偉大なる“UP! DOWN! 野郎たち”!!!、今回は先に言っちゃいますが歴代引ブルーバードの中でもNo2人気だったUP!!モデル、6代目910型を取り上げます!
79/11に“ブルーバード、お前の時代だ”と当時人気絶頂の若き日の沢田研二=ジュリーを起用したCMで登場した910、今でもこのCMを鮮明に記憶されてるご同輩も多いかと思います!
そう言えば810では当時もう40代となっていた加山雄三氏がキャラでしたからねー、それも810のジジ臭さという印象もあったような…(加山さんファンの方スミマセン)
若大将→ナイスミドルの域に差しかかっていた加山氏はレパードのキャラに出世して降板、ブルの若返り同様、キャラクターも若々しいジュリーに譲った感じでした(笑)
↓『ザ・スーパースター』をコピーした910のカタログ、 キャラクターも当時の“スーパースター”が勤めていました!
イケメン・ジュリーがピッタリ似合う程のイケメンの910、日産の、そしてファンの念願だった“510の再来”という夢を実に7年かかってようやく実現しワタクシの青春時代は街中にあふれ返り友達も親類も数多くオーナーで見飽きる程見ましたしさんざん乗ったクルマですがイイ車と言うのは何回見ても、何度乗っても飽きず見る、触る度に「910、いいじゃん!」と心で呟いていましたねー…
学生時代、友人の多くも乗っていて こちら でも述べましたが思い出多きクルマの一つです・・・
910は上級グレード移行した4代目610が高級化を目指しながらも510の呪縛からスポーツ路線も捨てきれずにやや中途半端なコンセプトで失速、続く810も610に未練を残すような中途半端な性格と悪視界で不評の610を下手に反省したスタイルが裏目に出て地味な出で立ちとなりますます失速の完全にDOWN!!、遂に第三勢力だった三菱ギャラン(Σ)にも人気/販売で差をつけられるという体たらくとなり910の発売を急遽早めたという裏話がある程、日産にとっては社運を賭けた重要なモデルでありこれ以前は710バイオレットを含めると3代続けて失敗作でしたからその気合いの入れ方はハンパではなくFR国産5ナンバーミディアムセダンでは1,2を争う秀作ではないかと思います!
まずはスタイリング!端正でクリーン、スクエアでスッキリした完全ノッチバックはまさに510の軽快なイメージの再来で謳われてはいませんでしたがベルトラインを力強く走る直線はあの“スーパーソニックライン”を彷彿させるモノでした。
何とデザインにはあの“ブル史上最大の失敗”と言われた410ブルのピニンファリナが噛んでいたのも驚きで最大の失敗→最優秀作品への名誉挽回となった訳ですネ!
↓見違えるようなクリーンさをまとった新星910ブル!!(前期セダン2000SSS-ES)
ボディは従来通りの4ドアセダン/2ドアHTに少し遅れて(79/12)ワゴン・バンを設定、どのボディスタイルも610→710→810と続いた重々しくボテッとした鈍重イメージが消え去り“あの頃”=60~70年代初頭の良き日産のデザイン→クリーンでシャープで若々しい好感が持てるスタイリングが帰ってきていました。
「これぞ待っていたブルーバードだ!!」という感じで910はデビュー直後から大人気のUP!!UP!!!で810時代の78yでは上位3車のブービーだったブルは910単独の販売台数がカウントされる80年(79yは810が殆ど)には78yのMC及び80yのFMCが失敗し失速した三菱Σ(80y 約7万2000台)とやはり78yにT130系へのFMCでDOWNとなったトヨタコロナ(同約10万5500台)を軽く抜き去り実に19万6000台オーバーと言う販売を記録したのでした!
