2020年05月05日
【ヒットの法則221】ゴルフ4兄弟はユーザーの様々なニーズにしっかりと応えていた
Motor Magazine誌は 2006年9月号で「ゴルフ」を大特集。1974年に誕生したゴルフはどうやって進化してきたのか、そして2006年の時点でどういった境地に達しているのかをじっくりと検証している。その中で興味深いのがゴルフファミリーの比較試乗。ゴルフ、ゴルフプラス、ジェッタ、ゴルフトゥーランはどのような関係にあり、どのような違いがあったのか。ここではその記事を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年9月号より)
合理的な2ボックスのゴルフには「良いもの感」がある
ゴルフとは一体どういうクルマなのか。これをひと言で答えるのは、実は相当に難しい。1974年に登場した初代や、その後の第2世代あたりまでなら「小型車の世界的なベンチマーク」という言葉で表現することもできるだろうが、5つの世代を重ねた現行モデルは、もはや「小型車」と呼ぶのは憚れるほどの立派な姿態と充実したメカ&装備を持つクルマになっている。
とは言え、こうしたゴルフの上昇志向がユーザーのニーズであったのも、また事実である。なぜならゴルフは変わらずフォルクスワーゲンブランドを象徴する基幹車種であり、いまなお圧倒的なセールスを維持しているからだ。その傾向は日本国内において特に顕著で、ゴルフの販売台数はフォルクスワーゲンブランド全体の半分近くを占めるという。
ゴルフが最初に世に出たときの姿は、実は現在のポロの成り立ちに近いのだが、にもかかわらず世間はゴルフの成長を愛情をもって受け入れて来たわけだ。その理由を「ネームバリュー」だけで片付けるのは無理があると僕は考えている。時代とともに移り変わって行くユーザーの心を繋ぎ止めるのはそんなに簡単なことではない。ゴルフという名前の他に、常に「見て、触れて、乗って」納得させるだけの魅力を提示してきたということだろう。
僕はそれを「良いもの感」と呼びたい。ゴルフには確かにこれがある。例えばスタイリング。ゴルフは2ボックスカーの基本みたいに捉えられていて、実はスタイリングデザインそのものに言及されることは少ないが、安定感のある、カチッと合理的な佇まいは実によくまとまっている。
インテリアにしても然り。依然として華美な装飾は控える傾向だが、パーティングラインの詰まったインパネや仕立ての良いシートなど見る者を納得させる質感を持っている。前後席に十分なゆとりを振り分けたキャビンや大きなラゲッジルームなど合理性をメインとしたパッケージングも健在だ。全体から受ける緻密な雰囲気もいかにもドイツ車といった風情で、これもゴルフの大きな魅力だ。
ここまでゴルフVの成り立ちを紹介したが、ご存知のように現在のゴルフは多彩なファミリーを持つに至っている。ここから先は、それらとともに見ることで、ゴルフの本質を探っていきたいと思う。
まず今回ゴルフとともに連れ出したゴルフプラス、ゴルフトゥーラン、ジェッタの各車は、それぞれ血縁関係に微妙な違いがあることを頭に入れておいた方が良いだろう。ちなみに、今回は4車の違いをより明確にするため、グレードはゴルフの基本とされるGLiに合わせた。ジェッタはグレード呼称が異なるが、今回の2.0は他モデルのGLiに当たるモデルだ。
最も血縁が深い、兄弟車とも言える存在がゴルフプラスである。このクルマは全長/全幅がゴルフとまったく同一。全高を85mm文字通り「プラス」しただけで、本国でもゴルフの1バリエーションとして扱われている。
それに対して、トゥーランは最も遠い親戚と言っていいだろう。ボディ外寸がまったく異なる上に、ホイールベースも今回の4車で一台だけ100mm延長の2675mm。それにもちろんシートレイアウトも5人乗りではなく7人乗りだ。すでに広く知られているようにゴルフトゥーランと呼ぶのは日本だけで、欧州ではフォルクスワーゲン トゥーランとして、まったく独立した車種として扱われる。つまりはカローラに対するウィッシュ、シビックに対するストリームのような存在。日本でゴルフの名をあえて使ったのは、輸入車となると意外に伸びないミニバン需要をゴルフのネームバリューで盛り上げたかったのが真相だろう。
ジェッタは血縁は深いが、嫁いで名前の変わった姉妹のような存在。端的に言えばゴルフのノッチバックセダンで、メカニカルコンポーネンツはほぼ共通だが、ゴルフよりやや豪華な演出が行われている。
ゴルフプラスはシンプルで質実剛健な持ち味
以上の4台の中で僕が最も興味深かったのが、ゴルフプラスの存在だった。このクルマ、いちばん血縁関係が深いはずなのに、乗ると明確にゴルフとは違う味わいを感じたのである。
