2020年07月30日
ホンダエンジン搭載、軽量スポーツのアリエル ノマド に最終「R」…335馬力スーパーチャージャー
アリエルモーターカンパニーは7月15日、アリエル『ノマド』の最終モデル、『ノマドR』(Ariel Nomad R)を英国で発表した。限定5台が生産される予定だ。
◆ホンダがシビックタイプR用エンジンを長年供給
『ノマド』は、英国のスポーツカーメーカーのアリエルモーターカンパニーが開発したモデル。アリエル社は1999年に復活した。同社の名前を有名にしたのが、超軽量スポーツカーの『アトム』だ。2003年から、ホンダ『シビックタイプR』用の2.0リットル直列4気筒ガソリンエンジンを搭載している。
ホンダは2016年、アリエル社との間でエンジンサプライヤー契約を更新し、シビックタイプR用エンジンの供給を継続すると発表した。ホンダはすでに、累計1500基以上のエンジンをアリエル社に供給している。
アトムシリーズの最新モデルには、シビックタイプR用の2.0リットル直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載し、最大出力は320psを発生する。車両重量は595kgに抑えられ、0~100km/h加速2.8秒、最高速260km/hの性能を実現している。
◆ホンダ製2.0リットルエンジンに変更しスーパーチャージャー追加
このアトムのオフローダー版として、2015年に登場したのがノマドだ。オフロードタイヤや、オフロード仕様のサスペンションを採用する。ホンダ製の2.4リットル直列4気筒ガソリン「i-VTEC」エンジンは、最大出力235ps/7200rpm、最大トルク30.6kgm/4300rpmを引き出す。車両重量は670kgに抑えられ、0~100km/h加速3.4秒、最高速201km/hの性能を備えている。
このノマドの最終モデルがノマドR。すべてのアリエル車と同様に、ノマドRはホンダエンジンを搭載する。ただし、2.4リットルのホンダ「K24」型エンジンではなく、ノマドRではホンダの「K20Z3」型2.0リットル直列4気筒エンジンに、アリエル独自のイートンタイプのツインスーパーチャージャーを追加した。これにより、最大出力335ps/7600rpm、最大トルク33.6kgm/5500rpmを獲得する。
◆0~96km/h加速2.9秒
このスペックは、標準版のノマドに対して出力は100ps、トルクは3kgmの増加となる。トランスミッションはSadev製6速シーケンシャルで、パドルシフトで操作を行う。動力性能は0~96km/h加速2.9秒、最高速195km/hと発表されている。
足回りには、特別に開発されたビルシュタイン製の 「MDS」2ウェイ調整式モノチューブダンパーを装備する。コンプレッションとリバウンドの個別調整が可能だ。専用開発されたアイバッハ製スプリングを組み合わせる。軽量の18インチマルチスポークアルミホイールには、ヨコハマの「A052」タイヤを装着する。ブレーキは、アルコン製の4ピストンキャリパーと2ピースのベンチレーテッドディスクを組み合わせた。
サイドにドアがないスパルタンな室内には、フルハーネスシートベルト付きの軽量バケットシートが装備されている。この軽量バケットシートは、人間工学に基づいて設計された新デザインとした。
アリエルモーターカンパニーは、ノマドの最終モデルとして、このノマドRを5台限定生産する予定だ。英国本国でのベース価格は、6万4500ポンド(約870万円)と発表された。同社は、ターマックラリー仕様に合わせて設計・調整されたノマドRは、究極のパフォーマンスを発揮する、としている。
Posted at 2020/07/30 22:17:50 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年07月30日
マクラーレンF1の衝撃、再び! ゴードン・マレーの最新作「T.50」が積むV12の詳細判明!【前編】
