2021年05月13日
三菱が「ラリーアート」を11年ぶりに復活! モータースポーツ参戦も検討 「4WDの三菱」復活へ
■三菱「ラリーアート」ブランドが11年ぶりに復活へ
三菱は、2021年5月11日に2020年度決算説明会を実施しました。
そのなかで、同社のモータースポーツ部門といえる「ラリーアート」の復活を「三菱らしさの具現化」として明らかにしました。
ラリーアートは、三菱の子会社として展開されており、WRCやパリ・ダカールラリーなどの参戦などをおこなっていました。
その結果、1980年代から1990年代には「ラリーの三菱」「4WDの三菱」といったブランドイメージが定着したことで、同社のクロカンSUV「パジェロ」の販売に大きく貢献しました。
しかし、2005年に三菱は、WRCやパリ・ダカールラリーからの撤退を表明。その後も、ラリーアート自体は継続していたものの、2010年3月末にモータースポーツ関連の主要業務の終了を発表したことで、ファンからは「ラリーアートブランドの終焉」といわれていました。
その後も、2018年11月には日本、2019年3月にはグローバルのホームページが閉鎖されています。
そうしたなかで、前述の通り「三菱らしさの具現化」として「ラリーアートブランドの復活」が明らかになったのです。
三菱の代表執行役社長兼最高経営責任者の加藤隆雄は、次のように述べています。
「三菱らしさを体感したいお客さまに向けて、モデルラインナップに純正アクセサリーの設定や、モータースポーツへの関与も検討しています」
※ ※ ※
近年、トヨタはGRブランドを設立してモータースポーツに積極的に参戦。日産もフォーミュラEなどさまざまなカテゴリーに参戦しています。
一方で、ホンダは2021年シーズンを持ってF1グランプリへの参戦撤退を明らかにするなど、自動車メーカーによってモータースポーツ戦略が異なっています。
そうしたなかで、ラリーアートブランドの復活を明言した三菱が今後、どのような動きを見せていくのか、目が離せません。
なぜ三菱は「ラリーアート」を再始動? モータースポーツ効果で三菱復活に期待
■ついに三菱の「ラリーアート」が復活!
驚きました! 三菱自動車が2020年度の決算会見でラリーアートの復活を明言した。ラリーアートはスバルでいえば「STI」、日産の「NISMO」のようなモータースポーツ部門です。
ラリーアートのブランドイメージは依然として世界規模で根強く、ヨーロッパにも東南アジアにも大洋州にもラリーアートを名乗る三菱自動車直系の組織が残っています。
実際、私(国沢光宏)のラリー仲間であるニュージーランドのブライアン・グリーン選手のラリー車(現行ミラージュ)にもラリーアートのステッカーを貼ってある。
もちろん三菱自動車の本社は、ラリーアートという名称が海外で生き残っていることに対して強い強い嫌悪感を持っていた。モータースポーツ嫌いだった三菱自動車の益子前社長への忠誠です。
逝去された益子前社長は潔いくらい徹底的にモータースポーツを嫌っており、「ランサーエボリューション」の復活計画の記事など出ると、担当部署に開発していないことを確認するほどだったという。
三菱自動車がサファリラリー以後、WRCやパリダカールラリーでブランドを構築したことを考えると180度の方針変更だったように思う。
なぜ益子さんがモータースポーツを徹底的に嫌っていたのか理由を聞き損ねたものの(以前インタビューしたとき、電気自動車以外は参戦する気がないと明言されました)、三菱自動車を危機的な状況から立て直した益子さん唯一の失策だったと私は思うし、生前からそう書いてきました。やはりモータースポーツ無しで自動車メーカーは元気になれない。
ということを、益子さんにかわって三菱自動車の社長に就任した加藤さんに質問したことがあります。
加藤さんは、「インドネシアにラリードライバーの知り合いがいます。ミラージュをパワーアップしたモデルとか作ったらいいね、という声も出ているんです。やはりモータースポーツは元気が出る。三菱自動車の原点のように思います」とコメント。
続けて「最近パリダカで勝って興奮していた若い頃の会社を思い起こすんです。数日前もパリダカで優勝した経歴を持つ社員ドライバーである増岡さんの隣に乗って感動したし、ランサーエボリューションVIIIに乗って楽しかった」と。
このインタビューは2020年11月におこなったのですが、そして今回の復活宣言というわけです。どうやら言葉だけではなかったようだ。
■将来的にはモータースポーツにも参戦か!?
