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2019年08月29日 イイね!

GT-Rのようなナニカだけど面白いよね

GT-Rのようなナニカだけど面白いよね「NA版RB26“DE”+4速ATを載せるR32スカイライン」オーテックバージョンはオトナのセダンだ!【ManiaxCars】

軽く吹け上がるエンジンフィールはATでも十分に楽しめる!

適度な速さに上質感もプラスされたGTカー

R32で16年ぶりにGT-Rが復活し、シリーズの頂点に位置するモデルとなった。3代目S54以降、スカイラインにはレースのイメージが強くついているが、同時にGT=グランドツーリングカーという側面も持っていた。R32オーテックバージョンは、それを引き出すモディファイが加えられている。

その最たる例がRB26DEの搭載で、GT-R譲りのRB26DETTからツインターボユニットを外してNA化。オーテックジャパン設計の専用ハイコンプピストンとカムシャフトを組み、等長ステンレス製エキマニを装着し、専用ECUで制御することで、NAらしいパワーフィールとレスポンスを実現している。

ミッションは4速ATのみの設定。スポーティなNAユニットなら5速MTが欲しいところだが、質の高いGTカーを目指したと考えれば、ATの方が相応しいと理解できる。

インパネ周りはベースとなったHNR32に準じるが、ステアリング中央のオーテックのロゴが入ったホーンボタンなどは専用品。また、電子制御フルオートエアコン&サウンドシステムからなるアクティブアメニティシステムを装備するなど、快適性の向上に重きが置かれる。

シート形状はタイプM系と同じだが、表皮がオーテックバージョン専用のエクセーヌ&ダブルラッセル地となる他、ドアトリムにもエクセーヌが用いられる。滑りにくい生地でドライビングポジションを一定に保ちやすいため、長距離ドライブでも疲労を抑えられる。

一方、足回りもコーナリング性能と乗り心地を両立すべく専用チューニング。新車時には専用タイヤとして205/55R16サイズのエクスペディアS-01が装着された。ブレーキはGT-R同様、キャリパーはアルミ製でフロント対向4ポット、リヤ対向2ポット、ローターはドリルドタイプとされ、フロントφ296、リヤφ292が組み合わされる。

取材車両はフルノーマルで走行距離わずか1万3000km。ボディ塗装や内装にもヤレはまったく感じられず極上のコンディションを保っている。もともと生産台数が少なく、最終デリバリーから四半世紀近くが経っているのに、こういう個体が残っていることに驚く。北海道まで足を運んだ甲斐もあるというものだ。

今回は撮影敷地内で軽く試乗しただけだったが、それでもオーテックバージョンの個性を理解することはできた。まず、アクセル操作に対するエンジンのピックアップがやたらといい。RB26からツインターボを外した時点で、「なにやっちゃってんの?」と思ったクルマ好きは少なくないだろうが、ATセレクターレバーでDレンジを選び、走り出した瞬間からそんな思いは吹き飛ぶ。

オーテックバージョンは1480kgという車重だけでなく、ミッションギヤ比もファイナル比もベースのGTS-4と同じ。低中速トルクは排気量が600cc大きいRB26DEの方が上回っていて、それに対してファイナル比が4.375と低めなこともあり、アクセルを踏み込んだ瞬間の加速感はレスポンスの良さも手伝って、「速いっ!」と思えるもの。加えて、軽く吹け上がるエンジンフィールはATでも十分に楽しめる。

設定されたボディ色は専用イエロイッシュグリーンパールメタリックのみ。光の加減によって緑やグレーに見えるなど、表情豊かな色と言える。ホイールもスポーク部がボディ同色とされた専用品でサイズは6.5J×16オフセット+38。標準では205/55R16サイズのエクスペディアS-01が組み合わされていた。

また、ボディのサイズ感がちょうどいい。4ドアセダンとして見た場合、後席の居住性は正直ホメられたものではないけど、アクセルやステアリング操作に対してクルマがリニアに反応してくれることも含め、オーテックバージョンでは“クルマを着る”感覚を味わえるのだ。

適度な速さとドライバーの意に沿った走り。そこに上質感もプラスされたオーテックバージョンは、なるほどGTカーとしての資質を高めていると実感することができた。

■SPECIFICATIONS

車両型式:HNR32改

全長×全幅×全高:4580×1695×1360mm

ホイールベース:2615mm

トレッド(F/R):1465/1465mm

車両重量:1480kg

エンジン型式:RB26DE

エンジン形式:直6DOHC

ボア×ストローク:φ86.0×73.7mm

排気量:2568cc

圧縮比:10.5:1

最高出力:220ps/6800rpm

最大トルク:25.0kgm/5200rpm

トランスミッション:4速AT

サスペンション形式:FRマルチリンク

ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク

タイヤサイズ:FR205/55R16

PHOTO&TEXT:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
Posted at 2019/08/29 19:55:15 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車業界あれこれ | 日記
2019年08月29日 イイね!

ターボでも、NAでも

ターボでも、NAでもポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ、その戦闘力をサーキットで試す【初試乗】

Porsche 911 GT2 RS Clubsport
ポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ

最新クラブスポーツのポテンシャルを測る

マシンはコースのオーバル部分へと差し掛かった。迷うことなく全開で加速。3速ではトラクションコントロールの警告灯が点灯したままになっている・・・。私が911 GT2 RSクラブスポーツの凄まじいパワーを実感した瞬間だった。

2019年7月17~18日の2日間、ポルシェは世界中のジャーナリストから厳選した20名をラウジッツリンクに招待、「ポルシェ トラックテスト ディ」を開催した。幸運にもこのイベントに招かれた私は、同社最新のクラブスポーツ・モデル3台をサーキットで思う存分走らせる幸運に浴した。

テストの舞台はドイツ東部のラウジッツリンク

舞台となったラウジッツリンクは、シュトゥットガルトから北東に560kmほど離れたドイツ東部に位置する。コースレイアウト図に見るように、大小様々なインフィールドコーナーを囲んで3本の直線が走り、それぞれの直線を高速コーナーが結ぶオーバル状の外周路から成り立つ。私は以前このサーキットで911 RSRや911 GT3 Rを試乗した経験はあるが、その時はショートコースだった。今回は1周4.534kmのフルコースを使う。

招待されたジャーナリストは経験をかなり積んだドライバーばかりだったので、完熟走行やコース説明の類いは一切なく、いきなり「はい、スタート!」という感じで始まった。レーシングドライバーの私がこのイベントに呼ばれた理由はズバリ、ポルシェがサーキットにフォーカスしたモデルを全開で走らせる能力を買われたからだ。

早速、フルスロットルに終始したトラックインプレッションを3回に分けてお届けしよう。第1回の主人公はポルシェ 911 GT2 RSクラブスポーツ(以下、GT2 RSクラブスポーツ)だ。