Gordon Murray T.50
ゴードン・マレー T.50
いよいよ2020年8月4日に世界初公開
ゴードン・マレー オートモーティブ(GMA)は英国時間2020年8月4日17時(日本時間8月5日1時)、新型スーパースポーツ「T.50」を世界へ初披露する。ワールドプレミアに先立ち、T.50に搭載するV12エンジンについての情報を公開した。
ゴードン・マレーがロードカーの世界に戻ってくる。マクラーレンF1の衝撃から30年弱。自身の設計キャリアは50年。彼が2020年のテクノロジーを使ってスーパースポーツを作るなら、果たしてどんなクルマになるだろう。その妄想がいよいよ現実の姿となって我々の前に現れようとしている。
「V12以外の選択肢は絶対にありえない」
T.50は低くタイトで軽いボディにモータースポーツ由来の空力性能を与え、マニュアルトランスミッション、そして自然吸気のV12エンジンを積む。いわばゴードン・マレーの教義から1mmも外れることのないスーパーカーだ。
ゴードン・マレー曰く「運転という体験の素晴らしさの半分以上は、エンジンが担っている」。だから、なにはなくとも世界で最も優れた自然吸気V12エンジンを作ろうという目標を最初に彼は掲げた。
「ずば抜けて秀でたエンジンというのは、明確なキャラクターを備えているものだ。レスポンス鋭く、素晴らしく鳴き、強大なトルクを叩き出しながらどこまでも吹け上がる。むろん自然吸気でなくてはならない。つまりT.50に積むエンジンはV12以外、決してありえなかった」
名門コスワースとの共同開発
T.50の心臓を作るにあたり、彼が門戸を叩いたのはレースエンジンの名門ビルダー、コスワース。心に思い描いていたのはフェラーリ 250 GTOが積んだ3.3リッターV12ユニットだ。できる限り排気量が小さく、個性的で、あふれるようなパワーを生む。そんなエンジンが欲しかった。
マレーの指示は至極明瞭であったという。エンジン自体の重量は、可能な限り軽くあるべし。そして、これまでのロードカーに搭載したどんなエンジンよりもレスポンスが速くなければならぬ、と。ターゲットは伝説の名車、マクラーレンF1である。
3.9リッターの自然吸気+48V ISG
高回転まで美しく回ることも条件とした。目標はマレーがライトカー・カンパニーで開発した公道用フォーミュラ「ロケット」。かのエンジンはレブリミット1万1500rpmまで回った。
さらに、豊かな個性ととびきり良い音、そして美しさも求めた。つまり、カバーもなくベルトの類もない、クリーンな見栄えのエンジンを目指したのである。
1トンを切る車体に相応しい相手として、コスワース側が提案したのが3.9リッターのユニットだった。ブロックとシリンダーヘッドはアルミ、チタン製のコンロッドとバルブを備えたバンク角65度のV12。そこに48Vのインテグレーテッドスターター兼ジェネレーターを組み合わせた。
いずれ伝説となるはずのクルマ
プロフェッサー・マレーのキャリアはエンジン設計からスタートした。T.50の心臓部にかける彼の情熱が並々ならぬものだったのもむべなるかな。そこにはF1レースと、マクラーレンF1で彼が得た知見のすべてを注ぎ込んだ。マレーは言う。
「非常に軽いコンポーネンツ、優れたパッケージング、そしてすこぶる鋭いレスポンス。この全ては20年のF1経験から得た知見です。また、駆動にベルトは一切用いていません。モータースポーツの頂点であるF1同様、ギヤ駆動方式を採用しているのもそれが理由です」
コスワースのマネージング ディレクター、ブルース・ウッドも次のように述べている。
「T.50のエンジンにゴードンが定めた基準は、我々が手掛けてきたどのエンジンよりも厳しいものでした。あらゆる面でこれまでの限界を押し広げたといえるでしょう。ゴードンのマクラーレンF1同様、いずれ伝説となるであろうクルマの開発に携われたことは我々コスワースの人間にとって、心震える出来事でした」
