2021年05月03日
トヨタが水素エンジンを搭載した競技車両のテスト走行を開始
2021年4月28日、トヨタは開発中の水素エンジンを搭載した、カローラ スポーツをベースとした競技車両のテスト走行を富士スピードウェイで行った。
5月21日から行われるスーパー耐久「富士24時間」に参戦
すでに、乗用車の「MIRAI」やバスの「SORA」で、水素を燃料とするFCV(燃料電池自動車)を販売しているトヨタ。カーボンニュートラルなモビリティ社会実現に向けて、今度は「水素エンジン」の技術開発に取り組み、カローラ スポーツをベースとした競技車両に水素エンジンを搭載してモータースポーツに参戦するという情報は、以前に当Webモーターマガジンでも紹介した。
4月28日、その水素エンジンを搭載した競技車両のテスト走行が富士スピードウェイで行われた。ベース車両は、カローラスポーツ。搭載されるエンジンは、排気量が1618ccの直列3気筒インタークーラーターボ付き。排気量と気筒数から推測すると、GRヤリスに搭載されているG16E-GTS型エンジンがベースになっているようだ。現在のところ、最高出力などのパワースペックは公表されていない。
テスト車両なのでスポンサーなどのカラーリングは施されていないホワイトボディのカローラ スポーツだが、前後のフェンダーはかなり広げられており、迫力満点だ。リアエンドのセンターには1本出しの大径エクゾーストエンドも目をひいた。
リアのゼッケン「32」のそばに付けられた「ST-Q」とは、2021年シーズンからスーパー耐久シリーズに新設されたカテゴリーで、STO(スーパー耐久シリーズのオーガナイザー)が参加を認めたメーカー開発車両、または各クラスに該当しない車両を意味する。このカローラ スポーツは、前者にあたると思われる。
トヨタでは、この水素エンジンを搭載したカローラ スポーツをベースとした競技車両で、2021年5月21~23日に行われるスーパー耐久シリーズ 2021 Powered by Hankook 第3戦「NAPAC 富士SUPER TEC 24 時間レース」から、「ORC ROOKIE Racing」の参戦車両として投入する。
モータースポーツの厳しい環境で水素エンジンを鍛えていくことで、サスティナブルで豊かなモビリティ社会の実現を目指すトヨタ。まずは、水素エンジンを搭載したカローラ スポーツの健闘に期待しよう。
水素エンジン搭載のカローラ・スポーツがS耐テストに登場! 技術満載ながら「想像以上に普通に走る」
4月28日、静岡県の富士スピードウェイでスーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankookの公式テストがスタートした。このテストに、トヨタ自動車がカーボンニュートラルなモビリティ社会実現に向けて、ORC ROOKIE Racingを通じて参戦することになった水素エンジン搭載のカローラ・スポーツが登場した。
この水素エンジン搭載のカローラ・スポーツは、ガソリンエンジンから燃料供給系と噴射系を変更し、水素を燃焼させることで動力を発生させる仕組みをもつ。5月21~23日に開催されるスーパー耐久第3戦富士SUPER TEC 24時間でデビュー予定のマシンで、この日が公の場での初めての走行となった。走らせるのは豊田章男オーナーが率いるORC ROOKIE Racingで、豊田オーナーはトヨタ自動車社長として、チームオーナーとして、そしてドライバー“モリゾウ”としてこの意欲的なマシンに乗り込むことになる。
そんな注目の車両が、富士スピードウェイに登場した。まだカラーリングは本格的にはされていない状況だが、見た目はカローラ・スポーツにオーバーフェンダー、小ぶりなウイングが追加された程度。エンジンルームも見た目の大きな違いは感じられない。
しかし、コクピット後方にはカーボンの隔壁が設けられ、内面は大きく異なる。「既存のエンジンを極力そのまま使うこと」を目指しており、既存のエンジンからは燃料デリバリー、インジェクター、プラグ等を変更。エンジンは直噴化され、異常燃焼をコントロールする。また水素タンク、水素配管については、すでに量産されているミライの技術を転用。ミライ用の水素タンクを4本(うち2本は長さ違い)を後席部分に搭載する。
もちろん、レースに登場するにあたり安全性も考えられ、FIA国際自動車連盟、JAF日本自動車連盟の協力を仰ぎながら安全性を確認しつつ製作されている。速さを追求する場合なら、水素タンクを横に寝かせ、低重心に配置するのがセオリーとして考えられるが、タンクの搭載範囲をクラッシュから守るため、リヤの車軸中心から前方にタンクを収めること、ドライバーの車室とは分けることが考えられ搭載している。
また、側面衝突等から守るため、専用のカーボン製のキャリアを製作。前方の2本のタンクは横から、後方の2本のタンクはうしろから交換できるシステムとなっている。また、後席ドアの内側には大きなカーボンで守られている。
すでに車両は4月26日に走行しているとのことで、その際は佐々木雅弘と石浦宏明がステアリングを握ったという。「想像していた以上に“普通”に走ります」と石浦。
この後、10時10分からスタートする公式テストでいよいよ他車とともに富士を走ることになる。 前例のない水素エンジン搭載車の参戦だけに、この日は市販車のジャーナリスト等も訪れるなど注目度は高い。また、ピット棟B等の奥側のパドックには、特別に水素ステーションも設けられており、こちらで水素の充填が行われるが、レースに向けて運用等は今後煮詰められていくことになりそうだ。
見えてきた水素エンジン搭載カローラ・スポーツ。基礎研究の成果とレース出場での開発スピードアップ
4月28日、静岡県の富士スピードウェイでスーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankookの公式テストがスタートした。このテストには、トヨタ自動車がカーボンニュートラルなモビリティ社会実現に向けて、ORC ROOKIE Racingを通じて参戦することになった水素エンジン搭載のカローラ・スポーツが登場したが、少しずつどんな車両なのかが見えてきた。
この水素エンジン搭載のカローラ・スポーツは、ガソリンエンジンから燃料供給系と噴射系を変更し、水素を燃焼させることで動力を発生させる仕組みをもつ。エンジンは、GRヤリス用の1.6リッターエンジンを転用。燃料デリバリー、インジェクター、プラグ等を変更している。
「GRヤリス自体がスーパー耐久で鍛えられていますから、素性の良さには非常に助けられています。普通のエンジンではこうはいかなかったと思います」というのはGAZOO Racing Company GRプロジェクト推進部GRZ主査/水素エンジンプロジェクト統括の伊東直昭主査。
