2020年09月12日
【動画】竹岡 圭のクルマdeムービー 「スバル新型レヴォーグ開発責任者インタビュー」(2020年8月放映)
モーターマガジンMovie(チャンネル登録者数13万3000人超)で長年に渡って試乗レポートを務めるモータージャーナリストの竹岡 圭さん。このコーナーでは、その中から人気の動画を逐次紹介していきます。今回は10月15日に発売が予定されている、スバル新型レヴォーグの開発責任者へのインタビューをお届けします。
新型レヴォーグの熱い思いをお聴きしました
そのサイズ感と走りの良さ、加えて先進安全運転機能「アイサイト」搭載で多くのユーザーの心を捉えたスバル レヴォーグ。そのレヴォーグの新型が10月15日に登場する予定です。
そこで、今回は新型レヴォーグの開発責任者である商品企画本部プロダクトゼネラルマネージャーの五島賢(ごしまさとし)さんに、竹岡圭さんが話をお聴きすることにしました。五島さんの新型レヴォーグへの熱き思いが伝わる受け答えにご注目下さい
ちなみに彼女は、インタビューに先駆け新型レヴォーグのプロトタイプで、「アイサイト」の進化版「アイサイトX」や新たなフレーム構造と新開発パワユニット1.8Lボクサー直噴ターボによる走行体験を行っています。
発売の約3カ月前から事前予約開始 レヴォーグはワゴン界のハリアーになれるのか
昔は新型車の発表と発売開始はほぼセットになっていたが、今は新型車の発表と発売時期が大きくズレるケースが多くなっている。
2020年上半期で最もクルマ界で注目されたクルマである新型ハリアーは、4月にプロトタイプ公開→5月に事前予約開始→6月に正式発表&発売開始となり、デビュー1か月後の時点で4万5000台を受注した。
今回取り上げるスバルの最新ワゴンのレヴォーグは、11月下旬の発売開始の約3カ月前に事前予約の受け付けを開始。
これは初期受注を多く稼ぎたい、というのが理由だと思われるが、新型レヴォーグは新型ハリアーのように大量オーダーを獲得できるのか?
かなり長期間にわたり実車がない状態での商談になるレヴォーグの販売について、渡辺陽一郎氏が考察する。
文:渡辺陽一郎/写真:SUBARU、TOYOTA、奥隅圭之、池之平昌信
【画像ギャラリー】事前予約の段階で最も人気が高い最上級グレードのSTIスポーツ大研究!!
日本の新車販売におけるワゴン比率はわすか2~3%
スバル期待のワゴンである新型レヴォーグは2020年10月15日に正式発表となるが、すでに8月20日から事前予約の受け付けを開始している
SUVが好調に売れて車種を増やすいっぽうで、大幅に減ったのがワゴン(正確にはステーションワゴン)だ。
人気の高かったトヨタカルディナ&マークIIブリット、日産アベニール&ステージア、ホンダアコードツアラー、三菱レグナムなどは、すべて廃止された。
現存する国産ワゴンは、レヴォーグ、カローラツーリング&フィールダー、マツダ6ワゴン、シャトル程度に限られる。
しかもマツダ6ワゴン、シャトル、カローラフィールダーは、発売から5年以上を経過した。注目される人気のワゴンは、実質的にレヴォーグとカローラツーリングのみになる。
その結果、ワゴン市場の売れ行きは下がり、今では国内の新車販売台数に占めるワゴン比率は2~3%だ。
ワゴン受難の時代にあってカローラツーリングは販売面で大健闘。新しいワゴンはカローラツーリングと新型レヴォーグの2車種のみ
実車を見てから商談を開始すれば早期納車は無理
そこで期待されるのが新型レヴォーグになる。2020年8月20日に先行予約が開始され、10月15日に正式な報道発表を行う。スバルの販売店によると、納車を伴う「発売」は11月27日になるという。
このスケジュールは、ユーザーにとってわかりにくい。販売店では8月20日には価格を明らかにして受注を開始したが、メーカーなどのホームページには、9月上旬時点でも価格が掲載されていない。そして販売店では、展示車もない状態で商談と契約をしている。
新型レヴォーグは東京モーターショー2019でほぼ市販モデルに近いプロトタイプを初公開したこともあり、市販モデルは大きくイメージは変わらない
ワゴンはミニバンやSUVに比べて天井が低く、重心も下がるから走行安定性と乗り心地を向上させやすい。ワゴンにとって走りは大切な機能だから、試乗を行い、納得してから購入したい顧客も多い。
従来型レヴォーグのユーザーは、なおさらだろう。ボディサイズなどは同等だから、新型の気になる違いは、走行性能、乗り心地、運転支援機能などだ。そこは実際に運転しないとわからない。
スバルの販売店では、「試乗車が入る日程は不明ですが、11月27日の発売以降です。先行予約は8月20日に開始したので、試乗した後で契約すると、納期は2021年の春頃になる可能性が高いです」という。