911 GT2 RSより80kgの軽量化を施し戦闘力アップ

GT2 RSクラブスポーツは、現行ポルシェで最強の市販車911 GT2 RS(以下、GT2 RS)をベースにしたサーキット専用モデル。開発を担当したのはヴァイザッハ研究開発センターだ。見た目の印象がGT2 RSとずいぶん違うのは、エアロダイナミクスの追求からボディサイズが大型化されているから。CFRPを多用して軽量化を図った結果、車両重量は1390kgとGT2 RSより80kgも軽くなっている。

3.8リッターのツインターボ・フラット6こそGT2 RSと共用だが、ブレーキはもちろん強化されており、エアジャッキも備わる。そしてコクピットにはロールケージとRECARO製レーシングバケット。GT2 RSクラブスポーツはピットに佇んでいても、レーシングカー特有のオーラを発散している。

公称スペックの700hp以上に感じるほど刺激的

実は、今回の試乗は最初に718ケイマンGT4クラブスポーツに乗り(その印象は後日、詳しくお伝えする)、その次にGT2 RSクラブスポーツに乗った。それだけにGT2 RSクラブスポーツの強烈なエンジンパワーは印象的だった。ポルシェが公称する最高パワーは700hpだが、実際にはそれ以上あるのではないかと感じてしまうくらいパワフルで刺激的である。冒頭に記したのは、それを端的に感じたシーンだ。

7000rpmまで回るこのエンジンの美点はほかにもある。強烈なトルクと高回転域の圧倒的なパワー、そして大型のタービンを使っているとは思えないほどターボのレスポンスが鋭いことだ。

怒涛のごとく湧き上がるパワーと電光石火のシフトスピード

走り始めた当初、低速コーナーで2速か3速か迷う場面があった。そこでPDKを駆使して3速で走ったり、コーナーのボトム付近で一瞬2速に入れすぐに3速にチェンジしたりと様々なことを試したが、結局3速をキープして低回転からのトルクを使うとスムーズに走れることがわかった。

低速コーナーを2速で回ると、パワーがかかりすぎてリヤのパワースライドを誘発するのだ。もちろんTC(トラクション コントロール)はオンにしていたので制御はするが、怒濤のごとく湧き上がるパワーゆえ、コントロールはやはりシビアになってしまう。3速をキープできるのは、大型タービンのターボエンジンでありながら低速域からのレスポンスを有効に使えるからだ。

そして、このマシンの特徴であるPDKも素晴らしいのひと言に尽きる。シフトスピードは電光石火の速さで、GT3カップカーに装着されているレース用トランスミッションと比べてもまったく遜色ない。しかも2ペダルなのでスタートが楽。つまり速く走るのに必須なドライビングテクニックがひとつ減るわけで、ドライバーフレンドリーなモデルと言える。

GT3マシン並みに挙動を抑制したバランス

次にマシンバランスに触れよう。サスペンションはやや硬めでバンプに対して少し跳ねる傾向があったが、ラウジッツリンクのオーバル部分は非常にバンピーなのでこれは仕方ないかもしれない。ただし、ロールやピッチングはGT3マシン並みに抑制が効いている。ハイスピードからのブレーキングや、中速コーナーおよび高速領域でのリヤの安定感が高いことも好印象だ。

4速で回る高速コーナーではややアンダーステア気味だったが、おそらく今回の試乗向けにスピンを防ぐ目的から、リヤを安定させてアンダーステア方向にセッティングされていたためと思われる。どちらにせよ、GT2 RSクラブスポーツのような高性能マシンでは、高速領域でのリヤの安定性は非常に大切で、大型化されたボディとエアロの効果は絶対的な効果をもたらす。今回はそのことを踏まえたセッティングだと感じた。

ダイレクト感とコントロール性重視のブレーキ

一方、ブレーキバランスの影響だろうか、低速コーナーの進入でブレーキを残してターンインを開始すると、少しリヤがルーズな時があった。これはブレーキバランスを調整すれば解決すると思う。

ESC(エレクトロニックスタビリティコントロール)に関しては、オフのほうがコーナリング中に向きを変えやすく挙動も自然だった。オフでもリヤがナーバスにならず、スライドに移行するプロセスが分かりやすいのは安心だ。

ステアリングのレスポンスはウルトラシャープというよりは、意図して少し遊びを持たせているように感じた。ヴァイザッハの技術陣は、ダイレクト感は若干落ちることを承知のうえで反応が鋭すぎてシビアになるのを避けたのかもしれない。

ブレーキの踏力はGT3マシン並み。思い切り強く踏んでコントロールするタイプである。レーシングカーとして、ダイレクト感とコントロール性を重視したハードなブレーキシステムだ。

無類のハイパワーを使い切れる絶妙なセッティング!

無類に強力なエンジンパワーをしっかりと受け止められるセッティングに仕上げたのがGT2 RSクラブスポーツだ。タイヤを含めた総合的なグリップが盤石なのでパワーをロスすることなく、思い切りアクセルを踏める。つまり持ち前のパワーを使い切って走れるわけだ。

ピットに戻った私は、征服感に一脈通じる快感に浸っていた。乗り手に最高の安心感を与えつつ、強烈なポテンシャルを秘めたマシン。こんなマシンはなかなか体験できない。そう思わせる911 GT2 RSクラブスポーツだった。

REPORT/田中哲也(Tetsuya TANAKA)

TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)

【INFORMATION】

9月中頃、YouTube「GENROQ Web Channel」にてこの模様を収めた動画を公開する予定。乞うご期待!

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ

ボディサイズ:全長4743 全幅1978 全高1359mm

ホイールベース:2457mm

車両重量:1390kg

エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ

総排気量:3800cc

ボア×ストローク:102.0×77.5mm

最高出力:515kW(700hp)

トランスミッション:7速PDK

駆動方式:RWD

サスペンション形式:前ストラット 後マルチリンク

ブレーキディスク(ディスク径):前後ベンチレーテッドディスク(前390mm 後380mm)

ブレーキキャリパー:前6ピストン 後4ピストン

タイヤサイズ(リム径):前27/65-R18(10.5J)後31/71-R18(12.5J)

車両本体価格:40万5000ユーロ(約4800万円/税抜)

【問い合わせ】

ポルシェカスタマーケアセンター


TEL 0120-846-911

新型ポルシェ935 初試乗! 往年の姿を纏うレーシング ポルシェを田中哲也が試す

Porsche 935/19
ポルシェ 935/19

サーキット専用に製作された限定モデルの935/19

「ポルシェ トラックテストデイ」の第2回目にあたる今回のレポートの主役は、私自身も非常に興味のあるポルシェ935/19だ。わずか77台しか製作されず、巷間伝えられるところでは即完売だったというサーキット専用モデル。ジャーナリストといえども、こういうレアなマシンのステアリングを握れるチャンスはそうあるものではない。早速、トラックインプレッションを始めることにしよう。