ヒップポイントが高くゴルフより開放感があり、上方向にスペースの余裕を求めた結果、後席を中心にキャビンがさらに広くなっているのは言うまでもない。そういった実用面のゴルフプラスは確かに歓迎したいのだが、ゴルフと乗り較べると微妙に走りそのものの味わいが異なるのだ。
誤解を恐れずに言えば、ゴルフプラスはゴルフよりも少し安っぽい。例えばエンジンノイズのインシュレーションはワンランク落ちる感じで、エンジン音が目立つし、ロードノイズもフロアからポコポコとした音が入る。
ただし、これはあくまでもゴルフと較べた時の話であって、ゴルフプラスが同クラス他車と較べて快適性において特に見劣りがするわけではない。つまりゴルフの方が常識はずれにコンフォート性能が高いのだ。
それが先に記したゴルフの「良いもの感」をさらに際立たせているのは間違いないが、さらに考えるなら、フォルクスワーゲンはゴルフのもうひとつの姿をこのプラスで提案したかったのではないだろうか。やや豪華に行きすぎたゴルフを、実用性を重視したゴルフプラスでは少し引き戻して見せたい。そんな考え方だ。
だからなのか、ゴルフではガスダンパーで支えられていたボンネットがゴルフプラスでは金属バー式に改められていたり、リアゲートオープナーがゴルフのVWマークを反転させる方式から単純なスイッチ式に改められていたりもする。さらに言うなら、インパネ周辺の造作も専用デザインとしているものの、面積が増えたせいかやや殺風景だ。コストダウンのひと言で片付けてしまうのは簡単だが、よりシンプルで質実剛健な持ち味をこのゴルフプラスに込めたと考えるのは、必ずしも好意的過ぎる解釈とは言えないと思う。
なぜなら、ゴルフプラスは走りにおいてゴルフと同じ、正確で安心できるシャシ性能を受け継いでいるからだ。上背が増した分だけボディのアクションは大きくなっているし、追い込んでいくとアンダーステアやアクセルオフでのタックインもやや大きく出る。しかし、それでも緊張感が高まらないコントローラブルなハンドリングはゴルフVの血筋そのものと言っていい。
気になるのは価格だけだ。ゴルフプラスはゴルフに対して5万円ほど高い。これがゴルフと同等か、あるいは少しでも安く設定されていたならば、プラスはよりその存在価値を高めていたと思う。
豪華で華やかな雰囲気のジェッタ
ジェッタは、ある意味ゴルフプラスの対極にあるゴルフファミリーだ。最も大きな違いはリアノッチを持つセダンボディである点だが、同時にゴルフプラスにもゴルフにもない、豪華で華やかな雰囲気を備えている。
それは外観に特に顕著に出ている。クロームメッキを大胆に使ったフロントマスクはゴルフの楚々とした顔立ちとは一線を画するものだ。
インテリアも、基本的な造形はゴルフと同じであるものの、ステアリングとパーキングブレーキレバーは革巻きになり、シフトノブやトリム類にウッドパネルが盛大に使われるなど明らかに上昇志向が強い。またゴルフでは2006年モデルから廃止されたオートライトが残るなど、機能面でも差をつけている。
セダンはハッチバックより保守的なユーザーが多いという読みから、それらにアピールすべくよりわかりやすい豪華さを打ち出した。おそらくそういうことだろう。それは決して外れてはいないと思うし、スタイリングも歴代のジェッタ→ヴェント→ボーラの中で最も均整がとれている。ゴルフの優れた資質を胸を張ってノッチバックボディで味わえるというのは魅力的だ。
ただ、フットワークの味付けも変えている点は賛否の分かれるところかも知れない。ジェッタの足まわりはゴルフより多少柔らかいのだ。おそらく、より平穏な乗り心地を目指したのだろう。その証拠にステアリングのゲインは若干落ちていて、高速域ではよりどっしりとした乗り味になっている。これ自体は悪くないのだが、例えばコーナリングで多少追い込んでいったときのボディアクションはやや大きめだし、ゴルフでは正確無比と感じた接地感も多少ぼやけている。
ワンサイズ上のタイヤを履いてなお、ゴルフ以上の乗り心地と静粛性を実現しているのは評価できるが、走りの軽快さや安心感という点においてはゴルフの方がわずかながら上を行くというのが僕の偽らざる感想だ。
ジェッタにはこの上にターボエンジンの2.0Tが存在する。こちらはさらに締まった足まわり(締まりすぎという指摘もあるが)でスポーツセダンとしての味わいを強めているが、僕は2.0にも同じ味わいが欲しかった。
