2021年09月24日
【またも軽規格】ケータハム「セブン170」 日本資本となって初の新型車
軽のセブン 新型にモデルチェンジ
執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)
編集:Tetsu Tokunaga(徳永徹)
9月23日、英国のケータハムカーズが、同社史上最軽量の量販車「セブン170」を発表。日本ではケータハムカーズ・ジャパンから同日19時に販売が開始された。
セブン170は、2014年12月に発売されて大成功をおさめた、セブン160の後継モデルだ。
つまりそれは、セブン160と同様に日本の軽自動車の規格に準拠していることを意味している。そう、日本では軽自動車として登録することができるのだ。
日本独自の自動車規格、軽自動車。1998年10月に施行された現在の規格は、全長3.4m以下×全幅1.48m以下×全高2m以下、乗車定員は4名以下、貨物積載量は350kg以下、そしてエンジン排気量が660cc以下であれば、どこの国で生産されたクルマでも軽自動車として登録できる。
それゆえ、かつてはスマートやフィアット126が規格に適合していたので、軽自動車として登録することができた。
いまや日本の軽自動車市場は、ホンダNボックス、スズキ・スペーシアといったスライドドアのハイト系ワゴンが大半を占めており、趣味的なスペシャルモデルといえそうなのは、ダイハツ・コペンとスズキ・ジムニーくらい。
軽唯一のスポーツカーとして奮戦していたホンダS660も2022年3月で生産終了が決定し、最終モデルの「モデューロXバージョンZ」はすでに完売してしまった。
軽自動車だけでなく「スポーツカー受難の時代」に、170にアップグレードして登場した軽のケータハム・セブン。では、その概略を紹介していこう。
最高出力/最大トルクがアップ
セブン170のエンジンは、セブン160よりもパワーアップされたスズキ製658cc 直3ターボだ。
日本では軽自動車のエンジンは自主規制値として最高出力を64psにおさえているが、セブン170では最高出力は85ps/6500rpm、最大トルクは11.8kg-m/4000−4500rpmを発生する。
ちなみに、セブン160のパワースペックは80ps/7000rpmと10.9kg-m/3400rpmだったから、最高出力は5ps、最大トルクは0.9kg-mアップされている。
トランスミッションは、5速MT。スズキ・エブリイ用のリアアクスルを流用し、もちろん後輪のみを駆動する。
サスペンション形式は、前がダブルウィッシュボーン、後ろがマルチリンク・ライブアクスル。ブレーキは、前がソリッドディスク、後ろがドラムとなる。
タイヤはパワーとのバランスを考慮して、ワイドなハイグリップタイプではなく、155/65R14(このサイズもセブン160と同じ)のエイボンZT7を履く。
わずか85psだが、後述する軽量ボディのおかげで、0-100km/h加速はわずか6.9秒と瞬足。最高速度も168km/hに達する。
しかも、ユーロ6やロンドンの超低排出ゾーンであるULEZ(ウルトラ・ロー・エミッション・ゾーン)の基準をクリアしており、ケータハム史上もっとも環境に優しいモデルの1つとなっている。
外観/サイズ 50kgも減量
セブン170のボディサイズは、全長3100×全幅1470×全高1090mm、ホイールベースは2225mm。このサイズは、セブン160とまったく変わっていない。
だが、ケータハム・セブンのルーツであるロータス・セブンのパイオニア精神を忠実に守り、「簡素化と軽量化」を徹底した結果、セブン170の車両重量(オプション装備による最軽量乾燥重量)は440kgにおさえられた。
ちなみに、セブン160では490kgだったから、さらに50kgの軽量化が図られている。
パワー・トゥ・ウェイト・レシオ(単位重量あたりの出力)は193ps/t。184psの2Lエンジンを搭載したマツダ・ロードスターRFでも167ps/tくらいだから、かなりの数値といえるだろう。
スタイリングは、従来からのセブンと基本的に変わらない。リアアクスルの直前にドライバーが位置する、ロングノーズのクラシカルなものだ。前述のようにスズキ製のリアアクスルを採用し、リアフェンダーの幅を縮めて全幅を1470mmとして、軽自動車の規格におさめている。これは現行販売されている他のセブンより105mmも狭い。
ボディは無塗装のアルミで、カラーコンポジットのノーズコーン/前後フェンダーが標準装備。
セブン160ではスチール製だったホイールは、アルミニウム合金製になった。フロントはサイクルフェンダーが標準。リアコンビネーションランプはLED製になるなど、プリミティブなセブンといえども21世紀のクルマとして少しずつ進化しているようだ。
内装/グレード/装備 「R」登場
セブン170には、ロード志向のSモデルとサーキット志向のRモデルが設定された。
