2023年02月17日
『メルセデス・ベンツCLR』宙を舞ったル・マン専用のシルバーアロー【忘れがたき銘車たち】
モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは、1999年のル・マン24時間レースを戦った『メルセデス・ベンツCLR』です。
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1999年、ル・マン24時間レースをはじめとするスポーツカーレースは、大きな転換点を迎えていた。遡ること4年前の1995年頃よりル・マンは、BPR GTグローバルシリーズを範として、市販GTカーをベースとするGT1カテゴリーがレースの主役になった。
しかし、ポルシェ911 GT1、メルセデス・ベンツCLK-GTR/LM、さらに日本のニッサンR390GT1、トヨタGT-One(TS020)など、スポーツプロトタイプカーの如し、名ばかりのGTカーたちが多数登場した。これによって過激化の一途を辿ったGT1は、1999年にそのGT1というクラス名がル・マンから消滅。
前年までGT1と名乗っていたクラスが、LM-GTPと名称を変え、GT1マシンたちはこのLM-GTPクラスに編入され、1999年のル・マンを戦うことが決まった。
この年、このLM-GTPクラスで戦ったのは1998年にGT1へとデビューしたトヨタTS020、1999年から新規参入したアウディR8C。そして、この2車に加えてエントリーしていたのが、メルセデス・ベンツCLRだった。
メルセデス・ベンツCLRは、それまでのGT1クラスにあった“ロードカー”を製作する必要がGTPクラスではなくなり、1999年はGT1車両の選手権も開催されなかったことから、ル・マン専用のプロトタイプカーとして開発された。メカニズム的にはCLK-LM譲りの5.7リッターV8 NAエンジンを搭載するなど、CLK-LMを踏襲した車両だった。
一方で、シャシーの上半分は一新された。車重は前年の車両に比べて約50kgほど軽量化された900kgを実現。全高も低く、ライバルよりも大幅に長いノーズの相乗効果で、異様に低い特徴的なフォルムのCLRが誕生した。
しかし、この特徴的なフォルム、特に長いノーズが、マシンが宙を舞う衝撃的な事故を複数回引き起こした要因のひとつなってしまう。
迎えた1999年のル・マン。まず1度目の事故は、木曜日の夜の公式予選で起こった。このセッションで、マーク・ウェーバーのドライブするCLRが宙を舞ったのだ。この事故ではマシンがタイヤから着地したため、その後、車両は修復されたのだが、続いて2度目の事故も起こってしまう。
それは土曜日の朝、決勝前のウォームアップセッションでのことだった。この時もマーク・ウェーバーがドライブ中にユノディエールでマシンが舞い上がり、今度はルーフから落下した。いずれの事故も他車のスリップストリームに入ったときに発生した事例だった。
CLRの空気抵抗を減らし、最高速の向上にはひと役買っていた長いノーズや、バンプの多い公道区間もあるサルトサーキットでは、硬すぎるサスペンションのセッティング、加えて前車のスリップストリームに入りさらにダウンフォースが減ったことなど、ノーズが浮き上がってしまうさまざまな要因が重なり、起きたクラッシュであった。
メルセデスはこの事故の対策として、決勝レースに向けてCLRにカナードを装着。これでフロントのダウンフォースを増し、フロントのピッチングを抑えて、ノーズがリフトしてしまうのを抑制しようとした。メルセデス陣営は「改善できた」と語っていたが、これはそれほど意味を成していなかった。
2度のクラッシュにより1台を失った状態で挑んだ決勝レースでは、マシンの改良に加えて「前車のスリップストリームに入らないように」という指令がドライバーに出されていたが、あれだけのハイスピードコースでそれは難しい要求でもあった。
その結果、多くの方がテレビ中継でご覧になっただろうクラッシュが決勝レースでも発生してしまう。ピーター・ダンブレックのドライブしていたCLRが宙を舞い、コース外へと飛び出して着地。いずれの事故でも幸いにして、重傷を負った者、死者は出なかったが、決勝中ながらコース上に残っていた1台もピットへ呼び戻し、メルセデスはル・マンからの撤退を決めた。