こう書くと「ジェッタ2.0TはゴルフGTIと対を成す特別なグレードだろう」との声も聞こえて来そうだが、実はゴルフGLiも熟成を重ね、現在は快適性と軽快さを両立させた、良質なフットワークを実現している。これに対し、ジェッタとゴルフプラスはそれぞれまだ何がしかの迷いを抱えているように思えてならない。それにしても、これだけのファミリーの中にあって、走りに関しては常にベストの仕上がりを維持するゴルフは、やはりさすがと言うほかない。
ところで、これまでエンジンに関して触れて来なかった。今回連れ出した4車はともに自然吸気の2L FSIでパワースペックも同一だが、実はセッティングが微妙に異なっている。もっとも顕著な違いを見せたのは、やはりゴルフだった。他車に対し車重が最も軽いということも勘案しなければならないが、重量差が最も近いジェッタと較べても差は想像以上に大きい。
まず言えるのは、アクセルレスポンスがシャープで出足が実に軽快なこと。おそらく電子スロットルの制御が異なっているのだろう。その後の加速感も、他車がフワーっと車速を乗せるイメージなのに対して、ゴルフはモリモリと来る。全体にメリハリが効いた味付けなのだ。ちなみに絶対的な動力性能は3車とも十分。ゴルフファミリーにはターボ系やR32なども存在するため、自然吸気にことさら大人しいイメージがあるが、6速ATの効果は絶大で2Lクラスとしてはいずれも俊足なクルマに仕上がっている。
ひとクラス上に感じてしまうトゥーラン
さて、最後にトゥーランに触れなければならない。このクルマを後回しにしたのは、他の3車と明らかに味わいが異なるからだ。ディメンジョンが大きく違うので予想できていたことだが、やはり驚きもあった。
まず静粛性。ゴルフを含めた3車よりもさらに充実していたのに驚かされた。トゥーランは3列シートのいわゆる実用車だから、この辺を真っ先に見切って来そうだが、実はエンジン音、ロードノイズともにもっとも静かで、広いキャビンと相まってひとクラス上のクルマを運転しているような気分になる。
ただ、インテリアはフラットなシートやアップライトな乗車姿勢で豪華な雰囲気は薄い。それに動力性能も車重が最も重いため、他の3車ほどの俊足はない。決して鈍重ではなく、ちょうど良いという感じの加速感だ。
もうひとつ、フットワークの良さにも驚かされた。トゥーランは上背が高いため、最も締まった足にゴルフよりワンサイズ太いタイヤを履く。そのためやや当たりは硬いのだが、一方で旋回時の安定感とフラットな姿勢を保つセッティングになっている。攻めた走りでは、ゴルフに次いでこのトゥーランが楽しめたのは意外な発見だった。
ゴルフを中心に4車を見てきて感じたのは、「走りの味わいの中心にいつもゴルフがある」という事実だった。パッケージ面ではそれぞれ異なった提案を行っているわけで、オーソドックスなハッチバックという形態をとるゴルフが最も保守的と言えるが、動力性能、ハンドリング、快適性などで常に最新のスペックが与えられるのは、やはりゴルフなのである。だからこのクルマはステアリングを握ったときの「良いもの感」がいつも新鮮なのだ。
いずれはこれを基本に他のファミリーも熟成されるのだろうが、その時、ゴルフは次の高みへと登るべく新たなステップを踏みだしているはず。その意味でも、フォルクスワーゲンを、そして世のミドルサルーンの行く末を常にリードしているのがゴルフであるのは間違いない。そして、それこそがベンチマークに課せられた役目なのである。(文:石川芳雄/Motor Magazine 2006年9月号より)
フォルクスワーゲン ゴルフGLi主要諸元
●全長×全幅×全高:4205×1760×1520mm
●ホイールベース:2575mm
●車両重量:1380kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1984cc
●最高出力:150ps/6000pm
●最大トルク:200Nm/3500pm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
●荷室容量:350-1305L
●車両価格:279万3000円(2006年)
フォルクスワーゲン ゴルフプラスGLi主要諸元
●全長×全幅×全高:4205×1760×1605mm
●ホイールベース:2575mm
●車両重量:1480kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1984cc
●最高出力:150ps/6000pm
●最大トルク:200Nm/3500pm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
●荷室容量:395-1450L
●車両価格:284万5500円(2006年)
フォルクスワーゲン ジェッタ2.0 主要諸元