またトヨタ自動車東富士研究所のパワートレーンカンパニー/第2パワートレーン先行開発部の小川輝主査によれば、水素エンジンの研究自体は「細々とずっとやっています。従来の技術で難しかったのが異常燃焼。水素は着火性がよくそこが利点でもあるのですが、異常燃焼を抑え込むのがポイントで、研究しているどこのメーカーさんも、大学でも課題としていると思います」という。
「弊社でも90年代から直噴に取り組んで、それを改良、改善しながらやってきて、その過程において燃焼、燃料噴霧の技術が蓄積されてきました。その技術を使うことで水素の異常燃焼がコントロールできるようになってきました。気流をどうやって作ってどう燃やすか、いかに燃え残さないかとか、熱源をつくらないようにするなど、そういう技術が少しずつ進化して水素でも走らせることができる領域にきたと思います」と小川主査。
変更されているパーツのうち、スパークプラグは「基本は同じです」という。「熱価などは違いますが基本構造はガソリン用と変わりません。インジェクターも同様です。できれば我々の狙いはガソリン仕様からほとんど部品を換えないで水素にしたい。そうすることによって普及を促進させる。そこを目指したいです」という。
また気になる水素エンジンのポテンシャルだが、「横軸エンジン回転で縦軸をトルクと考えるとガソリンと比較して、中低速トルクを上げることを考えた場合、水素は燃焼速度が速いのでノックしないので引き上げられるポテンシャルはあります」とのこと。
「それと同時に異常燃焼も起きやすくなるので、そことのせめぎ合いです。ピークを上げようとすると燃焼圧が上がってくるので、エンジン本体、ピストンとかシリンダーブロックが耐えられるのか、そういう課題になってきます。異常燃焼が起きたらそれを解析して、対策してその繰り返しです」という。
■安全性を見据えた車体
この水素エンジンを積むのは、カローラ・スポーツ。トヨタ自動車社長であり、ORC ROOKIE Racingのオーナーとして、そしてドライバーとしてステアリングを握ることになるモリゾウが、昨年末に試乗し、ゴーサインが出てから車種が選択されたが、「皆さんに愛されるカローラを使うことで、この技術に親しみをもってもらおう(伊東主査)」として選ばれたのがカローラ・スポーツだ。また、GRヤリスでは水素タンクを搭載するスペースがなかったことも理由として挙げられる。
そのカローラ・スポーツだが、外観はオーバーフェンダー等が追加された程度。ただこれもこの車両専用の設計となる。水素タンクは、FIA国際自動車連盟、JAF日本自動車連盟の協力を仰ぎながら安全性を確認しつつ製作されており、ミライから転用された水素タンクを4本(うち2本は長さ違い)を後席部分に搭載する。
もちろんレーシングカーとして速さを追求するなら、タンクは低い位置、また中央に並べることが重要になるが、伊東主査によれば、搭載範囲をクラッシュから守るため、リヤの車軸中心から前方にタンクを収めること、ドライバーの車室とは分けることが考えられているという。
専用のカーボン製のキャリアが製作され、4本のタンクを搭載しているが、このカローラ・スポーツはルーフにエアアウトレットが設けられている。これもFIAとの交渉のなかで「常に万が一を考えてルールを決めていますが、走行中は常に換気すること……と決めています」という。万が一水素が漏れた場合でも、引火点に達しないように換気するシステムだという。
実際に24時間レースを戦うことになるが、「本番に向けて燃費はこれから詰めていきますが、10ラップはできると思います。15~20分くらいの間でピットインすることになると思います」ということから、かなり頻繁にピットインすることになりそう。もちろんライバルがいるわけではないので、24時間は“己との戦い”となっていく。
そして、伊東主査、小川主査ともに口をそろえたのが、開発のスピードだ。「期限が定められてからは本当に早いです。モリゾウがよく、モータースポーツの場を使って開発のスピードを上げると言っていますが、本当にすごいです(笑)。日ごろからサボっているわけではないのですが、やはりターゲットを決められるとスピードが上がりますね」と伊東主査が語れば、小川主査も「昨年末に試乗して『レースに出るぞ』ということになり、年明けからチームを組んで、どうやってやるのか方法を検討しながら取り組みを開始して3~4カ月でここまできました。今までではあり得ないスピードです。それも基礎研究を重ねてきたからこそ実現できたことです」という。
この日のスーパー耐久公式テストは10時10分からセッション1がスタートしたが、佐々木雅弘がステアリングを握り一度ピットアウトしたものの、すぐにピットに戻り、その後セッション1では1周もしなかった。ただ、セッション2以降はしっかり周回を重ねている。まだまだ生みの苦しみはありそうだが、夢のある、未来のための非常に楽しみなレーシングカーなのは間違いないだろう。
「水素エンジン」搭載のカローラスポーツが、富士スピードウェイを走った
4月28日、スーパー耐久シリーズのテスト走行がおこなわれた富士スピードウェイで、「水素エンジン」を搭載したトヨタ『カローラスポーツ』がお披露目された。5月21日から23日に開催される「スーパー耐久シリーズ 第3戦 富士 24時間レース」で正式デビューとなる。
水素エンジンはガソリンエンジンから燃料供給系と噴射系を変更し、水素を燃焼させることで動力を発生させる。燃料電池車の『MIRAI』も水素を使用するが、水素で発電しモーターを駆動させる電気自動車であるMIRAIとは異なり、よりガソリン車に近い。
一方で、水素エンジンは燃焼がガソリンよりも速く、応答性が良いという特徴を持つ。また、ガソリンエンジンでも発生するごく微量のエンジンオイル燃焼分を除き、走行時にCO2は発生しない。優れた環境性能と「クルマを操る楽しさ」を両立する、としている。
テスト走行に現れたのは「32」のゼッケンをつけたホワイトカラーのカローラスポーツだ。一見するとノーマル車のようだが、前後フェンダーが『GRヤリス』のように大きく張り出し、リアウイングも備わる。またマフラーがセンター1本出しというのも大きな特徴だ。
ロールケージが組まれたリヤシートには水素タンクが搭載されており、衝突保護のためのガードがリヤウインドウからのぞいている。搭載される水素エンジンは、1618cc、直列3気筒インタークーラーターボ。燃料は圧縮気体水素となる。
水素エンジンカローラスポーツは、モリゾウこと豊田章男社長率いる「ORC ROOKIE Racing」から参戦する。5月21日に開催されるスーパー耐久での走りに注目だ。
トヨタはなぜ水素エンジンに挑戦? 内燃機関の行く末はいかに
■なぜトヨタは水素エンジンをモータースポーツに投入?