伝説のル・マンカー、935/78をオマージュ

ポルシェ70周年記念モデルとして登場したポルシェ935/19は、1978年のル・マン24時間耐久レースで366km/hの最高速を記録した935/78へのオマージュとして企画されたマシンだ。ベースは911 GT2 RS(以下、GT2 RS)で、冒頭に記したように77台の限定生産。特定のレースを前提にしたホモロゲーションモデルではないので、レギュレーション的には何の制限もなく設計されている。

直噴3.8リッターフラット6は基本的にGT2 RSと共通で、可変タービンジオメトリー(VTG)を備えた大型のツインターボチャージャーが過給する。こうして得られる最高出力700hpもGT2 RSと同値。だだし実際に走らせると、エキゾーストシステムの違いにより935/19のほうが少し太いサウンドを発する。一方、エンジン特性に関しては特に両車で違いは感じなかった。

このフラット6ツインターボと組み合わされるのは専用ギヤレシオの7速PDK。ステアリングホイール上に備わるパドルで変速を行う。

911 GT2 RSをベースに935由来のエアロボディを纏う

外観上935のイメージを完璧に残した935/19。その見どころは充実した空力処理にある。例えばフロントフェアリングのホイールアーチの通気口は911 GT3 Rの技術を導入して、フロントアクスルに掛かるダウンフォースを増強する。一方、幅1909mm、奥行き400mmのリヤウィングが空力バランスを保つ。

935/19は外観のディテールも凝っている。ホイールを覆うキャップは935/78の再現。リヤウイングエンドプレートに備わるLEDテールライトは、919ハイブリッドLMP1レースカーからの流用。サイドミラーはル・マンを制した911 RSRが由来。チタン製テールパイプは1968年の908を模している、といった具合で新旧の技術が入り混じった非常に面白いマシンだ。

最新のクラブスポーツとサーキットを比較試乗

935/19と911 GT2 RSクラブスポーツ(以下、GT2 RSクラブスポーツ)は、基本的にはGT2 RSをベースにしている点では同じなのだが、GT2 RSクラブスポーツに乗った後に935/19に乗ると、マシンのバランスは明らかに体感できるくらい違うことがわかった。

935/19はGT2 RSクラブスポーツとはボディワークがまるで別ものなので、結果的にエアロダイナミクスも大きく異なる。具体的に言うと、935/19の挙動はGT2 RSクラブスポーツよりアンダーステアが少なく、フロントのグリップが高く感じる。だからGT2 RSクラブスポーツより明らかによく曲がるのだ。

GT2 RSクラブスポーツだと、4速で回るスピード領域でのコーナーでアンダーステアが強かったのだが、935/19はアンダーステアが明らかに少ない。もう少し細かく観察すると、コーナーのミドルの部分でアクセルをオフにするとリヤが軽くなるときがある。この場合には少しアクセルを踏み足してバランススロットルを使うとリヤは安定を取り戻す。それさえ心得ておけばとにかくよく曲がってくれる。

秀逸な旋回性能と安定したブレーキ性能を両立

そんなわけで、多少リヤの挙動に注意を払う部分もあるが、基本的に旋回性能は秀逸でコーナリング速度はGT2 RSクラブスポーツより高い。従って、コーナーからの脱出速度も速かった。

それでいて不思議なもので、高速域でのブレーキングはGT2 RSクラブスポーツと比べてもほとんど差を感じないくらい安定感がある。さらに低速コーナーのブレーキングではむしろGT2 RSクラブスポーツより安定していて、制動時にオーバーステアが発生することは少なかった。

GT2 RSクラブスポーツ以上に旋回性能が優れ、しかもブレーキング時の挙動が安定している。ドライバーにとって望ましい2つの要素を両立させた935/19は、サーキット走行に特化したマシンとしての資質を高いレベルで実現している。

911 GT2 RSクラブスポーツのタイムを上回る

これだけよく曲がるマシンなので、GT2 RSクラブスポーツではESC(エレクトリックスタビリティコントロール)はオフにした方が自然だったのとは対照的に、935/19ではオンの方が自然だと感じた。

ダウンフォースはGT2 RSクラブスポーツより若干大きくなり、バランスはやや前寄りになった。体感的にはストレートでのドラックは935/19の方が大きいような気がしたが、タイムはGT2 RSクラブスポーツよりわずかながら速かった。

透明度の高いステアリングインフォメーション

935/19の美点はそれだけではない。ステアリングの出来映えが秀逸なのだ。インフォメーションを透明度高く伝えてくる。操舵感はしっかりしていてダイレクト感に溢れ、リニアリティも高いから、路面やマシンの状況をはっきり確認できる。この辺り、レーシングマシンの製作に長い歴史を持つポルシェの面目躍如といったところか。

GT2 RSクラブスポーツより曲がりやすく、気持ちよくコーナーを攻めることができるマシン、それが935/19だと思う。

新旧レーシングポルシェのアイコンを採用

規定の周回数を終えた私は935/19をピットに戻した。すぐに降りずにシートに座ったまま、コクピットをあらためて見回してみる。そこで気づいたのだが、このマシンには新旧のポルシェ・レーシングマシンのアイコンが随所に散りばめられているのだった。

シフトレバーのノブはウッドでできており、かつての917や909ベルクスパイダー、あるいは最近のカレラGTを思い出させる。CFRP製ステアリングとカラーディスプレイは2019モデルイヤーの911 GT3 R用を流用しているのだが、ディスプレイの両側にはアナログメーターが残されている。メーターの針の動きを見ていると昔のマシンへの郷愁にかられた。

もちろんサーキット走行が前提なので、安全面の配慮に抜かりはなく、コクピットには巨大なロールケージが張り巡らされ、レース用バケットシートには6点式セーフティベルトが備わる。ちなみに助手席シートもオプションで用意されており、エアコンも装備されるので、コクピットは適切な温度に保たれる。

珠玉と呼ぶに相応しい現代に蘇った935

私は935/19から降りて思った。この素晴らしいスタイルのマシンに乗っている自分を見られないのは残念だと。外観はクラシカルでありながら、マシンバランスに優れており、現代のクラブマンレースでも充分な競争力を秘めている。

最後に、このマシンの開発にはニュルブルクリンク24時間レースでマンタイ・レーシングから参戦していたマーク・リーブがエンジニアとして関わっていることをお伝えしよう。935/19の奥深さには、そうしたバックグラウンドも関係していると思った。

REPORT/田中哲也(Tetsuya TANAKA)

TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ 935/19

ボディサイズ:全長4685 全幅2034(サイドミラー含む) 全高1359mm

ホイールベース:2457mm

車両重量:1380kg

エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ

総排気量:3800cc

ボア×ストローク:102.0×77.5mm

最高出力:515kW(700hp)

トランスミッション:7速PDK

駆動方式:RWD

サスペンション形式:前ストラット 後マルチリンク

ブレーキディスク(ディスク径):前後ベンチレーテッドディスク(前380mm 後355mm)

ブレーキキャリパー:前6ピストン 後4ピストン

タイヤサイズ(リム径):前29/65-R18(11.5J)後31/71-R18(13.0J)

車両本体価格※税抜:70万1948ユーロ~(約8312万円~)


ポルシェ 718 ケイマン GT4 クラブスポーツ初試乗! 田中哲也の全開インプレッション

Porsche 718 Cayman GT4 Club Sport
ポルシェ 718 ケイマン GT4 クラブスポーツ

最新ポルシェ・クラブスポーツ、一気乗り第3弾!

