2021年05月08日
830馬力のV12エンジン搭載!フェラーリ812コンペティツィオーネ発表
フェラーリは5月5日、「812コンペティツィオーネ」と「812コンペティツィオーネA」を発表した。これは、「812スーパーファスト」をベースとしたリミテッド・エディション・スペシャルシリーズ。812コンペティツィオーネはクーペボディ、812コンペティツィオーネAはオープンボディ。Aはイタリア語でオープンを意味するアペルタ(aperta)の頭文字。
注目はなんといってもエンジン。812スーパーファスト譲りの6.5リットルV12・NAエンジンを専用チューンして搭載。最高出力は、フェラーリの市販エンジン車としては最強の830馬力を発生(電動モデルをのぞく)。最高回転数も史上最高の9500回転だ。
812スーパーファスト譲りとはいえ、コンロッドやピストン、クランクシャフトなど主要部品は細部まで再設計。コンロッドはチタン製でスチール製より40%も軽量。ピストンピンにはダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)コーティングを施し、摩擦係数を低減して性能向上につなげている。こうした改良に加えて、クランクシャフトはバランス取りを行い、これまでのものより3%軽量化。
もっとも大きな改良点はバルブトレインとシリンダーヘッド。いずれも完全な新設計となっている。具体的には、カムシャフト(DLCコーティング)の回転でバルブステムを動かす装置は、DLCコーティングを施したスチール製スライディング・フィンガーフォロワーに変更。これはフェラーリのF1での経験から生まれた技術で、このエンジンのために特別に開発。バルブリフト特性を高めているという。
全回転域でエンジンが適切に空気を取り込めるよう、吸気システムも再設計。マニホールドとプレナムチャンバーをコンパクトにして経路の全長を短縮したため、高回転域でさらに大きなパワーを発揮させる。一方、トルクカーブをすべての回転域で最適化しているのが可変ジオメトリー吸気ダクト。吸気ダクトアッセンブリーの長さを絶え間なく変更し、点火順序に適合させることでシリンダーへの動的な充填を最大化。よってエンジンは驚異的な速度でレブリミットまで回転上昇、レッドゾーンまで谷が存在しなくなった。
トランスミッションは、7速のデュアルクラッチ式。制御の変更で変速時間は5%短縮されている。ギヤレシオは812スーパーファストと同じだが、新V12エンジンの最高回転数がこれまでより500回転引き上げられたことで、一層スポーティなシフトチェンジが楽しめるという。
■エンジン諸元 ※812コンペティツィオーネ
種類:V12
総排気量:6496cc
ボア×ストローク:94.0mm×78.0mm
最高出力:610kW(830cv)/9250rpm
最大トルク:692Nm/7000rpm
最高許容回転数:9500rpm
圧縮比:13.5
■ボディサイズほか ※812コンペティツィオーネ
全長×全幅×全高:4696mm×1971mm×1276mm
ホイールベース:2720mm
乾燥重量:1487kg
燃料タンク容量:92L
タイヤサイズ:前275/35ZR20/後315/35ZR20
■性能
最高速:340km/h
0→100km/h:2.85秒
0→200km/h:7.5秒
フィオラーノ・ラップタイム:1分20秒
〈文=ドライバーWeb編集部〉
フェラーリ 812 コンペティツィオーネ発表。最高回転数9500rpmのリミテッドエディション
2021年5月5日、フェラーリは812 スーパーファストをベースとするリミテッド エディション スペシャルシリーズ「812 コンペティツィオーネ(Competizione)」をオンラインで発表。同時に、タルガトップ バージョンの「812 コンペティツィオーネ A」も発表された。
6.5LのV12エンジンは830psの最高出力を発生
現行フェラーリのフラッグシップ、812 スーパーファストをベースにした限定のスペシャルシリーズが2021年5月5日に発表されるというニュースと事前に公開された写真は、以前に当Webモーターマガジンでも紹介したが、いよいよ正式に発表された。
その名は「812 コンペティツィオーネ」。しかも、事前に公開された画像ではフィクスドトップのクーペモデルだけだったが、タルガトップ バージョンの「812 コンペティツィオーネ A」も同時にお披露目された。コンペティツィオーネとはイタリア語でコンペティション(競技)の意味で、Aはイタリア語でオープンを意味する「アペルタ」の略だ。