2021年4月28日、スーパー耐久シリーズ2021「第3戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」の公式テストデーでは、「32」のゼッケンを付けたトヨタ「カローラスポーツ」をベースとしたレーシングカーが静かにコースインしていきました。
ニューマシンのシェイクダウンによくある風景ですが、今回はちょっと意味が異なります。
このマシンこそが、トヨタが4月22日に発表した「水素エンジン」を搭載したレーシングカーなのです。
2020年末に水素エンジンの試作車に乗った豊田章男社長が「レースに出るぞ!」と宣言してから4か月、「水素技術を活用して内燃機関の可能性を探る」という挑戦の第一歩がスタートしたわけです。
これまでのトヨタなら、ここから耐久試験を繰り返して「やっぱりできません」だったと思いますが、このスピード感こそが今の「トヨタらしさ」だと筆者(山本シンヤ)は考えています。
一見無謀な提案に見えるかもしれませんが、その背景には「オレが責任を取る、失敗しても挑戦しろ!」と豊田章男社長の親心のような優しさだと感じました。
とくに今回のプロジェクトは将来有望な水素とこれまで培ってきたエンジン技術を応用するという重要な挑戦なので、それを普通の時間軸でやっていたらいつまでも未来はやって来ません。
だからこそあえてモータースポーツで、それもいきなり24時間レースという過酷ステージを選んだのでしょう。
ルーキーレーシングのピットに向かうと、筆者はいきなりこのプロジェクトの本気度を目の当たりにしました。それはここに携わっている「ヒト」です。
筆者はこれまでGRカンパニーが関わっている3本の柱のモータースポーツ活動(WRC/WEC/ニュル24時間)や量産車について取材をしてきましたが、そのメンバーがこのプロジェクトにさまざまな形で関わっていることに気が付きました。
つまり、水素エンジンでの挑戦はGRカンパニーが持っている知見やノウハウを結集させた“総力戦”というわけです。この辺りは豊田章男社長が常日頃から語る「ワンチーム」がより濃い濃度で実践されているのです。
ちなみにレースオペレーションはルーキーレーシングが担当していますが、今回は車両製作を担当したトヨタの凄腕技能養成部のメンバーもサポートに入っています。
話を聞くと、「ひとつは何が起きるかわからないので即座に対応できるように、もうひとつはコロナの影響でニュル24時間のプロジェクトも中止なので人材育成という意味でも活用させていただいています」とのことでした。
この水素エンジンプロジェクトを統括する伊東直昭氏はレクサス「LF-A」(コンセプトカー)から「LFA」、実験車両「LFAコードX」、「GRスーパースポーツコンセプト」と、ある意味“特殊”なモデル開発を担当してきたエンジニアです。
2008年に開発車両LF-Aでのニュル24時間への挑戦と今回の水素エンジンでの富士24時間の挑戦と、どちらが大変だったか聞いてみました。
「どちらも大変ですが、水素エンジンはその“質”がまったく違います。
LF-Aは『既存技術を研ぎ澄ます』という意味での難しさでしたが、水素エンジンは『未知の判断を積み重ねていく』という難しさです」と語っています。
では、水素エンジンを搭載するカローラスポーツとは、どのようなクルマなのでしょうか。
エクステリアは、幅広のタイヤを履くために前後のフェンダーを拡幅、BTCCやフォーミュラDのマシンのそれとは異なるオリジナルデザインです。
リアは小ぶりなウイング(形状から予測するとTOM’S製)とセンター一本出しに変更されたエキゾーストが特徴です。
さらにルーフにはなぜか前後にふたつのベンチレーションが装着されています。
インテリアは助手席側にノーマルの面影が残るも、メーターやインパネセンターはオリジナル。
レーシングカーにしては大きめのモニターと各種操作系が機能的にレイアウトされ、助手席側にはデータ計測用の機械が搭載されています。
ちなみに左下部にはプッシュスターターボタン(水素エンジンなので青色)、右上にはドライブモードセレクトスイッチ(GRヤリスと同形状)が確認できます。
一般的なレーシングカーと異なる部分は前席と後席、後席とラゲッジスペースの間にはカーボン製の隔壁が装着されていることです。
ボンネットを開けると、GRヤリス用の1.6リッター直列3気筒直噴ターボがベースの水素エンジンが元からあったかのように違和感なく搭載されています。
パッと見る限りは正直ガソリン車との違いはよくわかかりません。それもそのはずで、ハードはデンソーと共同開発された「インジェクター」、水素用に変更された「プラグ」、そして「燃料デリバリー」以外は既存のガソリンエンジンと同じです。
専用設計にすることによる伸び代もあるようですが、まずはガソリン技術の延長線上で開発をおこなう、それがファーストチャレンジだといいます。
ちなみにトヨタでは、さまざまなエンジンを水素化しているそうですが、そのなかでもGRヤリスのエンジンはモータースポーツで鍛えられたユニットだけあり、素性の良さ(高温・高圧に強い)に助けられている部分も多いそうです。
実は、2020年の時点で白ナンバーが取れる性能が出ている試験車はあったといいますが、「24時間全開で走る」となるとハードルがグンと上がり、これまで出てこなかったトラブルが次々と発生。しかし、それによって開発スピードが上がったそうです。
普段の開発をサボっているわけではないと思いますが、目標が定まるとスピードは一気に上がる。これが豊田社長のいう「モータースポーツの場を用いて……」の本質でしょう。
気になるパフォーマンスですが、S耐に参戦しているGRヤリスのエンジン(ノーマルより高出力化)よりは低いようですが、現状でノーマルエンジン並み(=272ps/370Nm)のポテンシャルは持っているようです。
水素タンクや水素の配管系などは燃料電池車「MIRAI」で培った量産技術が活用されています。