「このプログラムは、まさにコスワースをさらなる高みへと導いたのです。時のみぞ知るところではありますが、このGMA V12は歴史上のアイコンとして刻まれるエンジンになるような気がしてなりません」
(後編に続く)
【エンジン諸元】
GMA T.50
型式:コスワース GMA
種類:V型12気筒自然吸気
Vアングル:65度
排気量:3994cc
ボア×ストローク:81.5mm×63.8mm
圧縮比:14:1
最高出力:663ps/1万1500rpm
最大トルク:467Nm/9000rpm
レブリミット:1万2100rpm
エキゾーストシステム:インコネル及びチタン
オイル供給方式:ドライサンプ
冷却システム:水冷/ツインアルミニウムラジエーター(フロント)
オイル冷却システム:シングルアルミニウムラジエーター(リヤ)
スターター/オルタネーター:48V インテグレーテッドスターター/ジェネレーター(ギヤ駆動)
エンジンブロック:アルミニウム
シリンダーヘッド:アルミニウム
コンロッド:チタン
バルブ:チタン
エンジン単体重量:178kg
ゴードン・マレーの最新スーパーカー「T.50」は伝説の再来か。自然吸気V12の全容に迫る【後編】
Gordon Murray T.50
ゴードン・マレー T.50
マクラーレンMP4/6のホンダ製V12という着眼点
ゴードン・マレー オートモーティブ(GMA)の放つ最新作「T.50」は、稀代の設計者が30年ぶりに作る公道向けスーパーカーだ。その心臓部には、コスワースと共同開発した渾身のV型12気筒自然吸気ユニットが収まることになる。
そのV12の開発にあたっては、マレーが過去に携わった車両やレースからの知見を総動員して導入している。1990年代初頭のF1マシン、マクラーレン MP4/6に積まれたホンダ製3.5リッターV12「RA121E」も、T.50のエンジンに多大な影響を与えた。マレーによれば、パフォーマンスとバランスの良さ、そして重量の点で、F1で使われたV12の中で最高峰であったという。
BMW製 S70/2の美しさを現代に
もうひとつ、忘れてはならないのがBMW製「S70/2」の存在だ。マクラーレンF1に搭載した同ユニットを、いまもスーパーカーエンジンの頂点として称える人間は少なくない。
「何をおいても、BMW S70/2みたいにクリーンな見た目にしたいと考えました。カーボンや樹脂のカバーなどなく、トランペット(エアファンネル)やカムカバー、エキゾーストやヘッド、ブロックから成り、最小限のベルト駆動類は見えない場所に追い込んだ、あのエンジンのような。カーボンのカバーに覆われた現代スーパーカーのそれに相対する、解毒剤にしたかったんですね」とマレーは語る。
1万2100rpmのレブリミット
2020年の今日でさえ、マクラーレンF1はお金で買うことのできる最良のクルマの一台として考えられている。しかしマレーに言わせればS70/2には改善の余地があったらしい。レブリミットがいささか低く、サウンドが高まり始める頃にはギアの変速を迫られてしまうため、没頭できる時間がやや少なかったというのである。
マレーは次のように述べている。
「エンジン設計からキャリアをスタートした私としては、T.50専用の3.9リッターV12について考え、作り上げていく作業は大変な喜びでした。真っ白な用紙を前に、世界で最高の、ずっと高回転まで吹け上がり、素晴らしく美しい設計で、驚くようなサウンドを奏でるエンジンを創造する。これこそ私が長らくやりたいと願い続けていた仕事だったんです!」
ゴードン・マレーがライト・カー・カンパニーの「ロケット」で刻んだ1万1500rpmのレッドゾーンを、T.50はさらに塗り替える。GMA V12のレブリミットはじつに1万2100rpm。最高出力の663psを1万1500rpmで発揮する。レスポンスの鋭さも桁外れで、アイドリングからわずか0.3秒で1万2100rpmに達するという。
指揮者に従い高らかに歌いあげるV12
