2020年10月14日
「F1の規定に合わせた幻の国産3.5L V12エンジン」HKSが開発した『300E』を知っているか?【ManiaxCars】
故・長谷川社長以下、従業員の夢を乗せ、富士スピードウェイで実走テストも実施!
実戦には投入されなかった幻のエンジン
日本を代表するチューニングメーカーのHKSは、市販車用チューニングパーツの開発、販売と並行してモータースポーツ用エンジンにも深く携わってきた。
よく知られるのは1992年、全日本ツーリングカー選手権グループAに参戦したBNR32のRB26DETT型だが、それ以前にアメリカのスタジアムトラックレース用に開発したミツビシG54B型ベースの2.3L直4DOHC4バルブ『134E』(1984年)や、5バルブエンジンの特性を確認するため、GC(グラチャン)レースに投入されたF2用2L直4DOHCのBMW M12型をベースとした『186E』(1986年)なども存在した。
そんなHKSは「世の中がNA化に進む」と早くから予測して1984年にNAの専門技術と開発への取り組みをスタート。その集大成として開発、実走テストまで行われたのが、当時のF1マシンへの搭載を想定した3.5LV12のオリジナルエンジン『300E』だったのだ。
同プロジェクトが動き出したのは1990年1月。当初はF1用エンジンとしてホンダやルノーがすでに実戦投入してたV10も検討したけど、究極を求めたHKSはV12を選んだ。開発に際しては「5バルブ採用による高回転&高出力化」「回転部以外には高価な材料を使用しない」「レース参戦はまず考えずに開発する(第一次開発)」などを謳い、「700ps/42.5kgm以上、1万3500rpm以上、単体重量150kg」が目標に掲げられた。
『300E』はプロジェクト開始から約1年半で完成し、1991年6月25日、ついにエンジンに火が入った。その後、ベンチテストを重ねて同年12月末に650psを達成し、翌1992年1月の東京オートサロンで発表。F3000マシンのローラT91/50改に搭載され、富士スピードウェイを舞台に報道陣を集めてのテスト走行が実施されたのは同年12月7日のことだった。
本来載るはずの3L・V8に代えて3.5L・V12エンジンの『300E』を搭載するにあたり、リヤセクションが200mmほど延長されたローラT91/50。装着タイヤは、F1用タイヤのレギュレーションにならってヨコハマが開発したワンオフ品だ。
この時、配布されたプレスリリースによると、テストランの目的は1:潤滑系、冷却系の問題点チェック、2:エンジンの実力チェック(レスポンス、トルク感、高回転の伸び)、3:エンジン制御システムの確認と実車での改良、4:エアダクトによるラム圧チェックという4点にあったようだ。
参考までにベストタイムは1分20秒9。F3000のコースレコードに対して約5秒落ちだったが、F1の規定に合致したエンジンを作り上げ、シェイクダウンまでこぎつけたことは、HKSの高い技術力と開発に携わった者たちの熱い思いの結晶に他ならない。
国産の、それもチューニングメーカーが手がけたF1用V12エンジンの登場に期待は大きく膨らんだ。すでにホンダやヤマハ、スバル(モトーリモデルニ)がF1コンストラクターにエンジンを供給し、いすゞも独自開発のV12をロータスに載せてテストを実施。1990年代前半のF1GPは、スポンサーとしてジャパンマネーが飛び交っただけでなく、日本のメーカーが持つ高い技術力を世界に示した時代でもあったのだ。
しかし、『300E』がその姿を見せたのはシェイクダウンの一度きり。HKS社内では引き続き、エンジンベンチでのテストや性能チェックが行われたようだが、再び公衆の面前でテスト走行が実施されることはなく、F1GPに実戦投入されることもなかった“幻のエンジン”として、クルマ好きの記憶に刻まれたのである。
■SPECIFICATIONS
エンジン形式:75度V型12気筒5バルブ
排気量:3491cc
乾燥重量:165kg
全長×全高×全幅:720×490×600mm
制御:HKSマネジメントシステム
スロットルバルブ:バタフライ方式
シリンダーブロック:高靱性アルミ鋳物
シリンダーヘッド:高靱性アルミ鋳物
