スバルの無資格者検査問題の対象車は約25.5万台でトヨタ86も含まれる
完成検査に対する国土交通省に提出した規定と社内の規定が異なった
日産に続き、無資格の完成検査員が完成検査を行ったという問題で、スバルは2017年10月27日17:00から東京都渋谷区にある本社ビルにて、会見を行った。
時系列を追って説明すると、日産の問題を受けて9月29日(金)の深夜に国土交通省から調査を行うように通達を受けたという。その後土日を挟んで10月2日に調査を開始、10月3日に疑義があることがわかった。それを受けて、すぐに完成検査を完成検査員のみが行うように改善を実施している。
では疑義があったにもかかわらず、10月27日の発表までは何を行っていたかということだが、会見にて吉永泰之社長は「私どもがやっていることがどういう位置づけになるのかを、国土交通省に問いあわせていたため、ここまで時間がかかった」と説明している。実際、10月5日には国土交通省に問いあわせをしており、そもそもの国土交通省から調査目処は30日という期限であったという。
ではなぜこの問題が起こったかということだが、国土交通省に提出している上位規定(完成検査要領)では、「完成検査員が完成検査を行うこと」、となっており、社内の下位規定(業務規定)では、「完成検査員には、現場経験が必要であり、完成検査員と同じ知識と技能を100%身につけたものでなければ登用できない」とあった。つまり完成検査員でなければできない検査を、完成検査員に登用されていないものがこなさなければ完成検査員になれない、という矛盾が生じていたということだ。
ただし、100%の知識と技能が身につくまでは、マンツーマンで完成検査員が見ているため、ここには問題がない。ただし、100%の知識と技能が身についた、と現場管理者(係長)が認定したものは、監督者(班長)の下で検査業務に従事させていたという。そして社内のルールにより、完成検査員登用前の100%知識と技能を身につけた検査員に、完成検査員の印章を貸与して、代理押印を認めていたとのことだ。そしてこの代理押印に関しての明文化はされていなかった。
それならば100%の知識と技能を身につけたと認めた時点で、完成検査員に登用すれば、何も問題は起こらなかったと思うだろう。しかしスバルでは、100%の知識と技能を身につけたと認定された後、決められた期間(2級自動車整備士資格などの保有状況で期間は異なる)、監督者の下で完成検査業務に従事し、その後筆記試験を受け、100点満点で80点以上を獲得しなければ完成検査員と認めないという規定があったのだ。
こう書けば簡単な矛盾に聞こえるが、これは整理した結果であり、実際は複雑に規定が絡みあっていて、簡単に気がつきにくい状態だったという。
確かに会社として、国土交通省に提出していた上位規定に違反はしているが、現場レベルでは、十分に安全なクルマを送り出せるルールが敷かれていると認識しており、そのルールを違反することなく業務が行われていたのだ。また、30年に渡り、この工程で作業が行われていたことから、会社として問題を抱えているという認識はまったくなかったのだろう。
そういった一連の流れを見ると、先ほども述べた、調査で疑義が見つかってから会見までのタイムラグが長いことについても指摘が相次いだが、「我々のやってきたことに問題があるのか、間違っているのかを、国土交通省に問いあわせて考えていたため、ここまで時間がかかった」、という吉永社長の発言は事実だと言って間違いないと思える。
ただし、上位規定に違反していたことは事実であり、知らなかった、気がつかなかった、製品に問題はない、では許されないこともまた、事実だ。
調査結果を30日に国土交通省へと提出した後の結果となるが、問題となった群馬県の工場の3ラインで生産されたクルマはリコールが検討されており、その台数は25.5万台程度になるという。さらにそのなかには、OEM供給のトヨタ86も含まれており、トヨタ側への連絡はすでに行われているとのことだ。
そしてもしリコールが実施された場合、費用は50億円程度になるという。
最後になるが吉永社長が強調していたのは、「ここで製品は安全だから問題ないとは言えないが、検査自体の内容というよりも、あくまでプロセスの問題」ということ。立場的にも非常に難しい発言内容だが、単に責任を追及するだけに終わるのではなく、冷静に事態をとらえる必要はあると思える。
SUBARUも不適切な完成検査! トヨタ86も含めスバル車約25万台リコールとなった不適切な内容とは?
