2020年05月19日
日産のEV救急車がゼロエミッション東京の実現に向けて東京消防庁で稼働開始
日産は、東京消防庁池袋消防署へ納車した日本初のゼロ・エミッション(EV)救急車が稼働を開始したと発表した。
本車両は、東京都が推進する「ゼロエミッション東京」の取り組みの一環として、東京消防局に初のゼロ・エミッション(EV)救急車として導入された。同車は池袋消防署のデイタイム救急隊で運用される予定だ。
ベースとなったのは日産が欧州で販売中の「NV400」で、日本法規への適合や専用の救急架装については、日産パラメディックでの豊富な実績を持つオートワークス京都に委託した。また、内外装は欧州の緊急車両架装大手であるGruau社に委託して、堅牢で合理的な救急架装パッケージを採用している。
救急車には患者や隊員の身体的な負担軽減が求められることや、精密医療器具を搭載する必要があることなどから、静粛性が高く、振動の少ないEVのメリットは大きいと考えている。さらに、本車両は33kWhと8kWhの2つのリチウムイオンバッテリーを搭載しているため、電装機器やエアコンをより長時間作動させることが可能で、停電時や災害時には移動電源としても活用することができる。
■日産 最高執行責任者兼チーフパフォーマンスオフィサー アシュワニ グプタ コメント
「日産は持続可能なモビリティによって、ゼロ・エミッション、ゼロ・フェイタリティ社会の実現に向けて貢献していきます。本車両は、地域社会において環境にやさしいクルマがより利用しやすくなっていく、大きな事例の一つとなるでしょう。」
■車両諸元情報:
車両サイズ: 全長 5,548mm、全幅 2,070mm、全高 2,499mm
車両総重量: 3.5トン
乗車定員: 7名
モーター: 最大出力 55kW、最大トルク 220Nm
駆動用バッテリー: 容量 33kWh、充電 AC200V 最大 7kw 普通充電(タイプ2)
装備品用バッテリー: 容量 8kWh、充電 AC100V 1.5kW
駆動方式: 前輪駆動
日産、日本初のゼロ・エミッション(EV)救急車の稼働を東京消防庁で開始
日産自動車は5月18日、東京消防庁池袋消防署へ納車した日本初のゼロ・エミッション(EV)救急車が稼働を開始したと発表。本車両は、東京都が推進する「ゼロエミッション東京」の取り組みの一環として、東京消防局に初のゼロ・エミッション(EV)救急車として導入された。同車は池袋消防署のデイタイム救急隊で運用される予定だ。
EVのメリットを活かし患者や隊員の負担軽減に貢献
EV救急車は、救急隊員の負担を軽減するための電動ストレッチャーや、すべてのシートに乗員の安全性を向上させるシートベルトが装備されている。また、救急車には患者や隊員の身体的な負担軽減が求められることや、精密医療器具を搭載する必要があることなどから、静粛性が高く、振動の少ないEVのメリットは大きい。
さらに、本車両は33kWhと8kWhの2つのリチウムイオンバッテリーを搭載しているため、電装機器やエアコンをより長時間作動させることが可能で、停電時や災害時には移動電源としても活用することができる。
本車両は、同社が欧州で販売中の「NV400」をベース車両としており、日本法規への適合や専用の救急架装については、日産パラメディックでの豊富な実績を持つオートワークス京都に委託。内外装は欧州の緊急車両架装大手であるGruau社に委託して、堅牢で合理的な救急架装パッケージを採用している。
日産 EV救急車の詳細
■車両サイズ:全長5,548mm、全幅2,070mm、全高2,499mm
■車両総重量:3.5トン
■乗車定員:7名
■モーター:最大出力 55kW、最大トルク 220Nm
■駆動用バッテリー:容量 33kWh、充電 AC200V 最大 7kw 普通充電(タイプ2)
■装備品用バッテリー:容量 8kWh、充電 AC100V 1.5kW
■駆動方式:前輪駆動
Posted at 2020/05/19 21:41:47 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年05月19日
新型フォルクスワーゲン ゴルフ GTIは新様式の制御デバイスを搭載! 進化を遂げたホットハッチのアイコン
Volkswagen Golf GTI
フォルクスワーゲン ゴルフ GTI
最新ホットハッチは先進の統合制御デバイスを搭載
フォルクスワーゲンは2020年2月に8代目ゴルフの高性能仕様、GTIを世界に向けて公開した。ホットハッチの代名詞として半世紀にわたり君臨してきた代表選手は、セグメントの勢力図に再び波乱を巻き起こす気配だ。
