2021年07月10日
スバリストにお馴染みの「プロドライブ」! レース業界の「優勝請負集団」サクセス秘話
モータースポーツ活動事業の成就請け負い集団
プロドライブという名を聞くと、スバルのWRC参戦時代を想起させるクルマ好きも多いのではないだろうか?しかしレーシング現場を取り仕切り世界最高峰にのし上げてゆく遂行能力は、スバルばかりではなくフォード、ルノー、BMW、アストンマーチン、と驚くほど多くの自動車メーカーのワークス活動に展開されてきてもいる。プロドライブとは何か、枚挙にいとまがないだけに一面だけでもお伝えしよう。
WRCチャンピオンのコ・ドライバーのリチャーズ氏が設立
イギリスオックスフォード州バンブリーに拠点を構えるプロドライブ社は、ラリードライバーのアリ・バタネン(マシンはフォード・エスコートRS1800)とタッグを組み、コ・ドライバーとして1981年にWRCチャンピオンに輝いたデビッド・リチャーズ氏が、1984年に開設した小さなワークショップが起源だ。 わずか4人でスタートしたプロドライブは、5度にわたるWRCチャンピオン(マニュファクチャラーズチャンピオン3回、ドライバーチャンピオン2回)、さらにBTCCチャンピオンを5回獲得するなど、ラリーフィールドだけでなく、サーキットレースにも精通する高い技術力を有する。現在ではラリーやレースを通じて得たノウハウをベースに、モータースポーツ界以外の自動車業界にも参入している。
主力となるモータースポーツ活動では、エンジンやトランスミッション、シャーシなど、競技用車両のトータルプロデュース、製作、研究開発をおこなう。特にスバルと共に初代インプレッサで参戦したWRCでは1995、96、97年と3年連続でマニュファクチャラーチャンピオンを獲得したことが有名だ。
ほかにも前述のBTCC(イギリスツーリングカー選手権)にてBMW M3で参戦しチャンピオンを獲得。ほかにもWEC(世界耐久選手権)や世界ラリークロス選手権のオペレーションを担うなど最高峰のモータースポーツの世界で活躍を続けている。
こうしたモータースポーツで得たノウハウをベースにオリジナルのストリート用パーツのほか、わずか6.9kgの軽量折り畳み自転車や、電動化を見据えたフォードトランジットバンをベースとしたハイブリッド救急車の開発など幅広いニーズに応えるグローバル企業として注目されている。
開発能力は多くのスポーツパーツへも展開
WRCでスバルと手を取り合ったことで、以前オートメッセWEBでも紹介した初代インプレッサをベースとしたプロドライブP1やスバルR1をベースとした試作車のP2、さらには2代目インプレッサWRX STiに設定されたプロドライブスタイルなどの発売により、スバルファンからは一目置かれるメーカーだ。
ちなみに1998年に登場したスバル初代プレオRSに搭載されたマニュアルモード付i-CVT「スポーツシフト」の名称はプロドライブの登録商標で、以降3代目、4代目レガシィ、2代目フォレスター、2代目インプレッサなどのマニュアルモード付ATの名称は「スポーツシフト」に統一されていた。
一方プロドライブブランドのスポーツパーツはブリヂストンリテールジャパン株式会社がプロドライブ社のライセンス契約を受け、製造、販売を行っている。ブレーキシステムや車高調整式サスペンションをはじめ、鍛造アルミホイールはその精度の高さから多くのユーザーから人気となっている。
プロドライブ=スバルと思われがちではあるが、現在発売されているスポーツパーツのほとんどは、スバル以外の国産各メーカーのスポーツモデルに適合するアイテムが数多くラインアップされている。とはいえ、プロドライブというブランドはWRCでのイメージもあり、スバルオーナーから人気が高い。特にプロドライブブランドのホイールは、古くから5H PCD100というスバル車ならではの少数派の規格にも適合するものが多く設定されていることも人気の秘密だ。
ただ、最近ではトヨタ86やトヨタプリウスなど、人気モデルがこの規格としていることもあり、以前ほど選択範囲が狭いということもなくなってきたが、依然スバルオーナーからのプロドライブブランドの神話性は高いといえる。
Posted at 2021/07/10 22:54:43 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2021年07月10日