そしてこの1999年から今日に至るまで、メルセデスはル・マン24時間レースの舞台から姿を消している。またこのCLRの事故が契機になり、FIAによる原因究明、研究が即座に進み、再発防止策が策定された。このことが今日の安全性向上に寄与していたことも忘れてはならないだろう。
Posted at 2023/02/17 23:19:45 | |
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メルセデスベンツ | 日記
2022年12月21日
メルセデスAMG史上最強のレーシングカー、707馬力ツインターボ搭載…「GT2」欧州発表
メルセデスベンツは12月8日、新型レーシングカーのメルセデスAMG『GT2』(Mercedes-AMG GT2)を欧州で発表した。
メルセデスAMG GT2は、スポーツカーのメルセデス『AMG GT』をベースに開発されたレーシングカーだ。既存のメルセデスAMG『GT3』と『GT4』の間を埋めるモデルとなり、2020年に「SRO」によって導入された「GT2」のレギュレーションを満たすレーシングカーになる。
市販車のメルセデスAMG GT用の4.0リットル(3982cc)V型8気筒ガソリンツインターボエンジンをベースにする。フラットクランクシャフトの採用など、各部のチューニングを受けた。その結果、この4.0リットルV型8気筒ツインターボは、最大出力が530hpから707hpへ177hp、最大トルクは68.3kgmから81.6kgmへ13.3kgm、強化されている。メルセデスAMG史上、最強のレーシングカーになるという。
メルセデスAMG 新型レーシングカー「GT2」発表 史上最強の4.0L V8エンジン搭載車
メルセデス史上最強のレーシングカー
メルセデスAMGは、新型のレーシングカー「GT2」を公開した。市販のAMG GTをベースとしており、同社の歴史上、最もパワフルなカスタマーレーシングカーとなっている。
パワートレインは、GT4などでおなじみの4.0LツインターボV8エンジンと6速シーケンシャルトランスミッションを搭載。最高出力707psと最大トルクと81.5kg-mを発生させる。
その他、ロックディファレンシャル、調整可能なショックアブソーバー、アンチロールバー、6ピストンブレーキキャリパー(リアは4ポット)、マルチアジャスタブル・アンチロックブレーキが装備されている。
車重はエアコン付きで1400kgを切り、1350kgのアウディR8 LMS GT2よりわずかに重くなったものの、競争力を保っている。
メルセデスは、「毎週末レースをしないジェントルマン・ドライバーたちが、この巨大なパワーを常に安全な方法でコントロールできるようにすること」を目指したのだという。
アマチュアでも制御しやすいハンドリングを実現するためには、エアロダイナミクスが重要な役割を果たす。スワンネック型のリアウイングは幅広い角度に調整可能で、フロントウイングには空気の流れを改善するために大きな通気孔が新たに設けられた。
コックピットは人間工学を考慮して開発され、経験の浅いドライバーにも可能な限り使いやすく、直感的に操作できるように配慮されているという。マルチファンクション・ステアリングホイールは、レーシング用ステアリングホイールのスペシャリストであるキューブ・コントロールズと共同開発されたもの。
新型GT2は、2023年のモータースポーツシーズン開幕に向け、ドイツ・アファルターバッハに拠点を置くレーシングチームHWAの協力により、販売開始に先駆け複数のサーキットでテストを行う予定。
価格は発表されていないが、競合車と同様に40万ポンド(約6600万円)前後からになると予想される。
メルセデスAMG、GT2マーケット向けに707馬力を誇る『メルセデスAMG GT2』を発表
メルセデスAMGは12月8日、SROモータースポーツ・グループが展開するGT2カテゴリー向けの新たなカスタマーレーシングカー『メルセデスAMG GT2』を発表した。GT3、GT4のギャップを埋めるものとなる。
