2020年05月06日
なぜセダンを使い続ける? 滅多に乗らないのに 教習車で採用され続ける理由とは
■なぜ、今でもセダンなのか?
すでに自動車免許を取得した人は、セダンの教習車で実技教習を受けているのがほとんどです。そして、「今どきセダンなんて売れていないのに、なぜセダンで練習しなきゃいけないの?」と思ったことのある人もいるかもしれません。なぜ現在でも教習車の主流がセダンなのでしょうか。
かつて、大衆車の代名詞でもあったセダンも、現在では決して人気車種とはいえないようです。
日本自動車販売協会連合会によると、2019年年間の車種別販売台数を見れば、コンパクトカーは約49万台、SUVは約42万台、ミニバンに至っては大小合わせると90万台近い実績がある一方で、セダンは20万台を下回っており、人気車種の半分にも及ばない数字です。
このように、市場規模が年々減少傾向にもあるにも関わらず、なぜ初めて運転する教習所のクルマは、現在でもセダンが主流なのでしょうか。
まず、教習車とするためにはいくつかの条件を満たす必要があります。道路交通法施行規則の第24条において、乗車定員5人以上の普通自動車は「長さ4.4m以上」「幅1.69m以上」「最遠軸距2.5m以上」「輪距1.3m以上」という条件があります。
セダンしかダメという決まりはありませんが、人気コンパクトカーであるトヨタ「ヤリス」やホンダ「フィット」などは「長さ4.4m以上」の規定を満たさないため、教習車として採用できません。ですが、SUVやミニバンは使用することができます。
しかし、SUVやミニバンでは、MT車が少ないことが挙げられます。沖縄県にある波之上自動車学校は、2018年に全国で初めてミニバンの教習車を導入しましたがAT専用車両です。AT車とMT車で車両を分けるより、一緒にする方が効率的に運用できます。
また、教習車の「装備」も関係しているといわれています。自動車メーカーが教習車として販売している車種は、基本的にセダンがほとんどです。
教習車として使用するためには、補助ミラーや補助ブレーキなどさまざまな装備が必要ですが、メーカーが教習車として販売していない車種では、後から追加するなどのコストが掛かります。
加えて、運転免許試験場の車両がセダンであることも理由のひとつです。セダンと運転感覚が違うミニバンやSUVで教習を受けた場合、実技試験でセダンに乗り込むと困惑してしまう可能性もあるのです。
運転免許試験場がセダンを採用する理由について、首都圏の運転免許試験場スタッフは以下のように話します。
「セダンは、ボンネット部分が長いため前方の感覚を掴む練習になるほか、車高が低いことは風などの影響を受けにくいため重心が安定して安全です。
そのため運転感覚を養うのに最適な形状であるうえ、ほかの車種に乗った際でも応用が効くため、セダンが現在でも主流になっているのだと思います」
※ ※ ※
なお、前述した波之上自動車学校のほかにも、SUVやスポーツカーを導入している教習所は増えています。では、今後は運転免許証試験場でもセダン以外の導入はあるのでしょうか。
前述の運転免許試験場のスタッフは、以下のように話します。
「現在のところ車種を追加する予定はありませんが、各教習所の動き次第では導入の可能性があります。ただ、古くなっているクルマもあるので、入れ替えのタイミングでは何かしらの動きがあるかもしれません」
Posted at 2020/05/06 11:51:15 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年05月06日
自宅で親子で楽しもう! 種類豊富なペーパークラフト フェアレディZは激ムズ仕様だった?