また小型クラス(1600~2000)での27カ月連続登録台数1位という偉業も達成、モデル末期の83yでも約13万3000台(83/10以降の後続U11も含む)を登録した怪物モデルでした~。
910の良い点はいくらでもありますが一番の成功は「610/810からの完全な決別」だと思います。
「豪華さ」「重厚感」を押し出した610の未練を断ち切れなかった810を反省しいい意味でのまるで別のクルマになったかのような潔さを多くのファンは感じ取っていたと思います、先記のスタイリングもそうですが本来のブルに立ち返り中途半端だった6気筒モデルを切り捨て俊敏さを前面に出した4気筒モデル専属としその4気筒を充実させ普及モデル、スポーツモデルのSSSをそれぞれその性格を煮つめコンセプトをはっきり示しユーザーに訴求したのも非常に好意を持って受け入れられていたと思います。
輸出モデルでは海外での事情から6気筒も910に設定(DATSUN マキシマ)されましたが国内モデルでは610でスカイラインに憧れ、810ではローレルになりたかった6気筒を潔く切り捨て510に立ち返った姿勢は拍手モノだったと思います。。。
4気筒に統一されたエンジンは全てツインプラグのZ型を搭載、シャーシも新たに設計しブル伝統の脚回りも継続しつつ見直し直進性にこだわった「ハイキャスター・ゼロスクラブ」を国産FRでは初めてFrに採用、ステアリングギアも810ではだらしなさを際立たせていたボールナットからラック&ピニオン式に改めハンドリングは見違えるようなキビキビしたシャープさを実現していました。
それでは車輛概要です。
(サイズ)
:全長4350全幅1655高1385ホイールベース2525(以上mm)
(車重)
1090kg(1800SSS-E)
(定員)
5名
(エンジン)
Z16型 水冷直4 1600cc OHC シングルキャブ 100ps
Z18型 水冷直4 1800cc OHC シングルキャブ 105ps
Z18E型 水冷直4 1800cc OHC EGI 115ps
Z20E型 水冷直4 2000cc OHC EGI 120ps
以上全てNAPS-Zによる53年規制適合エンジン、psはグロス値
(駆動)
FR
(ミッション)
4速MT /5速MT/3速AT
(脚回り)
Fr:ストラット
Rr:セミトレーディングアーム(SSS系)
Rr:4リンクコイルリジット(上記グレードを除く)
(ボディ)
4ドアセダン/HT 79/12~ワゴン/バン
(バリェーション)
セダン
1600:CT/DX/GL/GF
1800:GL/ファンシーGL/GF
1800SSS:SSS/SSS-E
2000SSS:SSS-EL/SSS-EX/SSS-EX・Gタイプ/SSS-ES
HT
1600:GL
1800:GF
1800SSS:SSS/SSS-E
2000SSS:SSS-EL/SSS-EX/SSS-EX・Gタイプ/SSS-ES
サイズは910用に新設計されたシャーシと共に810を若干拡大、高さは若干抑え“低く長く幅広く”を教科書通り実行しています。
ホイールベースも延ばされ小型FRセダンとしては現代レベルで見ても及第点でありこの910がブル最後のFRという事もありますがFRセダンの限界を突きつめた出来になっていたと思います。
足元のスペース、後席の居住性にも何なら問題なく大人4人が快適にドライブできる空間を得ておりこの部分も非常に好印象でした!
外寸はスクエアなスタイリングの効果か写真などでは腰高だった610や810よりも小さめに感じる事も多かったながらこのクルマを初めて実車を前にした時、予想以上に大きく堂々とした出で立ちにいい意味での衝撃を受けたのを憶えてます。
Z系で統一されたエンジン、1600~1800EGIは610/810からの継承ですが最上級、6気筒L20が抜けた後にZ系最大排気量(国内市販)となる2000ccのZ20+EGIを搭載、1800EGIに+5psを得てシリーズTOPという重要な役目を負います。
Z20Eは79/3にFMCしたS110系シルビアに初搭載されたモノで不思議な事にZ18のスケールアップでありながら良く言えばZ18よりジェントルな特性、悪く言えばZ18の元気さが弱まった感触で+5psの差は殆ど感じない代りに15.5→17kgに増大したトルクで街中の乗り易さは数値以上に体感できるものでした。
尚、1800ではSSSでも廉価版にキャブ仕様のZ18を設定していましたが2000はEGIのZ20Eのみです。
↓S110シルビア/ガゼールから移植の新エンジン『Z20E型』
正直、Z16~Z20Eまで、特筆するようなエンジンではないと思いますが誰にでも安心して扱えトラブルも少ない、ブルのように台数を多く出すモデルには信頼性が高くかつ平凡であるのが最優先課題でもありその意味では誠に優秀なエンジン群だったと思います!
