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2020年09月25日 イイね!

ルノースポールじゃなくてアルピーヌを前面に押し出していくって事なんだね

ルノースポールじゃなくてアルピーヌを前面に押し出していくって事なんだね【WEC】アルピーヌ、2021年からのLMP1挑戦を発表。F1に続き耐久界の頂点にもステップアップ

 フランスのアルピーヌは9月14日(月)、2021年のWEC(世界耐久選手権)参戦プログラムについての発表を行ない、LMP1に挑戦することを明らかにした。

 ルノー傘下のブランドであるアルピーヌは、2015年からフランスのレーシングチーム、シグナテックと組み、『シグナテック・アルピーヌ』としてWECのLMP2クラスに参戦してきた。しかし、この度ルノーグループの組織再編が行なわれたことにより、モータースポーツにおけるアルピーヌブランドのステップアップが加速している。

 先日は、ルノーF1チームが2021年から『アルピーヌF1チーム』へと名称変更することが発表されたばかりだが、この耐久レースの世界においても、アルピーヌは最高峰カテゴリーに挑むこととなった。

 チーム名称は『アルピーヌ耐久チーム(Alpine Endurance Team)』。マシンはオレカ製シャシーにギブソン製エンジンというパッケージのLMP1マシンがベースとなる模様。マシンを一から開発する必要性がないこともあり、プロジェクトは11月に本格始動し、諸々の確認作業を経た後、来年3月に予定されている開幕へ臨むことになる。

 来季の最高峰クラスには、トヨタ、グリッケンハウス、バイコレスといったマニュファクチャラーが参戦を表明しており、彼らは既に独自のハイパーカー開発に着手している。つまり同クラスはハイパーカーとプロトタイプカーが混在することとなるが、BoP(性能調整)によって戦力の均衡化が図られるという。

 なお、アルピーヌのマネージングディレクターであるパトリック・マリノフは、来季のLMP1挑戦に伴い、シグナテック・アルピーヌによるLMP2クラスのプログラムは今季限りで終了すると明らかにした。

 気になるマシンのカラーリングやドライバーラインアップは後日発表とのこと。ドライバーの選考基準について、シグナテックのフィリップ・シノー代表は次のように語った。

「ドライバー選びは成功への鍵となるため、正しい選択をするためにしっかりと時間をかけて決めたい。重視するのはふたつの点で、まずは経験を積んでいるドライバー、そしてもうひとつはレベルの高いドライバーだ」

「ただチームワークも重要なので、シグナテック・アルピーヌと円滑に仕事ができるドライバーであることも重要だ」

 LMP2クラスのシグナテック・アルピーヌは今季、トーマス・ローラン、アンドレ・ネグラオ、ピエール・ラゲという3人のドライバーを起用している。ドライバーライセンスはローラン、ネグラオがゴールド、ラゲがシルバーとなっているが、シノー代表曰く、シルバードライバーの起用義務がない最高峰クラスではゴールドドライバーまたはプラチナドライバーを中心に起用を考えているという。


「アルピーヌ」が2021年シーズンからWEC LMP1、F1グランプリに参戦、ルノーグループのスポーツイメージを牽引

2020年9月14 日、アルピーヌは2021年シーズンのWEC世界耐久選手権にLMP1マシンで参戦すると発表した。チーム名は「アルピーヌ・エンデュランス・チーム」でアルピーヌのワークスチームとなる。アルピーヌは2021年からルノーにかわってF1に参戦することを発表しており、2つの世界選手権の最高峰に挑むことになった。

世界のトップカテゴリーの表舞台へ
アルピーヌはシグナテックとのジョイントチームで2015年からWEC世界耐久選手権のLMP2クラスに参戦し、ル・マン24時間レースに4度挑戦して3回のクラス優勝、2度のシリーズチャンピオンに輝くなど活躍しているが、いよいよトップカテゴリーのLMP1に挑戦して総合優勝を狙うことになる。

WECのレギュレーションは2021年よりLMHハイパーカークラスとLMDhプロトタイプカークラスのハイブリッドカー主導へと大きく変更されることが決まっているが、トップカテゴリーのLMHとLMDh、そして現行のLMP1は厳格な性能調整によって、どちらも同等のパフォーマンスが発揮できるようになると言われている。ライバルとなるエントラントの詳細はまだ明らかになっていないが、すでに参戦を表明しているトヨタに対抗できるということだろう。

2021年に使用するマシンは現在開発中ということだが、長年パートナーを組んでいるオレカ製のシャシとギブソンのエンジンをベースにしたものになるようだ。チーム名は『アルピーヌ・エンデュランス・チーム」となるが、シグナテックとの協力関係は継続される。この正式発表に先駆けて行われた日本人ジャーナリスト向けのオンライン記者会見では「今年11月ごろには完成し、テストを開始する予定」と答えている。まだドライバーラインアップも未定だが、スキル、経験、チームとの融合などを考えて決定するとしている。

また、ハイブリッドカーでの参戦については「現時点では、LMDhやLMHがどうなっていくかを注視している。2022年以降について語るのは時期尚早であり、現在はLMP2に、そして来年はLMP1プログラムに集中する」という。

アルピーヌのマネージング・ダイレクター、パトリック・マリノフは「1955年に誕生以来、アルピーヌはラリーやル・マン24時間とともに歩んで来ました。コンペティションへの情熱がDNAであり、2013年にWECに戻り、そして2021年にLMP1に復帰するのは自然なことです」と最高峰カテゴリー参戦の経緯を説明する。

また、これを受けて、シグナテックのディレクターであるフィリップ・シノーは「これはエキサイティングで信じられないほど刺激的な挑戦であり、アルピーヌが世界のモータースポーツの歴史でさらに大きな存在感を持つことができるように、挑戦したいと思っています」と語った。

なお、アルピーヌは2021年からルノーにかわってF1に参戦することもすでに発表。ルノーグループは今後アルピーヌをルノーのスポーツカーブランドとしてアピールしていくという戦略を持っているようだ。古くからの耐久ファンにとってアルピーヌの復活はなんともうれしいし、「アルピーヌF1チーム」がF1グランプリにどんな風を吹き込むのか楽しみだ。


アルピーヌ、2021年のWEC/ル・マンに“LMP1”での参戦を発表。BoPを用いてハイパーカーと競う

 アルピーヌは9月14日、WEC世界耐久選手権の2021シーズン、および2021年のル・マン24時間レースに、『アルピーヌ・エンデュランス・チーム」としてLMP1マシンで参戦すると発表した。

 現在参戦しているLMP2プログラムについては今季(2019/20シーズン)でいったん区切りをつけ、2021年からのLMP1プログラムにリソースを集中する。

 先日、2021年からルノーF1チームの名称を『アルピーヌF1チーム』へと変更することを発表したグループ・ルノー。来季は『アルピーヌ』の名で、もうひとつの世界選手権へと臨むことになった。

 アルピーヌと耐久レースといえば、1963年から1978年にかけて11回参戦したル・マン24時間レースでの活動が有名だ。最終的にはターボエンジンを搭載したルノー・アルピーヌA442Bで1978年のル・マン24時間レースを初制覇し、その後はF1へと活動の場を移していった。

 21世紀に入り、フィリップ・シノー率いるシグナテック(シグネチャー)チームとのジョイントで2013年からヨーロピアン・ル・マンシリーズのLMP2クラスを戦ってきたアルピーヌは、2015年にはWECへと活躍の舞台を移し、ル・マンの舞台に復帰。2016、2018、2019年にル・マン24時間レースでクラス優勝を果たし、さらには2度にわたって世界チャンピオンに輝くなど、LMP2のフィールドでその地位を確固たるものとしてきた。

「アルピーヌはコンペティションのために生まれた。レースへの情熱がそのDNAに埋め込まれている」とアルピーヌのマネージング・ダイレクター、パトリック・マリノフは最高峰カテゴリー参戦の経緯を説明する。

「(LMP2で積み上げてきた)我々の力を、次はLMP1の舞台で証明してみせたいと思う。これは我々にとって、自然な“ネクスト・ステップ”だ」

「グループ・ルノーは、アルピーヌの名をスポーツカー・ブランドとして訴求するという明確なビジョンを持っている。したがって、アルピーヌの名の下にレースをすることには意味がある」

 2021シーズンに使用するシャシーはLMP2でも長年パートナーとしているオレカ製。ギブソンエンジンを搭載するということで、2020年ル・マン24時間レースを最後に活動終了を表明しているレベリオン・レーシングのレベリオンR13がベースになる。

 LMP2ではいわゆる“バッヂ替え”でオレカ製シャシーを「アルピーヌA470」という登録名で使用してきたが、LMP1においても「オレカシャシーをベースとしたアルピーヌLMP1プロトタイプで戦う」と発表されており、マシンにはアルピーヌの名が冠されることが濃厚だ。

 アルピーヌのリリースのなかでは「ACOとFIAは、すべての参加マシンの性能を同等にするBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)を用いることで、ハイパーカーと並んでLMP1マシンの参戦を許可する」と記されており、トヨタやスクーデリア・キャメロン・グリッケンハウス、そしてバイコレスが送り込む予定のハイパーカーと同じ土俵で戦うことになる模様だ。

「最新の2021年規則の変更により、我々の技術的なノウハウとコンペティティブなレースの経験を活用することが許されることとなった」とマリノフ。

「さまざまなコスト・コントロール策により、適度な投資で参入することが可能になった。ACOによるルール変更のおかげだ」

「おそらくこれは、“ダビデとゴリアテ”(弱小な者が強大な敵を倒すという意)に似た話になる。我々がゴリアテ(強者)ではないことは、誰もが分かるだろう。でもこれは、我々が求めていたチャレンジなんだ」

■LMDhについて語るのは「時期尚早」

 マリノフの高らかな“宣誓”を受け、シグナテックのダイレクターを務めるシノーは「大きなプレッシャーが両肩にのしかかってきているけど、僕らはこういうのが好きだからね」と語る。