第45回東京モーターショー2017の一般公開日を翌日に控えた10月27日。株式会社SUBARUは自動車の完成検査に関する社内調査結果についての記者会見を行いました。
完成検査といえば、日産自動車で検査員の資格がない人が検査業務を行うという不正が発覚。それを受けて、国土交通省からの通達によってスバルが社内調査を行った結果、完成検査業務を実施するにあたり不適切な事案を確認。それについての報告を行うというものでした。
スバル車オーナーである筆者は記者であるとともにユーザーの代表とし記者会見にのぞみました。17時から始まった記者会見は株式会社SUBARU 代表取締役社長である吉永泰之氏と株式会社SUBARU執行役員 品質保証本部長の大崎篤氏の二人が登壇し、冒頭深々と頭を下げました。
代表取締役社長である吉永泰之氏から今回の不適切な事案についての説明。そして記者による質疑応答が行われた記者会見は2時間半にわたり、記者からは「これは偽装」ではないのかという厳しい質問が飛びました。
吉永社長の説明によると、リコールの対象となるのはスバルの3つのあるラインで製造されたスバル全車種。そして、OEM供給しているトヨタ86も含まれます。対象となる台数は約25万台。その費用は50億円以上になると試算されています。
今回の不適切な事案を簡単に説明するとスバルの社内規定で完成検査に従事することができる人は担当検査工程に必要な教育と訓練を受け、完成検査業務に必要な知識と技能を100%身に付けたと現場管理者に認定され、担当検査工程に従事できるよう監督者に指名された人のみです。
指名に至るまでにはまず技術面をクリアし、その後社内の筆記試験で100点を取ると一人前の完成検査員となれるのです。今回発覚した不適切な事案は技術面でクリアしている人が筆記試験を受ける前に完成検査業務を行っていたということです。
これを自動車の運転に例えると、教習所で技能テストをパスした人がペーパーテストを合格する前にクルマを運転してしまったということに近いのではないでしょうか。今回の不適切な事案は約30年前から行われていたといわれており、決して、人員不足によるものではないという説明がなされました。
10月3日にこの疑義が発覚し、それ以降は筆記試験をパスしていない人を検査業務から外しており、新車登録は続けています。これまで規定として明文化されていなかった完成検査に対して、今後透明性を高めて、将来にわたって誤った運用や解釈が生じないように改めて規定を体系的に整理し直すと説明されました。
リコールの内容については10月30日に発表される予定です。アイサイトで先進安全装備の普及を加速させたスバル。管理システムを再構築して、安心・安全なクルマをユーザーに届けてほしいと思います。
(萩原文博)
スバルグループの下請先、8776社47万5074人…無資格者による完成検査問題で今後影響も
帝国データバンクは10月27日、日産に続き、無資格者による完成検査がスバルでも発覚したことを受け、同社グループの下請企業実態調査を実施した。
同社企業概要データベース「COSMOS2」の中から、スバルグループと直接、間接的に取引がある下請企業(一次下請先、二次下請先)を抽出し、都道府県別、業種別、年商規模別に集計・分析した。
調査結果によると、スバルグループの下請企業は一次下請先993社、二次下請先7783社、合計8776社にのぼることが判明。これらの下請先の総従業員数は47万5074人にのぼる。
都道府県別では、「東京都」が2119社(構成比24.1%)でトップ。以下、2位は「愛知県」(812社、同9.3%)、3位は「群馬県」(733社、同8.4%)の順だった。業種別では、一次下請先は「他の一般機械器具卸」が35社(構成比3.5%)で最多。二次下請先では、「産業用電気機器卸」が336社(同4.3%)でトップ。年商規模別では「1億~10億円未満」が4692社(構成比53.5%)で最多。「1億円未満」(1115社、同12.7%)と合わせて、全体の6割強が年商10億円未満の中小企業となっている。