要は実車を見ずに契約するリスクを負うか、これを避けて納期遅れを我慢するか、という選択になる。
マスコミ向けにプロトタイプの試乗会が開催され、そのハンドリングを絶賛する人多数。従来型のレヴォーグから大きく進化している
事前予約の初期段階ではレヴォーグオーナーが中心
レヴォーグのような予約受注の前倒しは、今ではどこのメーカーも実施している。生産開始前に大量の注文を集めておけば、売れ筋のグレードやオプション装備が早期にわかり、下請メーカーへの発注も含めて生産計画を立てやすいからだ。
生産開始後は、納車を迅速に開始できる。要はメーカーの都合により、クルマのない状態で商談が進められている。
新型レヴォーグは、従来型のレヴォーグのイメージを踏襲しながらも細部が変更されて質感大幅アップ。真横からのアングルが美しい
この点を販売店に尋ねると、「セールスマンは予め(プロトタイプに)試乗しており、ある程度はお客様の質問に応じられます。今ではこの(予約受注を前倒しする)売り方にも慣れましたが、実車がないと戸惑う場面はあります」とコメントした。
新型レヴォーグに対するユーザーの反応はどうか。販売店では以下のように返答した。
「新型レヴォーグの予約状況を見ると、現時点では従来型のお客様が中心です。最終型レガシィツーリングワゴンのお客様もおられます。実車を確認できないので、今までスバル車に乗ってきて、信頼を置いているお客様が多いです。従って現時点で注文が急増した印象はありません」
従来型のレヴォーグはワゴンとして販売面で成功していることもあり、新型への代替えはかなり期待できる
新型レヴォーグのグレード構成と最新の人気状況
売れ筋のグレードも尋ねると、受注開始直後なので、上級グレードが人気だという。
「特に目立つのが、最上級のSTIスポーツ(価格は370万7000円)と、アイサイトXや11.6インチセンターインフォメーションディスプレイなどを加えたSTIスポーツ・EX(409万2000円)です。これに次ぐのが中級グレードのGT-H(332万2000円)と、アイサイトXなどを備えるGT-H・EX(370万7000円)になります」
初期受注の初期段階では、最上級グレードのSTIスポーツの人気が高いようだ。最も高いSTIスポーツEXは409万2000円
そしてさらに以下のように続けた。
「従来型から新型に乗り替えるお客様の多くは、1.6Lターボに乗っています。2Lターボのお客様は、動力性能の低下を心配して、様子を見ている印象です。発売後に試乗して、乗り替えるかどうかを判断されるのでしょう」
ちなみにレヴォーグのグレード構成は、以下のようになっている。
従来型のレヴォーグは1.6Lターボと2Lターボをラインナップしていたが、新型レヴォーグは1.8Lターボのみの設定となっている
■新型レヴォーグの価格(販売店調べ)
GT:310万2000円
GT・EX:348万7000円
GT-H:332万2000円
GT-H・EX:370万7000円
STIスポーツ:370万7000円
STIスポーツ・EX:409万2000円
※エンジンはすべて1.8Lターボで、駆動方式は全車がAWD(4WD)になる
※トランスミッションは全車がリニアトロニック(CVT)を備える
グレードはベーシックなGT、運転席の電動調節機能+ハンズフリーパワーリアゲート+18インチタイヤなどを加えた中級のGT-H、ショックアブソーバーの可変機能などを備えるドライブモードセレクトや本革シートを装着したSTIに大別される。
STIスポーツのインテリアは本革シートでほかのグレードと差別化して質感アップ。価格は高くなるが、魅力が増すのは間違いない
そして末尾にEXが付くグレードには、渋滞時のハンズオフアシストなどを可能にしたアイサイトXに加えて、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイ+ドライバーモニタリングシステム+コネクティッドサービスなどのセットオプションも標準装着される。
EXの価格上昇は38万5000円だが、27万5000円セットオプションも含まれるから、アイサイトXの正味価格は11万円だ。
以上の点を考えると、アイサイトXを含めたEXは割安だ。機能と価格のバランスが最も優れているのはGT・EX(348万7000円)で、必要に応じて受注台数の多いGT-H・EX(370万7000円)、STIスポーツ・EX(409万2000円)も検討したい。
アイサイトXは待望のハンズオフアシストも装備されている。あと、11.6インチセンターインフォメーションディスプレイにも注目だ
レヴォーグのライバルは何になる?