なかでも注目したいのが、新型ゴルフ GTIが搭載する次世代の統合制御デバイス「ビークル ダイナミクス マネージャー」である。
FF特有のアンダーステアを打ち消す
フォルクスワーゲンのドライビング ダイナミクス部門を率いるカルステン・シェブスダートは次のように説明している。
「ビークル ダイナミクス マネージャーは、電気システムと機械システムの複合体である足まわりを“中枢”で調整するハイレベルなコントロールシステムです。フロントディファレンシャルロック機構と協働してゴルフ GTIのパフォーマンス全体を次のレベルへと押し上げます。さらに、ソフトウェアが新しくなったDCC(ダンパーの減衰力やパワーステアリングの設定を電子制御するシステム)と組み合わせることで一層の威力を発揮します」
ドライバーは走行モードやDCCのモードを様々に切り替えて好みのセッティングを試すことができる。シャープなハンドリングを与えられた新型ゴルフ GTIはこれまで以上に正確かつ精密なドライビングを実現。実際、前輪駆動車特有のアンダーステア傾向も見られなくなったという。
245ps+370Nmの2.0リッターガソリンエンジンを搭載
8代目ゴルフに加わる伝統のホットハッチは、これまでの慣例に従い「パワフルなガソリンエンジン+前輪駆動」のレシピを守る。過給器付きの直噴2.0リッターユニット(EA888 evo4)が発揮するのは、最高出力245ps、最大トルク370Nm。7代目ゴルフ GTIに比べて出力で+15ps、トルクで+20Nmアップしている。
8代目ゴルフの標準仕様が積む1.5リッター直列4気筒ガソリンターボの高出力モデルは150ps/250Nm、最上級の2.0リッター直列4気筒ディーゼルターボモデルでも150ps/360Nmであり、GTIの力強さが群を抜いているのが分かる。
GTI専用の意匠で全身360度を“武装”
専用のフロントバンパーやハニカムグリルに加え、ラジエーターグリルにはデイタイムランニングライトと統合された水平基調のLEDバーを装着する。ハニカムグリルのパターンの一部のようにデザインされたフォグライトはオプションとして用意する模様。
また、LEDマトリクスヘッドライト“IQ.ライト”もオプション設定される。ヘッドライトユニットそれぞれに22個のLEDを備え、10通りのパターンで路面を照射する先進のシステムだ。
足元には17インチのアルミホイールを標準装備。GTI専用のリヤディフューザーや左右2本出しのテールパイプを備えるとともに、LEDテールランプを標準で装着した後ろ姿もGTI“らしさ”を主張する。
伝統のチェック柄シートも最新パターンに進化
運転席の前方には10.25インチのデジタル・コクピットと10インチのナビゲーションシステムを組み合わせた「デジタル時代」ならではの風景が広がる。30色の背景色などを用意し、好みに合わせて運転席周りの雰囲気を変えることができるのも最新のトレンド。タッチコントロール付きの革巻きマルチファンクション・ステアリングホイールのスポーク部分には、GTIを象徴するカラーである赤を印象的に配した。ドアを開けるとエンジンのスタート&ストップボタンが赤く点滅してドライバーに始動を促すというギミックも用意する。
デジタル化を積極的に進めた最新のゴルフといえど、GTI伝統のアイコンはもれなく踏襲。ラジエーターグリルに水平に走る赤いライン、そしてもちろん新しく進化したチェック柄のシート地も採用している。VWはこのチェック柄を「Scalepaper(方眼紙)」と呼んでいる。
さらに、8代目ゴルフに準ずる最先端の機構を採用。210km/hまで対応する運転支援システム“トラベル・アシスト”をはじめ、半径800mまでの範囲にいる車両や交通インフラストラクチャーと相互に連携する車車間・路車間通信「Car2X」も標準で搭載する。
ホットハッチの代名詞ともいえるGTIがいよいよ次世代へ。いまやプレミアムブランドもこぞって参入しているこのセグメントで、元祖がいかなる闘いを見せるか。
新型ゴルフ GTIは欧州市場への導入は2020年下半期を予定している。日本への導入時期は未定。
VW ゴルフ GTI 新型、新開発の「ビークル・ダイナミクス・マネージャー」採用
フォルクスワーゲンは5月15日、新型『ゴルフGTI』(Volkswagen Golf GTI)に、新開発の「ビークル・ダイナミクス・マネージャー」を採用すると発表した。
