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2019年10月19日

初代レガシィはアッパーマウントに蓋あったんだよな~

初代レガシィはアッパーマウントに蓋あったんだよな~ レガシィ30周年を歴代レガシィに乗って考える(前編)

初代から5代目までのスバル「レガシィ」5台のうちの2台と、現行「レヴォーグ」を乗り換えつつ、1泊2日でおよそ600km走るという、スバリスト感涙のプレス向けイベントが2019年9月上旬に開かれた。

なぜこのタイミングだったかといえば、1989年に発売されたレガシィが30周年を迎えたのと、来たる10月24日(木)に開幕する東京モーターショーで新型「レヴォーグ」が発表されるからだ。

第46回東京モーターショー(東京ビッグサイト周辺/会期:2019年10月24日(木)~11月4日(月・祝))に展示される新型「レヴォーグ」。事前に入手出来た写真は、メインの1カットのみだ。「より遠くまで、より快適に、より安全に」というスバル独自のGT(グランド・ツーリング)思想を、この機会にいま一度アピールしよう、というのが彼らの狙いで、このためにスバル広報のスタッフが5世代にわたるレガシィをネットで探し、購入して往時を再現したという。

現行モデルで第6世代になるレガシィの初代は、1989年1月23日に発表、2月1日から新発売となった。平成が始まったばかりで、新しい時代への期待感が満ち満ちていた。三菱地所がニューヨークのロックフェラー・センターを買収したのがこの年の10月のことで、アメリカを丸ごと買っちゃいそうな勢いがニッポンにはあった。自動車界に限っても、ユーノス「ロードスター」や日産「スカイラインGT-R(R32)」、トヨタ「セルシオ」、日産「インフィニティQ45」、さらにホンダ「NSX」(この年は発表のみ)などが続々と登場した。

1989年1月23日に発表、2月1日から販売開始された初代「レガシィ」。シートはファブリックのほか、レザーも選べた。初代レガシィはどんなクルマ?レガシィ、「英語で大いなる伝承物の意」と説明されるこの名称には、「水平対向エンジン、乗用4WDシステムなど、スバルの伝統的な技術を受け継ぎながら、それを新時代に向けて熟成・集大成したクルマという意味」が込められていた。

水平対向エンジンは1965年に発表されたスバル「1000」以来の、4WDは東北電力からの現地巡回用車両の共同開発の申し出をきっかけに、1972年にわずか8台が販売されて以来の、大いなる伝承物だった。

「スバル1000」は、富士重工業初の小型車。FWD(前輪駆動)+水平対向エンジンを組み合わせた意欲的なモデルだった。車種展開は、先代に当たる「レオーネ」を継承した4ドア・セダンとツーリングワゴンの2車型で、新設計の1.8リッターと2.0リッターの水平対向4気筒が用意された。

それまでのOHVから、1.8はSOHCの、2.0はDOHCの、それぞれ16バルブ・ヘッドを持っていた。なかでもインタークーラー付きターボを備えた2.0は、クラス最高の220ps /6400rpmと27.5kgm/4000rpmを誇った。

レガシィの先代モデルにあたる3代目「レオーネ」。レオーネにはツーリングワゴンや3ドア・クーペも設定された。当初はセダン推しで、「10万km連続走行の世界速度記録達成」が喧伝された。230km/h以上を24時間、19日間にわたって走り続けなければ達成できないという過酷な挑戦だった。

レガシィは「走り」を徹底的に追求した、ドライバーズ・セダンとして登場したのだ。トヨタにはカムリ、コロナ、日産にはブルーバード、三菱にはギャランが健在で、クルマといえばセダンの時代だった。

初代レガシィはツーリングワゴンとセダンから選べた。先代レオーネにあった3ドア・クーペの設定はなかった。トランスミッションは4ATないしは5MTが選べた。最上級モデルとして「GT」がくわわったのは1989年9月、それこそバブル真っ只中だった。そのなかで、最高出力を200psに抑え、「総合的なクルマづくり」を目指して開発されたのは、おとなの見識だったと言えるだろう。

このGTのプロモーション・ビデオでは、「より遠くに、より速く、より快適に、そして、より安全に」というナレーションが確認できて興味深い。ツーリングワゴンにこのGTが加わると、おりからのスキー・ブームもあって人気を集め、やがてレガシィといえば、パワフルな4WDワゴンの代名詞となる。