迫力満点!BMWの最上級クーペ「8シリーズ」に漆黒で統一された限定モデルFrozen Black Editionが登場
BMW8「BMW 8 Series Frozen Black Edition」
ビー・エム・ダブリューは、磨き上げられた美しさと、鍛え抜かれた走行性能を誇り、BMWクーペ・モデルにおける最上級モデルの証「THE 8」を冠したBMW 8シリーズをベースに、内外装を漆黒で統一することでスポーティーな個性と存在感を際立たせた限定車「BMW 8 Series Frozen Black Edition(ハチ・シリーズ・フローズン・ブラック・エディション)」の受注を、本年6月30日(水)午前11時より、BMWオンライン・ストア(https://online-store.bmw.co.jp/)限定で開始する。
BMW 8シリーズ クーペ5台、グラン クーペ15台の合計20台の限定販売となる。
「BMW 8 Series Frozen Black Edition」は、BMW伝統の直列6気筒エンジンを搭載したBMW 840iクーペ/グランクーペのM Sportをベースにした限定車で、専用装備を採用して内外装を漆黒に統一することで、BMW 8シリーズが誇るスポーティーさと精悍なデザインを際立たせ、圧倒的な存在感を放つモデルとなっている。
外装色には、BMW Individualの高品質ボディ・カラーであり、まさに漆黒と呼ぶに相応しいマット調の黒であるBMW Individualフローズン・ブラックを採用している。また、キドニー・グリルやテール・パイプ、20インチMライト・アロイ・ホイール728M、Mスポーツ・ブレーキ・キャリパーに至るまで全て黒で統一し、専用装備として採用している。グラン クーペには、さらに電動パノラマ・ガラス・サンルーフが装備されている。
内装も、専用装備となる黒のMスポーツ・シートに加え、アンソラジットのBMW Individualアルカンタラ・ルーフ・ライナー、ブラックのエクステンデッド・レザー・メリノ、BMW Individualピアノ・ブラック・トリムを採用している。
また、Bowers & Wilkinsダイヤモンド・サラウンド・サウンド・システムも装備され、黒で統一された高品質なレザーおよびトリムと共に、BMW 8 Series Frozen Black Editionの唯一無二の世界観と、最上級クーペ・モデルであるBMW 8シリーズならではのラグジュアリーな室内空間を実現している。
メーカー希望小売価格(消費税込み)
■BMW 840i Coupe Frozen Black Edition ¥15,000,000
■BMW 840i Gran Coupe Frozen Black Edition ¥15,100,000
・上記のメーカー希望小売価格は、付属品価格、税金(消費税を除く)、保険料、登録に伴う諸費用を含まない車両本体価格。また「自動車リサイクル法」に基づく、リサイクル料金が別途必要となる。
・右ハンドル、AT仕様。
関連情報:https://online-store.bmw.co.jp/
構成/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)
BMW最高峰の両モデルにオンライン限定車『BMW 8シリーズ・フローズン・ブラック・エディション』登場
BMWのクーペで最上級モデルの証『THE 8』の名を冠した『BMW 8シリーズ』をベースに、内外装を漆黒で統一することでスポーティな個性と存在感を際立たせた限定車『BMW 8 Series Frozen Black Edition(フローズン・ブラック・エディション)』が登場。2ドアのクーペ、4ドアのグランクーペともに6月30日(水)午前11時よりBMWオンライン・ストア限定で受注開始となっている。
今回のBMW 8シリーズ・フローズン・ブラック・エディションは、2020年に追加されたBMW伝統の直列6気筒エンジンを搭載した『BMW 840iクーペ/グランクーペ』のM Sportをベースとした限定車で、日本国内においてクーペ5台、グランクーペ15台の導入が計画されている。