このうち「170 S」は、よりロード志向のドライバー向けに、5速ギアボックス、ロードサスペンションパック、14インチのJunoシルバーアロイ&ポリッシュドリップ・ホイール、エイボンZT7タイヤ、フル・ウインドスクリーン、ソフトトップ&ドア(エアロスクリーンは付属しない)、ブラックレザーシート、MOMO製ステアリングホイールなどを標準装備する。
「170 R」は、前モデルのセブン160では選択できなかった追加バリエーションだ。
5速ギアボックス、スポーツサスペンションパック、14インチのJunoブラックアロイ&ポリッシュドリップ・ホイール、エイボンZT7タイヤ、コンポジットレースシート、4点式レースハーネス(車載)、LSD、MOMO製ステアリングホイール、カーボンダッシュボードなどを標準装備する。
いずれもインテリアでは、ラバーフロアマットやトランクフロアカーペット、3点式シートベルト、12Vソケット、プッシュボタンスタート、イモビライザーなどが標準装備。
オプションパーツについては、セブン170も他のセブンと同じように豊富に設定されている。
ボディの素材やペイント、ストライプやデカール、LEDヘッドランプ、シートの素材、ハーフドアやトノカバー、さらにサーキット走行にも対応するロールバーなど、オーナーの好みのセブン170を仕立てるためのアイテムは十分以上の品揃えだ。
価格 VTホールディングスとの関係
ケータハム・セブン170(日本仕様)の税込み車両価格は、「170 S」が539万円、「170 R」が561万円。
「軽自動車なのに500万円超え!」と思われる人も多いだろうが、いまや貴重な軽自動車のピュアスポーツカー。
これを高いと思うか、安いとは思わないまでも妥当な線と思うかは、まさに読者諸氏の考え方次第といえるだろう。
なお今年4月1日に、愛知県名古屋市に本社を置く自動車ディーラーグループ、VTホールディングス社(ケータハムカーズ・ジャパンの親会社)が、英ケータハムカーズ「Caterham Cars Group Limited」の株式を取得し、連結子会社化している。
日本資本になってから発売される最初のモデルとあって、我が国のクルマ好き、スポーツカー乗りには見逃せない1台の登場となった。
ケータハム・セブン170 スペック
ケータハムセブン170の主要諸元は、下記のとおりとなっている。
イギリス本国発表値をもとにしているため、日本仕様の車検証に記載される数値は異なる可能性があるという。
車両価格:539万円(170 S)/561万円(170 R)
最高速度:168km/h
0-100km/h加速:6.9秒
全長×全幅×全高:3100×1470×1090mm
ホイールベース:2225mm
乾燥重量:440kg(最軽量仕様)
エンジン形式:658cc直3ターボ
最高出力:85ps(62.6kW)/6500rpm
最大トルク:11.8kg-m(116Nm)/4000−4500rpm
トランスミッション:5速マニュアル
駆動方式:FR
燃料:プレミアム
タンク容量:36L
タイヤサイズ:155/65R14
軽ナンバーで乗れるケータハム史上最軽量のスポーツカー「セブン170」が発売! ロード志向とサーキット志向の2グレードを設定
エスシーアイは2021年9月23日(木)、軽自動車規格に適合したケータハム史上最軽量の量産車「ケータハム セブン170」を発売した。価格(税込)はセブン170Sが539万円、170Rが561万円。
現在販売されているモデルの中で最小で最軽量
セブン170は全幅1470mmと現行で販売されているモデルよりも105mm狭い最小のセブンだ。
初期セブンから受け継がれる「簡素化と軽量化」を実現するため、セブン170の車両重量は440kgと現在生産しているケータハムブランドの最軽量モデルにあたる。
エンジンはスズキ製の660ccターボチャージャー付きエンジンを搭載しており、最大出力は85馬力、最大トルク116kWを発生。0-100km加速は6.9秒、最高速度は160kmを超える。パワーウエイトレシオは193馬力/tとなり、155/65R14のタイヤとライブリヤアクスルサスペンションと組み合わせた。
セブン170は前モデルのセブン160にはなかったアロイホイールやリヤLEDライト、新ストライプデザインが設定された。
ロード志向のSグレードにはソフトトップなどを設定
グレードはロード志向のSとサーキット志向のRの2グレードを用意する。
170Sはよりロード志向のドライバー向けに5速ギアボックスやロードサスペンションバック、14インチJunoシルバーアロイ&ポリッシュドリップ+Avon ZT7タイヤ、フルウインドスクリーン・ソフトトップ&ドア(エアロスクリーンは非付属)、ブラックレザーシート、Momoステアリングホイールが標準装備される。
Rグレードはスポーツサスペンションやシートなどサーキット仕様らしい装備を用意
170Rは新たに追加されたグレードで、5速ギアボックス、スポーツサスペンション、14インチJunoブラックアロイ&ポリッシュドリップ+Avon ZT7タイヤ、コンポジットレースシート、4点式レースハーネス、LSD、Momoステアリングホイール、カーボンダッシュボードが標準装備される。