水平対向4気筒エンジンは、1.8リッターNA、2.0リッターNA、2.0リッター・ターボのほか、1992年からは輸出用の2.2リッターNA(写真)も選べるようになった。1991年5月の初代のマイナーチェンジのプレスリリースでは、2年前、上下に置かれていたセダンとワゴンの写真が、左右並列に変わっている。広告にブルース・ウィリスが起用されたのはこの年からで、「10 万km世界速度記録達成!」「グラン・ツーリズモ」を訴える技術オリエンテッドのセダンから、ダイ・ハードなハリウッド俳優がドライブする、イメージ先行のワゴンへと広告戦略も変化していく。

思い出すなぁ、ヤマダ(注)がガンメタの初代レガシィのセダンに乗っていたのを……。と、30年前の思い出にふける筆者だったけれど、イベントの運営の都合上、抽選が行われ、初日は現行レヴォーグ→午後に2代目レガシィという組み合わせで、ロング・ドライブに出発することになった。

注:今尾氏の『NAVI』時代の同僚。

GTツアラーだったレヴォーグ東京・恵比寿にあるスバル本社を、真っ赤な「レヴォーグ1.6 STI Sport EyeSight」でスタートしたのは午前10時ちょっと前。13時までに山梨・勝沼のレストランに到着することを目指す。レガシィ史上もっとも売れた2代目に乗り換えるのはランチのあとだ。思い出すなぁ、2代目レガシィ。と、その前に勝沼まで中央道経由でおよそ100kmの道のりをレヴォーグで行かなければいけない。

【主要諸元(1.6 STI スポーツ アイサイト)】全長×全幅×全高:4690mm×1780mm×1490mm、ホイールベース:2650mm、車両重量:1560kg、乗車定員:5名、エンジン:1599cc水平対向4気筒DOHCターボ(170ps/4800~5600rpm、250Nm/1800~4800rpm)、トランスミッション:CVT、駆動方式:4WD、タイヤサイズ:フロント225/45R18、価格:363万円(OP含まず)。ステアリングホイールやシフトレバーは、レッドステッチ付き。ナビゲーション・システムはディーラーオプション。米マーケットからの要望で、レガシィは2009年登場の5代目でボディが一挙に大型化される。これでは国内市場が空洞になる!?

という危機感から2014年に国内専用として投入されたのがレヴォーグである。全長×全幅×全高(ルーフ・アンテナを含む)は4690×1780×1490mm。全幅こそ5ナンバーの1700mmを超えたけれど、2650mmのホイールベースは5代目レガシィ・ワゴンのそれより100mm短い。

ボルドーのレザーシートは、STI専用装備。フロントシートは電動調整機構&ヒーター付き。センターアームレスト付きのリアシートは、リクライニング機構付き。ラゲッジルーム容量は、通常時522リッター。ちなみに初代レガシィとくらべると、ホイールベース、全長ともにレヴォーグはそれぞれ70mm延び、幅が90mm広がっている。とはいえ、実用車の鑑にして輸入車の代表のフォルクスワーゲン「ゴルフ」だって、全幅は1800mmある。全長4575mmの「ゴルフ ヴァリアント」同様、たいへん使いやすいサイズと言える。

水平対向4気筒ターボ・エンジンには300psの2リッターもあるけれど、われわれのレヴォーグは1.6リッターで、最高出力は170ps /4800~5600rpm、最大トルクは25.5kgm/1800~4800rpmである。

駆動方式は4WDのみ。JC08モード燃費は16.0km/L。搭載するエンジンは1599cc水平対向4気筒DOHCターボ(170ps/4800~5600rpm、250Nm/1800~4800rpm)。STI Sportは2016年に追加されたレヴォーグの最上級グレードで、専用の内外装を持つ。とりわけインテリアは、ボルドーと黒の2トーンの本革シートに赤いスティッチが情熱的でスポーティなムードを高めている。

パワートレインは手つかずだけれど、スバルのスペシャリスト集団STIがチューニングしたビルシュタイン製のダンパーと、コイル・スプリングを装備する。225/45R18という薄いタイヤ・サイズもあって街中ではやや堅めながら、速度が上がるにつれ、不満がなくなる。これこそグランド・ツーリングに適したセッティングというべきだろう。走るほどに不満がなくなる。