↓1600/1800のZ16、Z18は810からそのまま継承
尚、後年の81yにデビューしたR30型スカイラインRSでお馴染のFJ20E型DOHC 16バルブエンジンの搭載も噂となり当時のワタクシ等のようなカーキチ(死語!?)にはこの頃もっとも気になる噂でしたが当時日産はターボを推進していた時期でもあり結局はFJ20のブルへの搭載はなくスカイライン以外ではS110系シルビア/ガゼールに載せただけで終わります。
A10バイオレットベースの心細いシャーシとヘナチョコな脚のS110ではFJ20のポテンシャルは生きず“本家”スカイラインはR30で6気筒前提のフルサイズのデカさでしたからFJ20を4気筒専用ボディで脚/シャーシもしっかりした910に積んでいたら…
さぞ楽しいクルマだったろうと今でも残念に思います。。。
脚はSSS系に伝統の4独、Frストラット/Rrセミトラーディングアームを 普及グレードも810よりは発展した4リンクコイルが採用されています。
↓伝統のRrセミトレ(㊤SSS系)と新設計の4リンクコイルリジット(㊦)
上記でも触れた「ハイキャスター・ゼロスクラブ」はキングピン軸の延長線上とタイヤの設置中心の関係=スクラブ半径 がゼロになる設計でこの半径が小さければ小さいほど直進安定性と制動時の車体安定性が増すもの、欧州車には既に多くの採用実績があり国内でもフロントヘビーなFFには既採用ながらFRとしては910が初採用したもので話題となりました。
↓従来型Frサス㊧と910のゼロスクラブサス㊨の比較図
ゼロスクラブにする事によりストラット角度をよりハイキャスターに設定、従来型の設置角度2℃に対して4℃という数値でありこの二つの相乗効果とワイドトレッド、そして新たに採用したラック&ピニオンのステアリングで抜群の直進安定性と操縦性能を実現していました!
確かにこのFrサスのおかげか910の安定性やワインティングでの安心感はなかなかのモノで自分の狙ったラインを素直にトレース、FRにありがちなオーバーステアに陥る限界も高く非常に楽しい走りが楽しめました!欲を言えば個人的には車体がちょっと大き過ぎに感じたのでこれがFR時代の310サニークラスのボディで味わえたら最高に楽しかっただろうと感じます。
ただFFとFRの違いはありますが910のこの味は後年のP10プリメーラに受け継がれFFとは思えない素直なハンドリングの原点だった事は間違いないと感じます!!
尚、910はこの時期に流行り出した電子化も随所に取り入れられ現代のカーナビの前ではお笑いですがドライブコンピュータや女性の美声によるボイスワーニング等も採用、現代目線では子供騙しのオモチャですが当時は感嘆したモノです。
先にも触れたスタイリング、セダン/HTの区別なくクリーンなノッチバックで広く明るいグラスエリアを誇りFrの印象はセダンとHTで特別な区別もなくRrスタイル(テール等)も共通となりましたがHTではRrウィンドゥをラップアラウンド式にしてセダンにない洒落っ気を醸し出しています。
↓最高グレードとなる2000SSS-EX・Gタイプ(セダン)
↓最上級『SSS-EX・Gタイプ』のインパネ 何とGタイプのオーディオには
録音機能まで備えていました!(コンソロール左がマイク)
↓Gタイプにはこの時代流行りの“デジパネ”もOP選択可能!