2日間に渡りドイツ本国で開催された「ポルシェ トラックテストデイ」の模様をレポートする本稿。第3回目にあたる今回は、718ケイマンGT4クラブスポーツを取り上げる。

GENROQ Webの読者には、サーキット走行を趣味にする向きや、これからサーキット走行にチャレンジしたいと考えているスポーツドライビング愛好家が大勢いることと思う。そうした方々に広く紹介したいのが、この718ケイマンGT4クラブスポーツである。

サーキット専用にチューニングされたGT4 クラブスポーツ

718ケイマンGT4クラブスポーツは、ボディパーツに天然繊維を採り入れた複合素材を使った初のレーシングカーにして、現在、レースの世界で注目を集めているGT4クラスのマシンでもある。今年から日本で始まった新シリーズ「ポルシェ スプリント チャレンジ ジャパン」への参戦を前提とすることもあって注目の1台だ。

ミッドシップに積まれるのは3.8リッターの水平対向6気筒で、先代モデルを40hpも上回る最高出力425hpを発揮し、トランスミッションは6速PDKを採用。室内にはロールケージやレーシングバケットシート、6点式シートベルトなど、レーシングカーに必要な安全装置を完備する。しかもエアコン装備の状態で車両重量を1320kgに抑えたのは立派だ。

走行前にコクピットドリルを受ける。「ABS(アンチロックブレーキシステム)はダイヤル調整式だが3番か2番を試して欲しい。TC(トラクションコントロール)とESC(エレクトロニックスタビリティコントロール)はオン/オフ可能でこれも試してOK」とのこと。デジタルメーターに様々な情報が表示され、特にラップタイムとタイヤプレッシャーがわかるのは助かる。

さていよいよコースインの時間がきた。試乗車はミシュランの新品スリックを履いている。タイヤに熱が入っていないので、走り始めは気をつけるようにとのクルーの言葉に送られてピットロードから発進。

アウトラップはマシンとコースを確認しながらゆっくりと走った。PDKなのでスタートは簡単。エンストがないので非常に気分が楽だ。気温が高いことも影響して、くだんのスリックタイヤは思ったより早くからグリップを発揮したのはありがたい。タイヤの内圧が低すぎると構造破壊のリスクがあるので、内圧をしっかり確認しながら与えられた計測5ラップを思い切り堪能した。

レブリミットまできっちり使い切るタイプのエンジン

ピュアで癖のないレーシングカー。これが718ケイマンGT4クラブスポーツの第一印象だ。なによりPDKのお陰で、最初からドライビングに集中できる。正直に言って、このマシンはPDKを備えることでレーシングマシンとしての敷居がグンと低くなったと思う。

変速はスムーズでなんら不快感がなく、シフトスピードも十分。レーシングカーとして全く問題を感じない。それどころか、スタートやシフト操作が誰でも簡単にできるメリットは非常に大きいと思う。PDKの採用により、以前よりレーシングカーに気軽に乗れるようになったと断言できる。

425hpのエンジンはとても軽快。しかも力強い加速を感じられるので、レーシングカーとして十分満足できるレベルである。低回転域のトルクで走るのではなく、7800rpmのレブリミットまできっちり使い切るタイプ。PDKを駆使して回転数をパワーバンドにキープしつつ高回転で走ると軽快な走りを楽しめる。とても扱いやすい特性のエンジンだ。

よく曲がり動きが自然で唐突な挙動を見せない

次にマシンバランスを含めたコーナリングのポテンシャルに触れよう。ひと言で言って、アンダーステアが少なくよく曲がるのが印象的。サスペンションはややソフトで、ロールやピッチングを自然かつダイレクトに乗り手へと伝えてくる。バンプもスムーズにクリアして見せた。

そのおかげでドライバーは容易に荷重移動を発生させて、マシンバランスを変えられる。例えば、コーナリングの途中でパワーオフするとリヤの荷重が抜けてテールがアウトに振れる。それはマシンとしてダメなところかというと決してそうではない。アクセルワークや荷重移動を学べるということを言いたいのだ。丁寧に正確なコーナリングを行うことにより、タイヤにしっかり荷重がかかりタイヤの性能をフルに発揮できる。

レーシングカーとは、ドライビングの仕方により挙動が大きく変わるものだ。718ケイマンGT4クラブスポーツは、基本的なグリップレベルが高くてしっかりしているし、先に述べたアクセルオフによる荷重移動を使って向きを変えられる。だから気持ちよくコーナーをクリアできるのだ。もちろんESCのオン/オフでも、この部分の挙動は変わる。マシンの向きを積極的に変えたいときはオフにしたほうが走りやすかった。

コーナー出口でパワーを思い切りかけていっても、パワースライドはほとんど発生しない。TCをオフにしてもオンにしても違いをあまり感じることがないくらい、コーナー出口のトラクションはよかった。

つまりマシンの動きが自然なのでわかりやすく、唐突な挙動が少ない。極端に言うと、ゆっくりした動きの中で基本的なマシンの動きを体験できる。これは718ケイマンGT4クラブスポーツの際だった美点だ。

繊細なコントロールが可能なブレーキと体感できる空力

ブレーキはむやみに踏力が重くなく、フィーリングもほぼノーマルに近い。それでいて繊細なコントロールもかなり高いレベルで行えるので不安感が少なく、「止める」と「荷重移動による姿勢づくり」に集中した操作ができる。

ABSのポジションは最初3でスタートしたが、介入が少し多いと感じたので2にするとちょうどよい感じになった。このようにABSは状況によってこまめに調整すると効果的だ。

エアロバランスについては、中速や高速からのブレーキングでリヤがしっかりしているので空力の効果を感じた。

タイヤのグリップレベルはちょうどよいと感じた。グリップ過多ではないし、タイヤのグリップに頼った走りをすることもない。ドライバーがグリップをしっかり感じ取りながら走れて、とてもフィールのいいタイヤだった。