最近登場した人気の新型車としては、レヴォーグの価格帯はハリアーともバッティングするグレードがある。
レヴォーグGT・EXの価格は、ハリアー2WD・G(341万円)に近く、レヴォーグSTIスポーツ・EXは、ハリアーハイブリッド2WD・G(400万円)に相当する。
価格的に新型ハリアーはレヴォーグとバッティングするグレードもある。さてレヴォーグはこの魅力に打ち勝つことができるか!?
レヴォーグの属する340万~400万円前後の価格帯には、ハリアーに加えて、アルファード&ヴェルファイア、CX-8なども含まれ、堅調に売れる国産車の上限価格帯を構成している。
輸入車については、メルセデスベンツCクラスワゴン、BMW3シリーズツーリング、アウディA4アバントなどの売れ筋グレードは、いずれも500万円を超えてしまう。
フォルクスワーゲンゴルフヴァリアントの売れ筋価格帯はレヴォーグと同程度だが、エンジンは1.2Lターボと1.4Lターボだから、動力性能はレヴォーグが勝る。
ドイツの人気ワゴンはクラスを同じにすれば価格が大幅アップし、価格見ると性能面で劣るということで、レヴォーグのアドバンテージは大きい
運転支援機能のアイサイトXも同様だ。しかもゴルフはフルモデルチェンジを控えているから、今では購入可能なグレードが限られてしまう。
このように見てくると、最高出力が170馬力、最大トルクも30kgmを超える走りに余裕のあるミドルサイズワゴンを探した時、最も買い得な車種がレヴォーグだ。
新型レヴォーグは着実に売れるはず
国内で展開されるスバルの店舗数は約460箇所だから、ハリアーを扱うトヨタ全店の約4600箇所に比べると、約10%に留まる。
従ってレヴォーグがハリアーの2020年7月のように、1カ月で1万台近くを登録することは不可能だが、ユーザーの共感を得ながら着実に売れていくだろう。
それだけに実車のない状態で商談を進める売り方は、レヴォーグには似合わない。
走りを中心に優れた商品だから、そのよさを満喫して、納得したうえで気持ちよく買いたい。
購入する時からスバルのクルマ造りに共感して、おおいに楽しめるのもスバル車の大切な魅力だと思う。
新型レヴォーグは従来型同様に走りの気持ちよさ、質感の高さが売りだから、実車を見て買いたい。しかし実車を見て商談開始だと納期が長期化。これは痛しかゆし
スバルの新型「レヴォーグ」から採用される先進安全運転支援技術アイサイトXの進化と真価
2030年まで自社による死亡事故ゼロを目指すスバル。この秋に発売がスタートする新型「レヴォーグ」は、内外装のデザインをはじめ、車体、動的に係わる性能はもちろんだが、さらにはスバルの先進安全運転支援技術「アイサイト」も格段に進化した「アイサイトX」がこのモデルに初搭載される。
「アイサイト」の進化を辿る
スバルは1990年代から「アイサイト」の特徴であるステレオカメラを使った”先進安全“=予防安全/運転支援技術の開発をスタートさせて、1999年に「アイサイト」の前身となるADA(Active Driving Asist)を市販車に初搭載。すでに車間距離警報や車線逸脱警報、それに車間距離制御クルーズコントロール(広くACC=Adaptive Cruise Controlと呼ばれる)、カーブ警報/制御など現在の技術に繋がる機能を世に送り出した。
その後も進化を続けてきた技術は2008年に「アイサイト」として最新型を「レガシィ」に搭載。プリクラッシュブレーキ(衝突軽減ブレーキ)や全車速追従機能付きクルーズコントロールを、世界で初めてステレオカメラだけで実現させた。が、“ぶつからない”のキャッチフレーズとともにスバルの先進運転支援技術を一躍世に広めたのは、プリクラッシュブレーキが完全停止まで制御可能となった「アイサイトVer.2」(2010年)だ。
10万円という比較的選びやすい価格設定が装着率を一気に伸ばし、「安全はお金にならない」と自動車メーカーが本格採用に二の足を踏んでいたこの予防安全技術の分野に、新しい付加価値を定着させるきっかけにもなった。実はその数年前には、ボルボも日本市場にプリクラッシュブレーキシステムを採用するモデルを投入していたり、レクサスも2000年代に当時セルシオ(現在LS)の一部モデルに異なるシステムながら類似する技術をオプション採用している。