『ゴルフ』の高性能グレードが「GTI」だ。フォルクスワーゲンによると、8世代目となる新型ゴルフGTIにも、歴代ゴルフGTIのDNAが継承されているという。
◆目標はFF車のパフォーマンスの新基準
前輪駆動(FF)車のパフォーマンスにおける新しいベンチマークを目指した。新開発のビークル・ダイナミクス・マネージャーが、その役割を果たす。ビークル・ダイナミクス・マネージャーは、新しいドライビングダイナミクスシステムだ。「XDS」機能と調整式ダンパーの横方向の入力の両方を制御する。これにより、快適性重視の設定と、スポーティな乗り心地重視の設定までの幅が大きく広がり、その結果、動力特性が大幅に強化されているという。
「DCC」と呼ばれるアダプティブシャシーコントロールも、FF車のパフォーマンスにおける新しいベンチマークの実現を支援するシステムだ。DCCは、ステアリング、ブレーキ、アクセル操作といったさまざまな要素を考慮しながら、路面と運転状況に対して断続的に反応する。ドライバーは、走行モードを選択することで、車両の挙動を希望通りに調整することができる。各ホイールにおける必要な減衰力は瞬時に計算され、4 つのショックアブソーバーを調整する。その結果、DCC は常に最高レベルの快適性を提供し、ビークル・ダイナミクス・マネージャーと連携することで、理想的な動力性能を発揮するという。
最新世代のDCCでは、「コンフォート」、「エコ」、「スポーツ」の車両設定モードに、「インディビジュアル」が追加された。ドライバーは、デジタルスライダーを使用して、個人の運転プロファイルを正確に設定して保存できる。コンフォートモードをさらに快適性重視に調整することによって、ボディは可能な限り路面から切り離され、走行快適性を高めることができる。スポーツモードをさらに走行性重視に調整すると、車体の挙動を最小限に留めるために最大の減衰力が設定され、非常にダイレクトなハンドリングにより、GTIならではのフィーリングを楽しむことができるという。
◆GTIらしさを表現したエクステリア
エクステリアは、GTIウィングとハニカムグリルを備えたフロントバンパーを採用する。このGTIの伝統となっているハニカムパターンを採用したワンピースの大型エアインテークグリルは、ブラックのフレームで縁取りされ、両サイドには、ウィングデザインが施されている。
フロントグリルには、赤いストライプが配された。LED ストリップとの連続性を持つ照明付ラジエーターグリルが標準装備される。また、オプションのフォグランプは、バンパーグリルに組み込まれ、X字型に光る。
レーシングカーを連想させるスプリッターデザインを採用した幅の広いブラックのサイドシルが装着されている。サイドシルは、フロントスポイラーとリアのディフューザーとともに、スポーティなデザインを強調する役割を果たす。
17インチのアルミホイールが標準で、18インチまたは19インチはオプションだ。リアにはディフューザーとルーフスポイラー、左右に分かれたテールパイプを装備した。赤いブレーキキャリパーも装備されている。
◆10.25インチのデジタルコックピット+10インチナビ
3 本のシルバーのダブルスポークと、エンボスでウォルフスブルグのエンブレムを象ったスポーツステアリングホイール、ゴルフボールの形を模したブラックのシフトレバー、タータンチェック柄のシート地とブラックのサイドボルスターを備えたGTIスポーツシートなどが装備されている。ステンレス製ペダルも標準だ。エンジン始動前に、スタート/ストップボタンが赤く点滅する演出も施される。
デジタルコックピットも採用された。すべてのディスプレイと操作系を、広範囲にデジタル化した。これにより、各機能を直感的に操作できるようにしている。新開発のインストルメントパネルとオンラインインフォテインメントシステムは、タッチボタンとタッチスライダーを備えた横長のディスプレイに組み込まれる。
10.25インチのデジタルコックピットに10インチのナビゲーションシステムを融合した。2つの画面の視覚的および機能的な組み合わせにより、新しいデジタルアーキテクチャを生み出したという。GTI専用モードを含めて、デジタルコックピットの画面の背景色は、30色が切り替えられる。
◆2.0リットル直4ターボは最大出力245ps
直噴2.0リットル直列4気筒ガソリンターボエンジンの「EA888 エボ4」を搭載。最大出力は245ps、最大トルクは37.7kgmを獲得する。
