2021年12月09日
総パーツ数は100点以上 4スト2気筒エンジン手作りキット「X-Power」が登場 マクアケで先行販売中
クラウドファンディングサイト「Makuake」で、自分で作る超小型エンジン「X-Power」が支援募集を開始。目標額を遙かに上回る、約1400万円を集めています。
X-powerの仕様は、水冷式の4ストローク2気筒エンジンで、最大1.05馬力を発生させます。組み立てパーツ総数は100点以上で、自らの手で作ることで、エンジンという機械の構造をより深く学べるとしています。
完成したエンジンのサイズは595×450×844ミリ、重さは700グラム。そのままインテリアとして飾って楽しむだけでなく、RCカーなどをベースにエンジンを搭載した自作マシン作成にチャレンジするのもよし。発電機やウォーターポンプの動力として使用することもできるそうです。
現在、Makuakeでは通常価格からの2割引した特別価格5万6800円(税込)で先行販売を実施中。数量限定のため気になる人は早めにチェックしておいた方が良さそうです。
「こいつ…、動くぞ」総排気量7ccの超小型エンジン組み立てキット 予約開始
フリーアップは、100以上のパーツから作る4ストローク2気筒水冷エンジンキット「X-Power」の先行予約販売をクラウドファンディングサイト「Makuake」にて開始した。排気量は7.0cc、最高出力は1.05ps……!!
X-Powerは自分で作って動かせる本格ミニチュアエンジンだ。組み立ては直径約2cmの小さなピストンにピストンリングを取り付けるところからスタート。100以上のパーツを使って組み立てていくことで、メーカーのモノづくりの本気度を体感できる。
完成したエンジンはサイズが595×450×844mm、重量700g。ボア径16.6mm×ストローク長17mmで、1気筒あたりの排気量は3.5cc。ニトロ30%燃料による最高出力は1.05ps/1万6000rpm。水冷システムが組み込まれ、オーバーヒートを防ぐ。
完成後、実際に燃料タンクを接続して動かせばエンジンの構造がよく理解できる。どのようにエンジンが冷やされて動力が伝わるのか、どのように燃料が燃焼してピストンが動き、その動きがクランクシャフトを動かしているのか。本では分からないことも、ゼロから自作すれば手に取るように実感できる。
また、組み立てたエンジンは、人それぞれの創造力を生かした楽しみ方ができる。RCカーやレゴカーに搭載したり、発電機やウォーターポンプの動力源としても利用できる。
価格(台数限定・超早割)はエンジンキットが4万9700円、組立工具付きがネセシティパックが5万3900円、ベース台と燃料タンクが付属するベースパックが6万6500円など。
Posted at 2021/12/09 21:34:41 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2021年12月09日
新型4輪EVアイディア『AA-i』、自動運転や遠隔操作も開発中…EVバイクコレクション2021
2021年12月4日、5日に東京国際フォーラムで開催された「EVバイクコレクション in TOKYO 2021」にて、アイディアの新製品「AA-i」(エーエーアイ)が発表された。
会場では展示ゾーンとステージイベントの両方に出展し、ステージにはマーケティング部・成田裕一郎氏が登壇。「AA-i」の特徴と、現在開発中の技術についてプレゼンが行われた。
アイディアは2019年に設立したモビリティブランドで、電動3輪バイク「AA-Cargo」を発売中。同車は2018年にグッドデザイン賞を獲得し、日本マクドナルドや日本郵便、DHLジャパンなどの企業で採用されているモデルとなる。
今回発表された「AA-i」は「AA-Cargo」のコンセプトをさらに発展させ、2輪車のサイズと手軽さを持ちながら、4輪であるためより安定性が増したを両立させたEVバイクとなっている。
車両区分は「ミニカー」にあたるため、普通免許で運転が可能。大型スクリーンとルーフがついているため雨や風にも強く、通常のバイクより快適性を高めている。
足回りは特に注力されており、フロント、リア共に左右独立懸架サスペンションを採用。4つのタイヤがそれぞれ衝撃を吸収する上、コーナリング時は電子制御によって傾斜を制御するため転倒することがなく、非常に高い安定性を誇っている。
また、インホイールモーターによって駆動系のパワーロスをできるだけ避けており、重い荷物を積んでいたり、坂道であってもEVらしいパワフルな走りが実現されている。