今回の決算発表では「ラリーアートというブランドを復活させる。当初はスポーツパーツの販売などをおこなう。将来的にモータースポーツへの関与も考えている」といったレベルだったものの、むしろいままで強く踏んでいたブレーキを離した効果が驚くほど大きいと考えます。日本より世界規模でラリーアートは復活するに違いない。
現在進行形で「ミラージュ」や「トライトン」(タイ生産のピックアップトラック)を使ってラリーなど競技に出ている人達がいる。
三菱自動車のファンだったり、三菱自動車のディーラーだったりと、組織や規模はさまざまですが、ここに三菱自動車本体から「やってよい!」というお墨付きが与えられるというわけだ。三菱自動車にはモータースポーツ好きがたくさんいます。
おそらく最初は小さい規模だと思う。けれど成果が出たら、そこで元気も出てくる。元気が出たらクルマも売れ始めるだろう。三菱自動車本体が大きな予算を付けなくても、動きは出てくるに違いない。
加藤さんは素晴らしい判断をしたと思う。喝采を送りたいです。元気な三菱自動車を見られる可能性が出てきました。
三菱、新型アウトランダー PHEVを2021年度中に国内導入! パリダカやランエボを支えた“ラリーアート”も復活へ ~2020年度決算報告にて正式発表~
三菱自動車工業は2021年5月11日(火)、2020年度通期(2020年4月1日~2021年3月31日)の決算を発表。コロナ禍の影響を大きく受け、世界販売台数で前年度比マイナス29%、2期連続の最終赤字と非常に厳しい結果となった。しかし一方で、2021年度に新型車「アウトランダーPHEV」の国内導入や、往年のラリー全盛期に活躍した“ラリーアート”ブランドの復活も宣言し、今期は黒字転換を予想。今後の展開に対し大いに期待が持てる発表となった。
2期連続赤字の三菱、2021年度は新車攻勢で復活を図る
三菱が行った決算発表では、2021年度の業績見通しと共に、同社の構造改革を目指す中期経営計画「Small but Beautiful」の新たな取組みが発表された。
販売が低迷した2020年度だったが、2021年度は新車攻勢による商品強化で販売増を図る。その柱は大きく分けて2つ。
三菱が得意とするASEAN向けには、主力モデルである小型ミニバン「エクスパンダー」(日本未導入)のビッグマイナーチェンジの実施や、2020年7月にビッグマイナーチェンジを発表したパジェロスポーツ(日本未導入)の世界各国への導入などを順次推進していく。
もうひとつの柱は、三菱を支える主力技術である電動化、具体的にはPHEV(プラグインハイブリッド)の商品強化だ。
2020年12月登場のエクリプスクロスPHEVに続き、待望の新型アウトランダーPHEVを2021年度中に導入
新型アウトランダーPHEVの導入計画を前倒しで実施
三菱は、2013年に世界初のSUV型プラグインハイブリッド車として「アウトランダーPHEV」を発売。同社の主力技術として熟成を図ってきた。2020年12月にはコンパクトSUV「エクリプスクロスPHEV」も導入し、さらにラインナップを拡充させている。
5月11日に行われた決算発表では、PHEV商品強化の目玉として、2021年度に日本や豪州で新型アウトランダーPHEVの導入を明らかにした。
2020年7月27日に発表した三菱の新中期経営計画「Small but Beautiful」の中では、新型アウトランダーPHEVの発売時期を2022年度とアナウンスしており、導入計画も前倒しされていることがわかる。
日本仕様の新型アウトランダーはガソリン仕様を導入せず
新型アウトランダーは2021年2月17日にガソリンモデルが先行発表され、北米では早くも4月から販売も始まっている。日本ではガソリンモデルの導入は行われず、アウトランダーPHEVのみが発売されることが今回正式発表された。
現行型アウトランダーシリーズの国内販売は、9割以上がPHEVで占めている。そのため新型アウトランダーのガソリンモデル導入は見送られた模様だ。
なお豪州では、新型アウトランダーのガソリン車とPHEVの両方が投入される予定となっている。
パリダカやWRCなど、三菱のラリー参戦全盛期を支えた“ラリーアート(RALLI ART)”ブランドが復活へ!