■自動車メーカー各社がペーパークラフトを提供
例年のゴールデンウィークであれば、レジャーや帰省のため、観光地などがにぎわいを見せますが、2020年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、政府や自治体より不要不急の外出の自粛が求められています。
多くの人が自宅で過ごす時間が増えているなか、学校が休校中の子どもが室内で楽しめるよう、自動車メーカー各社は「ぬり絵」や「ペーパークラフト」などを提供しています。
今回は、いくつかのペーパークラフトを実際に作ってみたので、難易度順に紹介します。
●トヨタ「セリカ リフトバック2000GT」難易度:★☆☆☆☆
愛知県にあるトヨタ博物館が公開するペーパークラフトは、セリカ リフトバック2000GTのほかに、「ボンネットバス」と「カローラ(KE10型)」も用意されています。
来場者に配布しているペーパークラフトのうち、これらの3車種がダウンロードできるようになっているということです。
セリカ リフトバック2000GTのペーパークラフトは、直線が多く、のりしろも大きく取られているので、切り取りも組み立ても簡単です。
特徴的なハッチバックの形状や縦5本のテールランプも忠実に再現。セリカ リフトバック2000GTに関する豆知識も記載されているなど、クルマ好きのお父さんが小さな子どもと一緒に作るには最適なモデルです。
●スバル「インプレッサスポーツ」難易度:★★☆☆☆
スバルの主力モデルであるインプレッサスポーツのペーパークラフトは、スバル用品株式会社から提供されており、ほかにも「BRZ」があります。
インプレッサスポーツも切り取りが容易なのですが、のりしろをボディに差し込む部分ではカッターが必要になります。
また、説明ではテープで固定するとあるのですが、のりを使って貼り付けた方が上手くいくようです。
インプレッサスポーツは、ヘッドライトとテールライトが実写っぽく、山折り谷折りを上手く活用した造形と、ボディの抑揚が感じられるようなカラーリングのおかげで、なかなかリアルなクラフトとなっています。
■スポーツカーは難易度高め!?
●日産「フェアレディZ」難易度:★★★★☆
日産は、現行モデルからコンセプトモデルまで、20車種のペーパークラフトを用意しています。ボディカラーの有りと無しが選べるので、自分で色を塗ってオリジナルのカラーを楽しむことができます。
そのなかから今回チャレンジしてみたのは、フェアレディZです。ボンネットの形状や後輪のフェンダーアーチのふくらみを紙で作り出す部分が難しいのですが、2ドアクーペのボディを上手く表現したペーパークラフトで、とてもカッコよく仕上がりました。
日産は、「リーフ」「セレナ」「GT-R」の折り紙も用意しています。いろいろなボディカラーがあるので、お気に入りの1台を探してみるのもいいかもしれません。
●マツダ「ロードスター」難易度:★★★★★
マツダのペーパークラフトは、社会貢献(人材育成)の一環として、次世代を担う子どもたちにものづくりの楽しさを感じてもらうことを目的としています。
最近のモデルでは「CX-3」「CX-5」「アクセラスポーツ」など、旧車では「コスモスポーツ」「R360クーペ」など、バラエティに富んだラインナップです。
難易度は、高、中、低の3段階あり、ホワイトボディのものは自分で色を塗って楽しむことができます。
今回挑戦したのは難易度「高」のロードスター。フェアレディZと同様に、スポーツカーならではのメリハリの利いたボディ形状を再現するのが難しいところですが、魂動デザインが感じられるデザインです。
さらに、オープントップのロードスターならではの特徴として、ルーフが外れます。ルーフを開けていつでも外の風を感じられるような仕様になっています。
●日産「フェアレディZ NISMO」難易度:★★★★★★★★★★
日産は、前出のフェアレディZとは別に、「プレミアムペーパークラフト」として1/18スケールのフェアレディZ NISMOのペーパークラフトを提供しています。
このプレミアムペーパークラフトは、これまで紹介したものとは比べ物にならないほど難易度が高く、完成の目処がまったく立っていません。
というのも、切り出すパーツは6ページ分、説明書も同じく6ページ存在。非常に細かいパーツを無数に切り出す必要があり、一旦諦めてみました。
アルミホイールをくりぬいて、そのなかにブレーキローターを収めたり、タイヤを立体的に成形するため、ギザギザののりしろがたくさん施されていたり、どこに装着されるのかよくわからない謎のパーツが多数存在しています。
でも、完成したら絶対にカッコいいものができるとはずなので、チャレンジのしがいがあるペーパークラフトだといえます。
※ ※ ※
今回紹介したペーパークラフトのほかに、輸入車メーカーなども型紙をダウンロードできるように提供しています。
自分の愛車を作るもよし、憧れのクルマを手に入れるのもよし、ゴールデンウィークを自宅で楽しく過ごすために活用してみてはいかがでしょうか。
自動車各社が「おうち時間」を強力支援!? 大人も子供も楽しめる車コンテンツ充実!!
