2021年05月17日
わずか1.5リッターエンジンの画期的スーパーカー「BMW i8」! 後継モデルも出ず「消滅」した理由とは
2020年に生産を終了し後継車は存在しない
見るからに前衛的なスタイリングのスーパーカー。なのに、リヤミッドシップエンジン、排気量は1.5リッターで、前後車輪軸にモーターを持つプラグインハイブリッド車。パワーウエイトレシオへの対応は、アルミ合金を用いてボディの軽量化を狙った。
言うなれば、スーパーエコカーである、BMW i8は2020年を持って生産が終了し、後継車は現状では存在しない。なぜ、i8は1世代だけで終わってしまったのか?
その理由について考えるために、時計の針を少し戻そう。時は2000年代後半、BMWは次世代電動車に関して世界各地でさまざまなリサーチを行っていた。そのなかで、こんな話がある。
米西海岸の有名大学で、EV関連ベンチャーの経営者がEVに関する講演を行った。講演後、「BMW USAの関係者が声をかけてきた」(同ベンチャー経営者)という。さらに「その数カ月後、まさか私がミュンヘン(BMW本社)で契約書にサインをしているとはまったく想像できなかった」(同)という。
こうした生まれたのが、「MINI E」である。BMWは70年代からさまざまなEV試作車を自社開発してきたが、2000年代に新たに立ち上げたEV関連チームとしては、米ベンチャーの力を借りて、早期に実証向けの車両が必要だという見解だった。このチーム、BMW社内では「プロジェクトi」と称した。
BMW i8は使命を終えた
「プロジェクトi」がまず考えたのは、EV向けの電池の確保だ。「MINI E」では、当時は”いわゆるパソコン用の電池”と呼ばれた、直径18cm×高さ65cmの円筒形リチウムイオン二次電池「18650」を大量に採用した。
この手法は、テスラと同じだ。なぜならば、前述の米ベンチャー企業はテスラ向けに18650を使ったEV設計の基盤技術を自社のパテントとしてテスラに提供していたからだ。
その上で、2010年代前半にBMWが出した将来の電動車事業戦略では、ドイツのボッシュと韓国のサムスン電池が協業した設立した大型リチウムイオン二次電池の設計・製造企業をタッグを組むことだった。
そうした経緯を現場で見てきた筆者が、2010年代前半にミュンヘンで開催されたEV関連シンポジウムで目にしたのは、「BMW i」というブランドネームであった。
当時、BMW iの開発担当者らは「EVプラットフォーム化を進めることが重要だ」としながらも「当面は、レンジエクステンダーやプラグインハイブリッド車を併用し、iをシリーズ化していく」と語っていた。それが「i3」と「i8」である。
だが、ボッシュとサムスンの合弁企業はさまざまな理由で企業そのものが消滅という結末となるなど、プロジェクトiが目指した当初の計画は大きく軌道修正する必要が出てきた。
一方で、欧州でのCO2規制強化に動きが活発化し、また中国政府のEV施策でも2010年代中盤になり大きな軌道修正があった。
そうした時代の流れのなかで、「i8」は事実上、孤立してしまったといえる。キレイごとでまとめるならば「i8は、その使命を終えた」と表現するべきだろうか。筆者の実体験を踏まえて、i8に対する”送る言葉”としたい。
【名車への道】’14 BMW i8
21世紀的デザインのエポックメーキング、未来を見据えたBMW渾身の1台
——自動車のデザインって明らかに21世紀になって大きく変わりましたよね? 奇抜なデザインの車も多いですから、多少新しくても「過去に残したいモデル」としてこの企画に登場させるべきなんじゃないかと。どうでしょう?
松本 さすがに長くこの企画を担当してるから目が肥えてきたね。確かに2000年代になって明らかにデザインが変わっていったよね。CO2を削減しながらもパフォーマンスを損ねない、そんなビジョンが明確になってきた時代だからだろうね。空力パーツを高性能化させることによって「高出力で空気を押し切る」ではなく「空気をフローさせて高性能を得る」、そんなモデルが登場し始めたんだ。
——前にその代表格がBMW i8だと聞いていたので、今回はそちらにしました。
松本 いいじゃない。個人的にも好きだな、この車は。昨年の4月に生産を終えてしまったけど、明らかにエポックメーキングなモデルだと思うよ。
——確か最初に世に出たのはショーカーでしたよね?
松本 そうだね。i8のもととなったのは2009年にアナウンスされたBMW VisionEfficient Dynamicsというショーカーなんだ。発表を見て、これは新しい考え方のショーカーだなって思ったよ。
——東京モーターショーで見て、市販化は無理だろうなって思ってました。
松本 僕は六本木ヒルズでプロトタイプを見たんだけど、カーボンとポリカーボネートを使ってとにかく作りがすごかったのをよく覚えているよ。BMW Vision Efficient Dynamicsのコンセプトは素晴らしくて、パフォーマンスはBMW Mモデル、それでいて燃費はプレミアムスモールカー、そんなスポーツカーだったんだ。それにはやはりハイブリッドしかない。i8は3気筒のガソリンターボとモーター駆動によるPHEVなんだけど、BMW Vision Efficient Dynamicsはi8と違い1.5Lディーゼルターボだったんだよね。個人的にはディーゼルユニットであったら、よりエポックメーキングなモデルとなったと思うけど。
——そもそもなんですが、デザインがかなりキテますよね?