↓セダン㊤とHTのRrビュー、意匠は同一ながらHTのRrウインドゥは特徴的
(セダン2000SSS-EX・GタイプとHT1800SSS-EL)
910でも“伝統”的な二つの性格=エレガントシリーズ(CT~GF)とスポーツシリーズ(SSS)を継続、ファミリー族や年配層にはエレガント、ヤングファミリー/若者層にスポーツ系を!との狙いがズバリ当りあらゆる層に幅広い支持を受けどちらのタイプも街中を賑わせていましたねー。
エレガントとSSS系ではFrグリルとテールランプをリ・デザイン、エレガントはグリルデザインを横線基調としテールもこれに合わせて横線デザインとしSSSのFrハニカムグリル/縦基調のテールと差別化していました。
↓“エレガントシリーズ”の1600/1800GF㊤と1600DX㊦
エレガントシリーズのうちGFは810から引き継ぐルーズクッションシートを持つモノでしたが外装等は不必要なオーバーデコレーションはせず非常にセンスよくまとめ価格もこれにより抑えており旧G6、Fシリーズとは一線を画したブルーバードのし車格をわきまえたグレードになっていました。
また、かつて310ブルでお目見えし話題を得た女性向けグレードの『ファンシーGL』(310時代は“ファンシーDX”)が久しぶりにラインナップされていました。
SSS系はベースのSSS/SSS-Eを基本に装備の豪華さでSSS-EL、SSS-EX、SSS-EX・Gタイプの4種に加えハードサス、扁平ラジアルが奢られ走りに振ったSSS-ESをハードモデルとして設定していました。
↓ハードモデルの『SSS-ES』(㊤HT/㊦セダン)
全てに於いてベタ褒めしてます910ですがワタクシがこの910で一番?と思ったのはインパネでした。
デザイン的にはエクステリアのイメージに合わせスクエアでボクシー、機能的で使い易く視認性も良くてなかなかイイ、と言うか好きな部類ながらその造りが…
全体がプラスチックプラスチックしていて非常に質感に劣りせっかくのデザインがその安っぽさから魅力も半減、経年変化で開閉部(グローブBOXや灰皿)等が歪んできて隙間が出来たりライトやワイパーのS/Wやウインドレギュレータハンドルの色褪せが出たりと日産の悪い癖が910にも見られこの事は非常に残念に思います。
70~80年代のトヨタと日産の大きな違いはこの“内装の材質”という点も個人的に強く感じました、トヨタ車では例え10年経っても内装はほぼしっかりしているのに対し日産は数年でヘタリ、しかも高級車に至っても経年変化に弱い部分は同一でしたねー。
これはメーカーの責任と言うか下請けさんの品質違いなのですがワタクシが中古車バイヤーやっていた時代に強く感じたのがこの事でトヨタ/三菱/マツダは比較的内装の耐久力は良く日産/ホンダは弱いという印象があります。。。
尚、910でも810に続き営業用=TAXI仕様も重要なバリェーションの一つであり910タクシーモデルは次期型、後続のU11型7代目ブル登場後も継続生産/販売がなされ93yのタクシー専用モデルである『クルー』登場まで実に14年に渡り存在し地方都市でお馴染の小型タクシーとなっていました!
↓810より『小型』タクシーの役割も継承。
それではモデル改歴に移ります。
(79/12)
ワゴン/バンを追加。
ワゴンには今も名前が残る『AD=アドバンス』(現行ADバン)を初めて冠した『ADワゴン』というネーミングとされていました。ADワゴンとバンは車体共通、後席やバネレートで乗用/商用と分ける手法は現在と同様。
尚、ADワゴンとバンのRrサスはリーフリジットの設定、ワゴンはZ18型のみのラインナップで『1800GS/同GL』の二種。
↓ワゴン1800GLのRrビュー
(80/3)
1800にSSSターボシリーズを追加。
日産としては初の4気筒ターボエンジンとなるZ18ET型、既存Z18Eにギャレット・エアリサーチ製ターボチャージャーを装着する手法は前年、国産初のターボカーとしてデビューした430セドリック/グロリアのL20E→L20ETと同一。
Z18ETは馬力でオリジナルZ18Eの+20psの135ps、トルクで+4.5kgmの20kgmという高性能を叩き出し910ブルのイメージリーダーとなりました。
ライバルのコロナがDOHCエンジンを持つ事でイメージ、走り的にブルのマイナスポイントでしたがこれを一気に埋め魅力を大幅に高めました!
