• 車種別
  • パーツ
  • 整備手帳
  • ブログ
  • みんカラ+
イイね!
2011年09月13日

保存版・偉大なる“UP! DOWN! 野郎たち”!!!…ブルーバード編④

保存版・偉大なる“UP! DOWN! 野郎たち”!!!…ブルーバード編④
偉大なる“UP! DOWN! 野郎たち”!!!、前回から引き続く2つの車種に分離FMCした『4代目ブルーバードU610型』と『初代710型バイオレット』を分けてご紹介したいと思います!

UP!!!UP!!!の大人気と販売を誇った510型3代目ブル、時世の流れもあり発売時は先代410から引き継いで1300クラス(スポーツモデル=特殊グレード!?のみSSSの1600)のモデルでしたが年を追うごとに搭載エンジンを拡大、1800クラスの領域にまで入りこむ事となっていました。
そこで日産は次期610では搭載エンジンに見合う、車格そのものをグレードアップさせ従来のブルーバードユーザーの一つ上のユーザー層に訴求する戦略を取り610のデビューとなった訳です。
ところがこの政策により従来の510の立位置である1300~1600クラスが空席となりライバルであるトヨタはこのクラス=カローラ~コロナ間を埋めるモデルとして70yに発売した新車種『カリーナ』が好調に売れておりコレへの流出を恐れた日産は旧いながら一定の販売量があり人気も廃れていなかった510を約1年半に渡り610と併売、さすがに発売5年半を迎え510の売れ行きが鈍ってきたところでこれに代る新車種、710バイオレットを発売したという経緯があります、従って便せん上、610を4代目ブルと書物他が多い中、旧510の上級グレード(1600の一部と1800)を610へ、そして従来のブルーバードとしての立位置、殆どの部分を710へ継承した形となっている事から新車種と言えども710バイオレットが正当なるブルーバードの後継で610が新たにミディアムクラスに進出した“新たなるブルーバード”という解釈になります!

----------------------------------------------------------------------------------

【4代目610型ブルーバード】

71/8、510デビューから丁度4年のモデルライフ時に前回の 偉大なる“UP! DOWN! 野郎たち”!!!…13 で触れたように510存命時に新型4代目ブルとして610型ブルーバードUが登場しました!

610はトヨタが70yにT40/50系コロナ→T80/90系へFMCし従来型よりクラスグレードアップがなされた事に呼応しブルも上級クラスへ移動する為のモデルでした。
この時期は従来1000~1200クラスだった所謂大衆車と呼ばれるブルの下級クラスのモデル達がこぞってユーザーの上級指向に合わせ1400~1600クラスにグレードアップをしておりコロナもブルもこれに押し出されてグレードアップ、ブル以降も三菱がギャラン、マツダがルーチェ等をやはり上級クラスに進出させていました。
610は上級グレードに移行した事によりボディの拡大は当然、その味付けも510ではサファリ2冠という偉業もあった事からスポーツ路線に振っておりクルマ自体の中身も“スポーツセダン”と呼ぶに相応しいモノでしたがこの部分を弱め高級志向に舵を切りました。

この時期=オイルショック前の高度成長期末期は先記のようにグレードアップしたライバル各車も同じような施策を取っており 上級グレード=高級化 が一つの方程式、しかしこの方程式は特に従来型がスポーツ路線で人気を博していたモデルでは“ハズレ”となる事が多くこの路線で一定以上の評価を得たブル、そしてギャランは軒並み新型では「肥大化→デブ・鈍重→らしくない!」との低評価が下されてしまい販売/人気ともDOWN!!! この2車は共にラリーでの豪快な走りと優秀な成績があまりにも鮮烈だった為、その人気DOWNぶりも目立ちましたネ~・・・
コロナやルーチェではFMCによる人気DOWNはそれ程顕著ではなくいかに容易な拡大とイメージ変更が命取りなるのか、この時日産や三菱は思い知ったのではないでしょうか。。。(その割には学習能力は?で後年も同じような失敗モデルを産んでますが(-_-;) )
まっ、ブルもギャランも、そして他もFMC直後に不幸なオイルショックが訪れ“大きい車=乗れない”という世の風潮に巻き込まれた気の毒な経緯もあるのですがネ・・・

しかしブルもギャランも確かに大きく、デザインも高級に見せようと凝ったモノになり鈍重なイメージになってはいましたがその実力は後年、そして現代目線で振り返れば決して鈍重ではなく両車それぞれが先代のDNAは少なからず受け継いでいた事は新旧載り較べた経験から絶対にあったと! 所謂、車界の“風評被害”かもしれませんです。