このB58B30A型は度重なる改良を受け、最新ユニットでは最高出力340PS、最大トルク500Nmを発生し、全輪駆動のxDriveを採用するV8搭載モデルとは異なり、こちらも伝統のFR駆動方式を堅持。アダプティブMサスペンションやMスポーツディファレンシャルに加え、インテグレーテッドアクティブステアリングなど、ダイナミクス性能を支える最新装備を標準とする。
外装色にはBMW Individual(インディビジュアル)の高品質ボディカラーであり、漆黒と呼ぶに相応しいマット調の黒であるBMWインディビジュアル・フローズン・ブラックを採用し、キドニー・グリルやテールパイプ、20インチMライト・アロイ・ホイール728M、Mスポーツ・ブレーキキャリパーに至るまで、すべてを黒で統一した豊富な専用装備が採用された。またグランクーペには電動パノラマガラスサンルーフが装備されている。
一方の内装も、専用装備となる黒のMスポーツシートに加え、アンソラジットのBMWインディビジュアル・アルカンタラ・ルーフライナー、ブラックのエクステンデッド・レザー・メリノ、BMWインディビジュアル・ピアノ・ブラック・トリムを採用。Bowers&Wilkins(バウワース&ウィルキンス)ダイヤモンド・サラウンド・サウンド・システムも装備され、黒で統一された高品質なレザーやトリムと併せ、唯一無二の世界観と、ラグジュアリーな室内空間を実現した。
さらに3眼カメラおよびレーダーを用いた最新の運転支援システムや、BMWが国内で初めて導入したハンズ・オフ機能付き渋滞運転支援機能も搭載されており、全車右ハンドル仕様に。5台限定『BMW 840iクーペ・フローズン・ブラック・エディション』の価格は1500万円、クーペに対しホイールベースを200mm延長し、車体後半に専用設計のワイドボディとサスペンションを持つ『BMW 840iグラン・クーペ・フローズン・ブラック・エディション』は、15台限定で1510万円となっている。
BMW カスタマー・インタラクション・センター:フリーダイヤル:0120-269-437
BMW インターネット・ウェブサイト:http://www.bmw.co.jp
Posted at 2021/07/10 22:48:29 | |
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BMW | 日記
2021年07月10日
ポルシェ、パイクスピークで躍動! ワークスの911 GT2 RS クラブスポーツはクラス優勝と総合2位を獲得 【動画】
Porsche 911 GT2 RS Clubsport
ポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ
911やケイマンで多くのプライベーターが参戦
アメリカ合衆国・コロラド州で7月27日に開催された「第99回 パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム」に、ポルシェのワークスドライバーでありパイクスピークのレコードホルダーでもあるロマン・デュマがポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツで参戦。タイムアタック1クラスの優勝に加えて、総合でも2位に入った。
ポルシェ勢は718 ケイマン GT4のワンメイククラスに加え、多くのプライベーターが911で参戦している。ポルシェ・モータースポーツ・ノースアメリカのパイクスピーク担当イベントマネージャー、エリック・スキルマンツは次のようにイベントを振り返った。
「今年のパイクスピークは、イレギュラーな事態への対応が鍵になりました。ロマン・デュマ、ラファエル・アスティエ、タナー・ファウストの3人がクラス優勝を獲得するなど、素晴らしい仕事をしてくれました。2022年の第100回大会でも、ポルシェ・パイクスピーク・トロフィー by ヨコハマ、そして多くのプライベーターたちの参加を楽しみにしています」
イレギュラーな事態に対応したデュマが好タイムを記録
決勝日は気温が氷点下に近づき、山頂付近は降雪に見舞われた上、霧までもが立ち込める難コンディションに見舞われた。そのため主催者はフィニッシュを中間セクター終点である、標高約3856メートルのデビルズ・プレイグラウンドに変更。この結果、フィニッシュ地点の標高が約457メートルも低くなり、ターボチャージャーを搭載しているモデルが強みを発揮することになった。