美しい名車の塗り絵から子どもと楽しめるコンテンツまで。自動車メーカー各社が「おうち時間」コンテンツを数多く提供!
国内自動車メーカー各社は、医療機関や自治体などに新型コロナウイルス支援に取り組みだしているが、各社の取り組みはそれだけではない。感染拡大抑止に繋がる“STAY HOME”の支援にも、力を入れている。
小さな取り組みだが、どれも自宅での過ごし方を、楽しくしてくれるものばかりだ。ぜひGW後半の“STAY HOME”に活用してほしい。
文:大音安弘
写真:NISSAN、TOYOTA、HONDA
【画像ギャラリー】国産全社のコンテンツ&各リンク先はこちらから!
トヨタ、日産など各社の注目コンテンツは?
トヨタが特設サイトで公開した塗り絵にはセリカLBほか希少な名車も多数!(出典:https://toyota.jp/news/stayhome/)
・特設ページ「おうちで過ごそう」をオープン……トヨタ自動車
トヨタは、「おうちで過ごそう」と題した、特設ページを用意。これまでの子供向けのWEBコンテンツのまとめを始め、塗り絵やペーパークラフトなどを掲載する。
なかでも、塗り絵は充実しており、現行トヨタ車だけでなく、往年の名車やコンセプトカーまで顔を揃える。リアルな描写の塗り絵には、様々なトヨタ車のステアリングを並べたという、マニアックなものまであるのも面白い。
・日産デザイナーとSNS上で交流も!?……日産自動車
日産では、グローバルデザインチームが中心となり、世界中のアート仲間をつなげるソーシャルキャンペーン「#drawdrawdraw」を開始した。
これは、自宅で過ごす時間で、クルマの絵を描き、SNSを通してみんなで楽しもうというもの。この企画のために、世界各地の日産デザイナーたちが描いた塗り絵も提供される。
その23枚の塗り絵は、「240Z」や「フィガロ」などの往年の名車から「」コンセプトカーまでと、見ているだけでも心が明るくなるものだ。
キャンペーンの中心人物となる日産のグローバルデザイン担当専務執行役員アルフォンソ・ アルバイサは、
「歩道のアートやナプキンのスケッチ、日産WEBサイトからダウンロードした塗り絵でも構いません。ぜひ、皆さんの作品にハッシュタグ「#drawdrawdraw」をつけて投稿してください。
もし日産のデザイナーから皆さんの作品にコメントが届いても、驚かないでくださいね」
と参加を呼び掛ける。
【お知らせ】#日産 のグローバルデザインチームが、塗り絵やビデオ、デザイン画を通してアートを表現する機会を提供し、世界中のアート仲間をつなげるソーシャルキャンペーン「#drawdrawdraw」の開始を発表。https://t.co/5haY3JOWlH#StayHome pic.twitter.com/D5lX5CHmTy— 日産自動車株式会社 (@NissanJP) April 17, 2020
スバル、マツダ、スズキも名車が美しい「塗り絵」など提供
・あの名機がまさかの塗り絵に!?……スバル
スバルは、スバル車をイラスト化した子供向けの塗り絵と共に、難易度の高い上級者向けの塗り絵も提供。そのモチーフは、なんと生産終了を迎えた「EJ20型エンジン」というマニアックさ。
この他にも、モニターの背景画像に使える、歴代スバル車の画像も用意。こちらでは、リクエストの多かったスマートフォンやタブレッド向けとなる縦仕様の「EJ20型エンジン」画像も掲載されている。
#おうち時間 を愉しく過ごせるぬり絵を、今回からお届けすることにしました!1枚目は、WRX STI(VAB型)に搭載されているエンジン #EJ20 です。少し難しいですが、ぜひ皆さんチャレンジしてください! pic.twitter.com/xuOAJaMj8F— 株式会社SUBARU (@SUBARU_CORP) April 24, 2020
・100周年記念の名車たちの塗り絵……マツダ
今年100周年を迎えたマツダは、公式SNSで、100年の歴史を彩った名車たちを題材とした塗り絵とペーパークラフトを公開中だ。
ペーパークラフトは、現行モデルが中心だが、R360などの懐かしの名車も含まれる。公式ブログには、過去にペーパークラフトの作り方を紹介した動画もあるので、ぜひ参考にしてほしい。
【#マツダ100周年 ぬり絵】
ペーパークラフトに続き、ぬり絵が登場です!
