2017年09月09日
今後どうなっていくんでしょうかね~
スバルの最新「アイサイト・ツーリングアシスト」を体験して、自動運転の難しさを知る
富士重工業からSUBARUへと社名変更をして初めて登場したクルマがSUBARU XV。そして初めてマイナーチェンジ(スバリスト流では「年改」)したのがレヴォーグとWRX S4だ。
そのレヴォーグとWRX S4には0~120km/hの範囲において、車線中央維持をするステアリング操作と先行車や設定速度に合わせて加減速をする機能「アイサイト・ツーリングアシスト」が初めて装備された。
つまり、高速道路の単一車線において、ステアリングを握っている必要はあるにせよ、クルマに任せて走ることが可能となった。すでに他社も実用化している技術ではあるが、この手の運転支援システムに出来映えは経験値がモノを言う。その点において、スバルはアイサイトの歴史が長く、仕上がりに期待ができる。
というわけで、ついに公道で「アイサイト・ツーリングアシスト」を試すことができた。状況としては平日昼間の首都高(環状線から湾岸線の区間)で、渋滞あり、流れている区間ありといったところ。もちろん、首都高だけに割り込みもそれなりにあった。
すでにテストコースでは追従クルーズコントロールとしてはハイレベルな仕上がりであることを確認していたが、こうしたリアルワールドでの試乗することで様々な要素が見えてくるはずだ。
とはいえ、1時間ほどの試乗を終えた感想は「AIがなくても、ここまでスムースに走ることができるのか」というもの。高速区間では右足を動かすことはほとんどなく、加減速はクルマに任せておける。
ステアリング操作についても合流や車線変更はドライバーが行なうが、車線維持については任せていて不安を感じることはない。むしろ、人間よりも中央維持の能力は高いのでは? と思うほど見事に中央をトレースする。
しかも「アイサイト・ツーリングアシスト」では車線(区画線)が見えない状況でも先行車に追従するなどの機能を使って、車線を維持するようステアリングアシストを続けてくれるのが進化点のひとつ。
感覚的には首都高でも5~7割はアシストをしてくれると感じた。とはいえ、速度や横Gなどの条件によっては、優秀なステアリングアシストがキャンセルしてしまうこともある。
じつは、その瞬間に自動運転時代のドライバーの心構えについて考えることがあった。アイサイト・ツーリングアシストのそれは、非常にスムースなステアリング操作で、アシストされているという違和感はない。
そのためか、キャンセルされた瞬間に一瞬だが戸惑ってしまうほど。アシストがキャンセルされたことはメーター内のインジケータやワーニング音で教えてくれるが、心の何処かでクルマに委ねてしまっている部分があったのだろう。
この感情は、レベル3の自動運転においてドライバーに運転が戻された時と似ているのだろう。テストコースではレベル3の自動運転を経験したこともあるが、そうしたシチュエーションではそれなりに緊張感を持っていて、「いつ運転を戻されても対応できる」のだが、おそらく日常的に自動運転を使うようになると、そういうわけにもいかないだろう。
すっかり機械に任せるという気持ちになっているときに、マシンから人間へ運転を戻されてもドギマギしないような心持ちであることも、自動運転時代には求められるのだろうし、そのためにクルマと人間で周辺情報を共有するなど、スムースな受け渡しができるようなUIなりが必要になってくるのかもしれない。
たとえばステアリングの色やカタチが変わることで自動運転とマニュアル運転の切り替えを直感的に伝えるようなアイデアも生まれてくるだろう。そんなことを考えるキッカケとなった「アイサイト・ツーリングアシスト」の公道試乗。メーカーは運転支援システムと呼んでいるが、その完成度の高さは自動運転社会を体験できる機能と言っても過言ではない。
(文:山本晋也)
運転支援、実際にどこまで使える? スバル「ツーリングアシスト」を検証
もくじ
どんなクルマ?
ー Ver.3から「ツーリングアシスト」へ
どんな感じ?
ー ツーリングアシスト 何をする? 仕組みは?
