2020年08月09日
あのコブラが58台限定で再生産! 選ぶべき毒蛇の心臓はフォード製エンジンか、EVか
AC Cars AC Cobra
AC カーズ AC コブラ
数奇な運命を辿る2座ロードスター
AC エースの運命は波瀾万丈だ。
戦後、英国のテムズ・ディットンに拠点を置くAC カーズが生産を開始したAC エースは、チューブラーフレームにアルミボディをまとった美しいライトウェイトロードスターだった。ところが、当時の英国製モデルの常というべきか、戦前から使っていた古臭い直列6気筒エンジンを後生大事に使ったために、せっかくの軽量で美しい肢体はいささか生彩を欠いていた。
のちに3連装キャブレターを備えたブリストル製の2.0リッター直列6気筒に出合ったAC エースは、ようやくシャシーを活かす機会に恵まれる。1959年のル・マンではクラス優勝をもぎとった。
キャロル・シェルビーとの巡り会い
しかしブリストルは1961年にエンジンの製造を中止。ACカーズの当時のオーナーであるチャールズ・ハーロックは、自慢の自社製シャシーに相応しい動力を再び探さねばならなくなった。そして出会ったのがキャロル・シェルビーである。運命の相手が見つかった瞬間だったろう。
出自もスタイルも有為転変する運命も、すべてがいかにも英国車らしい2座ロードスター。その紳士は、アメリカに渡るや「コブラ」なる猛々しい名前とV8エンジンを得ることになる。その後、名設計者のもとで数々の伝説を作っていったのは皆様ご存じのとおり。
選ぶべきコブラの心臓は電気か、直4ターボか
2020年7月、あのAC コブラが英国に帰ってきた。ぴかぴかの新車として。
折々に提携相手を変えながら生き残ってきた現代AC カーズが市場へ投入するのは、「AC コブラ シリーズ 1 エレクトリック」と「AC コブラ 140 チャーター エディション」の2モデル。前者は名前のとおりEVパワートレインを、後者は最新のフォード マスタングに採用する高性能直列4気筒ガソリンエンジンを積む。
EV、内燃機関の両モデルとも各58台の限定生産となり、販売も英国内のみ。ちなみに生産台数は、AC コブラがこの世に誕生してから58年という節目を記念して決められたらしい。
電気モーターや駆動システムを供給しているのはダービーシャーに拠点を置くファルコン エレクトリック。電動パワートレインやバッテリー、充電システム、自動運転機能などを専門に扱う英国企業だ。
2020年7月末にファルコン エレクトリックへ搬入された新型AC コブラは、EV、ガソリン両モデルの電装系をここで整えた上で数週間後に「ラインオフ」するという。
“EVコブラ”の税別価格は13万8000ポンド(約1914万円)、“直4コブラ”は同8万5000ポンド(約1178円)。いずれも2020年後半にデリバリーを開始する。
大排気量V8搭載の本家毒蛇も継続生産へ
もうひとつ、こちらも英国内のみの取り扱いではあるものの、継続生産車「AC コブラ 378 スーパーブロワー Mk4」が販売されるのもコブラファンには朗報だ。
4インチのチューブを用いたラダーフレーム構造に、580hpを発生するスーパーチャージャー付き6.2リッターV型8気筒エンジンをはじめ、6速ギヤボックス、強化ブレーキ、LSD、前後マルチリンクサスペンション、前後アンチロールバーを搭載。キャビンは手作業によるレザー張り仕様となる。正統な生産モデルとして、AC カーズのシャシープレートにはCOBで始まるシャシーナンバーが刻まれるという。
現在最初の車体が生産中で、車両価格は12万9500ポンド(約1797万円)。注文はロンドンの北部、バッキンガムシャーにある販売会社、ボス モーター カンパニーで受け付けている。
【やっぱりV8】ACコブラを再生産 コルベットZ06の6.2Lエンジン EV/直4仕様につづく復活
ACコブラ 生産再開モデルとは
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
英国の自動車メーカー「ACカーズ」が、アイコニックなコブラのリクリエート・モデルを披露した。
イギリス市場向けに先日発表された、2.3L仕様の「チャーター・エディション」、さらにEV仕様で復活した名車。それに続くのは「コブラ378スーパーブロワー・マーク4」だ。