ステレオカメラを使った先進安全装備群「アイサイト」は標準。衝突軽減ブレーキやACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)などを備える。アイサイトの「ツーリングアシスト」機能を使えば、アクセル、ブレーキ、ステアリング操作を全車速域で自動的に制御。ドライバーはハンドルを軽く握っているだけでよい。とりわけ、高速巡航時には「リニアトロニック」と呼ばれるCVTとの組み合わせによって、静かさとスムーズさが印象的だ。無段変速による切れ目のない加速は、電気モーターのごとしである。

ガバチョとアクセルを踏み込むと、1.6リッターという排気量ゆえ、低速トルクがやや細い。CVT特有のエンジンの高まりと加速のズレも感じる。中央道の上野原あたりの高速ワインディングを走っている分にはなんの問題もないけれど、勝沼ICで中央道を降り、加減速を繰り返す低中速コーナーの連続だと、ちょっともどかしい。と感じるようなドライバーは、マニュアルの「WRX STI EJ ファイナル・エディション」、限定555台をお買い求めください、ということである。

レヴォーグ1.6STIは、「より遠くまで、より快適に、より安全に」というスバルGT思想を具現するGTツアラーなのである(後編に続く)。

文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)


レガシィ30周年を歴代レガシィに乗って考える(後編)

初日の昼食後、1997(平成9)年初度登録のレガシィ ツーリングワゴンGT-Bに乗った。1993年に登場した2代目レガシィに、その3年後に追加された280ps(ATは260ps)とドイツ・ビルシュタイン製倒立式ダンパーを得たモデルである。

レガシィ史上最高の国内販売台数を記録したのがこの2代目で、ビルシュタインの納入が追いつかず、工場で何台ものタイヤのないレガシィがその到着を待っていた、と、往時を知るスバル広報のK氏は証言する。

【前編はこちら!】

【主要諸元(GT-B)】全長×全幅×全高:4680mm×1695mm×1490mm、ホイールベース:2630mm、車両重量:1470kg、乗車定員:5名、エンジン:1994cc水平対向4気筒DOHCツインターボ(260ps/6500rpm、318Nm/5000rpm)、トランスミッション:4AT、駆動方式:4WD、タイヤサイズ:フロント215/45R17、価格:299万8000円(1996年当時、OP含まず)。K氏は大阪のディーラーに出向していて、同じく大人気だった「ビビオ ビストロ」目当てのお客さんとレガシィ目当てのお客さん、列をつくって待ってもらったという。「いやもう、売るほうがたいへんですよ」と、語るK氏のことばには実感がこもっている。

そのGT-Bだけれど、2ステージ・ツインターボにより280psを発揮したのはMTのみで、試乗車の4ATは260ps/6500rpm、最大トルクは32.5kg/5000rpmだった。車重は1460kgに過ぎない。

GT-B(4AT)が搭載するエンジンは1994cc水平対向4気筒DOHCツインターボ(260ps/6500rpm、318Nm/5000rpm)。4ATのほか5MTも選べた。なお、5MT仕様の場合、最高出力は280ps(AT仕様のプラス20ps)。170psで1570kgのレヴォーグ1.6STI Sportから乗り換えると、さぞやスゴイかと思いきや、21世紀のモダン・カーから20年前の中古車に乗り換えたわけなので、ボディはヤワだし、乗り心地はゴツゴツしていて、ステアリングは重く、9万5000kmという走行距離以上に酷使されていたに違いない。

デロデロという、当時のフラット4特有の低い排気音は懐かしくはあったけれど、ロード・ノイズは大きいし、20年の進歩を思わずにはいられない。

4WDは全車、4センサー4チャンネルABSと4輪ディスクブレーキを装着。GT-Bは、軽量・高剛性の17インチアルミホイールが標準。GT-Bには、ドイツのダンパーメーカー「ビルシュタイン」の倒立式ダンパーストラットが標準。リアには装着をしめす、エンブレム付き。新車のGT-Bはシャープな印象だったけどなぁ、と記憶をたぐった。ところが、私の記憶は『羊たちの沈黙』のレクター博士みたいにはなっていないのだった。

ブレーキはやや頼りなく、エンジンはビュンビュンまわりたがらない。ただ、まわしても不思議と振動がないのは、4本のピストンが互いに振動を打ち消しあう水平対向という特異なエンジン形式それ自体にあるのだろう。当初、ゴツゴツしていると感じた乗り心地は、高速巡航を続けていると、それほど悪くないように思えてきた。