【筆者:MOTA編集部】
軽自動車規格のケータハム復活! 「セブン 170」が史上最軽量の量販車として日本でも発売
2021年9月23日、英国ケータハムカーズはケータハム史上最軽量の量産車となる「セブン(SEVEN) 170」を発表。同日に日本でも発売が開始された。
ロード志向のSモデルとサーキット志向のRモデルを設定
1950年代に誕生したロータスのライトウエイトスポーツカー、「ロータス 7(セブン、通称:スーパーセブン)」の生産権を引き継いで「ケータハム セブン(SEVEN)」として製造を続けているイギリスの小さな自動車メーカー、ケータハム。現在は日本のVTホールディングスが連結子会社化し、日本ではケータハムカーズ・ジャパン(エスシーアイ)が販売している。
今回発表された「セブン 170」は、2014年に発表されて大成功をおさめたセブン 160の後継モデルにあたる。つまり、セブン 160同様にセブン 170も日本の軽自動車の規格に準拠しており、軽自動車として届出(登録)することができる。
ロータス セブンのパイオニア精神を忠実に守り、「簡素化と軽量化」を実現するため、セブン 170の⾞両重量(オプション装備による最軽量乾燥重量)は440kgだ。スズキ製の0.66L 3気筒ターボエンジンは最高出力62.6kW(85ps)と最大トルク116Nm(11.8kgm)を発生。パワーウエイトレシオは5.18kg/psとなるから、ハイパワースポーツカー並みの数値だ。タイヤサイズは155/65R14で、スズキ エブリイのリアアクスルと組み合わされ、全幅は1470mmにおさえられている。
わずか85psでも軽量ボディゆえ、0→100km/h加速は6.9秒と瞬足。最高速度は168km/hに達する。それでいながらEURO 6とULEZ(ロンドンのウルトラ ロー エミッション ゾーン)基準に適合しており、ケータハム史上もっとも環境に優しいモデルのひとつでもある。
セブン 170は、従来モデルのセブン 160にはなかった新しいアルミホイールやLEDのテールランプ、新ストライプデザインなどを採用し、ロード志向の「S」とサーキット志向の「R」が設定される。
170Sは、よりロード志向のドライバー向けに、5速MT、ロードサスペンションパック、14インチ Juno シルバーアロイ&ポリッシュドリップ ホイール+エイボン ZT7タイヤ、フルウインドスクリーン、ソフトトップ&ドア(エアロスクリーンは付属しない)、ブラックレザーシート、MOMOステアリングホイールなどが標準装備される。
もう一方の170Rは、従来のセブン 160で選択できなかった追加バリエーションだ。5速MT、スポーツサスペンションパック、14インチ Juno ブラックアロイ&ポリッシュドリップ ホイール+エイボン ZT7 タイヤ、コンポジットレースシート、4点式レースハーネス(⾞載)、LSD、MOMOステアリングホイール、カーボンダッシュボードなどが標準装備となる。
ケータハムカーズのCEOであるグラハム・マクドナルドは、次のように語っている。
「セブン 170は、アクセスしやすく、シンプルで、軽量のスポーツカーを提供するというケータハム ブランドの評判を本当に高めています。従来モデルのセブン 160の人気を考えると、セブン 170がお客様に提供する可能性には本当に興奮しています。セブン 160の優れた点は、そのパフォーマンスと競争⼒のある価格でしたが、セブン 170にはさらに多くの選択肢を追加しました。以前のセブン 160で選択できなかった170Rを含めることで、新旧両方のお客様に非常に喜ばれる仕様になったと確信しています。」
ケータハム セブン 170の車両価格(税込)は、170Sで539万円、170Rで561万円。セブンの他グレード車と同様に、サイドスクリーンやトノカバー、ボディのペイント、シートの素材、そしてサーキット走行用のパーツなど、オプションは豊富。世界に1台しかない、自分だけの「セブン」を創り上げることも可能だ。(掲載写真の車両は、いずれもカタログモデルではないオプション装着車)
■ケータハム セブン 170 主要諸元
●全長×全幅×全高:3100×1470×1090mm
●ホイールベース:2225mm
●車両乾燥重量:440kg
●エンジン:直3 DOHCターボ
●総排気量:658cc
●最高出力:62.6kW(85ps)/6500rpm
●最大トルク:116Nm(11.8kgm)/4000−4500rpm
●トランスミッション:5速MT
●駆動方式:FR
●燃料・タンク容量:プレミアム・36L
●最高速度:168km/h
●0→100km/h加速:6.9秒
●タイヤサイズ:155/65R14
●車両価格(税込):539万円<170S>/561万円<170R>
Posted at 2021/09/24 23:36:56 | |
トラックバック(0) |
自動車業界あれこれ | 日記