2019年10月19日
なんか3ドアでも良くない?ってデザインになったよな~リヤ狭いんだろうな…
トヨタ・ヤリス、欧州/北米でどう評価されている? 国内ディーラー店員の反応は
なぜヴィッツ、4代目からヤリスに?
text:Kumiko Kato(加藤久美子)
10月16日に情報解禁となったトヨタの新しいコンパクトカー「新型トヨタ・ヤリス」。4代目にモデルチェンジをしたトヨタ・ヴィッツである。
トヨタからの発表によると、4代目となるヴィッツは、ヴィッツの名前を使用せず欧州をはじめとする海外と同様に、「ヤリス」の車名を使うことになった。
改名というか、もともとヤリスはヴィッツの海外車名である。ヴィッツは1999年に日本で発売開始となったが、その際、海外での名称はYaris(ヤリス)を使うことになった。
Vitz(ヴィッツ)の響きが欧米ではあまり好ましくないという理由で国内ではヴィッツ、海外ではヤリスを使用することになったのである。
10月15日に開催された報道関係者向けの発表会でトヨタの吉田守孝副社長は「ヤリス」に換えることを以下のように述べている。
「念願のWRC(FIA世界ラリー選手権)の日本開催、来年5月からすべての販売店での併売など、このクルマを取り巻く環境も大きく変わります」
「こうした大きな変化のなかで、TNGAで一新されたこのクルマを、新しいスタートを切るとの思いを込めて、名前をヤリスへと変更することにいたしました」
「今後、このヤリスとヤリス・ブランドを大切に育てていきたいと思います」
小さくても上質な良いクルマであることを目指し、まるきり新しい設計のクルマとしたこと。登場から20年という節目となること。
また、悲願のWRC国内開催が決定したこともWRCのイメージが強いヤリスという車名につなげたい思いもあったようだ。
世界販売台数は約33万台 7割が欧州
ヤリスは欧州市場で売れているクルマ、というイメージが強い。実際、欧州で一番売れているトヨタ車はヤリスだ。
トヨタ自動車の発表によると、2019年の上半期は欧州で12万3266台を販売し、モデル末期であるにも関わらず前年同期比は6.2%増。昨年に続いて前年同期の販売台数を上回っている。
2018年のヤリス世界販売台数は約33万台でそのうち7割が欧州での販売となる。コンパクトカー激戦区の欧州においても高い評価を得ているのだ。
一方、北米ではどうだろうか?
北米は欧州に比べて日本車そのものが非常に強い市場で、乗用車/SUVではトップ10の常連もほとんど日本車である。
トヨタブランドで人気と言えば、RAV4、カムリ、カローラなど。2017年も2018年も、トヨタRAV4が乗用車/SUVカテゴリーで堂々1位となっている。販売台数はいずれも40万台超。
そして、アメリカ(北米/南米)でもヤリスは販売されている。しかし、欧州とも日本とも大きく違っていることがある、
それは現在、アメリカで販売されているヤリスはマツダ・デミオのOEMということだ。
北米 トヨタ・ヤリス=マツダ・デミオ
ヤリスは全世界で販売されるグローバルコンパクトカーだが、ヤリスの車名でも地域によって全く別のクルマが販売されているケースがある。
北米/南米においては、最新のヤリス=デミオ(マツダ2)である。
まず、北米では2003年から「トヨタ・エコー」(2ドアクーペ/4ドアセダン)の名前で初代トヨタ・ヴィッツのセダン版(=トヨタ・プラッツ)が販売されていた。
その後、2代目北米ヤリスからは「トヨタ・ヤリス」(4ドアセダン=トヨタ・ベルタ)として販売されている。2009年に「トヨタ・ヤリス5ドアハッチバック」(=ヴィッツ5ドア)を追加した。
3代目北米ヤリスのハッチバックも同様に日本のヴィッツの北米仕様として2019年1月まで販売。以降、北米における「4代目」ヤリスのハッチバックはマツダ2のOEM版が販売されている。
なお、マツダ2はアメリカでの販売はハッチバック、セダン共にナシ。
マツダは2014年1月から稼働している新工場(メキシコ合衆国グアナファト州サラマンカ市)でマツダ2を生産しているが、同時に同工場でサイオン(Scion)iAの生産も開始。
サイオンとは米国トヨタが2003年から展開していた「ジェネレーションY」をターゲットとする若者向けブランドである。
2016年にサイオンブランドが廃止されたことに伴い、2016年8月発売の2017年モデルから、車名をサイオンiA→トヨタ・ヤリスiAに改称し、さらに、2019年モデルからトヨタ・ヤリスセダンに改称している。
北米仕様のヤリスは、現在、ハッチバックは現行デミオ、セダンはデミオ・セダンとなっている。
デミオのセダンで日本では一般販売されていないが、2019年より自動車教習車として全国の教習所に導入が始まりつつある。
名前の変更 ディーラー店員の反応は?
さて、新型ヤリスの「現場」での評判はどうだろうか? 3代目までのヴィッツは「ネッツ店」のみの販売だった。いっぽう新型ヤリスに関しては、トヨタディーラー全店で販売される。
名前も取り扱い店も大きく変わることになるが、トヨタ車を販売するディーラーの営業マンたちはどのように思っているのだろうか?