●全長×全幅×全高:4565×1785×1470mm
●ホイールベース:2575mm
●車両重量:1410kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1984cc
●最高出力:150ps/6000pm
●最大トルク:200Nm/3500pm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
●荷室容量:527L
●車両価格:289万円(2006年)
フォルクスワーゲン ゴルフトゥーランGLi主要諸元
●全長×全幅×全高:4390×1795×1660mm
●ホイールベース:2675mm
●車両重量:1600kg
●エンジン:直4DOHC
●排気量:1984cc
●最高出力:150ps/6000pm
●最大トルク:200Nm/3500pm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
●荷室容量:121-1913L
●車両価格:319万円(2006年)
Posted at 2020/05/05 14:00:54 | |
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フォルクスワーゲン | 日記
2020年05月05日
よくぞ売った! わずか200台製造の激レア車があった!? 日産の珍車3選
■商売になったのか心配するほどレアな日産車
日産は1934年に設立されましたが、前身の快進社から数えると現在までに100年以上の歴史があります。そのながい歴史のなかで、数多くの名車が誕生しました。
一方で、なかにはユニークなクルマも存在。そこで、日産がこれまで販売した珍車を3車種ピックアップして紹介します。
●セドリック ロイヤルリムジン
かつて、日産の高級車というとフラッグシップに「プレジデント」があり、その下に「シーマ」、そして「セドリック/グロリア」という序列でした。
プレジデントは運転手がいることが前提のショーファードリブンなクルマで、シーマとセドリック/グロリアはオーナーが運転するオーナードリブンという位置づけでしたが、7代目セドリックにショーファードリブンモデルがあったのは、意外と知られていません。
それは、日産の特装車やカスタマイズカーを生産するオーテックジャパンが、7代目セドリックをベースにリムジンに仕立てた「セドリック ロイヤルリムジン」です。
セドリック ロイヤルリムジンは1987年に発売され、ベース車のシャシを切って600mm伸ばしてつなぎ直す「ストレッチリムジン」と呼ばれる手法で製造されました。
リアシートの足元は広大なスペースとなっており、前席と後席を隔離するパーテーションには、テレビやオーディオセットなどが装備されています。
ほかにもオーダー次第でさまざまな装備を搭載することができ、価格は約1500万円からでした。
なお、ロイヤルリムジンとは別にホイールベースを150mm延長した「セドリック ブロアムL」というモデルもあり、1996年に発売されています。
●240RS
1979年にデビューした3代目日産「シルビア」は、2代目とは大きく異なるデザインの、シャープなボディラインを持つスポーティなクーペ/ハッチバックでした。
そして1982年に、この3代目シルビアをベースとして、2.4リッター直列4気筒DOHC16バルブエンジンを搭載するレースベース車の「240RS」を発売。
240RSは当時の世界ラリー選手権への参戦を目的に開発されたため、グループBの公認を得るために200台を製造する必要があり、市販されました。
外観はラジエーターを積極的に冷やすために大きく拡大されたフロントグリルと、角張ったデザインのオーバーフェンダーが装着され、ベースのシルビアとは異なる迫力あるボディとなっています。
また、内装に快適装備のたぐいは一切無く、インパネには各メーターとグローブボックスがあるだけの、ストイックな仕様です。
エンジンは2基のソレックスキャブレターが装着され、最高出力240馬力を発揮し、実際のラリー仕様では275馬力までパワーアップされていました。
しかし、すでに当時のWRCは4WDでないと勝てない状況で、FRの240RSはすでに時代遅れだったため、優勝こそなかったものの、1983年のニュージーランドラリーで2位、1985年のサファリラリーで3位などの戦績を残しています。
なお、240RSは非常に希少なクルマですが愛好家が大切に所有しているケースがほとんどのため、いまでも旧車イベントなどで見ることができます。
■本当なら着せ替えが可能だったモデルとは!?