水素タンクは4本(そのうちの2本は短い)搭載(水素量はトータル7.34kg)していますが、搭載位置はリアからのクラッシュ時の安全性を考慮し後席部に集約。
さらに前突/側突時に乗員を守るために60Gの衝撃に耐える専用のCFRP製キャリアを開発。
前出のカーボン製の隔壁は乗員空間と水素ルームを完全に分けるため、ルーフにあるふたつのダクトは水素ルームの換気用と、万が一の漏れに対する安全対策も抜かりなし。この辺りはFIAと一緒にルールづくりをおこなったそうです。
■走行した感触は? 水素ならではの課題も
走行したドライバーに印象を聞いてみると、「ホント普通です」、「現時点では6000rpmに抑えて走っていますが、本戦ではこれより下がることはありません」、「欲をいえばもう少し馬力は欲しいが、『排気音』と『振動』、そして『シフト操作』はEVでは得られない良さ」、「後席に水素タンク搭載しているのでクルマの動きは大きいですが、重量配分はFRに近い感じなのでハンドリングは悪くない」、「本当に今後が楽しみ」とおおむね好印象。
ちなみに、石浦宏明選手はSNSで「いい音しているのに、何だかクリーンに走れた気がする」と面白いことを語っていました。
佐々木雅弘選手は「過給器が付いているクルマには相性がいいと思う」と意味深なコメントも。ほかにもさまざまなトライをしているのかもしれません。
気になるラップタイムは各ドライバーがクルマに慣れることが第一でフルアタックではないとはいえ、コンスタントに2分4-5秒で走行。参考までにST5クラスのトップクラスと同じくらいの速さです。
外で走りを見ていると音量は控えめですが高周波の心地よいサウンドが聞こえてきます。
この瞬間、水素エンジンであることを忘れてしまいますが、排出されるのは水蒸気(一瞬マフラーから見える時がありますが普段はほとんど見えない)だけという紛れもないクリーンエンジンなのです。まさに「違和感のない違和感」という感じです。
ただし、燃費は現状では水素満タンで10周から12周ですが、水素特有のリーン燃焼をどれだけ使えるか、さらに水素の搭載技術の向上など伸び代はまだまだあるようです。
燃料補給は移動式の水素ステーション(2台)が設置され、福島県浪江町から運ばれる完全クリーンな水素が供給されます(タンクローリー4台、5台体制の予定)。
恐らく、富士24時間では500LAPくらいは走る計算なので、水素補給スタッフの耐久性も試されるでしょう。
水素エンジン開発のエンジニアは次のように説明しています。
「水素は着火しやすく燃焼速度が速いのでリーンにしても燃えやすい。なので、ガソリンよりもポテンシャルがあると思っています。
今後はそのいい所を引き出しながら、課題(=異常燃焼)をどうコントロールしていくかの戦いです。
今回の走行では異常燃焼はほとんど出ていないようでホッとしていますが、伸び代はまだまだありますのでカイゼンは続きます」
マシンは24時間に向けて走り始めましたが、この短期間で形になった要因はどこにあったのでしょうか。
GRカンパニーの佐藤恒治プレデントはこう語っています。
「達成感よりも緊張のほうがうえで、『まだまだやることがたくさんあるな』というのが本音です。
現状は整って出ていくわけではなく安全性以外は未知数です。
ただ、鍛えるのが目的なので挑戦しかないですね。
短期間でここまで来たのはこれまでの技術の積み重ねがあったから。
水素エンジンは直噴技術がキモとなりますが、我々は長年ガソリンの直噴技術の開発をおこなってきたことが役立っています。
また、水素の燃料供給の信頼性やFIAの基準に到達する衝突安全性はMIRAIの開発があったから実現できました。
つまり『イノベーションは複合化』、僕は自動車産業にとって大事なことだと思っています。
メンバーは大変ですが生き生きしています。辛いけど楽しい……これが技術開発です」
※ ※ ※
水素エンジンによる挑戦は、富士24時間だけではなく継続的におこなうといいます。
ただ、今回の富士24時間での課題やトラブルにより、次戦も参戦するのか、それともスキップして課題を克服するのか、などの判断をおこなうそうです。
筆者はこれまで「ヒトとクルマを鍛える」ニュル24時間の挑戦を長きに渡って追いかけてきましたが、それに加えて「技術」を鍛えるこの水素エンジンの挑戦を追いかけてみたくなりました。
その一方で、2020年の富士24時間で衝撃的なデビューウィンを果たしたGRヤリスは2021年の富士24時間には参戦はしません。
この1年、GRヤリスはレースを通じて徹底的に鍛えられてきましたが、ルーキーレーシングとしての役目(=トヨタ車で参戦してくれるカスタマーチームのための最後のフィルター)は終わった、という判断のようです。
ただ、その知見やノウハウは2021年から参戦のプライベーターへ水平展開、つまりセカンドステップに入ったことを意味します。
その証拠にGRヤリスで参戦するプライベーターのピットを覗いてみると、そこには支援をおこなうGRヤリス開発メンバーの姿がありました。
それを見て、トヨタの継続的なモータースポーツ活動が本気であることを改めて実感しました。
トヨタ 水素エンジンが走った その課題は?【動画】
豊田章男社長が2021年4月22日に、カローラ スポーツをベースとしたスーパー耐久レース車両に水素エンジンを搭載し、5月21日~23日に開催される「スーパー耐久シリーズ2021富士SUPER TEC24時間レース」に、「ORCルーキーレーシング」から参戦すると発表した。
それから6日後の4月29日、富士スピードウェイで富士SUPER TEC24時間レースのための公式テストが行なわれ、注目のルーキーレーシングのカローラ スポーツが出走した。
水素エンジン搭載のカローラ スポーツ
搭載エンジンはGRヤリス用のG16E-GTS型3気筒1.6Lエンジンを搭載している。もちろん水素を燃焼させるために、直噴の水素インジェクターを備えたターボエンジンだ。