が、当時のボルボは完全に宣伝不足で、レクサスはまだまだ高価な技術ゆえ上位モデルにそっと採用していた印象があり、当時普及には至らなかった。現在は前述のメーカーのみならず、ほとんどのメーカーがさらに進化した技術を標準装備もしくはアドバンスド機能をオプション選択できるようになっている。
時代が自動運転車両の開発が加速したことももちろんある。が、「安全性能/機能も売れる」に大きな影響を与えたスバルはその後2014年に発表された初代「レヴォーグ」に「アイサイトVer.3」を搭載。ステレオカメラはカラーになり、視野角も拡大。車線中央を走る制御やステアリング制御も導入。その後、後方と側方の支援技術も追加されている。メーター内に制御の状況を映すモニターを採用したのもこの世代からだ。
新世代「アイサイト」が目指すもの
そして新世代の「アイサイト」が新型「レヴォーグ」に搭載される。Ver.4と名付けなかったのは、「進化の度合いが違い過ぎる」からと開発責任者は話す。“X”を(数字の5ととらええ4をスキップして)5と取られそうだが”エックス“だ。
その“度合いが違い過ぎる進化”を進めたのは、システムの大がかりな変更だ。とは言ってもスバルがこだわり続けているステレオカメラを軸とした制御に変わりはない。ただカメラはこれまでよりも2倍の視野角を持つ新型になり、さらに前側方レーダー、電動のブレーキブースターを初搭載。
これに後側方レーダーとリヤソナーも配備。これらを採用することで進化したスバルの運転支援、予防安全技術の多くは全車に標準装備される。そしてさらにより快適かつ安全な移動を支える技術として選ぶことができる機能として、高速道路でのカーブ走行制御やウインカー操作だけでできるレーンチェンジ、ETCゲートでの速度調整、そして渋滞時のハンドルから手を離し走行できる『ハンズオフアシスト』などがある。
これを可能にしたのが、高精度3Dマップと「みちびき」などの準天頂衛星で自車位置と道路をより正確に把握できるようになったことだ。全車に標準装備される新世代「アイサイト」のコア技術には、ブレーキ制御で衝突回避をサポートする「プリクラッシュブレーキ」、「バック(後退時)の衝突回避サポート」、「誤発進による急な飛び出しを防ぐ制御」などがある。
これらの“ぶつからない”をサポートするブレーキ制御もブレーキの作動領域が拡大。スバル初の技術として交差点で自転車や対向車、横断者も広角カメラでの検知。さらにカメラでは見えない前側方から接近する車両をレーダーで検知。また走行中に前方の車両が停止しているのに気づかず、プレクラッシュブレーキでも止まりきれない場合はシステムが回避可能なスペースに向かうステアリング制御を行って衝突回避をサポートする。
また、車線変更を行なう際に移動しようとした車線の後方から来る車両を見落としてしまった場合、警報とともにステアリングを制御もおこなうエマージェンシーレーンキープアシストは国内初採用だ。ロングドライブでも“疲れない”サポートを行ってくれる技術が「ツーリングアシスト」機能。こちらもコア技術として高速道路や自動車専用道路で0―120kn/hの範囲でアクセルやブレーキ、ステアリング操作をアシストしてくれる。
「全車速追従機能付クルーズコントロール」を利用すれば、先行車に車間距離を保ちながら渋滞時などの減速や加速、停止保持も行いながら追従走行を行ってくれる。
気になる「アイサイトX」の進化の中身
これらに加えてさらなる先進運転支援を行えるようになるのが「アイサイトX」だ。高精度の地図データと衛星システムを活用し、カメラや各種センサーとエンジンやトランスミッション、ハンドル、ブレーキなどを連携させた高速道路上でのサポート領域が拡がった。今回はテストコース上に特別に地図データを仕込むことで様々な機能を試すことができた。
まずは「カーブ前速度制御」から。ツーリングアシストをONの状態で高速道路を走行時、これまで高速域のカーブ走行は前のクルマが減速(追従)することで自車も減速を行ない、走行していた。「アイサイトX」は単独でもカーブの曲率を読み速度制御を行う。