両車に搭載されるパワーユニットは、812 スーパーファストの6.5L V12自然吸気エンジンをベースに、最高出力は30psアップの830psに引き上げられている。最高回転数は9500rpm。これを達成するために、バルブトレーン、シリンダーヘッド、吸気システム、点火システム、そして排気系などに手が加えられている。
組み合わされるトランスミッションは7速DCTで、変速時間は5%短縮されている。HELE(ハイ エモーション/ロー エミッション)システムも進化し、アイドリングストップ機能も備える。冷却システムや潤滑系も改良されている。また、4輪操舵システムも採用。
カーボンファイバーやチタンなどを多用することで、総重量は812 スーパーファストから38kgも軽減されている。公表されたパフォーマンス値は、最高速度が340km/h以上、0→100km/h加速が2.85秒、0→200km/h加速が7.5秒とされている。
812 コンペティツィオーネではリアウインドーが1枚のアルミニウム製パネルとなり、表面に装着された3組のエレメントがボルテックス ジェネレーター(空力特性を改善する装置)となっている。812 コンペティツィオーネ Aでは左右のフライング バットレスの間にブリッジエレメントが設けられ、気流を効果的にリアスポイラーへと流す。また、ウインドスクリーンのヘッダーレールにフラップを組み込んで、オープン走行時の乗員の快適性を確保している。
両車ともインテリアは基本的に812 スーパーファストを踏襲している。812 コンペティツィオーネ Aのタルガトップはカーボンファイバー製で、オープン時はシートの後ろにカーボンファイバー製のロールバーが残るが、クローズド時はルーフストラクチャーと一体となる。
812 コンペティツィオーネは999台の限定生産で、イタリアでの車両価格は49万9000ユーロ(約6550万円)。812 コンペティツィオーネ Aは549台の限定生産で、イタリアでの車両価格は57万8500ユーロ(約7550万円)。ヨーロッパでのデリバリーは、812 コンペティツィオーネが2022年の第1四半期、812 コンペティツィオーネ Aが2022年の第4四半期を予定している。
日本への導入台数、導入時期、そして車両価格などは、いまのところ未定だ。
フェラーリ 812 コンペティツィオーネ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4696×1971×1276mm
●ホイールベース:2720mm
●乾燥重量:1487kg(オプション装着車)
●エンジン:65度V12 DOHC
●総排気量:6496cc
●最高出力:610kW(830ps)/9250rpm
●最大トルク:692Nm(70.6kgm)/7000rpm
●トランスミッション:7速DCT
●駆動方式:FR(トランスアクスル)
●燃料・タンク容量:プレミアム・92L
●WLTCモード燃費:未発表
●タイヤサイズ:前275/35ZR20、後315/35ZR20
●最高速度:340km/h以上
●0→100km/h加速:2.85秒
●0→200km/h加速:7.5秒
※812 コンペティツィオーネ Aの主要諸元は後日発表される
自然吸気V12フェラーリの真骨頂──新型812コンペティツィオーネ登場
5月5日、フェラーリは、「812スーパーファスト」の高性能ヴァージョン「812コンペティツィオーネ」を発表した。
エンジンの許容回転数は9500rpm!
812コンペティツィオーネは、徹底的にチューニングされた6.5リッターV型12気筒ガソリン自然吸気エンジンを搭載する。
コンロッド、ピストン、クランクシャフトなどの各パーツを再設計して軽量化しただけでなく各部の摩擦係数も低減した。また、エンジン全体の効率を改善するため、オイルポンプも一新されている。
最高出力は30psアップの830ps/9250rpm、最大トルクは692Nm/7000rpmに達する。エンジンの許容最高回転数も8900rpmから9500rpmに引き上げられた。新設された大型のフロントエアインテークによって、エンジン冷却効率は10%高まったという。最高速度は340km/h、0-100km/hの加速タイムは2.85秒という。