GT2カテゴリーは2020年に導入されたもので、パフォーマンスが先鋭化したGT3、エントリーカテゴリーとなるGT4の間を埋めるジェントルマンドライバー向けのカテゴリー。パワーではGT3より大きく、ダウンフォースレベルはGT3より低く設定。ジェントルマンたちが楽しめるように位置づけられている。
そんなGT2にはアウディやランボルギーニ、ポルシェ、KTM、さらにブラバムが参入しているが、メルセデスAMGは過去12年間のカスタマーレーシングで最も強力なパワーを誇るモデルとして、GT2モデルをリリースすることになった。
GT2向けらしく、パワーはフラットクランクシャフトをもつAMG4リッターV8ビ・ターボエンジンから707馬力を発生。6速シーケンシャルギヤボックスが組み合わされる。他のGTモデルと同様、ギヤボックスはトランスアクスル構成でリヤアクスルに取り付けられる。またサスペンションはモータースポーツ用ショックアブソーバーと、調整可能なアンチロールバーが装着される。
外観はGT3モデルよりもすっきりとした印象だが、ワイドなフロントセクションからリヤエンドまで、パフォーマンスを追求。大きなエアアウトレットを備えたカーボンボンネットを使用する。また、最大の特徴はスワンネックマウントで装着される大型のリヤウイングで、信頼性が高いハンドリングに寄与。経験が浅いドライバーでもすぐに自信をもつことができるとしている。
またコクピットは機能的なレーシングエルゴノミクスを採用。最新世代のデジタル・ディスプレイ・ユニット(DDU)を備え、ユーザーフレンドリーを目指した。また、マルチファンクションステアリングホイールは、シミュレーターを手がけるキューブ・コントロール社と共同開発している。
安全性も配慮され、GT2、GT4にも組み込まれる先駆的な安全コンセプトを採用。マルチアジャスタブル・トラクションコントロール、最新世代のレーシングABSなど、ドライバー支援システムが含まれる。
今後、メルセデスAMG GT2はGT2ヨーロピアンシリーズの開催サーキットで総合的なテストが行われ、2023年の販売を目指していく。GT3、GT4モデルと同様、HWA AGの技術サポートが保証されている。
707PSのV8ツインターボ搭載!メルセデスAMG GT2レーシングマシンの圧倒的なパフォーマンス!
圧倒的に高性能なパフォーマンス
メルセデスAMGより、アファルターバッハで成功を収めたGT3、GT4カーに加えて、さらに高性能化、最もパワフルな「メルセデスAMG GT2」レーシングカーが発表された。特長のコンテンツは何といっても707馬力を発揮するAMG 4.0リッターV8ツインターボエンジンだ。さらに、フラットクランクシャフトにシーケンシャル6速レーシングギアボックス、モータースポーツ用ショックアブソーバーとアンチロールバーを装備し、圧倒的なパフォーマンス性能を発揮する。また、AMGレーシングカーが誇る高レベルの安全性もしっかり充実し、国際的なGT2レースでもその成果を発揮するだろう。
新型メルセデスAMG GT2のフィーチャーすべき特長は、突出した走行性能だ。搭載された AMG 4.0L V8ツインターボエンジンは707PSという高出力を発揮。フラットクランクシャフトと、ギア比を適切化したシーケンシャル6速ギアボックスによってロスなくドライブシャフトへと伝達されている。
ギアボックスはトランスアクスル構成でリアアクスルに搭載され、カーボントルクチューブ、トーション、トルクリジットでエンジンと接続。サスペンションには、包括的な設定が可能なモータースポーツ用ショックアブソーバーと調整可能なアンチロールバーが内包され、本格レースのためのチューニングが施されている。
メルセデスAMG GT2のアグレッシブなエクステリアは、他のアファルターバッハ・カスタマーレーシングカーと同様に独自のデザイン言語で表現されている。巨大なエアインテークを備えたワイドなフロントセクションから筋肉質なリアエンドまで、すべてのディテールが性能を目的としたデザインで構成されている。カーボン製のボンネットには大きなエアアウトレットがあり、フロントアクスルのカーボン製ウィングにはエアロダイナミクス性能に影響を与えるルーバーが内蔵されている。