「アグレッシブな顔つきと車名変更によって1代目、2代目までのヴィッツのように万人ウケするクルマとは言えないかなと思います」(神奈川県内ネッツ店)
「ヴィッツは軽自動車じゃ不安だけど、あまり大きなクルマは運転しにくい。そしてハイブリッドじゃなくても安くて燃費が良いクルマが欲しい、という女性ユーザーに支持されてきました」
「コロっとしたかわいらしいスタイルでも、女性ウケを重視するために可愛すぎないところが評価されていたと思います」
「走りに振ったスポーティなクルマが好きな女性も増えていますが、まだまだ少数派です。クルマに関しては保守的な方が多い。可愛いけど可愛すぎないクルマが支持されます」(長野県内ネッツ店)
「ヤリスは、世界ラリー選手権(WRC)に参戦してきました。ワールドラリーカー『ヤリスWRC』でも知られています」
「燃費が良く使い勝手の良いコンパクトカーという日本でのイメージとはだいぶ異なりますが、スポーティなイメージになったことで若い男性ユーザーを取り込めるのではないかと期待しています」
「うちでは、これまでヴィッツを扱っていませんでしたが新モデルから販売が可能となるので楽しみです」(愛知県内トヨペット店)
機能もスタイルもすべてが斬新な新型ヤリスは来週から開催される東京モーターショーでプロトタイプがお披露目される。
発売は2020年2月以降を予定している。
トヨタ新型「ヤリス」は黒豆だった? 後席空間を割り切ったトヨタの想いとは
■小ささへこだわったヤリスは、成熟した先進国向けに開発
「これは、KUROMAMEです」
「ヴィッツ」改め、トヨタ「ヤリス」のデザイナーは開口一番、そういいました。外観イメージを黒豆にした、というのです。
その真意は、ギュッと凝縮感があって、面に張りがあって、食べて(=乗って)も中身がぎっしり詰まっていて美味しい。
デザインキーワードは「B-Dash ! 」。大胆(BOLD)、活発(BRISK)、美(BEAUTY)と、それぞれの頭文字をとって、今にも走りだしそうな雰囲気を具現化しました。
開発主査はプレゼンの冒頭に「小ささのこだわり」について語りました。
確かに、最近の各メーカーのコンパクトカーと比べるとヤリスはかなり小さく見えます。ボディ後部が一気に絞り込まれていて、まるで3ドアハッチバックのような感じの5ドア車です。
実際の寸法は、全長3940mm(前モデル比-5mm)×全幅1695mm(前モデルと同じ)×全高1500mm(前モデルと同じ)ですが、フロントガラスとリアガラスが前モデルよりかなり傾斜がつけられています。
広報資料に目を通し各部門のプレゼンも聞いたところ、新車の説明でよく使われる「居住性」という言葉が一度も出てきませんでした。
トヨタの調べによると、日本でコンパクトカーと呼ばれるBセグメントのクルマは、ほとんどの場合1名乗車か2名乗車で使用される傾向にあるといいます。これは日本市場でも世界市場でも同じ傾向にあるそうです。
つまり、まず乗車することのない後席の居住性をある程度割り切っているのです。
ただし、若者が後席含めてフル乗車しても、車内で窮屈にならないように心掛けた、とのことです。一見すると後席が狭い印象を受けますが、「外から見るより、なかは広いのでビックリする」とデザイナーはいいます。
ちなみにこうした黒豆ヤリスですが、メーカーがカタログなどでイチオシとする訴求色は黒ではなく、赤とピンクです。
刺激的な新規開発色「コーラルクリスタルシャイン」と、歴代ヴィッツで培ったピンクを彷彿させる、こちらも新規開発色「アイスピンクメタリック」を、2枚看板としてプッシュしています。
カラーに対するキーワードは、「ジェイ・ファッシネーティング」。「日本文化の独創性と遊び心を活かしたアクティブかつ上質さ」を狙ったといいます。
■インドでスズキから学んだ失敗体験も踏まえたヤリスの世界戦略
新型ヤリスは、先代モデルに比べて全長のみ5mm短くなっているだけですが、実際に見るともっと小さい印象を受けます。普通、デザインで実際の寸法より大きく見せることが多いのですが、新型ヤリスは逆に小さく見せているのはなぜでしょうか。
新型ヤリスの発表の際に、Aセグメントなどより小さいクルマについては、トヨタのグループ企業であるダイハツが主体となり日本を含めた世界市場向けに開発すると説明しています。さらにBセグメント以上は、ダイハツからの知見を得てトヨタが主体となる、としています。
そのうえで、世界的なトレンドとして、Bセグメントのボディサイズは大型化する傾向にあり、カローラやフォルクスワーゲンゴルフが属するCセグメントに近くなるような流れがあるなか、「あえて、ヤリスはコンパクトなイメージを追求した」と主張するのです。
こうした小ささのこだわりについて、筆者(桃田健史)はインドなど新興国向けのAセグメント車「エティオス」で、トヨタが味わった苦い経験が影響しているのではないかと考えます。
エティオスは2011年に発売された、高級路線を狙ったAセグメントのクルマだったのですが、結局は中途半端に車両価格が高いクルマとなってしまったことが原因で、トヨタが重要視していたインド市場でスズキに惨敗してしまいました。
インド現地でトヨタのインド法人の社長(当時)から、インド市場開拓の難しさとスズキの商品と事業戦略のすごさに関して筆者は聞いたことがあります。
このときのエティオスによる苦い経験が、トヨタとスズキによるインド国内でのEV事業の協業を生み、その後、2社の事業連携が強化されたのです。
新型ヤリスの発表会では、世界の自動車市場のシェアについても言及がありました。
初代ヴィッツが発表された1999年は先進国が75.8%、新興国が24.2%だったのに対して、20年後の2019年には先進国が43.5%、新興国が56.5%となり大きく先進国を追い抜きました。
こうした情勢を踏まえ、AセグメントやBセグメントなどのコンパクトカーの在り方が大きく変わってきています。
トヨタとしては、新興国向けのAセグメントはダイハツとスズキに任せ、これまでのBセグメントの考え方を大きく変える必要があったため、トレンドとは相反する小さくても中身が凝縮した黒豆ヤリスという発想にいたったのではないでしょうか。
ヴィッツあたらめ、日本でも世界市場と同じヤリスという名に変わったことには大きな意味があるのです。
これが次期「ヴィッツ」! トヨタが新型「ヤリス」をワールドプレミア
日本での発売は2020年の2月中旬
トヨタは、新型車ヤリスを世界初公開した。日本での発売は2020年2月中旬を予定している。なおヤリスは、東京モーターショー期間中、お台場のヴィーナスフォートに展示するほか、10月末から12月にかけ、全国各地で展示予定となっている。