高性能化とともに、年々厳しくなる排出ガス規制にも対応するため、エンジンから排出されるPMを除去するセラミックフィルター「GPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)」装着、このため排気系が見直された。ただし、フェラーリのV12エンジンの官能的なサウンドは変わっていないという。
組み合わされるトランスミッションはデュアルクラッチタイプの7AT。エンジンの高性能化にあわせ、シフトスピードも5%短縮されたという。駆動方式はRWD(後輪駆動)で、4輪操舵システムを搭載する。
ボディでは、カーボンファイバー製パーツの使用箇所を大幅に拡大している。また、リアスクリーンをガラスからアルミニウムパネルに変更するなどもして、ベースモデルより車両重量を38kg軽くした。
いっぽう、インテリアには大きな変更はない。ボディ形状はクーペと、電動開閉式のルーフを持つ「コンペティツィオーネA」の2種類。
新型812コンペティツィオーネは、一部のフェラーリ愛好家にのみ販売されるため、生産台数や販売価格は明らかにされていない。
文・稲垣邦康(GQ)
【サプライズ発表】伊フェラーリ 812コンペティツィオーネA V12の限定オープン・モデル
タルガ・スタイルの新型車
伊フェラーリが、予告していた限定V12クーペ・モデル「812コンペティツィオーネ」の発表をオンラインで開催した。
そのなかで、オープン仕様の新モデル「812コンペティツィオーネA」も同時公開されるというサプライズが待っていた。
「A」が意味するのは、イタリア語のアペルタ。英語で「オープン」にあたる言葉だ。
830psを発する「812コンペティツィオーネ」とエンジン、エグゾーストシステム、ビークルダイナミクス、生産方法などは共通ながら、そのエモーションをオープンエアで楽しむモデルと説明されている。
ルーフは、軽量なカーボン製のデタッチャブル・ルーフ。取外して、車両の後部に格納できる。
オープンカーといってもタルガ・スタイルを採用しているので、天候にあわせて「その時々のムードに合わせて、オープン/クローズにして」楽しめるわけだ。
また、フロントガラスの前には、小さなウイングが追加され、風が強い日でも快適性を損なわぬように配慮するなど、コクピットのコンフォート性能を追い求めた。
イタリア価格/納車情報
リアセクションでは、クーペ仕様の後部ウインドウにつくボルテックスジェネレーターを排除。オープン仕様は、2つのバットレスとブリッジ・エレメントを、コクピットの背後に追加した。
これがウイングと同じような空力的な効果をうみ、エアロダイナミクスを高いレベルに保つ。
「812コンペティツィオーネA」の主要諸元は後日発表されるという。
なお、両モデルの納車開始は、欧州の左ハンドル市場からはじまる。その時期、イタリア市場価格、限定台数は下記のように発表された。
812コンペティツィオーネ(クーペ仕様)は、999台限定で、イタリア価格は49万9000ユーロ。欧州向けデリバリーは2022年の第1四半期に開始。
812コンペティツィオーネA(オープン仕様)は、549台限定で、イタリア価格は57万8500ユーロ。欧州では2022年の第4四半期に納車を始める。
日本をはじめとした他の地域の価格は、追って発表されるという。
フェラーリ、812 コンペティツィオーネをワールドプレミア! クーペとオープンを用意しV12エンジンは高回転型にアップデート
Ferrari 812 Competizione / 812 Competizione A
フェラーリ 812 コンペティツィオーネ/コンペティツィオーネ A
脱着式ルーフのオープン仕様も同時お披露目
フェラーリは2021年5月5日、最新のV12スペシャルモデルシリーズ「812 コンペティツィオーネ(812 Competizione)」及び“タルガトップ”仕様の「812 コンペティツィオーネ A(812 Competizione A)」をワールドプレミアした。Aはオープンを意味するイタリア語apertaの頭字語で、脱着式のカーボンルーフを搭載する。いずれも限定生産で、クーペが999台、オープンボディが549台のみの販売となる。
車両価格は本国仕様でクーペが49万9000ユーロ(約6545万円)で、オープンボディが57万8000ユーロ(約7580万円)。
レブリミットは9500回転!