思い思いのカラーリングを楽しんでくださいね!!
・DA型三輪トラックhttps://t.co/rtQcFC1K9d
・R360クーペhttps://t.co/W0DxjF3alq
・コスモスポーツhttps://t.co/ibM5YsmHsI#うちで過ごそう #StayHome #withMazda pic.twitter.com/V4MDdcYEGq— マツダ株式会社 (@Mazda_PR) April 17, 2020
・新型ハスラーも塗り絵に登場……スズキ
スズキは、公式SNSページで塗り絵を提供。モチーフは現行スズキ車で、話題の新型ハスラーに加え、軽トラックのキャリイも含むなど充実した内容だ。
\みんなでやってみよう✨/
お家で #ぬりえ🎨 にチャレンジしてみませんか?今回は新たに4車種のぬりえをご用意しました。スズキのクルマを好きなカラーで塗ってみよう🖌️#スズキぬりえ #StayHome #うちで過ごそう pic.twitter.com/nsV3h9vZZV— スズキ株式会社・四輪公式アカウント (@suzukicojp) April 24, 2020
ホンダ、三菱、ダイハツも独創的なコンテンツ配信!
ホンダが子供向けコンテンツとして用意する特設サイトでは「バーチャル工場見学」もできる!(出典:https://www.honda.co.jp/kengaku/auto/)
ホンダでは、様々なアーティストによるホンダ車の作品を紹介する「THE POWER OF CRAFTS」を展開。どの作品も驚きとともに、ホンダ愛に溢れるものばかりだ。その取り組みのひとつとして、「#Hondaクリエイター」を展開中だ。
これは、おうち時間を使って、ホンダをモチーフにしたものづくりを行い、SNSで共有しようというもの。すでに、一般からの作品もアップされている。
また家族向けには、「子どもとの長い春休みの過ごし方」と題したコンテンツを掲載。そこでは、子供たちが自宅で行える工作や自由研究を紹介する。
📣Hondaクリエイター募集中!#おうち時間 を使ってものづくりに挑戦しませんか?
家で何かを作ったら #Hondaクリエイター をつけて投稿してください!
皆さんの作品をシェアさせていただきます!