【前編はこちら!】

ボディカラーは全7色。先代(初代)に対し、フロントグリルとバンパーの開口部を拡大し、冷却性能を高めた。GT-BのステアリングはMOMO製。運転席SRSエアバッグは全車標準。メーターパネルはオーソドックスなアナログタイプ。甲府のあたりで雨がポツポツ降りはじめると、GT-Bに対する感情は一変した。スバル4WDはつねに4輪を駆動している。タイヤが滑ってから後輪にトルクを配分するわけではない。そのおかげで、と断言できるかどうかは別にして、ともかく2代目レガシィは雨ニモマケズ、絶大な安心感をドライバーに抱かせながら、淡々と走り続ける。

勝沼ICからおよそ160km、飯田ICで中央道を降り、一般道をしばらく走ると、やがて山間部に入っていく。2代目レガシィ・ツーリングワゴンGT-Bはこの山道で、低重心のフラット4ターボ+4WDシステムの本領を発揮する。ほとんどロールすることなく、中速コーナーを駆け抜ける。

エアサスペンション装着車(2.0リッターNA、2.5リッターNA)も選べた。GT-Bのオートマチックのセンター・ディファレンシャルは、1991年発売の「アルシオーネSVX」用に開発されたVTD(バリアブル・トルク・ディストリビューション)-4WDである。前後トルク配分を36:64から50:50まで電子制御で可変として運動性能と安定性を高めた電子制御のシステムで、後輪駆動寄りにしているところがミソだ。

VTD-4WDはレヴォーグ2.0でも使われていて、45:55に配分し、状況に応じて可変制御している。ただし、われわれのレヴォーグは1.6だったから、アクティブトルクスプリットAWDと呼ぶシステムのはずで、こちらは60:40を基本とする安定性重視型とされる。スバルは乗用車用4WDのスペシャリストとして、前後トルク配分にこだわり、1990年代早々に車種ごとにシステムを使い分けている。

歴史をひも解けば、スバルがレガシィでWRC(世界ラリー選手権)に初参戦したのは1990年、コリン・マクレーのドライブで初優勝したのは1993年のことだった。それは水平対向4気筒エンジン+ターボ+4WDというレガシィの優秀性を世界に示すものだった。

【前編はこちら!】

先代に比べ、オーディオのデザインを一新し、音質・操作性ともに高めたという。さらに、一部グレードは3D拡大誘導表示方式のナビゲーション・システムもオプションで選べたという。シート表皮は、ベージュも選べた(一部グレードでオプション)。リアシートはセンターアームレスト付き。リアシートバック上部のカーゴネットは標準。ラゲッジルームのフロア下には、小物入れに最適な収納場所もある。リアシートのバックレストは40:60の分割可倒式(ダブルフォールディング・タイプ)。あらためて考えてみると、これってバブル崩壊後で日本経済が苦しんでいた時期だった。ホンダがF1から2度目の撤退を決断したのが1992年である。そんなときにスバルは、F1に較べればはるかに少ない予算だったろうけれど、1995年からインプレッサでWRCマニュファクチャラーズ・タイトルを3年連続で獲得した。

パートナーのイギリスのレーシング・チーム、プロドライブの存在は無視できないにしても、ニッポン人としてはこう思いたい。百瀬晋六を祖とするスバルの技術が優れていたのである。

目的地の長野県南部にある阿智村の昼神温泉郷の宿屋にチェックインしたのは予定の17時をちょっとまわっていた。

早めの夕食後、用意されていた星空観賞に筆者も参加した。阿智村は環境省認定の「日本一星空がきれいな村」で、温泉とセットで地域おこしをしている。標高1200mの山間に「日本一の星空 浪合パーク」という施設があり、スバルは星空見学会を年に何度かここで開催している。その縁で日本一の星空を仰ぐことができたのだった。

あいにく雲が多くて、見える星は限られていた。仮に晴れていても、この季節、21時だと、プレアデス星団(和名:昴)はまだ山の向こうだという。

筆者は知らなかったけれど、爆笑星座解説で予約がとれないほど大人気という、星兄(ほしにい)さんのお話はたいへん面白かった。「北極星は意外と暗い」とか、「満月の夜は新月のときより120倍も明るいから星の観察は避けるべし」とか、いいですよね~。

