいけない仕様がある。6速MTモデルだ。
どうやら新型R32では、DSG付きと6速MT仕様で性格を変えてみせたいようだ。DSGが右ハンドルの5ドアモデルとして、より一般的に選べる仕様としたのに対し、6速MT仕様は左ハンドルの3ドアモデルで、しかも受注生産。ミッション仕様だけでなく、ハンドル位置やボディ形状まで、マニア好みを極めたモデルだと言っていい。
先代R32の正当な後継車と言うべきか。日本市場の好みを考えると、DSG仕様だけでも十分だと思うが、受注生産とはいえあえてこのマニアックな仕様を導入した背景には、900台をあっという間に完売したという先代R32の実績への配慮があった、とも考えられる。ともあれ、最新のホットハッチモデルを左ハンドルのマニュアルギアボックスで楽しめるという幸せを、積極的に享受しない手はない。
事実、右ハンドルのDSG仕様に比べると、ドライバーズシートに腰をおろした瞬間の意気込みがまるで違う。DSG仕様ではフツウのゴルフと何ら変わることなくドライバーはリラックスしてステアリングを握ることができるが、6速MT仕様は違うのだ。
音が聞こえそうなぐらいに心臓の鼓動は高まり、右手がせわしなくシフトレバーをこきこき動かす。同時に左手は、レザーの感触を確かめるかのように径にそってステアリングを摩っている。走りへの期待がドライバーを囃し立てる。
期待にまず応えるのが、エンジンサウンド。はっきりとスポーツモデルであることを主張する音の演出は、最新の列強V8モデルに近い。グワンと地響きを立てるようなサウンドで、ドライバーの背筋をしゃんと伸ばす。上半身が思わずリキむ。
爆発音はすぐさま耳に心地いいリズミカルな低音ビートに変わるが、それがまた乗り手の心を囃し立てる太鼓のよう。視界には触り心地のいいステアリングとその先の道路しか見えてこないし、聞こえるのはV6と心臓のビートだけという有様。力強いサウンドから想像できるパワフルなロケットスタートを期待して、心が大いに逸る。
クラッチミートには、ちょっとしたコツと慣れが必要だ。ミートポイントが判然としないため、上げる左足と踏み込む右足のバランスコントロールが難しい。もう少し踏力の必要なクラッチペダルならコツを掴みやすいのになと思いつつも、渋滞などの頻繁な操作を考えるとこれぐらい軽い方がいい。
想像よりも引き気味のミートポイントさえ掴めば、あとはDSG風の、極めてスムーズなシフトチェンジが可能だ。個人的には左足へのダイレクト感がもっと欲しいが、低速トルクも十分な扱いやすいエンジンが相手とあっては、操作がひとつぐらい増えてもスムーズであって当然ということか。
迫力のエグゾーストノートを伴って回転を上げていく楽しみはDSGでも味わえるものだが、シフトレバーと腕、クラッチペダルと左足が一体となり、そこに右足とアクセルペダルが加わって、五体でマシンと繋がる感覚などはMTならではの楽しみだ。
R32の6速MT仕様は、ハルデックス4WDシステムと相まって優秀なGTカーとしても存分に使えるクルマではあるが、安心して一体になれるという意味でも、他にない孤高のスポーツホットハッチだ。(文:西川淳/Motor Magazine 2006年4月号より)
フォルクスワーゲン ゴルフR32 6速MT (2006年) 主要諸元
●全長×全幅×全高:4250×1760×1505mm
●ホイールベース: 2575mm
●車両重量:1540kg
●エンジン:V6DOHC
●排気量:3188cc
●最高出力:250ps/6300rpm
●最大トルク:320Nm/2500-3000pm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:4WD
●車両価格:419万円(2006年当時)
Posted at 2020/03/16 21:48:23 | |
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フォルクスワーゲン | 日記