2020年08月17日
【TNGAの採用は?】次期スバルBRZ 開発中のプロトタイプを激写 2.4Lターボで、アルピーヌに対抗か
新型 255psを発揮か
次世代型スバルBRZのプロトタイプが、スパイカメラマンによって初めてカメラに収められた。
2021年発表と思われる期待の新型は、今回の写真で、開発初期のスタイリングを確認することができる。
今年初めに第1報をお伝えしたとおり、次期型BRZは、255psを発揮するターボ・ユニットを搭載する見込みだ。
メカニカル面が(そしてきっと外観も)、時期を前後して登場する「次期86」と同一なのは新型でも変わらない。
ただ、トヨタ版は、地域によっては「GR 86」を名乗る可能性もある。
アセントの2.4Lターボの可能性も
撮影された個体は、曲面で構成されたお馴染みのシルエットをまとっていた。
それでも、フロントグリルが目に見えて大型化し、前後のライトが新デザインになっていることが判断できる。
トヨタ-スバルが送り出す新型は、スバル由来の従来型シャシーから、後輪駆動にも対応できるトヨタのTNGAプラットフォームに切り替わると思われる。
ただ、エンジンはスバルの現行ラインナップから流用される見込みで、北米で展開されるSUV「アセント」の2.4L水平対向4気筒直噴ターボが候補となる可能性が高い。
現行型では自然吸気ユニットから200psを発生するが、ターボ・エンジンに変更することで255psまでパワーアップするならば、2社がターゲットとするライバルにアルピーヌA110も含まれることになるだろう。
BRZに続きトヨタ 86の現行型が販売終了! なぜ終売時期に違い?
スバルの販売店ホームページを見ると、BRZについて「注文受け付けを終了いたしました」と掲載されている。メーカーに尋ねると「国内で販売されるBRZについては、すでに生産を終えている」と返答された。
しかし、北米など海外のホームページを見ると、従来通り掲載されている。今はコロナ禍の影響もあり、市場によって販売状況が異なる。そこで国内向けは、早期に生産と販売を終えたようだ。
一方、86については、2020年8月中旬においてBRZのような終了の告知は見られない。メーカーのホームページには、工場出荷時期として「注文いただいてから3か月程度、GRは4か月程度」と掲載されている。
トヨタ版の86はどうなるのか? 取材により新たな情報が明らかになった。
文:渡辺陽一郎/写真:トヨタ自動車、スバル、池之平昌信/CGイラスト:ベストカー編集部
【画像ギャラリー】惜しまれる販売終了と期待される次期モデル! 86/BRZを写真で振り返る!!
■トヨタの86もすでに受注はストップ
メーカーのホームページにはまだ工場出荷時期が記載されているトヨタ 86。しかしオーダーはすでにストップし、数少ない在庫車を残すのみというのが現状だ
トヨタの86については冒頭のとおり、メーカーのホームページにはまだ工場出荷時期が記載されている。だが、念のために販売店に尋ねると、まったく違う話を聞くことができた。
「86はすでにメーカーへの発注が終了している。まず86のGRが終わり、ほかの一般グレードも先ごろオーダーが停止した。現時点で買えるとすれば在庫車だが、86は販売台数が限られることもあって在庫車は少ない。つまり新車の86は、実質的に購入できなくなった」
今後の展開はどうなるのか、この点も尋ねた。
「スバルが86の次期型を開発していることは確かだが、今のところメーカーから何の話も聞いていない。従って少なくとも2020年内に発売されることはないと思う」
トヨタ 86よりも先に生産終了がアナウンスされたスバル BRZ。コロナウイルス流行の影響もあり、国内向けは生産・販売とも終えたようだ
通常は従来型の生産や販売が終わると、時間を置かずに新型車を発売する。車種のラインナップが途絶える期間が生じると、従来型から乗り替えを希望するユーザーも新型を購入できず、ほかのメーカーに移ってしまう心配も生じるからだ。
そして、トヨタとスバルは、2019年9月に「新たな業務資本提携に合意」したと発表しており、提携の内容に「トヨタ86/スバルBRZ 次期モデル共同開発」が盛り込まれている。
この項目がある以上、次期86とBRZの開発が進んでいることは間違いない。生産を終えるタイミングがBRZは早く、86は遅かったということだ。
■なぜ86とBRZで終売のタイミングに時間差?