300人の3歳児が星兄さんの星空観賞に集まったことがあって、その子たちにおおくま座を教えてあげると、300人の3歳児がてんでに大きな声で「くまー」と叫んだ。では、英語ではなんていうの? と聞くと、同じ英語教室に通っている300人の3歳児たちは一斉に「bear」とすばらしい発音で答えた。bear の発音で笑わせるという、星兄の鉄板のネタだそうです。宇宙に想いを馳せながらの、「緊張と緩和」に筆者も笑った。スバルに乗って星空観賞に行くという、オツなイベントだった。

【前編はこちら!】

レヴォーグとレガシィの関係とは?2日目は朝8:30スタートだった。雨に降られた前日とは異なり、快晴である。1台目は「クールグレーカーキ」というきれいな水色の現行レヴォーグ1.6GT-S EyeSight Advantage Lineという特別仕様車である。

外観ではドア・ミラー、ドア・ハンドル等、それにホイールがブラック塗装される。内装はウルトラスエード/本革のシート表皮にブルーのスティッチが入っている。

【主要諸元(1.6GT-S アイサイト アドヴァンテージ ライン)】全長×全幅×全高:4690mm×1780mm×1500mm、ホイールベース:2650mm、車両重量:1560kg、乗車定員:5名、エンジン:1599cc水平対向4気筒DOHCターボ(170ps/4800~5600rpm、250Nm/1800~4800rpm)、トランスミッション:CVT、駆動方式:4WD、タイヤサイズ:225/45R18、価格:342万円(OP含まず)。1.6GT-S アイサイト アドヴァンテージ ラインは、もとになる1.6 GT-S アイサイトに対し、インパネのカラーが、シルバーからブルーに変わる。機構上のSTI Sportとの違いは、STIがチューンしたビルシュタインの「ダンプマチックII」というダンパーを採用しているのに対して、こちらは通常のビルシュタインの倒立式ダンパーを採用している。

ダンプマチックIIは低速での快適性を確保するために、微低速用のバルブが付いており、高速域になるに従い、メインのバルブが働く仕掛けになっている。それ以外は、225/45R18のタイヤ・サイズも含めて前日のレヴォーグ1.6STI Sportと同じだ。で、STI信者からするとバチ当たりなことに、筆者はSTIチューンではないビルシュタインの1.6GT-Sのほうが街中での乗り心地がちょっぴりソフトで、快適だと思った。

1.6GT-S アイサイト アドヴァンテージ ラインのシート表皮は、人工皮革の「ウルトラスエード」と本革のコンビタイプ。オプションで、デジタルタイプのルームミラー「スマートリアビューミラー」も選べる。価格は前日の1.6 STI Sportが365万400円、本日の1.6GT-S特別仕様車が334万8000円。その差は30万円。あとからSTIを選んでおけばよかった……と、後悔するのがいちばん悲しい。

さりとて、特別仕様車のボディ色も捨てがたい。仮に色の好みだけで選んだとしても、高速ツアラーというレヴォーグ1.6の美点に変わりはない。

本来なら、江戸時代の宿場町の面影を残す町並みで有名な奈良井宿(長野県塩尻市)まで国道19号で行くはずが、カーナビに従っていたら中央道に乗ってしまい、岐阜の中津川ICまで往復することになって時間を浪費した。いや、秋晴れの下、高速ツアラーとしてのレヴォーグを楽しんだ。

【前編はこちら!】

ボディカラーは特別設定色の「クールグレーカーキ」。ブラックの18インチアルミホイールは特別装備。長野県塩尻市奈良井にある奈良井宿は、中山道34番目の宿場だった。奈良井宿でそばを食したのち、5代目レガシィに乗り換えた。2009年、誕生20周年の年に登場したこのモデルで掲げられたコンセプトは、「グランドツーリング イノベーション」。北米市場の要請に応えてボディを大型化した。ホイールベースが4代目の2670mmから2750mmに、全幅が同1730mmから1780mmへと、5ナンバー枠を大きく超えた。

エンジンは2.0リッターを廃止し、2.5リッターSOHCと同DOHCターボ、それに水平対向6気筒の3.6リッターDOHCがクロスオーバーのアウトバックにのみくわわった。

リニアトロニックと呼ばれるCVTが、4気筒に組み合わされることになったのも、3代目でストラットからマルチリンクに改良されていたリア・サスペンションがダブルウィッシュボーンになったのも、このモデルからだ。