レッドライン付近で雄叫びをあげるエンジンサウンドは、ドライバーに大きな歓びをもたらす要素だ。その歓びをさらに高めようと、T.50の開発チームが着目したのが「ダイレクト パス インダクション サウンド」。マクラーレンF1のために開発したシステムだが、今回T.50のために改良を加えて搭載した。
ドライバーの頭上、ルーフに装備したカーボンファイバー製のラムエアインテークは、キャビンに響くエンジンサウンドを増幅させるスピーカーとしても作用する。システムは回転数ではなくスロットル開度に連動するため、パーシャルの場合は控えめな音をキープするが、ドライバーがひとたびスロットルを半分以上踏み込めば大きな声で歌いあげる、という仕組みになっている。
「ターボエンジンに、真に印象的なサウンドは望めません。T.50の音はきっと貴方を驚かせることでしょう。スロットル開度に合わせてドライバーを酔わせるようなうなり声があがり、空気を取り込むたびにサウンドが膨らみ、レブリミット目指してペダルを蹴り上げるほど、V12は高らかに歌いあげる。他のどんなロードカーにも似ていない声でね」。そうマレーは説明する。
T.50のドライバーは、さながらV12のオーケストラを自在に操る指揮者といえる。
エンジン単体重量は178kg
マレーのクルマづくりの教義に添うべく、GMA V12は軽量でなければならなかった。ブロックはアルミニウム製で、コンロッドとバルブ、そしてクラッチハウジングはチタン製、スチール製のクランクシャフト重量は13kgに抑えている。結果、エンジン単体重量は178kg。ロードカー向けのV12ということを考えれば、200kgを切るだけでも十分に驚異である。
マレー曰く「優れた設計はエンジンを軽くする。もちろんパフォーマンスや品質、パッケージング、レイアウトのすべてにおいて妥協は許されません」
V12エンジンの「むき出しの美しさ」
重量と同様に、サイズと搭載位置も車両の重心高を低めるために重要な要件となる。とくにコンパクトな設計は必須であった。マクラーレンF1では125mmだったクランク高を、今回はエンジン最下端から85mmに収めている。オイル供給方式はもちろんドライサンプだ。
現代スーパーカーのそれとは違い、T.50のエンジンコンパートメントは“ブラックボックス”化されていない。車両の中央部から回転するように開くガルウイングタイプのリッドを開けると、むき出しのV12がその美しい姿をさらしている。
レースカーエンジンのようにギヤ駆動方式を採用しており、補機類はなるべく視界に入らない位置に搭載。エキゾーストマニフォールドやトランペットが、スポットライトを浴びるようにセンターを飾っている。
エンジニアが作り出した現代の芸術
マレーは語る。
「このクルマを構成するすべての要素は、エンジニアリング的にいう芸術品なのです。私が作りたかったのは、1960年代のV12を現代的に解釈したもの。T.50から降ろしたとしても、このエンジンは魅力的な彫刻のように、モダンアートの一作となるでしょう」
【エンジン諸元】
GMA T.50
型式:コスワース GMA
種類:V型12気筒自然吸気
Vアングル:65度
排気量:3994cc
ボア×ストローク:81.5mm×63.8mm
圧縮比:14:1
最高出力:663ps/1万1500rpm
最大トルク:467Nm/9000rpm
レブリミット:1万2100rpm
エキゾーストシステム:インコネル及びチタン
オイル供給方式:ドライサンプ
冷却システム:水冷/ツインアルミニウムラジエーター(フロント)
オイル冷却システム:シングルアルミニウムラジエーター(リヤ)
スターター/オルタネーター:48V インテグレーテッドスターター/ジェネレーター(ギヤ駆動)
エンジンブロック:アルミニウム
シリンダーヘッド:アルミニウム
コンロッド:チタン
バルブ:チタン
エンジン単体重量:178kg
Posted at 2020/07/30 22:15:01 | |
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