テストコースでは速度を120km/hにセットした自車がコーナーの手前で減速。車線のなかをしっかりとフォーローしてコーナーを走ってくれた。こんな速度でクルマに走行を任せるなんて・・・と少し緊張したが、「レヴォーグ」は熟練ドライバーのようなジェントルなハンドル操作で安定した走行をしてくれたのだった。
仮設のETCゲートでは「料金所前速度を制御」も行う。またウインカー操作だけで車線変更も行う「アクティブレーンチェンジアシスト」(約70~120km/h)も初搭載。クルマは自車のいる白線を認識、隣レーンにいるクルマも認識しながら安全と判断すると自動でレーンチェンジを行った。レーンチェンジはクイックでもなく穏やかすぎることもなく、とてもスムーズだ。
渋滞時ハンズオフアシストは約50km/h以下でハンドルから手を離した状態でのクルーズ走行が可能。今回は渋滞を想定し前にはノロノロと走るクルマがいる。すると50km/h以下でメーター内のモニター表示が変わりハンズオフが可能をドライバーに知らせてくれた。ハンズオフ時のレヴォーグは車線中央を維持し滑らかな走行をしてくれた。
前方のノロノロ車がいなくなり50km/hを超えたあたりで「そろそろクルマからドライバーにドライバー交代するよ」の合図が音と文字で伝えられ、ハンドルはドライバーに委ねられることになる。完全停止するほどの渋滞を想定した場面では、減速はもちろん再発進もものすごくスマートで人間の感覚とほぼ同じだった。
これらは高精度3Dマップと「みちびき」など準天頂衛星で自車位置を確認し、それを各種センサーと車両制御によるものなのだけれど、大事なのはこれは完全な自動運転ではないということ。ドライバーは速度が50km/hを超えたらハンドルを握り運転をしなければならない。それからハンズオフ時でも安全確認を行うために「アイサイト」のカメラだけでなく人間の“目視”も欠かせない。
もしも、よそ見をしたらどうなるのか?新型「レヴォーグ」のセンターコンソールにある液晶ディスプレイの上部に、ドライバーのモニタリングシステムが内蔵されている。そこでよそ見をするとすかさずハンズオフ機能は警告、それでも無視をすると機能は解除される。が、再び前を向きハンドルを握っていればすぐにハンズオフ機能は復活した。
ではもし走行中に、ドライバーが居眠りや体調異常などで運転操作ができない状態だったとしたら・・・ここでも新機能「ドライバー異常時対応システム」が作動する。テストコースではハンズオフの状態から試した。
まず「ハンドル操作をしてください」のメッセージが表示され、無視をすると車両は減速。その間にアラート音が鳴りそれがどんどんと激しくなっていく。それでも無視し続けると最終的にはホーンが鳴り、ハザードランプも点灯していた。やがてクルマは直線の安全な場所を認識すると完全停止した。
新世代「アイサイト」の基本機能は、全車に標準装備される。もう一歩サポートの進んだ「アイサイトX」は、+35万円で選ぶことができるそうだ。進むスバルの安全/運転支援技術。ハンズオフ機能はすでに日産「スカイライン」やBMW「3シリーズ」や「8シリーズ」「X5」などに採用され体験をしているが、渋滞中、ハンドルを握っていることからひとときでも解放された時、ハンドルを握っていないといけないドライバーがかわいそうだと思えるほど、ハンズオフかオンかのストレスはかなり違う。
それだけではなく、様々なサポートが先進技術によってのみ優れた性能を発揮しているように思えるかもしれないが、実は「レヴォーグ」の制御の入らない基本性能の高さがあってこそ、制御との連携によって高い運転支援技術や安全性能が成し得る。新型「レヴォーグ」から採用が始まる意味は、最新の基本性能を与えられたモデルだからこそ、とも言えるのだ。
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文/飯田裕子(モータージャーナリスト) 写真提供/スバル
スバル新型「レヴォーグ」絶好調!? 半数がアイサイトXを希望! ユーザーの反響はどう?