↓“コロナGT”(DOHC)にようやく対抗できる待望のHOTモデル、SSSターボ
↓SSSターボに搭載された『Z18ET型』ターボエンジン
SSSターボのグレード設定は従来の2000SSSシリーズの-EL以外=ベースのSSS、SSS-X/SSS-X・Gタイプ/SSS-Sが設定、ミッションは5MTのみとされています。
(80/4)
セダンにブルーバード史上初のディーゼルエンジン(以下D)モデルを設定。
D車はオイルショック以降の燃料高騰後、以前は“トラックのもの”とされていた認識から脱却しこの時代には各社乗用Dを発売、当初は営業向けの公用車(セドリックやいすゞフローリアン)から搭載され次第に注目を集めオーナー車であるローレル、マークⅡクラスも採用し80年代にはこのブル/コロナクラス~リッターカーのダイハツシャレードにまで普及しています。
910に搭載されたのは新開発のLD20型 2000cc直4OHC 65psでした。
↓ブル初のディーゼルモデルに搭載の『LD20型』
(80/10)
これまでAT設定がなかった1600及びターボシリーズにATを設定(3速AT)
(81/1)
2000にZ20型キャブ仕様110psを搭載するエレガントシリーズ、2000GL/GFをラインナップしSSS系のみだった2Lシリーズを拡充。
(82/1)
MCにて後期型となりますが絶好調の910、イメージを大幅に変える事を避けエレガントシリーズのグリルデザイン、SSS系のグリル枠の幅、そして両種のテールランプ意匠変更といった小変更に留めています。この時ADワゴンのRrサスをセダンエレガント系と同一の4リンクに変更しています。
尚、2000SSSシリーズもZ20E→Z20型キャブ仕様110psに換装、これはターボ登場による車種整理の一環で豪華指向の2000SSS-L、2000SSS-Xと同Gタイプ(2000SSS-EL、2000SSS-EX、同Gから改称)キャブ仕様に変更し2000SSS-ESは1800ターボに譲りカタログ落ち。
↓82/1~の後期型セダン(㊤1600GL㊥ターボSSS㊦1800SSS)
↓後期型ADワゴン1800GS
MCは目立たぬような施策をあえてとりましたがこの時に大きな出来事として4HTの追加がなされた事です!
4HTは73yに230セド/グロで登場以来、ローレルにも採用したモノ、ボディ剛性には不安があるものの見栄えがするセンターピラーレスというスタイル、当時この形式は国内に於いては日産オリジナルで人気の高いスタイリッシュなボディ形式でした。
セド/グロ、ローレルと言う高級モデルのステータスだった4HTを初めて小型車枠で実現し注目されていました。
↓MCにて新追加された4HT(㊤1800SSS㊦ターボSSS-X・Gタイプ)
↓4HT 2000GFのインパネ&インテリア
4HTのスタイルは従来の4ドアセダンと2HTを見事に融和させこれの発売以降はスポーツボディ→パーソナルモデルとしての販売の中心を2HTからシフト、バリェーションも2HTはターボモデルのSSS/SSS-Sのみに車種整理、4HTはセダン並にワイドな編成を組んでいました。
4HTのバリェーションは下記の通りです。
1800:GL/SSS(Z18)、SSS-E(Z18E)
1800ターボ:SSS/SSS-X/SSS-X・Gタイプ(Z18ET)
2000:GF/SSS-X/SSS-X・Gタイプ(Z20)
2HTはこの時期、ブルに限らずエアコンの普及や乗降性の悪さから一気に人気が下火になり各車が順次このタイプのリストラにかかった時代でありワタクシ個人的には非常に好きだった2HTの衰退は哀しかったですネ~(;_;)
↓ターボエンジンの2グレードに整理された後期2HT(ターボSSS-S)
この他、Dモデルにターボ付を追加、既存のLD20型Dエンジンにターボチャージャーを装着したLD20T型81psを搭載するモノグレードの『セダンTURBO-D』を追加、ガソリンGFグレードに準じる内外装を持ち5MT/ATを設定していました。
↓“快速ディーゼル”のLD20T型ターボ付ディーゼルエンジン
※(82/5)
改歴ではありませんがこの時、当時流行りのグループ5レースに910のスーパーシルエットが『ブルーバードターボG5』としてR30スカイライン、S110シルビアと共にデビューしそのド迫力のボディと戦績、そしてモンスターパワーぶりがレースファンを熱狂させました!
↓サーキットで暴れた『ブルーバードターボG5』
G5のブルーバードターボには直列4気筒DOHC、LZ20BT型を搭載し市販ターボ同様のエアリサーチ製T05Bターボチャージャー、ルーカス製メカニカルインジェクションを装備し実に570ps/55kgmという破格なスペックでサーキットを暴れまくっていました。
尚、ブルーバードターボG5については こちら でも確認できます!