帝国データバンクでは、今回の無資格者による新車の完成車検査は今後リコールに発展するおそれもあり、販売面とともに、スバルグループと取引のある下請企業に影響を及ぼす可能性もあるとコメントしている。
スバル、無資格者検査問題で公式に謝罪と説明、今後の対応を発表
2017年10月27日未明、スバル(群馬製作所)にも無資格の人間が完成検査に携わっていたことが同社の社内調査により判明した。群馬製作所は国内で販売されているほぼすべてのスバル販売車種を担当しており(OEM車を除く)、それはトヨタに供給している「86」も含む。
この問題でスバルは同日(つまり本日)17時10分頃、報道各社へ公式リリースを発信。以下のその内容をそのままお伝えしたい。
文:SUBARU、ベストカーWeb編集部
■ベストカーWeb編集部によるスバル公式リリースの要点まとめ
○スバル工場での完成検査は、「国交省へ提出している上位規定(完成検査要領)」とは別の「業務規定」があった
○スバル工場内ではあくまで「業務規定」に沿って完成検査が実施されていたが、それは「上位規定(完成検査要領)」とはズレがあった
○スバルの業務規定によれば、これまで完成検査に携わる者は、
A.「担当検査工程に必要な教育と訓練を受け、完成検査業務に必要な知識と技能を100%身に付けたと現場管理者(係長)に認定され、担当検査工程に従事するよう、監督者(班長)に指名された者」→2017年10月1日時点でスバル全体で4名
B.「上記【A】に加え、個々人の保有資格(2級自動車整備士等)に応じて設定された期間を監督者の監視下で完成検査業務に従事したのち、社内の筆記試験に合格した者(これを「完成検査員」と称し、上記のような「監督者の監視」から外される)」→2017年10月1日時点でスバル全体で245名
上記「A」、「B」からなっていた
○このうち「A」4名は「上位規定(完成検査要領)」によれば「完成検査員」ではなく、この4名が完成検査に携わっていたことから、今回の問題発覚となった
○今後は規定を整理し、こうしたことが起こらないよう体制を見直す
○リコールを実施するかどうかは検討中
○(吉永社長会見によると)人手不足ではなく、現場に経験を積ませるためにそういう(「業務規定」のような)制度を採用していた、深く反省している、とのこと
■編集部による考察
まず前提として「ルールはルール」であり、それを独自解釈して独自運用する行為は非常に危険な状況だった。特に「完成検査」というのは自動車の信頼性を支える根本的な部分であり、この規定が解釈次第で(メーカーごとに)バラバラに運用されていた状況は憂慮すべき事態だといえる。透明性を高めた上で、規定そのものの改善を強く求めたい。また、再発防止に向けた根本的な監督体制の見直しが必要だろう。
その上で、本件に関していえば、スバル全体で4名の無資格者が(それも必要な知識と技能を100%身につけたと判断された者が、監督者の監視のもとで)検査業務に携わっていたということを、ことさら問題視するのもどうなのか……とは思う(もちろん今後の調査や改善項目次第ではあるが)。なによりスバルの場合は「社内調査の結果」であり自己申告であるという点も、考慮して判断したい。
「規制を強める」あるいは「厳罰化する」というよりは、「規定を(各メーカーおよびユーザーが納得し実施できるラインで)具体化する」という方向で、完成検査制度の規定を見直す機会にすべきではないだろうか。
(以下公式リリースを引用)
■当社製自動車の完成検査に関わる社内調査結果について
この度、国土交通省 平成29年9月29日付文書「日産自動車の完成検査の不正事案を受けた確認の実施について」に基づき社内調査を行った結果、当社において、完成検査業務を実施するにあたり、不適切な事案があることを確認しました。
これらの調査結果をもとに、下記要旨に基づき、更に精査し10月30日に国土交通省(以下、国交省)に、ご報告申し上げる予定です。このたびは、お客様をはじめ多くの関係者の皆様にご不安とご心配をお掛けいたしますこと、深くお詫び申し上げます。
■1.報告内容
(1)完成検査員について