「アルピーヌがLMP1というエキサイティングなニュー・チャレンジに向け、テクニカル・パートナーシップを継続してくれたことを誇りに思う。マシンは現存するオレカシャシーをベースとし、オレカとともに開発を継続していくことになるが、F1チームとも開発に必要な情報をシェアできるのではないかと思う」

 2021年3月以降に予定されている開幕戦に向け、チームは2020年11月頃からテストを開始する予定だ。

 シノーが「耐久レースにおける成功のカギのひとつ」と語るドライバーラインアップについては、テスト開始前までに発表予定。シルバー(またはブロンズ)カテゴリーのドライバー1名の起用が義務付けられるLMP2クラスとは異なり、LMP1ではドライバーの制約がない。

 このため、優れたプラチナ・ゴールドカテゴリーのドライバーの獲得を目指しつつ、これまでシグナテック・アルピーヌとともに仕事をしてきたドライバーらの起用も視野に入れているようだ。

 なお、将来的なLMDhカテゴリーへの参入可能性について問うと、マリノフはこう答えた。

「我々はいま、ふたつの大きな世界選手権への参戦を発表したばかり。現時点では、LMDhがどうなっていくかを注視するしかない。2022年以降に何が起こるかについて語るのは時期尚早だ。我々は現在はLMP2に、そして来年はLMP1プログラムに集中する必要がある」

 古くからの耐久ファンにとっても嬉しい、『アルピーヌ』の復活劇。現時点でこのプログラムは2021年の1年のみにしか言及していないが、2022年にはプジョーもトップカテゴリーへの復帰を表明しており、フランスのレースファンにとっても華やかな季節が巡ってきそうだ。
Posted at 2020/09/25 20:51:17 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車業界あれこれ | 日記
2020年09月24日 イイね!

STIスポーツは好みだろうけどアイサイトはアイサイトXを選ぶのが正解かな〜

STIスポーツは好みだろうけどアイサイトはアイサイトXを選ぶのが正解かな〜ターボ車初のSGPで超絶進化! 2代目レヴォーグは「走り」がスゴイ!

 2020年10月15日に正式発表、11月に発売開始となる予定のスバル「新型レヴォーグ」の全貌が明らかとなった! 先行予約は、すでに8月20日より、全国のスバルディーラーで開始されている。

 そんな注目の新型レヴォーグだが、ひと足早くプロトタイプカーではあるものの、クローズドコース(JARIテストコース)において、試乗することができた。今回は、アイサイトXだけではない新型レヴォーグの進化の全貌をお届けしたい。

※本稿は2020年8月のものです
文/鈴木直也
写真/西尾タクト、平野学
初出:『ベストカー』 2020年9月10日号

【画像ギャラリー】デザイン・走り・先進安全性ともに進化した新型レヴォーグの全貌をギャラリーでチェック!!

■やはり注目すべき大幅進化したアイサイトX

 今度の新型レヴォーグにはぶったまげました。何がって、とにかくクルマの隅々までオタクとしか言いようがないレベルで徹底的に作り込まれていること。

 デザインは初代モデルの正常進化というイメージだが、中身は事前の予想をはるかに超える出来栄え。プロトタイプの事前試乗会でそれを体験して、ボクは「4代目BP型レガシィの再来だー!」と心中密かに叫んだのだった。

スバルグローバルプラットフォーム(SGP)を採用するのはインプレッサ、XV、フォレスターに続いて第4モデルとなり、ついにターボエンジン車に搭載されることになった。SGPの”真打ち”ともいえる新型レヴォーグ

 まずは、アイサイトのバージョンアップ版、「アイサイトX」だ。

 画像センサーの性能向上や前側方監視レーダーの追加など、ハードウェア部分の強化もさることながら、やはりすごいのはソフトウェアの進歩だ。横から飛び出してくる自転車、右折時の対向車や見通しの悪い丁字路での交差車両など、プリクラッシュブレーキの作動領域がグッと広がっている。

 また、最近トレンドとなっている高速道路の渋滞時、約50km/h以下ならハンズフリーで追従するモードも装備。まずは、スペック表でライバルに負けない機能を盛り込んでいる。

アイサイトXの効果を体験する鈴木直也氏。渋滞時ハンズオフアシスト、アクティブレーンチェンジアシスト、カーブ前速度制御&料金所速度制御、ドライバー異常時対応システムをスバル車で初めて採用した

アイサイトXには広角化した新型ステレオカメラを装着。こちらはアイサイトX作動時のメーター内液晶ディスプレイの様子。これ以外に2眼メーター表示や地図表示が可能だ

 実際の走りでもアイサイトXのありがたみは大いに体感できた。レーンキープ性能の精度向上は目を見張るものがあり、高速道路によくある緩いカーブなどは得意中の得意。120km/hで進入するとやや速度を下げつつ、スムーズに旋回に入り、ビシッとレーン中央をキープするみごとなトレース性能を披露。ウインカースイッチによるレーンチェンジや、高速料金所への進入速度も自動制御される。

 ドライバー監視システムもさらに進化し、今回から運転者が意識を失うケースのような緊急事態にも対応する。ハザードランプやクラクションで周囲に注意を促しつつ、車線上での自動停止まで実体験できた。

スバルのフラッグシップモデルともいえる存在に成長したレヴォーグ。従来型は1.6Lターボ車が2014年から現在までに約11万台を販売したが、新型はそれを超えることができるか!?

■鍛え上げたボディ剛性を生かし切った 打倒欧州車も可能な走り

 次から次へと披露されるデモに、ベストカー本誌の編集担当と一緒に「こりゃすごい!」「よくできてるなー!」と驚きの連続だったのだが、しかし、それは序章に過ぎなかったのよ!

 とりあえずテスト車に乗せられ、アイサイトXの進化にキャッキャッと喜んでいた最初の興奮状態。それが醒めて気づいたのは「パワートレーンもシャシーも恐ろしく出来がいいんじゃね?」という事実。派手なADASだけじゃなく、それを支える車体やパワートレーンが素晴らしいのだ。

 完全新設計の1.8Lターボは、ごく低速域から力強いトルク感を発揮し、常用域でのドライバビリティが圧倒的にいい。また、クルマ好きにはあまり評判のよくないCVT(リニアトロニック)も、従来型のようなラバーバンドフィールは激減。ステップATに近いダイレクト感があった。

写真は最上級グレード「STI Sport」。アイサイトX(+35万円)をつけて税抜き370万円台となる。このほか、中間グレードの「GT-H」、最廉価グレードの「GT」を設定

STI Sportのインパネデザイン。インテリアにボルドーの差し色が入るのは従来型と同様だ

STI Sportには従来型と同じくボルドーカラーの本革シートが装着される。ヘッドレストにはSTIロゴが入り、座面のクッション性も向上

 さらに、乗れば乗るほど味わい深いのがシャシー性能の上質さだ。最初に「イイなぁ!」と思ったのは乗り心地のスムーズさと静粛性の高さだが、走り込むにつれて「これはただごとじゃないレベルかも?」と、思わず居住まいを正したほど。ドラポジをきちっと合わせ直し、クルマから伝わってくる情報をきちんと受け止めなくちゃイカンと、全神経を集中しちゃいましたよ、マジで。

 で、ボクが感じたことは、ステレオタイプな表現で申し訳ないが「やっぱ、ピシッと引き締まったボディ骨格に、きちんと動くサスペンションというコンビネーションだねぇ……」というもの。ボディ/シャシー系の開発者は、おおむねみんなその方向を目指すのだが、新型レヴォーグほどみごとな模範解答を提出してきたクルマは滅多にない。

 エンジニアに話を聞くと、「ベースはSGP(スバルグローバルプラットフォーム)ですが、インナーフレーム構造(骨格を組み立ててから外板パネルを溶接する工法)の採用や構造用接着剤の使用範囲拡大(インプレッサ比で4倍)が効果を発揮しています」とのこと。SGPは登場時点では個人的にあんまりピンとこなかったのだが、この新型のボディ剛性の素晴らしさには脱帽だ。

SGPに加え、スバル初採用のフルインナーフレーム構造。ボディ剛性は従来型から向上し、ねじり剛性は約44%も向上しているという

新開発の水平対向4気筒、直噴1.8LDOHCターボは177ps/30.6kgmを発揮。従来型の1.6Lターボから7ps/5.1kgm向上

STI Sportに搭載される「ドライブモードセレクト」。電子制御ダンパー採用により、「COMFORT」「NORMAL」「SPORT」「SPORT+」「INDIVIDUAL(お好み設定)」の5モードを選択可能だ

 また、電動パワステ(EPS)をステアリング入力とモーターアシストを分離した2ピニオン型にグレードアップしたり、ブレーキローターのハット部を削ってキングピンオフセットを減少させたり、ステアリングフィールに対するこだわりもスバルらしいオタクっぷりが炸裂。このあたりに投入したコストは、まさに欧州プレミアム並み。正確で雑味のないステアフィールは、ちょっと惚れ惚れするくらいイイ。

 この辺を欧州プレミアムと比較するなら、エントリーレンジのFFベースではなく、ベンツなら「C」、BMWなら「3」あたりのDセグに匹敵する上質感。国産Cセグでここまで達成してくるとは、正直まったく予想してませんでした。

 新型レヴォーグの走り(とりわけシャシー性能)のよさは、お金も手間も惜しみなくかけたエンジニアのこだわりの成果。スバル技術者のオタクっぷりを、存分に見せつけてくれた新型レヴォーグプロトの事前試乗会でした。


ドイツで鍛えた足まわりがワゴンであることを忘れさせる! 新型レヴォーグ サーキット試乗

新型レヴォーグの動的質感をサーキットで試す

10月15日の正式発表に先駆けて、8月20日に先行予約がスタートした2代目スバル レヴォーグ。正式な数字はまだアナウンスされていないが、すでに相当数の予約が入っていると言われている。8月初旬に、日本自動車研究所(JARI)城里テストセンターで行われたプロトタイプ試乗会で受けた衝撃を考えれば、その人気ぶりも納得である。

しかし、前回のJARIはあくまでもテストコースである。新世代のアイサイトXの機能を体験するには最適な環境だったかもしれないが、動的な部分を味わうにははっきり言って物足りなかった。

だがそこはさすがスバル。約1カ月後の9月上旬に、千葉県の袖ケ浦フォレストレースウェイで、メディア向けに「新型レヴォーグ・プロトタイプ試乗会(動的体感編)を開催したのだ。わかってらっしゃる!