↓大きく、高級にとイメージを変えた610型ブルーバードU(前期1600DX)


↓1600GLのRrビュー



前置きはこの位にして車輛概要に移ります。

(サイズ)
:全長4215全幅1615高1415ホイールベース2500(以上mm)
(車重)
1000kg(1600SSS)
(定員)
5名
(エンジン)
L16型 水冷直4 1600cc OHC シングルキャブ 100ps SUツイン105ps
L18型 水冷直4 1800cc OHC シングルキャブ 105ps SUツイン110ps EGI 125ps
(駆動)
FR
(ミッション)
4速MT /3速AT
(脚回り)
Fr:ストラット
Rr:セミトレーディングアーム
(バリェーション)
1600:STD/DX/GL/SSS
1800:DX/GL/SSS/SSS-E
(ボディ)
4ドアセダン/HT/ワゴン

新たに【U】(ユーザー本意という意味)の文字をネーミングに付けくわえた610は4ドアセダン、そしてクーペに代るHTとエステートから継承するワゴン/バンのラインナップで510まで存在した2ドアセダンはここで廃版となっています。
510では意地でもライバルが火を付けたHTに手を出しませんでしたがこの頃には各社こぞって流行のHTを揃えていたので610もこれに乗っかる施策となっています。

サイズは510から大幅に拡大、上級の当時まだC30型だった初代ローレルと同等(幅はC30より広い)で堂々としたものとなっていました。
その弊害も当然車重に現れ走りが身上だった1600SSSで510が1t未満(930kg)だったところに対し610では同じセダン1600SSSで1tとなり実に70kg、ドライバー一人分以上の重量増となってしまいました。
ただ、510で最大の売りとしていた4独サスはそのまま継承、グレードやボディに関わらずに定評あるストラット/セミトレの脚廻りは健在です!

↓Rrセミトレ独立式サスペンション


スタイリングも“高級化”を表すようにスーパーソニックラインの力強い直線美から一転、曲線を多用し重厚感を表しFrグリル等も彫が深く一目でその高級化が分かる程のデザインとなっています。
セダン/HTともに流行のセミファストバック化し流麗さを表しますがプレーンなノッチバックが好評だった510の影は見事に消え失せています。
スタイリング上の大きな特徴としてサイドウィンドゥ部を走る『Jライン』があり、FrサイドウインドゥからRr同部まで走りCピラーで切れ上がるJライン、どこから見ても「ブルーバード」と分かる大きな特徴でしたがこれとセミファストバックのスタイリングのお陰で後方視界は最悪、ワタクシも何度となくこれには乗っていますが狭い道で対向車が来てこちらが下がらなければならない時などはホントに苦労したモノです(涙)

↓初期のカタログでは“Jライン”を強調!!


スタイリングに関しては個人の主観もあり何ともいえませんし確かに510とはガラリと印象が変わり“鈍重”イメージだった事は否めませんが個人的には610のスタイル、遊び心があるそれまでにないJラインや彫の深いFrマスクはワタクシ結構好きで乗ってみても全く鈍重ではなくSSSではコロナのSLやスカGと較べてもむしろ俊敏さを感じ510信者が今も昔も否定するスタイルと乗り味の酷評は少し過ぎるんでは?なんて思います。

610、確かに高級路線に進みましたが510時代のラリーに対する情熱は失ってはおらずFMC後は610でもサファリに挑戦しています。
ただ、やはり肥大化が災いし好成績は残せず510に代ってS30Zや510の正統な後継ぎである710バイオレットにラリーフィールドでの主役の座は明け渡す事になっています。

↓サファリには510に続いて参加した610SSSラリー車



610は高級化を謳うだけありグレード/排気量によりセダン(HTは共通デザイン)ではFrとRrのデザインを変えるという贅沢な演出もなされておりSTD(セダン/バン)のFrは専用デザイン、1600モデルのFrとRr及びワゴン/バンのFr、1800モデルのとRr(Frは1600と共通)、SSSは専用Fr(HTはグレードに関わらずこのセダンSSSと同一、セダンは1800とRr共通)と組み合わせられており子供の頃、FrとRrをそれぞれ覚えるのが大変だったような(;^_^A

↓Fr/Rr共排気量/グレードによりデザインが異なる(1800SSSの㊤Fr㊦Rrビュー)