1998年に限定販売され、2020年に復活を果たす形となった。
C7世代のコルベットZO6が積むシボレー製6.2L V8スーパーチャージド・エンジンを搭載。
パフォーマンスの詳細は明らかにされていないが、オリジナルの1965年型コブラ427のフォードV8よりも約150ps多い、580ps前後を出力すると言われている。
従来のラダーフレームシャシーを採用しつつも、サーボアシスト・ブレーキ、ベントブレーキディスク、リミテッドスリップ・ディファレンシャルを採用。
コイルオーバー・ショックアブソーバーを備えたマルチリンク・サスペンションを装備するなど、最新のシャシーコンポーネントを多数搭載している。
手作業で仕上げられたインテリアは、全体がブラックレザーでトリミングされ、毛足の長いパイルカーペットが特徴的となっている。
イギリス価格 邦貨1793万円~
現在、バッキンガムシャーを拠点とするボス・モーター・カンパニーで注文を受け付けている。
英国での販売価格は12万9500ポンド(1794万円)から。
同社はV8仕様を何台生産するかは明らかにしていないが、量産仕様の第1号車が現在製造されているとのことだ。
なお、初代の登場から58年経ったことにちなんで、EVとチャーター・エディションはそれぞれ58台ずつ販売することを明らかにしている。
復活した「ACコブラ」にV8モデル登場! ラダーフレームに580psV8エンジン搭載
■C7型シボレー・コルベットZ06搭載のエンジン
イギリスのACカーズは、2020年7月1日に発表したACコブラの復活モデル、「ACコブラ シリーズ1 エレクトリック」「ACコブラ 140チャーターエディション」に続き、6.2リッターV8スーパーチャージャーエンジンを搭載した「スーパーブロワー」を発表した。
今回登場したモデルの正式名は「ACコブラ 378スーパーブロワー・マークIV」。イギリスでの車両価格は12万9500ポンド(日本円で約1800万円)となる。
ACコブラ スーパーブロワーは、580psを発生する、シボレー製のLT4型6.2リッターV型8気筒+スーパーチャージャーを搭載。このエンジンは「コルベットZO6(C7型)」に搭載されるものになる。
オリジナルスタイルの4インチラウンドチューブ・ラダーフレームシャシーのボディにトランスミッションは6速MTを組み合わせる。
またアルミニウム製ラジエーターやVディスクを備えたレース仕様のサーボアシストブレーキキャリパー、リミテッドスリップデフ、フロント/リアのマルチリンクサスペンション、アンチロールバー、16インチホイールが用意される。
インテリアはブラックレザーで仕上げたハンドメイドとなる。ロンドンの北、バッキンガムシャーにあるディーラー、ボスモーターカンパニーで購入が可能だ。
※ ※ ※
ACコブラは2020年に復活。まず登場した「ACコブラ シリーズ1 エレクトリック」はバッテリー容量54kWhのEVで、0-62mph(約0-100km/h)加速は6.7秒を誇る。車両価格は13万8000ポンド(約1914万円)だ。
また「ACコブラ140チャーターエディション」は、約350ps・約440Nmを発生する2.3リッター直列4気筒ターボを搭載。これはフォード「マスタング」に搭載されるエコブーストと同じもので、0ー62mphは約6秒となる。車両価格は8万5000ポンド(約1180万円)になる。
ACコブラ シリーズ1 エレクトリックとACコブラ140チャーターエディションは、1962年にフォードの4.7リッターV8エンジンを搭載したオリジナルのACコブラ登場から58年を祝うという意味で、両モデルとも58台限定となっている。ACコブラ 378スーパーブロワー・マークIVの生産台数は未定だ。
Posted at 2020/08/09 18:28:02 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年08月09日
即完売が当然! 中古車は4000万! 超絶人気の「STI限定車」でも売り切れなかったモデル3台
22Bの「極上物件」はついに4000万円を超えた!