中期経営計画「Small but Beautiful」に掲げられた“三菱車らしさ”の定義は「環境」と「安全・安心・快適」
三菱の新中期経営計画「Small but Beautiful」は、販売不振が続く欧州市場での販売網見直しや固定費削減といった構造改革、三菱の主力市場であるASEAN諸国での販売拡大などを掲げている。
その中で“三菱車らしさ”の定義として挙げているのが「環境」と「安全・安心・快適」である。特に「環境」については、先に挙げたPHEV技術はその最たるものだ。
ここに、アライアンスを組むルノー・日産の電動化技術も積極的に導入。e-POWERなどのハイブリッド車や、EV(電気自動車)のラインナップも拡充させることで、2030年には全車種に電動車を用意する計画とした。
いっぽうで、これまで三菱が培ってきたモータースポーツ活動の取り組みも改めて再評価された。
もうひとつの三菱らしさの象徴が「ラリーアート」によるモータースポーツ活動だ
1970年代から始まった三菱のモータースポーツ活動は、特にラリーでの活躍が目立った。
中でも1980年代から2000年代の初頭にかけ、三菱 パジェロによるパリ・ダカールラリーでの優勝記録や、ランサーエボリューションによる世界ラリー選手権(WRC)連覇といった数々の栄光は、未だに世界中の人々の記憶に残っている。
この活動を支えてきたのが、三菱ワークスチームの母体である「ラリーアート(RALLI ART)」だった。トヨタでいう「TOYOTA GAZOO Racing」や、日産の「ニスモ(NISMO:ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル)」に相当するものだ。
しかし2010年、ラリーアートは三菱経営不振の影響により実質的な活動を停止。メーカー主体によるモータースポーツ参戦も休止状態にあった。
しかし、2021年5月11日に発表された中期経営計画の新たな取組みとして、三菱はラリーアートブランドの復活を宣言。まずは「ラリーアート」ブランドのパーツ販売から取り組み、今後モータースポーツ活動の再参戦についても検討を始める。
PHEVを柱にした環境対策の取り組みと、クルマの根源的な楽しさであるモータースポーツ活動を象徴する「ラリーアート」の復活。このふたつの“三菱車らしさ”を強化することで、低迷していた三菱の元気を取り戻す目論見だ。
[筆者:MOTA(モータ)編集部 トクダ トオル]
三菱自、最終赤字3123億円---アセアンの自動車需要回復に遅れ 2021年3月期決算
三菱自動車は5月11日、2021年3月期(2020年4月~2021年3月)の連結決算を発表。最終赤字は第3四半期累計の2439億円から3123億円に拡大した。
昨年初めより顕在化した新型コロナウイルス感染拡大等による世界的な自動車需要低迷は、先進国を中心に徐々に落ち着きを取り戻しつつあるが、アセアンをはじめとする同社の主要市場は回復が遅れ、厳しい状況が続いている。通期販売台数はグローバルで前期比29.0%減の80万1000台となり、売上高は同35.9%減の1兆4555億円となった。
営業損益は、全社的な諸経費・固定費削減や構造改革活動などの効果により、今年2月に公表した通期見通し1000億円の損失から改善し、953億円の損失(前期は127億円の黒字)。収益モメンタムは上期で底を打ち、着実に回復している。経常損失は1052億円(同38億円の赤字)、純損失は3123億円(同257億円の赤字)となった。
2021年度の業績見通しについては、売上高2兆0600億円(前期比41.5%増)、営業利益300億円、経常利益260億円、純利益100億円とした。
Posted at 2021/05/13 20:35:14 | |
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