●エクサ
日産のFFコンパクトカー「チェリー F-II」の後継車として、1978年に発売された「パルサー」は、新時代のファミリーカーというコンセプトで開発されました。
そして、2代目パルサーでは、スポーティな2ドアクーペの「パルサーエクサ」が加わり、1986年のフルモデルチェンジの際に「エクサ」に改名されます。
エクサはクーペタイプの3ドアハッチバックで、リアハッチの形状が2種類あり、ひとつは「クーペ」で、もうひとつはステーションワゴンのような荷室の「キャノピー」をラインナップ。
どちらのタイプもリアハッチの取り外しが可能で、リアシート側をオープンにすることができ、フロント側の屋根もTバールーフになっていたので、オープンエアドライブが楽しめました。
しかし、外したリアハッチの置き場をどうするかという問題があったため、住環境によってはフルオープンにするのは難しかったようです。
なお、日本仕様のリアハッチはクーペとキャノピーで互換性がなく、載せ替えることが出来ないつくりになっていましたが、海外仕様では載せ替えが可能でした。
エクサは斬新なアイデアとスタイリッシュなデザインで当時の若者からは支持され、いまもオーナーズクラブが存在します。
※ ※ ※
いま振り返ってみると、1980年代の日産車にはユニークなモデルがたくさんありました。なかでもパイクカーとして最初にデビューした「Be-1」や、ライトバンの「エスカルゴ」が、代表的な存在です。
景気が良かった時代だったことに加え、日産自体も企業としてさまざまな面で余裕があったということでしょう。
Posted at 2020/05/05 13:57:22 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年05月05日
ポルシェが7500円! フェラーリが1万円! スーパーカーを激安で貸し出すワケ
憧れのスーパーカーでドライブを
自分で所有するにはハードルが高いスーパーカー、でも一度はステアリングを握ってドライブしたい。そんなクルマ好きの夢を叶えてくれるサービスが、福島県郡山市の「アリオス」によるスーパーカーレンタルだ。意外にリーズナブルな料金やシステムを紹介する。
ポルシェは1時間7500円(税別)から
首都圏や海外の観光地ではたまに見かけるサービスだが、東北地方では唯一無二といっていいスーパーカーのレンタル。おまけに料金も拍子抜けするほどリーズナブルで、1時間からレンタル可能というお手軽さもあり、地元だけじゃなく首都圏から訪れるファンも多い。
幼少のころからスーパーカーが憧れだったという、代表の鈴木宏和さんにその意図を聞いてみた。「自分が初めてスーパーカーに乗ったときのワクワク感を、ひとりでも多くの人に共有してもらいたかったんです。確かに所有する喜びもあると思いますが、短時間のドライブだけでも魅力は十分に味わえます。実際に触れたり操作することで夢を叶えるお手伝いをして、クルマ好きがもっともっと増えて欲しいんです」とのこと。
そのため料金はかなりリーズナブルで、最短で1時間からの貸し出しにも対応する。例を挙げると新車価格が2760万円~のフェラーリF430スパイダーは、1時間レンタルがたったの1万円(税別)で保険料も込み。同じくポルシェ997カレラは7500円(税別)と若者でも手が届きやすい価格帯なのだ。
借りる際は操作方法など普通のクルマとの違いをレクチャーしてくれる。車高の低いフェラーリに関しては、ボタンひとつでフロントの車高を上げる装置も組み込まれているので、スポーツカーに乗り慣れていないドライバーも安心だ。
また郡山市は西に磐梯高原や猪苗代湖といった国内でも有数の景勝地が近く、首都圏のような渋滞とも無縁なので、レンタル時間を有効に使えるのもメリットだろう。スーパーカーをレンタルする人の用途はドライブだけじゃなく、商品や店舗を撮影する際のアクセサリー代わりや、イベントでの展示、恋人へのサプライズやプロポーズなどさまざまだ。法人に向けたサービスもいろいろと用意されているほか、レンタルして気に入ればそのまま購入することも可能。
まずは会員登録して車種や日時を相談しよう!