新型ヤリスは今後トヨタの先進国向けコンパクトカーのベースとなるTNGAプラットフォーム(GA-B)を初採用したほか、エンジン、ハイブリッドシステム、トランスミッション、サスペンションなど、すべてをゼロベースから作り上げた、新世代コンパクトカーとなっている。軽量かつ高剛性、低重心なボディに加え、新開発「直列3気筒1.5Lダイナミックフォースエンジン」に対し、Direct Shift-CVT、新世代ハイブリッドシステム、6速マニュアル、改良を加えた1.0Lエンジンには 小型軽量化したCVTと、4種類のパワートレーンを用意し、軽快かつ上質な乗り心地と、スムースでダイレクトな加速を実現。軽快で走る楽しさを感じられるようになった。
また、トヨタのコンパクトカーとして初めて、E-Four(電気式4WDシステム)を設定。さらに、ハンドルだけでなく、アクセルやブレーキも制御する高度駐車支援システム「アドバンスドパーク(トヨタ初)」や、交差点右折時の対向直進車・右左折後の横断歩行者も検知対象とした最新の「トヨタセーフティーセンス(標準装備)」、二次衝突による被害の軽減に寄与する「セカンダリーコリジョンブレーキ」、誰でも楽に乗り降りできる「ターンチルトシート(トヨタ初)」、スマートフォンとの連携ができる「ディスプレイオーディオ(全車標準装備)」など、先進的な機能をいち早く採用した。さらに、アクセサリーコンセント(1,500W)をハイブリッド車にオプション設定し、家庭用と同じコンセントを通じて電化製品を使用できるほか、停電などの非常時には発電機として使用できるようになっている。
エクステリアのデザインコンセプトは弾丸のようにダッシュするイメージで、いまにも走り出しそうな外形デザインを目指している。そして、徹底的にムダをそぎ落したキャビンと、ボディ中心から前後タイヤに向かう引き締まった造形となっている。また、シャープな印象のヘッドランプで精悍な顔つきを表現し、リヤは一体的に造形したウィンドウとコンビネーションランプが新しい3次元的なグラフィックとなった。
そしてインテリアでは、広さと快適さを確保し、運転に集中できる空間を表現。全車標準装備されたディスプレイオーディオ(DA)の上方配置されたヘッドアップディスプレイ(HUD)の採用により、ドライバーの目線移動を低減する「Eyes On The Roadコンセプト」を採用、インパネ断面を薄くしてワイドな印象を付与したほか、ステアリングホイールを従来より小径化することで、室内をより広く、スポーティーな印象を持たせた。また、フードレス双眼デジタルTFTメーター(トヨタ初)や、ソフトインストルメントパネルを採用したほか、コンソールの幅を広くし収納スペースを拡充するなど、ワンクラス上の室内空間を目指している。
ヤリスティザーサイト
https://toyota.jp/new-yaris/index_a.html
VIDEO
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【徹底解説】新型 トヨタ ヤリスってどんな車?グレードや外装・内装、カラーバリエーションや装備…販売時期は?
トヨタが世界で販売しているコンパクトハッチバック「ヤリス」の新型が発表されました。この記事では過去のヤリスの歴史を振り返ると共に、新型ヤリスの注目ポイントなどをご紹介していきます。文・西川昇吾
ヴィッツからヤリスに車名変更になった?販売時期は?
まず「ヤリス」という車種名を聞いて「?」となる人もいるかもしれません。ヤリスは国内で販売されている「ヴィッツ」の海外仕様の車種名です。基本的に同一車種であるヴィッツとヤリス。今回のフルモデルチェンジで、国内モデルもヤリスという車種名が使われるようになり、全世界で車種名が統一されることとなりました。
ヤリスは1999年に初代が国内外で販売された事実上スターレットの後継となるコンパクトハッチバックカーで、今回のフルモデルチェンジで4代目となります。国内はもちろん、ヨーロッパ市場でも高い評価を受けているヤリスは、コンパクトハッチバック市場に影響を与えた1台とも言われています。トヨタから販売されている新型ヤリスの販売開始は2020年2月中旬予定です。(4WDのガソリンモデルは2020年4月予定)
ヤリスはラリーなどでも活躍するクルマ
ヤリスはエントリーカーながら、様々なモータースポーツで活躍を見せています。近年はヤリスをベースにしたワールドラリーカー「トヨタ・ヤリスWRC」で参戦する、世界ラリー選手権(WRC)での活躍が目覚ましく、2017年シーズンからの参戦ながら翌2018年シーズンにマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得しています。
また、エントリーモデルゆえの車両価格の安さや、各種パーツの安さなどから入門カテゴリーでもベース車両として使用されるケースも多いです。2000年から国内で始まったワンメイクレース(同一車種でのレース)では、日本初のナンバー付きレースとしてスタートし、ユーザーのモータースポーツ参加の敷居を下げた人気の参加型カテゴリーとなり、現在でも日本各地のサーキットで開催されています。このレースが人気となったことで、他メーカーもナンバー付きの車両によるワンメイクレースを開催するようになりました。
国内ラリーでもベース車両として人気が高く、全日本ラリーでもCVTモデルの参戦や、TGRラリーチャレンジでは専用クラスが存在するほど。それだけモータースポーツの「素材」としても愛されているのです。
ヤリスのグレードとエンジンの種類
新型ヤリスのパワートレインは1.0リッターガソリンモデル、1.5リッターガソリンモデル、1.5リッターハイブリットモデルの3本が基本となり、それぞれのパワートレインにX・G・Zの3グレードが用意されます。(1.0ガソリンモデルはX・M package・Gの3つ)さらに1.5リッターガソリンモデルには6速マニュアルや4WDも用意され、1.5リッターハイブリットモデルには電気式4WDシステム「E-Four」が用意されます。
注目なのは新開発の1.5リッターエンジン。今回のフルモデルチェンジから1.5リッターモデルも3気筒となり、初めて全グレード(現在発表されている限り)3気筒となりました。3気筒へ変更となったこともあり、ロングストローク化され、バルブ挟角拡大や高速燃焼技術が採用され低燃費と高出力の両立を実現しました。
外装とカラーバリエーション
外装デザインは歴代ヤリスに感じられる「優しさ」に対して「力強さ」や「シャープさ」を感じるデザインとなっており、ムダをそぎ落として引き締まった印象を受けます。
カラーバリエーションは新色2色を含む全12色となっており、ルーフ部分がブラックもしくはホワイトとなるツートンカラーは6色となります。全ボディカラーは以下の通り。
・コーラルクリスタルシャイン
・アイスピンクメタリック
・サーモテクトライムグリーン
・シアンメタリック
・ダークブルーマイカメタリック
・センシュアルレッドマイカ
・ボルドーマイカメタリック
・ブラック