■注目の「アイサイトX」搭載でユーザーの反応は?
発売から6年がたったスバル「レヴォーグ」は、2020年10月15日に2代目へのフルモデルチェンジが発表されますが、すでに8月20日より先行予約を開始しています。
2代目となる新型レヴォーグの特徴として、高度運転支援システムの「アイサイトX」が採用されることが挙げられますが、ユーザーからはどのような反響があるのでしょうか。
初代レヴォーグは「レガシィツーリングワゴン」の後継モデルとして2014年に発売されました。
5代目のレガシィツーリングワゴンよりも全長やホイールベース、全高がコンパクトとなり、日本の道路環境でも取り回しのしやすいサイズとなります。
当初は国内でのみ販売されていましたが、2015年にイギリスで発売したことを皮切りに、ステーションワゴンの人気が高い欧州市場でも販売されました。
欧州の新車評価基準である「ユーロNCAP」において、2016年安全性能総合評価で最高評価の「ファイブスター」を獲得しており、安全性能の高さにおいて世界でも高い評価を獲得しています。
新型レヴォーグは、先代から引き継いで安全性能の向上に尽力したことが見受けられます。
全車標準装備の新世代「アイサイト」は、広角化した新開発のステレオカメラと、前後あわせて4つのレーダーによる360度センシングで、見通しの悪い交差点での出合い頭や右左折時まで、プリクラッシュブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)の作動範囲が拡大されます。
加えて、新世代アイサイトの上位版となる高度運転支援システム「アイサイトX」が、「GT EX」「GT-HEX」「STI Sports EX」の3グレードに搭載されます。
アイサイトXとは、従来のアイサイトの仕組みに加え、3D高精度地図データやGPS、準天頂衛星を活用した位置情報を組み合わせることで高速道路や自動車専用道路での運転支援機能が向上するというものです。
なかでも、渋滞時など一定の条件を満たすとステアリングから手を離しても、先行車や車線に合わせて自動で走行する「渋滞時ハンズオフアシスト機能」は、新型レヴォーグの目玉機能です。
この一定の条件とは、高精度地図データ内に登録されている高速道路を50km/h以下の速度で走行するというもので、前走車に合わせて停車、発車をおこなうため、ペダル操作も必要ありません。
また、カーブや料金所の直前で減速するほか、方向指示器の操作により車線変更のアシストをおこなうなど、高速道路での走行をアシストする機能も充実しています。
スバルとしても、新型レヴォーグのセールスポイントとして大きく打ち出しているアイサイトとアイサイトXですが、実際のユーザーからはどういった反応があるのでしょうか。スバル販売店スタッフは以下のように話しています。
「新型レヴォーグの最大のウリということもあって、アイサイトは人気が高いです。なかでも、小さなお子さんがいる家族連れは、とくに注目されています。
また、新開発のアイサイトXへの問い合わせは非常に多いです。『今後、レヴォーグ以外のスバル車を検討しているので、アイサイトXについて聞きたい』という問い合わせもいくつかありました。
実際に、弊社ではすでに2500台以上の予約を承っておりますが、そのうちのほとんどの人がアイサイトX搭載車を選んでいます。
なお、印象的だったのが初代のオーナーさんは少なく、他メーカーからの乗り換えが多かった点です。
最近の新型車は人気車が多いなか、レヴォーグへの注目が高まっていることで、販売店スタッフのモチベーションも非常に高くなっています」
※ ※ ※
新型レヴォーグの価格帯は310万2000円から370万7000円、アイサイトX搭載車は348万7000円から409万2000円と、約38万円の差があります。
多少高額にはなるものの、家族連れのユーザーなど安全性能への関心が高いユーザーはアイサイトXを選ぶといいます。
また、2019年末から2020年に入り、SUVやコンパクトカーといったモデルは話題の新型車が登場していますが、ステーションワゴンはトヨタ「カローラツーリング」のみです。ライバル車が少ないため、多くの注目を集めているようでした。
■気になる新型レヴォーグはどう進化するの?
