2021年03月25日
究極のハイパーカー「ゴードン・マレー T.50」、実走行テストを初公開! 【動画】
Gordon Murray Automotive T.50
ゴードン・マレー オートモーティブ T.50
ゴードン・マレー自身がシェイクダウン
ゴードン・マレー オートモーティブ(GMA)が開発するスーパースポーツ、「T.50」が最初の実走テストを開始した。今回、GMAは市販化に向けて大きな第一歩を踏み出したT.50の、テストトラックにて撮影した走行シーンを公開している。
テストを行ったプロトタイプ「XP2」は、ミッドに搭載されるコスワース製3.9リッターV型12気筒自然吸気ユニットの回転数を制限。ゴードン・マレー自身がステアリングを握り、英国サリー州ダンズフォルドにある「トップ・ギア テスト・トラック」において、初走行を行った。このテストトラックは、T.50の生産を行うGMAのファクトリーに隣接している。
2022年のデリバリーに向けた第一歩
T.50での初ドライブを終えたゴードン・マレーは、次のように喜びを語っている。
「T.50 XP2プロトタイプは、最高回転数1万2100rpmよりもかなり低い回転数で走行しました。それでも、T.50は最初のドライブで素晴らしいフィーリングを与えてくれました。レスポンスが素晴らしく、俊敏でドライブしがいのあるクルマでした」
「コクピットのセンターに座り、全方位の視界を確保できたことも素晴らしい経験でした。オーナーの方々にも、この体験を楽しんで頂けると思っています。もちろんまだ多くの開発マイルが残っていますし、さらに多くのプロトタイプを製造する必要があります。それでもT.50開発の軌跡は、私たちが望んでいるとおりに進んでいると確信しました」
T.50は最高出力725bhpを発揮し、その重量はわずか986kg。ボディ後端に直径400mmの巨大なファンを備えるなど、ゴードン・マレーの理想を具現化したスーパースポーツ。2020年8月5日にワールドプレミアしたT.50は、発表から48時間で生産分の100台が完売。2022年からのデリバリーを予定している。
【全世界100台限定】ゴードン・マレーT50 テスト走行披露 超軽量スーパーカー
マクラーレンF1の論理的後継モデル
text:Steve Cropley(スティーブ・クロップリー)
translator:Takuya Hayashi(林 汰久也)
ゴードン・マレーが1992年に発表したマクラーレンF1の「論理的な後継モデル」であるV12エンジン搭載の新型スーパーカー「T50」が、来年生産を開始する施設に近いサリー州のダンスフォールド飛行場でテストされた。
最初のドライブではマレー自身がステアリングを握り、次のように語っている。「XP2プロトタイプは現在、上限回転数である1万2100rpmよりもかなり低い回転数で走行していますが、最初のドライブで素晴らしい感触を得ました。レスポンスが良く、俊敏で、運転しがいのあるクルマでした」
「また、クルマの中央に座り、全方位の視界を確保するという素晴らしい体験をしました。もちろん、まだ多くの開発マイルが残っており、多くのプロトタイプを作らなければなりません。しかし、T50の開発の軌跡は、わたし達が望んでいるところにあるのです」
マレーが「最も純粋で、最も軽く、最もドライバーにフォーカスしたスーパーカー」と呼ぶこの新型車は、超軽量、ミドエンジン、オール・カーボンファイバー製の3シーターで、半世紀以上のキャリアを持つマレーにとって50台目のカーデザインであることから、T50と呼ばれている。
100台限定、価格は3億円以上
T50には、マレーが1978年のF1シーズンにブラバムBT46Bで初めてグランプリレースに導入した、地面効果を利用した「ファンカー」技術を改良したものが採用されている。
最高出力660psのコスワース自然吸気4.0L V12エンジン(レッドライン1万2100rpm)を搭載し、ゴードン・マレー・オートモーティブが全数を製造する。ゴードン・マレー・オートモーティブは、マレーが2017年にT50の計画を明らかにした際に、既存のデザイン事業の傍らに立ち上げた会社だ。
T50はわずか100台しか製造されず、英国での価格は280万ポンド(約4億2000万円)ほど。ほとんどが米国や日本をはじめとする世界の自動車愛好家たちに購入されており、みな60万ポンド(約9060万円)の手付金を支払っている。さらに75万ポンド(約1億1000万円)を支払い、残額は納車時に支払うことになっている。
最初の1台は2022年1月にオーナーの手元に届き、同年中に全数が完成する予定だ。生産終了後は、25台のハードコアなサーキット専用モデルが生産されることになっている。