ー スバル含む「運転アシスト」の実際
「買い」か?
ー AEBS/LKA/ACC 基本性能のひとつ
どんなクルマ?
Ver.3から「ツーリングアシスト」へ
「自動運転化技術」でも「準自動運転」でも要するに「運転支援」の言い換えでしかない。「自動運転」の文言を絡めたほうが先進的に思われる程度の違いである。
スバルがバージョン3の発展型としてレヴォーグとWRXに展開したアイサイトの最新仕様がアイサイト・ツーリングアシストだ。
名称からして「運転支援」としているのはスバルの見識あるいは良識の表れでもあり、バージョン3からツーリング・アシストへの進化は今求められている運転支援の高度化の具体的な例のひとつ。
「自動運転化技術」や「準自動運転」等々の言葉遊びをしても詮ないが、そういった諸々の運転支援技術のフロントランナーのひとつである
どんな感じ?
ツーリングアシスト 何をする? 仕組みは?
先ずはアイサイトのお温習いから。アイサイトの特徴はステレオカメラのみで障害物や前走車との距離や速度差を検出しているのが特徴。視差による立体認識であり、3Dテレビも同じ理屈だ。
カメラ(対物レンズ)間距離に測距精度が比例するため、ミリ波レーダー式と比較すると長距離(高速)の対応性に劣るのが欠点だが、歩行者などレーダーで検出が難しい障害物も検知できるのが特徴。
レーダー式AEBS(衝突回避被害軽減緊急自動制動機能)がステレオカメラを併用するのは歩行者にも対応するためである。
アイサイトはカメラの画像解像度向上やカラー化等のハードウェアの進化とともに衝突回避性能等の機能向上を図り、バージョン3では自動操舵によるLKA(車線維持支援)も加わった。ツーリングアシストはLKAの車線維持能力を高めて、ACC(追従型定速走行装置)同様に全車速型としたのが一番の特徴だ。
バージョン3と最も異なるのは前走車の走行軌跡を車線判定に組み込んだことだ。車道外側線/車線境界線等区分線の認識が難しい状況でも追従走行中は前走車の走行軌跡に準じて自車の走行ラインを制御する。
手放し運転御法度は他のシステム同様だが、側道工事中等々で車線が曖昧な状況の高速道路くらいならステアリングに手を添えているくらいで、前走車に追随して車線を維持してくれる。区分線の認識力も向上したこともあって、以前なら「この程度でギブアップ?」という状況でもLKAが作動維持。実践力は大幅に高まっている。
ただし、バージョン3にはなかった注意も必要だ。
スバル含む「運転アシスト」の実際
追従走行中に分岐路等で前走車が車線から離脱するとそれに付いていこうとすることもある。主線からの分岐で区分線がブロック状になり、区分線の認識が曖昧になると前走車軌跡参考のウェイトが大きくなるため。
このような状況ではドライバーが進行車線側に舵を保持しなければならない。もっとも、その保舵力はそう大きなものではない。
こう書き出すとアイサイト・ツーリングアシストの運転支援能力に懐疑的になるかもしれないが、誤認識や認識力の限界の問題は同システムに限ったことではない。
他社のシステムでも区分線の状態が悪ければすぐに機能解除されるものもあれば、白壁を白線と誤認識したこともあった。付け加えるなら国産車の同系システムでは首都高レベルのコーナーでは法定制限速度を守って、車線維持が何とか可能な程度。
首都高の実際の流れは法定制限速度を多少上回るのでドライバーによる操舵は必須。これも共通する。ACCとLKAを作動させれば無頓着に過ごせるようなシステムはないと考えたほうが無難だ。
そういった状況の中でアイサイト・ツーリングアシストは高い運転支援能力を持ったシステムである。何故なら多くの状況下でACCとLKAが正常に機能。ACCをキャンセルした状態でも区分線を認識したLKAは機能し、試乗中の多くの時間でツーリングアシストの世話になり、それがレヴォーグのツーリング性能向上の一助になるのは間違いない。
「買い」か?