↓HT1800SSS-EのFr㊤とRr㊦ビュー



搭載エンジンは510から引き継ぐL16とL18のそれぞれシングルとSUツイン、そして新たに最高グレードに搭載するL18E型 EGIもラインナップしています。
日産車で初めて搭載したEGI、後年~現代では排ガス規制クリアもあり欠かせなくなった電子燃料噴射=インジェクション(日産呼称はEGI)は文字通りキャブの役目をコンピュータ管理させ常に最適な混合気をエンジンに送りこむ新技術のモノでこの時期、来る排ガス規制に備えトヨタ(EFI)、いすゞ(ECGI)、ホンダ(FI=機械式インジェクション)を開発し次々に搭載していたモノでスポーツグレードでパワーアップする際、これまでの定番だったキャブを×2としより濃い混合気エンジンを爆発させる手法が排ガス規制後には困難になる為の対策という側面もありました。
排ガス濃度を変えずに簡単にツインキャブ同等かそれ以上のパワーが得られ、外気温に左右されたり複数キャブでありがちだった乗り手によってはエンジン特性を理解せずプラグを被らせたりという事がなくなる手間のかからない、誰にでも扱え高性能が手に入るインジェクションは当時注目の的でした!
例えば同じL18型でもツインキャブタイプとEGIでは全然特性は違い気は遣うが豪快さ溢れるツインキャブを選ぶか、アクセルさえ踏めば何も気にせず高性能を駆使できるEGIを選ぶかかはユーザーの好み。
後年は嫌でも排ガス規制の影響からEGIしかなくなりましたがこの時代はこういう選択ができるいい時代でしたねー。
実際、両モデルを乗り較べると本来のNA感覚が味わえるツインキャブのナチュラルな特性が個人的には萌えますが女性、初心者も乗るクルマであればEGIに敵わず“スポーツグレード=一部の人のモノ”的60年代的感覚を真っ先に変えたのがこのインジェクションの出現だと感じます!

インパネ&室内、インパネは510後期の流れを継承、この時代から既に始まっていた80年代で有名になった日産の“衝立””絶壁”インパネになります。
2段式に分かれ下段に各操作S/W系を、上段に計器類をまとめ機能的なモノとなり木目パネルを採用し高級かつ重厚感を外観同様に表しています。
こちらも普及グレードとSSS系では味付けが異なりSSS系では流行りの連メーター(6連)が採用されスポーツ心を刺激していました!

↓普及グレードのインパネ(㊤DX㊦GL)


↓SSS系のインパネ(1800SSS-E)


余談ですがSSS-Eのインパネを見ても分かるようにこの時代、まだまだオーディオでは『8トラック式』が当たり前でしたが610は一早く、家庭で使えしかも自作テープが作れる『カセット式』が最上級のSSS-Eのみとは言え装備されていたのも驚きです!
71年と言えばまだ家庭ですらカセットなんて少ない時代、ラジカセなんてありませんでしたし(商品としてはあったかもしれませんが高価で我が家には後に言う英語勉強用?LL式みたいなラジオもなにもない単純なるカセットレコーダーでした…)これは夢のような装備だと、当時感激したのを記憶しています!! ワタクシの知る限りカセットステレオの装備は日産が一早い採用だったと思います。

↓スゲー!! 自作カセットがクルマで聞けるなんて!!


室内は外観ではJラインに誤魔化されて?かどうか分かりませんがそれほど窓面積は小さく見えないながら乗ってみると窓下端がやたら高くしかもCピラーが太い、インパネは高くそびえる衝立ですから想像以上に視界は前も横も後ろも悪かったです(汗)
この時期のクルマはどれも流行りからこのような極悪視界でしたがその中でも610とケンメリはベスト1、2異を争う位見えなかったです、身長174cmあるワタクシでもそう思うのですからこの時代の平均身長だった方は皆610やケンメリのる時は顎を上向けてドライブしてたんじゃないかと(笑)
ケンメリや後述する610の2000GT等は6発のロングノーズでしたから特にフロント見切りは冗談抜きで身を乗り出さないと見えない、そんな感じでしたねー、懐かしい~。。。

それではモデル改歴です。

(72/5)
1800SSS系に5MTモデルを追加します。
この5MTは日産独特で現代とは異なる5段目が右下(リバースが左上)に入る直結式5速で同時期、サニーGX-5(B110)にも搭載された通常のOD方式と異なり綿密なクロスレシオ設定が施されエンジンをより効率よく回し腕に覚えのあるドライバーには大注目でした!
この直結5速、後年は燃費稼ぎとシフトパターンが一般と異なる為、日産も止めてしまいましたが非常にスポーティでサニーやブルのこれに乗ると運転が楽しく正に“操る”感覚が魅力的でした!