メルセデスAMG GT2のハイライトは、特徴的なスワンネックマウントによって固定された完全新開発のリアウィングだ。この大型の一段ウィングは、マルチアジャスト機構を備え、正確なハンドリングに大きく貢献する。歴代のAMGカスタマーレーシングカーに外れず、GT2バージョンは信頼性の高いハンドリングでも際立っており、ビギナードライバーでも自信を持ったドライビングパフォーマンスが発揮できるようになっている。足回りには、革新的なセントラルホイールマウントシステムが採用されていることにより、鍛造18インチAMG軽合金ホイールの交換がより速く確実に行えるようになった。
ドライバーを主体とする堅牢なコックピット空間
メルセデスAMG GT2のコックピットには、機能的なレーシングエルゴノミクスデザイン(人間工学)が採用されている。最新世代のDDU(デジタル・ディスプレイ・ユニット)は、ドライバーの前方視野を遮ることなく高解像度で必要な情報を表示。プログラムが可能なソフトを内蔵することで、直感的操作と使いやすさを重視している。特徴的なマルチファンクション・ステアリングホイールは、メルセデスAMGがシムレーシングのエキスパートであるキューブコントロールズと共同開発した新設計のモデルを搭載している。
レーシングカーにおいて、パフォーマンスと同じくらい重要なのがドライバーを保護する安全性だ。ドライバーを最適に保護するため、メルセデスAMG GT2には、GT3やGT4にも採用されている先駆的な安全性コンセプトが採用されている。これには、マルチアジャスタブルトラクションコントロールや最新世代のレーシングABSなど、レース専用のドライバーエイドシステムが含まれている。
車両内部は、アルミニウム製スペースフレームにボルトで固定されたスチール製ロールケージで囲われている。カーボン製のドライバーセーフティセルには、6点式セーフティベルトとカスタマイズ可能なエルゴノミックシートフォームが装備。セーフティネット、ルーフの脱出用ハッチ、カーボン製の安全燃料タンク、強力なモータースポーツ用消火システムなど、緊急時のための安全装備はかなり充実している。
メルセデスAMG GT2は、納車先のカスタマーチームに完全な状態で提供される。新型車は今後数週間、GT2ヨーロッパシリーズのサーキットなどで総合的なテストが行われ、それに加えて、レーシングコンディションでの耐久テストも予定されている。
メルセデスAMG GT2を使用するチームは、メルセデスAMGのカスタマーレーシングプログラムによるフルサポートを受けることができ、GT3、GT4と同様にテクニカルサポートを受けることができるようになっている。メルセデスAMG GT2レーシングマシンは、2023年シーズンより販売開始される。
Posted at 2022/12/21 21:32:18 | |
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メルセデスベンツ | 日記
2022年10月21日
メルセデスAMG『SL』、アドヴィックスの新開発キャリパを採用
アイシングループの自動車ブレーキ部品メーカーのアドヴィックスは、新開発の高性能キャリパが、メルセデスAMGの新型『SL』(Mercedes AMG SL)に採用されたと発表した。今回採用された製品はアルミ対向型6ポットキャリパで、制動力を向上したのが大きな特徴。
アドヴィックスでは、車載用電池を搭載する電動化に伴ってクルマの重量が増加傾向にあることから、今回開発した高性能キャリパが今後、幅広い車両向けにニーズが高まると見ている。
アドヴィックスは、世界トップレベルのブレーキシステムサプライヤーとして新たなニーズに対応する次世代ブレーキの開発に挑戦するとしている。
Posted at 2022/10/21 23:49:37 | |
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メルセデスベンツ | 日記
2022年06月25日
【スクープ】ポルシェ911をロックオン! 「メルセデスAMG GT」次期型には2.0L直4ユニットも設定か!?