小型のため都市部の混雑や駐車場不足の解消が見込めるほか、エネルギー効率の高さ、環境負荷の低減といったメリットも挙げられる。もちろんEVならではの静音性や排気ガスのなさ、災害時の電力供給といった特徴も挙げられた。「AA-i」に搭載されている7.7kWhリチウムイオンバッテリーでは、2人世帯の約一日分の電力を供給できるそうだ。
さらにプレゼンでは次のステップとして、アイディアが想像する未来社会、「AA-i」を使った「モノとヒトの移動」の革新的な研究開発が行われていることも発表された。その内容は2つあり、ひとつが「自動運転」だ。電磁誘導線の上を「AA-i」が無人走行し、店舗と顧客の間を繋ぐことで、輸送コストを減らしながら、通信販売などの利用が見込めるものとなっている。
もうひとつが「遠隔操作」となっており、ネットワークを通じて電磁誘導線のない場所も走行することができる。最新のコントロールデバイスを活用することで、身体的にハンディを背負った人でも操縦が可能だそうだ。
また、新たな移動手段として、指定された場所まで無人走行した「AA-i」にユーザーが乗り込む、タクシーのような運用も提示された。人を乗せた「AA-i」は遠隔操作によって運転されるため、乗っている人は免許や技術が不要となり、時間の有効活用や、高齢者でも利用が可能となっている。到着後は乗り捨てしてOKで、「AA-i」は無人走行で充電ステーションまで帰還するという。
コロナ禍の新たな移動手段として注目されているEVバイクのモビリティとしての活用に加え、環境問題や社会問題の解決を見据えた「AA-i」。発売時期や価格等はまだ未定とのことだが、今後も注目の一台といえる。
「4輪なのにバイクなの?」 超小型4輪EV「AA-i」世界初公開! 機動力バツグン仕様とは
■4輪なのにバイク!? aideaが超小型4輪EV「AA-i」を世界初公開!
aideaは、2021年12月4日、5日に東京国際フォーラムにて開催された「EVバイクコレクション in TOKYO 2021」で超小型4輪EV「AA-i(エーエーアイ)」を世界初公開しました。
aideaは2019年東京モーターショーで設立が発表された日本のモビリティブランドです。
再生可能エネルギーを活用し、走行時にCO2を排出しないZEV(ゼロエミッションビークル)によって、地球環境をはじめとするさまざまな課題を解決し、社会に貢献することを目指しています。
aideaの製品は、イタリアでデザインされてから神奈川県の自社工場で生産されており、2020年6月には最初の製品として電動3輪バイク「AAカーゴ」を発売。
環境性能や走行安定性の高さから日本の多くの企業に導入され、コロナ禍などに起因する「宅配需要の急増」のニーズにいち早く対応したことで、「2020年日経優秀製品・サービス賞」の最優秀賞を受賞しています。
今回初公開された小型4輪EV「AA-i(エーエーアイ)」は、AAカーゴをさらに発展させたモデルで、最大の特徴は、4輪車でありながらコーナリング時はバイクのように車体を傾斜させて走行することです。
ボディサイズは全長2020mm×全幅700mm×全高1700mmと、軽自動車よりも小型で、普通自動車免許で運転できるため、誰もが乗れるパーソナルモビリティとして、少ないエネルギーでヒトとモノの移動を効率的におこないます。
機能面では、雨風をしのげる大型スクリーンやルーフ、このほか視認性の高いLEDヘッドライト、カラー液晶メーターなど、さまざまな装備が搭載されています。
足回りにはフロント・リアともに左右独立懸架が採用されており、遠心力に逆らうことのない安定した走行や、4つのタイヤが独立して上下することで衝撃を吸収し、悪路や段差の走行もスムーズとなっています。
リアホイールにはコンパクトなインホイールモーターが搭載され、力強い走りを実現し、駆動系の部品点数の削減やパワーロスも軽減しています。
またEVならではの静粛性から、早朝や夜間などの住宅街でも音を気にせずに走行が可能。
さらにAA-iには、7.7kmWh大容量リチウムイオンバッテリーが搭載されており、一般家庭の約1日分(2人世帯の春秋時期)の消費電力を供給できるなど、災害時の電源の役割も果たします。
一充電走行距離は、123km(30km/h 定地走行値)/73km(60km/h 定地走行値)で充電時間は100Vで充電時は12時間、200V充電時は6時間です。
発売時期、価格は現段階(2021年12月7日現在)では未定となっています。
