2020年03月31日
ブガッティ シロン、コーナリングマシン「ピュルスポール」を発表…限定60台を2020年後半から生産
ブガッティはフランス本社において、『シロン・ピュルスポール』(Bugatti Chiron Pur Sport)をデジタルワールドプレミアした。
シロン・ピュルスポールは、『シロン』をベースに、コーナリング性能を引き上げることに重点を置いて開発された。2020年後半から世界限定60台が生産され、価格は300万ユーロ(約3億6180万円)だ。
◆足回りを専用チューニング
ブガッティは、とくにワインディングロードで本領を発揮するシャシーとサスペンションを、シロン・ピュアスポーツ向けに開発した。快適性に悪影響を与えることなく、フロントに65%硬いスプリング、リアに33%硬いスプリングを採用した。アダプティブダンピングのコントロール、キャンバー値の変更(マイナス2.5度)により、さらにダイナミックなハンドリングを追求している。
フロントとリアのカーボンファイバー製スタビライザーは、さらにロールを最小限に抑える。ばね下重量は、19kg軽量化された。この19kgは、16kgにおよぶ車輪の軽量化に加えて、チタン製ブレーキパッドのベースパネルによる2kgの軽量化、ブレーキディスクの1kgの軽量化を合計したものだ。また、シャシー、サスペンション、ボディの接合部分の剛性を、フロントで130%、リアで77%強化することにより、路面への接地性を向上させている。
タイヤは、ミシュランが新開発した高性能タイヤ「Sport Cup 2 R」だ。フロントが285/30 R20、リアが355/25 R21サイズを履く。新素材のコンパウンドのおかげで、高いコーナリングスピードでも優れたグリップ力を発揮するという。
◆最大出力1500hp の8.0リットルW16気筒+4ターボ
ミッドシップには、2ステージターボ化された8.0リットルW16気筒+4ターボエンジンを搭載する。最大出力は1500hpと変わらないが、発生回転数は6700rpmから6900rpmへ、200rpm引き上げられた。最大トルクは、163kgm/2000-6000rpmと変わらない。
7速デュアルクラッチの「DSG」は、全体のギア比を15%クロスレシオ化した。駆動方式は4WDだ。ブガッティによると、60~120km/hの中間加速は、ベース車両に対しておよそ2秒短縮しているという。
4種類のドライブモードに加えて、「スポーツ 」モードが採用された。通常のスポーツモードよりも、サーキット寄りの設定となっており、高速コーナーでもドリフトできる理想的なラインを走行できるという。
◆エアロダイナミクス性能を高める新デザイン
シロン・ピュルスポールでは、エアロダイナミクス性能を高める新デザインを採用する。フロントには、ワイド化された吸気口と、専用グリルを装着した。フロントリップスポイラーは、前方に突き出た専用デザインで、最大のダウンフォースを生み出す。
リアには、長さ1900mmの固定式の大型ウイングを装着し、ダウンフォースを高めた。専用のディフューザーも装備される。角度の付いたウイングマウントは、リアバンパーとともに、大きなX字を形成する。3Dプリントされたチタン製の軽量エグゾーストパイプが採用された。ベース車両の格納式リアスポイラーの油圧コンポーネントを廃止することにより、10kgの軽量化を果たしている。
オプションのエアロウィングを備えたマグネシウム製の軽量ホイールは、1本あたり4kg軽い。最適なホイール換気を行い、エアロダイナミクスも向上させる。ホイール4本で重量を合計16kg削減することにより、バネ下重量も減少させた。
インテリアは、アルカンターラを多くの部分に使用した。ダイナミックなパターンが、アルカンターラ張りのドアトリムパネルにレーザー加工されている。ステアリングホイールもアルカンターラ仕上げで、理想的なグリップを追求する。シートは、サイドのサポート性を引き上げた。すべてのトリムパネルとコントロールスイッチは、黒色の陽極酸化アルミまたはチタンで作られている。各部にクロスステッチをあしらう。ステアリングホイールの12時の位置には、青いハイライトが追加されている。
Posted at 2020/03/31 22:13:27 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年03月31日
【スーパーカー年代記 034】ポルシェ 959は第2次スーパーカーブームの嚆矢となったハイテク4WDマシン
クルマ好きなら一度は憧れたことがあるだろうスーパーカー。その黎明期から現代までをたどる連載企画。第34回は「ポルシェ 959」だ。
ポルシェ 959(1986-1989年)