ステキなおうちの過ごし方を教えてください😊
中の人が今まで作った作品です☟ pic.twitter.com/wn389nenyb— Honda 本田技研工業(株) (@HondaJP) April 18, 2020
・ランエボXを自作しよう!……三菱自動車
三菱自動車工業では、公式SNSを通じて、子供向けにコンテンツの再紹介。公式サイトにある子ども向けコンテンツの「クルマの自由研究」では、ペットボトルを使ったゴム動力車の製作方法を紹介する。
同ページでは、ランエボXのペーパークラフトも掲載されており、動くランエボXを作ることも可能だ。
さらに子供向けアプリである無料知育アプリ「ごっこランド」のコンテンツのひとつとして「はしれ!!でんきじどうしゃ」を提供。こちらはandroidとiOSの両方に対応。App StoreとGoogle Palyからダウンロードできる。
・カクシカもおうち支援!?……ダイハツ工業
ダイハツでは、コロナウイルス支援の一環として、子ども向けにオリジナルキャラクターのカクシカを活用。カクシカの正しい手洗いポスターと塗り絵をダイハツ公式サイトで配布している。
さらに子供向けアプリ「とびだすぬりえ」も提供。こちらは、iOSとandroid OSに対応しており、Apple StoreとGoogle Playで無償ダウンロードが可能だ。
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例年なら、楽しみの多いGWだが、今年は自宅で過ごすことが求められる。ただ、家でも楽しめることはたくさんある。その過ごし方のひとつに、自動車メーカーのコンテンツも活用してみてはいかがだろうか。
ホンダの塗り絵にペーパークラフト、GW中のおうちでできるアトラクション
せっかくのGWだけど、緊急事態下のこの休み…あなたはどう過ごしていますか? テレビや読書にもそろそろ飽きてきたって人に、オススメなコンテンツを紹介します。見るだけでなく楽しく工作もできちゃうんですよ。
大人も本気になれちゃう塗り絵&ペーパークラフト
F1マシンからバイク、はたまたエンジンまである本格的な塗り絵とペーパークラフトが登場。ダウンロードして印刷すれば家族みんなで楽しめること間違いナシ。各種SNS(ツイッター、フェイスブック、インスタグラム)で#MyHonda、#Hondaタグを付けてあなたの作品を投稿してみるのも面白いですね。
Off1.jp的にはこのCRFをチョイス! ヨンゴー(CRF450R)ってところがまたシブイ。オリジナルデザインなCRFを想像しただけでニヤニヤしちゃいますね。あなたならどんなデザインにしますか?
HONDAワークスドライバー、ライダーからのメッセージ
世界を股にかけて活躍するライダー、ドライバーからの応援メッセージ。あなたの知ってる選手からも新たにメッセージが追加されるかも。
トップライダーがバーチャルゲームで対戦
外でレースはできないけどゲームの世界ならできちゃいますよね。ゲーム内のレースでもライダーの表情は真剣そのもので、この新しい形のレースはなかなか見ものですよ。二輪だけでなく四輪のレースもゲームで開催されているので要チェック!!
Hondaの60年分のレースがぎっしり
マン島TTレースやロードレース世界選手権を特別なムービーで紹介しています。レースだけでなくツインリンクもてぎの誕生秘話やHonda創業から今にいたるまでを漫画で紹介するなど数多くのコンテンツでついつい見入っちゃいますよ。
あの名車ともう一度会えるかも?
約300台の二輪・四輪・汎用製品とレーシングマシンが展示されているHondaコレクションホール内をバーチャルで巡る事ができるんです。館内を見渡せば、「こんなの知らなかった」って物と出会えるかもしれませんね。
Posted at 2020/05/06 11:47:26 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年05月06日
【ヒットの法則222】メルセデス・ベンツ SLK 55 AMG ブラックシリーズのルーツはF1のセーフティカー
2006年にAMGから興味深いモデルが登場している。それがここで紹介する「メルセデス・ベンツ SLK 55 AMG ブラックシリーズ」。このモデルはF1などで使われるセーフティカーをアレンジしたワンオフマシンがルーツで、それを限定車として市販したことが始まりとなっている。今回紹介するSLKを皮切りに、その後、CLK、SL、Cクラスクーペ、SLSが登場している。このSLK 55 AMG ブラックシリーズは日本に正規輸入されることはなかったが、海外試乗記を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年9月号より)