AEBS/LKA/ACC 基本性能のひとつ
AEBSと半自動操舵型LKA、全車速ACCはクルマの基本性能のひとつと考えるべき。従って、アイサイトがツーリングアシストに実践的機能面で進化したのは総論では無条件に評価して構わない。
このMCでは車体にも改良が加えられ、静粛性や乗り心地の改善が図られている。中でもブッシュ類等がもたらす微小な動きからサスストロークへの連続性を高めた乗り心地はしっとりとした味わいを乗り心地に与え、走りの質感を向上させている。
こういった走りの改良も含めてレヴォーグ(WRX)はツーリングカーとしての資質を向上。アイサイトがバージョン3からツーリングアシストへの進化はレヴォーグのコンセプトにまったく合致したものと考えていい。
高回転の切れも配慮した実用型との折衷案的ターボの採用などスバル・ファン向けの印象も強いレヴォーグだが、日常から長距離まで安心とストレスフリーの走りに向けた性能と機能の造り込みは一般的なユーザーにとっても大きな価値があるモデルである。
新型スバルXVは4WDにアイサイト&歩行者保護エアバック装備の充実仕様。それでいて値段も「お見事」!?
新型スバルXVは、先代に続いてインプレッサをベースにした都市型SUVとして登場。スポーティカジュアルを略した「スポカジ」のコンセプトは揺るぐことなく、次世代型のスバルグローバルプラットホーム「SGP」を採用して基本性能を向上させてきました。
ボディ形状は、4ドアハッチバック一本。地上高200mmを持たせて悪路走破性能を確保するとともに、フェンダー等を樹脂モールで被い、ワイルドなスタイルとプロテクト機能を両立。更にパステル系のボディカラーによって、カジュアルなセンスを融合しています。
水平対向4気筒エンジンは、1.6Lと直噴化した2Lの2種類があり、共にCVTと4WDを組み合わせています。特徴的なのがJC08モード燃費で、1.6Lエンジンの16.2km/lより2Lの方が0.2km/lほど優れています。この逆転現象は、2Lの直噴化による進化がもたらしているといえるでしょう。
また悪路走破性能の更なる向上のために、フォレスター等が採用している本格4WD制御システム「Xモード」を1.6L廉価版を除いて搭載。スバルは、新型XVに4WD技術を惜しげなく投入しているのです。
新型スバルXVは、4WDに加えて運転支援システムと安全装備も充実しています。全車に、独創の2眼カメラ式運転支援システム「アイサイトver.3」とフロントガラスの根元で車外に展開する「歩行者保護エアバック」を標準装備しました。
新型スバルXVは、価格もリーズナブルで約214万~約268万円に設定。街中中心なら充分な装備の「1.6i-L アイサイト」がオススメ。ロングドライブや乗車積載の機会が多ければ、2L の「2.0i-L アイサイト」がパワー・燃費・装備面でバランスしていると思います。
最近日本車には価格上昇傾向が見られますが、この装備と機能をこの価格で提供するスバルの経営判断は、本当に素晴らしいと思います。
(星崎 俊浩)
マツダ、スバル車は1年で新型に!? 「年次改良」の理由と事情
最近は車のモデルチェンジサイクルが長くなり、次の新型車を投入するまで5、6年。長ければ10年近く同じモデルが売られるケースもある。いっぽう、細かい改良は、1年に1回ペースで行われるなど頻繁化。「細かい改良」と書いたがそれはあくまで「比較的」という話で、走行性能やフロントマスクがガラリと変わったり、魅力的なグレードが追加されるケースも珍しくない。特に近年、そうした「変更」に熱心な傾向が顕著なのが、マツダやスバルだ。
特に根強いファンが多いマツダとスバル。この2メーカーが改良に熱心なのは何か理由がありそうだが……。本企画で探ります。
文:渡辺陽一郎/写真:編集部
新型登場直前に年次改良をおこなうケースも
最近のマツダやスバルは、年次改良を頻繁に行う。その目的は当然の話だが商品力を着実に高めることだ。安全装備などを常に刷新すれば、ユーザーにとって魅力を高めるから売れゆきも下がりにくい。