シリンダースリーブ:アルミニカシルメッキ
カムキャリア:高靱性アルミ鋳物
クランクシャフト:特殊窒化鋼
カムシャフト:特殊窒化鋼
バルブ:チタン合金
ヘッドガスケット:SUS多層品
出力:650ps以上
トルク:42kgm以上
使用ガソリン:市販無鉛ガソリン
最高回転数:1万3500rpm
●TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
Posted at 2020/10/14 21:40:03 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年10月14日
メルセデスAMG GT 、最強「ブラックシリーズ」は730馬力…欧州発売
メルセデスベンツは10月5日、メルセデスAMG『GTブラックシリーズ』(Mercedes-AMG GT Black Series)を欧州市場で発売した。ドイツ本国でのベース価格は、33万5240ユーロ(約4170万円)だ。
◆空力性能を高めた外装デザイン
「ブラックシリーズ」とは、メルセデスAMGのブランドスローガンの「ドライビングパフォーマンス」を体現したピュアドライビングマシンだ。メルセデスAMGが、モータースポーツで培った最先端テクノロジーを注ぎ込んで開発。究極の運動性能と圧倒的な存在感を示すスタイリングを兼ね備えた少量限定生産車となる。
エクステリアには、メルセデスAMG 『GT』ベースの「GT3」レーシングカーから得られたノウハウを取り入れた。ボンネットには、ブラックカーボン仕上げの2つのエアダクトが設けられた。大きなエアダクトは、暖かい空気をエンジンルームの外へ導く。リアに大型ウイングを装着するなどして、エアロダイナミクス性能を引き上げている。
専用ボディカラーとして、「AMGマグマビームペイント」が選択できる。このオレンジは、メルセデスAMG GTブラックシリーズの専用オプションとなる。
◆4.0リットルV8ツインターボを専用チューン
メルセデスAMG GTブラックシリーズは、メルセデスAMG史上、最もパワフルな市販車となる。ドライサンプ潤滑システムを備えたメルセデスAMG の4.0リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジンを、強化して搭載する。
ブラックシリーズでは、ツインスクロールのターボチャージャーを減摩ベアリングに取り付け、スロットルレスポンスをさらに高めた。ターボチャージャーには大型のコンプレッサーホイールを装備。1時間あたりの空気供給量は、メルセデスAMG『GT R』の900kgを上回り、1100kgに達するという。大型のインタークーラーも装備されている。
これらの変更により、メルセデスAMG GTブラックシリーズは、最大出力730hp/6700~6900rpm、最大トルク81.6kgm/2000~6000rpmを獲得する。新しいカムシャフトと排気マニホールドが新しい点火順序に適合し、ガスサイクルをさらに改善しているという。
◆0~100km/h加速3.2秒で最高速325km/h
メルセデスAMG GTブラックシリーズは、リアアクスルに配置されている7速デュアルクラッチの「AMG SPEEDSHIFT DCT 7G」を介して、後輪を駆動する。この7速デュアルクラッチは、最大トルク81.6kgmに対応するよう強化された。7速デュアルクラッチのパフォーマンスやレスポンスは、よりサーキットに適したものに改良されている。
発進時のエンジン回転数の引き上げ、ホイールスリップコントロールの性能向上、スポーツタイヤのサーキットへの適合により、レーススタート機能が強化された。トランスミッション冷却性能も引き上げられ、ギア比も変更された。これらの変更により、メルセデスAMG GTブラックシリーズは、0~100km/h加速を3.2秒で駆け抜け、9秒以内に200km/hに到達する。最高速は325km /hだ。
エンジンとトランスミッションをつなぐ「トルクチューブ」は、カーボンファイバー製で重量は13.9kg。メルセデスAMG GTのアルミ製よりも約40%軽量だ。ドライブシャフトも、軽量なカーボンファイバー製とした。