今後は近隣の観光スポットやレストランと提携したり、スーパーカーでも不安なく走れる道を記したドライブマップの作成など、安心かつ楽しくスーパーカーを満喫するためのサービスを構築していくという。リーズナブルな料金はもちろん、お店や鈴木さんをはじめスタッフの雰囲気も非常にアットホームで、スーパーカーだからといって気構える必要はゼロ。
利用までのステップはまず最初に会員登録、続いて希望する車種と日時や引き渡し方法を相談し、それらが済めば晴れて貸し出しとなる。夢を夢のままで終わらせない魅惑のスーパーカーレンタル。興味がある人は気軽に問い合わせてみよう。
Posted at 2020/05/05 13:54:03 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年05月05日
【M8としての正解】BMW M8コンペティションへ試乗 624psのスーパーGT
BMW M8の中での正解
text:Matt Prior(マット・プライヤー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
英国の道を初めて走らせた筆者は、このM8コンペティションこそ、正解のM8だと感じた。4ドアの8シリーズ・グランクーペと比べれば、ひと回り小さく軽量。コンバーチブルよりボディもしっかりしている。
大きなクーペは、ドアが2枚多いBMW M5と多くの点を共有する。搭載するエンジンは624psを発生させる4.4LのV8ツインターボで、四輪駆動。後輪駆動として走ることもできる。良い設定だ。
BMW製の大型モデルで共通するプラットフォームは、5シリーズと7シリーズ、8シリーズを支える。M8クーペは、M5よりホイールベースが短い。車高は10mm低く、1885kgという車重を支えるため、サスペンションは引き締められている。
リアトレッドは38mm広く、サブフレームはボディシェルへしっかり固定されている。ボディ剛性はかなり高い。スーパーGTと呼ぶに相応しい内容だといえる。しかも、過去最速のBMWであるという事実に違わない、価格が付く。
ライバルの数は少なくない。ポルシェ911にベントレー・コンチネンタルGT、メルセデスAMG GTとアウディR8。マクラーレンGTとも対峙することになる。
シートレイアウトは2+2。つまり1台で多くをこなせる。週末はサーキットへ行くことも含めて、日常的に楽しめるよう設計されたクルマだ。英国以外では、コンペティション仕様ではない、マイルドなM8も購入できる。
圧倒されるような走行性能
0-100km/h加速は3.2秒。最高速度は305km/h。オプションでカーボン・セラミックブレーキも選べる。
M8のインテリアは、徹底的に作り込まれている。とてもプレミアムで居心地が良い。
ドライビングモードの設定項目は多すぎて、少し困ってしまうかもしれない。BMWとメルセデスAMGとで、車内で悩ましい思いをさせるのはどちらか競っているのでは、と疑うほど。
ボタン類で賑やかなステアリングホイールには、好みのドライビングモードを設定できる、赤いMボタンが2つ付いている。少し親しみやすい。
恐らく数週間ほど走り込めば、好みのドライビングモードが見えてくる。1つは基本設定を、もう一つは高速走行設定を、任意に選んで登録できるようになるはず。
大柄なボディを持つM8だが、スーパーGTと呼ばれるようなモデルの中では、より走りの印象が強い。最高出力は625ps/6000rpmだが、1800rpmから5800rpmにかけて、76.3kg-mという太い最大トルクを一定に供給してくれる。
テストコースでは、圧倒されるような走行性能を楽しめた。0-100km/h加速の数字ほど、凄まじい獰猛さは感じられなかったが、柔らかく増強させていくようなパフォーマンスの振る舞いがあるためだろう。
グリップ力は秀抜。テールスライドが始まっても、そこから簡単にまっすぐ加速させていく四輪駆動らしい安定性も備えている。後輪駆動モードにすれば、短時間でリアタイヤを駄目にするだけの自由度も残されている。
速度域が上がるほど個性が見えにくい