特にスバルは以前から、モデル末期の車種にも改良を施している。現行インプレッサは2016年10月に発売されたが、先代インプレッサスポーツハイブリッドは、2015年7月に発売されている。つまり、新型の発売を約1年後に控えた時期にハイブリッドを追加した。
これは、最後まで現行型を大切に売る姿勢として注目される。しかも装備の違いを補正したハイブリッドの実質価格は約14万円と安く、ユーザーメリットの伴う設定だった。
マツダやスバルが頻繁に年次改良をおこなうワケ
これらの年次改良を行う背景にはふたつの事情がある。まずはマツダやスバルが、頻繁な改良をしないと生き残れないことだ。
車種数が少ないために、1車種の売れゆきが国内の収益を大きく左右する。開発を緩めて販売台数を落とすことはできない。
ふたつ目の理由は、車種の数が少ないためにエンジンやプラットフォームの種類もかぎられ、新しい機能や装備を水平展開しやすいことだ。
例えば走行安定性と乗り心地を向上させるマツダの『Gベクタリングコントロール』は、2016年7月の改良でアクセラに搭載された。この機能が同年8月にアテンザ、11月にはデミオとCX-3という具合に、年次改良の機会で搭載車を増やしている。
スバルは2017年7月にレヴォーグの改良を発表して(発売は8月)、『アイサイトツーリングアシスト』を装着した。
これもさほど時間を置かず、インプレッサやWRX S4に採用される。基本は同じシステムだから応用できるのだ。アイサイトツーリングアシストが装着されたインプレッサが欲しいユーザーは、少しの待ち時間で購入できる。
知らぬ間に変わっている!? 頻繁な改良には難しい側面も
しかし、頻繁な改良はすでに購入したユーザーから見ると愉快ではない。購入直後に改良されたら、愛車が古く感じられて魅力が薄れる。これはアイサイトツーリングアシストのような装備だけでなく、足回りの設定などにも当てはまる。
例えばWRX S4は、2015年6月に乗り心地の改善を目的に足回りの設定を変えた。これによりノーマルサスペンションを備えた2.0GTアイサイトは、下り坂で制動を強いられた時などに、後輪の接地性が少し低下した。そこを2017年7月の改良で直している。
開発者は「ノーマルサスペンション装着車は乗り心地に少し振りすぎたので、改めて調整した」という。
また、トヨタの話だが、2017年6月にマイナーチェンジされたハリアーを試乗すると、以前から設定のあった2Lエンジン車やハイブリッドについても足回りの設定が変わっていたのだった。
発売時点ではハンドルを切った時に少し唐突にボディが傾いて安定不足を感じたが、現行型では改良されている。
そのことを開発者に尋ねると、
「今回の改良では足回りに手を入れていない」という。そこで走りに違いがあったことを告げると「実は発売時点では充分に煮詰め切れなかった部分があり、発売後の最初の改良(2015年6月)で手を加えた。ただし、発売直後に購入されたお客様に申し訳ないので発表は控えた」
と返答された。この開発者は頻繁な改良は商品力を高く保つうえで不可欠だが、すでに購入したユーザーには辛く受け取られることを認識していた。
多くのユーザーが満足するために「2年間は改良不要に」
好ましいのは入念な開発を行って万全な状態で発売することだ。そして少なくとも2年間は改良をせずにすむようにする。この開発を確立すれば、唐突な改良もなくユーザーの心証を害さない。
ちなみに、昭和時代の日本車では、排出ガス規制の対応に追われた時期を除くと、フルモデルチェンジは4年ごと、その間にマイナーチェンジを挟むサイクルが定着していた。
ユーザーや販売店もそれを知っていたから、新車を買おうとした時に適切な購入時期を選べた。この話題にかぎらず、昔の商品開発や売り方から学ぶべきことは多いと思う。
【新聞ウォッチ】肩身が狭いディーゼル車…スバルは2020年めどに撤退、ホンダも段階的に縮小