◆レースの技術を導入したサスペンション
ダブルウィッシュボーンとステアリングナックル、前後のハブキャリアは100%鍛造アルミ製とし、バネ下重量を軽減した。モータースポーツの技術が採用されたダブルウィッシュボーン式サスペンションは、ホイール支持とサスペンション機能を分離し、スプリングストラットとダンパーストラットを下側のラテラルリンクで支える。このため、上下動を最小限に抑えつつ限界に近い状況のコーナリングにおいて、路面の感覚を的確にドライバーへ伝える。リアアクスルのロアウィッシュボーンに採用したピロボールジョイントもモータースポーツから流用した技術だ。ウィッシュボーンブッシュより耐摩耗性が高いうえ、設計上まったく遊びがないことから、大きな荷重を受けてもトーインとキャンバーが変化しない。その結果、さらにドライバーの意思に忠実に走行することが可能になったという。
調整可能なメルセデスAMGのサスペンションを装備した。このモータースポーツのテクノロジーは、「AMGライドコントロール」の連続可変アダプティブダンピングシステムと組み合わされている。
AMGライドコントロールは、各ホイールの減衰力を走行中のハンドリング状況や車速、路面状態に合わせて自動調整する。この減衰特性の調整を高速かつ精密に行うために、ダンパー内に伸び側用と縮み側用のバルブを別々に備えている。コーナリング時やブレーキング時などにはダンピングレートが硬くなることで、ロールが効果的に低減される。なお、車速に応じた減衰力連続調整には、高速走行時にも最大限の接地性を確保することで安全性を高める効果もあるという。
さらに、AMGドライブユニットシステムのボタンを押すか、「AMGダイナミックセレクト」のドライブモードを使用することで、アダプティブダンピングシステムの特性を調整できる。日常走行の快適性を優先する「C(Comfort)」、ニュルブルクリンクの北コースのような一部起伏があるようなサーキット走行に適した「S(Sport)」、鈴鹿サーキットなどのグランプリサーキット走行に適した「S+(Sport Plus)」の3つのシフトモードを採用している。
タイヤは、ブラックシリーズ専用のミシュラン「パイロットスポーツカップ2 R MO」。サイズは、フロントが285/35ZR19、リアが335/30ZR20とした。サーキット向けに、ハードコンパウンドがオプションで選択できる。
ブラック塗装のブレーキキャリパーとホワイトレタリングを備えた軽量なセラミック高性能コンパウンドブレーキシステムを、標準装備した。専用のブレーキパッドとディスク、最適化されたブレーキ冷却により、強力な制動力を発揮する。標準の鍛造アルミホイールも軽量化に貢献している
◆リアアクスルのスリップ量を9段階に設定可能
「AMGトラクションコントロール」も、モータースポーツの技術が採用されたシステムだ。駆動輪であるリアアクスルのスリップ量を、9段階であらかじめ設定することができる。操作は、エアアウトレット下のセンターコンソールにある専用ダイヤルで行う。設定の違いによって、リアホイールに許されるスリップ量が変化することから、さまざまな路面状況に対応する。
レベル1は、ウエット路面を、安全に余裕を保ちながら走行する設定。一方、レベル9ではリアアクスルのスリップを最大限許容する。選択された設定は、ロータリースイッチを囲むLEDゲージに表示される。この表示方式もレーシングカーから採用している。マルチファンクションディスプレイのセンターディスプレイにも設定が表示される。
AMGトラクションコントロールの利点は、仮想μシミュレーターや制御装置が処理するさまざまなデータを利用して、状況を瞬時に予測できることだ。駆動するリアホイールの最大許容スリップ量は、AMGトラクションコントロールの選択レベルに応じて計算される。加速中にホイールスリップが上限レベルに達すると、AMGトラクションコントロールはこの許容量を超えないようにエンジン出力を調整する。このため、車体は設定されたスリップ量の中で加速を続ける。調整には「AMGリミテッド・スリップ・デフ」の効果も含まれる、としている。
最強の「メルセデスAMG GT」となる「ブラックシリーズ」詳報!