STI限定車の人気は凄まじい。モデル末期となったWRX S4ベースの「STI STI Sport #」は、コロナ禍でも限定の500台を2週間ほどで売り切った。去年の秋に発売された「EJ20ファイナルエディション」は24倍以上もの倍率で抽選販売となったことが記憶に新しいところだ。
中古車の相場を見ても、「S206」以降のSシリーズは高騰しており、それ以外の「tS」などの限定車も高値で安定。伝説の「インプレッサ22B STiバージョン」においては、米英など海外での人気により、程度極上物件がついに4000万円を超えるという尋常ならざる事態となった。22Bが「億」を超えるのも時間の問題かも知れない。
STIの限定車は、仕様の内容や販売頻度についての賛否が問われることはあるものの、マニアから「乗り味面で裏切られることはない」と絶大な信頼を受けている。30年以上におよぶSTIの歴史のなかで、販売面では苦戦することがあっても、性能や乗り味面で駄作と評されたモデルは過去に1台もない。全車に共通する走りのクオリティの高さが、STI限定車のブランド力を向上させた。
そんなSTI限定車のなかでも、販売面での苦戦により、予定していた台数に達することなく終わったモデルがいくつか存在する。ここではSTIの限定車なのに販売面で低迷した悲運の3台をピックアップし、販売面で苦戦した理由について振り返ってみよう。
1)S201
今では売れば直ちに即売するマニア羨望の「Sシリーズ」も、記念すべき第一弾の「201」は商売的にコケることから始まってしまった。まだSUBARUがWRCでの最強ワークスとしてのイメージが強く、当時のファンの多くはラリーに熱中していた時代に、あえて新しい方向性を提案する狙いでレーシングカーをイメージしたエアロパーツを装着。「スバルのスポーツモデルはラリー一辺倒ではない」ことを演出した挑戦的なモデルで、富士重工の航空宇宙事業部が入念な空洞実験により設計したエアロダイナミクス性能を誇る前衛的なエアロパーツは確かな性能を発揮したが、当時のスバリストの心にはあまり響かず、不人気車のレッテルを貼られる結果となった。
限定台数は300台だが、筆者の知る限り200番台のシリアルナンバーを付けた個体は流通していないので(生産はされた模様)、おそらく百数十台しか売れなかったと推察。販売期間は限定ではなかったため、公式には完売となっている。これ以降のSTI限定車は、基本的に受注生産となった。
当時は時代がついてこなかった! 今なら完売必至のモデルも
2)S401
レガシィ初の「S」シリーズは、3代目レガシィセダン(初代B4)ベースで誕生。エンジンの高出力化やMTの6速化、ブレンボブレーキなど硬派な装備で武装しながら、STIの限定車としては初めて「プレミアムカー路線」に舵を切ったセッティングが施された。「走ることへの情熱を抱き続ける大人の感性に響く質の高い走り」と謳ったように、本質的には武闘派ではなく、上質で甘美なフィーリングが味わえたことが今も印象深い。SUBARU車が、走りの質においてかつてない高みに登りつつあることを感じさせた。
しかしながら、2002年の時点でSTI車の「プレミアム路線」は時期尚早だった。当時のスバルファンの多くはSTI車に「3年連続WRCマニュファクチャラーズチャンピオン車のDNA」、つまり競技マシン的硬派な味を求めていたのだ。
当時のSTI社長、「ミスターレガシィ」と呼ばれたSUBARU偉人のひとりである桂田勝さんは「400人にわかってもらえれば、それでいい」と語るも、残念ながらS401に共感して購入に至った人は400人に届かず、三百数十人しかいなかった。もしも今、このコンセプトで硬派な装備を施したレガシィB4が発売されたら、瞬時完売は間違いないだろう。時代の先を行きすぎたS401の高い志は、今こそ求められるのだが……。
3)エクシーガtS
3列シートを持つファミリーカーであるエクシーガに、ブレンボブレーキや18インチのポテンザRE050Aなどの硬派な装備を装着。当時のSUBARU車としては最重量級の1620kgという重さをあまり気にせずブレーキが踏み倒せるとあって、スポーツドライブ時の精神的限界が大幅に向上。7シーター車ながら、高次元な運動性能を満喫できたことが記憶に残っている。
辰己英治さんをはじめとする当時のSTIの開発陣が、全座席の乗り心地を入念にテストして走りをチューニングした成果として、運転席と同じかそれ以上に3列目シートの居心地が秀逸であることがマニアの間で話題となったりもした。