Posted at 2021/12/09 21:23:53 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2021年12月09日
サイレンが鳴らない!! トヨタ、クラウンパトカーをリコール
トヨタ自動車は12月8日、トヨタ『クラウン・パトロールカー』について、サイレンが鳴らなくなるおそれがあるとして、国土交通省にリコール(回収・無償修理)を届け出た。対象となるのは、2021年6月1日~9月16日に製造された197台。
対象車両は、サイレン用アンプの制御プログラムが不適切なため、サイレンを鳴らさずにマイク音量を最大で使用すると、当該アンプに過電流が流れる場合がある。そのため、ヒューズが切れ、サイレンが鳴らなくなるおそれがある。
改善措置として、全車両、サイレン用アンプの制御プログラムを対策仕様に修正する。
不具合は3件発生、事故は起きていない。市場からの情報によりリコールを届け出た。
新型220系「クラウン」パトカーでリコール サイレン鳴らない恐れあり
今年登場の最新パトカーで不具合
トヨタは2021年12月8日、警察車、いわゆるパトカーにおいて、使い方によってはヒューズが切れ、サイレンが作動しなくなるおそれがあるとして、「クラウン パトロールカー」計197台(2021年6月1日 9月16日製造)のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出ました。
国土交通省によると、サイレン用アンプの制御プログラムが不適切なため、サイレンを吹鳴せずにマイク音量を最大で使用すると、当該アンプに過電流が流れる場合があり、その結果、ヒューズが切れ、サイレンが吹鳴しなくなるおそれがあるとのこと。不具合は3件報告されているといいます。
Posted at 2021/12/09 21:18:16 | |
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リコールなど | 日記
2021年12月09日
ZF B2B情報 電子制御連続可変ダンパーCDCevoの可能性を試乗テスト
グローバルシステムサプライヤーのZF社が興味深い試乗会を開催した。同社がカーメーカーに提供している電子制御セミ・アクティブダンパーがあるが、その可能性と、この先の電動化に対して提案できる技術、システムを体験するというもので、早速その内容をお伝えしよう。
ZFのCDCをモータージャーナリスト高橋アキラがテストまず、ZF社についてはクルマについて詳しい人ならすぐにピンと来るだろうが、ドイツに本社を置くメガサプライヤーで、乗用車だけでなく商用車や特殊車両用にシステムや部品を供給しているシステムサプライヤーだ。特にレースに詳しい方ならフォーミュラのミッションといえばZF製がすぐに思い浮かぶだろう。またBMWの8速ATやポルシェのPDKをイメージする人も多いと思う。
近年は「see think act」をキーワードに車両全般に及ぶシステムを提供している。「see」は車両周辺の情報を見る、「think」はその情報を元に車両の動きをどうするかECUを使って制御する。そして「act」はステアリングシステムやブレーキシステムなどを使って車両を動かすという一連の流れの中で必要とされる最新の技術、システムを提供しているTier1(ティアワン)企業だ。
レヴォーグに装着されるCDCのフロントダンパー セミ・アクティブダンパーの拡張性
今回試乗したセミ・アクティブダンパーは、SUBARUレヴォーグをテスト車両にして体験した。レヴォーグにはZF製のセミ・アクティブダンパーが装着されており、ZFの名前を知らない人でもじつは身近な存在なのである。
今回は、そのセミ・アクティブダンパーであるCDC(コンティニュアス・ダンピング・コントロール=電子制御連続可変ダンパー)をチューニングして、CDCの可能性を体験するというものだった。
CDCの製品ラインアップ。右のCDCrciは現在開発中市販されるレヴォーグはCDCにより、そのキャラクターの変化が体験でき1台で高級車の乗り心地からスポーツカーの走りまでを体験できると話題のシステムを搭載している。そのCDCをドイツ本社でスペシャルチューニングを行ない、広がる可能性を披露したものだ。もちろん市販のレヴォーグには現在のセットアップが最善のデータが組み込まれているのは言うまでもなく、今回はその振り幅を広げることで、どこまで可能性が広がるかという体験なのだ。