AMG GTファミリーの絶対的頂点に君臨するモデル
メルセデスAMGはこのほど、今年7月に発表したメルセデスAMG GTのトップパフォーマンスモデル「メルセデスAMG GTブラックシリーズ」の特徴を改めて紹介。このモデルは、メルセデスAMGのGTファミリーにおける新たな絶対的頂点のモデルとして誕生した、同社の意欲作である。
メルセデスAMGモデルに設定されるブラックシリーズは、これが初めてではない。2006年に登場した「SLK 55」を皮切りに、2007年に「CLK 63」、2008年に「SL65」、2012年に「C63」、そして2013年に「SLS AMG」と、これまで5モデルに設定された経緯がある。パワートレインはもとより、エアロダイナミクスやシャシー、足まわりといった主要コンポーネントに手が加えられ、通常モデルのAMG車とは一線を画す、とりわけエクスクルーシブなモデルに位置付けられる。
AMG GTブラックシリーズは、GT3レーシングマシンで培った技術やノウハウを惜しみなく導入している。ドライサンプ潤滑方式の4L V型8気筒ツインターボエンジンは、ターボチャージャーに大型のコンプレッサーホイールや大型インタークーラーを装備するなど、専用仕立てとすることにより、最高出力730ps/6700-6900rpm、最大トルク800Nm/2000-6000rpmを引き出す。
トランスアクスルレイアウトを採用した専用セッティングの7速DCT(AMGスピードシフトDCT 7G)との組み合わせにより、0-100km/h加速を3.2秒、0-200km/h加速を9秒未満でこなす加速性能を実現する大きな原動力となっている。最高速は325km/hだ。
ダブルウイッシュボーン形式のサスペンションやステアリングナックル、ハブキャリアはすべて鍛造アルミニウム製。これによりバネ下質量を減らし、ステアリングからのフィードバックをより明確にし、コーナリングパフォーマンスを向上させている。
タイヤは専用にカスタマイズされたミシュランの「パイロットスポーツ・カップ2 R MO」でサイズはフロントが285/35ZR19、リヤが335/30ZR20。
ドライブモード「AMGダイナミックセレクト」は、「コンフォート」「スポーツ」「スポーツプラス」の3モードを設定。コンフォートとスポーツは公道向け、スポーツプラスはサーキットトラック向けと大まかに分けられるが、スポーツモードはウエットコンディションのサーキットトラックでも有効だという。
センターパネル中央部のダイヤル操作によってレベルを調整できるAMGトラクションコントロールも、ブラックシリーズ専用のセッティング。レベル1からレベル9まで選択でき、レベル1では、ウエット路面で安全に余裕を持った走行に適しており、一方レベル9では後輪のスリップ量を最大限に許容する。
エクステリアは、軽量化の促進とともに、エアロダイナミクスが追求されていることが明確に表現されている。これはGT3マシンをはじめとするレースカーから技術的フィードバックを得たもので、フロントスプリッターやボンネットフード、ルーフ、リヤウイングといったパーツはカーボンファイバー製。フロントスプリッターは「ストリート」と「レース」の2モード設定され、レースモードではより路面から近い位置まで下降し、ボディ下部に流れる空気を加速させる、いわゆる「ベンチュリ効果」を生み出しフロントのダウンフォースを高める。
一方、カーボン製テールゲートに装着されるリヤウイングには、上部中央に最大20度の範囲で角度が変更する可変フラップが組み込まれた。このフラップはAMGダイナミックモードに合わせて電動で調整し、ダイナミクスを最適化する。このほか、ほぼ完全にパネル化されフラットになったアンダーボディやリヤディフューザーなど、エアロダイナミクスを高める策が多彩に取り入れられた。その結果、AMG GTをベースとしていながらも独特のルックスになっている。
エクスクルーシブナッパレザーと「DINAMICA」マイクロファイバ-を組み合わせたインテリアはブラックが基調で、オレンジの差し色がシートやステッチに用いられ、マットブラックカーボンファイバートリムやAMGカーボンファイバーバケットシート、グロスブラックが特徴のAMGインテリアナイトパッケージと合わせて独特の雰囲気を発散する。ちなみにこの差し色はオプションでグレーが選べる。
オプションのAMGトラックパッケージを選択すると、チタン製チューブによるロールケージや4点式シートベルト、消化器などで構成するロールオーバープロテクションシステムが搭載される。
Posted at 2020/10/14 21:36:43 | |
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メルセデスベンツ | 日記
2020年10月14日
トヨタ GRヤリス に「ラリースペシャルエディション」 2021年オーストラリア発売
トヨタ自動車のオーストラリア部門、トヨタオーストラリアは10月1日、『GRヤリス』(Toyota GR Yaris)に2021年、「ラリースペシャルエディション」を設定し、現地発売すると発表した。
