インプレッサは再び輝くことができるのか? 次期型インプレッサに期待したいこと
スバルオブアメリカはこのほど、インプレッサの2023年モデルを発表した。今秋に発売される予定で、この2023年モデルは全車にAWDを標準装備しており、スバルオブアメリカによると米国市場でAWDが標準のCセグコンパクトカーは、インプレッサが唯一だとのこと。
現行型の5代目インプレッサは2016年に登場し、スバル車で初めてSGP(スバルグローバルプラットフォーム)を採用する力の入れようで、その年のCOTYイヤーカーを受賞するなど高評価を得た。
が、現行型登場から6年が経過し、来年以降には新型に切り替わって新たにSGP+フルインナーフレーム構造となり、パワートレーンに新開発1.5Lターボの採用なども噂されている。山本シンヤ氏に次期型インプレッサに対する期待と不安について語ってもらった。
文/山本シンヤ、写真/SUBARU
■2020年以降、毎年のようにニューモデルを出しているスバル
スバルオブアメリカで発表されたインプレッサ2023年モデル
2018年に中期経営ビジョン「STEP」を発表したスバル。その内容は多岐に渡っているが、そのなかのひとつ「将来の商品計画」はこのように語っている。
「主力車種のフルモデルチェンジを毎年実施」
「個性の引き立つSUVとスポーツモデルの強化」
2020年は「レヴォーグ」、2021年は「WRX S4」と「スバルBRZ」、そして2022年はスバル初のグローバルBEV「ソルテラ」と、公言どおりに毎年ニューモデルが登場している。
これらのモデルはスバルブランドを高める効果が強いものの、やはりビジネスを支えるための主力モデルの世代交代が待ち望まれているのも事実だろう。
そのなかでもフォレスターと並んでスバルの屋台骨を支える存在であるインプレッサは登場から6年が経過している。
現行モデルはスバルの次世代プラットフォーム「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)を初めて搭載したモデルで、当時の開発責任者だった阿部一博氏(現・執行取締役)は「本来はフラッグシップだったレガシィ用の予算を割いてまで各部の質感アップに努めた」と語っている。
その結果、4代目レガシィ以来となる日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
■ライバルたちの進化に対応が急がれるインプレッサ
現在もクルマとしての実力は健在だが、ライバルの進化も著しいのも事実。販売現場からは「早急の対応を!!」と言う声がメーカーに数多く届いていると聞く。
ちなみにSNS界隈では次期XVのテストカーの情報は漏れ伝わっているが、意外(!?)に次期インプレッサの情報は聞こえてこない。それはなぜか? 実は次期インプレッサに先行して次期XVが開発されているようなのだ。
そもそもXVはインプレッサの販売が伸び悩んでいた欧州/中国からのリクエストを受けて開発したモデルだが、蓋を開けてみるとスバルの予想を超えるヒット車となり、今やインプレッサを超える販売台数を誇る旗艦車種へと成長している。
逆にインプレッサはCセグメントのハッチバック市場が縮小傾向……ということもあり、その立場が逆転してしまっているのも否めない。
■インプとXVの主従逆転
現行型スバル XV。元々インプレッサから派生したXVだが、次期インプレッサはXVの派生モデルとして存続する
そんなことから次期XVは「インプレッサありきのXV」から、「XVありきのインプレッサ」へと変わる。つまり、次期インプレッサはXVの派生モデルになるのだ。
インプレッサファンにとっては何とも寂しい話かもしれないが、実は「シリーズ」として見るとメリットのほうが大きい。例えば、走りの部分で言えば、全高や重心など走りの部分で基本素性が厳しいクルマで最適設計ができれば、それをベースにする背の低いクルマの走りは間違いなくよくなるからだ。
また、デザインも同じ考えで、SUVで最適デザインを行ない、そこから引き算をしていけば、個性的だが落ち着いたルックスを身に纏うこともできると予想ができるだろう。
現行モデルはよく言えば「質実剛健」、悪く言えば「地味な印象」が強いので、そこをどのように打破できるのかは、実はXVのデザインにかかっているとも言える。
■Cセグの王者「ゴルフ」を超えるか?