燃料となる水素はFCVのミライ用の高圧水素タンク4本(ミライは3本を積載)をリヤシート位置に積載しており、その4本のタンクをさらにカーボンパネルでカバーしている。そのため、リヤシート部分は大きな黒いボックスを積載しているかのように見える。また前席とは安全性を考慮しカーボン隔壁で完全に遮断されている。
燃料電池車のミライは3本のタンクで141Lの70MPa(700気圧)の水素容量だが、このカローラ スポーツはミライ用の高圧水素タンク4本で約200Lを搭載していると考えられる。そしてこのタンクに高圧水素を充填するため、水素ステーションも持ち込まれた。
ミライ用の高圧水素タンクを使用していることから、このカローラ スポーツは700MPaの高圧縮水素を使用することがわかり、かつてのBMWハイドロジェン7は極超低温の液化水素を、マツダの水素ロータリーエンジン、ニュルブルクリンク24時間レースに出場したアストンマーティン ラピードS水素バイフュエルは、いずれも35MPaの圧縮水素を使用していた。
BMWハイドロジェン7が液体水素を採用したのは航続距離を稼ぐためだったが、35MPaの圧縮水素では十分な航続距離は得られなかった。
水素の比重は空気を1.0とした場合0.07、発熱量はガソリンと比較して40%程度で、つまり水素によるエンジン出力はガソリンと比べ最大で50%、航続距離も50%と考えられる。したがって航続距離を稼ぐにはより大量の水素が必要で、そのために高圧縮する必要があり、従来挑戦してきた水素エンジン車の35MPaに対し、カローラ スポーツは70MPaの高圧縮として、できる限り航続距離を確保しようとしているわけだ。
70MPaという高圧化のため、水素ステーションでは特殊な電動圧縮機を使用し、水素をあらかじめ80MPaまで高めて置く必要があることはいうまでもない。そしてFCEVにも言えることだが、水素を圧縮する際に使われる電力も課題としては残っている。
技術的な課題
水素を使用する燃料電池では水素の純度を99.9%という高純度でなければ発電スタックが作動しないのに対し、水素内燃エンジンはもっと低い水素純度でも燃焼可能だ。
一方で、水素内燃エンジンはガソリンに比べ燃焼速度が早く、その速さは8倍に達し、3000度近い高温になる特性がある。ガソリン並みのパワーを発生させるために水素を大量に供給することが必要なためターボで高圧過給し、なおかつデトネーションやノッキングを回避しながら燃焼速度をコントロールすることが必須となる。
現在では直噴インジェクター、吸排気可変バルブタイミング機構などを組み合わせることで高圧過給とノッキング、デトネーション回避は可能と考えられる。
ただ高温燃焼のためNOxが発生するのでNOx用の触媒を装備しないとクリーン排気ガスとは言えなくなってしまう。
一方で、レースと言えども航続距離が問題となる。ラップタイムはともかく、一定の航続距離が稼げなければ、水素補給のために極端にピットイン回数が多くなってしまう。この航続距離とエンジンの出力は相反する。
現状では、1回の水素の満充填で富士スピードウェイを10周できるかどうかとなっているようだ。そのため、走行時間は15分間~20分間と想定され、やはりガソリン車と比較すると半分以下の航続距離と考えられる。
また通常のガソリン車のようにピットでは水素補給ができず、場内にある臨時水素ステーションまで場内移動が必要となる。
こうした課題に対して、パワーを抑えるか、航続距離を重視するか判断が難しいところだろう。ただ実際にはデータ収集用に多種類の計測器を積んで走るため、レースの勝ち負けというよりは、データ収集を兼ねた実証実験的な意味合いが強いということになる。
一方で、排気ガスゼロ、カーボンニュートラルを目指し、なおかつ内燃エンジンを活用する方法としては、水素とCO2から合成する「eフューエル」やバイオマス燃料の方が液体燃料として扱いやすく、なおかつ高出力を期待できるという意味で王道ではないだろうか。
水素エンジンの性能・利点・弱点とは? モータースポーツに一筋の光…レーシング・カローラが富士24時間合同テストで走行
豊田章男社長「これでレースをやろう!」
「モータースポーツ活動についての発表・会見」があるというトヨタからの報せに、一体何事かと思ったら、その内容は驚くべきものだった。水素エンジンの技術開発に取り組み、その一環としてそれを搭載したレース用車両を、5月21~23日に開催される富士24時間レースに投入するというのだ。
4月22日のその発表から約1週間後の4月28日。富士スピードウェイで行われた富士24時間の合同テストの場に、早速そのマシンの姿があった。豊田章男社長がファウンダーのルーキーレーシングに託された、カローラをベースとするそのマシンが、レーシングコースを走行したのだ。
そもそも水素エンジンは、市販前提ではない先行技術として開発が進められていたという。しかし、それを載せた車両を味見した豊田章男社長が「これでレースをやろう!」と言ったことで急転直下、物事が動き出した。ちなみに社長の試乗は昨年末の話で、実質4か月で開発が行われたのだという。
水素エンジンはGRヤリスの1.6Lターボがベース
水素エンジンは、同じ水素を用いるFCV(燃料電池自動車)とは違って、ガソリンの代わりに内燃エンジンに使って、水素を燃焼させる。中身は決して特殊なものではない。今回の水素エンジンは、じつはGRヤリスに積まれる直列3気筒1.6Lターボユニットのインジェクターやプラグ、燃料の取り回しなどを変更しただけのもの。高圧水素タンクはMIRAI譲りのもので、その意味ではこれまで培ってきた技術が、うまく活用されたマシンとなっている。
車両がカローラになったのは、乗用車のド真中のクルマで訴求したいという意図もあったというが、一番大きな理由は室内スペースの広さだろう。室内を見ると、後席が取り払われてロールケージが張り巡らされたその内側には、CFRP製のキャリアに固定された合計4本の高圧水素タンクが搭載されている。