86とBRZで国内での販売終了に時間差が生じたのは販売規模の違いもある。同ラインで製造される両車だが、販売網の規模には10倍ほどの開きがある
86とBRZで国内の終了に時間差が生じたのは、販売規模の違いもある。
2020年1~6月はコロナ禍の影響を受けて各メーカーとも売れ行きが下がったが、86は1か月平均で300台少々を登録した。BRZは約80台だ。
86を扱うトヨタの4系列は全国に約4600店舗、スバルは約460店舗だから10倍の開きがあり、両車種の販売格差も拡大した。
スバルは販売会社のホームページに、6月頃には「BRZは2020年7月20日をもって注文受け付けを終了致します」という告知を掲載していた。
早い時期から顧客を募り、販売終了の準備を進めていたわけだ。スバルは販売ネットワークが小規模だから、メーカーも販売網全体の動きを把握しやすく、意思の伝達も容易だ。
■注目の新型86/BRZは排気量アップでアイサイトも搭載予定
86/BRZといえば水平対向エンジンだが、次期モデルは排気量を拡大し、実用回転域の駆動力と実用燃費性能を向上させる狙いだ
なお86とBRZの次期型は、プラットフォームを現行型と共通化する。両車はスポーツカーとしては好調に売れたが、SUVやハッチバックほど大量に販売される商品ではないからだ。1世代限りでプラットフォームを変更するのは、コストの面からも難しい。
また、今はプラットフォームの解析能力が高まり、以前に比べると、同じベースを使いながら従来よりも熟成度を深めることが可能になった。そこで86とBRZの次期型も、現行型と同じプラットフォームを使いながら改良を加える。
改良の内容には、現行インプレッサ以降の前輪駆動車に幅広く使われるSGP(スバルグローバルプラットフォーム)の技術も多く盛り込まれるだろう。86とBRZは後輪駆動だが、実質的にプラットフォームを刷新したのと同等の効果を得る。
ボディサイズは、ホイールベースの数値などを含めて現行型を踏襲する。現行型は狭いながらも実用的な後席と荷室を備え、なおかつ全長は4300mm以下、全幅も1800mm以下だから、ドライバーは車両との一体感を味わいやすい。いわば熟成されたサイズだから、次期型で変更する必要はない。
現行型にはアイサイトは非搭載だが、カテゴリーを問わず最良の安全装備を採用するのが常識となっている現在の状況では、次期モデルには装備されることになると考えてよいだろう
現行型のエンジンは水平対向4気筒2Lだが、次期型は排気量を2.4Lに拡大する見通しだ。排気量の拡大でエンジンの負荷を抑え、実用回転域の駆動力と、実用燃費性能を向上させる。
そして、最も大きく進化するのが安全装備だ。現行型は衝突被害軽減ブレーキのアイサイトを装着していない。
開発者は「86とBRZでは、フロントウインドウの角度と地上高がアイサイトの搭載を困難にしている。なおかつ生産規模も小さいために設定されていない」と説明した。
しかし、今はカテゴリーを問わず最良の安全装備を採用するのが、日本、海外ともに常識になっている。当然に86とBRZの次期型も、最新型のアイサイトを採用する。
■希少国産スポーツに86/BRZにファンも熱視線
早期の登場を期待される次期モデルだが、ボディサイズは現行型とほぼ同じ、内部はエンジンの排気量アップと安全装備搭載が予想される(CGイラストはベストカーが製作したもの)
それにしても、86とBRZには熱心なファンが多い。今では発売から8年以上を経過したので、新型への乗り替えを希望するユーザーもたくさんおられる。
次期型の登場は、業務提携の内容としてすでに公表されたのだから、発表や納車を伴う発売のタイミングなどを大雑把でも良いから明らかにすべきだ。
そうなればユーザーも購入計画を立てられて、納車を心待ちにできる。そこまで含めて、スポーツカーの楽しさがあると思う。
単に生産終了を告げられるだけでは、ユーザーは寂しい気持ちになってしまう。ユーザー/販売会社/メーカーが一緒になって楽しむ86とBRZであって欲しい。
スバル BRZ、現行型の受注終了を公式発表
SUBARU(スバル)は、現行『BRZ』の日本国内における受注生産のオーダー受付を終了した、と公式サイトを通じて発表した。今後は販売店での在庫対応になり、ボディカラーやオプションなどの希望に沿えない場合がある、としている。
スバルBRZは2011年秋、東京モーターショー2011で量産プロトタイプが初公開された。2012年2月には、市販モデルが発表され、同年3月に日本国内で発売された。スバルとトヨタが共同開発したFR駆動のスポーツカーで、トヨタ版は『86』を名乗る。スバルBRZ、トヨタ86ともに、生産はスバルの群馬製作所の本工場(群馬県太田市)で行われている。
スバルとトヨタは2005年10月、業務提携の基本合意を締結した。その後、2008年4月に発表した開発・生産における協力関係のさらなる発展拡大の中で、FRスポーツカーの共同開発をスタートさせた。スバルBRZとトヨタ86は、企画とデザインを主にトヨタが、開発と生産を主にスバルが担当した。
スバルBRZ、トヨタ86ともに、スバルならではの水平対向エンジンを搭載。水平対向エンジンを低く、より車両中心に近い後方に搭載することにより、世界トップクラスとなる低重心パッケージングを追求していた。
販売店でも現行BRZの生産終了を案内している。
似て非なる双子車 86&BRZは初志貫徹で進化を続けた!!