今回は、新型レヴォーグのGT-HおよびSTIスポーツ、そして従来モデルのSTI スポーツ アイサイトで、それぞれ4周ずつのサーキット走行がメイン。パドックでは高速域からのプリクラッシュブレーキのデモンストレーションと、前側方軽快アシスト+対歩行者プリクラッシュブレーキの体験などが行われた。

CVTなのにトルコンATのようなダイレクト感
我々はまずサーキット走行へ。1台目は新型のGT-Hだ。GT-HのタイヤサイズはSTIスポーツと同じ225/45R18だが、足まわりにコンベンショナルなショックアブソーバーを装着。またドライブモードセレクトの代わりにSI-DRIVEを搭載したモデルだ。

1周目は軽く流してコースを確認。この時点ですでに軽く吹け上がるエンジンが気持ちいい。そしてメインストレート手前からSI-DRIVEをSモードに入れて加速体制に入る。

メインストレートでは軽やかな加速を見せ、150km/h強に到達。177ps/300Nmのエンジンスペック、そして車両重量1570kgの車体に撮影スタッフと2人で乗車していたことを考えればまずまずだ。

ブレーキングから右へ90度曲がる第1コーナーへ進入する。とてもスムーズに狙ったとおりの走行ラインをトレースできる。そのままフル加速して大きな右コーナーから中速の右複合コーナーへ進んでも、4WDのクセを感じるどころか、速度域や加減速状態に関係なく、ステアリングの正確性が全く失われない。コース後半にある大小の180度ターンも正確にクリッピングポイントにつくことができる。

CVTであるリニアトロニックの制御もいい。Dレンジでもまずまずのダイレクト感があるが、マニュアルモードに入れれば、今どきのトルコン式の8速スポーツATと比べても遜色ないスポーティなフィーリングが得られる。

ただ、GT-Hはサーキット走行を全力で楽しむには、若干足まわりがソフトだ。もちろんダンビングはしっかり効いていて、コーナーで不安を感じるようなことはないし、ロールスピードも上手く抑えられているが、基本的に快適性を担保したセッティングである。とはいえそれでも十二分に軽快な走りを楽しむことができた。

スポーティ一辺倒ではない動的質感
次はいよいよ新型のSTIスポーツだ。専用18インチアルミホイールや専用ステアリングホイール、レッドステッチをあしらったボルドー/ブラックのレザーシートなどがおごられたSTIスポーツは、ZF製の電子制御ダンパーとドライブモードセレクトを装備した、現時点で最もスポーティに仕立てられた仕様だ。

ドライブモードセレクトをスポーツ+に入れ、リニアトロニックをマニュアルモードに切り替えてコースイン。走り出しから足まわりのしっかり感がまるで違う。軽く流しているだけでも、シートやステアリングからGT-Hより一段上のスポーティネスが伝わってくる。

先ほどと同様に、2周目からクルマに鞭を入れる。加減速にGT-Hとの差はないが、引き締まった足まわりがロールやピッチングをさらに抑え、ステアリングの正確性も一層高められている。ステアリングレスポンスもほとんど遅れを感じさせないが、過敏だったりオーバーステア気味だったりと言うことはなく、ワゴンであることを忘れるほど、とてもダイレクト感のある走りが楽しめる。スポーツ+では前後駆動力配分がほぼ50:50になるという4WDによるトラクション性能の高さも感じられ、まさにクルマが意のままに動いてくれる感覚だ。

だがスポーティ一辺倒というわけでもなく、あらゆる動きにしなやかさが感じられる。その辺がボディ剛性向上や構造用接着剤の使用範囲拡大などで、NVHを徹底的に低減させた新型レヴォーグの真骨頂なのだろう。俊敏でスポーティネスと上質感が見事に融合した走りは、間違いなく世界に通用するレベルである。

最後に従来モデルのSTIスポーツ アイサイトでも走行したが、SI-DRIVEをSモードに入れても、あらゆる動きが感覚にリンクせず、クルマの動きがとてもチグハグな印象を受けた。新型STIスポーツのように、クルマが手足のように自由自在に動く感覚を体感した後では、なおさらだ。デビュー当時は決してそんなことはなく、十分にスポーティだったはずだが、2世代くらい前のクルマに感じてしまったというのが正直な感想だ。

おべっか抜きにドイツ勢を脅かす乗り味
では新型レヴォーグの出来栄えは、同クラス(Cセグメント)のドイツ車と比べて、どのあたりになるのか。VWゴルフ7(GTI除く)よりは上で、エンジン性能に差はあるが、特にSTIスポーツのシャシーの完成度はアウディS3(8V)にかなり迫るレベルにあるという印象。まだゴルフ8や新型アウディA3には試乗できていないのでなんとも言えないが、新型BMW1シリーズやメルセデス・ベンツAクラスのリアサスがマルチリンクのモデルともいい勝負をしそうである。

今回の取材で、開発トップの五島 賢氏から興味深い話を聞いた。それはZF製の電子制御ダンパーに関することなのだが、ZFのエンジニアは、新型レヴォーグ用の電子制御ダンパーの開発を、ドイツメーカー向けのものと全く変わらない手法で行ったのだそうだ。つまり、新型レヴォーグは、現時点では国内専用モデルだが、足まわりはドイツの道で鍛えられたのだ。走りが抜群にいいのも納得である。

これほどのクルマが300万円ほどで手に入るのだから、新型レヴォーグは間違いなくお買い得だ。あとは一般道でどんな走りを見せてくれるのかが気になるところだが、早いタイミングで手に入れたいなら、事前予約するべきかもしれない。

〈文=竹花寿実〉


EJ20型に先祖返り!? 新型レヴォーグ搭載の新設計エンジン「CB18型」のコンロッドが水平割に変更された理由

斜め割より水平割のほうが強度的に有利
新型レヴォーグはスバルの第4世代ボクサー、CB18型水平対向エンジンを搭載する。第3世代のFB16型から全方位で進化を遂げた完全新設計は見どころ満載だが、じつは第2世代のEJ20型に“先祖返り”したような技術も見られるのだ。

まず、コンロッドをクランクシャフトに取り付ける大端部の分割パターン。FA/FB型では、EJからのロングストローク化に伴う組み立て工程の変更によって、斜め割形状が採用されていた。

これがCBではEJと同じ一般的な水平割に再び変更されている。理由は連結強度の確保。CBは極限と言えるほどの軽量・コンパクト設計で、クランク長がFA/FBより34.6mmも短くなっている。これはエンジンのボアピッチを短縮し、クランクウェブを可能な限り肉薄化した成果。その分、クランク全体の剛性は不利になる。コンロッドもしかりで、強度的に斜め割より有利な水平割が採用されたのだ。信頼性を最優先した取り組みで、高強度材も合わせて採用されている。

●左が新型となるCB18型、右がFB16型

半面、斜め割で向上したボクサーエンジン独特の整備性も、EJ時代に逆戻り。ただ、コンロッドにまで手を入れる重整備が必要となるケースは極めて少なくなっており、そうした信頼性の向上も水平割復活の背景にある。

補機ベルトも懐かしい2本掛けに…なぜ?
次に、補機ベルトシステム。FA/FBではオルタネーター、エアコンのコンプレッサー、ウオーターポンプを1本で駆動する、サーペンタインベルトが採用されている。各プーリーの前後位置をずらす必要がなく、クランク方向のエンジン長を短くできる、今では極めて一般的な技術だ。サーペンタイン(serpentine)はヘビのような、曲がりくねったの意。パワーステアリングが油圧の時代はそのオイルポンプまで駆動したから、補機ベルトはサーペンタインが登場するまで2本掛けや3本掛けが当たり前だった。

●FB16型の補機ベルトは1本掛け

そして、新型レヴォーグのボンネットを開けると、CBは懐かしい2本掛けなのだ。具体的には、オルタネーターとエアコンのコンプレッサーで1本、ウオーターポンプでもう1本。それに伴ってベルトガイド役のアイドラプーリーは廃止されている。

●CB18型の補機ベルトは2本掛け

なぜ2本掛けに戻したのか!? 理由は単純で、サーペンタインよりフリクションが低いから。ベルトの屈曲率が減ったことで、FB16より約24%も低減したという。これはウオーターポンプを張力が比較的低いストレッチベルトでまかなえることが奏功しているようだ。ちなみに、この2本掛けは当初から狙っていたものではなく、CBのエンジン長が短くなったから可能になった、言わば副産物である。

興味深いのは、こうしたアイデアが入社5年ほどの若いエンジニアから発案されたという点。EJと同じに戻そうとしたのではなく、最新の解析・シミュレーションの結果、選択した技術的手法が、たまたまEJと同じだったというわけ。

先入観を持たず従来の常識にとらわれない柔軟な発想に、中堅やベテランは目を洗われる思いがしたとか。そして、新型レヴォーグではエンジン以外の開発も、若手が中心となりベテランがサポートするという新しい体制で進められたのだ。

ほかにも、前述の芸術的なまでに肉薄のクランクウェブは、これも厚さを増したFA/FBからEJ20の“カミソリ”が復活。リーンバーンの採用は、2~3代目のレガシィ以来となる。

技術は世につれ、世は技術につれ。さまざまな理由で姿を消したメカニズムが、技術レベルの進化や時代の変化によって新たな命を吹き込まれる。人生の生き方のヒントにもなるような、エンジニアリングの奥深さの一端だ。

〈文=戸田治宏〉


旧型レヴォーグと新型レヴォーグ何が変わった?スバル新型レヴォーグ プロトタイプを徹底解説!開発責任者の五島さんとのインタビューも敢行!!

