日産の無資格検査問題・リコールはOEM車も含むがNISMOロードカーは対象外
121万台のリコールで費用は250億円に及ぶ見込み
完成検査に無資格の従業員が携わっていた問題で、日産自動車は10月2日、神奈川県横浜市の日産自動車本社にて西川廣人社長が会見を行い、「心からおわびを申し上げたい」と陳謝した。
この問題は国土交通省の検査で発覚したもので、内部告発の可能性は否定しており、「認識が甘い部分があった」と説明した。日産自動車は原因究明に1カ月ほどの時間が必要だと国土交通省へ伝えており、第三者による検証も含め、厳しく精査し対策を講じたいと語った。なお、今月27日から開催される東京モーターショーへは予定どおり参加する。
未登録車の約34,000台については、全国の日産販売会社のサービス工場にて、自動車検査員の有資格者によって完成検査相当の点検を実施し、明日から順次登録を再開する予定。
また、すでに登録済の車両に関しては、再点検のために今週中にリコール届出を予定しており、その対象車は2014年10月~2017年9月までに製造された約121万台となる。これは、現時点で初回の車検を迎えていない車両を対象にしているためで、実際に無資格者による完成検査を受けていた車両はこれ以上の数に上る可能性もある。再点検についてはこちらも日産販売会社のサービス工場で実施する予定で、これにかかる費用は250億円以上の額を見ているとのこと。
今回のリコール対象となった車両は、追浜工場、栃木工場、日産自動車九州、日産車体、オートワークス京都、日産車体九州の6工場で生産された車両で、他メーカーにOEM供給した車両も含まれ、OEM車に関してはOEM供給先の販売会社のサービス工場での点検を予定している。
一方、軽自動車を含む、日産自動車の工場で生産されていない車両に関しては対象外となるほか、NISMOシリーズの一部の車種のように「持込登録車」に関しても、登録時に検査ラインを通しているため対象外となる。
日産自動車の121万台リコール、その内容と原因は? 東京モーターショーへの影響は?
日産自動車が2014年10月~2017年9月に国内向けに製造・販売した、ほとんどのクルマを対象とするというリコールの予定があることを発表しました。その対象は、じつに121万台を見込むという大型リコールです。
記者会見に臨んだ、日産自動車・西川廣人(さいかわ・ひろと)社長によると、リコールの原因となったのは製造・出荷の過程にあるといいます。日本の自動車メーカーが国内向けに生産するクルマについては、国土交通省との約束に基づいた体制において完成車検査(完検)を実施することにより、そのまま登録することができます。
しかし、日産自動車では正規の検査員ではなく、資格を持たない補助検査員による完検が常態化していたというのです。その事実は、国土交通省が9月中旬に抜き打ち検査をしたことで発覚。そして、出荷や登録が一旦停止されていました。そうしてディーラーなどに留め置かれていた登録を待っている3万4000台あまりの新車については、ディーラーの整備工場により完検相当の点検を実施することで、2017年10月3日より順次、登録が可能になるといいます。
この正規の検査員以外だけで完検を行なうといったルール違反は、特定の工場だけでなく、すべての工場で認められたといいます。しかも、いつから違反行為が行なわれていたのかも現時点では明らかになっていません。そこで、少なくとも一回目の車検を受けていない「2014年10月~2017年9月に国内向けに製造」された、すべての車両が保安基準を満たしているかを確認する必要があり、これが121万台ものリコール対象となるというわけです。
リコールの方法については、ディーラーのサービス工場(指定工場)において点検を実施するということですが、詳細や実施は国土交通省に届出されてからになります(届出は10月第一週内を予定)。基本的に部品の交換は前提としていない点検ですが、121万台ともなれば、その対策費は嵩むことは自明。現時点では「ざっくり250億円」を考慮していると西川社長は会見で語りました。
つまり、出荷前の完検が省略されていたわけではなく、検査員が正規のスタッフではなかったことがリコールの原因。そのため、生産に起因する大きな問題が出てくるとは考えづらいといいます。たしかに完検というのは制動力や速度計などが正常範囲に収まっているかを確認する機械を通すことがメインなので、そうした検査をクリアしていれば機械としては問題がないといえそう。今回、問題となっているのはハードウェアではなく、ルール遵守の部分であると西川社長は認識しているようです。