・アバンギャルドブロンズメタリック
・シルバーメタリック
・ホワイトパールクリスタルシャイン
・スーパーホワイトII
・ブラック×コーラルクリスタルシャイン
・ブラック×アイスピンクメタリック
・ブラック×シアンメタリック
・ブラック×アバンギャルドブロンズメタリック
・ホワイト×センシュアルレッドマイカ
・ホワイト×ブラック
ファブリックや合成皮革、グレードで選べる内装
内装デザインはインパネ周りを薄くして、コンパクトカーながら広く感じる室内空間となったほか、小径ステアリングやフードレス双眼デジタルTFTメーター、さらにエントリーカーながらヘッドアップディスプレイを全車に標準装備で採用しており、ドライバーがより運転に集中しやすい環境となっています。またエントリーカーながらソフトインストルメントパネルを採用しており、上質な室内空間を期待させます。
そしてもっとも内装で注目すべき点はトヨタ車初の装備となる「イージーリターンシート」の採用です。これはシートの前後位置を記憶しておくというもので、降車時にシートを後ろに下げて降車しても、再乗車時に記憶した位置までシートを簡単に戻せるので、ドライビングポジションを合わせやすくなります。
ヤリスの走行性能や低燃費性について
今回のフルモデルチェンジでヤリスは主要コンポーネントを全て新設計しました。先にお伝えしたように、エンジンは新設計のものを採用したほか、トヨタラインナップの共用プラットホームであるTNGAのコンパクトカー向けのものを初採用し、トランスミッション(CVT)も新開発のものを投入しています。
コンパクトカー向けTNGAを採用することにより、従来型より車両重量50kg軽量化、剛性30%以上強化を実現。さらに重心高が15mm下がり、優れたハンドリングと軽快な走り、そして上質な乗り心地を実現しています。
新開発のエンジンと組み合わされた新世代1.5リッターハイブリットシステムとCVTにより、燃費は公表されていませんがハイブリッド車として世界最高レベルの燃費を手に入れました。
先進安全性について
近年装備の充実が目覚ましい先進安全技術。エントリーカーながら新型ヤリスはこのような点も抜かりありません。トヨタの最新予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を標準装備したほか、トヨタ車初採用となる高度駐車支援システム「Advanced Park」を標準装備しました。(M packageを除く)
また、トヨタ車での採用が進んでいるコネクテッドサービスも用意。従来のナビゲーションシステムもしくはスマートフォン連携が基本となるナビゲーションシステムのどちらかが選択できます。
新世代コンパクトカーのグローバルスタンダードへ
トヨタが力を入れて開発したのが見受けられる新型ヤリス。主要コンポーネントを新開発し、各種運転支援技術やコネクテッドサービスなどの先進技術がてんこ盛りのコンパクトエントリーカーは少し前では考えられませんでした。しかし、この新型ヤリスの登場は「今後のコンパクトエントリーカーに求められるもの」をトヨタが示した回答なのかもしれません。運転支援技術などの装備の充実もさることながら、「走る・曲がる・止まる」といった基本性能も大幅に向上した印象があり、走りへの期待感も高まります。販売開始となる来年2月中頃までが待ち遠しく、早く運転してみたい!そんな印象のニューモデルです。
【コンパクトカーの世界標準を変える!】ヴィッツ改め新型ヤリス 世界初公開!!
トヨタが、1999年にコンパクトカーの世界標準を作ろうと、総力を結集して開発した初代「ヴィッツ」。その登場から約20年が経った2019年10月16日に、すべてをブランニューした新世代コンパクトカーの新型車「ヤリス」が世界初公開された。
大型・中型・小型というヒエラルキーを壊したいという思いと、TNGAで一新されたこのクルマで、新しいスタートを切るという思いを込めて車名を「ヤリス」へと変更したとのことだ。
ヤリスは、国内発表が2019年12月中旬、発売開始は2020年2月中旬を予定。東京モータショーの期間中は、お台場のヴィーナスフォートに展示(10月23日~11月4日)するほか、10月末から12月にかけては、全国各地で展示される予定となっている。
文/ベストカーWeb編集部
写真/奥隅圭之、編集部
【画像ギャラリー】進化した新型車「ヤリス」の内外装を詳しく見る!
■TNGAプラットフォーム採用で走りを一新
世界初公開された新型車「ヤリス」。車名だけでなく旧型であるヴィッツとは、デザインもプラットフォームもすべて変わっている。生産は、トヨタ自動車東日本の岩手工場が担当する
ヤリスは、コンパクトカー向けTNGAプラットフォーム(GA-B)を採用する初めてのクルマとなる。ほかのコンパクトカーが大型化するなか、小さいことにこだわった。そのうえで、コンパクトらしいきびきびとしたハンドリング、コンパクトを超える上質な乗り心地を目指している。
高い車体剛性を追求し、骨格結合構造の最適化、高張力鋼板の使用範囲を拡大、さらにはシャシー部品およびサスペンション取り付け部を高剛性化。これによりボディのねじり剛性を30%以上向上、ロール角を大幅に低減させている。
コンパクトカー向けTNGAプラットフォーム「GA-B」。主要な骨格を連結させることで、クラストップレベルの剛性を実現
ボディサイズは全長3940×全幅1695×全高1500mm、ホイールベースは2550mm。車重はグレードによるが、ハイブリッドの量販モデルで1050kgとなっている。ハイブリッドの量販モデルでは従来比50kg、ガソリンモデルでは20~30kgの軽量化を実現した。
ヤリスとヴィッツのスペック比較
ライバルは、欧州ではポロやフィエスタ、国内ではフィットなどを意識。動かしたいように動くことを目指して開発したというシャシーには、開発陣のこだわりが多数採用されている。
また、コンパクトカーとしては初めてE-Four(電気式4WDシステム)が設定され、これで今まで取りこぼしていた雪国のユーザーもカバーすることになる。
コンパクトカーとしては初めて搭載されたE-Fourには、専用設計の2リンク・ダブルウィッシュボーンを採用している
■2Lの技術をベースに新開発したエンジンを採用
ヤリスのパワートレーンは、新開発の1.5L直3ダイナミックフォースエンジン(M15A)に、ダイレクトな加速を実現する新型CVTかiMT(6速MT)の組み合わせ。その1.5LエンジンにTHSIIを組み合わせて、力強くシームレスな走りを追求したハイブリッド。そして、改良を加えた1L直3エンジン(1KR)と、小型軽量化したCVTを組み合わせた3種類をラインナップしている。
グレード体系表。1.5Lガソリンエンジンには、iMT(6速MT)が設定される ※ガソリン車の4WDは2020年4月発売予定