なかなかの力作だったが、限定の300台に届かず受注を終了。前年の2009年に発売された「エクシーガ2.0GT tuned by STI」は人気を博したものの、当時のエクシーガに高いスポーツ性を求める層は、まだ育っていなかったと推察。ちなみに、3代目フォレスターベースと、2代目XV(ハイブリッド)ベースの「tS」も限定台数に届かず受注期間を終えている。3列シート車やSUVに対しては、STIチューンドの限定車はあまり求められていなかった模様だが、この先は果たしてどうなるのか?
Posted at 2020/08/09 18:24:32 | |
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富士重工 | 日記
2020年08月09日
カクカク系でも空力性能は日本一だった!? スバルの意外な初モノ車3選
■スバルの「初モノ」は意外なクルマたちだった
国産メーカーのなかでも、水平対向エンジン+4WDという独自路線を貫くスバルは、源流を遡ると1917年に創設された中島飛行機にたどりつきます。第二次大戦前から航空機を製造し、戦後に中島飛行機がGHQによって解体されると、1945年に富士産業と改称して創業し、平和事業へと転換が図られました。
戦後、スクーターやバスに架装されるボディの製造から始まって、1953年に富士重工業となり、4輪自動車の製造を開始して、2017年には社名を「株式会社SUBARU」に変更し、現在に至ります。
スバルの自動車製造の歴史は比較的短いのですが、その過程でスバルにとって「初」となる技術が幾度も誕生しました。
そこで、スバルの歴代車のなかから、「初」となる記念すべきモデル3車種をピックアップして紹介します。
なお、以降は社名(ブランド名)を「スバル」で統一します。
●発売されなかった幻の4輪自動車「1500 P-1」
スバルは1950年代に何台かの試作車を製作しながら、本格的な4輪自動車メーカーへの転換を図ろうとしていました。そして、1955年に初の4輪自動車「1500 P-1」を完成させ「すばる」と命名します。
1500 P-1は6人乗り4ドアセダンのボディに、1.5リッターの直列4気筒OHVエンジンを搭載し、最高出力は55馬力を発揮。
外観はアメリカ車とイギリス車両方のエッセンスを取り入れた重厚なデザインで、当時として画期的だったのが「乗り心地」と「走行安定性」を追求していたことでした。
1500 P-1は20台が試作されて14台は社内のテスト用に使われましたが、残りの6台は群馬県内のタクシー会社に卸され、1年間事業用車として走行テストがおこなわれました。
当時、庶民がマイカーを持つことはまだ夢の時代で、タクシー会社が自動車メーカーにとって上得意でした。未舗装路が多かった頃とあって、クルマの耐久性などの走行テストをおこなうには、タクシーとして使用してもらうのが好都合だったためです。
このテストの結果、1500 P1の乗り心地の良さと、ボディや足まわりなどの耐久性は、どんな国産車よりも勝っていたと評価されました。1500 P-1の量産化は諸事情により見送られましたが、初の量産車「スバル360」の開発や生産に、大きく貢献することになりました。
●初の4WDモデル「スバルff-1・1300Gバン4WD」
冒頭にあるとおりスバル車の特徴といえば、水平対向エンジンと豊富な4WD車のラインナップが挙げられます。
この水平対向エンジン+4WDが初めて採用されたのが「スバルff-1・1300Gバン4WD」です。
スバルff-1・1300Gバン4WDは1971年に製作されましたが、誕生の経緯としては、東北電力から冬場の豪雪地帯での設備保守用に、乗用車タイプの4WD車がほしいというリクエストによるものでした。
そこで、スバルは1300Gバンをベースに4WD化をおこない、いまにつづく「シンメトリカルAWD」を初めて実現させました。
スバルff-1・1300Gバン4WDは8台製作されて、そのうち5台が東北電力に納められ、実際に現場で活躍したといいます。なお、現存するのはスバルの群馬製作所矢島工場に併設されている「ビジターセンター」に展示されている1台のみとなっています。
■スバル初のスペシャリティカーは初モノが盛りだくさん!?