812 スーパーファストベースの最新スペチアーレは、マラネッロ伝統の65度バンクをもつ6.5リッターV12エンジンを搭載する。主要コンポーネントの多くを再設計したうえ、バルブタイミングシステムやエキゾーストシステムも刷新。最高出力をベース車比+30cvの830cvまで引き上げつつ、最高回転数も8900rpmから9500rpmに高めている。
バルブトレインとシリンダーヘッドは完全な新設計で、F1の知見を活かしたバルブシステムを採用。スチール製より40%軽量なチタン製コンロッドや、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)コーティングを施したピストンピンに加え、クランクシャフトもバランス取りを改めて実施。こちらも3%の軽量化を図っているという。
812 コンペティツィオーネの最高速度は340km/hに達し、0-100km/h加速は2.85秒。フィオラーノのラップタイムは1分20秒を記録している。
後輪操舵システムを導入
組み合わせる7速デュアルクラッチトランスミッションも、変速時間を5%短縮するなど専用にチューン。シャシーにも4輪操舵システムを新たに採用して車両の敏捷性をより一層研ぎ澄ますとともに、車両運動に関わる各デバイスを統合制御する「サイド・スリップ・コントロール」についても、最新のバージョン7.0を導入した。
エクステリアとコクピットに幅広くカーボンファイバー素材を採用するなど軽量化も追求。ベース車の1630kgをさらに下回る軽やかな体躯を手に入れている。フェラーリのV12モデルとしては初となる総カーボンファイバー製リムのホイールも用意し、鍛造ホイール比で3.7kgの重量削減も可能になった。
リヤスクリーンはアルミニウム構造
フロントボンネットを横切るカーボンファイバー製ブレードは、エンジンコンパートメントから繋がる排気口を隠すとともに、かつてのレーシングモデルも彷彿させるデザイン的役割ももつ。
また、ダウンフォース量を最大化するべく、エアロダイナミクス面も大幅に改良。フロントエアインテークやリヤディフューザー、エキゾースト周りを一新したうえ、クーペモデルには特許を取得したボルテックス・ジェネレーター付きリヤスクリーンを採用した。ちなみにこのリヤスクリーンはガラスではなく、一体成型のアルミニウム構造となる。これにより、性能面だけでなく車両全体の彫刻的フォルムを強調。後方視界については「リヤビューカメラが付いているので可視性は問題ない」としている。
812 コンペティツィオーネのデリバリーは欧州市場からスタート。クーペが2022年第一四半期から、オープンボディが2022年第4四半期からの出荷を予定しているという。
フェラーリがV12搭載、830馬力の限定車「812コンペティツィオーネ」を初披露。ボディは2種類
フェラーリは5月5日、V12 NAユニットを搭載する「812 Superfast」をベースとした限定モデル「812コンペティツィオーネ」および「812コンペティツィオーネA」を世界初披露した。
V12搭載の最新限定車は、クーペの812コンペティツィオーネに加え、タルガトップの812コンペティツィオーネAという二つのボディタイプで姿を表した。なお後者の「A」はイタリア語で「開く、開放」を意味するアペルタの頭文字と思われ、これまでにも「458スペチアーレA」などでサブネームに採用されている。
両モデルが搭載するバンク角65度の6.5L V12は最高出力830cvまで強化され、跳ね馬ファン垂涎のエンジンサウンドを発生。その肝は新設計のバルブトレインとシリンダーヘッドで、F1からフィードバックした技術を応用し、バルブリフト特性を高めている。また、吸気ダクトには2組目のレゾネーターを装備。特定の周波数が強まり、エンジンの点火順序による倍音成分が強化されたという。
7速デュアルクラッチギアボックスはキャリブレーションの見直しで変速時間を5%短縮。「HELEシステム」も低速走行から特徴的サウンドを楽しめるよう進化している。加えて、熱量の増大に合わせV12モデルとして初めてシングルフロントエアインテークを採用し、ラジエーターに送られる冷却エアを最大化した。
ブレーキには「SF90ストラダーレ」でデビューしたフロントエアロキャリパーを搭載し、鋳造キャリパーの内部にエアインテークを組み込むことで冷却性を向上。アンダーボディの気流を横方向に最大限広げるため、リアディフューザーも拡幅されたほか、カーボンファイバー製パーツを幅広く採用したことで車両重量はベースモデルから38kg削減されている。
さらに、812コンペティツィオーネではプロダクションモデルとして初めてリアスクリーンを完全に閉鎖。ボルテックスジェネレーターとして機能する3組のエレメントを装着し、ダウンフォースを強化した。一方、812コンペティツィオーネAでは、左右のフライングバットレスの間にブリッジエレメントを設け、同様の効果を得ている。
跳ね馬でもNAの終焉が噂される昨今、この2台が将来のコレクターアイテムとなることは間違いないだろう。
フェラーリ、『812 コンペティツィオーネ』発表…830馬力のクーペとオープンを限定生産
フェラーリは5月5日、『812コンペティツィオーネ』と『812コンペティツィオーネA』(Ferrari 812 Competizione / 812 Competizione A)を発表した。
両車は、『812スーパーファスト』をベースにした最新の「リミテッド・エディション・スペシャルシリーズ」だ。812コンペティツィオーネはクーペボディ、812コンペティツィオーネAはオープンボディとなる。Aはイタリア語でオープンの意味を意味するapertaの頭文字だ。
