2019年08月29日
カッコイイだけじゃない! これぞ贅沢の極み 歴代国産大型クーペ5選
■輸入車だけじゃない! 国産大型高級2ドアクーペ
贅沢なクルマというと、4ドアの大柄なセダンを思い浮かべる人も多いかも知れませんが、同じくらいの車格であれば4ドアセダンよりも実用性が低い2ドアクーペのほうが贅沢かもしれません。
国産車ではクーペはだいぶ減ってしまいましたが、海外の高級車ブランドでは、スタイリッシュで美しいフォルムの大型2ドアクーペが数多く存在します。
近年ではダウンサイジングが進んでいますが、やはり排気量が大きくトルクの太いエンジンが搭載された大柄な2ドアクーペこそ至高の存在で、一度その雰囲気を味わってしまうとなかなか忘れられません。
そこで、これまで販売された国内ブランドのクーペのなかから5車種をピックアップして紹介します。
●2代目ホンダ「レジェンドクーペ」
ホンダがアメリカで展開する高級車ブランド、アキュラ用に開発されたフラッグシップセダン「レジェンド」ですが、初代が発売された1985年から遅れること2年後の1987年には、2.7リッターV型6気筒エンジンを搭載する3ナンバー専用ボディの2ドアクーペが追加でラインナップされました。
そしてセダンは1990年に、運動性能を高めるためにFFミッドシップという、特殊なエンジンレイアウトの2代目にモデルチェンジされ、1991年にはクーペにも2代目が登場しています。
全長4880mm×全幅1810mm×全高1370mmのボディは、ワイド&ローの個性際立つスタイリングで、伸びやかで美しいフォルムでした。
このボディに最高出力215馬力を発揮する3.2リッターV型6気筒自然吸気エンジンを搭載し、入念なチューニングによりスポーティな味つけがされた、新開発4輪ダブルウィッシュボーンサスペンションの採用と相まって、上質な走りと高い運動性能を実現しています。
当時としては安全装備が充実しており、「A.L.B.」(アンチロックブレーキシステム)、「TCS」(トラクションコントロールシステム)、運転席助手席SRSエアバッグシステムなどが標準装備されていました。
内装もホールド性を際立たせたシートの採用などにより、スポーティでありながら高級感あふれるクルマとなっています。
●3代目トヨタ「ソアラ」
1981年にデビューしたトヨタの高級パーソナルクーペ「ソアラ」は、2.8リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載し、トヨタの先端技術を採用したイメージリーダーカーとして人気となりました。
1986年にモデルチェンジされた2代目では、多くの先進的な技術と当時の国産メーカーでは最高の230馬力を発揮する3リッター直列6気筒ターボエンジンや、5ナンバー枠に収まる2リッター直列6気筒ツインターボエンジンを搭載し、バブル経済絶頂期だった国内で大ヒットとなりました。
そして1991年に登場した3代目では北米でレクサス「SC」として販売するために開発された、全長4860mm×全幅1790mm×全高1340mmの、堂々とした3ナンバー専用ボディになりました。
エンジンは最高出力260馬力を発揮する4リッターV型8気筒と、最高出力280馬力を絞り出す、2.5リッター直列6気筒ツインターボが用意され、走行状況により車体の振動やロールなどの姿勢変化を抑える、世界初のハイドロニューマチック式「アクティブコントロールサスペンション」や、世界初の後輪自動操舵システム装着車が選べる4リッターモデルが、もっとも魅力的でした。
一方で2.5リッターモデルはAT車でも十分パワフルで、ラグジュアリーかつ、FR駆動ならではの運転する楽しさも合わせ持っていました。
●ユーノス(マツダ)「コスモ」
1967年に世界初の量産ロータリーエンジン搭載車として発売された2シータークーペ、マツダ「コスモスポーツ」は2ローターエンジンを搭載し、振動や機械騒音が少ないロータリーエンジンの異次元感覚と、低く伸びやかなボディで未来的なイメージの歴史的名車です。
1975年に発売された2代目の「コスモAP」は、一転してラグジュアリーなスペシャルティカーとなり、1981年に発売された3代目は世界トップクラスの空力特性を持ち、初のロータリーターボエンジンを搭載していました。
1990年に登場した4代目となるユーノス「コスモ」は、ロータリーエンジン専用車として開発された全長4815mm×全幅1795mm×全高1305mmの流麗なボディデザインで話題となりました。
なお、ユーノスは、かつて存在していたマツダの販売チャネルのひとつです。
トップグレードは最高出力280馬力を発揮する、世界初の3ローターシーケンシャルツインターボエンジンを搭載し、圧倒的なパフォーマンスを誇りました。
また3ローター車には高級本革シートやウッドパネル、イグニッションをONにすると浮かび上がるイルミネーションメーターや、「CCS」と呼ばれるGPSカーナビゲーションを世界初採用し、カーナビディスプレイでオートエアコンの操作ができるなど、当時としては先進的すぎるクルマでした。
■スバル史上もっとも贅沢なクルマ
●日産「スカイラインクーペ」
1957年にデビューした初代プリンス「スカイライン」に、日本初のスペシャルティクーペ「スカイライン スポーツ」が1962年に追加ラインナップされましたが、ほぼハンドメイドという特殊なモデルでした。