プロからアマチュアまで満足できる懐の深さが魅力

718ケイマンGT4クラブスポーツはプロのドライバーが乗っても十分満足できるレベルに仕上がっており、GT4マシンとしてのポテンシャルは相当高いところにある。それはニュルブルクリンク24時間レースを見ても実証されているし、今回の試乗でもその秘めたる力を実感した。

しかしそれ以上に強く感じたことは、レース経験の少ない人や基礎を学びたい人のトレーニングに絶好のマシンだということだ。とにかく挙動が素直なので、これならドライビングの基本を学べると断言できる。

個人的には718ケイマンGT4クラブスポーツのようなマシンをきっかけにレースを楽しんで欲しい。レースの基本を学ぶのに最適で、しかも十二分に速いマシンだと真剣に言いたい。ピーキーすぎることがなく、許容範囲も大きめなので、ドライバーへの優しさを感じる。だから大きな緊張感なしに、GTカーの雰囲気を存分に体感できる。本格的なレースに参加する前にレーシングカーを体験するには絶好のマシンだと言い切れる。

「ポルシェ トラックテストデイ」で試乗した3台のポルシェ・クラブスポーツ・モデル。それぞれが、サーキット走行に最初の一歩を踏み出そうとするビギナーから、GT3レースで走れるレベルの上級アマチュアにいたるまで、幅広いドライバーのニーズを満たす、いかにもポルシェらしい製品だった。3回に分けてお届けしたレポートが、GENROQ Web読者のモータースポーツ・ライフを豊かにする参考になれば幸いだ。

REPORT/田中哲也(Tetsuya TANAKA)

TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)

【INFORMATION】

9月中頃、YouTube「GENROQ Web Channel」にてこの模様を収めた動画を公開する予定。乞うご期待!

【SPECIFICATIONS】

ポルシェ718ケイマンGT4クラブスポーツ

ボディサイズ:全長4456 全幅1778 全高1238mm

ホイールベース:2456mm

車両重量:1320kg

エンジン:水平対向6気筒DOHC

総排気量:3800cc

ボア×ストローク:102.0×77.5mm

最高出力:313kW(425hp)/7500rpm

最大トルク:425Nm/6600rpm

圧縮比:12.5

トランスミッション:6速PDK

駆動方式:RWD

サスペンション形式:前後マクファーソン

ブレーキディスク(ディスク径):前後ベンチレーテッドディスク(前後380mm)

ブレーキキャリパー:前6ピストン 後4ピストン

タイヤサイズ(リム径):前25/64-18(9.0J)後27/68-18(10.5J)

【問い合わせ】

ポルシェカスタマーケアセンター

TEL 0120-846-911



「MT設定のみ」は伊達じゃない。とことん走りに振ったピュアなスポーツマシン

いよいよ登場したポルシェ718ケイマンGT4の試乗の舞台はスコットランド。エジンバラ空港を出て北に50kmほど走った辺りに位置するノックヒルサーキットである。朝、ホテルを出て現地に着くと、クルマはすでに用意が整っていた。促されてドライバーズシートに滑り込んだら、すぐにスタートだ。初めての逢瀬で、いきなり全開走行である。

キーを捻りエンジンを始動する。その心臓は、新開発の水平対向6気筒4.0ℓ自然吸気ユニット。レブリミットは8000rpmとなる。ポルシェ718ケイマンGT4。718シリーズとなり、主力エンジンを水平対向4気筒ターボユニットに切り替えた718ケイマンの最高峰モデルは、マニア垂涎のエンジンを得て登場したわけだ。

GTスポーツステアリングホイールやブラッシュアルミニウムを使ったインパネまわりなどインテリアも特別仕立てだ。従来のケイマンGT4が当時の911カレラSのエンジンを流用していたのに対して、今回のそれは新開発。新設計のシリンダーヘッド、ピエゾインジェクターを使った燃料噴射システムなどを採用したこのエンジンは、スペックは最高出力420ps、最大トルク420Nmにも達する一方、ボクサーエンジン初の気筒休止システムの搭載など、環境性能にも大いに配慮されているのが特徴である。

しかもギアボックスは6速MTのみが設定される。もちろん、このクルマを選ぶような人にとって、それが不満の種となるはずが無いだろう。

今回の大きなトピックスでもあるのが空力性能の向上。リアウイングだけで約20%のダウンフォースを発生し、先代比では約50%も向上。200km/hで約12kg相当のダウンフォースが得られるという。ミドシップ+4ℓNAエンジンという珠玉の組み合わせいよいよ走り出すと、まずは高回転化を意識してのクランクジャーナル径拡大の効果か、エンジンのいかにも剛性感の高い回り方に痺れる。レスポンスはきわめて鋭く、右足のわずかな動きにも忠実に回転を上下させる。自然吸気の旨味を、低速域でもたっぷりと味わえる。

もちろん本領を発揮するのはアクセルをより深く踏み込んだ時だ。すさまじい勢いで回転が高まり、特に5000rpmを超えた辺りからは硬質なサウンドも更に迫力を増して、一気に8000rpmまで回りきる様は、突き抜けるような快感だ。ショートシフターが組み込まれた6速MTのタッチも剛性感たっぷり。「AUTO BLIP」スイッチをオンにしておけば、シフトダウン時の回転合わせを自動で行なってくれて、右足をブレーキングに集中させておくことができるのも有り難い。

このパワートレインだけでも買う価値アリ。そう思わせるのだが、こんな風にアクセルを存分に踏み込むことができるのは、格段の進化を遂げたフットワークのおかげでもある。ミドシップらしく、操舵に対して即座にクルマが向きを変えようとするだけでなく、そうした時のリアの接地性が盤石で、もし滑り出したとしても姿勢のコントロールの自在性が大幅に高まっている。この辺り、ちょっと不満も感じられた先代ケイマンGT4と較べると、懐が俄然深くなっているのだ。

これには、911GT3譲りのパーツをふんだんに使用するなどして大幅にポテンシャルを高めたシャシーはもちろん、空力の進化も大いに貢献している。トピックは、床下最後部に横に置かれているマフラーを鞍形とすることでリアに大型ディフューザー、つまり車体下面の空気を素早く引き出すことで負圧を発生させるアイテムの装備が可能となったこと。これと大型の固定式リアスポイラーと合わせて、リアのダウンフォースは実に50%も向上したという。

ボディサイズは全長4456×全幅1801×全高1269mm。車両重量は1750kgで、スポーツカーの性能を計る指針である0-100km/h加速は4.4秒となっている。普段の街乗りから刺激が欲しい人へ丘陵地帯にあってアップダウンの激しいノックヒルサーキットは空力的な要求も大きいはずだが、そんな舞台でもいきなりダンフォースが抜けたり、唐突にグリップを放棄したりといったことがなく、高いスタビリティを発揮してくれたから、初めてのコースだというのに頭が真っ白になるぐらい攻めるのに没頭できた。一般道での乗り心地を試す機会は無かったが、それでも十分、十二分に満足して試乗を終えたのだった。