1.5L直3ダイナミックフォースエンジンは、RAV4に搭載されている2L直4ダイナミックフォースエンジンをベースに3気筒化。
この1.5LエンジンにTHSIIを組み合わせた新世代ハイブリッドシステムは、システム出力・モーター出力の向上、リチウムイオンバッテリーの性能向上(出力50%、入力100%の向上)により、動力性能を15%以上向上させたうえ、リニアな加速性能を実現させている。
1.5L直3ダイナミックフォースエンジン+THSII。従来のハイブリッドエンジンに比べ、大幅に性能向上を果たした
日常使いが多いコンパクトカーだからこそ、低燃費にこだわり、新世代ハイブリッドシステムの採用と、量販グレードでの50kgの軽量化によって、トヨタのハイブリッド車だけでなく、世界のハイブリッド車のなかで、最高レベルとなるWLTCモード燃費20%の向上を目標に開発を進めている。
この新ハイブリッドシステムでは、ギアを改良し、旧型ではできなかった130km/hという高速域でもエンジンをストップさせられるようになったことが特筆すべき改良点となっている。
従来はアクセルをオフしても、エンジンを止めることができず、ロスが大きかった。それがエンジンをストップすることができるようになったことで、コースティング時のロスを最小限に抑えることができるようになったのだ。高速巡行を苦手とするハイブリッドだったが、ヤリスはそれを克服しそうだ。
また1.5Lと1Lガソリンエンジンも、アイドリングストップ機能を採用していないにも関わらず、技術的な積み上げをすることで、従来よりも優れた燃費性能を実現するなど、パワートレーンの進化具合には驚かされる。
■アルファードクラス同等の先進安全装備を採用
ヤリスには、最新の「Toyota Safety Sense」が標準装備されている。多くの人が乗るコンパクトカーだからこそ、トヨタ初の高度な安全技術を積極的に採用したとのことだ。
その内容を見てみると、夜間歩行者検知する「プリクラッシュセーフティ」、同一車線内の中央を走行できるようにする「レーントレーシングアシスト」、駐車場で左右から進行してくるクルマを探知する「リアクロストラフィックオートブレーキ」などが主な機能として付けられている。
さらにはソフトウェアの改良によって、プリクラッシュセーフティで、トヨタ初搭載となる右折時の対向直進車や、右左折時の横断歩行者も検知する機能を、ヤリスから初めて採用した。
プリクラッシュセーフティ(交差点シーン対応)。交差点右折時に前方からくる対向直進車や、交差点右左折後の横断歩行者も検知可能。ハードウェアの変更や、画角の変更は行わず、ソフトウェアの進化で実現した
加えて、高度駐車支援システム「Advanced Park」もトヨタ車として初めて採用。ステアリングだけでなく、アクセルとブレーキも制御することで、駐車に必要な操作を支援する。さらに、事前に駐車位置を設定しておくことで、自宅などの白線のない駐車場でも使用することができるようになった。
トヨタ初の高度駐車支援システム「Advanced Park」。駐車枠の横に停めてスイッチを押すだけで、カメラが駐車スペースを認識、ハンドル・アクセル・ブレーキを制御(シフト操作は手動)し、自動で駐車する
■デザインコンセプトは、5つの「B」を取り入れた「B-Dash(Bダッシュ)!」
ヤリスの外観デザインは、大胆(BOLD)、活発(BRISK)、加速(BOOST)、美(BEAUTY)、弾丸(BULLET)の5つの「B」から、力強く鋭く加速することをコンセプトとしてデザインされている。
前傾したキャビンと、前方にせり上がるようなアンダーボディにより「躍動感」を表現。リアフレアで「軽快さ」と、アクティブな踏ん張りを表現
車両デザインのイメージは、小さい、つややか、美味しいと3拍子揃った「KUROMAME(黒豆)」だったそうだ
外板色には、新規開発色の「コーラルクリスタルシャイン」「アイスピンクメタリック」を含む全12色を設定。ブラックまたはホワイトのルーフ色と組み合わせたツートーンカラーを、全6色選択可能。
内装デザインは、インストルメントパネルを中心に、無駄のない快適さと、集中できる空間を実現。インパネ断面を薄くすることでワイドな印象としているほか、トヨタ初のフードレス双眼デジタルTFTメーターを採用とステアリングの小径化で、室内を広くスポーティに感じることができる。
また、ヘッドアップディスプレイを採用することで、目線移動を少なく、ドライバーの運転疲労低減を図っている。
センターコンソール幅は、従来比で20mm広げ、さらに上級グレードへのソフトインパネの採用と併せ、ワンクラス上の質感を表現。使いやすい位置に収納スペースを追加し、利便性も向上させている。
質感向上のため、ソフトインパネを採用や、ドアトリムのファブリック面積を拡大。インパネは各部のボリュームの調整を行い、上級クラスの比率に見せている
■ハイブリッドモデルには非常時給電システムを設定
アウトドアレジャーだけでなく災害時や緊急時に、アクセサリーコンセントから1500Wの電力を供給することが可能な外部給電機能をオプション設定。停電時でも最長4日間程度(ガソリン満タン時)、非常用の発電機として使用することができる。
トヨタがライバルを圧倒するべく、これでもかと新技術が投入された新型車「ヤリス」。トヨタの本気度が伺える。
現在はまだ価格や、詳細なエンジン出力やWLTCモード燃費は判明していないが、詳細が分かり次第お伝えしたい。
【トヨタ ヤリス 新型】ダイナミックフォース・エンジンを新開発、搭載
トヨタ自動車が12月に発表予定のBセグメントサブコンパクト『ヴィッツ』改め『ヤリス』。搭載されるパワーユニットは3機種。うち2つはトヨタの新しいクルマづくりの設計・工法「TNGA」によって生み出された新開発の「ダイナミックフォース」エンジンだ。
新開発ユニットはハイブリッド、および非ハイブリッド中上位グレード用の1.5リットル3気筒。ハイブリッド用はポート噴射、非ハイブリッドは筒内直接噴射の違いがあるが、多くの部品を共通化することでコストを圧縮しているという。シリンダーの内径×行程は80.5×97.5mmと、かなりのロングストローク型。ちなみにこの数値はSUV『RAV4』に積まれる2リットル直4ダイナミックフォースエンジンと同一。1気筒落として3気筒にするというモジュラーユニットであることがうかがえる。
まずはハイブリッドだが、特色は旧1.5リットル4気筒と同じポート噴射ミラーサイクルを継承しながらエンジントルクアップと熱効率向上を目指したこと。とくに熱効率は2%の改善をみたとのことで、40%の大台を超えるものとみられる。
そのエンジンと組み合わされるハイブリッドユニット「THS II」も性能向上が図られている。EV走行領域拡大のため、電気モーターの出力が30%増強される。セットアップされるバッテリーパックは現行『アクア』や『ヴィッツ・ハイブリッド』のニッケル水素からリチウムイオンへ。動力分割機構も現行『プリウス』と同様の原理に改められる。電力から動力への変換に伴う損失は従来より30%削減される見込みだという。