マレーは、このクルマがレースに出場するのを見てみたいと言っているが、ロードカーに集中したいことと、2022年以降のスポーツカーやGTレースのレギュレーションがまだはっきりしていないことから、現時点では参戦には消極的である。
マレーが手がける空力デザイン
後輪駆動のT50は、マクラーレンの先代モデルと同様、ジェット戦闘機のようにドライバーをキャビンの中央に配置している。サイズはミニ・カントリーマンに似ており(ポルシェ911より小さく、アルピーヌ110より軽い)、1.85mのボディ幅を増やさないようデジタルサイドミラーを採用しているため、狭い場所でも高い操作性を発揮するはずだ。
スタイリングは、マレー自身がデザインチームのリーダーとなり、すべて社内で行われた。コンパクトなサイズ、アローヘッドのフロントパネル、ルーフに取り付けられたエアスクープ、二面体のドア、サイドガラスに採用された「チケットウィンドウ」など、その形状は明らかにF1を参考にしているが、さらに小柄に見せるための努力がなされている。
優美なフロントエンドとは対照的に、リアエンドには大型のエキゾースト、エンジンルーム冷却用のメッシュ、巨大なアンダーボディ・ディフューザー、400mmのファンなど極端な機能性が備わっている。このファンは48Vの電気システムで駆動し、ボディ下の空気の流れを急激に加速させることでダウンフォースを発生させる役割を担う。マレーは、これが「ロードカーのエアロダイナミクスのルールブックを書き換えるもの」だと言う。
ファン、ディフューザー、そしてボディ上部後縁のダイナミックなエアロフォイルを組み合わせることで、自然界のシステムよりもはるかに大きなダウンフォースを発生させ、これまでのスーパーカーでは考えられなかったレベルのコーナリンググリップを実現している。
空力モードは6つあり、そのうち「オート」と「ブレーキ」は車速とドライバー操作に応じて動作する。その他のモード(ハイダウンフォース、Vマックス、ストリームライン、テスト)は、コックピットから選択できる。
ハイダウンフォースはその名の通りだが、ストリートラインはファンをフル回転させ、上面と下面のアクティブフラップを格納することで「仮想ロングテール」を構築する。Vマックスは、V12にクランクマウントされた30psのスタータージェネレーターをフル回転させ、3分間のバーストでパワーを追加する。
240km/hを超えると、ルーフに取り付けられたインダクション・エアスクープにより、エンジンの最大出力は約710psにまで引き上げられる。
スイス時計のように精緻なインテリア
圧倒的な室内空間もT50のテーマの1つだ。マクラーレンF1はもちろん、現代のライバルよりも広く、フロアがフラットになったことでセンターシートへのアクセスも容易になっている。ジェット戦闘機をイメージしたアナログスイッチや計器類は比較的シンプルだが、スイス時計のような品質を誇る。
サイドに設置された2つのラゲッジは、F1と同様に広々としており、トップロードも可能だ。200万ポンド(3億円)を超えるコレクターズカーとなるが、日常的に使えるものであるとマレーは確信している。
「T50は完全なロードカーとなります。だからこそ、パッケージングとラゲッジスペースの新たな基準を打ち立てたのです。乗降性、荷物の積載性、耐久性、整備性、サスペンションのセットアップなど、あらゆる面でF1を凌駕しています。また、選択可能なエンジンマッピングにより、あらゆる状況に応じたドライビングモードを実現しています」
開発中、チームが最も多くベンチマークしたスーパーカーは、実は28年前のF1だったとマレーは言う。それは、自然吸気のV12エンジンとマニュアル・トランスミッションスを搭載した、超軽量でセンターシートのスーパーカーという同じ条件のクルマを、これまで誰も作ろうとしなかったからである。
車両重量はわずか986kgと言われており、これはマレーが「平均的なスーパーカー」と呼ぶクルマの約3分の2の重量である。重量をコントロールするためには、単に新しい素材を使うだけではなく、意識を変えていく必要があるとマレーは考え、設計チームは毎週のようにミーティングを行っていた。
カーボンファイバー製チューブシャシーの重量は、全パネルを含めても150kgに満たない。ナット、ボルト、ブラケット、ファスナーなど、約900個の部品が軽量化のために個別に精査されている。
エクストラック社製の横置き6速MTは、新しい薄壁鋳造技術を用いて設計されており、F1のトランスミッションよりも10kg軽量となっている。一方、コスワース製V12は、F1に搭載されていたBMW由来のエンジンよりも60kg軽量化されており、フェラーリのものと比較しても大幅に軽い。カーボン製のドライバーシートで7kg、助手席でも3kgの軽量化が図られている。
速度記録には「興味がない」