トランスミッションは6速のMTのみを設定。気分を高揚させるブリッピング機能なども備えている。サーキットを楽しむためのスポーツギアとして、この718ケイマンGT4の完成度はきわめて高い。いや、きっと一般道主体の使い方だって、精緻にして豪放なこのエンジンをマニュアルギアボックスで操っていたら、充足感は凄まじいものがあるだろう。

スポーツシートは中央部をアルカンターラにし、ヘッドレストにはGT4のロゴをレイアウト。オプションでスポーツシートプラスや18WAY調節機能を備えたアダプティブスポーツシートプラス、カーボンのフルバケットシートなども用意されている。価格は1237万円と、従来より約200万円も上がってしまったが、この内容なら納得せざるを得ない。但し、日本仕様は右ハンドルのみの設定である。これまでポルシェでスポーツドライビングに親しんできた人にとって、これは頭の痛い話かもしれない。ともあれ、718ケイマンGT4は限定ではなく、当面のあいだ生産を予定しているということだから、じっくり悩む時間はありそうだ。

文・島下泰久 写真・ポルシェ ジャパン 編集・iconic



控えめだけどスゴイ…ポルシェ 911GT3 新型、ツーリングパッケージは2020年デビューへ

ポルシェ『911』(992世代)に設定される高性能スポーツ、『911 GT3ツーリングパッケージ』開発車両をSpyder7のカメラが捉えた。

「ツーリングパッケージ」は、最高の911と称される1973年の『911カレラRS』、通称「ナナサンカレラ」が元祖。2017年には伝統的なドライビングプレジャーを重視するスポーツカーファン向けのモデルとして、先代911に設定されたばかり。大型ウィングを持たない控えめな外見と、GT3ゆずりのハイパフォーマンスが特徴だ。

捉えた開発車両は、911新型の標準的リアスポイラーを装備しているが、アグレッシブなディフューザー、GT3同様のセンターロックホイール、大型ブレーキ、センター2本出しエキゾーストパイプなどが見てとれる。

ボディは911ベースモデルより44mmトレッドを拡大するほか、20mm以上ローダウンされ、かなりスポーティなルックスとなるはずだ。6速MTと組み合わされるパワートレインは、4.0リットル水平対向6気筒自然吸気エンジンが引き続き搭載される可能性が高いが、最高出力は現行モデルの500psから527psとも、550psとも噂されている。

ポルシェは9月のフランクフルトモーターショーでGT3新型を初公開する予定で、ツーリングパッケージは2020年以降の公開となりそうだ。
Posted at 2019/08/29 19:45:52 | コメント(2) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2019年08月29日 イイね!

そんな事をいうんだったらフロントエンジンをさっさと脱却してリヤエンジン化すればいいじゃんって話になりません?

そんな事をいうんだったらフロントエンジンをさっさと脱却してリヤエンジン化すればいいじゃんって話になりません?【作れない? 作らない?】スバル以外の国産メーカーが水平対向エンジンを開発しない理由

 「水平対向エンジン」といえば、多くの方が、スバル、もしくはポルシェを思い浮かべるだろう。

 「低重心」や「低振動」など、水平対向エンジンにはメリットがたくさんあるが、上記2つの自動車メーカー以外は、現在のところ、開発をしている様子はない。

 なぜ、ほかのメーカーは水平対向エンジンに見向きもしないのか。

 文:吉川賢一 写真:SUBARU、ベストカー編集部

水平対向エンジンのメリットとは? 

 まず、水平対向エンジンのメリットとデメリットを上げてみよう。

ボクサーエンジンと言われている水平対向エンジン

 水平対向エンジンは、クランクシャフトに対してシリンダーを左右水平に配置し、左右に向かい合った一対のピストンが水平方向に往復するエンジンだ。ご存知の通り、ボクサーがパンチを打ち合う様子に似ていることから、「ボクサーエンジン」とも呼ばれている。

 最大の特徴は、全幅は広がるが、全長が短く、全高が低いこと。シリンダーが水平に配置されるため、全高が低く、全幅が広い構造となり、これによってクルマは低重心となる。しかも左右対称のため、操縦性と安定性に大きく寄与する。

 これが、「水平対向エンジンのメリットであり存在理由」と言っていい。

水平対向エンジンにより安定する

 ほかにも、向かい合うピストンが互いの慣性力を打ち消すように往復運動することによる低振動、クランクシャフトが両側から強固に挟み込まれる構造であることから、クランクケース剛性が高くなるため耐久信頼性が高い。

 また、エンジンの低レイアウトによって、前面衝突した際にエンジンをフロア下に潜り込ませて乗員へのダメージ軽減が期待できるなど付随するメリットも上げられる。

水平対向エンジンのデメリットとは? 

  一方、デメリットもある。 横方向にエンジンが広いことからタイヤの切れ角を大きく取れず、最小回転半径が小さなクルマが作りにくいことがあげられる。

WRX S4などに搭載されるFA20型水平対向ターボエンジン


 そして、製造開発しているメーカーが少ないため技術開発や競争が起こりにくく、エンジン進化が目覚ましい他メーカーの直列エンジンやV型エンジンに比べて、遅れがちである点だ。

 特に燃費性能は大きな遅れをとっており、e-BOXERを積んだハイブリッドXV(Advance)は15.0 km/L(WLTCモード)、同じくe-BOXERのフォレスター(Advance)は14.0km/L(WLTCモード)と良くはない。

 トヨタのカローラスポーツ(HYBRID G)は30.0km/L(WLTCモード)、RAV4(HYBRID X)は21.4km/L(WLTCモード)であり、これらと比べてしまうと、明確な差として現れてしまう。

 この差は、スバル車の販売現場でも問題視されているようだ。

スバル車の販売現場の現状はいかに

 ディーラー事情に詳しい筆者の友人によると、

 「水平対向を待ち望んでいるお客様はいるものの、それはコアなスバリスト(スバルファン)であり、その方々はスバルの新型が水平対向エンジンを積んでいれば自然と購入していく。

 しかし、他メーカーからの代替となった時に、燃費性能や価格で比べていくお客様がやはり多く、そのテーブルでは、スバル車は太刀打ちできない。一時期はアイサイトで強みを発揮していたが、今やどの車にも同じような装備はついているので。」とのことだった。

他のメーカーが作らない理由とは? 