AMGのパフォーマンススタジオが製作するカスタムモデル
サーキット脇に佇むSLK 55 AMGから、ちょっと異様なオーラが漂っていた。まず全長4mそこそこの車体の四隅から、はみ出すように押し込められたメッキ仕上げでキラキラ輝く19インチの鍛造アルミホイール、中央ばかりでなく左右にも、威嚇するような大きな開口部を持つフロントスポイラー、そして極め付けは固定されたカーボンファイバー製の軽量ルーフが備わっていたのだ。
近づいてコクピットを覗くと、そこにはカーボン製の軽量レーシングバケットシートが押し込まれている。ここまでは視覚的なインパクトであるが、渡されたマニュアルを読むと、さらに5.5L V8エンジンは改良されたインテークエアフローシステム、抵抗の少ないエアフィルター、そして新開発のエグゾーストマニフォールドなどを採用することで、最高出力はスタンダードの360psから400psへ、最大トルクも510Nmから520Nmへとそれぞれ増大していることがわかった。
これらのチューニングと徹底した軽量化(マイナス45kg)によって、このSLKのパワーウエイトレシオは4.3kg/psから3.7kg/psへと向上しており、0→100km/hまでの加速所要時間は4.9秒から4.5秒へ、さらに200km/hに達するまでには17.5秒から15.5秒へと大幅にパフォーマンスが向上している。ただ、最高速度は標準装備されているタイヤの限界もあり280km/hに制限されている。
このクルマの正式名称だが「SLK 55 AMGブラックシリーズ」という。メルセデス・ベンツのスポーツスペシャルティカーを生産するAMG内に、今年2006年7月から発足した「パフォーマンススタジオ」で入念に組み立てられているカスタムメイドモデルである。
そして今回は、このクルマの紹介とシェイクダウンを兼ねてトラックテストに招待されたわけである。ちなみにこのコースは、南ドイツの温泉保養地として有名なバーデンバーデンの西にある2kmほどの小さなサーキットで、クラッチやブレーキを生産しているLUK社が所有している場所である。
特別な7Gトロニックの反応の素早さは驚異的
コクピットに入ると、チーフエンジニアのオラーフ・ヘルホルツ氏がクルマの特徴を説明してくれる。このクルマのアイデア面でのベースになったのは「F1のセーフティカー」で、アジアのエンスージアストからのオーダーに応えて、これとほぼ同じスペックの車両をデリバリーしたことがあるという。
「このブラックシリーズのシャシは、もちろんサーキットでのスポーツ走行を目指してチューニングしてあります。具体的には標準でニュルブルクリンクの北コースの設定にしてありますが、コースとドライバーの好みに応じて5mm単位で車高をコントロールが可能です」とヘルホルツさんは説明する。また「SLKはもともとショートホイールベースなのであえてデファレンシャルロックは採用していません。その方が突然の挙動変化を誘発せず素直なコーナリングができるはずです」とレポーターをコースに送り出す。
このレーシングSLKの第一印象は、ソフトで素直というものだった。まずサスペンションは思ったよりソフトで、ある程度ロールを許すが、コーナーでかなりパワーをかけても決してトラクションを失わない。またワイドタイヤにもかかわらずステアリングフィールはシュアで、路面からの情報は手に取るようにわかり、カウンターステアも自然に決まる。
驚いたのはAMGスピードシフト7Gトロニックの反応の素早さである。まるでトルクコンバーターと思えないほどスリップはなく、シフトは即座に行われる。
またコーナーの手前では、素晴らしい制動力が光る大径ディスクブレーキ(360×32mm)で減速し、シフトダウンのためにやや長めにパドルを引くと瞬時に2あるいは3段下のギアが選択され、パワーダウンすることなくコーナーを素早く脱出することもできる。
まさにサーキットでのスポーツ走行を楽しむために生まれてきたようなこの特別なSLK 55 AMGだが、ドイツでは10万7300ユーロ(16%の付加価値税込みで約1555万円)で、すでに発売が開始されている。日本向けにはビジネスプランは決定していない。
AMGパフォーマンススタジオのマーケティングディレクターであるマリオ・シュピッツナー氏によれば「現在その可能性を探っている段階」とのことであるが、乗れば病み付きになることは請け合いである。一度AMGユーザーを誘ってデモンストレーションを行ってみるのも良いのではないかと思う。(文:木村好宏/Motor Magazine 2006年9月号より)
Posted at 2020/05/06 11:23:43 | |
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