具体的にはレヴォーグにはコンフォート、ノーマル、スポーツというドライブモードがあるが、スペシャルチューニングは、さらにコンフォート性を高めたコンフォート+、さらにスポーツ性を高めたスポーツ+を設定し、ノーマルモードは標準のスポーツにした仕様でテストドライブした。
テストは特設会場にパイロンで設置したハンドリング路に、スラローム、大旋回をテストする設定と、直線からのブレーキングによるノーズダイブ、アンチスコートをテストするコース、そして障害物を乗り越えるスピードバンプが設定されている。さらに一般道での試乗も行ない、その変化幅を試した。
テスト風景驚きのキャラ変
コンフォートプラスでは、車両の初期ロールは大きくなるものの途中で減衰されロールは止まる。また切り返しでの滑らかなボディの動きも印象に残る。そしてスピードバンプ(30km/h前後)では大きい入力のあとの収まりが素早く、柔らかいのに揺れないという印象をもった。
スポーツプラスでは驚くほどの変化で、全く違うクルマに乗っていると錯覚するほどの違いがあった。ロールはしているのだろうが、フラットな旋回をしているように感じる。大旋回の場面では、ずっと四輪に均等荷重しているように感じ、どんどんアクセルを踏み込むことができるようになる。
レヴォーグのボディの素性の良さやサスペンションの仕立てがあるからこそだと思うが、これほどピュア スポーツカーに変身してしまうのかと感心した。またこのスポーツプラスでもスピードバンプでは最初の入力のいなしがあり、タイヤのエアボリュームが上がったような印象も受けた。
ZFではこうした技術のアピールとCDCという商品の可能性についての提案もあり、興味深かった。
30km/h前後でのバンプテスト。大中小のバンプサイズを乗り越える商品構成
レヴォーグに装着されているCDCはZFではCDCevo(イーボ)という呼び、エクスターナルを意味している。そして減衰バルブを内蔵しているCDCivo(アイボ)も存在している。このivoはサスペンションのストロークの長さがある程度必要になるため、SUVなど車高の高いモデルに採用されているタイプだ。
そのCDCevoの特徴だが、一般的に横軸にピストンスピード、縦軸に入力のグラフで減衰特性が語られるものだが、連続可変するため全領域で減衰力を発生するため減衰特性はない、というのが特徴だ。
全領域で減衰力を発生することができる特性があるCDCevoの製品構成その構成部品としてはダンパーに直付けされるGセンサーとダンパー上部に6軸センサーを設置している。これに車両からのCAN bus通信から、ステアリング舵角や車輪速などのデータを読み込み、専用のECUで演算され瞬時に減衰力が発生するという仕組みだ。また、最新版のCDCevoは消費電力も改善しているというアピールもあった。
この電子制御式ダンパーは、1997年に最初のCDC+制御システムを量産車に搭載している。そして2015年に世代が代わり新しい制御バルブの開発の成功により、CDCevoへと進化している。
現在のラインアップではフロントをコンベンショナルなダンパーにし、リヤにCDCを搭載するCDCfsc(フリークエンシーセレクトコントロール)というのもある。周波数によって減衰をコントロールするバルブシステムを持っているタイプで、廉価版CDCだ。
CDCの可能性
こうした減衰力の変化が及ぼすドライバビリティの変化はさらに進化している。現在開発中のCDCrci(リバウンド コンプレッション インディペンデント)では、伸び側と縮み側、縮率をそれぞれ制御できる。よりマジックカーペットレベルの乗り心地とピュア スポーツの両立ということが可能になってくるわけだ。
一般道でも試乗テストを行なったさらに、ZFではこうした減衰変化が車両に及ぼす影響だけでなく、次世代電気自動車にもこうした技術が有効であることを提案している。というのは、乗り心地の確保やドライバビリティという項目での性能は確保しつつ、別な働きでも魅力を出せるとしているのだ。
次世代電気自動車ではバッテリーを床に敷き詰め、バッテリー本体がキャビンスペースやラゲッジスペースを損なわないようなプラットフォームが主流になりつつある。そうした構造のプラッフォームはバッテリー自体もフロア構造体の一部として設計されているわけで、車体への凸凹の入力に対して、ねじれ剛性などにも対応しなければならない。
そうしたときにCDCであれば、振動の吸収とともに、カメラセンサーを使いながら、先の路面状況を読み取り、油圧で車高を瞬時に変更するなどの制御が可能になってくる。いわゆるフィードフォワード制御により、車体への大きな入力を回避することが可能になるということだ。