1982年、FIAはモータースポーツに参戦する競技用車両の規定を改定し、改造度の広いグループBの導入を発表した。そこでポルシェはグループB車両の開発にあたり、前規定のグループ4で当時のWRC(世界ラリー選手権)を席巻していたアウディ クワトロを凌駕するには4WDが必須であると考えた。
そこで実績のあるタイプ930の911をベースに、トランスミッションからPSK電子制御クラッチを介して前車軸までプロペラシャフトを通し、運転状況に応じて前後のトルク配分を40:60から20:80まで自動調整する可変トルクスプリット式フルタイム4WDシステムを開発した。加えて、ドライバーが室内からソフト/ミディアム/ハードの3段階に調整できるダンパー設定や、119~180mmまでの最低地上高調整機構などを組み合わせて、路面を選ばぬ超絶のロードホールディングを実現した。
1983年のフランクフルト モーターショーでプロトタイプの「グルッペB(ドイツ語のグループB)」が発表され、1986年からポルシェの伝統で開発コードネームのまま「959」の車名で発売された。
911同様、リアオーバーハングに搭載されるエンジンは強制空冷の2.8L フラット6だが、ヘッドは4バルブDOHC化されている。レースなどでの連続高負荷運転に備え、左右の吸気カムシャフトで駆動するウオーターポンプでシリンダーヘッドのみを水冷する、グループCカーの962C譲りの冷却機構を追加したのが特徴だ。これに低速時はシングル、4600rpm以上でツインにシーケンシャル制御される2基のKKK製ターボチャージャーをドッキングして、最高出力450psを叩き出した。
特徴的なロングテール形状のスタイルは300km/hを超す高速度域での安定性を追及して空気抵抗を抑え込んだ結果もたらされたもので、Cd値は0.31を達成。さらにボディはアルミ合金を多用し、フロント部分はガラス繊維で強化したポリウレタンの一体成型。他のパネルにはケブラーやFRPを使うなど、徹底した軽量化が図られ、ベースとなった911と共用のボディパーツはほとんどない。
グループBのホモロゲーション取得のために開発された959は当初200台限定生産の予定だったが、反響が大きく、最終的に292台が生産された。価格は当時のレートで約3600万円だったが、当時バブル景気で盛り上がっていた日本では、1億円以上ものプライスで取り引きされたこともあった。
ポルシェ 959 主要諸元
●全長×全幅×全高:4260×1840×1280mm
●ホイールベース:2270mm
●重量:1450kg
●エンジン種類:水平対向6 DOHCツインターボ
●排気量:2850cc
●最高出力:450ps/6500rpm
●最大トルク:51.0kgm/5500rpm
●駆動方式:リア縦置き4WD
●トランスミッション:6速MT
●タイヤサイズ:前235/45VR17、後255/40VR17
Posted at 2020/03/31 22:11:03 | |
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ポルシェ | 日記
2020年03月31日
DTM、新型コロナウイルス対策の“7月開幕版”修正カレンダーを発表
新型コロナウイルスの感染拡大により、ヨーロッパのモータースポーツも大きな打撃を受けている。そんな中、ドイツツーリングカー選手権(DTM)は7月に開幕する“修正カレンダー”を発表。11月までの4ヵ月間で全10戦をこなすスケジュールに組み直した。
当初は4月24日~26日にゾルダー(ベルギー)で開幕し、10月2日~4日のホッケンハイム(ドイツ)で最終戦を迎えるというスケジュールを予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大の中心がヨーロッパに移ったことを受け、開幕前の公式テストを含め中止や延期の対応が相次いでいた。
DTMを運営するITRは、7月10日~12日のノリスリンクで開幕するスケジュールに変更することを発表した。なお7月31日~8月2日の第2戦と10月2日~4日の第7戦には、それぞれイゴラドライブ(ロシア)とスカンジナビアン・レースウェイ(スウェーデン)のどちらかが入る予定となっており、その2戦のみ両サーキットとの調整が続いている。
例年はホッケンハイムがシリーズ最終戦となっていたが、新しいスケジュールではモンツァ(イタリア)が最終戦として11月13日~11月15日に組み込まれた。
■2020 DTM“修正版”レースカレンダー
第1戦:ノリスリンク(ドイツ)7月10日~12日
第2戦:イゴラドライブ(ロシア)もしくはスカンジナビアン・レースウェイ(スウェーデン)7月31日~8月2日
第3戦:ゾルダー(ベルギー)8月7日~9日
第4戦:ブランズハッチ(イギリス)8月22日~23日
第5戦:TTアッセン(オランダ)9月4日~9月6日