●スバル初と国産車初があった「アルシオーネ」
1985年に発売された「アルシオーネ」は、スバル最初で最後のリトラクタブルヘッドライトを採用したモデルです。
外観は2ドアクーペのスペシャリティカーとしてデザインされ、まさに「クサビ型」という呼び方がぴったりなシャープなフォルムで、空気抵抗を極限まで抑えたデザインとなっていました。
実際に空気抵抗を推し量るCD値(空気抵抗係数)は0.29と、国産車で初めて0.3を下回る良好な値を実現。ドアミラーの形状やカバーされたドアノブ、スポイラー形状のトランクリッドなどにより、達成されました。
内装のデザインも個性的で、ダッシュボードやハンドル周りは、飛行機のコクピットをイメージ。
初期のモデルでは1.8リッター水平対向4気筒ターボエンジンのみで、FFと4WDがありましたが、後に2.7リッターの水平対向6気筒自然吸気エンジンも追加。
また、グレードによっては自動で車高を調整できるエアサスペンションが採用されるなど、見た目だけでなくメカニズムも先進的なクルマでした。
※ ※ ※
近年、スバルは大きな転換期を迎えています。2019年末には、初代「レガシィ」から搭載された名機「EJ20型」エンジンの生産終了を発表。
また、かつてスバルの主力車種だった「レガシィB4」の国内販売を終えようとしています。
これまでもスバルは、世界初のCVT車や、30年以上もの開発期間によって実用化した先進安全技術「アイサイト」など、エポックメイキングな技術を世に送り出してきました。
そしてスバルは、次の世代に向けて歩みだそうとしているようです。
Posted at 2020/08/09 18:19:00 | |
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富士重工 | 日記
2020年08月09日
スバルSUV「フォレスター」なぜ堅調に人気続く? ターボ廃止後も走りで人気の理由とは
■見てよし乗ってよし、e-BOXERも好評
近年、SUV市場では各メーカーから新型車が続々と登場し、「SUV戦国時代」と呼ばれるほどその競争は激しくなっています。
そんななか、これまで堅調な販売台数のSUVとしてスバル「フォレスター」があるというのですが、安定した売れ行きの理由は何でしょうか。
日本自動車販売協会連合会によると、2019年のタイプ別販売台数において、SUVは51万3996台を記録しました。2018年が47万4731台だったので、対前年比で108%となっています。
そして、2020年に入ってからも各メーカーから新型SUVが続々と登場しています。2020年6月にはトヨタから「ハリアー」が、日産から「キックス」が発売され、多くの注目を集めています。
そうした新型車が注目されるなかで、安定した販売を記録するクルマも存在します。スバルの「フォレスター」も、そのうちの1台です。
2019年の新車販売台数では、全体で28位となる3万2384台を記録。直近の2020年上半期(1月から6月)の販売台数でも全体で31位となる1万1358台となっており、大ヒットとはいえずとも堅実な販売をキープしています。
では、登場から2年以上が経ったフォレスターが、このSUV戦国時代で堅調な売れ行きを誇っているのでしょうか。
フォレスターは、1997年に初代モデルが発売され、現行モデルは2018年発売の5代目となります。
現行の「インプレッサ」から導入されたスバルの次世代プラットフォーム「SUBARU GLOBAL PLATFORM」を採用しているのが特徴で、ハンドリング性や操舵性が高められています。
また、モデルチェンジでターボエンジンは廃止され、2.5リッター水平対向4気筒エンジンを搭載したガソリンモデルと、2リッター水平対向4気筒エンジンとモーターを組み合わせたハイブリッド「e-BOXER」モデルの2種がラインナップしています。