2020年7月20日をもって受注を終了したというニュースがあったスバルBRZ。そうなれば、双子といっていいトヨタ86も近いうちに販売終了となるだろう。
というのも86もBRZと同じく、スバルの群馬製作所本工場で生産されているので、BRZが生産終了となる以上、86も近いうちに生産は終了するはずだ(86の生産終了記事については現在調査中で、近日中に詳細を報告)。
現行型を締めくくるといういま、これまで歩んできた2台を振り返ってみたい。
双子とはいえ、違ったテイストを持っていた86とBRZは、最終的にどんな違いを生み出していたのだろうか?
文:橋本洋平/写真:TOYOTA、SUBARU、池之平昌信、平野学、青山勝己、ベストカー編集部
【画像ギャラリー】86/BRZの8年間にわたる地道な切磋琢磨の歴史をフラッシュバック!!
デビュー時の86はドリフト志向
2012年2月にデビューしたトヨタ86(左)とスバルBRZ(右)は共同開発車ながらデビューした時から独自のテイストを持っていた(写真はマイチェン後)
思い返すこと8年前の2012年春。その頃の話題といえば、86とBRZの走りは一体何が違うのか? ということに注目が集まっていた。
基本コンポーネントは変わらずだったが、足回りだけは独自の考えがあり、セットアップの方向性が異なっていた。
86はドリフトを意識した仕上がりであり、フロントサスペンションを柔らかく設定。ブレーキングをすれば即座にフロントが沈み込み、それをきっかけにしてリアが滑り出すような仕立て方だった。
86はブレーキングできっかけを作り、テールスライドが楽しめるセッティングが施されていた。昔ながらもわかりやすいFRの挙動だ
そこにプリウス譲りのさほどグリップの高くないタイヤが組み合わされることで、誰もがテールスライドを味わえるようなフレンドリーな仕立てだったことを思い出す。
副産物としてフロントからの入力が軽減されており、マイルドな一面もあった。
デビュー時のBRZはリアの安定性を重視
BRZはFRながらシンメトリカルAWD車と同様にリアの安定性を重視したセッティングが施されていたので86よりもスタビリティが高かった
対するBRZの考えはFRレイアウトであろうともリアの安定性を失わないようなセットアップだったと感じる。必要以上のノーズダイブを嫌い、86に比べればフロントのスプリングを硬めにセット。
結果としてスタビリティは86に比べて高かった。けれども、それでスライドコントロールができないわけじゃない。乗り手次第ではBRZであっても振り回すことは可能だったし、むしろ高速コーナーではBRZのほうが高い次元でのドリフトが可能だった。
ひとつ面白かったのは、BRZは全車バッテリーが大きかったこと。86で言うところの寒冷地仕様が標準だった。高いスタビリティと寒冷地を考えた設定は、さすが4駆マニアのスバルが造ったFRなのだと妙に納得できるところがあったのだ。
86に比べるとドリフト状態に持っていくのは難しかったBRZだが、リアのスタビリティが高いがゆえに、いったん持ち込めればハイスピードドリフトも可能
ビッグマイチェンでも初期コンセプトを踏襲
ともに年次改良を果たし、次々に粗さが取れてくる印象があったが、最も激変したのは通称E型と呼ばれたビッグマイナーチェンジだ。
エンジンパワーの向上やファイナルギアの変更、さらには足回りのセットアップなども見直しやスタビリティコントロールの介入の仕方までが改められ、どの領域でもリニアさが増していたことが印象的だった。
2016年にマイチェンしてパワーアップ、空力面の見直しなど外観の変化は小さいが中身は大幅にアップデートされた。写真は86の開発責任者の多田哲哉氏
さらに外観は意匠変更も行われて洗練されたが、実はこの時にともに注力したのが空力だ。そこでも興味深かったのは、ともに注力した方向性が初期モデルと同様だったことだった。
86はフロントのダウンフォースを増して操舵の効きを目指したかに感じられ、いっぽうでBRZはあくまで前後バランスを求めてスタビリティ重視としていたかに思えたのだ。
86と同時にビッグマイチェンを受けたBRZだが、前後バランスを求めてリアのスタビリティ重視という初志貫徹の姿勢を崩さず
レースでも違いが顕著に現れた
こうした印象の違いは僕が参戦していたGAZOO Racing 86/BRZ Raceのエントラントからも聞こえてきた。高速コーナーがあるコースでは、86のほうがノーズの入りがよかったというのだ。
たしかにBRZが上位に食い込むのはダウンフォースをそれほど必要としないコースが多かった。
真偽のほどは定かではないし、同じセットアップで乗り比べをしたことがないので断定はできないが、いずれにしてもエクステリアの差は何らかの影響をもたらしていたことは間違いなさそうだ。
Gazoo Racing86/BRZはタイヤやセッティングなど参戦マシンで違うが、86とBRZでは明らかにコーナリングひとつとっても挙動が違っていた
86GRはBRZ寄りのフィーリング!?