このイレギュラーな展開のなか、デュマは6分31秒914という驚異的なタイムを記録。タイムアタック1クラスの優勝だけでなく、総合でもプロトタイプのマシンに割って入る2位を獲得した。同じく911 GT2 RS クラブスポーツをドライブしたデイビッド・ダナヒューは、終盤スタートのためコンディションが悪化するなかで素晴らしいペースを披露、クラス3位を手にしている。
718 ケイマンのワンメイクはファウストが勝利
ラファエル・アスティエは、911 GT3 カップカーで6分36秒867という素晴らしいタイムを記録し、オープンクラスで優勝。アスティエのマシンはカップカーをベースにターボチャージャーを搭載し、総合5位に入った。
718 ケイマン GT4のワンメイクカテゴリー「ポルシェ・パイクスピーク・トロフィー by ヨコハマ」は、地元の有力ドライバー、ジョージ・ヘスがプラクティスでリタイアというアクシデントがあり、4台のみの出走となった。
このクラスを制したのは『トップ・ギア USA』の司会者であり、ラリークロスでも活躍するタナー・ファウスト。パイクス初参戦ながらも、7分28秒269のレコードタイムを記録した。2位にはポルシェ・コレクターのボブ・イングラムの息子であるカム・イングラム、3位には2020年のパイクスでルーキー・オブ・ザ・イヤーに輝いたキャサリン・ミード、4位にはアリゾナ在住のアマチュアドライバー、チャス・ウィルケンが続いている。
VIDEO
Posted at 2021/07/10 22:44:01 | |
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ポルシェ | 日記
2021年07月10日
「ラリーアート」と言えばスタリオン4WD! 三菱のフラッグシップスポーツも復活なるか
ラリーアート復活で真っ先に思い出すスタリオンの雄姿
三菱自動車が行った2020年度の決算発表会において、ラリーアートの復活を発表すると同時にモータースポーツ活動の再開にも触れ、多くの三菱ファンの期待を集めることになりました。ラリーアートというのは1984年に設立された三菱の子会社で、三菱のラリー&レース活動を統括していたモータースポーツ専門会社ですが、その一方で三菱車に向けたモータースポーツパーツや機能パーツのブランドであり、また三菱のハイパフォーマンスモデルのブランドとしても広く認知されていました。
残念ながら三菱がモータースポーツ活動を縮小するにつれて活動も制限されていき、2010年にモータースポーツ活動を事実上休止してしまいました。決算発表会では、モータースポーツの一体どんなカテゴリーに参戦を計画しているのか、については発表されていませんでした。
WRCやダカール・ラリーへの復活が噂(期待?)されているようですが、個人的にはスポーツカーレースへのカムバックを期待しています。現在のラインアップからは夢物語ですがスタリオンの復活を期待したいのです。読者の中にはスタリオンの存在自体を知らない若いファンも少なくないと思うので、先ずはスタリオンを紹介し、続いて、そのモータースポーツ界での活躍を振り返ることにしましょう。
三菱のスポーツカーといえば「スタリオン」
スタリオンは1980年代に三菱が生産していたスポーツカー。5シーターのハッチバックというパッケージングではスポーツクーペと呼ぶべきでしょうか。ともかく当時の三菱の、フラッグシップモデルでした。 パッケージング的にはギャランとして4代目となるアッパーミドルの4ドアセダン、A161系ギャランΣとフロアパンを共用し、前後ストラット式のサスペンションも基本的に共通。搭載するエンジンも当初は2L直4シングルカムのG63Bとそのターボ版をラインアップ。後に2.6L直4シングルカムのG54BT(ターボ仕様)が登場。最終的にはワイドボディに、この2.6Lターボエンジンを搭載した2.6 GSR-VRに一本化されることになりました。
そんなスタリオンはさまざまなモータースポーツ、レースにもラリーにもチャレンジを続けることになりました。レースに関しては当初、プライベーターがグループN仕様にチューニングしてローカルレースに参戦する程度でしたが、ラリーに関してはラリーアートが主導する三菱ワークスとして、世界ラリー選手権(WRC)参戦を目指してグループBのスタリオン4WDのプロジェクトが1983年にスタートしています。