GRヤリスは、WRC(世界ラリー選手権)に学び、WRCで勝つために、「TMR」(トミ・マキネン・レーシング)と共同開発したスポーツカーシリーズ「GR」のオリジナルモデルだ。オーストラリアでは、最初に導入される1000台が、予約受注開始から7日で完売する人気となった。
トヨタオーストラリアは、これを受けて、日本のトヨタ本社と交渉し、追加で100台の予約受注枠を確保している。
さらに、トヨタオーストラリアは2021年、GRヤリスにラリースペシャルエディションを設定し、現地発売すると発表した。ラリースペシャルエディションを名乗るからには、世界最高峰のラリー、WRCをイメージした特別モデルになる可能性もありそうだ。
なお、トヨタオーストラリアは、ラリースペシャルエディションの価格は、2021年の発売が近づいた頃、発表する予定、としている。
Posted at 2020/10/14 21:31:04 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年10月14日
【試乗】ランボとBMWがコラボした悲運のスーパーカー「M1」をアイディングがチューン! 中谷明彦氏が試す
■ランボルギーニとBMWのコラボで生まれた「M1」
BMWといえばいつの時代でもFRのスポーツセダン/クーペを主軸としてラインナップ構成したことで知られる。それも前後50:50の重量配分にこだわりのながらクルマ造りを果たしてきた。
ローバーを吸収してFFのMINIをリリースしたりフルタイム4WDモデルをバリエーションに加えたりと、市場拡大策も導入してきているが、FRが主軸にあることにブレはない。そんなBMWがかつて市場に送り込んだMRミッドシップレイアウトのスーパースポーツカーがある。それが「M1」だ。
M1が初めてその姿を現したのは1978年のパリサロン。ミッドシップゆえにシャープになったフロントグリルにはBMWの象徴であるキドニーグリルがデザインされ、リアカウルのコーナーエンド左右にはBMWのエンブレムが冠された。
どこから見てもBMWであることがわかる演出がなされていたが、ミドシップであることで多くの興味を引くこととなった。
しかし、BMWといえども経験のないミッドシップスポーツを自ら開発することはリスクが高いと考えたのか、M1はそのデザインをイタリアのカロッツェリアとして有名はイタルデザインに委託し、またシャシの開発は当時技術提携関係にあった同じくイタリアのランボルギーニ社に受け持たせたという。
つまりM1は、デザインもシャシもイタリアン・スーパーカーだったわけだが、キドニーグリルとエンブレムでかろうじてBMWらしさを保てていたともいえる。
だがそのパワーユニットには、その後のBMWモータースポーツを代表する名ユニットとなる、完全BMW製となるM88型3453ccの直列6気筒DOHCエンジンが搭載され快音を放っていた。
イタリアンブランドのスーパーカー群の自社製エンジンは、パフォーマンスや耐久性、信頼性に信頼を得られにくかったこともあり、BMWの信頼できるパワーユニットが搭載されたスーパーカーという側面も当時魅力となっていたわけだ。
■名機「M88エンジン」を電子制御で操る!
今回試乗したのはそんなBMW M1を、アイディングがステージ4にまでチューニングしたS4だ。M1自体がすでに登場から40年近く経過したモデルなだけに、完調な固体を見つけることが難しい状況。ましてやM1は総生産台数が477台と極めて限られているだけに尚更だ。
アイディングでは、車体やボディのリビルドも含め当時のオリジナルに極めて忠実に再現し、エンジンのパフォーマンスは現代でも通用するレベルにまで引き上げ、それでいてBMWらしい安定した性能と耐久性、扱い易さを与えることが「M1-S4」のコンセプトだという。
僕自身M1に興味を惹かれた世代だが、残念ながらこれまでM1を走らせたことがなかった。BMWが作った唯一のミッドシップスーパーカーがどんな走りのクルマだったのか知る事ができないままでいたが、今回ようやくステアリングを握るチャンスに恵まれたのだ。それもオリジナルの状態を極めて健全に再現されているというから興奮する。
早速M1-S4に乗り込む。思いのほかルーフが低く170cmの身長の筆者もかなり寝そべったシートポジションを採らないと頭がつかえる。
ターボを装着したM1の最強バージョンGr5レースカーで、当時活躍していた身長194cmのハンス・スタックは一体どんな姿勢で運転していたのだろう。
寝そべるドライビングポジションになることを考慮してかステアリングホイールは傾斜が大きく取り付けられ、ステアリング上端には手が届かない。下端側を握り送りハンドルで操作するのが流儀だ。
エンジンはクランキングで瞬時に始動し、暖気を済ませればドライサンプエンジンらしいシャープな吹け上がりを示した。
やや窮屈なペダルを慎重に操作しながら走りだす。ここで驚いたのは低速トルクが厚く市街地でのドライバビリティが驚くほどよいことだ。これなら毎日使える! と感じられるほどスムーズでストレスがない。
それでは高速域はどうだろう。高速道路に乗り入れ、エンジンリミット近くの7000rpmまで回してみる。すると5500rpmあたりから状況は一変し、甲高いエキゾーストノートを轟かせながら力強い加速Gで背中をシートバックに押し付けられた。