欧州仕様のトランスミッションは、6速MTが標準だ。オプションとして、7速デュアルクラッチの「DSG」が選択できる。駆動方式はFFで、電子ディファレンシャルロックのXDSが装備されている。スポーツサスペンションによって、車高は15mm低められている。
フォルクスワーゲンの最新の先進運転支援システム(ADAS)「トラベルアシスト」(Travel Assist)が用意される。新型ゴルフGTIでは、最高210km/hを上限に、部分自動運転を実現する。
トラベルアシストは、マルチファンクションステアリングホイールのボタンに触れて、システムを起動する。法律や安全上、ドライバーは常にこのシステムの作動を監視する。そのため、トラベルアシストでは、ドライバーがステアリングホイールを握っているかどうかを確認する。
【デザイン責任者インタビュー】新しいVWゴルフGTI ダイナミックなスタイリング 2020年後半発売 英国
ダイナミックなスタイル
text:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)
フォルクスワーゲンのデザイン責任者であるクラウス・ビショフは、新しい第8世代のゴルフGTIは、長年のファンだけでなく、よりデジタル志向の若い世代からも、支持されるだろうと述べている。
「わたし達は、クラシックなデザインに敬意を払いつつ、これまでで最もダイナミックなスタイルを持つ、ゴルフGTIを提供することに成功しました」
「伝統を継承しているだけでなく、さまざまな新しいデジタル機能を採用し、新しい魅力にあふれたモデルとなっています」と述べている。
2007年からVWブランドのデザインを担当し、2020年からはVWグループ全体のデザインを統括しているビショフは、ゴルフGTIのデザインは最も難しいタスクの一つだと言う。
「GTIのデザインの責任は重大です」
「引き継ぐべき素晴らしい歴史がありますが、それと同時に、時代に合わせて進化していかなければなりません。良いバランスを保つことが課題となります」
スタイリングの詳細
新しいモデルは、ビショフが、プロポーションが長く、くさび形のスタイリングと呼ぶ、第8世代ゴルフ標準モデルをベースとしている。
ヘッドライト内および、細いグリルの上部全体には、特徴的な赤いハイライト、新しいゴルフRと共有のフロントバンパーには、5つのフォグランプを備えた、黒いハニカム・ロアセクションが採用されている。
「フロントエンドの全幅LEDライトグラフィックは、クルマの幅を際立たせます」
「既存のモデルと比へ、より堂々としたエクステリアとなっています」
2020年モデルでは、ビショフが「フリッツァー」と呼ぶフロントウィング内の控えめなバッジプレート、ドアの下のブラック・サイドシル・エレメントが採用されている。
リアは、ユニークなテールライト・グラフィックと、際立ったGTIバッジが特徴となっている。
バンパーは、ゴルフの標準モデルと共有しているが、下部にブラックのユニークなセクションが追加されている。
従来の丸型テールパイプは、7代目モデルよりも外側に配置されている。
最新のゴルフGTIは、他の新しいゴルフモデルと同じインテリアを採用しているが、赤いハイライトとユニークさと追加されている。
GTIグラフィックを備えたデジタル・インストゥルメント・ディスプレイと、GTIをテーマとした機能を備えた、標準の10.25インチ・デジタルインフォテインメント・ディスプレイを備えている。
おなじみのタータンチェック・シートは、従来のものよりも、デジタルで魅力的な仕上がりとなっていると言われており、サポート力に優れたシートには、新しくヘッドレストが統合されている。
Posted at 2020/05/19 21:36:16 | |
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フォルクスワーゲン | 日記
2020年05月19日
第2章スバル ハイパワーエンジンという血統 名機 スバル「EJ20」型エンジンヒストリー
第1章ではスバル1000の時代から水平対向型を採用してきたが、その優位性はクルマづくりに活かされ、そして安全面においても活かされていることをお伝えした。またエンジンという構造体においてもメリットと恩恵があることを覗いてみた。
ボクサーサウンドの秘密
初代レガシィ用のEJ型エンジンは、1.5L~2.5Lまでの排気量をカバーする水平対向4気筒エンジンとして企画された。その目標は中心排気量である2.0Lで世界トップ・レベルの高出力を実現することとされた。