トップモデルにはモーターを組み合わせた「Eパフォーマンス」がラインナップ
メルセデスベンツのハイパフォーマンスブランドであるAMGは現在、フラッグシップ2ドアクーペ『GTクーペ』次期型を開発中だが、その最新プロドライブがニュルブルクリンク・ノルドシェライフェに出現した。
初代である現行型GTクーペは、SLSの後継モデルとして2014年に導入、いよいよ2代目へ世代交代される。ニュルで捉えたプロトタイプは、まだまだカモフラージュが厳重だが、後部が若干軽くなっており、進化したヘッドライト、流麗なルーフライン、ロングノーズのシルエットが見てとれる。
足回りには巨大なブレーキキャリパーを備えたクロスドリルディスクを備え、後部にはSLよりスリムなLEDテールライトの一部も確認できる。AMG GTはロードスターのパワーソフトトップではなく、固定ルーフを使用しているため、同時に開発されたSL新型より軽量になると思われ、4シーターになり実用性が高めれたSLに対し、GTでは2シーターを継承する可能性が高そうだ。
キャビン内は、12.3インチのデジタルインストルメントクラスターと、縦型11.9インチのインフォテインメントシステムを搭載、傾斜を12度から32度に調整できるなど、SLのレイアウトに似たものが予想される。
パワートレインは、SLと同様に2つの4.0L V型8気筒ツインターボエンジンから供給され、最高出力469psと577psを発揮するが、GT53では最高出力476ps、最大トルク699Nm、GT63では最高出力585ps、最大トルク800Nmを発揮すると見られる。だが厳しい排出規制により、2.0L直列4気筒がラインアップされる可能性もあるといい、それぞれ9速オートマチックトランスミッションと、AMG Performance 4MATIC+全輪駆動システムを搭載するはずだ。
また頂点には「Eパフォーマンス」をラインアップ。最高出力は843ps、最大トルク1400Nmを発揮する4.0L V型8気筒ツインターボエンジンに電気モーターが組み合わされることになりそうだ。
GTクーペ次期型のワールドプレミアは、今年後半あるいは2023年前半とみられ、市場ではポルシェ911と対峙することになる。
Posted at 2022/06/25 20:55:15 | |
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メルセデスベンツ | 日記
2022年06月07日
メルセデスAMGの新型車、『プロジェクトワン』の市販版か 6月1日発表へ
メルセデスベンツの高性能車部門のメルセデスAMGは5月30日、新型車を6月1日に初公開すると発表した。ティザー映像からは、開発を進めている新型ハイパーカー、メルセデスAMG『プロジェクトワン』(Mercedes-AMG Project ONE)の市販モデルが登場する可能性がある。
メルセデスAMGプロジェクトワンは、メルセデスAMGの創業50周年を記念し、F1技術を搭載した公道走行可能なハイパーカーとして、開発を進めているモデルだ。F1マシン譲りの1.6リットルV型6気筒ガソリンターボエンジンをミッドシップに搭載する。ピストンやクランクシャフト、電装システムが専用設計となり、エンジンは1万1000rpmと非常に高回転まで回るのが特長だ。最大出力は680hp以上を発生する。
この1.6リットルV型6気筒ターボエンジンに、フロント2個(163hp×2個)、ターボチャージャーとエンジンにそれぞれ1個の合計4個のモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHV)とし、加速時などにエンジンのパワーをアシストする。PHVシステム全体では、1000hp以上のパワーを獲得する。
トランスミッションは8速の「AMGスピードシフト8」で、駆動方式は4WD。メルセデスAMGプロジェクトワンは、0~200km/h加速6秒以下、最高速350km/h以上の優れたパフォーマンスを可能にする。
公道走るF1、メルセデスAMG『ワン』発表…最高速352km/h
メルセデスベンツの高性能車部門のメルセデスAMGは6月1日、新型ハイパーカーとして開発を進めてきたメルセデスAMG『プロジェクトワン』の市販モデル、メルセデスAMG『ワン』(Mercedes-AMG ONE)を発表した。