↓1800SSS系に設定された“直結”の5速MT


(72/8)
L16、1600にもEGI付(115ps)となる「1600SSS-E」を追加、1800SSS-E同様の最高グレードの装備が与えられました。

(72/12)
併売されていた510型ブルが製廃、正式に『ブルーバード』としては610の1モデルとなりこの時点で完全代替わりとなります。

(73/8)
MCで後期型となります、同時に上級セドリック、ローレル(C130)やスカイラインから直列6気筒のL20型OHC シングル115ps、SUツイン125psを移植した2000GTシリーズ(型式G610)が追加されます!
この2000GTシリーズ、かつてスカイラインがGTを追加したのと同様手法で鼻を伸ばしてブル初の6発、2Lを搭載、これは当時神かかり的人気を得ていたケンメリスカイライン(GC110)の売れ行きを見ていたブルーバード系販売会社の要望から造られたという逸話のあるモデル、かと言ってブルのディーラーの思惑通りのケンメリ並の売れ行きは最後まで得られませんでしたが従来型の610とは趣を異にする派手な逆スラント、バーチカルグリルの迫力ある面構えと延長されたホイールベースの前輪とFrドア中央にあるエアアウトレット風の飾りからいかにもサメの頭、エラが連想され通称“サメブル”と言われた非常に個性的モデル。
この顔のお陰で好き嫌いが極端に分かれケンメリのスマートで誰にでも好まれる顔とは違い好きなヤツはメチャメチャ好き、嫌いなヤツはブーイングというモデルでしたねー。ちなみにワタクシは迫力のロングノーズと押し出しの強いサメブル、大ファンです!!
直線番長で曲がるのはそのロングノーズ故、Frヘビーで苦手で4発車に無理やり6発を押し込んだ独特なアンバランスさはありましたが見かけとは違い実力は同じL20のケンメリや130ローレルSGXよりも軽量で上!
高速では非常に安定感のある快適なクルーズをしていましたねー。

↓従来型610をロングノーズ化し縦6を押し込んだ「2000GT」
(HT2000GT-X=タイトル画像も同様)


↓見事なロングノーズはケンメリより決まってた気が???


2000GTはセダン、HT両種に設定されGTがシングル115ps、GT-Xが125psを積むというこちらもケンメリを倣ったラインナップとされています。
GTシリーズではセダンとHTでサメ顔は同一ながらRrはリ・デザインされHTはスポーティに、セダンでは高級感をイメージしています。

↓セダン2000GT-XのRrビュー


↓2000GT系に搭載されたお馴染のL20型エンジン(ツインキャブ仕様)


一方の従来型4気筒=1600/1800はお約束のFr/Rrの意匠変更、及びインパネデザイン(SSS系のみ)が行われています。
Frの印象は小変更程度の大差ないものながらサイドウインカーをヘッドライトベゼルと一体化、Rrはセダンではより造形の凝った高級感をあしらったモノになりHTは従来型の小変更程度でした。
この時からこれまで細かく分けていたFr/Rrのデザインをまとめ[1600/1800のセダン普及グレードのFr/Rr及びセダンSSSのRr、ワゴンのFr][セダンSSSとHTのFr][HTは専用Rr]という具合の設定となっています。

↓4気筒モデルも各MCで後期型に!!



↓SSS系は新登場の2000GT系と同一インパネに!
(2000GT-X)


(75/9~76/3)
ココから順次50年排ガス規制対応モデルへとなってゆきます。
既に610発売よりモデルライフの4年を経ておりましたが当時“世界一厳しい”と言われた排ガス規制にいかに適合するかが各社の重要な課題かつ最優先事項でしたので510に較べDOWN気味で販売成績もあまり好ましくなかった610もFMCの余裕はなくモデルそのものは継続されます。

日産は50年規制を【Nissan anti pollution system]=NAPSと呼ぶ方式にて適合
化、これは排ガス浄化を目的としツインキャブモデル→インジェクション化、排気触媒の設置、それに伴うエンジンの仕様変更(点火系が主)等を施しています。

↓50~53年規制適合の日産車にはこのエンブレムがトランクリッドに。
(外す人間多数続出!!)