気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2017年9月8日付
●ジャガー全車種2020年以降電動に(読売・8面)
●自動車総連会長高倉氏が内定(読売・8面)
●マイカー観光課金検討、渋滞軽減へ、鎌倉・京都で実験(読売・29面)
●自動運転、拠点は道の駅、中山間地域活用探る(朝日・8面)
●ホンダモンキー、ヤマハSR400さらば名車、二輪離れ規制も打撃(毎日・7面)
●スバル、ディーゼル撤退(毎日・7面)
●スバル軽自動車62万台リコール(毎日・27面)
●日産はSUVリコール2.7万台(毎日・27面)
●宅配中なら路駐OK、トラック集配働き方改革(東京・7面)
●「辞めたくないけど一区切り」伊達選手引退会見(東京・26面)
●ホンダ、ディーゼル縮小、欧州規制対応、EVに軸足(日経・1面)
●日本電産がEVモーター、中核部品参入、19年にも中国生産(日経・13面)
●トヨタ、米でハリケーン被災者支援、生産方式の社会貢献訴え(日経・15面)
ひとくちコメント
排ガス規制の強化など自動車産業をめぐる市場環境が急激に様変わりしている中、軽油の燃料で走るディーゼルエンジン車が肩身の狭い思いをしている。
SUBARU(スバル)が、ディーゼル車の販売から撤退する方針を固めたほか、ホンダもディーセル車の販売を段階的に縮小するという。
9月7日の夕刊で日経が「スバル、ディーゼル撤退」と報じたのに次いで、きょうの各紙も取り上げている。それによると、スバルは日本国内でディーゼル車を販売していないが、海外ではスポーツ用多目的車(SUV)の『フォレスター』や『アウトバック』にディーゼル車を設定。
現在、欧州と豪州で販売しているが、2020年度をめどに販売を打ち切るほか、次期モデルについても開発を中止するという。撤退の背景には、ガソリン車の燃費性能改善や電気自動車(EV)の開発に経営資源を集中するためとみられる。
さらに、ホンダも欧州でディーセルのSUV車の製造・販売を止めると、きょうの日経が報じている。三菱自動車も今秋にも発売するSUV『エクリプス・クロス』のディーゼル車の国内販売を延期するとの一部報道も伝えられている。
一方で、英ジャガー・ランドローバーが、2020年以降に発売するすべての車種をEVなどの電動車両にすると発表。ジャガーやランドローバーの全ての車種にEVやプラグインハイブリッド車(PHV)、ハイブリッド車(HV)のいずれかを設定する方針だが、ガソリン車やディーゼル車の販売をやめるかは明らかにしていないようだ。
「EV開発」を加速! スバルが2020年をめどにディーゼルエンジン車から撤退
スバルが2020年度を目処に、ディーゼルエンジン車の製造・販売を中止する方針を固めたそうです。
同社は日本国内ではディーゼルエンジン車を販売していませんが、SUV「アウトバック」「フォレスター」のディーゼル車を群馬県の工場から欧州、豪州へ輸出しており、年間約1.5万台(世界販売の約1.5%)を販売。
一方で、フランスやイギリスが大気汚染対策で2040年以降、ディーゼル車やガソリン車の販売を禁止する方針を打ち出すなど、各国で環境規制を強化する動きが広がっています。
そうしたなか、スバルは欧州の環境規制強化に対応する新型エンジンの開発は負担が大きいと判断。今後はEVなど電動車開発に資源を集中するそうです。
日経新聞によると、「自動運転」や「コネクテッドカー」など次世代技術の研究開発費が嵩むなか、中堅メーカーが全方位で技術開発を続けることが難しくなっており、電動化対応が避けられない状況といいます。
ボルボも2019年以降に発売する全ての車種をEVなどの電動車に切り替えると発表しており、マツダも8月にトヨタ自動車とのEV共同開発を発表したばかり。
スバルは今後、PHVやEVの開発を強化、2018年に米国でPHVを、2021年にEVを発売する計画のようです。
(Avanti Yasunori・画像:SUBARU)
新型スバルXVに宿る、スバル開発陣の自信と良心とは!?