冒頭システムサプライヤーであることを説明したが、カメラセンサー、ステアリング、そしてダンパーを連携させ、さらにEVの出力制御も組み合わせることも可能で、路面変化に合わせるように車高を変え、減衰をすることでフロアにかかるねじれる力をいなすことが可能になる。
CDCであればバッテリー自体の外的損傷を未然に防ぎ、安全性に寄与できるという提案なのだ。こうした既存の技術と新しい技術が組み合わされていくのがカーメーカーが作るEV車になると思うが、さらに運転支援システムや常時接続のコネクテッド技術など、すべての領域を網羅しているZFの強みはこうしたシステムのパッケージでの提供ができることと、個別にパーツ単位でも提供できることがあることも分かった。
CDCだけでもこれだけの拡張性を感じるわけで、次世代車両の進化には大きな期待と魅力を感じることができる試乗だった。
<レポート:高橋アキラ/Akira Takahashi>
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Posted at 2021/12/09 21:14:21 | |
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富士重工 | 日記
2021年12月09日
ロータス・エリーゼの生みの親 ジュリアン・トムソンxリチャード・ラックハム 前編
25年の歴史に幕を閉じるエリーゼ
1995年のドイツ・フランクフルト。ロータス・カーズは財政難に苦しむなかで、親会社のブガッティを率いるロマーノ・アルティオーリ氏のアイデアを元に、新しいスポーツカーを創造した。そのクルマには、孫娘のエリーサにちなんだ名前が与えられた。
自動車ファンの欲求を満たすモデルとして、当初は限定的な生産台数が想定されていた。しかしエリーゼは、ロータス・カーズ史上最も多売のモデルへと、またたく間に成長した。多様なモデルバリエーションを生み出しながら。
寂しいかな、何事にも終わりは来る。エリーゼは2021年をもって、3万5000台という生産台数で、25年の歴史に幕を閉じる。
そこで英国編集部は、ジュリアン・トムソン氏とリチャード・ラックハム氏を招聘し、誕生秘話を伺うことにした。ロータス・カーズが買い戻した、フランクフルト・モーターショーへ出展されたグリーンの初代エリーゼとともに。
クリエイティブなビジョンを持ち、最大の友人でもある2人は、公私ともに交流が深い。エリーゼのモデルライフに、誰より深く関わってきた。傑作プラットフォームを生み出すことで。
ラックハムは、1987年に技術者としてロータスへ入社。急速に拡大するへセルの開発現場で車両コンセプトのチーフへ就任し、確固たる地位を築いてきた。
他方のトムソンは、当時はロータスでデザイナーとして既に手腕を奮っていた。その後ジャガーに移籍するが、今はこれまでの経歴を活かしジュリアン・トムソン・デザイン社を立ち上げている。
忙しいお2人にご参集いただいた。早速エリーゼ誕生当時を振り返っていただこう。
VWのヘッドライトと同じ開発予算
リチャード・ラックハム氏(以降:RR)「当初の事業計画では、公道用モデルで年間750台を4年間製造する予定でした。ですが、その限られた数字では我慢を強いられる人が大勢いたんですね」
「主要なシャシー構造が設計された後に、ドアと屋根を追加する変更が加えられました。乗降性に制限が出た理由です。最初からドアとルーフが想定されていれば、だいぶ違っていたでしょう。当時のわれわれができる、最もシンプルなクルマでした」
「複雑さを増すことは、大きな問題になります。ボディはクラムシェル構造として一体化されており、実際とてもシンプルです。インテリアも同じ。何かを追加するほど、コストも増えます。パネルの数を減らすことが、重要な課題でした」
ジュリアン・トムソン氏(以降:JT)「準備できる専用の製造用機械の数は、極めて限定的でした。そのため、ウインカーとテールライトのレンズは、同じ成形型を用いています。それでも、大きな投資といえるものでした」
「いかに全体の予算が限られていたのかわかりますよね。わたしは1998年にロータスを離れ、フォルクスワーゲンへ移っています。そこで最初に関わったのが、ヘッドライトのデザイン。その部品1つで、エリーゼ全体の開発予算より多かったんですよ!」
グループCカーやバイクに影響