さて、現在の自動車生産工場ではトレーサビリティがしっかりと確立されていて、部品の不具合によるリコールでは車体番号で対象かどうか識別できるほどなのですが、今回の完検に関する一件では、全数対象となっていることに疑問を覚えます。完検の実施者についてはトレーサビリティで判別できないのかもしれません。そうした背景などについては、第三者を含む調査チームによって明らかになることが期待されます。
なお、調査結果が出てくるのは、およそ1か月後。10月25日に開幕する東京モーターショーの期間内になりそうですが、「東京モーターショーへの影響は最小限に抑えたい」というのが西川社長の弁。外野からすると自粛という文字も浮かびますが、日産の西川社長は、東京モーターショーを主催する日本自動車工業会の会長も務めていますから、イベントに水を差すわけにはいかないということでしょう。
一方で、日産自動車としての広報・宣伝活動については、近々予定されていたメディア向け試乗会を中止するなど自粛の動きが感じられます。その影響が、モータースポーツ活動などまで広がるのか、ファンにとっては気が気でないかもしれません。
(文:山本晋也 写真:門真 俊/日産自動車)
【新聞ウォッチ】日産の無資格検査、西川社長「全く認識せず」---進退は1か月後に
気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2017年10月3日付
●ラスベガス乱射58人死亡、500人以上負傷、「米史上最悪」(読売・1面)
●日産121万台リコール、無資格検査24車種、社長が陳謝(読売・2面)
●上半期新車販売5年ぶりプラス(読売・8面)
●シーテックきょう開幕、IoT・AI異業種続々(読売・8面)
●企業足元の景気に自信、9月短観、自動車・半導体が好調(読売・9面)
●高機能鋼材成長のカギ、新日鉄住金、統合5年「鉄余り」で苦境(読売・9面)
●急ブレーキ情報役立てて、ホンダ、警視庁に提供、都内多発地点3800カ所(読売・29面)
●枝野氏が「立憲民主党」民主リベラル系参加(朝日・1面)
●日産経営責任発展も、「国交省指摘まで認識せず」(産経・10面)
●トヨタとマツダ相互出資(産経・10面)
●「限定免許」導入、検察庁が初検討、高齢ドライバー対象(産経・22面)
●自動走行やロボ、5分野重点支援、経産省、新しい産業政策(日経・5面)
●日産の検査不備巡り自動車各社、自社工場の調査開始(日経・13面)
●トヨタ、小型EV体験拠点、名古屋に大学利用促す(日経・13面)
ひとくちコメント
日産自動車が無資格の従業員が国内工場で完成検査に携わった問題で、その関連の2回目の記者会見で、西川広人社長兼最高経営責任者(CEO)が出席し「あってはならないことだ。心からおわび申し上げたい」と陳謝した。
先週末の最初の“謝罪会見”では、部長クラスの幹部社員が対応するなど、この「ひとくちコメント」でも危機管理に対する経営陣の認識の甘さを指摘したばかりだった。
記者会見では、すでに販売した『ノート』や『リーフ』など24車種で再検査が必要な約121万台をリコール(回収・無償修理)すると発表。その費用が250億円程度になるとの見方も明らかにした。
きょうの各紙も、日産の無資格検査の問題の続報を大きく取り上げているが、ポイントは「一部で検査不備が常態化していたこと」を明らかにしたこと。しかも、西川社長は「国土交通省から指摘されるまで全く認識していなかった」と、事態を把握できていなかったと、社内での風通しの悪さを認めたことである。
朝日は「日産、甘い安全管理」とのタイトルで、「書類上は正規の従業員が検査したように装っていた疑いもあり、全社的な安全管理の甘さが際立っている」と指摘。また毎日も「日産、拡大のひずみ、世界首位浮上の直後」との見出しで、信頼回復に向けて原因究明と情報開示、再発防止策の徹底が求められるとしている。
さらに、産経は「経営責任発展も」との見出しで、「ブランドイメージの低下による販売への悪影響は避けられず、経営陣の責任論に発展するのも時間の問題だ」と伝えている。西川社長も「管理・監督責任も含めて処分を考えたい。なぜ起きたのかといった原因究明には1か月程度かかる」との見通しを示した。
自ら会長職を務める日本自動車工業会が主催する「東京モーターショー」が閉幕するのは11月5日である。事実上の人事権を握るカルロス・ゴーン会長の判断にもよるが、そのころまでには自らの出処進退も明らかになるだろう。
日産リコール121万台! 「無資格者が検査」日産に何が起こったのか?