このところスバルのグローバル販売は絶好調で、中でもアウトバック、フォレスターそしてXVのSUVシリーズが大人気。何しろこの3車種だけで、スバルのグローバル販売の約8割を占めるほどの活況となっています。
またXVは、もともとインプレッサから派生した都市型SUVですが、グローバルではインプレッサを越えてシリーズの約6割を販売。新型スバルXV・開発責任者の井上PGM(プロジェクトゼネラルマネージャー)も「新型XVが”本丸”のつもりで開発した。」と力強くコメントしています。
また他社の都市型SUVは、ベース車の車高を上げただけのお洒落SUVが多い傾向にあります。同じ都市型SUVでも、XVのユーザーはアウトドア等で相当な悪路にも乗り入れて使っており、スバルならではのタフな走破性能を高く評価しているとのこと。
そこで新型XVでは、新世代プラットフォーム「SGP」で走行性能をアップしたインプレッサ4WDをベースにして、街中での走りに磨きをかけるとともに、フォレスターで実績のある本格4WD制御システム「Xモード」を主要グレードに搭載して、更なる走行安全性と悪路走破性を実現しました。
また新型XVでは、営業サイドから「多くの人にXVを試して貰えるように、リーズナブルな1.6L仕様を出すべき!」という提案がありましたが、開発陣は1.6Lエンジンの搭載にはパワー面で懸念を抱いていました。
そこで実際に1.6Lの試作車を走らせて、軽量なSGPと新開発1.6Lエンジンが必要十分な性能をもたらすを検証したとのこと。こうしてラインアップに加わった1.6Lのベースグレードは、4WDに加えてアイサイトと歩行者保護エアバックまで搭載して、消費税抜きで200万円未満を実現。井上PGMも「つくり手から見ると、これは安すぎますよ」とコメントするほどです。
スバルは、SGPを軸にしてパワーユニットや足回りだけでなく、アイサイトや歩行者保護エアバッグ等の付加機器も徹底共有することで、”高性能”と”多品種”と”低価格”を高次元で実現する戦略を推進しています。新型XVにも、スバルの自信と良心がギッシリ詰まっていると実感した次第です。
スバルのデザインポリシーを表現する新型XVの「3種の神器」とは?
新型スバルXVのデザインの前に、スバルのデザイン戦略について触れたいと思います。スバルではユーザーの人生が豊かになる「ライフスタイルデザイン」と、長く使いたくなる「ロングライフデザイン」の2つの価値軸をデザインポリシーとして設定しています。
「ライフスタイルデザイン」とは、見て、触れて、乗りこんで、走って、使って、その都度ワクワクできるデザインのことで、キーワードは「ファン・アドベンチャー」。また「ロングライフデザイン」とは、長くパートナーとして使ってもらえるような、本質や普遍性に少し流行を少しかぶせたデザインで、「不易と流行」という言葉で表現しています。
何やら抽象的な話ですが、クルマのデザインは人が創造しますから、こういうポリシーが精神的支柱となって現実の造形に大きく反映されてきます。そしてスバルでは、この2つの価値軸を実現する方法として、デザインフィロソフィーに「ダイナミック×ソリッド」を掲げ、車種によって割合をかえることで「スバルらしさ」と「車種らしさ」を両立しているのです。
XVの「ダイナミック×ソリッド」の割合について見てみると、先代が「6:4」だったところを、新型XVでは「7:3」に変更して、デザインをダイナミックな方向へ振ってきました。
更にスバルでは、個性を明快に表現するために、車種毎のデザインテーマを設定しています。新型XVでは、先代に引き続いて「スポカジ(スポーティカジュアル)」を継承。ポイントは「?タフ&ラギッドなバンパーやクラッヂング」「?車高を上げて大口径タイヤを履かせたスタンス」「?ユニークなホイールとボディカラー」の3つ。デザイン陣は、これらXVらしさを「3種の神器」と呼んで、更に磨きをかけてきました。