新型レヴォーグのデザインは、従来モデルからのコンセプトを引き継いでいますが、スバルのデザインコンセプトである「ダイナミックソリッド」の進化系である「BOLDER」を量産車として初採用するなど、新たなテーマが取り入れられています。
ボディサイズは全長4755mm×全幅1795mm×全高1500mm(参考値)と、従来モデルに比べて全長が65mm、全幅が15mm拡大し、ホイールベースは25mm延長。
外観はキープコンセプトだった一方、内装は大きく変更が加えられ、これまでのスバル車にない革新的なデザインを採用しています。
インパネには、中央に縦型の11.6インチセンターインフォメーションディスプレイを配置。空調やオーディオなど各種設定を集約し、タブレットのように直感的な操作が可能です。
さらに、メーターパネルを12.3インチフル液晶メーター(EXグレード)とすることで、先進的な空間を実現。12.3インチフル液晶メーターは、運転支援システム「アイサイト」の状態を表示するとともに、デジタルマップも表示できるなど、任意で切り替えることができます。
フロントシートは触り心地が良く、疲れにくいシートを採用。横Gがかかるようなスポーティなドライビングでも、肩部とクッションがドライバーを支えて運転姿勢を崩さない形状となっているうえ、ホイールベースの延長によって、後席の足元スペースも拡大され、
5代目「レガシィ」に匹敵するレベルを実現しています。
従来モデルから装備されている後席リクライニングやアームレストに加え、USBポートや空調の吹き出し口を新たに採用することで、後席の居住性アップが図られました。
荷室も広く確保し、従来モデル比で開口部は30mm、中央部は20mm拡大するとともに、サブトランクは1.7倍の大容量となっているほか、中間グレードと上級グレードに「ハンズフリーオープンパワーリアゲート」が採用され、スバルエンブレムに手や体を近づけるとリアゲートが自動でオープンし、荷物の出し入れが楽になります。
パワートレインは、先代モデルは1.6リッターターボと2リッターターボの2つが設定されていましたが、新型レヴォーグでは1.8リッターターボのモデルとなり、トランスミッションは新型リニアトロニック(CVT)を採用。駆動方式はAWD(常時全輪駆動)です。
さらに、リーン燃焼技術で燃費性能を向上させ、WLTCモードは17インチタイヤ装着車が13.7km/L、18インチタイヤ装着車が13.6km/Lを実現。JC08モードでは16.6km/Lと、従来の1.6リッターターボモデルの16.0km/Lよりも向上しています。
前述とは別のスバル販売店スタッフは以下のように話しています。
「1.8リッターターボのみだからといって、受注数に影響は出ておらず、県内のスバルに限っても週末のみで100台のご注文をいただいています。
先代の1.6リッターターボと比べ、1.8リッターターボは、トルクが50Nm上がっています。これにより2リッターターボに近い、力強い走行が可能となりました」
※ ※ ※
昨今はSUVやミニバンが人気で、ステーションワゴンの需要が減りつつありますが、そんななかで登場する新型レヴォーグは、ワゴン人気を再燃させるのでしょうか。
Posted at 2020/09/12 19:54:48 | |
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富士重工 | 日記