フェラーリは、812スーパーファストの特徴を磨き上げ、フロントエンジンベルリネッタのコンセプトを究極の形で表現した、と自負する。フェラーリの最も情熱的なコレクターや目の肥えた顧客に向けて、新たなテクノロジーを取り入れている。
◆専用チューンのV12はフェラーリ史上最高の9500rpmまで回る
パワートレインには、812スーパーファストの6.5リットルV型12気筒ガソリン自然吸気エンジンを、専用チューンして搭載する。最大出力は、フェラーリの電動モデル以外の市販エンジン車としては、史上最強の830psを獲得する。エンジンの最高回転数も、フェラーリのエンジンで史上最高の9500rpm とした。
このV12エンジンは、コンロッドやピストン、クランクシャフト、バルブトレインなど、エンジンの主要コンポーネントを細部まで再設計した。たとえば、チタン製コンロッドはスチール製より40%軽量でありながら、機械抵抗は同じとした。一方、ピンストンピンには、「ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)」コーティングを施し、摩擦係数を低減して、パフォーマンスや燃費の向上を追求する。クランクシャフトはバランス取りを行い、ベース車両よりも3%軽量化されている。
最も大きな改良点は、バルブトレインとシリンダーヘッドで、完全新設計とした。カムシャフトの回転でバルブステムを動かす装置は、DLC コーティングを施したスチール製の「スライディング・フィンガーフォロワー」に変更された。これはフェラーリのF1での経験から生まれた技術で、このエンジンのために特別に開発され、バルブリフト特性を高めているという。
全回転域でエンジンが適切に空気を取り込めるよう、吸気システムも再設計された。マニホールドとプレナムチャンバーをコンパクトにして経路の全長を短縮したため、高回転域でさらに大きなパワーを発揮する。一方、可変ジオメトリー吸気ダクトによって、トルクカーブをすべての回転域で最適化。このシステムは、吸気ダクトアッセンブリーの長さを絶え間なく変更し、点火順序に適合させることで、シリンダーへの動的な充填を最大化する。その結果、エンジンは高速でレブリミットまで回転を上げ、レッドゾーンまで谷が存在しないという。
摩擦や機械損失を低減してエンジンの全体的効率を高めるため、エンジンの全作動範囲で油圧を継続的に調整する可変容量オイルポンプも新開発している。新しい排気システムも採用した。吸気ダクトに手が加えられ、2組目のレゾネーターを装備したことで、特定の周波数が強まり、エンジンの点火順序による気高い倍音成分がさらに強化されているという。
◆クーペ版には一体成形のアルミ構造リアスクリーン
812コンペティツィオーネの外観は、エアロダイナミクスの追求によって、ボディラインが大きく変わった。エアロダイナミクスのエンジニアは、フェラーリ・スタイリング・センターと連携して、公道仕様の車両としては異例のシルエットを持つ過激なフォルムを採用したという。
車両全体のエアロダイナミクスを再設計したのは、ダウンフォースレベルを最大化するのが目的。新しいフロントのエアインテークやリアのディフューザー、エグゾーストシステムをはじめ、新たに「ボルテックス・ジェネレーター」を装着した特許取得のリアスクリーンなどが採用されている。
デザインは、ベースとなった812スーパーファストとは明確な差別化が図られた。その一例が、リアスクリーンをガラスではなく一体成形のアルミ構造としたことだ。ここに装備されるボルテックス・ジェネレーターには、車体の空力効率を高める効果がある。それだけでなく、ルーフと一体デザインとなり、車両の彫刻的フォルムが強調されているという。
これに加えて、ボンネットを横切るカーボンファイバー製ブレードによって、車両全体のボリューム感を変化させている。ボンネットが短くなったように見えるため、車体の横幅が強調され、リアはより力強いファストバックになっているという。
シルエットやプロポーション、フォーマルなバランスは812 スーパーファストと共有しながら、よりコンパクトなコンペティションカーのような印象を強めることを狙った。リアスポイラーは、装着位置が高くなった。さらに、専用デザインとすることによって、リアがワイドで水平に見えることを目指したという。
◆オープン版もクーペ版とほぼ同レベルのダウンフォースを獲得
一方、オープン版の812コンペティツィオーネAでは、ボルテックス・ジェネレーターが装備できないことによる影響を埋め合わせるため、左右の「フライング・バットレス」の間にブリッジエレメントが設けられた。気流を効果的にそらしてリアスポイラーへ流すように最適化されており、クーペ版とほぼ同レベルのダウンフォースを獲得しているという。このブリッジが、タルガタイプの車両に特有の空気抵抗の増加を抑える。ブリッジが空力的なウィングとして働き、上面の気圧によって正の圧力場を作り出すため、リアスクリーン以降の流速が上がり、空気抵抗を低減している。
また、ウィンドスクリーンのヘッダーレールに組み込まれたフラップが、オープントップ時の乗員の快適性を高める。強い二次的な気流はフラップで上へそれるため、車内が乱されることはない、と自負する。これによって、コックピットは後ろまで空気の泡に包まれるため、乗員の頭部の後方エリアにも、不快感をもたらす過剰な気圧が発生しないという。