第6戦:ニュルブルクリンク(ドイツ)9月11月~9月13日
第7戦:イゴラドライブ(ロシア)もしくはスカンジナビアン・レースウェイ(スウェーデン)10月2日~10月4日
第8戦:ラウジッツリンク(ドイツ)10月16日~18日
第9戦:ホッケンハイム(ドイツ)11月6日~11月8日
第10戦:モンツァ(イタリア)11月13日~11月15日
Posted at 2020/03/31 22:09:13 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年03月31日
開発トップが語る、新型ポルシェ 911 ターボSと935/78 モビー ディックに見るターボ哲学
Porsche 935/78 “Moby Dick”
ポルシェ 935/78 “モビー ディック”
ホッケンハイムを舞台に“モビー ディック”をドライブ
フランク-シュテファン・ヴァリザーにサーキットでポルシェを託すのは、肉食獣を野生に放つようなものかもしれない。2019年に911と718の開発責任者になる前、彼はGTレース車両の開発を担当していたのだから。シュトゥットガルト出身のヴァリザーは、インターンシップと大学院での研究を経て、ポルシェ入社後に博士号を取得した知的な人物だ。
彼はポルシェというブランドに息を吹き込み、レーシングトラックがいかに多くをもたらしてくれるか理解している。今回、彼はホッケンハイムのポルシェ・エクスペリエンス・センターにおいて、1978年に開発された過激なターボ搭載のレーシングカー「935/78 “モビー ディック(Moby Dick)”」と対面した。
心臓と内臓を鷲掴みにされるターボのパワー
――今回のテストドライブでは、サーキットのポストを見逃してしまったのでは?
「その通りです(笑)。私がモータースポーツの世界へと飛び込んだのは、皆さんと同じように尽きない情熱からです。だからこそ、まだ興奮が醒めていません。レースの世界は非常にスピーディーです。そして、明確かつ明白な結果を生み出します。でも、私は大きな目的を理解して、自分の新しい役割を受け入れました。モータースポーツの分野は最高に困難とは言いませんが、簡単ではありません。そして私のモータースポーツにおける経験、つまり非常に具体的な目標(勝利)に向けた作業は、市販モデルの開発状況をモニタリングするのに役立ちます」
――あなた自身と、“モビー ディック”としてよく知られているポルシェ935/78とのつながりを教えてください。
「初代935/78は935の最も強力なバージョンで、そのコアには911があります。私の心の中で永遠に色褪せることのない魅力的なレーシングカーです。 2018年、サーキット専用モデルとして新しい『935/78』を開発したとき、“モビー ディック”の周囲にデスクと椅子を置いて、とにかくじっくりと観察しました。文字通りのベンチマークとしたのです」
「今回、モビー ディックがどのようなクルマだったのか改めて考えました。1978年シーズン、ポルシェは911の究極のレース仕様である935をさらに過激に進化させています。スタートしたレースはわずか4戦しかありません。3.2リッターボクサー6は水冷式の4バルブシリンダーヘッドを備えた最初のポルシェエンジンでした。前シーズンから搭載された2基の小型ターボチャージャーは、1基の大型ターボチャージャーよりも大幅にスロットルレスポンスが向上しています」
「通常イベントでは空冷ボクサー6ターボは最高出力845hpを発揮しましたが、長距離を走行するル・マン24時間では750hpにデチューンされています。それまでに911ベースのハイパフォーマンス仕様で、ここまでのエンジン出力を誇ったものはありません。当時、FIAグループ5規定で製造された935シリーズのボディはルールで許可されている限りすべてが変更されています。エンジニアはアルミニウム製スペースフレームを追加し、その上に空力的に最適化されたロングノーズ&ロングテールのボディシェルを取り付けました。重量はわずか1025kgで、1978年のル・マン24時間での最高速度は366km/hを突破しています」
――初めてターボ車両をドライブした時のことを覚えていますか?
「昨日のことのように覚えています。2000年のある週末、タイプ996の911ターボで妻と共にシュトゥットガルトからハンブルクまでドライブしました。その帰路はスケジュールがかなりタイトだったのですが、早朝だったこともあってほとんど交通量がなかったので・・・約700kmを5時間半で走りきったんですよ(笑)。あれは忘れられない経験です。私にとって『ターボ』という言葉は驚くべきパワーと密接に結びついています」
心臓と内臓を鷲掴みにされる経験を伴うターボ
――あなたにとって「ターボ」という言葉は何を意味しますか?