 このようなことから、他メーカーが作らない理由がいくつか推測できる。

 1.「ゼロ開発」をしても投資対効果がない

 水平対向エンジンには、設計の経験値がないところから新規開発をする理由に乏しい。

 燃費改善や効率向上であれば、これまでに実績のある現存エンジンを、さらに磨いていくほうが良く、新たに投資するだけの時間や労力をかけるのがムダである。

 また、運動性能の良さを訴求してクルマが売れる時代ではなくなったことも大きいだろう。

 2.魅力もあるが呪縛にもなる

 スバルエンジニアの話によると、水平対向エンジンはその幅広な形状がゆえに、エンジンルーム内のレイアウトが難しく、前面衝突をコントロールするサイドメンバを適位置に通すのが難しいという。

 苦肉の策で、衝突時にエンジンを車両下側に落としこむ設計が誕生したものの、その際のサイドメンバのみで前突の衝撃を受け止める設計を成立させるのは、技術的に「呪縛」となっているそうだ。

  3.搭載車が限定される

スバル WRX S4

 車幅やエンジンコンポーネントのレイアウトに余裕があるクルマでないと搭載ができないというのも、ネックになりうる。

  台数が出るコンパクトカーでの搭載が厳しいとなると、莫大な投資が必要となる新規エンジン開発には、余裕のあるメーカーでない限り困難であるし、そんなメーカーは、現時点日本にはない。

まとめ

 もし筆者が車両開発担当だとして、「なぜ水平対向を新規開発する必要があるのか?」と問われても、納得させる説明をすることはできないだろう。運動性能屋の「ロマン」だと言われ、撃沈するのが目に浮かぶ。

 水平対向エンジンが進化して、圧倒的な技術メリットが出てこない限り、他メーカーでの新規開発は難しいだろう。

 現状、「水平対向エンジン」にこだわっている自動車メーカーは、スバルとポルシェだけ。この2メーカーには、これからも希少技術として、強烈に異彩を放っていただきたい。


ポルシェが今までやってきているのが水平対向エンジンをリヤに搭載しているじゃないですか
デメリットの項目なんかリヤエンジン(ミッドシップだとAWD化するのに既存のレイアウトを取れないのでRRの基本形になる)にすれば全幅次第でストローク量を持たせた水平対向エンジンを搭載できますよ。

ドライサンプを市販車で採用する事が出来ないのであれば利点も少ないでしょうね…しかもそれを市販車用として考えるとメンテナンス性とか維持コストを考慮すると採用する理由は無いだろう
Posted at 2019/08/29 19:28:14 | コメント(1) | トラックバック(0) | 富士重工 | 日記
2019年08月29日 イイね!

N0ので2サイズってポルシェ以外に履く人いるのかな…

N0ので2サイズってポルシェ以外に履く人いるのかな…ミシュランの最新技術を投入したハイグリップタイヤ「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2 R」が2019年9月より発売開始

■ラップタイム短縮に求められるドライグリップ性能をさらに向上

 日本ミシュランタイヤは、ハイグリップタイヤ「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2 R」を2019年9月6日より発売します。

「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2 R」は世界中のさまざまなレースで培われたミシュランの最新技術を投入し、世界の名だたるスポーツカーメーカーと共同開発された「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2」のドライグリップ性能をさらに向上させたスーパースポーツカー専用のサーキット向けタイヤです。

過酷なレースの世界からフィードバックされた新配合コンパウンドなどの技術を採用することで、高いドライグリップ性能を実現しています。

「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2 R」は、レースシーンにおける“走る悦び”だけにとどまらず、サーキット走行に求められる“ラップタイムの更新”も可能にします。

 さらに、ベルベットのような高級感のある手触りを実現するミシュラン独自の金型加工技術「プレミアムタッチ」が、走行性能だけでなく外観からも車のポテンシャルの高さを引き立てます。


ミシュラン、サーキット用スポーツタイヤ「PILOT SPORT CUP 2 R」を投入

MICHELIN PILOT SPORT CUP 2 R
ミシュラン パイロット スポーツ カップ 2 R

サーキットでのドライグリップ性能をさらに向上

日本ミシュランタイヤは、公道も走れるサーキット用スポーツタイヤとして「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2 R(ミシュラン パイロット スポーツ カップ ツー アール)」を9月6日から発売する。サイズは、20インチ(265/35ZR20)と21インチ(325/30ZR21)がそれぞれ1サイズの計2サイズ。価格はオープンとなる。

世界中の様々なレースで培われたミシュランの最新技術を投入し、世界の名だたるスポーツカーメーカーと共同開発された先代「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2」。今回、そのドライグリップ性能をさらに向上させたスーパースポーツ専用サーキット向けタイヤとして登場した。

レースからフィードバックされた新配合コンパウンド

過酷なレースの世界からフィードバックされた新配合コンパウンドを採用することで、高いドライグリップ性能を提供。内部構造の最適化によりタイヤ剛性も大幅に向上し、トレッドパターンの最適化によって接地面積も最大化された。

この結果、“走る悦び”だけにとどまらず、サーキット走行に求められる“ラップタイムの更新”も可能になった。さらにベルベットのような高級感のある手触りを実現するミシュラン独自の金型加工技術「プレミアムタッチ」が、走行性能だけでなく外観からもクルマのポテンシャルの高さを引き立てている。

対象装着車両は、ポルシェ911 GT2 RS/911 GT3 RS。ニュルブルクリンク・ノルドシェライフェ(北コース)におけるタイムアタックで、911 GT2 RS Manthey Racingが6分40秒3、911 GT3 RSが6分56秒4を記録している。

【問い合わせ】
日本ミシュランタイヤお客様相談室
TEL 0276-25-4411


ミシュラン、サーキット用スポーツタイヤ「パイロットスポーツ カップ2R」発売へ 公道走行も可能

日本ミシュランタイヤは、公道も走れるサーキット用スポーツタイヤ「ミシュラン パイロットスポーツ カップ2R」を9月6日より発売する。

新製品は、スポーツカーメーカーと共同開発した「ミシュラン パイロットスポーツ カップ2」のドライグリップ性能を向上させたスーパースポーツカー専用サーキット向けタイヤ。過酷なレースの世界からフィードバックされた技術を採用することで、高いドライグリップ性能を提供する。

モータースポーツ由来の新配合コンパウンドを採用したほか、内部構造の最適化によりタイヤ剛性を向上。トレッドパターンの最適化による接地面積の最大化により、高いドライグリップ性能を確保している。

また、ベルベットのような高級感のある手触りを実現するミシュラン独自の金型加工技術「プレミアムタッチ」を採用。走行性能だけでなく外観からも車のポテンシャルの高さを引き立てる。

サイズは265/35ZR20(99Y)XL N0、325/30ZR21(108Y)XL N0の2サイズ。価格はオープン。


ミシュラン スーパースポーツタイヤ「パイロット スポーツ カップ2R」発売

日本ミシュランタイヤは2019年8月27日、公道も走れるサーキット用スポーツタイヤ「ミシュラン パイロット スポーツ カップ2R」を9月6日から発売すると発表した。サイズは20インチと21インチの各1サイズで、価格はオープン。