なぜそのような手間をかけるのか。重いクルマでは、軽いクルマのメリットを発揮できないからだとマレーは語る。
T50はV12エンジンの軽さとポテンシャルにより、従来のスーパーカーのほとんどが950ps近い出力を必要としたパワー・ウェイト・レシオを、660psで実現している。当初、3890ccとされていた排気量は、現在では3994ccとなることが確認されている。
こうした驚異的な数値を並べているにもかかわらず、マレーはニュルブルクリンクのラップレコードを破ったり、驚異的な加速タイムを記録したりすることは目指していない。
「そのようなことには全く興味がありません。わたし達は、これまでに製造されたどのスーパーカーよりも価値のあるドライビング・エクスペリエンスを提供することに集中しています」
「でも、安心してください。速いですよ」
マレーは、パンデミックが始まったときにT50がまだ生産に入っていなかったことは幸運だったと述べている。開発スケジュールの遅れは、サプライヤーの協力のおかげですでに取り戻されているという。
「コスワースやエクストラックなど、英国の優秀な部品メーカーを使っています。T50は、英国が世界に誇るクルマの1つになると確信しています」
ゴードン・マレーのハイブリッドスーパーカー『T.50』、初の走行テスト
デザイナーのゴードン・マレー氏が率いるゴードン・マレー・オートモーティブは3月15日、『T.50』(Gordon Murray Automotive T.50)が初の走行テストを行った、と発表した。2022年に限定100台を生産する予定だ。
◆運転席とその後方に2座席を設置する3シートレイアウト
T.50は、ゴードン・マレー・オートモーティブの第1号車となる新型スーパーカーだ。車名の「50」とは、ゴードン・マレー氏の自動車デザイン、エンジニアリング、モータースポーツにおけるキャリアが50周年を迎えたことを意味している。
ボディサイズは全長4352mm、全幅1850mm、全高1164mm、ホイールベース2700mm。ポルシェ『911』よりも小さい2ドアのグランドツアラースーパーカーになる。ゴードン・マレー氏がデザインを手がけ、1992年に発表されたマクラーレ『F1』同様、運転席と、そのやや後方に2座席を設置する3シートレイアウトを採用する。
T.50には、独自設計のカーボンファイバー製モノコックを採用する。ボディパネルもカーボンファイバー製だ。ブレーキもカーボンセラミックとした。すべての部品の重量を最小限に抑えることに重点を置いた軽量化戦略によって、車両重量は1トンを下回り、986kg(乾燥重量は957kg)に抑えられた。
◆車体後部の大型ファンはかつてのF1マシンのアイデア
T.50には、先進的なエアロダイナミクス技術を採用した。そのひとつの例が、車体後部に装着される直径400mmの「ファン」。これは、ゴードン・マレー氏が、かつて設計したF1マシン、ブラバム「BT46B」(通称:ファンカー)のアイデアだ。
大型のファンを回転させることにより、フロア下の空気を強制的に後方へ吸い出し、強力なダウンフォースを生み出す。1978年のF1スウェーデンGPに初投入されたブラバムBT46Bは、ニキ・ラウダが操り、いきなりの優勝を成し遂げた。しかし、ブラバムBT46Bは、この優勝限りでF1参戦を禁じられ、伝説のF1マシンの1台となった。
T.50のファンは、可変式の車体下部ダクトとリアウイングを組み合わせることにより、6つの異なるエアロモードが切り替わる。通常走行の「オートモード」では、速度とドライバーの操作に応じて、リアウイング、ファン、アンダーボディディフューザーを最適化する。高レベルの減速が必要な場合、「ブレーキモード」に切り替わり、リアウイングを自動的に展開し、ファンを高速回転させる。これにより、ダウンフォースが2倍になり、安定性とグリップを向上させる。ファンは最高7000rpmで回転する。
他の4つのエアロモードは、ドライバーが選択可能だ。 「ハイダウンフォースモード」はトラクションを強化する。ファンとウイングが連携してダウンフォースを30%増加させる。「流線型モード」では、抗力を10%削減し、直線での速度を向上させると同時に、燃費とダウンフォースを抑える。このモードでは、アンダーボディダクトが閉じられ、ファンが高速で作動する。「仮想ロングテール」状態を作り出す。
◆コスワースと共同開発された3.9リットル V12
ミッドシップに搭載されるのは、コスワースと共同開発された排気量3.9リットル(3980cc)のV型12気筒ガソリン自然吸気エンジン「GMA」だ。最大出力は663ps/11500rpm、最大トルクは47.6kgm/9000rpmを引き出す。