旧型レヴォーグと新型レヴォーグ何が変わった?スバル新型レヴォーグ プロトタイプを徹底解説!開発責任者の五島さんとのインタビューも敢行!!

旧型レヴォーグと新型レヴォーグ何が変わった?スバル新型レヴォーグ プロトタイプを徹底解説!開発責任者の五島さんとのインタビューも敢行!!

今回は話題沸騰中のスバル新型レヴォーグのプロトタイプ試乗会へ参加しました!
新しいレヴォーグには新しいプラットフォームやエンジン、アイサイトXなどスバルの新しい技術がてんこ盛り!鈴木ケンイチさんとお届けします!

スバル レヴォーグ プロトタイプ
ボディサイズ:全長×全幅×全高4755×1795×1500mm
ホイールベース:2670mm
車重:1550kg (GT GT EX) 1570kg(GT-H GT-H EX) 1580kg(STI Sport STI Sport EX)
駆動方式:AWD
エンジン:1.8L DOHC 16バルブ デュアルAVCS 直噴ターボ“DIT”
トランスミッション:リニアトロニック(マニュアルモード付) 前進無段 後退1速
最高出力:130PS(177kW)/5200-5600rpm
最大トルク:300Nm(30.6kgm)/1600-3600rpm
燃費:16.6km/L (GT GT EX) 16.5km/L (GT-H GT-H EX) 16.5km/L (STI Sport STI Sport EX) *JC08モード


新型レヴォーグ サーキット試乗!もしかしてドイツ車を超えちゃった!?

スバルGTの血統を継承する生粋のGTワゴン、 レヴォーグの2代目がついに登場する。

今回はプロトタイプのサーキット試乗会に参加。

前回に引き続き試乗を担当した竹花氏は、自らの経験からドイツ車との性能比較。

一新されたモノコックやエンジン、足まわりによってレベルアップした2代目レヴォーグの実力とは?

ヨーロッパでも通用する性能なのだろうか?

〈文=ドライバーWeb編集部〉





なぜスバル「レヴォーグ」は生まれた? 歴代レガシィから継承したモノとは

■業界騒然!? 新型レヴォーグが凄すぎるらしい…

 2020年8月20日より先行予約が開始されたスバルの新型「レヴォーグ」。その注目度はここ数年のスバル車トップレベルで、先行展示会では乗車体験1時間待ちという話も聞いています。
 
 予約のほうも好調で、関係者によると予約台数はスバル自身が驚くレベルの台数を記録しているそうです。

 そんな新型レヴォーグの開発コンセプトは「継承と超革新」です。今回は“継承”の部分に注目してみたいと思います。

 今では好調なスバルですが、1980年代は他社による買収や倒産の危機まで報道されるほど厳しい局面に立たされていました。この危機感から「クルマで勝負」、「本気でいいクルマを造る」という流れから開発されたのが、1989年に登場した初代「レガシィ」でした。

 開発コンセプトは単純明快で「日本一で一番いいセダン/ワゴンを作る」。その実現のために、プラットフォームは「スバル1000」以来となる全面新設計でサスペンションも4輪ストラットが奢られました。また、エンジンも同じ水平対向ながらも完全新設計となるEJ型が開発されました。

 ハードの刷新のみならず開発手法にもメスが入り、従来の「縦割り&技術主導」から「プロジェクトチーム制」へと変更。

 さらに走りの味付けは一人の担当者に一任されました。彼はベンチマークとしてメルセデス・ベンツ「190E」を徹底的に解析すると同時にプライベートで参戦していたダートトライアルでの経験を活かし、舗装路でも通用する「曲がる4WD」を作り上げました。

 その実験担当者とは、現在STI NBRチャレンジの総監督でありハンドリングマイスターの辰己英治氏です。

 このような経緯で生まれた初代レガシィの走りは高く評価され、スバルのイメージは「積雪地域で乗るクルマ」から「走りにこだわりのあるメーカー」へと大きく変わりました。

 その後、レガシィは世代を重ねるごとに進化・熟成がおこなわれていきます。「世界一」を目指した2代目(1993年)、「世界で通用する本物のブランド」を目指した3代目(1998年)、「走りと美しさを融合」を目指した4代目(2003年)と、歴代モデルを振り返るとさまざまなトピックがありますが、大きな転機は2008年に登場の5代目です。

 北米からの要望に応えてボディサイズを拡大。この判断が功を奏して北米で大ブレイクし、スバルの業績アップに大きく貢献しました。しかし、これまでレガシィを支えてきた日本市場からの反応は「レガシィは日本市場を捨てた」といわれ苦戦。

「レガシィだけでは全て地域のユーザーを満足できない」、そんな想いから生まれた企画が「日本人のためのレガシィ」で、それが2014年に登場した初代レヴォーグです。ちなみにネーミングの由来は「レガシィ・レボリューション・ツーリング」とド直球でした。

 スバル自ら「レヴォーグは『レガシィ・ツーリングワゴンの血統』を継承する、日本のためのクルマ」と語っていますが、何が継承されたのでしょうか。

 そのひとつは「グランドツーリング(GT)思想」です。ちなみにスバルの考えるGTの要件は、「より速く」、「より快適に」、「より遠くに」、「より安全に」です。要約すると“総合性能”が重要ということで、言葉でいうと簡単ですが、実現は非常に難しいです。

 歴代レガシィはその難関に立ち向かうためにその時代におけるスバルの最先端技術を惜しみなく投入してきました。後継の初代レヴォーグも4代目レガシィ並みの扱いやすいボディ、2種類のターボエンジン、「WRX」譲りのフットワークの良さ、進化したアイサイト(前期:バージョン3、後期:ツーリングアシスト)などが導入されています。

 初代レヴォーグは市場で高く評価され、日本市場をけん引する新たなリーダー的存在になりましたが、その裏で2代目となる新型レヴォーグのための仕込みが進められていました。

 ただ、他社と違って将来ビジョンをほとんど語ろうとしないスバルの姿勢に、「スバルの未来はホントに大丈夫?」と心配になったのも事実です。

 ただ、今回新型レヴォーグに乗ってスバルの未来がハッキリしました。つまり、言葉ではなくモノで証明したわけですが、まさに究極の口下手といえます。

■新型レヴォーグは、歴代レガシィ&初代レヴォーグのDNAを継承して生まれた?

 スバルのクルマづくりの基本は乗る人すべてに安心と愉しさの提供ですが、全面刷新されたメカニズムが相乗効果を生み、結果として激変レベルに高められています。

 例えるなら30年前に「レオーネ」からレガシィに変わったくらいの衝撃です。ただ、勘違いしてほしくないのは、新型レヴォーグが突然変異で生まれたのではなく、歴代レガシィや初代レヴォーグでの経験が次世代技術という武器を用いたことで花開いたことにあります。

 フルインナーフレーム構造採用のSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)や新世代ボクサーターボ「CB18」をはじめとするメカニズムの刷新、アイサイトX採用といった先進安全の進化と、すべてが刷新されています。

 開発責任者の五島賢氏は「新型レヴォーグでスバルの未来を証明するために、次世代技術は新型レヴォーグに合わせて開発したといっても過言ではない」と語っています。

 ちなみに新型レヴォーグの走りの味付けは、辰己氏の愛弟子であるエンジニアが担当。さらにSTI社とのコラボレーションもこれまで以上に密接におこなうなど、従来の枠にとらわれない開発アプローチとなっているそうです。

 実は新型レヴォーグに乗る前に新車に近いコンディションに仕上げられた歴代レガシィと初代レヴォーグに乗る機会がありました。

 どの世代もスバルのグランドツーリング思想に則っているのは間違いないですが、バランス重視な1代目/3代目、スポーツ性重視の2代目/4代目と初代レヴォーグ、そしてツーリング志向の5代目と時代背景やユーザーの嗜好に合わせて個性は少しずつ異なりました。

 それを体験した後に新型に乗ると、歴代モデルのいい所が見事に融合している事に気が付きました。それは新型レヴォーグが現時点でスバルが理想とするGT性能を手に入れた事を意味しています。つまり、「レガシィ→新型レヴォーグ」への継承は、超革新なくしては実現できなかったのです。



【現実世界で使えるかどうか】スバル次世代アイサイト 本当に使えるのか? 疑似交差点で体験してみた

スバルの次世代アイサイトとは何か?

text:Kenji Momota(桃田健史)

新型「レヴォーグ」から採用される、次世代アイサイト。

その実力については、2020年8月のレポートでは、高速道路を想定したアイサイトX実体験の模様をお伝えした。

今回は、交差点など市街地を想定して体験だ。その模様を詳しくご紹介したい。

まず、次世代アイサイトとアイサイトXの違いについて触れておきたい。

スバルは、予防安全技術に関する技術として、2008年からアイサイトという名称を採用している。その後、性能の向上に伴い、バージョン2、さらに現行車ではバージョン3に進化した。

ハードウェアとしては、日立オートモーティブシステムズ製で2つのカメラを人間の目のようにして使う、ステレオカメラ方式を用いてきた。

一方、次世代アイサイトはアイサイトバージョン4ではなく、ハードウェアやソフトウェアなどを刷新した、まったく新しいモノだ。これまでスバルが蓄積してきた、様々なノウハウを活かしつつも、モノ自体が違うのだ。

スウェーデンのヴィオニア製となり、カメラのイメージセンサーや画像認識に関する半導体などはアメリカ製だ。

車内の装着位置はこれまでのアイサイトと同じだが、モノとしてはひと回り小さくなっており、視界をあまり妨げない。

次世代アイサイトは、新型レヴォーグでは全グレードで標準装備となる。

次世代アイサイトどんな時に役立つ?

