グローバルラリークロスで新井敏弘が決勝進出を逃す!
独特の競技に初出場の洗礼を浴びた!
米国内で転戦するレッドブル・グローバルラリークロス(GRC)の最終戦がロスアンゼルス郊外のサンペドロにあるポートオブロスアンゼルスで開催される。このLA戦がGRC最終戦の2レースとなるが、ここに日本のトップラリードライバー、新井敏弘選手がスバルラリーチームUSA(SRTUSA)から参戦している。
前日のマシンからの出火で、レース1への進出を果たせなかった新井選手のWRX STIは、出火後にピットに戻ると、すぐにバラバラにされ、清掃、そしてエンジン&ハーネスの交換作業を開始。
メカニックたちの頑張りで、深夜には修復を完了。翌日曜日の朝には新車のようなきれいな状態に仕上がっていた。この辺りはさすがラリーチームだけのことはある。
午前7時半という非常に早いタイミングでの朝イチの練習走行セッションから、無事に88号車は走りだし、新井選手も走行に慣れてきたようでチームメイトのデビッド・ヒギンズ選手に次ぐ11番手でこのセッションを終える。
タイムスケジュールは間髪入れずに、すぐに予選、ヒートレースと続く日曜日。
新井選手は、予選で無線の端子が接触不良となってスポッターからの指示が入らなくなってしまい、他車のアタックを妨害したとしてペナルティを受けることとなってしまった。ペナルティはトップタイム抹消というもので、44秒311のタイムで残念ながらポジションは13番手(ベストタイムは43秒308)。
同じWRX STIに乗るチームメイトのクリス・アトキンソン選手は42秒573で3番手、そしてデビッド・ヒギンズ選手は43秒573で12番手。結果、SRTUSAからはクリス選手だけが予選トップ6台で再び予選を行なうノックアウトセッションに進出。なんとトップでこのセッションを終えている。
そして続くヒートレース、セミファイナルとこの日のレース形式での走行は厳しい、戦いが繰り広げられた。そして迎えたLCQ(敗者復活戦)。合計7台が参戦するこのセッションで、新井選手がまさかの6位、最下位。つまり決勝に進出できない1台となってしまった。
ジャンプ中に他車に追突され、コースアウト。その際、エンジンまで止まってしまたため再スタートに手間取り大きく順位を落としたことによるもので、万事休す。
新井選手は「満員電車に飛び込む感じで場所をこじ開けていく感じのレースだね。引いたら負けちゃうし、かといって行きすぎると、ヒート1のときみたいにペナルティを食らっちゃうし……。初めてのドライバーにはかなり厳しい制裁が来るとは聞いていたけど、いまだにどこまで当てていいのかわからない。 もっと事前からしっかりとテストをして、自分仕様のマシンを仕上げられれば、タイムももっと少し縮められたんじゃないかなぁ。いろいろと消化不良のところはあるけれど、勉強になったこともあったし。次に参戦したら、クルマにもレースにも理解が深まるし、決勝にも進めると思う」というコメント。ぜひ次回の参戦を期待したい。
新井選手を除く12名の選手が出場した決勝レースでは、スタート直後から各所で激しいつばぜり合いと接触が相次ぎ、マシンの外観は激しく損なわれていく。わずか12周のレースだが、それもままならないマシンも続出し、非常に厳しいレースであった。
しかし、そのハードなレース、スタートからチェッカーまでトップを譲らなかった#38フォード・フィエスタに乗るチップガナッシレーシングのブライアン・ディーガン選手が見事優勝を果たした。
そして2016年のシリーズタイトルは、このレースで2位に入ったフォルクスワーゲン・アンドレティ・ラリークロスの#41スコット・スピード選手が手にした。
決勝レース後のパドックでは、損傷したマシンから外されたエアロやホイールなどの各パーツがファンに手渡された。レースだけではなく、レース後も楽しめるイベントであった。
(文・写真:青山義明)
世界の新井敏弘が急きょ参戦するグローバルラリークロスって何?
グローバルラリークロスってなんだ?