2017年9月29日に明らかになった、日産自動車の「無資格者完成検査」問題。日産は問題が明らかになると同時に、販売会社へ出荷した未登録車も含めたすべての車両の登録停止、つまり工場からの出荷停止および販売会社の持つ登録待ちの車両すべての納車を停止しました。
この問題について10月3日夕方、日産自動車の西川廣人社長が会見を行い、現況を報告。本記事ではその内容と様子をレポートします。
文&写真:ベストカー編集部、NISSAN
■日産のなにが問題だったのか? 本件の背景は?
日産も含めた自動車メーカーは、大量の自動車を生産し、販売する。本来であれば新車の登録は1台1台現車を車検場に持ち込んで法規に合致しているかの検査を受けた上で登録される仕組みなのだが、現実問題としてそのように手順を踏んでいたらディーラーの業務は煩雑になり、また車検場は手一杯となってしまう。
そこで『型式指定』という制度がある。自動車メーカーは新型車を開発するにあたり、国交省に膨大な資料を提出し、排ガスが法規基準に合致しているかであるとか、各部が法令に則って設計されているかなどについて事前に審査を受け、合格することで『型式指定』を受けている。
「完成検査」とは、工場で生産された車両が、この型式指定の仕様通りに生産されているか、あるいはヘッドライトやブレーキ、操舵装置などがきちんと作動するかなどをメーカーの工場で有資格者が検査をして、合格した車両だけが出荷できるというシステム。この完成検査証があれば、ディーラーはいちいち現車を車検場に持ち込むことなく、書類のみで登録業務ができ、ナンバープレートが発行されて新車が納車できるのだ。
完成検査に従事できるのは、一定の技能を持った検査員……なのだが、これは各メーカーが独自に定めた基準によるもので、それぞれのメーカーの従業員があたる。有資格者を国交省に申請し登録しているのだが、あくまでも自社の従業員だというところがポイント。性善説に基づいた紳士協定のようなものだと考えればよかろう。
日産では、栃木工場や追浜工場、九州工場など国内にある6工場すべてで、この完成検査を、社内基準で定める有資格者以外(つまり無資格者)が行っていた、というのが今回の事象である。
■リコール費用は約250億円
10月2日の時点で納車前で登録を一時停止していた車両は約3万4000台になるという。これらについては改めて有資格者による再検査をした上で10月3日より順次登録業務を再開した。
いっぽうすでに登録されユーザーの手に渡った車両については、問題が明らかになった9月29日からさかのぼる3年間、つまり初回車検を受けていない車両約121万台についてリコール対象とし、全国の日産販売会社のサービス工場において車検と同等の検査をすることで対応するという。これらにかかる費用は250億円程度を見込んでいると西川社長は会見で明らかにした。
すでに初回車検を済ませた車両については、車検時に完成検査同等の検査を受けていると言うことで、今回は再検査の対象とはしていない。これは合理的な判断で、これについては国交省との話し合いの中でそのような方法が決定されたと言うことだ。
■無資格者検査が常態化していたのでは?