万一のクラッシュの際に十分な安全性を保てるようにというこのレイアウトは、FIAとの協議なども経て決定されたという。そのほか、安全にまつわる要件も、すべてそうしたプロセスで決められた。水素エンジンのレーシングカーが走行するのは世界初のこと。FIAも非常に興味深くこのプロジェクトを見ているようである。
水素エンジンの性能・利点・弱点とは
さて、この水素エンジンは果たしてどんな性能を実現し、どんな利点があり、またどんな弱点、欠点があるのか。まずパワーとトルクについては、ほぼノーマルのGRヤリスと同等の数値を実現しているという。水素は例えばガソリンに比べて含有エネルギー量は大きくないが、一方で燃えやすく、燃焼速度が速いというメリットを持つ。高速燃焼が可能となれば、レスポンスはよくなり、トルクも出る。高回転化にも有利なはずだ。
一方、問題は燃え過ぎることで、下手をすると予期しないところで着火してしまう。この燃焼のタイミングをいかにコントロールするかが水素エンジンのキモなのだが、トヨタによれば長年培ってきた直噴技術が大いに生きているのだという。
ラップタイムは手元計測で1周2分4~5秒あたり。フィットなどが走るST5クラスの車両とほぼ同等というところで、車重がかさむことなども考えれば、決して悪くはないというところだ。
現状、最大の問題は燃費である。高圧水素タンクの容量は合計7.34kgで、MIRAIの5.6kgをも凌ぐ。しかしながら今回のマシン、連続周回数は12~13周程度だという。富士スピードウェイの全長は4.563kmだから、13周として約60kmしか走れないことになる。1kg当たり約8km。FCVのMIRAIは1kg当たりざっと100kmは走るというのに、だ。
もっとも、それは最初からわかっていることで、最初の会見で豊田章男社長は「ピットの耐久レースになりそうですね」と話していた。実際、24時間レースでは50回近くのピットストップが必要となりそう。参考までに、ST5クラスのデミオ ディーゼルはかつて、45Lの燃料タンクで約70周連続で周回していた。その差は大きい。
ちなみに今回のレースではパドックに移動式水素ステーションが設置され、こちらで充填が行われる。この辺りのレイアウト等々も、やはりFIAとの協議の上で決められたということだ。
燃費については、燃焼についての知見が蓄積されていけば、さらに伸びていくことは間違いない。実際、水素は燃えやすいということは、つまり燃料のリーン化がしやすい。ここはまだ開発の余地が大きいという。実際、レース本番までにも、まだまだ進化してきそうな気配である。
なぜ今、水素エンジン? モータースポーツに光を
それにしても、トヨタはなぜ水素エンジンを開発していて、しかもそれをレースに投入するのだろうか。ひとつには、自動車に突き詰められた目下最大の課題であるカーボンニュートラル達成のための、ひとつの可能性の提案という側面がある。すべてをEV化すればいいわけではなく、もっといろいろな可能性を考えてみてもいいのではないかという話だ。
それを実験室レベルに留めずレースで鍛えようというのは、ひとえに開発速度を高めるためと言っていい。実際、サーキットを走ることができ、24時間の耐久性も十分イケそうというレベルまで、たった4カ月で来れたのはレースという目標があったからに他ならない。
開発陣と話すと、皆この4カ月のことを大変だったと言うのだが、実際には顔は笑っている。きっとエンジニアとして燃えに燃える時間だったのだろう。そもそもTOYOTA GAZOO Racingはモータースポーツの開発サイクルの速さを市販車に持ち込むというテーマを掲げていたわけだが、今やそれはトヨタ全体の速度感になっていると言ってもいいのかもしれない。
さらに言えば、こうした車両の登場はモータースポーツの未来を明るく照らすものでもある。例えば近い将来、市販車のほとんどがEVになったとしたら、スーパー耐久のようなレースは成立できるだろうか? まして24時間レースなんて…。レース業界そのものが存在が難しくなるという可能性は、十分にある。
しかしこうしてカーボンニュートラルを実現しながら、エンジン技術での戦いを継続できるとなれば、モータースポーツの火を絶やさないで済む。豊田章男社長もとい、レーシングドライバー“モリゾウ”選手は、力を込めてそう言う。自動車のサステナビリティを本当の意味で考えるならば、いまクルマに関わる人すべてがハッピーでなければ。モータースポーツも、その大事な一要素だという豊田社長の哲学が、ここに貫かれているわけだ。
冒頭に記したように、レース本番は5月21~23日に開催される。そしてこのマシン、モリゾウ選手も乗り込む予定だという。未来を憂い、あるいは期待するクルマ好きは、可能ならばサーキットに足を運んで実際にこのクルマの走りを見てみてほしい。そしてエンジン音にも耳を傾けてみてほしいと思う。
おっと書き忘れていた。そう、この水素エンジンは内燃エンジンなので、当然サウンドがある。燃焼速度が速いのでガソリンエンジンよりもやや甲高い、いい音を響かせるのだ。
電動化の時代になったらエンジンの吹け上がりも、サウンドも、無縁になってしまうのか…と危惧しているクルマ好きは、きっと少なくないはず。しかし水素エンジンなら、それらを失うことはないのである。
まさにクルマを、ドライビングを、モータースポーツを愛する人すべてにとっての夢の第一歩。まだ本当に始まったばかりのプロジェクトだが、今後の進捗には大いに注目していきたい。
〈文=島下泰久〉
Posted at 2021/05/03 21:22:55 | |
トラックバック(0) |
自動車業界あれこれ | 日記
2021年05月03日
伝説の「GTA」が現代に復活! アルファロメオ・ジュリアGTAが期間限定で発売
名車をリスペクトしたジュリア最強モデル!