(82/10)
Z16/Z18/Z18Eを新開発CAエンジンに換装します。
CAエンジンは81yにFF化したT11バイオレット(リベルタ)/オースター(JX)/スタンザ(FX)用に開発した小型軽量エンジン(後のPLASMAエンジン=新開発軽量エンジンに名付けられたネーミング)でありL型から永らく続いたブルーバードのメイン/普及エンジンがここで世代交代となりました。
新搭載のCA型は下記の通り
1600:CA16S型 直4 OHC シングルキャブ90pps
1800:CA18S型 直4 OHC シングルキャブ100ps
1800EGI:CA18E型 直4 OHC EGI 110pps
CAとなりPSではZ型より若干低下しているものの新開発エンジンらしく古いL型発展のZ型よりも軽々しく吹け上がりドライバビリティ的にはむしろキビキビ感が増し特にワタクシは1600、CA16に感動しました!
L/Z時代では排ガス対策、代を重ねるごとに増える車重の前でかつての510で鳴らしたL型の面影はなくなり610~910では完全なる廉価版エンジンとなっておりました、しかしCA16にその感覚はなく1600でも“もはや廉価版ではない”と思わせる実力があったと思います。
ただ、910クラスですとさすがに1600ではオーバーウェイト感を否めませんがこのスペック、そして1600シリ-ズの価格を考えると秀逸な出来だったと思います!
同時期のトヨタ3A/4A系にも言えますがこの頃の新作エンジン群、従来型の日産のZ(L)型やトヨタT系(それ以上の6気筒L型やM型、A型K型等の小排気量も含め)が排ガス対策なんて概念のない時代に設計されたエンジンがそれにより大幅に実力をスポイルされてしまったのに対し当然、設計時から排ガス対策を施し活発さを取り戻してきたこの時期以降=日産はプラズマ、トヨタはレーザー、三菱はシリウス、マツダはマグナム、いすゞがシグナスと銘打った各車の新エンジン群が次々にデビューしようやく排ガス対策の悪夢が完全に消えたんだ!!と実感しました。
↓82/10~普及モデルは新エンジン、CA型に換装!(CA18S型)
尚、この時からZ18ETのターボモデルのATが4速ATとなっています。
この分野(4AT)ではトヨタが一早く技術革新を行っておりライバルとなるコロナは78yのT130コロナで既に4ATを設定していたのでブルは3年遅れでATに関してはようやくコロナに追い付いた感じです。
ブルや他社もそうですがイージードライブの多段化の遅れが現在のトヨタ独走の一つの要因ではないかとワタクシは思います(トヨタは74y発売のクラウンで世界初の4ATを搭載)
3ATと4ATではご承知の通りたかが一段のギア違いでも燃費、エンジンや車体に対する負担は天と地の違いがある訳でしてトヨタ、正に“先んじて人(他社)を制す”と言った感じですネ!!
(83/2)
日産自動車生誕50年を記念して特別限定の『50スペシャル』を設定。
(83/3)
セダン1600/1800にお買い得モデルの『スーパーエクストラ』追加。
(83/6)
好評50スペシャルの第二弾になる限定車『50スペシャルⅡ』を設定。
保安基準改正により認可されたドアミラーを一部グレードに装備。
↓新たにドアミラーを装備(4HTターボSSS-X・Gタイプ)
(83/10)
大好評で空前の大ヒットと生存4年でコンスタントに10万台オーバーの販売台数を記録した910でしたがモデルライフの4年を待たずあっさりFMCし後続U11型7代目ブルーバードに譲ります。
↓83/10にFMCした8代目U11型がデビュー!
これはFF化に積極的だった日産が当時、“ローレル以下は早急に全てFFへ”の方針を示しておりバイオレット/オースター/スタンザをT11にて(81/6)、サニーをB11(81/10)にてFF化しこれに続く小型クラスFF化の第三弾に人気車であるブルーバードもFF化と言うある種の賭け?(当時の空気では70年代よりは広まったとは言えまだFFは異端児的視線で見られていました・・・)に出た訳です。
時代の要請と流れに一早く乗りますますのUP!!!を目指すU11型ブル、910の勢いを持続できるのか!!
(次回7代目U11型ブルーバードに続く)