メルセデスAMGワンは、メルセデスAMGの創業55周年を記念し、F1技術を搭載した公道走行可能なハイパーカーとして登場した。F1マシン譲りの1.6リットルV型6気筒ガソリンターボエンジンをミッドシップに搭載する。ピストンやクランクシャフト、電装システムが専用設計となり、エンジンは1万1000rpmと非常に高回転まで回るのが特長だ。市販モデルでは、最大出力が574hp/9000rpmと発表された。
この1.6リットルV型6気筒ガソリンターボエンジンに、フロント2個(163hp×2個)、ターボチャージャーとエンジンにそれぞれ1個(122hpと163hp)の合計4個のモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHV)とし、加速時などにエンジンのパワーをアシストする。市販モデルでは、PHVシステム全体のパワーが1063hpに確定した。
トランスミッションは7速「オートメーテッドマニュアル」で、駆動方式は4WD。メルセデスAMGワンは、0~100km/h加速2.9秒、0~200km/h加速7秒、0~300km/h加速15.6秒、最高速352km/hのパフォーマンスを可能にしている。
メルセデスAMG、F1譲りのV6ターボ+4モーターで1063馬力…電動ハイパーカー『ワン』発表
メルセデスベンツの高性能車部門のメルセデスAMGは6月1日、新型ハイパーカーとして開発を進めてきたメルセデスAMG『プロジェクトワン』の市販モデル、メルセデスAMG『ワン』(Mercedes-AMG ONE)を発表した。
◆0~100km/h加速2.9秒で最高速352km/h
メルセデスAMGワンは、メルセデスAMGの創業55周年を記念し、F1技術を搭載した公道走行可能なハイパーカーとして登場した。F1マシン譲りの1.6リットルV型6気筒ガソリンターボエンジンをミッドシップに搭載する。ピストンやクランクシャフト、電装システムが専用設計となり、エンジンは1万1000rpmと非常に高回転まで回るのが特長だ。市販モデルでは、最大出力が574hp/9000rpmと発表された。
この1.6リットルV型6気筒ガソリンターボエンジンに、フロント2個(163hp×2個)、ターボチャージャーとエンジンにそれぞれ1個(122hpと163hp)の合計4個のモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド(PHV)とし、加速時などにエンジンのパワーをアシストする。市販モデルでは、PHVシステム全体のパワーが1063hpに確定した。
電動ターボは発電機としても機能し、排気ガスのエネルギーを利用して、電気エネルギーを生成する。この電力は、リチウムイオンバッテリーに蓄えられるか、「MGU-K (モーター・ジェネレーター・ユニット・キネティック)」に供給される。 MGU-Kの出力は120kWで、エンジンに配置されており、スパーギアシステムを介してクランクシャフトと接続されている。これは、F1で最大の効率とパフォーマンスを実現するためのテクノロジーのひとつだ。
トランスミッションは7速「オートメーテッドマニュアル」で、駆動方式はハイブリッド駆動のリアアクスルと、トルクベクタリング付きの電動フロントアクスルを備えた4WD「AMG パフォーマンス4MATIC」だ。メルセデスAMGワンは、0~100km/h加速2.9秒、0~200km/h加速7秒、0~300km/h加速15.6秒、最高速352km/h(リミッター作動)のパフォーマンスを可能にしている。
◆EVモードでは最長18kmをゼロエミッション走行
メルセデスAMGの新たな電動化技術、「Eパフォーマンス」を搭載する。Eパフォーマンスとは、メルセデスAMGのパフォーマンス指向の電動化テクノロジーを意味する。Eパフォーマンスのロゴの下で、パワフルで効率的な電動テクノロジーを開発していく。
メルセデスAMGが開発したパフォーマンスハイブリッドモデル用の高性能バッテリーが採用される。メルセデスAMGペトロナスF1チームのノウハウを導入して、開発されたリチウムイオンバッテリーとなる。この高性能バッテリーは、連続して高いパワーを引き出すことができるのが特長だ。これに軽量構造を組み合わせて、車両の性能を向上させる。高いエネルギー密度を備えており、たとえば高低差の大きい山道を走行する場合、上り坂でも素早くフルパワーを引き出すことができるという。