これによりまず75/9に2000/L20のツインキャブをEGIとし130psにて50年規制適合のNAPSエンジン=L20E型を皮切りに76/3までに全てのエンジンを対策、時期的な都合もあり50年規制適合とより厳しい51年規制適合が混在する事もありました。
尚、L16ツインキャブとL18同は廃止、L18EのみNAPS化されたL18Eに換装、L16Eはカタログ落ちとなっています。

整理すると76/3時点では…

L20E(130ps)=51年規制適合
L20(115ps)=50年規制適合
L18E(115ps)=51年規制適合
L18(105ps)=50年規制適合
L16(100ps)=50年規制適合

となっています。

↓“NAPS”によりEGI化されたL20E型


↓キャブエンジン(L16/18及び20)もNAPS化!!


馬力そのものはL20/18/16シングルでは変更なし、L20Eはツイン比+5ps、L18Eで-10psでありましたが未対策と適合モデルを乗り較べると排ガス補機装置にかなりの力が奪われドライバビリティはカタログpsが信じられない程の悲惨さであり特にシングキャブモデルでは補機装置による重量増も相まって出足、加速には大きくストレスを感じるモノになってしまい当時のモデルを知る者は誰しも排ガス規制を恨んだものでした~。
ワタクシも各NAPSモデルは乗りましたが2000GTシングルなんて箱根の坂で2tトラックに煽られる程の非力さで情けない思いが未だ残っています。

もっともこの時代はマツダのRE以外、このような感覚は程度の差はありましたが各社、各モデルに感じられ日産のL20は重量車に搭載が殆どで特にそれが強く感じられたのでしょう、トヨタなどもL20のライバル、M-Uはもちろんの事、4気筒の18/16R-U(2000~1800)や3/2T-U(1800~1600)~3K-U(1200)に至るまでそれが感じられましたし三菱の吹け上がりが身上だったサターンエンジン(4G32他)等はもう目を覆いたくなる心境でしたねー(><;)
日産もEGI車でも非力さは顕著でかつてのツインキャブや未対策EGIモデルの中古が高騰したのもこの時期特有な現象でした。

尚、この時(75/9)にエンジン以外に2000を除いてエクステリアに一部変更が施され4気筒車のグリルにブルーバードの【B】オーナメントを装着、全車にインパネ小変更並びにシートデザインの変更、既に2000GT-Xには装備されていたワイヤー式リモコンミラーがSSS系にも装備される等の充実化がなされます。

↓75/9~最終型はFrグリル内にオーナメントを装着(1600GL)


↓最終SSS系のインパネ&インテリア


↓同DXのインパネ&インテリア


↓上級グレードには当時まだ珍しいリモコンミラーを装備!但しワイヤー式の為動きが現代の電動とは違い極端で合わせるのに一苦労(汗)


(76/7)
排ガス対策も一段落着いたところでFMC、5代目となる810型ブルーバードにバトンタッチをします。
登場後約5年を生きた610、最後まで秀逸だった先代510と較べられそれの軽快、俊敏のイメージからかけ離れてしまい510人気には遠く及ばずDOWN気味の人(車)生、しかしながら日産の看板として一定以上の販売成績は残し新たなに2000ccクラスへの参入を果たし存在意義は大きいモデルだったと思います。(ある書物によれば510の最販台数=72yの約19万8000台、610=73yの約13万5500台)

73yにT80/90が芳しくなく早めにFMCしたT100系コロナ(俗に言う“安全コロナ”)が非常に好評でこれの発売以降再び販売台数を引き離されたブル=74y約9万4000台、コロナ=同74y約15万7600台・・・
この結果を受け止めブルは次期810型では610の欠点を反省し再びBC戦争に挑みますが結果はいかに!!!

↓76/7には5代目810型にバトンタッチ!!


以上、4代目610型ブルーバードでした!

----------------------------------------------------------------------------------

【初代710型バイオレット】

72/12に製廃となった510ブルの後を受けて73/1に登場したのが初代710型バイオレットとなります。
バイオレットはダットサン110/210→310~610と続くブルーバードの先行型式である『710』を持つ事から分かるように完全なるブルーバード一族、610以降の登場である為710が与えられ610の後続ブルが810となっており“ブルーバード”の名前が付かない唯一のモデルでした!