そのため1944ccの排気量で、ボア・ストロークは92.0mm×75.0mmで、ビッグ・ボア/ショート・ストロークとされ、吸排気ポートを太くするため吸排気バルブは大径4バルブを採用するなど、典型的な高出力型エンジンの設計方法で7500rpmという高回転を実現している。また吸気マニホールドは低速・高速の切替式可変吸気システムを装備している。
大径バルブでストレート吸気とするため、バルブ挟み角は52度と広角となり、また凸形ピストンを採用しているため「へ」字形燃焼室となり均一形状ではないため冷却損失が大きめになっている。バルブ駆動はDOHCで内側支点のロッカーアーム式とし、バルブリフト量も最大化。これらにより、自然吸気、ターボともに2.0Lクラス最高の出力を達成している。
そして高出力化に適合させるためにクランクシャフトはついに5ベアリング式を採用し、より高回転、高出力化に対応。そのためクランク・ウエブが極薄形状になっている。またメタル・ジャーナル部は高負荷に耐えられるように鏡面加工を行なっている。
シリンダー部は2.0L以下のSOHCのEJ型エンジンはオープンデッキ(シリンダー上面が開放)構造だが、DOHCのEJ20型は、生産性は悪くなるが高強度・高剛性のクローズドデッキ(シリンダー上面が水路以外は閉鎖)構造を採用するなど、高出力エンジンにふさわしい作り込みとしている。さらに、左右各2気筒はクロスフロー(横流れ)冷却方式を採用している。通常の4気筒は縦流れ方式で、気筒間の均一な冷却ではクロスフローが優れている。
吸気マニホールドは等長だが、排気マニホールドは片側2気筒ごとを集合させた不等長マニホールドとなっている。このため、低回転ではV8エンジンのランブル音に近い独特の排気サウンドを発生し、初期型EJ20型エンジンの大きな特長となっている。
生まれながらのレースエンジン
初期のEJ20型ターボ・エンジンはIHI製のRHB52型ターボを採用。より滑らかなトルク特性とするため、過給圧は0.6barと低めの設定で、後の高過給圧のEJ20ターボ・エンジンとはかなり違いがある。
自然吸気仕様で150ps/6800rpm、172Nm/5200rpm、高出力型の本命、ターボ仕様は水冷インタークーラーと組み合わせて200ps/6000rpm、260Nm/3600rpmを達成した。そして、ラリーなどに使用するモデルとしてセダンにRS-RAが設定され、専用のEJ20型ターボが搭載された。
この専用エンジンの出力は220psながら、STIによりバランス取り、吸気ポート内鏡面研磨、鍛造ピストンの採用などが行なわれ、ゴールド塗装のエンジン・カバーを備えていた。このエンジンがベースとなり、レガシィ・セダンRS-RAは世界ラリー選手権(WRC)に打って出た。
このようにEJ20型エンジンは、クラストップの高出力を実現し、同時にモータースポーツでの使用も想定したハイパワー・エンジンという血統は生まれながらに備えていた。
インプレッサ WRX用のEJ20型エンジン
レガシィに続く世界戦略車の第2弾として1992年にデビューしたのが、Cセグメントのインプレッサ(GC/GF型)・シリーズであった。このインプレッサ・シリーズに搭載されたのがEJ型エンジン・シリーズで排気量は新設計の1.5L、1.6Lから2.0Lまで6機種のエンジンでカバーされていた。
この初代インプレッサのスポーツモデルであり、世界ラリー選手権(WRC)への出場も想定したWRXが設定され、EJ20ターボを搭載している。しかし、初代レガシィ用の登場から3年を経て、インプレッサ WRX用のEJ20型は大幅に改良されている。
それはシリンダーヘッド部分が新設計されたのだ。よりハイパワー、大トルクを求め、DOHCのバルブ駆動は従来のロッカーアーム式からより摩擦抵抗が小さく、剛性が高いダイレクト式に変更し、バルブ挟み角は52度からやや狭められて41度に変更することで、燃焼室のコンパクト化を図っている。
また、ターボ過給圧は0.8barまでアップ。さらにインタークーラーを水冷式からより容量の大きな空冷式に変更し吸気冷却性能を向上させている。このため、WRXからボンネット上にインタークーラー用のエア・インテークが新設されている。さらにラリー車のベースとなるWRX RAには空冷インタークーラーの強制冷却用ウォータースプレー(水噴射)も装備されている。これは、ラリーで使用するためにFIAの公認を取得するためだ。
このような大きな設計変更により、EJ20ターボの出力は240ps/6000rpm、最大トルク304Nm/5000rpmを発生できるようになった。