スバル レヴォーグのフルインナーフレーム構造
メカニズムに関してはどうだろうか? プラットフォームはフルインナーフレーム構造を採用する「次世代SGP」がベースになるのは間違いないだろう。
このプラットフォームの実力はレヴォーグやWRX S4ですでに実証ずみだが、これによって「走る/曲がる/止まる」の基本性能は、インプレッサが属するCセグメントの王様である「VWゴルフ」を超えることも夢物語ではないだろう。
パワートレーンは正直言うとまだ謎な部分が多い。恐らく2.4Lターボ(FA24)、1.8Lターボ(CB18)に続く第3のダウンサイジングターボと言われている1.5Lターボの搭載が濃厚だと思うが、恐らく主力となるのは電動化ユニットだろう。
CAFE対応で有利な点などを踏まえるとトヨタから供給を受ける2モーターのストロングハイブリッドを期待したいところだが、残念ながら投入にはもう少し時間がかかりそうな予感が……。
となると、1モーターのe-BOXERだが、もう少し燃費面での向上が欲しいところである。さらに価格訴求の観点から1.6L-NAも残るだろう。
運転支援デバイスはどうか? アイサイトは次世代バージョンが搭載されると予想している。
北米向け2023年モデルのアウトバックにはステレオカメラに加えて広角の単眼カメラがプラスされたスペックが投入されているが、次期インプレッサにはこのシステムが水平展開されるはずだ。アイサイトXも設定されると思うが、恐らく価格面を考えると上級モデルのみ、もしくはOP対応!?
■インプが良くなればスバルが良くなる
ちなみに現行インプレッサが登場した時、阿部氏は「スバルのオリジナルモデルのなかで最もベーシックなインプレッサを底上げすると、ほかのモデルはその上を目指す必要が出てくるので、クルマはどんどんよくなっていく」と語っていた。
現行インプレッサが登場して6年、スバルのモデルは大きくレベルアップしている。そう思うと、次期インプレッサもスバルの新たな「水準器」のようなクルマになっていることを期待したいところだ。
昨今の状況から、どのタイミングで世界初公開されるのかはわからないが、スバルのグローバルモデルは北米でお披露目するケースが多いことから予想をすれば、今年11月に開催の「LAオートショー2022」が濃厚だろう。
次期型はスバルXVからスバルクロストレックへ! 今年末から来年初めに登場!!
インプレッサの派生モデルとして誕生したスバルXV。もともとはインプレッサの車高を上げたクロスオーバーSUVとして登場したXVだが、今年末から来年初めにかけて登場する次期型XVは新たに車名を北米と同じく「クロストレック」に変更して登場するという。その動向を予測してみた。
文/ベストカーWeb編集部、写真/スバル、ベストカー編集部
■初代XVは2010年、3代目インプレッサ派生として登場
2010年に当時の3代目インプレッサの一部改良時に、5ドアハッチバック車に追加設定されたのがこの初代「インプレッサXV」
そもそもXVの初代モデルとなる「インプレッサXV」は2010年6月、3代目インプレッサが一部改良を受けた際にクロスオーバーモデルとして誕生した。3代目インプレッサの5ドアハッチバックモデルをベースに専用のメッキフロントグリルとフロントバンパーを採用し、サイドクラッディングとルーフレールとルーフスポイラーを装着していた。
初代インプレッサには1995年10月に似たような性格のグラベルEX(北米名:アウトバックスポーツ)を設定していたが、こちらは後に1997年に登場することになる初代フォレスターの原形モデルともなっていた。
2代目XV。この時から車名にインプレッサの名が外れるようになっていた
XVは2代目となったGP系モデルから車名から「インプレッサ」が外れ、単にXV(北米名:初代クロストレック)と名乗るようになる。パワートレーンは1.6Lと2Lの水平対向DOHC2本立てで、のちに2Lマイルドハイブリッドが追加された。
そして現行型となる3代目XVは、ベースとなった5代目の現行インプレッサスポーツをベースに2017年4月に登場。パワートレーンは当初、1.6Lと2Lの水平対向DOHCだったが、マイチェンで2LDOHCを2Lマイルドハイブリッドのe-BOXERに換装している。
なお、北米でのクロストレックにはスバルオブアメリカが2018年5月から2Lのプラグインハイブリッド車、「クロストレックハイブリッド」を設定していた。そのトランスミッションはトヨタTHSIIから技術供与を受けており、モーターにカムリハイブリッド用、バッテリーがプリウスPHV用のものを採用している。
■日本でも新生「クロストレック」として登場へ!
北米でのみ販売されている現行クロストレックハイブリッド。日本仕様にはない、トヨタの技術が盛り込まれたプラグインハイブリッド車だ
さて、気になる次期型XVだが、これまで日本でも北米でもベースとなっていたインプレッサの発表が先だったのだが、販売関係者から話を聞くと、今回からその主従関係が逆転するのだという。
具体的には、「XVの車名がなくなり、北米でも日本でも『クロストレック』という車名に統一され、フルモデルチェンジを受けることになります」というのだ。
XVの名前がなくなるというのは日本のスバリストにとって意外な気もするが、実は北米での販売実績を見るとそうでもなかったりする。今年1~6月までの上半期の北米でのスバル車ではクロストレックが8万4126台でトップとなっており、2位のフォレスターの5万8674台に対して圧倒的な差をつけているからだ。
すでに海外ではこの次期型クロストレックのテストカーの姿が目撃されており、その外観は現行モデル以上に「Dynamic×Solid」に「BOLDER」というデザインテイストを色濃く反映されており、厚みを増したフロントグリルとヘッドライトにはスバル車のアイデンティティである「コの字」型が強調されている。
■パワートレーンには新開発1.5Lターボ搭載か?