FCAジャパンは、アルファロメオの高性能スポーツセダン「ジュリア・クアドリフォリオ」をベースにしたスペシャルモデル「ジュリアGTA」および「ジュリアGTAm」を設定。5月9日(日)までの期間限定で、確定注文受付中だ。メーカー希望小売価格(税込み)は、ジュリアGTAが2064万円、ジュリアGTAmが2198万円。正規ディーラーにてオーダー受付後、アルファロメオ公式ウェブサイトに用意されるコンフィギュレーターにて仕様の詳細を決定し、10%の頭金を振り込むことが必要条件となる。なお、納車は2021年末以降となる予定。
アルファロメオファンには馴染みの深い、名車「ジュリア・スプリントGTA」に敬意を評したモデル。ジュリア・クアドリフォリオをベースに、軽量化と高出力化を実現している。GTAとはGran Turismo Alleggerita(グランツーリスモ・アレッジェリータ)の頭文字を取っており、荒れっジェリータはイタリア語で軽量化を意味している。GTAmの「m」は、モディファイドを意味し、2シーター化とロールバーを装着して本格的なサーキット走行も可能としている。
大幅な軽量化を実現するため、カーボンファイバー製のボンネットやルーフ、フロントバンパー、フロントフェンダー、リヤディフューザーを採用。さらに、GTAmではポリカーボネート樹脂製のサイド&リヤウインドウを採用したことで、さらなる軽量化を実現。ベース車に対してGTAは約50kg、GTAmは約100kg軽くなっている。
エアロダイナミクスは、F1にてアルファロメオとタッグを組む、ザウバーエンジニアリングのノウハウを投入。ザウバーが開発した、カーボンファイバー製のサイドスカートやリヤスポイラーで構成される「ザウバーエアロキット」を装着。軽量化はもちろん、エアロダイナミクスの最適化が図られている。ジュリアGTAmはさらに、専用カーボンフロントスプリッターやポリカーボネート製ブラックリヤウインドウ、大型カーボンスポイラーが与えられた。
アルミホイールはレーシングカーさながらのセンターロック方式を採用する20インチとなり、カーボンセラミックブレーキディスクなどサーキット由来のアイテムが備わる。両モデルともに、高速走行時の安定性を高めるため、前後50mmのワイドトレッド化を実施。サスペンションは専用スプリングやショックアブソーバー、ブッシュなど走りにこだわった仕様とし、車高もベース車より下げられている。
GTAのインテリアは、ベース車に準じている。ダッシュボードやヘッドライナー、ドアパネルやアームレストにはアルカンターラが用いられており、スポーティさと上質感を際立たせている。スパルコ製スポーツシートを採用し、GTAのロゴが刻まれる。
ジュリアGTAmはさらにリヤシートもレス仕様となり、ロールバーも装着されることでレーシーな雰囲気に。高いホールド性と軽量化を両立するカーボン一体成型のサベルト製スポーツシート&6点式シートベルトも標準装備となる。
パワートレインは、2.9リッターV6ツインターボに専用チューニングを施し、ベース車に対して30馬力アップの540馬力へ高められている。GTAmのパワーウェイトレシオは、2.81kg/psとなった。また、新設計のアクラポヴィッチ製チタンエキゾーストシステムを採用。官能的なサウンドにも注目したい。
前後には通常とは異なる黒一色のアルファロメオエンブレム、クアドリフォリオロゴととにも伝説の「アウトデルタ」ロゴ、そして110周年の記念ロゴを装着。アルファロメオファン必見の限定モデルに仕立てられている。
伝統を受け継ぐ540hpのスーパーセダン! 限定モデル「アルファロメオ ジュリア GTA/GTAm」の注文受付開始
Alfa Romeo Giulia GTA / GTAm
アルファロメオ ジュリア GTA/GTAm
「軽量、高性能を貫く」ファン待望のGTA、日本上陸
FCAジャパンは、アルファロメオの高性能スポーツサルーン「ジュリア・クアドリフォリオ」に「ジュリア GTA」と「ジュリア GTAm」を設定し販売を開始した。
ジュリア GTA/GTAmは、ジュリア・クアドリフォリオをベースに、アルファロメオの歴史に名を刻んだ名車「ジュリア スプリント GTA」に敬意を表して開発されたモデル。
1965年に発表されたジュリア スプリント GTAは、アルミニウムボディの採用などによってベース車に対し大幅な軽量化を行い、エンジン出力も高められるなどパフォーマンスを大幅に引き上げていたことが特徴で、デビュー後は世界各地のレースイベントにおいて数百の勝利を挙げ伝説的なモデルとなったことでも有名だ。
その輝かしい歴史と技術の探求心を受け継いで復活したのが、ジュリア GTAになる。GTAとは「Gran Turismo Alleggerita(グランツーリスモ・アレッジェリータ)の頭文字を取ったもので、アレッジェリータはイタリア語で軽量化を意味している。また、GTAmの“m”はモディファイドを示しており、2シーター化とロールバーの装着によりサーキット走行における特性を高めつつ、公道走行も可能なモデルに仕上げられている。
ザウバーが開発した専用エアロキットを装着
まずエクステリアは、カーボンファイバー製のボンネットやルーフに加え、フロントバンパーやフロントフェンダー、ルーフ、リヤディフューザーにもカーボンを採用し大幅な軽量化を達成。それぞれベース車に対してGTAは約50kg、GTAmは約100kgの軽量化を実現した。
エアロダイナミクス性能には、F1でアルファロメオとタッグを組むザウバーエンジニアリングのノウハウを注入。ザウバーが開発したカーボンファイバー製のサイドスカートやリヤスポイラーから構成される「ザウバーエアロキット」が装備され、軽量化と共にエアロダイナミクスの最適化も図られている。
レースフィールドで用いられているセンターロック方式の20インチアルミホイールやカーボンセラミックブレーキディスクも搭載されるなど、モータースポーツ由来の最先端技術が惜しみなく投入された。さらにジュリア GTAmには専用カーボンフロントスプリッターやポリカーボネート製のブラックリヤウインドウ、大型カーボンリヤスポイラーも装着されている。
車体設計に関しては、高速走行時の車体の安定性を高めるためワイドトレッド化を実施 。フロントとリヤは50mmほど拡幅されている。またサスペンションには専用のスプリングやショックアブソーバー、ブッシュが採用され、車高もベース車より低められている。
パワースペックはスーパースポーツ級の540hpまで向上
インテリアは、ジュリア GTAは基本的にジュリア・クアドリフォリオに準じた構成で、ダッシュボードやヘッドライナー、ドアパネル、アームレストにアルカンターラが用いられ、スポーティな雰囲気と共に上質感を高めている。シートは“GTA”ロゴ入りスパルコ製スポーツシートを採用。一方、ジュリア GTAmはリヤシートが取り払われ、そのスペースにはボディ剛性を向上させるロールバーを装着。サーキット走行にメインにした仕様に変更されている。さらにアルカンターラの使用部位を拡大するほか、サーキット走行において高いホールド性と軽量化を両立するカーボン一体成形のサベルト製スポーツシートと6点式シートベルトを採用した。
エンジンは2.9リッターV6ツインターボエンジンを搭載。最高出力はジュリア クアドリフォリオに比べると30hp増となる540hpへと引き上げられている。GTAmではパワーウェイトレシオが2.81kg/hpとなるなど、“スーパースポーツ”と呼ぶに相応しいパフォーマンスを獲得している。またジュリア GTA/GTAm共に、新設計のチタニウムを使用したアクラポヴィッチ製エキゾーストシステムを搭載しており、官能的なサウンドという魅力も追加されている。