RR「開発の早い段階で、ドニントン・コレクション(英国のレーシングカー博物館)を訪ねています。グループCカーに乗ると、ドライバー両脇の燃料タンクが安心感を生み出していると思いました。それが、シャシー設計に影響を与えています」
「側面衝突に関する開発上の規定はありませんでした。でも、ベンチマークとしたケータハムが脆弱に感じられたことは確かです」
JT「(エリーゼは)レーシングカーに乗るような体験。すべての人に向けられたクルマではありませんが、魅力の1つです」
「デザイナーとして、ドアの追加には落胆していません。ボディのサイドラインが大きくえぐられており、ビーチバギーのようにも見えます。そのラインは、与えたいと思っていましたが」
「ビバリーヒルズ高校白書というドラマに、ポルシェ356スピードスターが登場します。そのサイドラインと低いプロポーションが、以前からとても好きでもありました」
「それと、バイクにも影響を受けています。ホンダCBRのエンジンカバーや、ヤマハのヘッドライト、燃料キャップなど。リチャードも、サンビームのバイクに影響を受けたようです」
「開発チームは驚くほど若かった。クルマに対する考え方や実用性には、深く考えが及んでいなかったといえます。でも、それが開発プロジェクトには良かったのだと思います」
RR「わたしはドゥカティ916を、彼はドゥカティ748というバイクを持っていました。能力が限られるなら、916並みにチャレンジングなことが必要になります」
プロジェクトのために生活をともにした
JT「デザインからエンジニアリングへ、切り替わった境界線はありませんでした。すべてが美しく、狙ったとおり。通常、車内の構造は殆どが覆われますが、エリーゼではほぼすべてが露出しています」
RR「ブガッティは、いつもそうでした。すべての部品は美しく丁寧に仕上げられます。それでいて、すべてが機能的な必要もある。考えが異なるメーカーもあります」
「交友関係は助けにもなりました。当時は2人とも独身で、プロジェクトのために生活をともにした感じ。いつもエリーゼのことを話し合っていましたが、楽しい時間でした。おかげで、創造的な部分の決断もスムーズでした」
「2人が仕事をしていたのは、それぞれのプレハブ事務所。小さなチームでしたが、同じ使命を持って働いていたと思います」
JT「当時のロータスは、いつ経営者が変わっても不思議ではない状態でした。ロータスは技術力に定評がありましたから、ロータス・デザインでも同様の信頼を構築したいと考えていました」
「ある時、大きな荷物が届いたんです。イタリアのデザイン事務所が手掛けた、エリーゼと新しい2+2モデルの、別のデザイン案だと聞きました。その時、われわれのアイデアはスケールモデルの段階に入っていました」
「スタジオの壁一面にデザイン・スケッチをピンで留め、どちらが良いか選出したんです。とても緊張する苦痛の時間でしたね。新しいロータスのスポーツカーを作りたいと、何年も働いてきたんです」
「選ばれるのは自分たちの案だと、強く望みましたよ。良く練られており、見た目も最高。幸運にもすべてが一体になっていましたから」
この続きは後編にて。
ロータス・エリーゼの生みの親 ジュリアン・トムソンxリチャード・ラックハム 後編
芸術性を端的に表すペダルボックス
ジュリアン・トムソン氏(以降:JT)「リチャードとエリーゼのデザインに関われたことは、とても良い経験になりました。彼は美しく見せることにも考えが及ぶ、素晴らしい技術者です。ミニマリスト的な構造の必要性を、明確に共有してもいました」
「可能な限りシンプルに、ごまかさない。サイドシルのソフトパッドも、必要だとは思いませんでした。当初はダッシュボードも構造が露出していたんです。最終的にカバーが付きましたが」
リチャード・ラックハム氏(以降:RR)「ヘッドライトはカウリングが前提で、発表段階では付いていました。111Sでは復活していますが、初期のエリーゼはコストの都合で省かれています」
JT「ペダルボックスの美しさは、彼の芸術性を端的に表している部分でしょう。美しく、機能的。エンジニア出身のアーティスト。とても特別な才能です」
RR「確かにこれまでに関わったプロジェクトでも、エリーゼのペダルは満足度の高い仕事の1つ。ロータスと刻まれていた初期のデザイン案は、踏むのには重すぎました」
「ロータスの技術者は、当時ランドローバーの新しい構造開発にも関わっており、わたしもその1人でした。プロジェクトは中止になりましたが、押出成形の可能性を知るきっかけになっています」
「接着結合がどれほど強固なのかは不明だったので、100mm四方の結合部分は、推測から出した大きさ。実際は、半分のサイズでも充分だったかもしれません」