「エンジニアとしてならば、排気ガスからのエネルギーを再利用するタービン機構だと答えるでしょう。でも、それはあくまでも頭で考えた答えです。実際はもっとエモーショナルで、心臓と内臓を鷲掴みにされる経験を伴います。911ターボは、原始的なパワー、圧倒的な制圧力、そして技術的な力を持っています」
――当時のポルシェは、このモビー ディックから何を学んだのでしょう?
「私たちポルシェは、モータースポーツに向けて画期的な新技術を幾度となく開発してきました。そして、その技術をロードカーにも落とし込んでいます。すべての革新的な技術の中で、ターボチャージャーは最も印象的な例でしょう。ターボが導入された時点では、エキゾチックなレース専用技術と考えられていましたが、すぐに市販車でも当たり前の存在になりました。これだけ一般化されたのは、ポルシェに真の技術力があったからこそです」
「パワー、低燃費、応答性・・・。ターボチャージャーはその歴史でカスタマーが望む性能を次々と提供してきました。そして、今も昔も一番の長所は変わりません。そう、パワーです。935に搭載されたターボエンジンは800hpを超えていましたが、ビッグパワーでも適切なトラクションを提供するためにもリヤエンジンは当時の理想的かつ唯一の解決策です。現在では4WDを採用した最新型911ターボがレベルの異なる究極のトラクション性を発揮しています」
Porsche 911 Turbo S / 911 Turbo S Cabriolet
ポルシェ 911ターボS/911ターボS カブリオレ
ポルシェにおいて最高峰を意味する「ターボ」
――ポルシェにおいては「ターボを搭載していること」と「ターボの名称をもつこと」には違いがあるようです。
「新型911では、GTモデルを除いて他の車種と同様にターボチャージャーを搭載しています。ですが、この全モデルが『ターボ』の名称に相応しいテクノロジーを搭載しているわけではありません。ポルシェにおいて『ターボ』は“最高峰”の代名詞であり、トップモデルを意味します。ですから、排気のないピュアEVのタイカン最上位モデルにも『ターボ』の名称が採用されたのです」
――2基の可変タービンジオメトリー(VTG)ターボを採用し、3.8リッターボクサーエンジンを搭載した新型911ターボSについて聞かせてください。先代モデルから70hpも向上した最高出力650hpを実現しています。これだけのパワーアップは、ポルシェにとっても必要だったのでしょうか。
「究極のパフォーマンスは、伝統的に911ターボを表してきた言葉です。新型911は新たなスタンダードを打ち立てました。その高い出発点からさらにステップアップした印象を持たせるためには、本当の意味でのパワーを感じなければなりません。そして、それは成功したと考えています」
――開発段階における、ターゲットはどこにあったのでしょう。
「まずは日々使用できるユーザビリティです。そして、この品質が911ターボと他の高性能スポーツカーに一線を引きます。ウィンタータイヤも装着できますし、ロングドライブもこなします。文字通り1年中使用可能なスーパースポーツです。それでも、これは2番目の開発ターゲットでした。911ターボである以上、ドライバーを時々無言にさせる必要がありますからね(笑)。オプションのスポーツサスペンションやスポーツエキゾーストシステムなどにより、ターボのパフォーマンスはさらに向上させることもできます」
――今回試乗したモビー ディックと新型911ターボSに共通項はありますか?
「どちらも定義上はターボチャージャー搭載モデルですが、それだけですね(笑)。現在のターボのレスポンスは、初期の仕様との比較を意味のないものとしています。モビー ディックのドライブは簡単ではありません。初歩的なウェイストゲート・コントロールのターボチャージャーをもつモンスターと言えるでしょう。対照的に新型911ターボSのパフォーマンスは、ある意味で誰にでもアクセスできます」
――率直に伺います、将来的に今以上にパワフルな内燃エンジンを搭載した911ターボが登場する可能性はあるのでしょうか?
「ニューモデルの開発を終えた瞬間に、我々は額に汗をたらしつつ考えます。『これが限界だ・・・』と。でも、エンジニアは常に目を光らせて、改善の可能性を探し続けています。その結果、数十年にわたり可能性の限界というものは再定義されてきました。その歩みを止める理由はありませんよ」
Posted at 2020/03/31 22:06:24 | |
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