両モデルとも4月26日(月)から5月9日(日)までの期間限定の受注生産モデルとして注文を受付中。なお納車は2021年末以降を予定している。
【車両本体価格(税込)】
アルファロメオ ジュリア GTA:2064万円
アルファロメオ ジュリア GTAm:2198万円
【問い合わせ】
Alfa Contact
TEL 0120-779-159
FCAジャパン、アルファロメオ「ジュリアGTA」の受注開始 受付期間は5/9まで 価格は2064万円から
FCAジャパン(ポンタス・ヘグストロム社長、東京都港区)は、アルファロメオブランドから受注生産モデル「ジュリアGTA」と「ジュリアGTAm」の注文受付を開始した。受注は期間限定で5月9日まで。
「ジュリア・クアドリフォリオ」をベース車とし、カーボンファイバーをボンネットやルーフなどに採用して大幅な軽量化を図った。それぞれベース車に対して約50kg、約100kg軽量化した。
排気量2.9リットルV型6気筒ツインターボエンジンを搭載し、最高出力はベース車比で30馬力増の540馬力に引き上げた。新設計のチタニウムを使用したアクラポヴィッチ社製エキゾーストシステムを搭載。サスペンションには専用のスプリングやショックアブソーバー、ブッシュを採用し、車高もベース車より低くした。
オーダー受付後は、ブランド公式サイトに用意されるコンフィギュレーターに基づいた仕様詳細の決定と10%の頭金の振り込みが必要となる。
価格は、ジュリアGTAが2064万円、ジュリアGTAmが2198万円(消費税込み)。
最大約100kg軽量化『アルファロメオ・ジュリアGTA/GTAm』が期間限定で確定受注を開始
2020年の6月24日に創業110周年の節目を迎えたアルファロメオが、その記念プロジェクトとして開発・生産をアナウンスした『Alfa Romeo Giulia GTA(アルファロメオ・ジュリアGTA)』と、より軽量な『GTAm(m=モディファイド)』がいよいよ受注開始に。4月26日(月)より5月9日(日)までの期間限定の確定注文受付となり、納車は2021年末以降が予定されている。
発表当時は全世界500台限定で生産するとアナウンスされた栄光の名を冠したモデル『アルファロメオ・ジュリアGTA』と、よりレーシーな仕様の派生モデル『GTAm』のオーダー受付がついに開始された。
高性能スポーツサルーン『Giulia Quadrifoglio(ジュリア・クアドリフォリオ)』をベースとした両モデルは、確定注文に基づく受注生産モデルとなり、オーダー受付後にはアルファロメオ公式ウェブサイトに用意されるコンフィギュレーターに基づいての仕様詳細決定と、10%の頭金の振り込みが必要となる。
この“GTA”の名称は、ブランドを代表するモータースポーツ史のレジェンド・モデルであり、1965年の『ジュリア・スプリントGTA』に起源を遡る。そのGTAとは『グランツーリスモ・アレジェリータ(Gran Turismo Alleggerita)』の略で、アレジェリータはイタリア語で「軽量化」を意味する。
レースチームのAutodelta(アウトデルタ)の手により、当時のベースモデル、スプリントGTからボディをアルミニウムに変更し、市販版の950kgから745kgへと大きく軽量化されたGTAはモータースポーツ界を席巻。
当時の“チャレンジ・ヨーロッパ・マルケ(Challenge Europeo Marche)”では3連勝、国内選手権で数多くの栄冠を手にし、世界各地のレースイベントにおいては数百もの勝利を収めるなど、GTAの名称はアルファロメオのスポーティさを象徴するアイコンとなった。
そんな伝説の名称を受け継ぐ今回のモデルも、往年の名車と同様に軽量化を重視。『GTA/GTAm』ともにカーボンファイバー製のボンネットやルーフに加え、フロントバンパーやフロントフェンダー、ルーフ、リヤディフューザーにもカーボンを採用し、それぞれベース車に対して約50kg/100kgの軽量化を実現している。
■パワーユニットは540hpに強化。0~100km/h加速は3.6秒
さらに『GTAm』では、モータースポーツで多用されるポリカーボネート樹脂素材のウインドウをサイドとリヤに採用し、2シーター化とロールバーの装着によりサーキット走行における特性を高めつつ、公道走行も可能なモデルとされている。
空力面に関しては、F1でアルファロメオとタッグを組むザウバーエンジニアリングのノウハウが注入され、スイス・ヒンウィルの風洞で開発したカーボンファイバー製のサイドスカートやリヤスポイラーからなる“ザウバーエアロキット”が装備され、軽量化とともにエアロダイナミクスの最適化が図られている。
その性能を支える足元では前後トレッド幅を50mm拡大し、スプリング、ショックアブソーバーおよびブッシュ類も新設計。レース用のセンターロック方式となる20インチアルミホイールや、カーボンセラミックブレーキディスクも搭載する。
さらに『GTAm』では専用ドライブシャフトに加えて、専用カーボンフロントスプリッターやポリカーボネート製のブラックリヤウインドウ、大型カーボンリヤスポイラーに加え、シートシェルにカーボンファイバーなどの軽量素材をふんだんに使用している。
一方のパワーユニットは、ベース車のジュリア・クアドリフォリオで510hpの出力を誇るパワフルなオールアルミ製2.9リッターV6ツインターボエンジンに、入念なキャリブレーション作業を施すことで540hpまで強化。これによりパワーウエイトレシオは2.81kg/hpとなり、0~100km/h加速はローンチコントロールシステムのサポートもあり、わずか3.6秒という驚異的な数値を記録する。
またアクラポビッチ製のチタニウム・セントラルエキゾーストシステムが新たに採用され、カーボンファイバー製のリヤディフューザーと一体化することで空力性能にも貢献している。
この特別な軽量グランツーリズモのフロントとリヤには、通常とは異なり黒一色の特別なアルファロメオ・エンブレムと、クアドリフォリオロゴとともに伝説の“アウトデルタ”のロゴや、110周年の記念ロゴが装着される予定で、価格は『ジュリアGTA』が2064万円、『ジュリアGTAm』が2198万円(ともに消費税込)となっている。
公式サイト:https://www.alfaromeo-jp.com/giulia/limited/gta/
Posted at 2021/05/03 20:45:44 | |
トラックバック(0) |
自動車業界あれこれ | 日記
2021年05月03日

だって買ったのは3月末だったんだよw
AUTO-VOX V5pro
PIONEER / carrozzeria ND-ETCS10
AUTO-VOX取り付け
ETC入れ替え
当初はショックとかもちょっと手をつけようかとも思ったんだけど気力がそこまで…
総走行距離103756km
走行距離430.5km
油量42.20L
燃費10.2014218009km/L
MFD上での記録
AVG.A11.2km/L
650km(走行可能)
AVG.B14.0km/L
Posted at 2021/05/03 20:22:25 | |
トラックバック(0) |
G4 2.0i アイサイト 燃費 | 日記