このメルセデスAMGの高性能バッテリーは、8.4kWhの蓄電容量を備える。バッテリーの充電は、充電ステーション、ウォールボックス、家庭用コンセントに、出力3.7kWの車載AC充電器を接続して行う。EVモードの航続は最長で18.1kmとした。
バッテリーセルとその配置、冷却システムには、メルセデスAMGペトロナスのF1マシンと同じ技術を使用する。リチウムイオンバッテリー、12Vの車載電気システム向けのDC/DCコンバーターは、フロントアクスル後方の車両フロアにコンパクトに搭載される。高電圧の「EQ Power +」プラグインハイブリッド(PHV)システムは、通常の400ボルトではなく800ボルトで作動する。電圧レベルが高いため、ケーブルの太さを細くでき、それに応じてスペースと重量を節約した。
◆F1マシンと同様のプッシュロッド式サスペンション
走行モードは、EVモードからラップタイムを追求するダイナミックモードまで、複数のモードを用意する。EVモードでは最初、フロントの電気モーターだけで駆動し、加速をサポートする。ドライバーがアクセルをより深く踏み込むと、V6エンジンが始動する。レーススタート機能を使用すると、さらに加速性能が引き上げられる。
カーボンファイバー製モノコックにカーボンファイバー製ボディを組み合わせた。アクティブエアロダイナミクスを採用する。サスペンションをF1マシンと同様のプッシュロッド式とし、サーキットの特性に合わせて調整可能とした。ABSは標準装備で、ESPは3段階で調整できる。 ESPの「SPORT」はハンドリングモードで、システムが介入する前に、より大きなヨーアングルを可能にする。
2シーターのインテリアには、2つの高解像度10インチディスプレイを採用した。AMGモータースポーツシートは、背もたれを2つの位置に調整できる。ペダルの位置も11段階に調整可能。F1スタイルのステアリングホイールは、上部と下部がフラットなデザインだ。走行モードやサスペンションやトラクションコントロールの設定、LEDシフトディスプレイなどの調整機能が付く。ルームミラーは、カメラの「ミラーカム」からのリアルタイム映像を表示するスクリーンに置き換えられている。
メルセデスAMG F1エンジン搭載の新型ハイパーカー公開 史上最速ハイブリッドマシン
AMG史上最もパワフルな市販モデル
メルセデスAMGは、F1にインスパイアされた新型ハイパーカー「ワン(ONE)」を公開した。今年後半に納車を開始する予定だ。
2017年のフランクフルト・モーターショーで発表されたコンセプト「プロジェクト・ワン」をもとに開発。F1向けに開発された1.6L V6エンジンに4基の電気モーターを組み合わせ、合計出力1063psというAMG史上最もパワフルな市販モデルとなっている。
最高速度は352km/hに制限されているが、1997年のメルセデス・ベンツCLK GTRの344km/hを上回っており、同社史上最速の市販モデルである。
新型AMGワンの開発には、メルセデスの市販車部門と英国に拠点を置くF1チーム、そしてAMGハイパフォーマンス・パワートレインズ部門が密接に関わっている。
予定生産台数は275台以下、価格は275万ドル(約3億5600万円)から。当初は2019年の発売を予定していたが、F1向けエンジンの排ガス規制や高度なエアロダイナミクス開発に難航していた。
メルセデス・ベンツのオーラ・ケレニウスCEOは最近、「会議の議事録を確認する必要がありますが、(ワンの)開発を承認したとき、わたし達はきっと酔っぱらっていたのでしょう」と、冗談を飛ばしている。
高度なエアロダイナミクス設計
車体のベースとなるのは、スチール製ロールバーを内蔵したカーボンファイバー製モノコックだ。このモノコックが、ハイブリッド・パワートレイン用の大型リアサブフレーム構造と、カーボンファイバーおよびチタン製のリアシャシーを支えている。
スタイリングは、2017年のコンセプトをほぼ忠実に踏襲している。しかし、5年間の開発期間の中で、高い性能目標を達成するためにあらゆる面が刷新された。
カーボンファイバーと複合プラスチックを組み合わせたボディは、最大限のダウンフォースを発生させるために開発されたものだ。また、フロントエンドの冷却ダクト、フロントフェンダー上部のルーバー、伸縮可能な2ピースのリアウィングなど、可動式エアロパーツを多数装備している。