バイオレットの立位置は上級グレードに移行したブルーバードU 610のアンダー、つまりはサニーと610のギャップを埋める車種であり前年までは旧いながらも旧型510が務めた位置を新たに受け継いでいます。

↓510の後継は“バイオレット”の名前が与えられた710型(HT1600SSS)


車輛概要は下記の通りです。

(サイズ)
:全長4120全幅1580高1375ホイールベース4250(以上mm)
(車重)
985kg(1600SSS)
(定員)
5名
(エンジン)
L14型 水冷直4 1400cc OHC シングルキャブ 85ps
L16型 水冷直4 1600cc OHC シングルキャブ 100ps SUツイン105ps EGI 115ps
(駆動)
FR
(ミッション)
4速MT/5速MT/ /3速AT
(脚回り)
Fr:ストラット(全車)
Rr:セミトレーディングアーム(HT)
Rr:リーフリジット(セダン)
(バリェーション)
1400:STD/DX/GL
1600:DX/GL/SSS/SSS-E
(ボディ)
2ドアセダン/4ドアセダン/HT

ボディは610では廃止された2ドアセダンを510代替を計算し残しており他に普及型の4ドアセダンに流行のHTを設定、サイズ的には510とほぼ同サイズ、車重も510より若干増えた程度で搭載エンジンも510から継承し軽快な走りとスポーティ路線はそのまま受け継いでいます。

しかし…
スタイリングはこの時期日産が凝りだした“3次曲面”という複雑な曲線が入り混じるデザインとなり510のクリーンさはなくズングリムックリした腰高な印象、このヘンテコ!?なスタイルに合わせるかのようにFr/Rrのデザインもゴテゴテしてまとまりがなく特にテールランプに至ってはHT/セダンともに首をかしげるような異様とも思えるデザインで個性的ではありながら到底、市場の理解を得られる出来ではなかったと思います。
全体がスッキリしてプレーンなノッチバックだった510に対し610よりもキツいフルファストバックとされしかも普及型であるセダンにもこのスタイルを採用、ウェストラインが高く後方視界も極端に悪いセダンとなってしまいスポーツユーザー向けHTならともかくファミリーユースのセダンでは失格!とこの頃ベストセラーになった自動車評論家・徳大寺氏の有名な書物「間違いだらけのクルマ選び」の第一弾で酷評、辛口批評の氏のこのシリーズは暫く続きますがこの初期バイオレット・セダン程コキ下ろされたクルマもなく未だに子供心に ~そこまで言うかぁ~ とビックリしたのを憶えています、特に「こんなクルマに100万出して買う人がいるから不思議」という一節は強烈でしたねー(笑)

確かに710はセダンもHTも乗車経験ありますが座った感じは穴蔵でありサイドウィンドゥの形状もあり610以上に視界は悪く特にセダンのそれは徳大寺さんに賛同せざるを得ませんです。。。

↓下手なクーペなんかよりも凄いフルファストバックのセダン(前期型)


↓後方視界はHTは更に悪く610も真っ青!!(前期HT1600GL)


この“3次曲面”、至って評判の悪いスタイリングでしたが日産は何故かこれに固執しバイオレットを皮切りにB210型サニー(73/5発売)、330型セドリック/グロリア(75/6)、S10型シルビア(75/10)と次々に採用し一部評論家には“アナクロニズム”(=ミスマッチ)“到底理解し難いスタイル”と酷評されていました。

見慣れるとそうでもなかったんですがねー、デビュー時は確かにどのモデルも簡単には受け入れれらない不思議なスタイル、しかし今のような各社金太郎飴のような“どれも同じ”ではない逞しい個性を演出していたのは間違いないです!

尚、余談ながら『バイオレット』=薄紫色 と言うネーミングながら何故かそのカラー設定はなく↑HT GLのグリーンがイメージカラーだった事も評論家の口撃材料でしたね~(^w^;)

エンジンは旧510のL14と610のL16をキャリーオーバー、当初から1600EGIや直結5速のSSS-Eもラインナップしています。

↓SSSのL16型ツインキャブエンジン


↓最高グレードのL16Eを搭載するHT1600SSS-E


まだまだバイオレットに対する専門家の辛辣な口撃は他にもあり材料となったのは・・・脚廻りでした。。。
HTは510→610で伝統的である全種Rrセミトレの4独サスを守りましたがバイオレットでは遂にそれをやめSSS以外ではRrを明らかな退歩であるリーフリジットとした事です!
510や610ではグレードの区別なく4独が与えられたのに対しバイオレットはコストダウンなのか?スポーツモデルのSSSのみが4独設定とされ当時はかなりブーイングものでしたねー。

このようにやはり先代の510があまりにも秀逸だった事により610同様、いや、それ以上に口撃されてしまった710ですがラリーフィールドでは大きく重くなりパッとしなかった610に代り活躍、サーキットではレースカーでの国産で一早くターボチャージャーを装着した“バイオレット・ターボ”がサーキットの当時の王者、マツダRX-3(サバンナ)を敵にまわして暴れまわっていました。
特に国際レースでは74yの『スランゴール・グランプリ』で総合優勝、サファリ優勝は次期型A10まで待たなければなりませんでしたが国内の酷評とは裏腹に510譲りの元気さを発揮していました

↓510に代ってサファリで活躍したラリー仕様車


↓サーキットでも“バイオレット・ターボ”として大健闘!!