特に3つ目のカラーリングでは、メタリックやパール全盛の中、XVはソリッドカラーにこだわってきました。先代では「デザートカーキ」の評価が高かったことから、新型では新色の「クールグレーカーキ」と「サンシャインオレンジ」をラインナップ。一見パステル調のソリッドカラーが、SUVのXVらしさを一層強調するから不思議で、XVの強い個性となっています。
(星崎 俊浩)
【試乗】「アイサイト」最新版は首都高をどう走る? スバル「レヴォーグ」で見るその実力(画像31枚)
「アイサイト・ツーリングアシスト」搭載「レヴォーグ」でいざ首都高へ
スバルが推進する安全技術「アイサイト」。その最も進化した制御である「アイサイト・ツーリングアシスト」の試乗会が2017年9月上旬、開催されました。しかもそのステージとなったのは、東京の交通血脈といえる首都高速。東京タワーのふもとである「芝公園」から湾岸線へ抜け幕張方面へと向かい、再び芝公園へ戻ってくるという推奨ルートでこれを試すことができました。
通常、私たちモータージャーナリストが車両の特性を確かめる場合、そのほとんどが交通量の少ない道や、ときにはサーキットといったクローズドエリアで試乗を行います。それがよりによって最も混雑が予想されるお昼時の首都高速で行われた理由は、もうおわかりだと思いますが「アイサイト・バージョン3」から進化した「ツーリングアシスト」の技術を確認するためです。
ちなみに筆者(山田弘樹:モータージャーナリスト)はくじ運が良く、当日の試乗車は人気車種「レヴォーグ」の、最もベーシックなモデル「レヴォーグ 1.6GT EyeSight」(282万9600円、税込)となりました。
なぜこれの「くじ運が良い」のかといえば、それはまず、こうした運転支援技術の善し悪しというものが、土台の良さなくしては成り立たないからです。いくら制御技術が細かく発達しても、ベースとなるクルマの動きが悪ければ、快適には走れません。
そしてこれを確かめるには、タイヤサイズも小さく(17インチ)、足回りのパーツなどが最もシンプルなベーシックグレードが、一番良いと筆者は考えていました。
「リアルワールド」ではどのように機能する?
また、「アイサイト」のような運転支援技術は他社になると、もうひとつ「コスト」という要件が加わります。安全をうたいながらもまだ豪華装備的な側面もあるACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール機能)は、カスタマーの予算次第で選ばれないこともあります。
そうした際に、最もベーシックなモデルを選ぶことで快適装備を省きながらも、こうした安全装備を充実させる方がよいのか、という迷いは、消費者ならばこれから増えていく選択だと思われます。しかしスバルは、この「アイサイト」を、今回試乗車として選んだ「レヴォーグ」と「WRX S4」で全車標準とし、他車種でもこれを拡大しています。
さて本題に戻すと、このスバル「レヴォーグ1.6GT」と「アイサイト・ツーリングアシスト」の組み合わせは非常に興味深いものでした。芝公園から湾岸線へ流れるC1環状は思いのほか交通が流れており、ここを法定速度(50km/h)で自律運転的に走らせるのは非常に難しいのです。
筆者は以前テストコースで「アイサイト」の前車追従機能と操舵制御を試した経験があり、かなり深いR(回転半径)のコーナーまで操舵が追従することを確認していますが、いざスバルのいう「リアルワールド」に乗り込むと、そのアシスト機能が途中で切れることもしばしばでした(このときアラームが鳴り制御がオフとなります)。
また湾岸線へ合流する中速カーブや、台場からの長く緩やかな下りカーブでのライントレース性もまだ甘め。もう少し早い段階からゆっくりとハンドルを切り始めた方が、カーブで軌跡が膨らまないのにな…と感じました。
ただしこれは、スバルの意図的な制御だと考えます。
ブレーキ制御は上々、まるで上手なドライバー