日本のトップラリーストである新井敏弘選手が、グローバルラリークロス最終戦にスバルWRX STIで参戦することが急きょ決定した。
グローバルラリークロスとは、ジャンプも含むダートコースと舗装路が組み合わさったコースを使って、ラリー仕様のマシンで行なわれる肉弾戦的なレースとして、欧州で盛んなレースカテゴリーの一つ。ヨーロッパ選手権は1973年からスタートしている。
また、2014年からはFIA世界ラリークロス選手権(WorldRC)が開催されている。このW-RCに近いレギュレーションで行われている、まさにラリークロスのアメリカ・バージョンといえるのが、このレッドブル・グローバルラリークロスである。
アメリカでのラリークロスは、2010年からスタート。もともとはXゲームの一部として開始したもの。2012年にグローバルラリークロスという名称となり、2013年には下位カテゴリーとなるライトクラスを新設、2014年にはシリーズ年間10戦を開催するなど、年々イベントとしても成長を遂げている。
この競技は、ダートとターマック(舗装路)、そしてジャンプスポットが設けられた特設コースで行なわれる。面白いのは、ジョーカーラップと呼ばれるコースが設けられていることだ。これはコースを一部ショートカットできるもので、使用するタイミングは各チーム・ドライバーの判断となる。スポッターと呼ばれるナビゲーターがコース脇にあるスタンドからコース内の各車の状況を逐一ドライバーに伝え指示を出す。
練習走行に続き、予選、ヒートレース、セミファイナル、ラストチャンスクオリフィア(LCQ)、そしてファイナル(決勝)というセッションスケジュールとなる。
予選は単走で5周し、そのベストラップがヒートレースの進出基準タイムとなる。ヒートレースはセミファイナルへの進出を掛け4台のマシンで6周を走行。そしてセミファイナルは6周の走行を2回行ないそれぞれのトップ3が自動的に決勝へ進出できる。LCQは敗者復活戦ということで、LCQを勝ち残った4台も決勝へと駒を進めることができる。そして予選を勝ち上がってきた10台で10周を争うのが決勝となる。
シリーズは、スーパーカークラスと前述のとおりライトクラスという2クラスで開催。スーパーカークラスは4輪駆動で600馬力をたたき出すモンスターマシン。フォルクスワーゲンのビートル、ホンダ・シビック、フォード・フィエスタといった車両が出場している。一方のライトクラスのほうは、馬力を310馬力に抑えられた車両を使用する。
2016年のレッドブル・グローバルラリークロス(GRC)選手権は3月のアリゾナ州フェニックスでの開催を皮切りに、8カ所12戦(ダブルヘッダーと呼ばれる1イベント2レースの開催が4回ある。このLA戦もそのひとつ)が行われている。そのGRC選手権最終戦は、カリフォルニア州サン・ペドロにあるポート・オブ・ロスアンゼルスが舞台となる。
STIは、今シーズンから、このGRCへの技術サポートを開始しており、スバルラリーチームUSA(SRTUSA)から、今回新井敏弘選手がスポット参戦することとなった。
新井選手は、プロダクションカー世界ラリー選手権(PCWRC)で2005年及び2007年にタイトルを獲得したほか、国内外のラリーで輝かしい戦績を残してきた日本のトップラリードライバーである。SRTUSAは、デビッド・ヒギンズ選手、クリス・アトキンソン選手を擁しており、今回は新井選手を入れた3台体制でGRC最終戦に臨むこととなった。
ポート・オブ・ロスアンゼルスはその名のとおり、ロスアンゼルス郊外にある港で、周囲はコンテナが並ぶヤードや、貨物船が横付けされるコンテナ埠頭などがある一角に設けられた特設コース。しかしながらキャブリロ・マリーナの入り口に面しており、殺伐とした埠頭というよりはハーバー・リゾート感のある場所となっている。
(文・写真:青山義明)
今回で最後って事もないだろうからまだまだ機会あるだろうし次に活躍に期待しましょう
Posted at 2016/10/12 21:23:56 | |
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富士重工 | 日記