走行中、エアロダイナミクスのレベルを3段階に調整できる。ダクトとルーバーを閉じ、リアウイングを格納した「ハイウェイ」、ダクトとルーバーを開き、リアウイングを伸ばした「レースマックス・ダウンフォース」、ダクトとルーバーを閉じ、リアウイングフラップを格納した「レースDRS(ドラッグリダクションシステム)」だ。
ノーズには大型ダクト、キャビンには弧を描くエアボックス、リアにはエンジンルームから熱気を排出する大型エクストラクターが装備され、デザイン的にも重要な役割を果たしている。
ホイールはセンターロック式で、フロント19インチ、リア20インチを採用。素材は鍛造アルミニウムが標準だが、オプションで鍛造マグネシウムも選択できる。タイヤは特注のミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2R M01を装着する。
F1用エンジンに電気モーター4基搭載
縦置きに搭載されたV6エンジンは、メルセデスが8年連続でコンストラクターズタイトルを獲得したF1エンジンの改良型だ。最高出力は574ps/9000rpmで、レッドラインは1万1000rpm。排ガス規制をクリアするため、電気加熱式触媒とガソリン微粒子フィルター、そしてチタン製のリアサイレンサーが採用されている。
4基の電気モーターには、F1マシンの技術がふんだんに盛り込まれている。出力123psのモーターはターボチャージャーと電動コンプレッサーの間のシャフトに、163psのモーターはエンジン上に配置され、ドライブシャフトに接続されている。さらに163psのモーター2基がフロントアクスルに内蔵されている。
合計出力は1063psで、これまでで最もパワフルな市販モデルであるGTブラックシリーズよりも333ps高い。アストン マーティン・ヴァルキリーの1176psや、フェラーリSF90ストラダーレの1000psと近い数値だ。
メルセデスAMGは、「ドライブトレインの複雑な性質上、代表的な数値を示すことができない」とし、トルクを公開していない。しかし、0-100km/hは加速2.9秒、0-200km/h加速7.0秒、0-300km/h加速15.6秒と謳っている。トランスミッションは、シフトパドル付きの新開発の7速自動AMTを採用。
走行モードは6種類。「レースセーフ」、「レース」、「EV」、「インディビジュアル」、「レースプラス」、「ストラット2」で、最後の2つはサーキット走行用として用意されている。
レースセーフモードは、オンデマンドのハイブリッド駆動。レースモードでは、エンジンが常に作動し、バッテリーの充電に使用される。EVは電気のみで走行するモードだ。
レースプラスモードでは、リアウイングを所定の角度で展開しダウンフォースを増加させるエアロ機能、サスペンションのローダウン、パワートレインの「スペシャル・パフォーマンス・マネージメント」を行う。
ストラット2(F1マシンの「ストラテジー2」モードに由来)は、エアロやサスペンションチューン、パワーマネジメントを最も過激なものとし、フルパワーを発揮する。
サーキット走行に特化したインテリア
足回りもレース仕様だ。四輪に5リンク式のプッシュロッド・サスペンション、横置きダンパー、アジャスタブルストラット、セラミック製ボールベアリング(従来はスチール製)を採用している。
また、電子制御トラクションコントロールシステムは、9段階以上の設定が可能とされている。
インテリアは、合成皮革とカーボンファイバーのコンビネーション。薄型シートはモノコックのフロアに直接取り付けられており、ドライバーとパッセンジャーは非常に低い位置に座り、腰が足よりも低い姿勢になる。
F1スタイルのステアリングホイールには、シフトランプとドライビングモード、トラクションコントロール、リアウィングのコントローラーが装備され、エアバッグも内蔵されている。
エアコンと電動ウィンドウは標準装備で、デジタルバックミラーにより後方視界を確保。中央の収納スペースには、2つのUSB-Cポートが設置されている。ペダルボックスには十分な調整幅が設けられた。
荷物を運ぶための設備はないが、小さな荷物であればシートの後ろとセンターコンソールの上に収納することができる。
Posted at 2022/06/07 22:20:06 | |
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メルセデスベンツ | 日記