型式指定を申請する際に、国交省へ提出している上位規定(完成検査要領)は、完成検査員が完成検査を行うことになっております。一方、業務規定では、完成検査員登用にあたっては、現場経験の期間が必要と義務付けているため、当該工程の完成検査員と同じく、十分な知識と技能を100%身に付けたと現場管理者(係長)が認定した者を、監督者(班長)の監視下で検査業務に従事させており、型式指定申請書にある上位規定とは異なる運用になっておりました。
(2)完成検査の代行押印について
完成検査工程の運用ルールでは登用前の検査員に、完成検査員の印章貸与を行い、代行押印を行わせておりましたが、それを明文化した規定はありませんでした。
(3)完成検査に関連する規定の確認について
上記(1)、(2)で記載した運用は、完成検査に関わる規定に織り込まれておらず、規定全体が体系的に 整備されているとは言い難い状況でした。
■2.当社の完成検査の実施要員
・当社の完成検査に従事することができる者は、まず担当検査工程に必要な教育と訓練を受け、完成検査業務に必要な知識と技能を100%身に付けたと現場管理者(係長)に認定され、担当検査工程に従事するよう、監督者(班長)に指名された者です。
認定結果については、記録簿にて確認することができる仕組みとなっております。
・この指名された者は、個々人の保有資格(2級自動車整備士等)に応じて設定された期間までは、監督者の監視下で完成検査業務に従事します。 ⇒2017年10月1日現在、当社全体で4名
・当該期間を経て、かつ社内の筆記試験に合格した者には、完成検査員という呼称を付し、原則監視下から外します。 ⇒2017年10月1日現在、当社全体で245名
・上記のとおり、完成検査正規登用前の検査員が完成検査に従事している場合があり、規定として明文化されておりませんでした。
■3. 今後の対応
当社の完成検査を今後、透明性を高め、将来に渡って誤った運用や解釈が生じないように、改めて規定を体系的に整理し直します。
なお、対象車両に関しては、市場措置(リコール)を検討中です。
■4.本件についてのお問合せ先
【フリーダイヤル】 お客様センター「SUBARUコール」TEL:0120-592215(9:00~17:00)
以上
(公式リリースの引用ここまで)
スバルで不適切な完成検査、リコールはトヨタ 86 に及ぶ可能性も
SUBARU(スバル)は27日夕方、渋谷区恵比寿の本社で緊急会見を開いた。吉永泰之社長は出荷前の完成検査で「完成検査員でない人を登用して業務に従事させていた」ことを明らかにした。
この無資格者に完成検査員の印鑑を貸与し、代行押印を行っていた。吉永氏は「現場経験を積ませている間に、重要な仕事をしているのだという意識付けのため」と説明した。
同社では完成検査ができる資格を以下のように定めていた。必要な知識と技能を備えたと現場管理者に認められた後に一定期間、担当検査工程に従事させる仕組みだ。“研修期間”は自動車整備士資格のランクによって2級は2か月、3級は3か月、資格なしは6か月で、その後に行う筆記試験に合格した場合に完成検査員として認定した。
不適切な検査は、この見習い期間中の作業者が完成検査を行った。こうした作業員は社内調査直前の10月1日現在で4人。最大で17人だった。完成検査員は同日で245人いる。
「完成検査は非常に重要な行為。よりきちっとやろうとしてきた。人数見てもらえばわかるが、工数不足で代行していたわけでは絶対にない」と、吉永氏は理解を求めた。
不適切な検査による新車についてはリコールを検討中だ。執行役員の大崎篤品質保証本部長はその影響について語った。「すべての車種が対象。リコールとなるのは25万台程度。その中には、OEMで供給するトヨタ『86』も一部含まれる」。
スバルでの完成検査の不適切事案、今日にも公表か
無資格の検査員による完成検査が明らかになって以来、国土交通省は類似の事案がないか、国内自動車メーカーとインポーターに対して、今月30日を期限に報告を求めている。
スバルでも同様の不適切事案があったのではないかという報道について、石井啓一国土交通相は27日、次のように述べた。「報道は承知している。スバルからは法令の解釈について問い合わせがあったということは聞いている」。