左右のバットレスの間には、2 個の空力的な開口部が設けられた。これにより、サイドウィンドウを越えて入ってくる気流を抑える。快適性の向上とルーフを開けた時の空力効率の向上を追求している。
◆ベース車両に対して38kg軽量化
両車のインテリアは、ベース車両の812スーパーファストを受け継いでいる。ダッシュボードをはじめ、ドアパネルのインターフェースやボリュームなどにも変わりはない。インテリアは、ドアパネルを軽量化のために新設計した。センタートンネルには、「Hゲート」のテーマを導入した。
4輪独立ステアリングを採用する。これによって、コーナリング時の敏捷性や正確性を高めるとともに、ステアリング操作に対する応答性を追求している。
ベース車両の812スーパーファストに対して、38kgの軽量化も図られた。これは、フロントバンパー、リアバンパー、リアスポイラー、エアインテークなど、エクステリアに幅広くカーボンファイバーを使用した効果だ。また、ビークル・ダイナミクス・システムの「サイドスリップ・コントロール」のバージョン7.0が初搭載されている。
フェラーリ、最新限定モデル『812コンペティツィオーネ』『812コンペティツィオーネA』発表
フェラーリは2021年5月5日、812 Superfast(812スーパーファスト)をベースにした新しいリミテッド・エディションシリーズ『812 Competizione(812コンペティツィオーネ)』と、オープントップのタルガバージョン『812 Competizione A(812コンペティツィオーネA』をワールドプレミアした。いずれも限定生産で、812コンペティツィオーネは999台、812コンペティツィオーネAは549台を予定している。
812コンペティツィオーネは、フロントエンジンのレイアウトを採用した、フェラーリ最新の自然吸気V12限定モデル。評価の高い812スーパーファストからさまざまな特徴を受け継ぎながら、モータースポーツでの経験が注入された1台に仕上がっている。
812コンペティツィオーネと812コンペティツィオーネAには、6.5リッターV12気筒エンジンが搭載され、主要コンポーネントの多くが再設計されたうえ、バルブタイミングシステムやエキゾーストシステムも刷新されており、最高出力はベース車両比で+30PSの830PSまで引き上げられた。
また、中でも大きく改良されたのはバルブトレインとシリンダーヘッドで、カムシャフトにはダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)コーティングが施され、スチール製のスライディング・フィンガーフォロワーでバルブシステムを動かすという、フェラーリのF1での経験から生まれた技術が採用されている。
フェラーリは伝統的なエンジンサウンドは守りつつ、同時にGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)を導入するため、新しいエグゾースト・テールパイプを採用。優れた音響特性やパフォーマンス、美観を兼ね備えるため、テールパイプの外観は機能やサーキット生まれのキャラクターを強調したものとなっている。2組目のレゾネーターを装備したことで、エンジンの点火順序による気高い倍音成分が強化され、エグゾーストからのサウンドと吸気システムからのサウンドの融合が実現した。
さらに、812コンペティツィオーネではパフォーマンス向上のため、独立四輪ステアリングの初採用、サイド・スリップ・コントロール(SSC)システムのバージョン7.0への進化、専用の新ミシュラン・カップ2Rタイヤ開発などが行われている。
車両の軽量化にも注意が払われ、総重量は812スーパーファストから38kg削減。エクステリアではフロントバンパー、リヤバンパー、リヤスポイラー、エアリンテークにカーボンファイバー素材が適用され、これも軽量化に貢献している。
エクステリアの注目はボンネットで、横断するくぼみの中に装着したカーボンファイバー製ブレードは、エンジンベイからの排気口を隠す独自の手法がとられている。
ノーズでは、ワイドなフロントグリルと、その両側の力強い特徴的なブレーキ用サイドインテークが、壮大なパワーを誇示。カーボンファイバー製スプリッターは、低くかがみ込んだ幅の広いスタンスを強調し、強力なロード・ホールディング能力が垣間見れる。
リヤスポイラーも力強く、位置が高くなったことに加え、デザインにおいてもテールがワイドで水平に見えるため、リヤの存在感を大きく高めている。エアロパーツの末端はリヤフェンダーのラインと交差し、フェンダーの筋肉質な外観を際立たせた。
テールライト・クラスターは、よりアグレッシブなルックスに。彫刻的なリヤバンパーの外側には3本の空力的なスロットが設けられている。
インテリアは812スーパーファストの影響を大きく受けた設計だ。特徴的なモチーフを含め、ダッシュボードおよびドア・パネルのインターフェース類とボリューム感を継承したデザインとなっている。
また、新しいドア・パネルは再設計によって軽量化が図られ、トランスミッション・トンネルには『Hゲート』のテーマが採用された。これにより、コクピットのスポーティ性が大きく高まっている。
前述のとおり今回登場したふたつのモデルは限定生産車となり、『812コンペティツィオーネ』は999台、オープントップの『812コンペティツィオーネA』は549台の販売が予定されている。
フェラーリ最新「812コンペティツィオーネ」は6500万オーバー! 999台限定で受注スタート
■フェラーリとしては珍しい2台同時発表!