真っ向からGr.Bアウディに敵対したスタリオン
これは文字通りスタリオンに、アウディの秘密兵器としてWRCで猛威を振るうようになったフルタイム4WDシステムを組み込んだもので、トランスミッションの後方に組み込んだトランスファーで前輪用の駆動力を取り出し、短いプロペラシャフトでフロントアクスルに駆動力を伝えるようにパッケージされていました。
前後の駆動配分はアウディと同じく50:50で固定されていましたが、直列5気筒エンジンをフロントに搭載していたアウディに比べると、直列4気筒のスタリオンはフロント荷重が55%程度で、アウディほどノーズヘビーに悩まされることもなく、結果的に3月に行われたポルトガル・ラリーで競技車が走った直後にコースを試走。この時点で早くもセクションによっては、(ラリー本番での)アウディと同等の速さで走ってポテンシャルが確認されました。
スタリオン4WDのデビュー戦は1984年の7月。フランス南部、ニース近郊にある軍の演習場を使って開催されるミル・ピスト・ラリー(9e Rallye des 1000 Pistes 1984)でした。これはヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)のシリーズ戦でしたが、グループBのホモロゲーションが下りる前だったスタリオン4WDもプロトタイプ・クラスとして出走が認められていました。そしてERCにはポルシェやルノーのワークスチームが参戦するなど、レベルの高いイベントでした。
このラリーでスタリオン4WDはプロトタイプ・クラスでクラス優勝を飾りました。プロトタイプ・クラスはスタリオン4WD以外にはシトロエン・ヴィザ 4×4とマトラ・ムレーナの2台が参戦していたのみでしたが、彼らが脱落したことで完走したスタリオン4WDが優勝したのです。いくつかトラブルに見舞われたこともあって、総合的なタイムではまだまだ特筆すべきものはありませんでしたが、ポテンシャルの一端を見せつけることはできました。
重要なことは、そのトラブルシューティングの見通しが立ったことです。この年の10月にはグループBのホモロゲーション(車両公認)がおり、シリーズ最終戦、11月のRACに正式デビュー。翌1985年にはポルトガルとアクロポリス、1000湖、サンレモ、RACに参戦することが決定しました。
ところが……。ホモロゲーションに必要な200台の生産に取り掛かる前にプロジェクトの休止が決定されたのです。200台のグループB(のホモロゲーション)車両販売に関する検討再考か、浮かんできたグループB車両規定調整事項かなどいくつかの理由が噂されていましたが、いずれにしてもグループB仕様のスタリオン4WDによるWRCチャレンジは叶わなくなってしまいました。
しかしスポーツ4WDの技術開発の名目は保持され、プロトタイプ車でのテスト参戦は続行されることになり、1986年には香港~北京ラリーに参戦。中国人初のプロラリードライバー 、L.ニンジュンが、スティグ・ブロンキストのアウディ・クアトロA2に続く総合2位入賞。それにしてもWRCでの活躍を観たかったものです。
グループBを目指して開発されていたスタリオン4WDラリーに代わって、三菱の主戦ラリーカーとなったのがグループA仕様のスタリオン・ターボでした。1986年の1000湖にプライベーターが参戦していますが、翌1987年の1000湖からはラリーアート・ヨーロッパ=ワークス体制での参戦が始まっています。
ただし主役がグループBからグループAに代わっていたものの、WRCのほとんどのラウンドは相変わらず4WDが猛威を振るっていて、ハイパワーの後輪駆動がポテンシャルを発揮できる場は限られていました。
実際、スタリオン・ターボは1987年アイボリー・コーストで総合4位入賞を果たしています。その一方、中東ラリー選手権(MERC)や英国選手権、アジア・パシフィック・ラリー選手権(APRC)などでトップコンテンダーとして活躍しました。また1987年には篠塚建次郎がドライブしたスタリオン・ターボがヒマラヤン・ラリーで総合優勝を飾っています。
レースではグループA仕様の一大勢力にも