一般道でのM8は、快適な相棒になってくれる。多くのライバルと違って、リアシートには大人2人が座れる空間があり、荷室も充分に大きい。ただリアシートは、911より不満が少ないとはいえ、長時間のドライブは断られるかもしれない。
パッケージングは実用的でも、M8コンペティションの場合、最高のGTと呼べるほどの乗り心地は得られていない。911の方が車内は狭く、うるさくても、乗り心地の心地では上だと思う。
ただし、より機敏で落ち着いたドライビングは楽しめる。BMWが優れた乗り心地というアドバンテージを持たなくても、許せるかもしれない。
日常的に運転するクルマとしてなら、穏やかな8シリーズ・クーペの850iの方が快適に付き合えるだろう。乗り心地も良く、ドライビングの楽しさも残した、より良いグランドツアラーだといえる。
速度域が上がるほど、M8コンペティションは、ライバルとの差別化で有利に立ちにくいことが見えてくる。ポルシェ911並みの操舵感や、アウディR8に並ぶ俊敏性、メルセデスAMG GTのマッスルカー級の個性などと比べると、満たしてくれる要素が少々薄い。
BMW M8コンペティション単体で乗れば、とても好きになれるクルマではある。だが比較したうえで自分が手に入れるのなら、別のモデルを選ぶかもしれない。
BMW M8コンペティション・クーペ(英国仕様)のスペック
価格:12万3435ポンド(1666万円)
全長:4851mm
全幅:1902mm
全高:1346mm
最高速度:249km/h(リミッター/解除時は305km/h)
0-100km/h加速:3.2秒
燃費:8.9km/L
CO2排出量:242g/km
乾燥重量:1885kg
パワートレイン:V型8気筒4395ccツインターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:624ps/6000rpm
最大トルク:76.3kg-m/1800-5800rpm
ギアボックス:8速オートマティック
Posted at 2020/05/05 13:49:31 | |
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BMW | 日記
2020年05月04日
最近ヨーロッパ車で多い「48Vマイルドハイブリッド」 プリウスのシステムとはどう違う?
■「LV148」という標準規格が存在している
近年、登場する欧州メーカーの新型車に、お約束のように採用されている技術がある。それが48Vマイルドハイブリッド・システムだ。
日本にもマイルドハイブリッドと呼ばれるクルマは存在するが、欧州メーカー製はひと味違う。
まず大きな違いは、48Vマイルドハイブリッドは、どこかのメーカー1社だけの技術ではないということだろう。
日本の場合は、どこの自動車メーカーも自社で開発したハイブリッドを使うのが基本だ。トヨタのハイブリッドシステムである「THS II」がマツダやスバルのクルマに搭載されることはあるけれど、あくまでも「トヨタが提供した」という形だ。
一方で48Vマイルドハイブリッドは、「LV148」という標準規格があり、複数のサプライヤーがシステムを開発・販売している。欧州では、「ハイブリッドの規格があって、それを複数のサプライヤーが生産していて、自動車メーカーは好きなサプライヤーの製品を選べる」のだ。
日本の場合、自動車メーカーと部品を作るサプライヤーは主従関係的な色合いが強く、しかもメーカーごとに「トヨタ系列」「日産系列」などと呼ばれるようなグループ化が過去に形成されてきた。
最近は、脱系列の動きも見えてきたが、まだまだ完全自由化とはいえない。
一方、欧州の事情は大きく異なる。欧州のサプライヤーは、近年、他企業の合併吸収に熱心で、規模や技術範囲が拡大しているため、「メガサプライヤー」と呼ばれることもある。巨大で技術力もあるため、どこかの自動車メーカーにべったりすることはなく、日本よりも強い発言権を持っているのだ。
そうした自動車メーカーとサプライヤーの関係を背景に、48Vマイルドハイブリッドは生まれてきた。