非ハイブリッドの1.5リットル直噴3気筒もミラーサイクル方式を採る。吸排気可変バルブタイミングシステムを装備し、スロットル開度が大きい領域ではオットーサイクルに近いパワーを出すという。資料に掲載されたトルクカーブは全域で旧1.3リットル直4を上回っており、緩加速でよく使うエンジン回転数2000rpm前後では、実に30%のトルクアップを果たすとのこと。スペックは型式指定前につき非公表だが、最高出力は85kW(116ps)近辺とみられる。組み合わされる変速機は、『カローラスポーツ』などで先行採用されている発進ギア付きCVT(無段変速機)。
もうひとつ、これは現行ヴィッツのものを改良した1リットル3気筒。全域でリーンバーン(希薄燃焼)化運転を行うことで燃費向上を図る。CVTは固定ギアを持たない普通の無段階変速だが、ローからハイまでのレシオカバレッジは従来品の5.6:1から6.53:1に拡大される。状況に適合したドライブ状態がより保ちやすくなっていることが期待できる。この改良により、燃費は4.7%向上しているという。
新型トヨタ・ヤリス ホットなGRバージョンの可能性は? マット・ハリソン上級副社長を直撃
モータースポーツとロードカーの結びつきを強化
トヨタが新型ヤリスのパフォーマンス・バージョンを作り上げる可能性は非常に高い。トヨタ・モーター・ヨーロッパのマット・ハリソン上級副社長はそう語っている。
この決断は、同社のガズー・レーシングによるモータースポーツ活動とロードカーの結びつきを、消費者により強く認識させることが狙いだ。
「これがガズー・レーシングの戦略です。スープラのようなスポーツカーに限らず、同じ様にパフォーマンスを高めた派生モデルの投入を図ります」と、ハリソンは語った。
ホットなヤリスGRについて公式に認めることは留まったものの、ハリソンは次のように述べた。「ヤリスに関して、こうしたいというアイディアは色々と持っています。しかし、2~3か月待ってください。そうすればもっと多くをお話しすることができるでしょう」
「ヤリスを、われわれのモータースポーツにおける成功ともっと結びつけたい。そう強く思っていることは確かです」
「GRバージョンの製作に選ばれたモデルは、パフォーマンスの基盤が標準モデルと差別化されます。排気量も含め、すべてにおいて変わる可能性があります」
ヤリスGRがハイブリッドになる可能性も
ヤリスのパフォーマンス・モデルがハイブリッドになるかどうかについて、ハリソンは明言を避けたものの、次のように述べた。「(企業ごとの平均CO2排出量規制に向けて)われわれのハイブリッド技術という強みを、さらに多くの販売に活かすためには、例えばスープラのような少量生産のパフォーマンス・モデルにも検討していく柔軟性が求められるでしょう」。
この発言は、ヤリスGRにハイブリッドを採用する可能性も検討されていることを、示唆していると言えるだろう。
なお、トヨタは新型ヤリスのほかに、最新型のカローラでもパフォーマンス・モデルの開発を計画しているという情報を、AUTOCARでは掴んでいる。史上最もスポーティなカローラが登場する可能性は高いと、われわれは見ている。
トヨタ新型ヤリス 世界初、白線なしの駐車枠をメモリ 「アドバンスト・パーク」とは
駐車支援システムに注目
text:AUTOCAR JAPAN編集部photo:Kazuhide Ueno(上野和秀)、トヨタ自動車世界初公開されたトヨタ新型ヤリス。従来のヴィッツから名称を変えた新世代モデルは、TNGAのコンパクトカー向けプラットフォームを初採用するなど、注目点が多い。
ここでは、トヨタ初となる高度駐車支援システム「アドバンスト・パーク」について紹介したい。並列・縦列駐車を支援するほか、世界初となる「白線のない駐車場におけるメモリ機能」を搭載している。
アドバンスト・パークというのは、簡単で素早い駐車を行うために、ステアリング、スロットル、ブレーキをクルマが制御する駐車支援システム。この“素早い”というのが、本機能のセールスポイントだ。
白線ありの場合 操作手順
白線などで区切られた駐車枠の操作手順は、下記のようになっている。
1. 駐車スペースの横に停車し、起動スイッチを押下。
2. ディスプレイの俯瞰ビューに、自動認識されたスペースが表示。「開始」を押下。
(ヤリスが前進・首振りし、切り返しなしで入庫できる位置に停車)
3. 音声に従い、リバースにシフトする。
(ヤリスが操舵・移動を制御し、スムーズに駐車を行う)
4. 最後にシフトをパーキングに入れて駐車完了。
縦列駐車の場合は、1.のあとに、自動認識されたスペースが俯瞰ビューに「P」マークで表示されるので、希望の枠を押下する操作が加わる。
続いて、白線がない環境での操作を説明しよう。
白線なしの場合 初回手順
アドバンスト・パークの「メモリ機能」は、世界で初めて、白線などの目印がない枠でも駐車位置を記憶するというもの。初回操作時には、駐車したい位置を登録する必要がある。
具体的には、白線などが存在しないスペースについて操作する機能とあって、前述の手順1.のあとに「駐車できる場所が見つかりません」とディスプレイに表示されるところから始まる。
そこで、4通りの駐車方法(左側に並列駐車、右側に並列、左側に縦列、右側に縦列)から、希望のものを選択することで、白線がないスペースに駐車する意思を伝える。これで、駐車したい場所がいったん仮登録されるわけだ。
白線なしの場合 2回目以降
続いて、白線などがない場所にシステムが駐車を行う。そのまま「登録」を押下すれば、次回から目立った目印がなくても、同じ位置に駐車できるという流れだ。
本機能は、「白線がない駐車場でこうした支援機能を使いたい」という声に応えて開発が進められたもの。
初回は自分が停めたいスペースを登録する操作を伴うが、次回以降は、そのスペースを自動認識して、ワンボタンで駐車支援を受けることができるわけだ。
システムの仕組み・疑問点
アドバンスト・パークの「メモリ機能」は、システムが見ている映像のなかの特徴を記憶するという仕掛け。
言い換えると、見渡すかぎり真っ平ら、なんていう場所では使えない。
では、真っ暗な場所ではどうだろう? 前後方向はヘッドランプ/テールランプが照らすので問題ない。車体側面はというと、ボディサイドに搭載された赤外線LEDを照射するので状況を認識できるという。
つまり、夜間でも問題なく機能するのだ。
また、安全上の配慮からパレット式のパーキングなどは本機能の対象外とされているが、開発陣の話では、一般的な運転で出会う駐車枠は「ほとんどの状況で使える」という。
なお、メモリ機能は3箇所まで登録することができる。
他社の駐車支援とどう違う?