無資格検査が事実であれば、日産に続き2社目となる。同省は各社の確認報告をとりまとめて公表する予定だ。スバル広報担当者は国交省への報告について「まだ報告は行っていない」とだけ回答した。
組立が終わった完成車は完成検査を実施することで、自動車検査場に車両を持ち込むことなく登録することができる。検査は各社が研修などで知識を有していることを認定した検査員が実施する場合だけ有効だが、同社群馬製作所(群馬県太田市)の検査員は、法令が要求する要件を満たしていなかった可能性があるという。ブルームバーグなど一部の報道は、今日にもスバルから詳細が発表される見込みであることを伝えている。
スバルも 無資格者が出荷前検査 群馬製作所
群馬製作所で 無資格検査員が関与
スバルが、完成車検査を無資格の従業員に実施させていたことが判明したと、国内メディアが一斉に報じた。
無資格者による検査が行われていたのは、主要工場である群馬製作所。
国土交通省への報告は、近日中に実施されるという。
スバルも発覚!! 「無資格者検査問題」の3つの要所
2017年10月27日未明、報道各社より「スバルも無資格者が検査」というニュースが報じられました。内容は以下のとおり。
○スバルの国内工場(群馬製作所)でも、完成車として認定する社内資格を持たない人間が完成検査に携わっていたと社内調査で判明したこと
○10月中に国交省へ報告すること
○リコールが必要かどうかは(車種や範囲も含めて)今後判断すること
○無資格で検査していた人間は研修前の社内試験に合格しており、一定の知識・技能があると判断されていたもようであること
日産自動車が無資格者検査問題を最初に公表してから約1カ月。はたしてスバルに何が起こったのか。そしてこの問題はどれほど根深いのか。速報情報をまとめつつ、これまでのニュースを整理してお届けします。
文:ベストカーWeb編集部
■報道内容は事実 近いうちに「説明する場」を設定
10月27日朝、当サイトがスバル広報部に問い合わせたところ、「詳細についてはコメントできませんが、報道内容は事実です。現在、当社として本件に関してどう発表するか、記者会見も含めて対応を検討中です」とのこと。
「それは本日中に会見を開く可能性もある、ということでしょうか?」と聞くと、「それも含めて検討中です」と回答した。
群馬製作所の取り扱い車種はレヴォーグ、インプレッサ、XV、WRX、BRZ。もし仮に日産と同じ対応をとる場合(過去3年(最初の車検を受けるまで)ぶんの国内向け販売車すべてをリコール)、約30万台規模のリコールとなる。
日産に続きスバルでも発覚した「無資格者検査問題」は、ひとえに「日本のモノ作りへの信頼性が揺らぐ」というふうにザックリと語られる。それは間違ってはいないのだが、しかし本件にはいくつかの問題が複合的に絡み合っている。以下それを整理してお伝えしたい。
■3つのポイント、「メーカー側」、「国の制度側」、「発覚後の対応」
この9月から日本の製造業全体を揺るがしている「無資格者検査問題」には、3つのポイントがある。
まずひとつめはもちろん「メーカー側の体制の問題」。
「いいクルマを作るというモチベーションは高いが、法令遵守の意識が薄かった。個人対象の処分ではなく、再教育を徹底したい」
上記は、日産自動車の無資格者検査問題で謝罪した西川廣人社長が会見で語った印象的な言葉だ。新車の完成検査は国がメーカーを信頼することで成り立っている制度であり、いわば(ちゃんとやっているだろう、という)性善説を前提としている。
そうした状況であるにも関わらず、検査の現場では法令遵守(コンプライアンス)の意識が欠けていたことが今回大きな問題に発展した最大の要因といえる。
「完成検査」のチェックの厳しさは日本の製造業の信頼性を支える根幹部分であり、ここに法令遵守意識が欠けていたとなれば、それは大問題となって当然だろう。
■ふたつめは現状の国の制度の問題
そのいっぽうで、「完成検査」という制度に公的で厳密な線引きがないのも事実(上述のとおり、それはよくいえば各メーカーの裁量に任せていた部分が大きい)。
