トヨタとスバル 新たに業務・資本提携関係を強化
トヨタとスバルは2019年9月27日、両社の長期的提携関係のさらなる発展・強化を目指し、新たな業務資本提携に合意したと発表した。
非連結子会社
2019年3月31日現在でトヨタは、スバルの株式16.82%を持つ筆頭株主で、議決権比率3.17%を持つが、今回の合意によりトヨタが議決権比率20%に達するまでの株式を買い増すことになった。
これによりスバルはトヨタの持分法適用会社、つまり連結子会社とは違い、財務諸表合算は行なわず投資有価証券の勘定項目で損益等を反映させる非連結子会社・関連会社となる。
スバルの資本提携の歴史
スバル(富士重工は)は、1953年に新会社としてスタートを切って以来、1968年から1999年まではメインバンク(日本興業銀行、現在のみずほ銀行)が同じ、日産自動車と業務・資本提携を行ない、日産車の委託生産を請負い、一部の部品の共用化などを行なうという関係にあった。
しかし、バブル崩壊で日産が経営不振に陥り、経営再建の一環として日産が保有している富士重工業株の売却を決め、2000年に持ち株のすべてをゼネラルモーターズ(GM)に売却したため、富士重工はGMと資本提携関係となった。この関係は長期的な安定した業務・資本提携関係になると考えられたが・・・GMの経営が悪化し、つには破産法が適用するまでに至った。
その結果、2005年にGMが保有する富士重工株20%がすべて売却され。そのうち8.7%をトヨタが引き受けて筆頭株主となり、富士重工業とトヨタが業務・資本提携関係となっている。
当時、稼働率が低く富士重工の足かせとなっていた「スバル・オブ・インディアナ・オートモーティブ(工場)」で、カムリの受託生産を行なった。
その後、トヨタは2019年3月31日現在で、スバルの株式を16.82%まで買い増し、その間に86/BRZの共同開発、トヨタ・ハイブリッド・システムの技術供与を受けたクロストレック=XVのPHV(北米専用)の開発、さらには今後のEV車の基盤開発を行なうEV.C.Aスピリッツへのスバル参画などを行なってきている。また6月にはスバルのAWD技術とトヨタの電動化技術を活用した、EV専用プラットフォーム開発、EV車両開発にも取り組むことに合意している。
これからのトヨタとスバル
今回の新たな合意は、迫り来るCASE時代に備え、これまでのトヨタ、スバルの関係を超える領域に踏み込むことを意味する。両社のブランドの独自性を尊重しつつ、次のステージに向け関係をより深いものに発展させ、結び付きを強化するために、トヨタがスバルへの出資比率を引き上げること、スバルもトヨタの株式を800億円を限度として取得することに合意した。
つまりトヨタがスバルの筆頭株主であり、議決権を持つのに合わせ、スバルもトヨタの株式を持つ相互資本提携の関係となる。
今回の合意で発表された業務提携の内容は次のようになる。
これまでのトヨタ、スバルを超える、もっといいクルマづくりの追求:両社の強みを持ち寄り、最高に気持ちの良いAWDモデルを共同で開発。86/BRZの次期モデル共同開発。
100年に一度の変革期を生き残るための協業拡大:クロストレックPHVに続き、他のスバル車へもTHS(トヨタハイブリッドシステム)の搭載を拡大。さらにコネクティッド領域での協調、自動運転分野での技術連携。
となっている。
この中で「最高に気持ちの良いAWDモデル」はEVのSUVとしてすでに既定路線であり、次期型86/BRZの開発企画が2016年後半にはスタートを切っており、目新しい課題ではない。
【関連記事】トヨタとスバル EV専用プラットフォームとSUVモデルを共同開発
スバルへTHSの提供
注目すべき新しいテーマは、複数のスバル車へTHS(トヨタハイブリッドシステム)の搭載を拡大することと、しかも技術供給は無償となり、これまでのブラックボックスであったハイブリッド制御も開示される可能性が大きいこと。それと、コネクテッドと自動運転分野での技術提携だろう。
逆にいえば、スバルは電動化、コネクテッド、自動運転技術関連では独自開発路線を諦め、トヨタとの提携、供与に頼らざるを得ないと判断したと考えられる。またトヨタは、コネクテッド、MaaS、モビリティサービスの分野などでは、より裾野を広げ、スケールメリットが追求でき、EVモデル開発などでは開発費を半減できるというメリットもある。
しかしその一方で、2005年にトヨタとスバルが資本提携する時に、当時の豊田章一郎会長や渡辺捷昭社長から「トヨタにはならないでください」といわれたというエピソードもあり、現在のスバルの中村知美社長も経営陣もスバルの全面的なトヨタ化、下請け化は望んでいないはずだ。
したがって、実務的にどのようにしてウィン・ウィンの関係を保ちながらビジネスを展開して行くか、今後の成り行きは要注意だろう。
スバルがトヨタになってしまうかどうかは何とも言い難いけど
ダイハツはトヨタになってしまっている…と言わざるを得ないでしょう
取り扱い方としてはスバルとマツダはトヨタ的には同じようになるのかな?