すでにオフィシャルの画像が公開されていた1台のニューモデルによるフィオラノ・サーキットでのホットラップから、今回のワールドプレミア・イベントは始まった。
フィオラノという地名からも分かるとおり、2021年5月5日(現地時間)ニューモデルを発表したのはフェラーリである。それは現行の12気筒モデル、「812スーパーファスト」をベースに開発されたものであることは、ボディのシルエットを見れば誰にも明らかであろう。
そして注目のネーミングは「812コンペティツィオーネ」であった。
だがさらに大きな驚きは、このフィオラノ・サーキットに隣接する開設されたばかりのGTスポーティング・アクティビティ部門のファシリティのなかにあった。
ここにはもう1台のニューモデルが、完全なサプライズで用意されていたのである。
その名は、「812コンペティツィオーネA」。すでに812コンペティツィオーネの姿は事前にオフィシャル写真が公開されていただけに、今回の発表ではその正式名だけが明らかになるのかと思われていたが、フェラーリは2台同時のワールドプレミアというサプライズを準備していたのだ。
ちなみに車名の「A」は、イタリア語で「アペルタ」を意味する。すなわち812コンペティツィオーネのオープン仕様ということになる。
フェラーリは、「この両車のステアリングを握れば、オンロードでもサーキットでも、ドライバーは車両との一体感を得ることができる」とコメントし、それは「どれほど複雑な動きを求めても、操作に対する瞬時のレスポンスと完全なコントロールが保証されているから実現できるのだ」と説明している。
さっそく812コンペティツィオーネ、812コンペティツィオーネAのメカニズムを探っていこう。
この両車に搭載されるエンジンは、6.5リッターV型12気筒自然吸気ユニットだ。排気量はこれまでの812スーパーファストと同様に6.5リッターだが、最高出力は830psと、さらに30psの強化が果たされることになった。
さらに注目すべきはそのレブリミットで、実に9500rpmに達する。これはコンロッドやピストン、クランクシャフト、バルブトレインなど、エンジンの主要コンポーネントを再設計した結果である。
もっとも大きな改良点はバルブトレインとシリンダーヘッドである。両車はいずれも完全な新設計バルブリフトのシステムを採用し、DLC(ダイヤモンド・ライク・カーボン)コーティングを施したスチール製のスライディング・フィンガーフォロワ―に変わったが、これはF1マシンから導入された新技術のひとつだ。
吸排気システムやECUも、もちろんコンペティツィオーネのための専用設計となる。排気システムにはGPF(ガソリン・パティキュレート・フィルター)が採用されたが、それでも新設計のエグゾーストシステムは、中高回転域で魅力的なサウンドをV型12気筒エンジンのサウンドとともにカスタマーへと提供する。
組み合わせられるトランスミッションは、7速のデュアルクラッチ・ギアボックスだ。新たな制御プログラムを採用したこと、そしてV型12気筒エンジンのレブリミットが500rpm引き上げられたことで、変速時間はさらに5%短縮している。
もちろんその一方で、環境性能を引き上げるためのHELEシステムにもさらなる進化が施され、HELEモードを使用した際にはアイドリングストップ機能やエンジンマップが排気ガスの排出量をより低減させるよう機能する。
搭載エンジンの強化に伴って、冷却系も大きく見直された。812コンペティツィオーネ/812コンペティツィオーネAのフロントエアインテークは、フェラーリとしては初のシングルデザインで、それによってラジエーターに送られるエア量を最大化している。冷却液のサーキットもすべて改良され、冷却効率は812スーパーファスト比で10%の向上を果たしたという。
■クーペは999台、オープンは549台限定販売
次にビークル・ダイナミクスに話を進めよう。フェラーリがこの分野で開発の重要なテーマとして掲げたのは、全体的なパフォーマンスレベルの引き上げと、横方向ダイナミクスにおけるドライビング・プレジャーの向上、そしてコンペティツィオーネを名乗るスペシャルモデルとしてのハンドリング特性にあった。