まず現状の完成車検査の事情をザッと解説しておきたい。
「自動車」という、ともすれば凶器になりうる乗り物を広く一般に販売するためには、本来であれば工場出荷後に一台一台、国の検査が必要になる(と日本では制度化されている)。しかし年間数百万台の新車を一台ずつ検査していては検査機関が破綻するし、そのコストは回り回ってユーザーや国民が負担することになる。
そこで現状は、「各自動車メーカーが国に代わって完成車の安全性を確認する」という制度をとっている。この制度のおかげで完成検査の手続きは簡略化され、国内での大量生産・大量販売を可能にしている。
この「完成検査を担う検査員」の「認定基準」が、現状では各メーカーに委ねられているところがポイントとなっている。「完成検査員」の資格取得要件は各メーカーごとにバラバラであり、2~6カ月と習熟期間にも幅がある。メーカーによっては短期間で資格を取得させ、実務経験のなかで技術を習得させるという考えを持つ会社もある。
工場出荷前の完成検査員について、国交省からの通達では「検査に必要な知識および技能を有する者のうち、あらかじめ指名された者であること」と記されている。日産自動車の場合は「補助検査員」と日産社内で規定された人間が検査に携わっており、「あらかじめ指名された者ではない」ということで問題になった。
本日発覚したスバルの問題も、現場では「社内試験には合格しており、一定の技能・知識がある」と判断されていたようだ。しかし検査員として指名されるための「研修」はまだ受けておらず、「あらかじめ指名された者ではない」ということ。
石井啓一国土交通大臣は日産の無資格検査問題発覚後に「完成検査の確実な実施のために見直すべき点がないか検討したい」と発言しており、こうした曖昧な線引きが見直される可能性もある。
ただそうなると国内工場の人件費負担増にもつながるわけで、国の対応とともに各メーカーの生産体制にも影響は大きい。
■3つめは「発覚後の対応」
2017年9月中旬に報道機関によって無資格者検査問題が発覚したのち、日産自動車は会見を開いて体制の不備を謝罪。無資格者が検査した可能性があるすべての国内販売車(車検を受ける前の3年間の販売車)のリコールを実施すると発表し、今後こうしたことがないよう体制を見直すと語った。
しかし同年10月11日、社内調査により「謝罪会見後にも、無資格者が完成検査を実施していたこと」が発覚した。それを受けて19日に西川廣人社長が再び会見。
「信用して買っていただいた皆さんの信頼を裏切ってしまった」と重ねて謝罪することになった。
これを受けて、日産は国内全6工場の出荷を停止して検査体制を再チェック。先頃発表した約116万台に加えて、問題発覚後に出荷した約4000台を追加でリコールすると発表。
つまるところ、本件が大きな問題となっているのは「問題が発覚したあとの謝罪体制と再発防止が徹底していなかった」という要因が大きい。
上記の問題を受けて、国交省は国内全メーカーに「10月末までに完成車検査の体制について調査し結果を報告すること」と通達。これを受けて各メーカーが検査したところ、今回のスバルの問題が浮上した……という状況がある。
なおトヨタ、三菱、マツダ、スズキ、ダイハツは26日までに国交省へ報告をすませている(トヨタとスズキはすでに「問題ない」というところまで公表済み)。
スバルといえばこれまで「しっかりしたクルマ作り」に定評のあったメーカー。それだけにファンに与えた衝撃は大きい。
そして、だからこそ今後の対応に期待したい。
トヨタとスズキは既に問題なしと報告済みだから他のメーカーがこのあと言ってくるのかどうなのか…
どういった方向性でリコールなりをだすかな
状況把握に1か月は掛かりすぎと言うべきなのか?
今回のスバルが行っていた事が断罪されるべき内容なのか?
代行押印の項目がやっぱりひっかかるよな
Posted at 2017/10/28 21:52:41 | |
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富士重工 | 日記