というのも、この「アイサイト・ツーリングアシスト」は、文字通りドライバーへのアシスト機能なのです。欧州車はこの点で自動運転の未来を積極的に見据えているのか、カーブでのハンドル操作を積極的に行う傾向があります。ただその積極性は、ときに正しい走行ラインやハンドルおよびアクセル操作、つまりドライビングを“おしぎせ”する場合もあります。
そもそもレベル3以上の「自律運転」がまだ一般化していない現状で、首都高速のような曲がりくねったカーブはドライバー自身の手で運転するべきです。そしてその操作が疎かになった際に、修正を促してくるのはもっともなことだと思います。
カーブ中での所作でひとつ気になることがあるとすれば、制御がアクティブになっているときと、自分で走っているときの電動パワステの操舵力が異なる部分。個人的には制御が入っているときの高い抵抗感の方が、軽快感は薄れるものの安心感が高いと感じました。
「アイサイト・ツーリングアシスト」が真価を発揮したのは、高速巡航と渋滞でした。
法定速度80キロ下の、ほどよく混み合った状況にて制御をアクティブにすると、まず快適に感じられたのはそのブレーキ操作でした。ステレオカメラで認識した前車との車両間隔に対して、アイサイトはまるで上手なドライバーが運転しているかのように、低い制動Gを起こして事前に車間距離を調節しました。これは前車が減速したことをいち早く察知し、プレブレーキをかけているからできる減速です。
また渋滞で完全に止まるような場面でも、しっかりとしたブレーキをかけたあと、その制動Gを緩やかに抜いていきます。
「アイサイト」はCVT車でさらに真価を発揮か
完全停止から3秒以内であれば自動で発進も行います。加速の仕方もブレーキ同様に穏やかかつ緩慢すぎないもので、開発陣によるとこれはテストドライバーと共にキャリブレーションを取ったものとのことでした。さらに今後はそのステアリングにも、人の感覚に優しい制御を組み込んでいきたいと話をしていました。
正直、高速巡航時における前車との車間距離の取り方は、その制御を一番短いものにしても、リアルワールドでは「隙あらば割り込まれる距離感」でした。しかしこれは安全確保に大きく関わる問題で、速度域が高い欧州車ではコンサバに距離を取っています。逆に言うと追い越し以外を走行車線で走ればその距離感は適切であり、スピード調節やハンドルアシスト制御が非常に快適でした。
また「レヴォーグ」との相性としては、ハーフスロットルが主流となる日本の交通事情において、常に最適な出力領域で走ろうとするCVT(無段変速機)と「アイサイト・ツーリングアシスト」の親和性は高いと感じました。つまり、穏やかかつ快適に走れます。
改善の余地あるも買い時はいま?
慢性的に混み合う高速道路で、法定速度を遵守して粛々と走るのはストレスがたまるもの。前車との車間を微妙にツマ先で取らなくてはならない通常運航に対して、主にブレーキに注意しながら設定速度で走れるACCは、日本では特に今後の主流制御となっていくでしょう。
運転支援技術としては、「アイサイト」は非常に優秀です。それでも「リアルワールド」では、まだまだ改善の余地はあります。
そしてこれらはナビとの連携やインフラと大きく関わることなので、スバルの開発陣も「我々一社ではなく、各社が日本のシステムとして協力し合いながら構築して行ければ」と語っていました。
さてこうしたシステムを手に入れる上で、消費者的に悩むのはその「買い時」でしょう。
これについては自分も明確な答えを持っていませんが、いきなり全てが自動化する前、まだドライバーの操作が大きく主軸をしめる現状で、これを経験しておくのが一番なのではないかと思いました。そうすることで仮に遠くない将来、クルマの運転が自動化された状況でも、これに正しい倫理観を持って対応できると思うからです。
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富士重工 | 日記
Posted at
2017/09/09 00:50:17
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