また国内ではそのヘンテコ!?なスタイルから不人気DOWN!!!の極め、大バッシングの嵐だった710でしたが海外では510→710への代替わりは順調で輸出先の欧州人には抵抗のないスタイルだったらしく510ほでではないにしろ北米などでは「DATSUN 710」として販売も順調でした。

↓欧州仕様の「DATSUN 710HT」


実際乗ってもみても710は見た目と違いかなり俊敏なクルマでワタクシはHTの1600SSSと確か2ドア1400DXの経験でしたが1400でも軽々しくて何のストレスもなく視界以外は快適、室内はサニーに近い広さでタイトでしたがSSSでは510の熱い走りを受け継ぎ見るのと乗るとではこのクルマの印象がかなり変わりましたね。
パワーバンドが一番見やすい真上にくるように配置されたタコメーターも自然に燃える感じになったのを良く覚えています。また、ホントに小さな感動ですが後席灰皿が他社は上からパカッと引き出すタイプだったのが710は610ブルと同じで回転式!
回転して半楕円の灰皿が顔を出す様は子供の頃、後席に押し込まれる事が多く感動しながらよくいじり「あー、やっぱりバイオレットはブルなんだー」と安心してたのも懐かしい思い出です(^^;)

↓HT1400DXのインパネ


バイオレットには「営業用」の側面もあり510が小型タクシーに採用されていながら610はそれがなし、ここも510の後を受け地方等では710のタクシーが存在、小さなボディながらコラムベンチの営業然とした710のタクシーを見かけると感動したりと。。。

↓タクシーベースのSTD(実際のタクシー仕様はL16LP又はL18LPG)


それではモデル改歴です。

(74/6)
商用バンを追加。
こちらもブルバン~サニーバンの狭間を埋めるモデル。
RrスタイルがHT/セダンとは違いバンは非常にスタイリッシュに感じ710の中で最優秀スタイリングだと思うのはワタクシだけでしょうか???
当時の210サニーバン、610ブルUバンや他社ライトバンと較べても商業車然としていない洒落っ気を感じ「バイオレット、やればできるじゃん!」みたいに思ったものでした(笑)
尚、バンに関してはL14 1400のみでSTD/DX/GLのラインナップ。

↓Rrが“ヘンテコ”でないバンが710では一番スタイリッシュと言う気も…


(74/9)
セダンのみテールランプをMCしセダン中期型となります。
酷評された“変なデザイン”のテールを取りあえずはファミリーユース=保守層の多いユーザーに合わせる為、セダンのみ手直しを行いグニョグニョした造形をスマートな横一線のモノにします。

↓セダンのみスッキリしたデザインのテールに変更(中期4ドアセダン1400GL)


(75/9)
1600SSS、L16EをNAPS、50年規制適合化しL16ツインキャブ仕様は規制不適合により廃止。

(75/10)
1400をNAPSにより50年規制適合化。

(76/2)
MCで後期型となります。
HTはRrガーニッシュのデザイン変更程度ながらセダンはここで大手術を受けさんざん悪態をつかれた後方視界の改善の為、フルファストバックのスタイルをノッチバックタイプに変更、顔は従来型のままながらサイド/Rrビューに関しては全く別のクルマに見間違える程の大整形が施されています!
セダン、HT共にSSSの最上級グレードとして「1600SSS-E・L」を設定、同時に1600 L16キャブ仕様はNAPS 51年規制適合となります。

↓76/2~、セダン/HTともにMCで後期型に!


↓酷評に耐えかねセダンは大整形でノッチバック化!!(後期セダン1600GL)


↓ノッチバック化に“変身”=あの本郷猛、仮面ライダー1号の藤岡弘、 氏を起用して男臭さとクリーンな視界をアピール!!
 (後期セダン1600SSS-E)


(76/5)
1400 L14をNAPS 51年規制適合化

(77/5)
FMCにて2代目A10型バイオレットにバトンタッチして生産終了。
2代目の型式を見て分かる通り初代とは異なり完全に独立した車型が与えられ2代目ではブルーバードファミリーを離れ独自路線を歩む事となります。
しかしデビューしたA10は正に510ブルの生き写しと言うかパロディーと言おうか…

↓2代目バイオレットは見かけだけはそれこその“510の再来”