SKYACTIV-HYBRIDとしてTHS-Ⅱ借りてたけど結局アクセラがフルモデルチェンジしてマツダ3となって廃止したみたいだし、ハイブリッドをマツダ独自で出して来るのかはわからない
スバルもXVクロストレックにプラグインハイブリッドを設定してTHS-Ⅱを技術的に使ったモノは出しているけど日本導入の予定は不明だし…
むしろマツダのOEMしている軽自動車がダイハツ車に変わるかどうかの方が中の人的には面倒な気が(でもマツダのディーラーは元々他車種をよく受け入れている印象だからあんまり関係ないかな?スバルと違って)
トヨタとスバルの関係強化で86/BRZのフルモデルチェンジが確定。ハイブリッド化は必至?
■「スープラが最後のピュアエンジンスポーツカー」と多田CEは語っていた
2019年9月に、トヨタがスバルへの出資比率を高め、業務資本提携を次のフェーズとすることが発表されました。トヨタが議決権ベースで20%になるようスバルの株式を取得することで関係強化を図るということが注目の発表でしたが、さらに新たな業務提携の内容についても公表されています。その中で気になるのは『TOYOTA 86 / SUBARU BRZ 次期モデル共同開発』という一文でしょう。いろいろと噂になっていましたが、ついに86/BRZのフルモデルチェンジが決定したというわけです。
ここで気になるのは、次期86/BRZがどのようなパワートレインを採用するのか、ということです。従来通り、スバルが生産を担当するのであれば水平対向エンジン一択となるのは間違いありませんが、気になるのは電動化トレンドがどのように影響するのかということ。
というのも、トヨタがBMWと共同開発したGRスープラのデビュー時に気になる話を聞いているからです。ご存知のようにトヨタ86の開発時におけるチーフエンジニア(CE)であり、GRスープラの開発でもCEとして指揮した多田哲哉さんは「おそらくスープラが最後のエンジンだけで走るスポーツカーになる」と発言しています。つまり、次期86/BRZはなんらかの電動化技術を盛り込んだハイブリッド・パワートレインになるであろうと予想できるのです。
すでにトヨタのハイブリッドシステムをスバルの縦置きトランスミッション内に収めたプラグインハイブリッドカー「クロストレック ハイブリッド(北米のみ販売)」は存在していますし、そのシステムをスバルのラインナップに拡大することは今回の発表でも触れられています。ですから水平対向エンジンを利用した縦置きハイブリッドは増えていくと考えられます。
また、86/BRZについては、とくに「86」という名前を使っている限りにおいて、FRレイアウトであることは商品企画として外せない要素といえます。トヨタはクラウンやレクサス系でFRハイブリッドのノウハウを豊富に持っていますから、次期86/BRZをフルハイブリッドにするということも可能でしょう。一方、スバルとしても独自のマイルドハイブリッドシステムを持っています。そのシステムであればMTとの組み合わせも可能になりますから、そちらを選択するという見方もできるでしょう。はたまた、簡易的なマイクロハイブリッドにする可能性も否定できません。
しかしながら、時代の環境ニーズを考えるとトヨタハイブリッドシステムを使ったフルハイブリッドのスポーツカーになると予想するのが自然に思えます。
ハイブリッドカーの走りといえば、モーターのトルク特性によるレスポンスのよい発進性やシームレスな加速感が魅力です。そして、こうした特徴はスポーツカーとしても走りのアドバンテージに活かせるはずです。はたして、次期86/BRZはどのような“ハイブリッド・スポーツカー”になるのでしょうか。少なくとも、環境や自動運転が重視される時代に身近なスポーツカーである86/BRZが存在しつづけるということが明言されたのはクルマ好きにとっては嬉しいニュースといえるのではないでしょうか。
※画像は現行86/BRZにつながったFRパワートレインを示すコンセプトカーのもの
文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
Posted at 2019/10/01 00:15:56 | |
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