【主要諸元(2.5i Sパッケージ アイサイト)】全長×全幅×全高:4790mm×1780mm×1535mm、ホイールベース:2750mm、車両重量:1540kg、乗車定員:5名、エンジン:2457cc水平対向4気筒DOHC(170ps/5600rpm、229Nm/4000rpm)、トランスミッション:CVT、駆動方式:4WD、タイヤサイズ:225/45R18、価格:283万5000円(OP含まず)。搭載するエンジンは2457cc水平対向4気筒DOHC(170ps/5600rpm、229Nm/4000rpm)。ターボ版は6MTも選べた。トランスミッションはCVT。シフトレバーのうしろにあるダイヤル式スウィッチは走行モード「SI-DRIVE」の切り替え用。電動パーキングブレーキは全車標準。2008年9月にアメリカの大手証券会社リーマン・ブラザーズが倒産し、麻生太郎首相(当時)が「100年の一度の危機」と表現した、いわゆる“リーマン・ショック”が先進諸国を襲った。2008年に60万台だったスバルの生産台数は2009年、50万台弱に落ち込んだ。そんななかで大型化されたレガシィに国内の自動車ジャーナリストは「ニッポン無視?」と疑問符をつけた。ご存じのように、その大型化レガシィは思惑通り北米で大ヒット。スバルの生産台数はあれあれよと増えつづけ、2016年に100万台を突破して現在に至っている。

試乗車は2011年の2.5i S Package EyeSightというNA搭載モデルである。スバル大躍進のもうひとつの功労メカ、先進運転支援システム「アイサイト」は、2011年6月にレガシィに施されたマイナーチェンジによって搭載グレードが拡大されている。試乗車はそのマイチェン後のモデルだ。

【前編はこちら!】

ステレオカメラを使った先進安全装備群「アイサイト」を初搭載。アイサイトの作動状況は、メーターパネル内のインフォメーション・ディスプレイ(モノクロ)に表示される。ステアリングホイールはACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール)のスウィッチ付き。はや8年も前のことで、夜泣きしていた赤ちゃんがハイハイから直立歩行し、喋ったかと思えば幼稚園、春になれば卒業式、小学校の入学式を迎えて、いま2年生、というような歳月だけれど、筆者的にはつい昨日のことのようです。

S Packageというのは18インチ・タイヤとビルシュタイン製ダンパーを備えるモデルで、試乗車はブリヂストンのポテンザRE050Aを履いている。スポーティさを強調したモデルゆえ、街中での乗り心地は少々硬いと思ったけれど、中央道にあがってしまうとこれが快適に転じる。

全車横滑り防止装置を搭載。タイヤサイズは225/45R18。シルバーの加飾を各所に使ったインテリア。インテリアカラーはブラックのほか、アイボリーも選べた。ドライバーズ・シートは10ウェイ電動調整機構付き。最高出力170ps、最大トルク229Nm を発揮する2457ccのフラット4 SOHCは、現代でも通用する。排気量が大きくなっても、スムーズなのはやっぱりフラット4という形式ゆえだろう。

それと、4WDの安心感。室内はこれまで乗ったなかで1番広くて、楽チンだ、と後席住人のカメラマンのヤスイさんの評判もいい。助手席のイナガキさんも、しばしスヤスヤと眠っている。

センターアームレスト付きのリアシートはリクライニング機構付き。リアシート専用のエアコン吹き出し口。ラゲッジルーム容量は、通常時520リッター。リアシートのバックレストは、ラゲッジルームサイドにあるレバーで倒せる。リアシートのバックレストは40:60の分割可倒式。ラゲッジルームのフロア下には、小物入れ用の収納スペースがある。「より遠くまで、より快適に、より安全に」。スバルのグランド・ツーリング思想、ここにあり。

「ノスタルジーではなく、われわれの進化を知ってほしい」と広報のK氏は強調していたけれど、『SUBAR GT EXPERIENCE』は1989年初代レガシィから現代のレヴォーグ1.6まで、時空を飛び越える、夢のような旅だった。【前編はこちら!】

文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)


初代レガシィだけは2.5Lの設定無かったんだよね
初代と2代目にはSOHCの1.8Lが設定あったけど
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Posted at 2019/10/19 21:36:37

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