A10がもう4年早く出ていれば、つまり710がA10のスタイルをしていたら・・・
510の残像がまだまだ色濃い73y当時ならばバイオレットの運命はまた違っていたかもしれませんが77yでは既に510は単なる旧型車の認知になっており日産が今度こそ!と意気込んで出したA10も「オッ!!」とは思いながらも脚は平凡、NAPSと重量増で走りはヘナチョコでSSSのような熱いモデル設定もなかった為、日産の期待とは裏腹にこれも鳴かず飛ばずでした。
A10となって設定された双子兄弟車の「バイオレット・オースター」(後にオースター)、少し遅れて追加された三つ子兄弟のミニ・セドリックと銘打った「スタンザ」とトリオを一時は構えましたが81y、バイオレットは3代目T11(ネーミングはT11からバイオレット・リベルタ)にFMCした後、モデルライフ途中であまりの販売不振から製廃とされ何と派生であったオースター(JX)、スタンザ(FX)のみが細々生き残ると言う結末orz・・・
その後、決して残ったオースター/スタンザも順調ではありませんでしたが90/2、『プリメーラ』と名前を変え、この初代プリメーラが大ヒットしたのは記憶に新しいところですね!
「バイオレット」からスタートして苦節17年目のヒット!! 売れない演歌歌手並の人(車)生ですがオリジナルのネーミングで果たせなかったヒットをプリメーラで見た時は涙が頬を伝っていたような(大嘘)

バイオレットというクルマ、3代存在しながら遂に一度もUP!!!はなく初代は偉大なる510の後釜として期待が大き過ぎ見事に裏切る出で立ちでDOWN!!!どころかこれほどケチョン×2に言われたクルマも少ないかな?と思います。
不人気車の代表選手で悲運のクルマでしたが何故か鮮明に思い出に残るクルマです。。。


以上、初代710型バイオレットでした。

----------------------------------------------------------------------------------

(次回、5代目810型ブルーバードに続く)
ブログ一覧 | UP!!DOWN!! | クルマ
Posted at 2017/07/30 16:38:46

イイね!0件



タグ

今、あなたにおすすめ

ブログ人気記事

朝イチ散歩でアジサイ見つけた〰️♪
kuta55さん

再度、部品を仕入れて主治医のもとへ
彼ら快さん

【R-2復活への道】買ったリアフェ ...
キャニオンゴールドさん

ピアッツア、アスカ、そして ・・・
P.N.「32乗り」さん

今日は土曜日(ナ・ゴーヤフレンチ ...
u-pomさん

ロータス(ベトナム国花)の国の自動 ...
GRASSHOPPERさん

この記事へのコメント

コメントはありません。

プロフィール

「大化けした往年のNICE MODEL VOL.6~日産610型ブルーバードU2000GT/GTX編~ http://cvw.jp/b/2682511/47752364/
何シテル?   05/30 15:33
元GureのHNで活動、新規ネタ&過去ネタをUP中、過去記事はかつてほぼ移住していた山梨や本拠でのクルマ弄り記録や過去シリーズ的に上げていた独自の企画モノを再U...

ハイタッチ!drive

みんカラ新規会員登録

ユーザー内検索

<< 2024/6 >>

      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30      

リンク・クリップ

あのクルマの系譜・その21~三菱GTO編~  
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2020/04/16 22:31:38
《新企画》あのクルマの系譜・その1~三菱ギャラン編~ 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2020/02/12 17:16:21
あのクルマの系譜・その2~三菱ランサー編~ 
カテゴリ:その他(カテゴリ未設定)
2020/02/12 17:16:05

愛車一覧

三菱 ランサーエボリューションIV 三菱 ランサーエボリューションIV
2015年導入、当時凝っていた菱旧車集めの1台で一時息子に乗らせながら共同所有、2022 ...
三菱 eKスポーツ 三菱 eKスポーツ
2023年11月より愛用、常に2~3周遅れで三菱軽を愉しむワタクシ、パジェロミニVR-Ⅱ ...
ヤマハ XJR1300 ヤマハ XJR1300
単車らしいオーソドックスな80年代風ネイキッドスタイルはやはりワタシの年代には刺さる!! ...
スズキ ジムニーシエラ スズキ ジムニーシエラ
次男坊が初購入の新車!我が家として平成9年のエボⅣ以来24年ぶりの新車迎い入れで真にめで ...
ヘルプ利用規約サイトマップ

あなたの愛車、今いくら?

複数社の査定額を比較して愛車の最高額を調べよう!

あなたの愛車、今いくら?
メーカー
モデル
年式
走行距離(km)
© LY Corporation