他社の駐車支援システムと大きく異なるのは、切り返しをしない駐車を目標に開発されていること。素早くスムーズに駐車すること、つまり日常使用に耐えるシステムを目指している。
駐車時の速度は、設定メニューのなかに「駐車速度」という項目が存在し、「速め」「標準」「遅め」を選択できる。
また他社のシステムでは、パーキングブレーキ操作まで自動で行うものもある。しかし、ヤリスは電動パーキングブレーキを搭載していないので、ドライバーが行う。後退時にリバースにシフトする操作も人間が行う必要がある。
安心なのは、駐車支援で車両が動いている間も、周辺360°を監視してくれること。例えば、子どもが車両の後方に現れたら、警告音/メッセージとともにブレーキが作動する。
日本発売 来年2月
メモリ機能を含むトヨタ初の高度駐車支援システム「アドバンスト・パーク」は、新型ヤリスのハイブリッド車にオプションとして設定される見込みだ。
また、アドバンスト・パークというシステムは、超音波センサー、カメラを利用しているため、「パノラミックビューモニター」と「インテリジェント・クリアランス・ソナー」も必要になる。
新型ヤリスの日本発売は、2020年の2月中旬を予定している。今回紹介したアドバンスト・パーク以外にも、最新の安心安全・先進技術がコンパクトカーに搭載されるとあって、小型車のマーケットで話題を呼びそうだ。
【トヨタ ヤリス 新型】走り、乗り心地を左右するボディとシャシー…VWを研究
トヨタ自動車が今年12月に発表予定のBセグメントサブコンパクト、『ヴィッツ』改め『ヤリス』。過去、複数のイベントで予告されていたように、トヨタのクルマづくりの新工法「TNGA」にもとづき、一部のパワートレインを除きほぼ全面新設計。トヨタはこのクラスを世界中に投入しているが、ヤリスは先進国市場にターゲットを絞って開発されたという。
走り、乗り心地を左右するボディとシャシーについて。ボディサイズの予定値は全長3940×全幅1695×全高1500mm、ホイールベース2550mm。質量は1.5リットル3気筒 改良型「THS II」のハイブリッド(エントリーグレード)で1050kgになる見通しであるという。現行の第3世代ヴィッツに対し、全長が5mm小さく全幅と全高は同一、ホイールベースは40mm長い。ちなみに今後リリースされる欧州版ヤリスに対してはボディが50mm、トレッド(左右輪の中心の間隔)が40mm狭い。
そのボディだが、1180MPaという引っ張り強度の鋼板を高温下でプレスして作るホットスタンプ材をはじめ、590MPa以上の部材を多用。技術発表の場にはカットモデルが展示されていたが、ストラットタワーやボディなどには接着工法が用いられた痕跡はなく、メインはスポット溶接。欧州市場で要求される高スペックのボディをできるだけ低コストで作るのに知恵を絞ったことがうかがえた。
サスペンションは前がマクファーソンストラット、後ろはFWD(前輪駆動)がトーションビーム、AWD(4輪駆動)がダブルウィッシュボーンという構成。テストドライブはもちろんまだだが、その設計にはいくつかの注目点があった。第一はFWDリアサスのトーションビーム。形式は一般的なカップルドリンクと呼ばれるものだが、トレーリングアームを前後方向に並行する形で配置し、ロールした時に発生するトーアウトをトーコレクトブッシュで抑制するという設計になっていた。
これはフォルクスワーゲンが伝統的に得意としてきたマウント法だ。実際、ヤリスの開発過程においてもフォルクスワーゲン車の研究はとりわけ重視されたという。この方式はアームを進行方向に対して逆ハの字に置く方式に比べて横剛性の点では不利である半面、路面変化への追従性が良く、コーナリング中の不意の路面変化に強い傾向がある。基本が欧州ターゲットということで、神経質な動きが少なく、アバウトに速く走れるという面を重視したものと考えられる。
第2はフロントサスで、ストラットタワーを内側に強く傾斜させたレイアウト。これは言うまでもなく、サスペンションのスイング方向とショックアブゾーバーの軸を近づけ、ハーシュネス悪化の要因となるフリクションを低減するのが狙い。エンジニアによれば、左右ストラットタワーの頭を近づけることができたのは搭載エンジンを全長の短い3気筒に絞ったためだという。
第3はAWDのダブルウィッシュボーン式リアサス。同形式はスペックの高いクルマに使われることが多いが、ヤリスのものは全長4mアンダーという短いボディのリアアクスルに電動AWD用のモーターを設置するのが目的。昭和時代に時々見かけたパラレルリンクストラット式のアームを縦に並べたような2リンク式のシンプルな構成で、省スペース性が追求されている。トヨタのBセグメントハイブリッドAWDが欲しいという雪国ユーザーにとっては朗報だろう。性能追求型ではないため、FWDモデルに同サスペンションが採用されることはないとのことだ。
新型トヨタ・ヤリス 技術担当者に質問 ハイブリッド、どこが改善された? ガソリンは継続?