一方、アイサイトXはプラス35万円のオプション設定。高速道路で三次元地図とGPSから情報を照らし合わせる。

機能としては、料金所付近での自動的に減速し、高速コーナーでも安全な速度まで減速する。また、渋滞時を想定して約50km/h以下でハンズオフ走行が可能。前車が動き出すまでハンズオフ状態で自動停止を続けて、前車が動くと自動的に発車する。

では、市街地での性能はどうか?

キーポイントは、ステレオカメラの性能向上と、新たに加わった前方向けのミリ波レーダーである。

現行アイサイトでは、斜め後方から接近するクルマに対して、ドライバーにアラートを出すために、車両後部の両サイドに周波数帯域24GHzのミリ波レーダーを装着している。

次世代アイサイトでもこの機能を継承した上で、車体前部の両サイドに検知精度が高い周波数帯域77GHzのミリ波レーダーを採用した。

では、シチュエーション別に見てみる。

交差点では、大きく3つのケースがある。

1つめは、右折時での対向車の検知。自車速度が1km/hから約20km/hで作動。

2つめは、右左折時の歩行者の検知。自車速度が10km/hから約20km/h以下で作動。

3つめは、目の前を自転車が横切った場合の検知。自車速度が約20km/kmから60km/h以下で作動。

これらすべて、旧型比で2倍に広角化したステレオカメラのみで対応する。

実体験 出会い頭の事故防止の重要性

もう1つが、一般的に出会い頭の事故例が多い、見通しの悪い信号機のない交差点での対応だ。

ここで斜め前方向けのミリ波レーダーが効く。

自車速度約60km/h以下で、車内に警報が鳴り、自車速度約20km/h以下で衝突被害軽減ブレーキが作動する。

つまり、ステレオカメラを広角化してもカバーしきれない、自車の進行方向に対して真横の領域について、ミリ波レーダーで対応する。

この機能をスバルは、前側方プリクラッシュブレーキ・前側方警戒アシストと呼ぶ。

では、実車で体験してみると、どう感じるのか?

スバルが用意した疑似的な、信号機のない見通しの悪い交差点で、新型レヴォーグの助手席に乗車した。

停止状態から、時速10km/h程度でジワジワと交差点に差し掛かると、交差する道の左からクルマが接近。このスピードだと、警報が鳴ってすぐにブレーキがかかった。

ほっとして、右折しようと思うと、横断歩道に歩行者の姿。ステレオカメラが作動しブレーキをかけ、歩行者との衝突を無事回避した。

筆者自身の日常生活と照らし合わせてみて、確かにこうしたシチュエーションは十分に想定でき、改めて次世代アイサイトの実力に感謝した。

現実で「本当に使える」先進安全技術

同乗走行の後、ダミー障害物に対する衝突被害軽減ブレーキ作動の模様を見学した。

接近速度は約70km/hと、一般道路ではかなり高速である。アイサイトバージョン3では約60km/h想定だったが、さらに高性能化した。

背景にあるのは、ステレオカメラが刷新されてことに加えて、電動ブレーキブースターの採用がある。

次世代アイサイトからの制御指令に対するブレーキ開始までの時間が短くなり、結果としてより高い速度からでも衝突を回避できるようになったのだ。

今回の体験でも、また8月のアイサイトXの体験でも、共通しているのは「リアルワールド」という点だ。

スバルは次世代アイサイトの開発の狙いを「リアルワールドで安心して『本当に使える』先進安全技術」だと強調する。

90年代から先進安全技術の開発を地道に進めてきたスバル。2010年代になり、世界各国で自動運転の実証試験や、高度運転支援システム(ADAS)の量産化が進む中、スバルとしては、一貫してリアルワールドでの使い勝手を最優先している。

リアルワールドで、どのような状況で事故が起こっていて、そうした事故を可能な限り回避するために、大手メーカーと比べると開発投資に制約があっても、スバルとして何かできるのか?

そうした毎日の小さな努力の積み重ねが、次世代アイサイトの精度を上げている。


【スバル新型レヴォーグ試乗】新旧比較でわかる、新型レヴォーグのシャシー性能の劇的な進化

 2020年10月15日に発表発売が予定されている、スバル新型レヴォーグ。フルモデルチェンジだけにデザインの変更はもちろんだが、エンジン、プラットフォーム、ボディ、そしてスバル自慢のアイサイトまで新設計される気合いの入れっぷりで、その性能のデキに注目が集まっている。

 ここ最近「スバルはどうしたの?」なんて声が囁かれているが、新型レヴォーグの進化は、その心配を完全に吹き飛ばす、スバルエンジニアの意地とプライドが伝わってくる渾身の1台に仕上がっていた。そのなかでもシャシー性能の飛躍的な進化は圧巻だった。

 スバルの新型レヴォーグと前型レヴォーグを複数回乗り換え、パイロンスラロームを行った。一度乗れば明らかだが、何度乗っても間違いなく、新型は動きがいい。

 最も顕著な違いはロールで、新型は前型より圧倒的にロールが小さい。新型から前型に乗り換えると、派手なロールに愕然とするほどだ。逆に、前型から新型に乗り換えると「こんなに違うもの?」と、思わず感嘆の声が漏れる。

 新型のほうが安心して舵をあてられるし、切り込んでステアリングを戻していく一連のプロセスが気持ちいい。

 ロールの衝撃が大きすぎてその影に隠れがちだが、ステアリング操作時の感触がいいし、ブレーキのタッチがいい。乱暴に結論を出し過ぎかもしれないが、新型の動きは何もかもがいい。

 劇的に良くなった理由のひとつは、シャシーの進化だ。新型と前型は車体骨格を構成するプラットフォームが異なる。

 前型は旧世代のプラットフォームに手を入れて剛性を高めていたが、新型は2016年に発売された5代目インプレッサから導入した新世代のSGP(Subaru Global Platform)を採用する。

 さらに、新型レヴォーグは国内のSGP採用モデルでは導入していなかった新構造を採用して剛性を高めた。その結果、ボディのねじり剛性は前型比で44%向上したという。

 ボディ剛性が向上したことによって、サスペンションがきちんと動くようになった(前後のストロークを向上させてもいる)。

 サスペンションへの入力によってボディが変位してしまうと、ダンパーやスプリングは狙いどおりに機能せず、車両運動性能の面でも、フィーリングの面でもネガティブな影響が顔を出す。

 だから、新型レヴォーグではまず、剛性の向上に取り組んだ。剛性の確保が基本中の基本なのは、カテゴリーを問わず、レーシングカーの設計にも共通する考えである。

 ステアリング機構を変更したのも大きい。前型レヴォーグはピニオンアシスト(1ピニオン式)タイプの電動パワーステアリング(EPS)を採用していたが、新型はデュアルピニオン式(2ピニオン式)を採用した。

 2ピニオン式にするとステアリング操作軸とモーターアシスト軸を切り離すことができてフリクションが減り、応答性が高くなる。

 最上位グレードの『STI Sport』には、スバル初の電子制御ダンパーを採用した。前輪左右のダンパーには加速度センサーを搭載している。

 シート下に搭載するECUには加速度センサーとジャイロ(角速度)センサーを採用し、車体やタイヤの動き、ステアリング舵角に車速などの情報から、必要な減衰力を演算して“そのとき”に最適な減衰力に制御する。

 いわゆるフィードバック制御というやつだが、「それで間に合う?」という心配は無用。1秒間に500回演算(0.002秒に1回)して指示を出すので、ドライバーの感覚とのズレは生じない。

 減衰力の低い側はインプレッサより低く、高い側はWRX STIよりも高いという。ロールは抑えておきながら、ひとたび強い入力があったときには、しなやかに受け止めることができるようになった。

 新旧レヴォーグを乗り比べて感じた顕著な違いは、ボディ剛性の高さもさることながら、電子制御ダンパーの効果も大きい。

 その電子制御ダンパーと2ピニオンのEPSを手に入れたことで、新型レヴォーグは前型にはない機能を手に入れることができた。それが、ドライブモードセレクトだ。『STI Sport』専用の機能である。

 ドライブモードセレクトは、パワーユニット(トランスミッション)、EPS、電子制御ダンパー、エアコン、AWD、アイサイトの各制御をモードごとに最適化し、レヴォーグを“キャラ変”させる。モードはComfort、Normal、Sport、Sport+の4種類だ。

 Comfortを選択すると、電子制御ダンパーは乗り心地重視の減衰力に変わる。ストローク速度に対する減衰力の発生は低めだ。ゆったりした乗り味がメインだが、大きな入力があった際には瞬時に減衰力を高め、不快なロールや振動の発生を抑える方向に作動する。

 いっぽう、Sport+を選択すると、ストローク速度に対する減衰力の発生を高めの制御に切り換える。ロールの発生を極力抑える仕様だが、路面から大きな入力が入った際は減衰力を下げ、乗り心地を悪化させないよう制御する。

「スポーツと聞くと、硬くて跳ねる脚をイメージすると思いますが、そうではなく、ロールは抑えるけれども乗り心地はいい。それが両立できるダンパーにしています」と、開発を担当したエンジニアは説明した。

 WRX STIをしのぐ引き締まった脚と、インプレッサをもしのぐしなやかな脚を両立しているのが、電子制御ダンパーを採用した『STI Sport』だ。

 EPSは、Comfortを選択すると取り回しの良さを優先。Sport+を選択すると、スポーツ走行に適した、低速からしっかりして変化の少ない操舵力を実現するセッティングに変わる。

 Comfortを選択した際の『取り回しの良さ』は、操舵力を軽くすることで実現しているが、フリクションの大きいステアリングシステムだと非線形な特性(切り込んでいったときの感触がリニアではない)が目立ってしまう。

 だが、新型レヴォーグはフリクションの小さな2ピニオン式を採用したことで、リニアな感触を残しながら軽くすることができたという。

 コンフォートとスポーツの両立と言うのは簡単だが、背反する要素だけに両立は難しい。その背反要素を両立させ、「前型は一体何だったんだ?」と思わせるほど大きく進化したのが新型レヴォーグだ。

 ベース(GT/GT-Hグレード)のポテンシャルも高まっているが、キャラ変が味わえる『STI Sport』の魅力は群を抜く。


【まったく別物】新型レヴォーグ・プロトタイプ サーキットで試乗してみた 「異次元の走り」に嘘はない?