コストを理由に一部で選ばれたスチール
RR「アルミ材の供給元、ノルウェーのノルスク・ハイドロ社は販売を拡大したいと考えていました。押出成形材で新しいことに取り組んでいるとも、知っていたようですね」
「反面、わたしたちは使用量の削減を模索していました。例えば、ルーノー・スポール・スパイダーのシャシー・ウオールの厚みは、溶接できるようにエリーゼの2倍あります」
JT「常にネイキッド・バージョンの考えはありました。最終的に、340Rでカタチになります。エリーゼは洗練され過ぎている、というケーターハム・オーナーからの要望に応えるために」
RR「押出成形材は、知覚品質の面でも意義があると気づきました。ドアヒンジにも用いています。機能だけでなく、造形として驚きや喜びも与えてくれます。品質も高く、剛性も確保できるので、サスペンションのアップライトにも採用しました」
「スパルタンなクルマとして、ピッタリですよね。リアのサブフレーブもアルミ材にしたかったのですが、エンジンの熱による影響を防ぐには重量が増え、コストも高くなる。そこで、適した素材としてスチールを選んでいます」
「シャシーのサスペンションマウント部分にも、スチール製のボビンが使われています。鉄とルミが接することで起きるガルバニック腐食が心配で、アルマイト素材を選びたかったのですが、コストが許しませんでした」
「サイドシルは100mm低くしています。車重は6kgから7kgほど増えていますが、乗降性を考えれば、その価値はありましたね」
ミニマルでも、すべてに特別感がある
JT「でも当時の自分たちにとって、乗降性はそもそも問題ではありませんでした。若かったので、ウサギのようにジャンプして乗れましたから」
「エリーゼのシートは、ランボルギーニ・ディアブロのモノがモデル。膨らませられるランバーサポートを付けてあり、良く機能します。ミニマルなクルマですが、すべてに特別感があります。サイドステップのプレートもカッコイイ」
RR「わたしがエリーゼのデザインで最も満足しているのが、インテークまわりからリアに向けて、パワー感が増していく雰囲気。古いスーパーカーのようにね」
「悪い部分は、恐らくサイドウインドウのワインダー。でも、ジュリアンに責任はありません。ワイーパーのアームも、あまり好きではないですね。もっとエレガントなカーブに作れたはず。ここまで丈夫そうな見た目である必要もない」
JT「テスラは、ロードスターを宇宙に打ち上げました。ヘネシーのモデルでは、世界最速のフロントガラスにもなりました。スバッロのコンセプトカーでは、水中にも潜っています。世界で最も有名なフロントガラスかも」
RR「フロントガラスは、シングルワイパーで拭ける曲面で仕上げてあります。これも、大きな制限でした。レースカーと同じ構造ですし、シンプルで安価に作れる。2脚のシートが近い理由も、ガラスを拭ける面積が小さいためです」
自分のための設計が導いたベストな結果
JT「ボディのリア・クラムシェルは、少しワイド過ぎたと思います。製造プロセスを短くするという点でも誤算でした。リア側のエアベントがフェイクなのも、気に入らないポイントですね」
「押出成形材の構造や結合部分、ペダルの造形などはとても気に入っています。自分がエリーゼで気に入らないことは、うるさすぎること。メカニズムの音が」
RR「当時は、ノイズや振動に関する要件はありませんでした。純粋に、楽しむためのクルマでした」
JT「それと、オーナーという視点では、バッテリーへのアクセスが悪い。(トムソンはエリーゼ・シリーズ1のスポーツ160を所有している)」
RR「重量配分という点で、可能な限り低い位置に搭載されているんです」
JT「一般的な自動車会社では、デザイナーがエンジニアと緊密に連携しながら仕事を進めることは珍しい。でも、お互いの考えや意思を尊重することで、純粋に良いものを仕上げることができます」
「エリーゼのようなクルマをもう一度作れれば、と時々想像します。でも考えるほどに、現在では難しい。それがユニークなところでしょう」
「最近まで働いていたJRL(ジャガー・ランドローバー)には、1万人の技術者がいます。でも、エリーゼに携わったのはほんの数名。自分たちのクルマを、自分たちで作っているようでした。自分のための設計ですから、ベストな結果が得られるわけですよ」
Posted at 2021/12/09 21:10:14 | |
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