このV12は、1万2100rpmまで回る高回転域志向のエンジンであると同時に、最大トルクの71%は、2500rpmから得られる柔軟性を持つ。トランスミッションは、英国のXtrac製の6速MTを組み合わせる。シフトは「Hパターン」。多くのスーパーカーが採用するデュアルクラッチは、あえて採用していないという。
「Vmaxモード」では、最大出力は700psに引き上げられる。T.50には「ISG」(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)と呼ばれる48Vのマイルドハイブリッドシステムが搭載される。Vmaxブーストモードは、48Vのスタータージェネレーターからの電力により、最大3分間、追加ブーストが得られるモードだ。
◆初テストはゴードン・マレー氏が担当
ゴードン・マレー・オートモーティブは、このT.50の初走行テストを行った。最初の開発テスト走行を実施したことにより、世界で最もドライバー中心のスーパーカーが、主要なマイルストーンを記したという。
エンジン回転数が制限されたプロトタイプ「XP2」は、英国サリー州ダンスフォールドの「TopGear」テストトラックにおいて、初走行を行った。このテストトラックは、T.50が2022年に生産を開始する場所から、程近い。最初の試乗は、ゴードン・マレー氏がステアリングホイールを握っている。
ゴードン・マレー氏は、「T.50はレスポンスが良く、機敏で、運転する喜びがある。運転席は全方位の視界に優れ、顧客に楽しんでもらえる様子が想像できた。今後、さらに多くのプロトタイプを製作し、開発を進めていく」と語っている。
ゴードン・マレーがドライブ! 究極のスーパーカー「T.50」が実走行テストに
■「T.50」がいよいよ実走テスト
2017年11月、ゴードン・マレーの50年にわたる自動車の設計を祝する展覧会、「ワン・フォーミュラー」で、初めて生産プロジェクトが発表されたのが「T.50」であった。
●「XP2」と名づけられたプロトタイプ
ゴードン・マレーの代表作といえば、まず名前が挙がるのはマクラーレン「F1」のロードカーだろう。T.50は、まさに最新のテクノロジーによって21世紀に復活を遂げたF1ロードカーともいえた。
当然のことながらT.50プロジェクトに注がれる視線は熱く、トータルで100台に限定される生産枠には、すでにすべてカスタマーが決定している。
実際の生産は2022年1月からスタートする予定だが、この100台の生産が終了した後には、25台限定でサーキット専用モデルの「T.50sニキ・ラウダ」の生産がおこなわれるスケジュールとなっている。
2021年3月15日、ゴードン・マレー、そしてゴードン・マレー・オートモーティブ社、ゴードン・マレー・デザイン・リミテッド社にとって特別な日となった。
「XP2」と呼ばれる──マクラーレン時代もそうであったように、2台目となるランニング・プロトタイプの走行テストが、サリー州ダンスフィールドにあるトップギアテストトラックでおこなわれたのだ。
■ゴードン・マレー自らが「T.50」をドライブ!
最初にXP2のステアリングを握ったのは、もちろんゴードン・マレー自身であった。
実際にデリバリーされるT.50は、1万2100rpmをレブリミットとするものの、今回はそれよりもかなり低いリミットを設定してテストはおこなわれたという。
それでもマレー氏自身のコメントによれば、「今回のテストは、1万2100rpmのリミットよりもかなり低い回転数に抑えてのものでしたが、T.50は私のファースト・インプレッションでは非常に素晴らしいクルマだと感じました。
応答性が良く、機敏で、楽しいドライブを提供してくれるクルマです。もちろんサーキットでも走りがいのあるのが特徴となるでしょう。
オールラウンドな視界で再びクルマの中心に座ることができたのも、素晴らしい経験でした。カスタマーがこのクルマをどれだけ楽しむことができるかを見るのが、われわれの楽しみです。
さらに多くのマイルを走行し、多くのXP(プロトタイプ)を作る必要があるでしょう。ですがT.50の開発の軌跡は、われわれが望むところなのです」
ゴードン・マレー・オートモーティブのT.50は、これまでに誕生したスーパーカーのなかで、もっともドライバー中心のモデルになるといってもよいだろう。
リアミッドに搭載されるエンジンは、コスワースの設計による3.9リッターV型12気筒自然吸気。最高出力は663psを発揮し、車両重量は986kgと驚異的な軽さに仕上がっている。
T.50が実際にオンロードへと導かれた時、われわれはどのような驚きをもってそれを迎え入れるのだろうか。デリバリーまで1年を切ったT.50の開発プログラムは、現在も順調にそれが消化されているに違いない。
Posted at 2021/03/25 21:41:36 | |
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