レヴォーグ・プロト 走行体験第2弾

text:Kenji Momota(桃田健史)

2020年10月15日の日本国内発売開始を前に、スバル新型「レヴォーグ」プロトタイプに再び乗った。

初乗りは、2020年8月に茨城県内の一般財団法人 日本自動車研究所のテストコース。今回は、サーキットでの全開走行だ。

走りの体験談に移る前に、改めて新型レヴォーグの生い立ちについて触れておきたい。

初代の発売開始は2014年4月。スバルとして全く新しいモデルラインナップとして登場した。

背景にあるのは、スバル(当時の富士重工業)が2010年代初頭から本格化させた、事業戦略のアメリカシフトだ。

企業としての成長を考えると、最も大きな可能性を秘めたアメリカを最優先として、それまでの商品企画を大きく見直した。

その反動として、「ほぼ日本専用車」という考えのもと、レヴォーグが企画された。

ベースにあるのは、旧来の「レガシィ」が築き上げてた、ツーリングワゴンというクルマ、つまりはグランドツーリング思想だ。

より遠くまで、より早く、より快適に、より安全に。スバルとして多くのユーザーに「心からツーリングを愉しんでもらいたい」という気持ち。

こうしたグランドツーリング思想とサーキット走行。なんだか、相反するように思えるが、実際に走ってみて、なにがどうわかったか、それともわからなかったのか?

改めて感じた 「軽くて雑味がない」

スタンダードモデルがGTとGT EX。スポーティさと上質さを兼ね備えたハイグレードモデルがGT-H とGT-H EX。

そして最上級モデルがSTIスポーツとSTIスポーツEXというラインナップだ。

今回は3種類のレヴォーグを試乗した。

順序としては、新型レヴォーグSTIスポーツ、現行レヴォーグSTIスポーツ、そして再び新型に戻ってGT-Hだ。

発売前ということで、初回の試乗時と同じく、今回もプロトタイプという扱いだ。

試乗の舞台は、千葉県の内房にある、袖ケ浦フォレストレースウェイ。

全長約2.4kmで、コーナー数は14。高低差は少ないが、全長約2kmの茨城県筑波サーキットと比べると、緩やかな起伏がある中、半径の大きな高速コーナー、スピードがのるS字コーナー、さらに直角コーナーやヘアピンなどを織り交ぜており、量産車の性能チェックにはもってこいのコースレイアウトだ。

まず、新型レヴォーグSTIスポーツで、ドライブモードセレクトをCOMFORTにセットした。

コースインにて、すぐに出た言葉が「やっぱり、軽いし、雑味がない」だった。

アクセルを軽く踏み込んで、しっかりとトルクが立ち上がるのが、実に軽快だ。

エンジンとトランスミッションからの、また路面からの振動や少なく、車内の空気感がすっきりしている。こうした感じを、自動車業界では「雑味がない」と表現する。

走らせてみて、数値と実感がシンクロ

雑味のなさは、数値でも明白だ。

スバルが提示した資料によると、乗員の上下振動を他モデルと社内比較したグラフでは、新型STIスポーツのコンフォートの状態は、現行レヴォーグと比べて43%も減少している。同じくスバルグローバルプラットフォームを採用している現行インプレッサと比較してもグラフ上で見る限りざっと2割ほど減少しているのだ。

車内の静粛性も上がっており、「車内の会話のしやすさ」という社内指標で、現行車比で前席で22%、後席で30%も向上している。

軽さについても、数値がある。

車重ではなく、CVTの改良に関する値だ。

トランスミッション開発担当者によると「プーリーのレシオカバレッジを現行の6.3から8.1に変えた。これは最新の8速AT並み」という。

エンジン側で見ると、現行1.6L比で、新型1.8Lは最大トルクが5.1kg-mアップし、さらにトルクの立ち上がりが現行より300rpmほど前倒し。

よって、出足の軽さ感があるのだ。また、高速巡航では「100km/hで200rpm低い」という設定で燃費にも新設定のプーリーが効いている。

走りを進めると、圧倒的なハンドリングの良さを感じる。

滑らかだが、キレがある。

クルマ全体の動きも、ロール量は抑えされても、懐の深さがある。

では、ドライブモードセレクトをSPORT、さらにSPORT+とするとどうなる?

比較試乗を終え最後に出た言葉とは?

独ZF製の電子制御ダンパーの可変で、スバルがいう走りの「キャラ変」が起こる。

足が硬くなるとか、ハンドリングがクイックになるとか、エンジンの吹き上がりが良くなる、といった単純な変化ではない。

体感は、クルマ本体の良さを最大限に引き出すイメージであり、ひと言で表現すると「粘り強く」なる。

また、直角コーナーやヘアピンでは、まるでリアステアが効いているように小回りする。アクティブトルクスプリットの効果だ。

AWDスポーツモードによりアクセルオフ時で後輪への駆動力を高めている。

次いで乗った現行車は、ロール量が大きく、フロントヘビーで、ゆったり動く。そう感じてしまうほど、新型との差は歴然だ。ロールレートでは、現行比で26%減少している。

最後に、GT-Hに乗った。ZF製制御ダンバーは未装着だが、新型レヴォーグとして素性の良さが実感できた。

こうして新旧3台を比較して、最終的に口から出た言葉。

それは……。

「これならロングドライブでも疲れない」だった。なにせ、サーキット走行ですら「疲れない」のだから。

スバルが掲げる、新型レヴォーグの開発の狙いである、技術的な「超・革新」

ユーザーが実感するのは、レガシィのヘリテージを継承する「もっと長く、遠くまで走っていきたい」という気持ち良さだ。


超高性能!? 話題の新アイサイトXの実力は? 新型レヴォーグを買うなら必須か?

 V6井ノ原快彦さん出演によるCMの放映が始まった、スバルの進化型高度運転支援システム「アイサイトX」。CM内では、井ノ原さんが、実際に減速や車線変更、衝突回避などを体験し、驚いている様子が公開されている。

 筆者も先月、このアイサイトXが搭載される新型レヴォーグのプロトタイプ試乗会に参加させていただき、アイサイトXの実力を、じっくり体感させていただいた。

 本記事では「究極のぶつからないクルマをめざした」というアイサイトXの実力はいかほどのものなのか、そして「買い」のシステムなのか、をお伝えしていこうと思う。

文:吉川賢一
写真:SUBARU、ベストカー編集部/撮影:池ノ平昌信

【画像ギャラリー】コスパ最強の超先進モデル!! 新型レヴォーグの全てを写真でチェック!!

アイサイトXは35万円

 新型レヴォーグのグレード構成は、17インチタイヤのベーシックグレード「GT」、18インチタイヤと助手席パワーシート、ハンズフリーオープンパワーリアゲート、アンビエント照明を備えた上級装備の「GT-H」、そして前後専用バンパーと専用アルミホイール、電制ダンパー、ドライブモードセレクトを装備した「STI Sport」だ。

 それぞれに、アイサイトX(+35万円)を搭載したグレードは「GT EX」「GT-H EX」「STI Sport EX」という呼び方となる。アイサイトXを搭載しない標準グレードでも、アイサイトVer.3ツーリングアシストが標準搭載だ。

フロントバンパーの造形が深くなり、厳つさも持ち合わせたスタイリッシュなデザインに進化。ボディカラーはラピスブルー・パール

 価格は現時点分かっていないが、おおよそのイメージは、282万円(GT)~336万円(STI Sport)、アイサイトXが備わるEXは、317万円(GT)~371万円(STI Sport)というところだ。

 「アイサイトX」は、車両価格の約1割にも及ぶ高価なメーカーオプションであるが、それだけのコストパフォーマンスはあるのか、という点が焦点となる。

現時点世界最高水準のテクノロジー

 「アイサイトX」のパフォーマンスが非常に高いことは、すでに様々なメディアや評論家の方々の試乗レビューでも評価されている。

 準天頂衛星やGPSの情報、3D高精度地図データを利用した、自動車専用道路での先進運転支援は、お見事のひとことだ。コーナー前での自動減速や、アクティブレーンチェンジアシスト、50km/h以下での渋滞時ハンズオフアシスト、料金所前速度制御(25km/h程度まで自動減速)、そして渋滞時の自動再発進機能もある(待機時間は10分とのこと)。

アイサイトXには、カーブ前速度制御や、料金所前速度制御、アクティブレーンチェンジアシストのほか、50km/h以下での渋滞時ハンズオフアシスト、渋滞時発進アシストも備わる

 また、ドライバーを常時モニタリングする「ドライバー異常時対応システム」は、万が一、ドライバーが走行中に気を失ってしまった場合に、車内にアラームが鳴り、外部にはハザードとクラクションで危険を知らせ、そして最終的には、完全停止まで行う。

「ドライバー異常時対応システム」は、ドライバーが走行中に気を失ってしまった場合、アラームが鳴り、外部にもハザードとクラクションで危険を知らせ、最終的には、完全停止まで行う

 いずれも体験させていただいたが、どの動作も至極なめらかな制御で、運転支援特有の怖さ(ハンドル取られやふらつき、車間が近いときの強め制動など)はみじんも感じられない。

 アイサイトXは、現時点で、最高品質の先進安全装備だといえる。しかも、このような先進装備を300万円台の量販車に採用したことに、大きな意味がある、と筆者は考える。

アイサイトXは「買い」のオプションか

 先進運転支援技術には、大きく分けて、頻繁に使う機能、緊急時にお世話になる機能の2通りある。前者は、アダプティブクルーズコントロールやレーンキープアシストなど、そして後者は、緊急時の自動ブレーキや警報などだ。

 頻繁に使う先進運転支援技術としては、アイサイトVer.3ツーリングアシストでは、全車速追従機能付きACCや、先行車追従操舵、車線中央維持をする機能、などだ。アイサイトXではそれらに、アクティブレーンチェンジアシスト、渋滞時ハンズオフ、渋滞時発進アシスト、カーブ前&料金所前での自動減速、などが搭載される。