グループBを目指したスタリオン4WDラリーからグループAのスタリオン・ターボへと主戦マシンが変わっていったラリーと異なり、レースでは当初からグループA仕様が主戦マシンを務めていました。イギリスやオーストラリアで参戦を続けていましたが、1985年に全日本ツーリングカー選手権(JTC)最終戦のインターTECで“里帰り”デビューを果たすことになりました。 その時の体制は超がつくほどの豪華版。ラリーアート・イングランド(#5)と同香港(#10)、同オーストラリア(#66)と3つの地区のラリーアートから3台のワークス・スタリオン・ターボが来日。#5には高橋国光/武藤文雄、#10には中谷明彦と3人の日本人ドライバーが乗り込むことになりました。
ETCチャンピオンのボルボ240ターボには大きく離されてしまいましたが、中谷が予選3位、国光組がこれに続いてセカンドローに並んでみせました。決勝でも2台のボルボが独走。その後方でこの年の全日本チャンピオンとなるBMW635CSiと激しく争った末に4位でチェッカー。国産車としてのベストリザルトを残しています。
翌1986年シーズンからはJTCにフル参戦を開始し、国光/中谷のコンビがシリーズ第3戦のレース・ド・ニッポン筑波で初優勝。最終戦のインターTECでは中谷が、遠来のジャガー2台に割って入る予選2番手でフロントローを確保。ジャガーを率いていたプレイングマネージャーのトム・ウォーキンショウをして「あれは何者だ!」と驚かせしめたことは、今も語り草となっています。
そしてフル参戦2シーズン目となった1987年には開幕戦の西日本、第2戦の西仙台と開幕2連勝を飾りましたが、ライバルも大きな進化を遂げることになり、残念ながらシリーズチャンピオンには一歩手が届きませんでした。
次なる時代の魁を予感させるラリーアート復活
これ以降、スタリオンがサーキットで活躍する姿を見かけることはなくなり、1990年にはスタリオン自体も、GTOに後を託して表舞台から姿を消すことになってしまいました。そしてそのGTOも2001年に生産を終了し、その後、三菱のモデルラインアップにはフラッグスポーツは“空席”のままとなってきました。
最後に、今回のラリーアート復活発表に際して想い描いた夢物語を紹介しておきましょう。それは日産からOEMで新型フェアレディZの供給を受け、スタリオンを復活させる。それをベースに電気自動車にコンバートするというプラン。一見破天荒ではありますが、去る4月にはFIAが電動GT(e-GT)カテゴリーの創設を発表したばかり。これまでi-MiEVやMINICAB-MiEVなどの軽自動車規格を筆頭に、さまざまな電気自動車(BEV)やプラグイン・ハイブリッド車(PHEV)を生産してきた三菱には、同門である日産とともにこうした電動化の期待が高まっています。フォーミュラEに参戦している日産と並行して三菱がe-GTに挑戦するというのは、あながち無理筋な話ではないのかな、とも考えます。
現在、フォーミュラEに参戦しているジャガーが、より市販モデルにイメージの近いe-GTにコンバートしてきたら、1986年のインターTECの再現も! と夢はますます膨らんでいきます。
Posted at 2021/07/10 22:40:51 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2021年07月10日
全日本ラリー第7戦:GRヤリス駆る勝田範彦がスバルWRX勢抑え、今季初のグラベル戦を制す
全日本ラリー選手権第7戦『ARKラリー・カムイ』が7月2日~4日、北海道虻田郡ニセコ町を舞台に開催。今季初のグラベル戦が開催された。
2021年の全日本ラリー選手権はターマックでの4連戦を消化し、今季初のグラベル戦となるラリー・カムイでシーズンの折り返しを迎えた。8月20日~22日に秋田県を舞台とする第8戦の横手ラリー、9月10日~12日に北海道を舞台とする第9戦のラリー北海道とこの後もグラベルイベントが続くことから、まさにカムイはグラベル3連戦の初戦として、また今後のタイトル争いを左右するうえでも注目を集めていたのだが、同イベントで幸先の良いスタートを切ったのが地元ドライバーの鎌田卓麻だった。
3日、鎌田はシムスレーシングのスバルWRXを武器にオープニングステージとなるSS1でベストタイムをマーク。しかし、続くSS2では同じくスバルWRXを駆るアライモータースポーツの新井敏弘がベストタイムをマークするほか、SS3でもSSウインを獲得し、新井が2番手の鎌田に1.4秒の差をつけてファーストループをトップでフィニッシュする。