独立4輪ステアリングの初採用、SSC(サイド・スリップ・コントロール)システムの第7世代への進化、そして専用のミシュラン・カップ2Rタイヤの開発などは、その代表的な例だろう。
このなかでもっとも興味深いのは、独立型となったリアステアリング機構だ。新世代の電子マネージメント・システムによって、左右の後輪を同調制御するのではなく、左右個別に作動させるシステムになった。これにより、各々のアクチュエーターが担うポジション制御の性能は大幅に向上し、また反応時間も短縮している。
第7世代SSCは、電子制御デファレンシャルやトラクションコントロール、磁性流体サスペンションコントロール、電動式前輪ステアリングと独立後輪ステアリング等々、すべての制御を統合する役割を持ち、それが結果として魅力的なドライビング・プレジャーを生み出してくれるのだ。
また、軽量化にも大きな注意が払われている。812コンペティツィオーネの総重量は812スーパーファストより38kgも軽く、前後のバンパーやリアスポイラー、エアインテークなどに軽量なCFRP素材を使用したことが、この軽量化には大きく貢献している。
ちなみにカスタマーは、フェラーリのV12モデルとしては初となるオール・カーボンファイバー製のホイールもチョイスできるとのことだ。
参考までにホイールサイズは20インチ。タイヤはフロントに275/35ZR20、リアに315/35ZR20を組み合わせる。ホイールの内側に見えるブレーキは、「SF90ストラダーレ」でデビューした、最新世代の「エアロ」キャリパーで鋳造キャリパーの内部にエアインテークが組み込まれているのが大きな特徴となっている。
812コンペティツィオーネ、812コンペティツィオーネAには、それぞれにベースとなった812シリーズとは異なるエクステリアのディテールが与えられている。それらはもちろんエアロダイナミクスをさらに向上させるための策であるのだが、見た目にも非常に魅力的で美しい造形に仕上がっている。
例えばボンネットには、左右に横断するくぼみのなかにCFRP製のブレードが装着されており、これはエンジンルームからの排気口を隠す独特の手法である。
これによりボンネットはさらに美しく彫刻的な造形となった。あるいは熱狂的なフェラリスタにとっては、往年の「250GTO」などのレーシングカーのカラーを想像させる処理ともいえるだろうか。
クーペのコンペティツィオーネでは、リアスクリーンが1枚のアルミニウム製パネルに変化していることも見逃せない。もちろんこれもフロントエンドに始まるエアロダイナミクスへの取り組みの一環で、同時により力強いファストバック・スタイルが楽しめる。
ボディ下面やこのリアスクリーンには、ボルテックス・ジェネレーターが多く装備され、それによってエアが整流される仕組みだ。リアタイヤの後方には3本の細いスロットが設けられているが、これもまたコンペティツィオーネのスタイリングでは大きな特徴であり、また使用されるボルテックス・ジェネレーターの存在を想起させるものといえるのだろう。
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812コンペティツィオーネは999台限定ですでに受注をスタートしており、欧州での発売時期は2022年第1四半期からとなる。欧州での車両価格は49万9000ユーロ(邦貨換算約6550万円)だ。
812コンペティツィオーネAは549台限定で、2022年第4四半期から販売される予定だ。こちらの車両価格は57万8500ユーロ(邦貨換算約7600万円)となる。
最後の自然吸気V12モデルになるかもしれないとフェラリスタの間では話題になっているこの限定車だが、プレスコンファレンスでは、伝統のV12エンジンにはどのような姿であるにせよ、まだその将来はあるとのコメントがあった。それはそれで、大いに楽しみなことではないか。
Posted at 2021/05/08 22:55:15 | |
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