カーブ前&料金所前での自動減速はなめらかに減速をするので安心だ 

 そして、緊急時の機能では、アイサイトVer.3ツーリングアシストでは、プリクラッシュセーフティや、歩行者衝突回避、後退時ブレーキアシストが備わっている。

 アイサイトXではさらに、プリクラッシュブレーキの作動範囲の拡大(広角カメラで視野が広がった)や、カメラで見えない前側方プリクラッシュブレーキ、プリクラッシュセーフティでは止まり切れない場合に操舵制御まで介入する緊急時プリクラッシュステアリングや、ドライバー異常時対応システムなどが搭載される。

緊急時のステアリング支援は、万が一の場合に、乗員の命を救ってくれる装置となるだろう

 正直なところ、普段運転するうえでは、ツーリングアシストがあれば十分だ。アイサイトVer.3ツーリングアシストの出来が素晴らしく、運転も楽になるし、追突する心配も無くなり、安心感が高い。しかも、高速道路を普段使わない方にとっては、その機能の半分は恩恵を受けられない。

 しかし、先進運転支援技術の本質は「運転が楽になる」ではなく、「事故を起こさない」ことにこそある。だからこそ、このアイサイトXは、300万円台の量産車に真っ先につけられたのだ。

自身の命を守るため、そして自らが加害者とならないため

 事故は、突然起きる。どんなに気をつけて運転していても、どれほど運転スキルがあっても、だ。自動車メーカーのテストドライバーだって公道で事故を起こすことはある。万が一のリスクを、限りなくゼロに近づけるため、お金で買える「安全」は、ぜひともつけるべきだ。

アイサイトXが付くEXグレードの価格は317万円(GT)~371万円(STI Sport) 装備内容を考えると「コスパが良い」としか言いようがない

 オプション価格で35万円は確かに高い。でも万が一、死角から飛び出した歩行者や自転車をはねたり、不注意でクルマをぶつけてしまった場合に、35万円程度で済むはずがない。お金では解決できないほどの懺悔と、一生の後悔を持ち続けることになる。

 究極のぶつからないクルマをめざし、事故を1件でも減らすため、スバルのエンジニア達が考えた、素晴らしい先進安全装備「アイサイトX」は、ぜひとも選択してもらいたいオプションだ。
Posted at 2020/09/24 22:11:26 | コメント(0) | トラックバック(0) | 富士重工 | 日記
2020年09月23日 イイね!

日本でS209のようなモデルは出ないまま終わったな〜

日本でS209のようなモデルは出ないまま終わったな〜スバル史上最強! STIが手掛けた「S209」がスゴすぎる! 乗り味はいかに?

■日本では売られていない「S209」ってナニモノ!?

 スバルは、2014年に掲げた中期経営ビジョン「際立とう2020」で「STIブランドの強化」を掲げました。

 その内容は、量産ラインで生産をおこなう「STIスポーツ」の導入だけでなく、これまで基本的に日本専用だったコンプリートカーの海外展開も含まれていました。

 その証拠に、2015年のニューヨークショーでSTIの平川良夫社長(当時)は北米ビジネスをおこなうことを発表。

 その後、北米向けモデルとして「BRZ tS」と「WRX STI タイプRA」を各500台限定で発売しましたが、その裏で極秘のプロジェクトが進められていました。それが今回紹介する「S209」です。

 このモデルは「Sシリーズ初の北米向けモデル」であると同時に、「最強のSシリーズ」として開発がおこなわれています。S209とは、どのようなモデルなのでしょうか。

 S209は、北米で209台が限定販売されました。価格は6万3995ドル(約680万円)です。

 エクステリアは前後のオーバーフェンダーやフロントフェンダーのエアアウトレット、フロントバンパーサイドカナードなどで構成される専用ワイドボディで、全幅は1795mmから1839mmに拡大されています。

 オーバーフェンダーは幅広の265タイヤを収めるために採用されましたが、単純に迫力を出すだけでなくシッカリと性能を出すために風洞に入れながらデザインを煮詰めているそうです。

 リアウイングは、国内で限定販売されて即完売した「S207」や限定数を大きく上回る応募を集めた「S208」と同形状のドライカーボン製ウイングが装着されますが、空力バランスはフロント周りの変更を含めてS209用に最適化されています。

 ちなみに平川社長によると、「インプレッサ 22B STi バージョンをイメージするデザイン」とデザイナーにリクエストしたそうです。

 一方、インテリアはシルバーステッチ+シルバーアクセントのレカロシートやウルトラスエード巻ステアリング、チェリーレッドのインパネ加飾、サイドシルプレート、シリアルナンバープレートなど小変更が中心です。

 樹脂系パーツの変更はコスト的に厳しいのは重々承知ですが、もう少し何とかしてほしいと思ったのも事実です。

 注目のパワートレインは、伝統の2リッター水平対向4気筒ターボの「EJ20」ではなく、海外向けWRX STIが搭載する2.5リッター水平対向4気筒ターボ「EJ25」をベースに専用チューニングがおこなわれています。

 HKS製の大容量タービンや専用ECU、吸気系、排気系の変更により、ノーマルの310hp(314馬力)/393Nmから、341hp(345馬力)/447Nmにアップしています。

 とくにトルクは中回転域以降で大幅にアップしており、全域で力強い特性に仕上がっています。

 EJ20に比べるとチューニングの知見が少ないEJ25は、サーキット走行などの厳しい環境下での信頼性が気になる所ですが、その辺りも抜かりはありません。

 バランス取りされた鍛造ピストン/鍛造コンロッドの採用により、量産エンジンと全く変わらない信頼性が備えられています。

 フットワーク系には、出力アップしたエンジンに負けないシャシを目標に専用アイテムを数多く投入。

 より安心感のあるリアスタビリティと旋回性能のために、車体はSTIコンプリートモデルで定番のフレキシブルタワーバー、フレキシブルドロースティフナー・フロントに加え、リアシートバック用フレキシブルドロースティフナー(通称:リアドロ)を新採用。

 じつはこのアイテムは、2016年のニュルブルクリンク24時間レースカーで先行採用され、大きな効果が実証されているアイテムです。

 足まわりはビルシュタイン製ショックアブソーバーと専用コイルスプリング、強化ブッシュを搭載。開発はアメリカのサーキットが中心でニュルでのテストはしていないようですが、セットアップはニュル24時間レースカーの考え方が色濃く盛り込まれているそうです。

 タイヤは歴代Sシリーズ最大幅となる265/35R19サイズの「ダンロップ SPスポーツMAXX GT600A」で、構造や剛性、トレッドゴムの選択に至るまでS209専用にゼロから開発された物です。

 組み合わせるBBS製鍛造アルミホイールはS207/S208用を水平展開と思いきや、リム幅9jの専用品です。ブレーキはS207/S208で高い評価を得ているブレンボ製のモノブロック対向6ポッド/2ポットが奢られています。

■歴代WRXシリーズでナンバー1の乗りやすさ

 日本では販売されないものの、S209の実力はどうなのかというところは、スバルファンであれば気になるでしょう。それは歴代Sシリーズ全てのモデルを試乗してきた筆者(山本シンヤ)も同じです。

 2019年のデトロイトショーで世界初公開されて以降、リクエストをしていたのですが、特別に日本での試乗が叶いました。

 試乗コースは日本のニュルと呼ばれる“グンサイ”こと群馬サイクルスポーツセンターです。最強のSシリーズをチェックするには申し分ないステージでしょう。

 じつはS209の開発コンセプトのひとつに「北米のサーキット(バージニア・インターナショナル・レースウェイ)のセダン最速タイムを目指す」ということが設定されていました。

 事前にその話を聞いていたので、「サーキットスペシャルをグンサイで走らせて大丈夫なの?」と不安でしたが、その不安は走り始めてひとつ目のコーナーを曲がったらすべて吹き飛びました。

 カチッとしているのに突っ張った印象がない車体や、ダイレクトで操舵レスポンスは高いのに薄皮一枚挟まっているかのような心地よいダルさを持つステアリング系。

 サーキットスペックでバネもダンパーもタイヤも数値的には相当ハードなセットながら振動や入力を上手に吸収してくれるサスペンションと、すべての部分において「硬さ」と「しなやかさ」が共存しているのです。

 その結果、絶対スピンしないと確信を持てるリアの安定性と、アンダー知らずでグイグイと曲がるハンドリングを両立しているのはもちろん、クルマとドライバーの信頼関係や対話性、そして扱いやすさ、乗りやすさは、歴代WRXシリーズナンバー1だと感じました。

 個人的には武闘派なS207/S208ではなく、強さのなかに優しさを持つ「S206」を継承している乗り味に感じました。

 グンサイは道幅が狭くてエスケープゾーンもほとんどなく、路面状況も悪いため、一般道以上に緊張感が高いのですが、そんな環境下で高いスピードながらも冷静にドライビングできたのは、クルマを信頼してポテンシャルを引き出せるシャシ性能のおかげです。

 その一方で、硬い柔らかいでいえばS209は硬めですが、「ノーマルより快適なのでは?」と感じるほどの快適性の高さもポイント。プレミアムブランドに片足を突っ込んだかのような動的質感まで備わっています。

 この辺りは、開発責任者の高津益夫氏が常日頃語る「走りを極めると快適になる」を実感しました。

 ハンドリングに関してはほぼ完ぺきといえる仕上がりですが、ひとつ気になったのはシートです。

 純正レカロのホールド性では体が支えきれないコーナリングレベルに来ており、安定したドライビング環境のために良いシートが欲しいです。

 個人的には車両のこだわりを考えると、レカロシートの最高陣でカーボンバックシェル採用の「SP-X」を奢ってあげてもいいかなと思いました。

 エンジンは低速域のトルクに2.5リッターの余裕を感じるものの、「ザ・ターボ」というようなメリハリのある盛り上がりの特性とレッドゾーンの6500rpmを軽々と超えていきそうな伸びの良さ、そして「GC8」時代のEJ20のようにシュンシュン回る気持ち良さが備わっており、EJ20とは異なるもうひとつの「究極のEJ」だと感じました。

 もちろん最新のターボと比べると決して万能な性格ではないですが、エンジンの爆発で生まれる鼓動や人間味を感じるフィーリングなど、ただ速く、鋭いだけでなく“血が通っている”ユニットなのは、EJ20と共通です

 筆者は以前ニュル24時間を戦うレーシングカー(2016モデル)に試乗した事がありますが、S209はもっともニュル車に近い量産車だと感じました。

 つまり、STIが常日頃から提唱する「強靭でしなやかな走り」のひとつの理想形です。現在スバルでは次期「WRX」の開発が進められていますが、最低でもS209を超える必要はあるでしょう。

※ ※ ※

 このS209は、並行輸入業者の手により日本に上陸していますが、価格はかなり高価で、誰でも買えるとはいかないのも事実です。

 しかしSTIは、「リアドロを含めたフレキシブル補剛パーツのフル装着で、S209の乗り味に近づきます」といっています。

 日本でS209を味わいたいというVA系WRX STIオーナーの方は、これらのパーツを装着することをオススメします。
Posted at 2020/09/23 20:48:22 | コメント(1) | トラックバック(0) | 富士重工 | 日記
2020年09月23日 イイね!