そして、1994年にはインプレッサWRX RAをベースにして、さらにSTIが鍛造ピストンの採用、バランス取りなどの専用チューニングを行なったEJ20型ターボを搭載した「WRX STi」(この当時はSTi表記)が設定されている。
このインプレッサWRX RAは、計画通り1993年から世界ラリー選手権シリーズに参戦し、1995年から3年連続WRCチャンピオンを獲得するという快挙を成し遂げることができたのだ。そのパワートレーンであるEJ20型ターボ・エンジンは、ラリーというモータースポーツフィールドで、高いポテンシャルを実証しSUBARUは世界一を獲得したのだ。<編集部:松本晴比古/Haruhiko Matsumoto>
<第3章へつづく>
<第1章はこちら>
↓
EJ系は長かったけどFA/FB系は短命に終わるのかな〜
1章はこちら
Posted at 2020/05/19 21:25:12 | |
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富士重工 | 日記
2020年05月19日
「これがMR-Sって信じられる?」夢を実現した全長5メートルのF1スペシャル!
全ては技術力への挑戦からはじまった
全長なんと5170mm! 大迫力のストレッチボディ
もはや、実写版のサイバーフォーミュラとでも言った方が正しい気もするカスタムチューンドの登場だ。手がけたのはバリュープログレス。MR-Sをフロント方向に1100mm延長して作り上げたそうだが、完全に異次元クラスである。
「技術への挑戦ですね。エアロも延長フレームも、全てボルトオンで取り付けしているため、元のMR-Sに戻すこともできますよ」とは、バリュープログレスの白岩代表。
「え? ここまでMR-Sの原形を留めていないのに、元に戻せるんですか?」と聞くと、フルフラットにされたボディ底面のカウルを外して内部のフレーム構造を見せてくれた。
なるほど、純正のフロアボディには一切手を入れず、下面にオリジナルのハシゴのようなパイプフレームを這わせているわけだ。これにより、走行に支障のないボディ剛性を確保しつつ、全長5170mm、全幅2160mmというサイズを実現している。
超ロングノーズ化に合わせて、フロントサスペンションも作り直されている。パイプフレームにマウントを設け、ロータスエリーゼの足回りをゴッソリと移植。ストラット式からダブルウィッシュボーン式へと改められている。当然、ステアリングシャフトも延長済みだ。
このパイプフレームの上にFRP製のカウルが装着されることで、MR-Sとは想像できない形状のロングノーズのスタイルを構築。「設計図なしで作ったので、まとまりはないけど…」と白岩代表は謙遜するが、この存在感と完成度の高さは相当ハイレベルだ。
通常のMR-Sで言うところのタイヤハウスにあたる部分には、フィン状のエアロパーツを装着。きちんとラジエターの熱を逃がすような構造になっている。
ロングノーズ化によって前方の確認が困難になったため、フロントカメラを装着。モニターに映像を映し出すことで、公道での使用を可能にしている。また、エアロの造形もワンオフとは思えないほど曲線や面出しが素晴らしく、拘って製作されていることがうかがい知れる。
街乗りまで考えて製作されているため、行き場を失ったミラーはフロントフェンダーと一体化した形状となる。これが意外にも視認性が高く、使い勝手も良好だ。
5.17mというロングボディと2.16mという全幅のために、通常のローダーには搭載できなくなってしまった。そのため、イベント等へ出展するためにローダー自体もロング化し、キャリア部の幅もギリギリ収まるように改造しているほど。意外にも、純正の幌が残っているあたりが面白い。
余談ではあるが、今作は“龍”を意識したデザインがカウル製作のコンセプト。言われてみれば、フロントウイングの形状といい、フロントフェンダーの突き出しといい、龍の顔とヒゲのような形状となっている。ともあれ、見た目の美しさにも配慮した細部フィニッシュには脱帽だ。
●取材協力:バリュープログレス 福島県田村市常葉町常葉字西田30-1 TEL:0247-67-1366
Posted at 2020/05/19 21:14:39 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年05月19日
「この初代スイスポは過激すぎる!」930キロの車重+1.8Lのビッグトルクで勝負!