松本 そうだね。冒頭にも触れたけど、出力よりも効率の良いクリーンなパワーを有効に使うフォルムなんだ。「速さ」と「静かさ」を印象づけるデザインだね。BMWはステアリングを握って走らせたときのスポーティな感覚をダイレクトに伝える自動車メーカーだと思うんだ。まずデザインでその特性を示したよね。
——なるほど。なんとなく分かります。
松本 デコラティブな空力パーツを取り付けずに、すべてのデザインが空力的に必要不可欠な造形として表現されているんだよ。エアロダイナミクスあってのi8と言えるだろうね。特に素晴らしいのはリアのフローティングしたスポイラーかな。そしてタイヤの見せ方も上手だよね。燃費性能を考えてi8はホイール径に対して細めのタイヤを履いているんだ。でもそうは見えないでしょ? スポーツカーとしてリアの力強い雰囲気をしっかりと作り出してる。これはリアのホイールアーチやフェンダー、ドアの深い造形、リアウインドウのデザインを上手に組み合わせているからなんだよね。
——でも、今じっくり見てみるとフロントも相当に特徴的ですよね……。
松本 このフロントは、他のモデルにはなかったギリシャのエッセンスが組み込まれていると思うんだよね。古代ギリシャのコリント式のヘルメットをほうふつさせるデザインだと思ってるんだ。
——え……?
松本 まったく伝わらない? グラディエーターみたいな感じというと分かる?
——あー、分かりますね(笑)。
松本 キドニーグリルの象徴的な装飾、奥まったヘッドライト、フローティングデザインによるバンパー、これらは空力的に決してアドバンテージがあるように思えないんだ。でも、試乗して長距離を走らせたときに付着していた汚れには空気をよどみなく流した痕跡もあったんだよ。
——見た目からは分からない性能ということですか?
松本 そういうこと。もはやコンピュータだけでは造形できないモデリングスタイリストのセンスの領域なんだよ。他にもフロントバンパーの両サイドに凝ったデザインがされた場所があるでしょ? これはタイヤハウスの前方から後方への空気の流れを作り、タイヤハウス内の空気を整流する役割があるんだ。BMWに取り付けられているダクトのすべては真実だということだね。i8で長距離を走って感じたんだけど、こんなスーパーカーのようないでたちで、乗り心地が良くて疲れないモデルは他にないと思うよ。とにかく静粛性が抜群でね。フロントに当たる空気をフロントガラス上部に当てて、左右のガラスにもスムーズに流しているんだ。だから風切り音も最小限に抑えられてる。これには本当に驚いたよ。あと高速道路を走って感じたのはスタビリティの高さ。CD 値が低いモデルはちょっとした横風でふらつく傾向にあるんだけど、i8は路面に吸い付くように走るんだ。ボディ下に流れる空気を重要視してデザインされているのが感じられるよね。空力にこだわり、スタビリティも高く、快適性も十分。BMWが未来を見据えた渾身の1台、i8はそんなモデルだと思うね。
BMW i8
次世代モビリティのサブブランド、BWM iから登場したプラグインハイブリッドの2+2スポーツ。CFRP 製キャビンとアルミ製シャシーを組み合わせたライフドライブ構造を採用する。フロントのモーターで前輪を、リアのエンジンで後輪を駆動するシステムを取り入れている。 BMW i8の中古車を探す▼検索条件BMW i8 × 全国※カーセンサーEDGE 2021年7月号(2021年5月27日発売)の記事をWEB用に再構成して掲載しています文/松本英雄、写真/岡村昌宏
Posted at 2021/05/17 23:01:50 | |
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BMW | 日記
2021年05月17日
「この発想はなかった!」ラップタイム計測器はシートベルトキャッチに固定する時代!?
シートベルト警告もキャンセル可能!
ラップタイム計測器をスマートに取り付ける必殺アイテム
高い金属加工技術で、痒いところに手の届く様々なカスタムパーツを展開する“ナイトペイジャー”。そんな同社から、サーキットで使用するラップタイム計測器をシートベルトキャッチに固定可能な専用アダプターが発売された。
ナイトペイジャーでは、これまでサーキット計測器をリヤのナンバープレート位置に固定できる「ラップホルダー(3278円)」を販売してきたが、富士や筑波など、計測器の車外取り付けを禁止するサーキットが増えてきたことを受けて、車内に固定できるニューバージョンを開発したそうだ。
このアダプターはラップタイマーと組み合わせて使用するもの。シートベルトキャッチに差し込むタイプなので、4点式ハーネスなどを使用する際に純正シートベルトの警告灯を消すことも可能だ。
価格はアダプター単体が880円で、ラップホルダーとのセットが4158円。サーキット走行を楽しむオーナー諸氏は見逃せない逸品と言えよう。
●問い合わせ:ナイトペイジャー 東京都大田区南六郷3-17-13 TEL:03-6715-9412
Posted at 2021/05/17 22:58:59 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2021年05月17日
「エイプリルフールネタじゃなかったのか!」エンケイが家庭用アルミホイルをガチで商品化!!
エンケイホイールならぬエンケイホイル爆誕
3個セットで660円!
名門ホイールメーカーの“エンケイ”が、調理などで使うアルミホイル『ENKEIホイル』を発売した。このギャグアイテム、4月1日限定のエイプリルフールネタだったのだが、あろうことか本当に商品化してしまったのである。
「蒸す」「焼く」「包む」の三大要素をいかに高速化できるかを念頭に開発された(?)エンケイ渾身の作、価格は3個セットで660円の設定だ。ともあれ、エンケイの遊び心とセンスには、ただただ感服するばかりだ。
Posted at 2021/05/17 22:54:16 | |
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自動車業界あれこれ | 日記