この新井VS鎌田のスバル勢の一騎打ちに割って入ったのが、トヨタGAZOOレーシングでGRヤリスを駆る勝田範彦で、SS4、SS5でベストタイムをマーク。しかし、地元ドライバーの鎌田もSS6で2回目のSSウインを獲得し、好天に恵まれたレグ1をトップでフィニッシュした。2.4秒差の2番手につけたのはGRヤリスで初めてのグラベル戦に挑んだ勝田で、新井がトップから6.4秒差の3番手でレグ1をフィニッシュした。
一方、GRヤリスを駆る奴田原文雄がギアボックストラブルでレグ1を離脱するなか、シュコダ・ファビアを武器にターマックで3連勝を果たした福永修が4番手でレグ1をフィニッシュ。しかし、首位とのギャップはすでに15秒も拡大したことから、トップ争いは鎌田VS勝田VS新井の3台に絞られることとなった。
この三つ巴のトップ争いで最初に脱落したのが、「先頭スタートで砂利がすごくて、まったくグリップしなかった」と語る鎌田で、その言葉どおり、4日のオープニングステージとなるSS7でトップから3.1秒遅れの4番手タイムに低迷し、2番手に後退。変わって同ステージを制した勝田が首位へ浮上する。続くSS8でもトップから11秒遅れの3番手タイムに伸び止んだ鎌田が総合順位でも3番手に後退し、変わって新井がトップから3.3秒遅れの2番手に浮上。さらにSS9では新井がベストタイムをマークし、オーバーオールでも勝田をかわして、0.3秒差で首位に浮上した。
サービスを挟んで行なわれたSS10では、新井と勝田が同タイムでSSウインを分け合うなど互いに譲らない激しい一騎討ちが展開していた。SS11ではベストタイムをマークした勝田が首位に浮上し、新井が0.5秒差の2番手で続くなど、まさに2021年のラリー・カムイでは僅差のシーソーゲームが展開。そして、両者の対決は大会最長距離を誇る15.23kmのSS12に持ち込まれることとなった。
この勝田VS新井の一騎打ちを制したのは勝田で「初めてのグラベル戦だったので、どこまで戦えるのかわからなかったけれど、レグ1のセカンドループで手応えを掴むことができた。なんどか危ない場面もあったけど、最後は全開でアタックして勝つことができたので本当に嬉しい」と語るようにSS12で今大会6回目のSSウインを獲得し、わずか0.7秒差で逃げ切りに成功。勝田が今季初優勝およびGRヤリスでの初優勝を獲得した。
「最終SSはこれ以上は無理と言うぐらい全開で攻めたけれど勝田選手が速かった。クルマは良かったので走り負けた」と清々しい表情を見せる新井が2位に入賞し、「勝田選手と新井選手に離されたのでポジションキープに切り替えた」と語る鎌田が3位で表彰台を獲得。勝田のチームメイトとしてGRヤリスを駆る眞貝知志が4位入賞を果たした。
【GRヤリス初勝利!】勝田範彦、今季初グラベルを0.2秒差で制す【JRC第7戦 2021 ARKラリー・カムイ】
2021年7月2~4日、北海道のニセコ町、蘭越町(らんこしちょう)周辺を舞台に開催されたJRC(全日本ラリー選手権)第7戦 2021 ARK ラリー・カムイ。今シーズン初のグラベルラリーで勝田・木村組のトヨタ GRヤリスが念願の初勝利を飾った!
●フィニッシュ後に今季初優勝を喜ぶ、勝田・木村組
LEG1を鎌田・松本組(スバルWRX)に次ぐ2位で終えた勝田・木村組は、翌日LEG2のオープニングステージ、SS7で首位に立つ。その後は、2位に浮上した新井・田中組(スバルWRX)とシーソーバトルを繰り広げた。SS8、SS9で連続ベストを叩き出した新井・田中組が首位に立つも、SS11では勝田・木村組が逆転。続く最終ステージSS12でもベストタイムをマークし、見事な逆転優勝を決めた。2位の新井・田中組とは、わずか0.7秒差だった。
●豊岡チーム監督と笑顔で握手をかわす、勝田範彦選手
開幕戦の新城ではエンジントラブルでリタイアするなど、決して順風満帆のデビューとはならなかったGRヤリス。グラベルということもあり、熟成の進んだWRX STI勢が有利だろうとの下馬評を覆す初勝利で、続くグラベル2連戦に弾みをつけることになった。
<文と写真=山本佳吾>
Posted at 2021/07/10 22:07:28 | |
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自動車業界あれこれ | 日記