現行型XVが搭載する2Lマイルドハイブリッドのe-BOXER。次期型でもブラッシュアップされて継続採用される可能性が高い
今のところ、次期型クロストレックの登場は今年末から来年初めにかけて、というのが予測されるスケジュールだが、主戦場が北米市場というクロストレックだけに今年11月に予定されているLAショーでワールドプレミアされる可能性も高そうだ。
販売関係者の話によれば、「次期型はボディサイズも若干大きくなり、サイズアップします」とのことで、現在のフォレスターよりやや小さいくらいになるという。パワートレーンに関しては、現行レヴォーグ、そしてWRX S4に搭載されたSGP(スバルグローバルプラットフォーム)+フルインナーフレーム構造が採用されるのは間違いないところで、エンジンでは2Lのe-BOXERが継続採用され、新開発の1.5L直噴水平対向ターボ搭載の可能性が高い。
さらに現行型の北米クロストレックが採用するプラグインハイブリッドが日本仕様に採用されるかどうかは未定だ。いずれにせよ、北米でも日本で売れ筋のSUVであるクロストレックだけに今から登場を期待して待ちたい!
フォレスターじゃないんだ! いま北米で一番売れてるスバル車、クロストレック(XV)
北米で根強い人気を誇るCrosstrek(XV)
2023年モデルのスバルCrosstrekスバル・オブ・アメリカ(SOA)は、2022年7月の車両販売台数が4万1536台となり、2021年7月(5万0125台)と比較して17.1%減少したことを発表した。また、1-6月の累計販売台数は30万5331台となり、前年同期比17.8%減となった。スバルは、世界中の自動車メーカーに影響を与えている半導体不足とサプライチェーンの問題の結果として、在庫の課題に直面し続けている。
SOAが発表した2022年6月期の北米販売台数は以下の通りだ。
2022年7月北米販売台数
Ascent(アセント):4489台(-11.0%)
BRZ:228台(N/A)
Crosstrek(XV):1万4076台(+5.0%)
フォレスター:7737台(-36.8%)
インプレッサ:2228台(+215.6%)
レガシィ:1610台(-32.2%)
アウトバック:8638台(-38.6%)
WRX/STI:2530台(+9.8%)
TOTAL 4万1536台(-17.1%)
2022年上半期(1-6月)北米販売台数
Ascent(アセント):3万5420台(+6.0%)
BRZ:1891台(+162.3%)
Crosstrek(XV):8万4126台(+8.4%)
フォレスター:5万8674台(-45.8%)
インプレッサ:1万6554台(-7.4%)
レガシィ:1610台(-32.2%)
アウトバック:1万3945台(-8.9%)
WRX/STI:8742台(-47.3%)
TOTAL 30万5331台(-17.8%)
こうしてみると大黒柱のフォレスターの販売が回復していないことが全体の業績に大きな影響を与えていることがわかる。一方で、クロストレック(日本名XV)の好調ぶりが目に付く。7月の販売台数では、Crosstrekが1万4076台を売り上げ、過去最高の記録を樹立している。
現行のクロストレックは、2017年に販売開始となった2代目モデルだ。2012年(初代)から2021年までの北米販売台数の推移をまとめてみた。2020年、21年という自動車業界がコロナ禍と半導体不足で大きな影響を受けた時期でもクロストレックは堅調な販売台数をメークし続けていることがわかる。
Crosstrek
初代スバルCrosstrek初代モデル
2012年:7396台
2013年:5万3741台
2014年:7万0956台
2015年:8万8927台
2016年:9万5677台
現行モデル
2017年:11万0138台
2018年:14万4384台
2019年:13万1152台
2020年:11万9716台
021年:12万7466台
2023年モデルのCrosstrekの北米での価格(MSRP=メーカー希望小売価格 税抜価格)は
Base(6MT):2万3645ドル(1ドル=135円換算で約319万円)
Limited(CVT):3万1890ドル(約430万円)
2023年モデルのスバルCrosstrek Hybrid日本未導入のCrosstrek Hybrid(トヨタのTHSIIをスバル用に開発して搭載したもの)が
3万6845~3万9345ドル(約497万円~531万円)
である。
XVだけでもG系を存続出来るなら上々なのかな?
燃費とか排ガス規制をスバル単独ではクリア出来なくてカローラのセダンとスポーツをインプレッサとして導入してしまう方が企業としては健全なのだろう…致し方ない
メーカーとして立ち行かなくなるくらいだったら一車種消滅させる方が賢明でしょう。
残念ながらセダンは設定しても売れない残念な子なのですから
(インプレッサが消滅する訳では無いんかな??
Posted at 2022/08/12 09:56:19 | |
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富士重工 | 日記