モンスタースポーツ渾身のホットハッチ!
Nゼロレースマシンがベースのサーキット仕様
取材車両のHT81Sスイスポは、元々ナンバー付きのNゼロ規定で行われたワンメイクレース『スイフトスポーツカップ』に出場していた車両をベースに仕立てられたデモカーだ。
それだけに、車高調や16インチタイヤなどは全て指定部品のまま。また、Kカーのプラットホームをストレッチして使っているHT81Sの場合、ボディ剛性不足はスポーツ走行時の大きな問題となるが、それをカバーするためのロールケージやタワーバーも、ワンメイクレースの指定部品となっている。
そして、ワンメイクレースのレギュレーションから解き放たれたことを受け、モンスター東名横浜はサーキットで“より速く、より楽しく”を追求して、排気量アップによる走りの鋭さをプラスしてきた。
HT81Sには、元々1.5LのM15Aエンジンが搭載されているのだが、そこにモンスターオリジナルの1.8Lキットを組み込むことで“M18A”化しているのだ。
腰下は78mmのストローク量を変更することなく、78φボアを85φへと拡大する鍛造ピストンを投入。そしてヘッドにハイカムを組み込む事で、170psのパワーと18kgmのトルクを実測で発生させている。
オリジナルのハイフローカムシャフトのプロフィールは、IN/EXともに248度/8.5mmリフト。ノーマルのリフト量は8.3mmなので、バルブは大きく開かせているものの、すばやく閉じるようにしないとパワーが出ないのがM型エンジンの特徴だ。
制御系は、レース参戦時はレギュレーションの関係でフルノーマルのECUが使われていたが、1.8Lへの排気量アップに伴い、現在はeマネージアルティメイトで燃調や点火時期をコントロールしている。
ちなみに、排気系はM18キット化に伴ってEXマニを4-2-1タイプに変更している。もちろん、ノーマルのEXマニもセット可能だが「ハイカムの“カムに乗っていく感じ”を強く味わいたいなら、絶対に交換すべき」とはモンスター長田さんのコメントだ。
サスペンションは前述の通りレース用車高調で、バネレートはフロント14kg/mm、リヤ8kg/mmとかなり高い。突き上げ感も強く完全なサーキットスペックだが、パワフルな1.8Lエンジンを支えるためにはこの足が必要というわけだ。
追加メーターとしてデフィの水温計と油温計がセットされていた他は、至ってノーマル然としたインパネ周り。ナンバー付きのNゼロレースならではの雰囲気と言える。
また、HT81Sはボディ剛性が低いため、取材車両のようにロールケージの導入は有効。そこまでいかなくても、タワーバーやフロアバーなどはスポーツ走行に欠かせない。
車重1トン未満という軽さがウリのHT81Sだけに、このエンジンを搭載させた時の俊敏さは想像するまでもないはず。
実際、サーキットでは同社の元デモカーである1.9L仕様のZC31Sよりも速かったそうだ。中古市場での手頃な価格を考えれば、HT81Sチューンは大いにアリと言えるだろう。
●問い合わせ:モンスタースポーツ TEL:0538-66-0020
Posted at 2020/05/19 21:11:45 | |
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