40年前のクルマと高をくくっていたが、そこは現代のアイディングの技術が遺憾なく発揮されている。
シャシの状態も素晴らしい。鋼管スペースフレームのシャシは剛性感が物凄く高く、BMWらしいがっちりした佇まいが保たれている。キシミ音も皆無で快適だ。
ステアリングに若干のふらつきが見られる以外は、ロードホールディングもよくグリップ限界も高くて速い。40年まえのイタリア・ブランドのライバル車を思い返すと、M1のシャシ性能の高さ、安定感は段違いといえそうだ。当時この事実がもっと明確にアナウンスされていたらM1のその後も変わっていたのかもしれない。
Posted at 2020/10/14 21:28:48 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年10月14日
NVIDIA:クボタがNVIDIAのエンドツーエンドAIプラットフォームを活用し、農業のスマート化を加速
クボタがNVIDIAのエンドツーエンドAIプラットフォームを採用し、農業機械のスマート化を加速させるために協業することを発表した。
日本の農業は高齢化に伴う離農が進む一方で、農作業の委託、経営効率化のための農地集積などにより、営農規模の拡大が進み、大規模プロ農家が抱える人手不足や作業効率の向上、省力化などの課題解決のため、スマート農業の活用が急務になっている。クボタは国内農機メーカーに先駆けて、スマート農業の本格的な研究を開始しており、「農機の自動化・無人化による超省力化」や「データ活用による精密農業」の普及を目指している。その中でも「農機の自動化・無人化による超省力化」の実現にあたり、クボタはNVIDIAのエンドツーエンドAIプラットフォームを導入した。
これまでもクボタはコンピュータービジョンの実装で自動運転・無人化農機の開発を試みていたが、天候や生育状況などのデータから適切な農作業を判断し、これまで実現できていない作物の収穫などの作業まで適時に実行に移す完全無人農機の実現に向けて、今後はNVIDIAのエッジデバイス向けの組み込みAIプラットフォーム・NVIDIA Jetsonを活用して研究開発を進めていく。
NVIDIA Jetsonは高い計算処理能力、精度、電力効率に優れ、また産業向けNVIDIA Jetsonは高耐久設計のため、農業機械の過酷な環境に求められる要件を満たしている。さらにエッジ側では、高精細なスクリーンスティッチングやエッジ検出において、リアルタイムでスムーズな処理が求められるため、NVIDIA Jetsonは最適であると評価された。
AIの学習側の環境として、クボタは卓越したコンピューティングパフォーマンスのNVIDIA DGX AIシステムを導入し、研究開発を進めている。DGXシステムは、GPU向けに最適化されたディープラーニングソフトウェアのハブであるNGCをサポートしている。開発者はディープラーニングの開発に必要とされる、統合済みのフレームワークコンテナーを使用することで、AIモデルの設計やトレーニング、実験、展開を容易に実施することができるため、研究開発から製品の市場導入までの時間を短縮することができる。クボタは最適な推論パフォーマンスを引き出すための鍵となるライブラリ、NVIDIA Tensor RTを活用し、高性能な推論用のAIモデルの開発に取り組んでいる。
このように、クボタは同一のコンピューティングアーキテクチャを持つNVIDIAのエンドツーエンドAIプラットフォームを学習から推論(エッジ)まで導入し、開発を効率化することで市場投入の短期化を図る。例えばDGXシステムで農機に搭載された多数のカメラから入力される情報を解析し、AIモデルの学習を重ね、その結果をNVIDIA Jetsonに戻すことでモデルの精度を高めていくことができる。
クボタ 取締役専務執行役員 研究開発本部長の佐々木真治氏は次のように述べている。「クボタは、次世代の農業の在り方を見据えた取り組みを行っており、農業機械メーカーという枠組みを超えた、農業のトータルソリューションカンパニーとして、時代のニーズに適した農業の姿を先導しています。高い実績のあるNVIDIAのエンドツーエンドAIプラットフォームにて開発研究および製品化に取り組み、持続可能な未来の農業を創造していきます」
NVIDIAの日本代表兼米国副社長である大崎真孝氏は次のように述べている。「NVIDIAのAIプラットフォームはAIの開発を加速させ、今後より高まるAIの需要にも十分応えることができるため、クボタの次世代の農業機械の開発において最適なプラットフォームといえます。クボタは現場のニーズに合った自動化・無人化された農業機械を開発し、国内外における農業を支え、農業労働力の創出に大きく貢献することでしょう」
現在、クボタは日本において従来型農機の自動化・無人化を推進中だが、今後は、次世代の完全無人農機の実現を目指すとともに、海外展開や作物展開を推進していく予定。
近未来感マシマシ「クロストラクタ」登場へ前進! クボタとNVIDIAが戦略的パートナーシップを締結
■自動運転技術と電動化技術でトラクタはどう変わる?