製品概要

このウルトラ・パフォーマンス・タイヤは、世界中の様々なレースで培われた最新技術を投入し、世界の名だたるスポーツカーメーカーと共同開発した「パイロット スポーツ カップ2」をさらに、ドライグリップ性能を向上させ、スーパースポーツカー専用のサーキット向けタイヤだ。しかも公道も走行できるタイヤだ。

高いドライグリップを確保するためにモータースポーツ由来の新配合を採用。内部構造の最適化により、さらなるタイヤ剛性の向上を実現している。そしてサーキット走行を前提としたトレッドパターンを採用し、接地面積を最大化している。

レースの世界からフィードバックされた技術を採用することで、傑出したドライグリップ性能を持ち、サーキットにおけるドライビングプレジャーと、ラップタイムの更新を両立させている。その上、ベルベットのような高級感のある手触りを実現する、ミシュラン独自の金型加工技術「プレミアムタッチ」が、走行性能だけでなく外観からもクルマのポテンシャルの高さを強調している。

なお、このタイヤはニュルブルクリンク・ノルドシェライフェ(北コース)で、ポルシェ911 GT2 RSで6分40秒3、911 GT3 RSで6分56秒4などの最速ラップタイムを記録している。



ミシュランが公道も走れるサーキット向けタイヤ「パイロットスポーツ CUP 2 R」を9月6日発売

2019年8月27日、日本ミシュランタイヤは「PILOT SPORT CUP 2 R(パイロットスポーツ カップツー アール)を発表した。サイズはふたつで2019年9月6日に発売される。

公道も走れるスーパースポーツタイヤ、パイロットスポーツ CUP2 R発売
ミシュランの「パイロットスポーツ」シリーズは、世界各地で開催されているレースシーンで得た技術を投入し、高いドライ/ウエットグリップ性能を発揮するオンロードタイヤのブランド。近年ではスポーツカーやセダンなど全高の低いクルマだけでなく、SUV向けの製品を導入するなどラインアップ拡充を図られている。

そして2019年9月6日、新たにパイロットスポーツ CUP 2 Rが発売される。サイズはふたつで265/35ZR20(99Y)XL N0と325/30ZR21(108Y)XL N0、価格はどちらもオープンとなっている。

すでに販売されている「パイロットスポーツ CUP 2」はスポーツカーメーカーと共同開発され、公道も走れるハイパフォーマンスタイヤとして現在66サイズがラインアップされている。今回の新製品「パイロットスポーツ CUP 2 R」は、これをベースにモータースポーツ由来の新配合コンパウンドを採用することでドライグリップ性能をさらに向上。内部構造を最適化させることでタイヤ剛性をも高める改良も施された。

具体的にはポルシェの911 GT2 RSや911 GT3 RSといったスーパースポーツカーへの装着を想定して設計され、サイズの最後に「N0」(エヌゼロ)とあるとおりポルシェの技術承認を得たモデルである。走行性能を追い求めるだけでなく、さらに高級感ある手触りを実現する金型加工技術「プレミアムタッチ」を導入して、クルマのポテンシャルをデザイン面でも引き上げるという。

ミシュラン パイロットスポーツ CUP 2 R 販売サイズ
265/35ZR20(99Y)XL N0 フロント:ポルシェ911 GT2 RS/GT3 RS
325/30ZR21(108Y)XL N0 リア:ポルシェ911 GT2 RS/GT3 RS



ミシュラン、ポルシェ911GT2 RS/GT3 RS専用にハイグリップタイヤ開発

高いドライグリップが生み出す異次元の走り 

 公道も走れるサーキット用スポーツタイヤ「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2 R(ミシュランパイロット スポーツカップツーアール)」が日本ミシュランタイヤから9月6日より発売される。

 世界中の様々なレースで培われたミシュランの最新技術を投入し、名だたるスポーツカーメーカーと共同開発された「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2」のドライグリップ性能をさらに向上させたスーパースポーツカー専用サーキット向けタイヤ。サイズは265/35ZR20(99Y)XL NO、325/30ZR21(108Y)XL NOの計2サイズ。共にオープン価格で、装着対象車両はポルシェ911GT2 RS/GT3RSになっている。

 タイヤの特徴としてモータースポーツ由来の新配合コンパウンドを採用して高いドライグリップを確保。内部構造の最適化によるさらなるタイヤ剛性の向上を達成しているほか、トレッドパターンの最適化で接地面積の最大化も実現している。

 その仕上がりにも自信あり。過酷なレースの世界からフィードバックされた技術を採用したことで、高いドライグリップ性能を発揮し、“走る悦び”だけにとどまらず、サーキット走行に求められるラップタイムの更新も十分に狙えるスペックとしている。

 さらにミシュラン独自の金型加工技術 「プレミアムタッチ」も採用されており、走行性能はもとより、エクステリアからもクルマのポテンシャルや魅了を高める。



ドライグリップ性能がアップ!公道も走れるミシュランのサーキット用スポーツタイヤ「PILOT SPORT CUP 2 R」

ミシュランタイヤは、公道も走れるサーキット用スポーツタイヤとして新たに「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2 R(ミシュラン パイロット スポーツ カップツー アール)」を9月6日より発売する。サイズは20インチと21インチそれぞれ1サイズ、計2サイズで価格はオープンとなる。

この商品は世界中の様々なレースで培われたミシュランの最新技術を投入し、世界の名だたるスポーツカーメーカーと共同開発された「MICHELIN PILOT SPORT CUP 2」のドライグリップ性能をさらに向上させたスーパースポーツカー専用サーキット向けタイヤ。

過酷なレースの世界からフィードバックされた技術を採用することで、高いドライグリップ性能を提供。それはレーシングな“走る悦び”だけにとどまらず、サーキット走行に求められる“ラップタイムの更新”も可能にした。

さらにベルベットのような高級感のある手触りを実現するミシュラン独自の金型加工技術「プレミアムタッチ」が、走行性能だけでなく外観からも車のポテンシャルの高さを引き立てる。

商品概要

<タイヤサイズ>
パターン:MICHELIN PILOT SPORT CUP 2 R
サイズ:265/35ZR20 (99Y) XL N0、325/30ZR21 (108Y) XL N0
装着対象車両:フロント Porsche 911 GT2 RS / GT3 RS、リア Porsche 911 GT2 RS / GT3 RS

関連情報:https://www.michelin.co.jp/

構成/DIME編集部
Posted at 2019/08/29 01:07:40 | コメント(0) | トラックバック(1) | 自動車業界あれこれ | 日記

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何シテル?   09/28 19:12
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