市街地の80%は電気のみで走行可能に
トヨタのシニア・テクニカル・トレーナーを務めるステファン・ラメーカーズに、4代目となる新型ヤリスについて、AUTOCAR英国編集部のローレンス・アランが気になることを質問してみた。
――CVTを搭載したハイブリッドの「輪ゴム効果」を、新型ユニットではどのように克服したのでしょうか?
「まず、エンジン側のパワーを上げました。それと同時に、素早く発揮できるモーター側のトルクを高めたのです。そうすることでエンジンの回転を抑えつつ、より大きなEVパワーを使うことができます。運転が楽しく、力強く感じられるようになりました」
――従来よりも電気のみで走り続けることが容易になったそうですね?
「スロットルペダルを少し踏み込んだだけでは、エンジンがすぐに始動しないようにしました。だから確かに、従来よりも電気のみで走り続けることが容易になりました。計算上の数値では、電気のみで走行できる距離は最大4マイル(約6.4km)です」
「しかし、一般的な市街地走行の約80%は、エンジンを始動させずにすむと、われわれは試算しています。バッテリーの充電は減速エネルギーを回生して行います」
――ハイブリッドの販売が十分に多くなっても、ガソリン・エンジンのみを搭載するモデルの提供を続けるのですか?
「ハイブリッドに力を入れていることは確かです。しかし、お客様の中には、より安い価格のガソリン車をお求めになる方もいらっしゃいます。それでもやはり、ハイブリッドの販売目標である80%は簡単に超えるのではないかと、わたしは思っています」
「われわれは既に過去8年間で50万台のヤリス・ハイブリッドを販売してきました」
トヨタ ヤリス 新型、ハイブリッドの燃費は20%以上向上…欧州仕様を発表
トヨタ自動車の欧州部門は10月16日、新型『ヤリス』(Toyota Yaris)の欧州仕様車を発表した。
初代ヤリスは1999年に発表された。日本では『ヴィッツ』を名乗ってきたが、欧州では初代から、ヤリスの名前が使用されてきた。新型は4世代目モデルになる。
◆新世代のGA-Bプラットフォーム
新型には、「GA-B」プラットフォームを採用した。GA-Bは、トヨタのクルマづくりの構造改革、「TNGA」(トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャ)に基づく新プラットフォームだ。ボディの高剛性化や低重心化を図りつつ、さらなる燃費性能と高い操縦安定性や走破性を目指して、開発が行われた。
トヨタはすでに、『プリウス』や新型『カローラ』向けに「GA-C」プラットフォームを開発している。GA-Bは、このGA-Cの下に位置するコンパクトカー向け車台となる。
新しいGA-Bプラットフォームは、ホイールベース、全長、トレッド幅を変えられるモジューラー設計が特長だ。これにより、さまざまなサイズやボディタイプの車両に、適用することが可能になる。
また、このプラットフォームは高度な接合技術を採用しており、重量とコストに重点を置きながら、高レベルのアンダーボディ剛性を確保している。車体の剛性も大幅に向上。これにより、車両の安定性と乗り心地が向上し、騒音と振動レベルが抑えられた。ロングホイールベースと高効率パッケージの組み合わせにより、コンパクトなボディサイズでも、室内スペースを犠牲にしていない。トヨタによると、新型ヤリスは従来に比べ車両重量を50kg軽量化し、ねじり剛性は30%以上強化。重心高を15mm下げ、優れた操縦安定性と上質な乗り心地を両立させているという。
さらに、運転席は、車両の中心に近い低い位置にレイアウトした。これにより、車両の重心を引き下げる。ステアリングホイールの角度を最適化し、ドライバーの近くに配置することにより、理想的なドライビングポジションを生み出すという。
◆ハイブリッドのシステム出力は15%強化
新型には、重量、パッケージ、効率を最適化した第4世代のハイブリッドシステムを搭載する。このハイブリッドシステムは、可変バルブタイミングを備えた新開発の1.5リットル直列3気筒ガソリン「ダイナミックフォース」アトキンソンサイクルエンジンに、モーターを組み合わせたものだ。システム全体の高効率化とハイブリッドシステム専用のエンジン設計を行い、他の全てのハイブリッドユニットも新開発した。
エンジンは、内部摩擦と機械的損失を低減し、燃焼性能を最適化した。ロングストロークやバルブ挟角拡大などの高速燃焼技術を採用し、低燃費と高出力を両立する。エンジンの騒音と振動を低減するバランスモジュールも装備された。
その結果、通常のディーゼルエンジンよりも高い40%の熱効率を達成した。トヨタによると、新型の燃費とCO2排出量は、先代比で20%以上向上しているという。同時に、システム出力は先代比で15%強化されており、加速性能も引き上げられた。
欧州仕様車には、蓄電容量を増やした新しいリチウムイオンバッテリーを採用した。新しいバッテリーは、先代のニッケル水素バッテリーよりも27%軽量という。
◆全長は5mm短縮しホイールベースは50mm延長
新型は全長を先代比で5mm短縮しつつ、ホイールベースを50mm伸ばした。これにより、都市部での取り回し性能や室内空間を追求する。GA-Bプラットフォームにより、全高は先代比で40mm抑えられた。着座位置が低くなっているため、ヘッドルームは損なわれてないという。
インテリアは、フードレスの双眼デジタルTFTメーターや、ソフトインストルメントパネルを採用した。コンソールの幅を広くし、収納スペースを広げている。ステアリングホイールを従来よりも小径化して、室内を広く、スポーティに見せる演出を施した。
トヨタタッチスクリーンや10インチカラーヘッドアップディスプレイを採用する。大型のヘッドアップディスプレイには、運転データやナビゲーション、速度制限などの警告を、フロントガラスに投影する。最新のスマートフォンに対応したワイヤレス充電も用意している。
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自動車業界あれこれ | 日記
Posted at
2019/10/19 20:25:55
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