今回の事象が明らかになったのは、日産車体の工場に国交省の抜き打ち検査が入ったことによる。どのような経緯で抜き打ち検査が実施されたのかは「定期的な点検、検査ではなかったと承知している」(西川社長)といい、それ以上の明言は避けたが、記者からの質問に答える形で「内部告発的なものがあったのだろうと認識している」との見解を明らかにした。
ただどうしても違和感が残る。
ある特定の工場でのみ起きた事象であれば、一部従業員の不祥事ということになろうが、国内すべての工場で同様の事象が起こっていたとなれば、これは無資格者による完成検査が社内的に常態化しており、現場ではそれに対し特に問題意識を持っていなかったと捉えられても仕方がない。このことを西川社長に質問すると、「私もそのように感じざるを得ず、非常にショックを受けている」と語り、「現場で、有資格者が検査をしなければならないという規則に対する認識が多少薄れていたのかもしれない」との見解を示した。
どのような経緯で今回の事象が発生したのか? また、いつからそのようなことが常態化していたのか!? 西川社長は、第三者を含む調査チームによる調査を実施するが、1ヶ月程度はかかるだろうとしている。「もっと早急に調査結果を示すべき度は思うが、自分自身が充分に納得できるまで調査が必要。そのためには最低限でも1ヶ月程度の時間は必要。その上で責任のとり方であるとかを決めたい」と語った。
会見全体を取材した印象では、西川社長の発言や対応などからは「特段に大きな不祥事」、という印象ではなく、ある「好ましくない事象」が発生し、各方面にご迷惑をおかけした、その説明と現況の報告会、との印象であった。
【新聞ウォッチ】日産の無資格検査問題、新たに「検査書類偽装」疑惑も浮上
気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。
2017年10月4日付
●日産納車手続き再開、無資格検査「いつから」焦点(読売・13面)
●トヨタ、豪生産撤退、豪ドル高受け(読売・13面)
●日産工場、大半で書類偽装、無資格検査、国交省、一部立ち入り(朝日・1面)
●GM、EV本格参入、燃料電池車も、20車種以上発売へ(朝日・11面)
●自動運転の実験スタート、お台場や東名 21団体参加(朝日・11面)
●東京モーターショーにPHV、ポルシェ電動化アピール(産経・10面)
●東証2万614円、2年2か月ぶり高値(産経・11面)
●渋谷交差点車で暴走、容疑の52歳男逮捕(産経・24面)
●高省エネガラス、共同開発を開始、トヨタと旭硝子(日経・15面)
●トヨタ系・ヤマト車部品共同配送(日経・15面)
●先読みビジネス天気、自動車、東南アジア、復調の兆し(日経・15面)
●EV量産20年代前半に、日米欧3社、計画でそろう(日経・15面)
●時速120キロで走行中居眠り、京急、運転士を処分へ(日経・43面)
●トヨタ、小型EV体験拠点、名古屋に大学利用促す(日経・13面)
ひとくちコメント
日産自動車が出荷前の完成検査を無資格の従業員が行っていた問題で、一時停止していた納車手続きを再開したという。
きょうの各紙も「日産納車手続き再開」(読売)、「日産、新車を再点検、納車遅れ解消目指す」(毎日)、「日産、新車販売を再開」(産経)などと、取り上げている。
再点検を開始したのは納車を一時停止していた新車在庫の約3万4000台。ただ、毎日は「納車遅れの一日も早い解消を目指すが、週内には直近3年間に国内で販売した約121万台のリコール(回収・無償修理)も届け出る予定。原因調査も途上で、信頼回復への道のりは長い」と伝えている。
読売も「今後は無資格検査がいつから誰の指示で始まったのか、原因の究明が焦点となる」と指摘する。
こうした中、きょうの朝日は1面準トップで「日産工場、大半が書類偽装、国交省、一部立ち入り」と大きく報じている。記事によると、「結果を記す書類には実際に検査に関わっていない有資格者の名前が示され、押印もあったことがわかった」という。しかも「こうした偽装はほぼ全ての工場で行われていた」そうだ。
事実とすれば、不正への組織的な関与も否定できない。新たな書類偽装疑惑の浮上で、経営責任を含め、品質管理に対する意識が厳しく問われることになる。
もっとも、監督官庁の国土交通省も問題が発覚してから「厳正に対処する」というのであれば、野放し状態だったともいえる。現行の「完成車検査」の制度そのものにも、不正を見抜くチェック機能がマヒしていなかったかどうかなどの見直も必要だろう。
ある意味で今回の一件で三菱も災難だよな
燃費不正で今後こういうことが無いように外部の人間を入れようって言って日産とくっついたのに、その日産がこんな不正を常習化していつからやっていたかわからないなんて状態だもんな
にしても日産の株価が下がらないんだよね~
他の日本企業がやらかした時でもなんのかんので平気でいるから潰れないって思っているからなんだろうね
Posted at 2017/10/04 20:32:23 | |
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