86とBRZの違いはコンプリートモデルにおいてもテイストが異なっていた。86ではGRMNというエンジンまでチューニングを施したモンスターが生まれたが、BRZと比較しやすかったのはシャシーチューニングを行った86GR。
対するスバルは同様にシャシーチューニングを行ったBRZ STI SPORTである。
2015年のGRMNに続き、マイチェン後のモデルをベースに86GRが2017年に登場。各所の補強によりボディ剛性もアップ
86GRはステアリングラックブレースやリアメンバーブレースを追加。その上でザックス製のショックアブソーバーを追加したほか、対向キャリパーを奢っていた。
また、特徴的だったのは前後でサイズの異なるタイヤを装着していたことだ。フロント215、リア235をチョイスして17インチで仕立てていたのだ。
走ればリニアさが際立つフィーリングがありつつ、安定感を手にしていたことが印象的。ちょっとBRZ寄りになったかに思えた内容だ。レーシーでありながらストリートを許容するエアボリュームのあるタイヤとのマッチングが絶妙。
リアタイヤを太くしてスタビリティを生み出しながら、高速コーナーではフロントのダウンフォースで曲げて行ける仕上がりがあった。
また、ストッピングパワーも絶大であり、初期制動からシッカリと減速Gが立ち上がりつつ、踏力を抜く方向でのコントロール性も際立っていた。
前後で異なるサイズのタイヤを装着し、ブレーキも強化された86GRスポーツはレーシーに仕上げられていたが、ストリートともに高いポテンシャルを発揮
STI SPORTはヤンチャになったBRZ
対するSTI SPORTはSTIの十八番といっていいフレキシブルVバーやフレキシブルドロースティフナーを装備。足回りはこちらもザックスを採用したが、専用セットとなっていた。
タイヤは前後ともに215サイズの18インチ。タイヤ銘柄はGRと同様のミシュラン・パイロットスポーツ4。GRに比べれば変更点はこれくらいで、リーズナブルに仕立てられていた。
STIが手掛けたモデルとして特別仕様車のtSもあったが、STI SPORTはBRZの最上級グレードとして2017年に追加された
しかし、走り始めればGRとはまるで性格が異なりハードな方向性だった。ロール剛性を高めてかなり引き締められた感覚であり、ハーシュネスも大き目の印象だったのだ。
もちろんそこには18インチの採用も要因としてあるだろうが、鋭さは際立っていた。どちらかといえば、フラットな路面を得意とするタイプだ。ドロースティフナーを装着したことで、ステアリングの切りはじめからのリニアさが備わっていた。
86GR SPORTが17インチタイヤだったのに対し、STI SPORTは18インチを採用。ロール剛性も高められ、引き締められた印象
ブレーキは基本的な部分での変更はなく、あくまで踏力に応じてGが高められるイメージ。GRに比べるとフロントのダウンフォースは少なく、安定方向重視のBRZの考えは変わらず。
総じて言えることは、ちょっとヤンチャになったBRZ。ちょっと86寄りになったということかもしれない。
86、BRZとも違うテイストを生み出した
ともにまったく異なるアプローチを行い、頂上を目指した86とBRZ。切磋琢磨したこの8年は実に面白い戦いだったと感じている。
結果として近づいたかに思える2台だが、やはりどこか違うテイストを生み出したことは、日本車にとって、そして日本人にとって財産だったと感じている。
トヨタとスバルが持つ老舗の味が、最終的に86とBRZに確実に受け継がれている。
いまスバルは企業別平均燃費規制(CAF?)という壁が立ちはだかり、次期BRZを誕生させられないかもしれないという噂が出ている。
だが、そこを何とか乗り越え、これまで戦い続けてきた86とBRZの戦いを継続してほしい。互いの味を支持してきたファンを裏切らないためにも。
早ければ2021年春のデビューが噂されている新型86/BRZ。8年間にわたる初代の切磋琢磨が生かし、FRスポーツの第2ステージに突入する
Posted at 2020/08/17 20:11:15 | |
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