クボタは、農業機械の自動運転分野においてアメリカのエヌビディア(NVIDIA)と戦略的パートナーシップを結んだことを、2020年10月6日に発表しました。これによりクボタは農業のスマート化を加速させるといいますが、具体的にはどのような狙いがあるのでしょうか。
クボタによると、日本国内の農業は高齢化に伴う離農が増える一方で、農作業の委託、経営効率化のための農地集積などにより営農規模の拡大が進んでおり、自動運転農機普及への期待が高まっているといいます。
これまでもGPSを活用した有人監視下での無人運転が可能な「アグリロボトラクタ」を発売するなど、クボタは自動運転農機の開発を進めてきました。
そのうえで、今後さらに、天候や生育状況などのデータから適切な農作業を判断し、適時に実行に移すことまでできる次世代の完全無人農機を実現すべく、研究を進めています。
次世代型無人農機の実現にあたっては、周囲の状況を正確に把握する「目」と、瞬時かつ高度に次の動作を判断する知能化が必要であり、そのためには遅延の無い「エッジAI」(クルマやIoTデバイスなどの端末に搭載されるAI)での画像認識が重要です。
こうしたことから、クボタは高い計算処理能力を持つGPUとそれを用いたAI開発プラットフォームを提供しているNVIDIAと連携してエッジAIの技術を高めてきました。
そのうえで、今回の戦略的パートナーシップの締結により、連携が強化されます。
クボタは「戦略的パートナーシップ締結により、自動運転農機の開発を加速し、農業人口減少が続く日本農業の持続に貢献してまいります」とコメントしています。
※ ※ ※
クボタは2020年1月にAIや電動化技術などが備わった完全無人の自動運転のコンセプトトラクタ「クロストラクタ」を公開しています。
AIが、天候や生育状況などのデータから、適切な農作業を判断して実行する機能や、完全電動で排気ガスを一切出さないといった特徴を持つほか、人が乗らない無人仕様のレイアウトと電動化技術によって可能となった、スタイリッシュなデザインを採用。
環境や自然との調和を意識したなめらかな造形に仕上がっているほか、インホイールモーターで駆動する四輪クローラを採用することで、湿田や不整地でも安定した無人作業をおこなえます。
近未来感溢れるデザインが印象的なクロストラクタの登場に、期待が高まります。
自動運転農業機械の開発を加速 NVIDIAとクボタが提携
NVIDIAは10月6日、クボタがNVIDIA のエンドツーエンドAIプラットフォームを採用し、農業機械の自動運転の開発を加速するために協業することで合意したと発表した。
クボタは国内農機メーカーに先駆けて、スマート農業の本格的な研究を開始しており、「農機の自動化・無人化による超省力化」や「データ活用による精密農業」の普及を目指している。
クボタはこれまで、コンピュータービジョンの実装で自動運転・無人化農機を開発してきた。今後は、天候や生育状況などのデータから適切な農作業を判断し、これまで実現できていない収穫などの作業まで適時に実行に移す完全無人農機を実現するため、今後はNVIDIA のエッジデバイス向けの組み込みAIプラットフォーム「Jetson」を活用して研究開発を進める。
Jetsonは高い計算処理能力、精度、電力効率に優れ、高耐久設計のため、農業機械の過酷な環境に求められる要件を満たす。エッジ側で高精細なスクリーンスティッチングや、エッジ検出において、リアルタイム、スムーズな処理が求められる中、クボタはJetsonの活用が最適と評価した。
クボタは同一のコンピューティングアーキテクチャを持つNVIDIAのエンドツーエンド AIプラットフォームを学習からエッジまで導入し、開発を効率化することで自動運転農業機械の短期間での市場投入を目指す。
Posted at 2020/10/14 21:26:33 | |
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