一時は3億とも4億とも言われた事を考えると値下がりしたね〜確かに

一時は3億とも4億とも言われた事を考えると値下がりしたね〜確かにフェラーリバブルは崩壊した!? 「F40」の落札価格から検証する

■クラシック・フェラーリのバブルは弾けてしまったのか?

 クラッシック・フェラーリのバブルが弾けて久しいといわれるが、それは本当のことなのだろうか。確かにさまざまなオークションのリザルトを見ると、落札価格は少しずつではあるが下がっているようにも思える。

 そこで今回VAGUEでは、同一モデル(フェラーリ「F40」)の同一オークションでのリザルトを、開催年ごとに比較して、本当にバブルが崩壊しているのかどうかを調べてみることにした。

 ちなみにRMオークションの2020年のモントレー・ウィーク・オークションでは、トータル・セールスは3041万2810ドル(邦貨換算約31億9334円)。

 トップセールは429万ドル(邦貨換算約4億5045万円)の2001年式フェラーリ「550GT1プロドライブ」、続く2位もフェラーリの1965年式「275GTB」で198万ドル(2億790万円)と、やはりいかに魅力的なフェラーリを出品車として探すのかが、オークショネアには重要な仕事であることが分かる。

 フェラーリF40に話を戻そう。今回同オークションの記録をさかのぼって、もっとも古いデータが見つかったのは2012年のペブルビーチ・オークションである。この時出品されたS/N:89441は1991年式で、もちろんフェラーリ・クラシケの認定を受けたモデルである。

 F40の細かい成り立ちやメカニズムに関しては、ここで詳しく解説するまでもないだろう。「288GTO」から派生した実験車の「288GTOエボルツィオーネ」をさらに進化させ、イタリア語でいうストラダーレ(ロードカー)とコンペティツィオーネ(レースカー)の中間的なキャラクターを狙ったF40は、0-100マイル(約160km/h)加速を7.8秒で加速する圧倒的な運動性能を得た。

 当時最強のライバルといえたポルシェ「959」が、さまざまな電子制御技術を搭載したのに対して、フェラーリはF40から走りに不必要な装備を廃止。最初は400台前後の限定車として企画されたが、40万ドル(邦貨換算約4200万円)という高額にもかかわらず、その人気の高さから最終的には1311台が生産されるに至ったのだ。

●MONTEREY 2012:1991年式フェラーリF40

 2012年のペブルビーチ・オークションでの落札価格は、71万5000ドル(2012年8月為替相場平均換算約5625万円)。為替の問題はあるが、純粋にドルで比較すればまだ現在ほど、注目はあつまっていないことが想像できる。ちなみにこのモデルの走行距離は約4600マイル(7360km)だった。普段は美術品のように温度管理された部屋で保管されていたと当時の資料にあるから、コンディションは悪くはなかったはずだ。

●MONTEREY 2013:1990年式フェラーリF40

 翌2013年には1990年式のS/N:86658が出品されている。こちらももちろんフェラーリ・クラシケの認証済み。

 走行距離はわずかに2900kmで、前オーナーによって、Tubi Style製のエグゾーストシステムが装着されたほか、クラッチ、インタークーラー、スパークプラグなどのメンテナンスがおこなわれ、さらにツールやバッグ類、ドキュメントもすべて完全に揃ったモデルだった。

 こちらの落札価格は、前年から大きく伸びて、115万5000ドル(2013年8月為替相場平均換算約1億1300万円)。F40のバブルが始まったとするのならば、このあたりがきっかけだろうか。

■2016年以降の「F40」オークションの結果はどうだったか?

 それでは、米大統領選でドナルド・トランプ氏が当選した2016年以降のモントレー・ウィーク・オークションでのF40の落札価格の推移を見てみよう。

●MONTEREY 2016:1990年式フェラーリF40

 2016年に出品された1990年式のS/N:87123は、アメリカでのオークションでは珍しく、シリアルナンバーやkm/h表示のメーターによってEU仕様であることがわかるモデルだった。

 現在までの走行距離は2384kmと短いが、イタリアから最初にアメリカへと輸出された後、ドイツ、日本のオーナーによって管理され、最後の10年間には燃料タンク、ベルト類、スパークプラグなどを交換。実際のコンディションは非常に良好で、新しいオーナーを失望させることはないだろうとRMオークションは追記している。

 落札価格は126万5000ドル(2016年8月為替相場平均換算約1億2800万円)。前年とほとんどかわらない数字だけに、このあたりでF40は高止まりではないかという声も多く聞かれた。

●MONTEREY AUGUST 2017:1991年式フェラーリF40

 だがその予想に反して、F40バブルはまだまだ続いたのである。2017年に出品された1991年式のS/N:87895は1991年1月に出荷され、ウインドウのステッカーやディーラーの検査チェックシートまでがそのまま残る、完全なオリジナルコンディションであった。

 オプションのエアコンや電熱線入りのフロントウインドウを備えるなど、実用性も高かった。走行距離は2802マイル(4483km)。もちろんその人気は高く、結果的に落札価格は154万ドル(2017年8月為替相場平均換算約6900万円)にまで達したのである。

●MONTEREY 2018/2019:1990年式/1991年式フェラーリF40

 2018年に出品された1990年式のS/N:87041、そして2019年に姿を現した1991年式のS/N:87568も、いずれもわずかに2720km、2728kmという走行距離とコンディションが評価され、各々171万ドル(2018年8月為替相場平均換算約1億9000万円)、168万2500ドル(2019年8月為替相場平均換算約1億7900万円)で落札された。

 特に前者は2008年のオークションで、世界で最も高価なF40として販売されたモデル。その記録が破られたかどうかの発表はなかったが、新車同様のコンディションは、それに値するものといえた。

●SHIFT MONTEREY 2020:1991年式フェラーリF40

 そして新型コロナウイルスの関係から、オンライン・オークションとなった2020年も、F40の名前はRMオークションのロットにあった。

 走行距離が6407マイル(1万251km)と大きかったのが敬遠されたのか、それとも今後の経済の不透明さが影響したのかは不明だが、1991年式のS/N:87627の落札価格は138万6000ドル(2020年8月為替相場平均換算約1億4700万円)止まりだった。

 だがこれをもって、F40バブルの崩壊というのは時期尚早だろう。F40はフェラーリのファンにとっても特別な存在。それは誰もが知っていることであるし、その価値はこれまでのオークション市場での落札価格に、なによりも明確に表れているのだから。
Posted at 2020/09/23 20:45:47 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車業界あれこれ | 日記
2020年09月22日 イイね!

これならコンパクトカーもVTGが普及するね

これならコンパクトカーもVTGが普及するねボルグワーナーの新世代VTGターボ、グローバル自動車メーカーに供給…1.0リットルエンジン向け

ボルグワーナー(BorgWarner)は9月9日、新世代の「VTGターボチャージャー」を、グローバル自動車メーカーが生産する複数の車種向けに供給すると発表した。

ボルグワーナーの新世代VTGターボチャージャーは、ガソリンエンジン車やガソリンエンジンベースのハイブリッド車への採用が有望なテクノロジーだ。このターボチャージャーは高出力、高効率、低排出ガスを実現する。

VTGターボチャージャーは、出力の向上、有害な排出ガスの低減や耐熱性強化といった最新のハイブリッドや内燃機関に最適の性能を発揮する。今回の供給契約により、ボルグワーナーはこの自動車メーカーとのビジネスをさらに拡大し、数多くの車種に対し、広範囲にわたるテクノロジーを供給することになる。

ボルグワーナーの新世代VTGターボチャージャーは、この自動車メーカーが生産する1.0リッターガソリンエンジンに採用された。VTGターボチャージャーは必要な過給圧を供給すると同時に、有害な排出ガスを低減させる。また、摂氏980度にも達する耐熱性を備えており、高温の排気ガスにさらされるような過酷な条件下で、高い信頼性を確保しているという。

ボルグワーナーの最新テクノロジーは、さらにエンジンの低回転時における高い応答性、滑らかな動力伝達能力や燃料向上も実現する。VTGターボチャージャーは、効率を高めることで有望視されるミラーサイクルなど、最新のエンジンと組み合わせることも可能だ。

VTGターボチャージャーテクノロジーは、特殊なサイクルを採用するエンジンに適しており、内燃機関やハイブリッド車において非常に高い効果を発揮する。またこのテクノロジーは、ディーゼルエンジンからガソリンエンジンへの移行を促進するのに有効、としている。
Posted at 2020/09/22 14:11:33 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車業界あれこれ | 日記

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