フォレスターの人気について、スバルの販売店スタッフは以下のように話します。
「フォレスター全体でいえば、デザインが非常に好評です。
先代モデルと比べ、中身は大きく変わりましたが、外見は『スバルらしさ』『フォレスターらしさ』をキープしており、初代から今までずっとフォレスターに乗っているというお客さまもいらっしゃいます。
また、安全装備などの基本的な性能が充実している点も人気です。
一方で、e-BOXERモデルに関しては、持ち味である低速域での加速が好評です。試乗される多くのお客さまから、ポジティブな意味で『想像していたハイブリッドと違う』という意見を多く頂いているため、現行フォレスターの大きな持ち味のひとつでしょう」
フォレスターのエクステリアデザインは、スバルの次世代デザインコンセプトである「ダイナミック×ソリッド」に基づき、SUVらしい力強さや信頼感が演出されています。
安全装備では、スバルの予防安全装備である「アイサイト」が全車標準装備され、「全車速追従機能付クルーズコントロール」や「車線逸脱抑制」といった先進機能が備わっています。
加えて、個人認識機能を持った「ドライバーモニタリングシステム」を設定しているのも大きな特徴です。
これは、わき見運転や居眠り運転といったドライバーの不注意による交通事故を防止するための機能で、ドライバーが一定時間以上目を閉じていたり、顔の向きを大きく外したりするなど、眠気や不注意があるとシステムが判断した場合、音や画面表示で注意喚起します。
また、e-BOXERの持ち味である低速域での高い加速性能は、さまざまな場面で効果を発揮します。
市街地では、信号待ちからのスムーズな発進といった場面のほか、低速域はモーター主導で走行するため、渋滞での燃費改善に貢献します。オフロードでは、モーター特有の瞬間的な加速能力によって、ぬかるんだ道や雪道での発進をサポートします。
見てよし乗ってよし、ついつい新型車に注目が集まりがちななかでも、フォレスターはその持ち味を確実に活かして、安定したファンを獲得しているようです。
■堅調販売の裏で芽生える、「燃費志向」という不安
先述の通り、直近では各メーカーから話題を集める新型車が続々と投入されています。それらは、フォレスターの売れ行きに影響はあるのでしょうか。
前出とは別のスバル販売店スタッフは以下のように話します。
「もちろん影響は無いとはいえませんが、そこまで大きくもありません。アイサイトを基本とした安全装備は人気ですし、デザインにおいてもフォレスター『一択』というお客さまも一定数いらっしゃいます。
しかし、e-BOXERについては、大きく意見が分かれてしまうようです。ハイブリッドといえば低燃費というイメージを持つお客さまは多いため、燃費というより走りにベクトルを向けたe-BOXERは、ハマらない方にはまったくハマりません」
e-BOXERは、販売店スタッフのコメントにあるように走りを重視したシステムのため、燃費がとくにすぐれている訳ではありません。
たとえば、2020年上半期にハイブリッドをラインナップするSUVのなかでもっとも販売台数の多かったトヨタ「RAV4」では、WLTCモードで20.6km/Lから21.4km/Lとなっています。
一方、フォレスターのe-BOXERは、WLTCモードで18.6km/Lと決して悪いとはいえませんが、競合となるRAV4と比較するとやや劣ってしまいます。
前出の販売店スタッフによれば、e-BOXERを搭載する「Advance」グレードは、販売の大部分を占める人気ぶりのようです。
今後、フォレスターは「燃費推し」の波に対抗し、これまでのような安定した人気をキープすることができるのか注目されます。
Posted at 2020/08/09 18:15:47 | |
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富士重工 | 日記