経緯でいえば、最初にアウディ、フォルクスワーゲン、ポルシェ、ダイムラー、BMWの5社が48Vマイルドハイブリッドを共通化することを2011年に合意し、2013年に標準規格「LV148」を策定。それをもってサプライヤーに協力を呼び掛け、2016年から量産車が登場するようになった。
自動車メーカーとしては、独自でハイブリッドを開発する手間がかからないというメリットがあり、サプライヤーも上手に作れば複数の自動車メーカーに販売することができるというわけだ。
技術的な内容は、割合にシンプルである。システムは、エンジン、スターターと発電機を兼ねるスターター・ジェネレーターと、48Vの二次電池(リチウムイオン電池)、そして電圧を変化させるDC/DCコンバーターで構成されている。
スターター・ジェネレーターはエンジンとベルトでつながっており、減速時のエンジンの回転力を利用して発電する。その電流を二次電池に貯める。そのときの電圧が48Vであるため「48Vマイルドハイブリッド」という名称になった。
もちろん、従来からある12Vの車載バッテリーへの充電もおこなうために、DC/DCコンバーターが48Vから12Vへ電圧を変換している。普通のクルマの電力は12Vだが、それよりも高電圧の48Vにすることでパワーアップと効率アップが見込める。
貯めた電力は、エンジンの始動とアシストだけでなく、幅広い用途が用意されている。たとえば、アクティブ・スタビライザーなどを動かす電力に使ったりもするのだ。どのような便利な使い道ができるのかが、サプライヤーの競争領域ともいえるだろう。
■メリットは低コスト。だがデメリットもある
国産メーカーのハイブリッド・システムと欧州メーカー中心の48Vマイルドハイブリッドを比較すると、それぞれにメリットとデメリットがある。
トヨタの「THS II」や日産の「eパワー」、ホンダの「e-HEV」は、どれもストロングハイブリッドと呼ばれるもの。モーターの出力が大きくてEV走行できる領域が広く、しかも燃費性能も優れるのがメリットだ。
一方で、高出力モーターや高性能な二次電池が必要なため、コスト的にはどうしても割高になる。また自動車メーカーごとに別々にシステムを開発・採用しているので、量産効果が利きにくいのもデメリットとなる。
48Vマイルドハイブリッドとほぼ同様のシステムを採用するのがスズキだ。「Sエネチャージ」と呼ぶスズキの方式は、運用電圧が12Vなのが特徴。そのためパワーと効率では48Vマイルドハイブリッドにかなわないし、1社だけの技術ということでコスト面でも、それほど有利なわけではない。
一方で、48Vマイルドハイブリッドのメリットはとにかく低コストという点だ。
複数のサプライヤーが製造し、複数の自動車メーカーが採用する。生産数も多く、競争原理も働く。また、減速エネルギー回収とエンジン・アシストという燃費性能だけでなく、シャシ系の制御にも利用できるという応用範囲の広さも魅力となる。
システムが比較的シンプルなので、どんなクルマにも採用しやすいということもあって、これから登場する欧州車は、ほぼ標準仕様のようになるのではないだろうか。
メリットの多い48Vマイルドハイブリッドだが、デメリットがないわけではない。というか、非常に大きな問題を抱えている。
それは燃費向上率が、それほど大きくないことだ。じつはこれが大問題で、日本式のストロングハイブリッドには燃費性能ではかなわない。
また、これから年々厳しくなる燃費規制をクリアするには、48Vマイルドハイブリッドだけではとうてい不可能といえる。
そのためには、新たなストロングハイブリッドやEV化など、さらなる電動化技術を採用するしかない。手軽で便利なシステムだけれども、あくまでも本命が登場するまでのつなぎという役割なのだ。
そういう意味では、すでにストロングハイブリッドが本流となっている日本車の方が電動化に関しては先を行っているといえるのではないだろうか。
Posted at 2020/05/04 21:45:49 | |
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