その後のスカイラインのレースでの輝かしい戦績は、主に2ドア車によるもので、4代目、8~10代目以降のスカイラインGT-Rも2ドアです。そして、最新世代のひとつ前までは4ドアと2ドアが用意されていたこともスカイラインの特徴でした。
2006年にモデルチェンジされた12代目スカイラインには、スカイラインクーペが翌2007年に追加されています。
全長4655mm×全幅1820mm×全高1390mmの起伏に富んだ迫力あるデザインのワイドなボディに、最高出力333馬力を発揮する3.7リッターV型6気筒エンジンを搭載。トランスミッションは5速ATだけでなく6速MTも選択可能でした。
低中速域では思い通りに、高速域では安定した滑らかな走りを実現させる、日産独自の「4WAS」(4輪アクティブステア)も採用されています。
内装は手縫いの平行ステッチを施した本革巻ハンドルや、パドルシフトに軽量なマグネシウム製を採用するなど、高級感を高めながらも「走る楽しさ」を演出し、高級スポーツクーペとして仕上がりの高さを見せていました。
●スバル「アルシオーネSVX」
1985年にデビューしたスバル「アルシオーネ」は、スバルのイメージリーダーカーとして1.8リッター水平対向4気筒ターボエンジンを搭載していましたが、アメリカ市場での拡販のために、1987年には2.7リッター水平対向6気筒エンジン搭載車の「アルシオーネ2.7VX」をラインナップに追加しました。
1991年には、初代「アルシオーネ」の直線的なラインとは真逆ともいえる、丸みを帯びたシルエットの「アルシオーネSVX」が登場します。
先代同様、北米市場をターゲットとして長距離を快適に走ることを目的としたグランツーリスモで、ボディサイズは全長4625mm×全幅1770mm×全高1300mm。
前後にブリスターフェンダーを備えたボディは巨匠ジウジアーロのデザインによるもので、優れた空力特性とドアガラスがルーフ面まで回り込んだ、個性的な外観となっています。
最高出力240馬力を発揮する3.3リッター水平対向6気筒エンジンを搭載し、高速道路を利用した長距離移動を快適にこなすことができ、スバル独自の4WDシステムで、ハンドリングと安定性を両立させるなど、スバルとしてはもっとも贅沢で先進的な装備を持ったクルマでした。
※ ※ ※
大型のクーペは総じてデザインが美しいクルマが多い傾向にあります。それは、デザイナーがあまり制約にとらわれず、のびのびとデザインできるからかもしれません。
なお、かつてはトヨタ「クラウン」や日産「セドリック/グロリア」などのアッパークラスのモデルにも、クーペがラインナップされていた時代がありましたが、後に独立したモデルとなっています。
それほど、クーペにはニーズがあったということです。
Posted at 2019/08/29 20:19:18 | |
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2019年08月29日
1台9億円!? ブガッティ新型「チェントディエチ」を創立110周年記念モデルとして発表!
■1991年に、ブガッティの再起をかけて発表された「EB110」
ブガッティは、自社の創立110周年を記念した新型モデル、「チェントディエチ」を発売しました。
同モデルは経営不振により1度は飛行機用エンジンメーカーとなったブガッティが、1991年に再起をかけて発表したクルマ「EB110」を彷彿させるデザインとなっています。
チェントディエチは、「EB110」の単なる復刻版という訳ではなく、新型に搭載された8リッターW型16気筒エンジンは、ブガッティ史上最高スペックとなる最大1600馬力を発生。0-100km/h加速にかかる時間はわずか約2.4秒で、200km/hまででも約6.1秒。最高時速は約380km/hに達し、その性能は現代版EB110といえます。
さらに名前であるチェントディエチはイタリア語で110を意味し、まさにブガッティ110年の歴史を象徴するモデルです。
価格は800万ユーロ、日本円で約9億円。限定10台の販売でしたが、既に完売しています。
Posted at 2019/08/29 20:09:58 | |
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2019年08月29日
「競技ベース車でなく、競技車両そのもの!」 WRCグループB、熱き時代の残像。【ManiaxCars】
右足とエンジンがシンクロ、蹴り出されるような加速感を見せるFJ24!
日産が放った限定200台のグループBホモロゲモデル「240RS」
モータースポーツ各カテゴリーのレギュレーションに合わせて生産された競技“ベース”車両は数多く存在する。国産車で言えば、スカイラインGTS-RやスープラターボA、ランサーエボリューション、インプレッサWRX STI、さらにストーリア/ブーンX4などもそれに該当する。いずれもナンバー取得が可能な、いわゆる市販モデルが存在するが、その点において240RSは極めて異質な存在だった。
なぜなら、日産は当初から日本国内での販売を想定しておらず(実際には数台のみ競技ユーザーの手元に渡ったが)、当時の日本の排ガス規制とは無縁の設計がなされていたから。
つまり、国内でのナンバー取得が不可能だった240RSは、ホモロゲーションをクリアするための競技“ベース”車両ではなく、純然たる“競技車両”として誕生した生い立ちを持っているのだ。
そもそも240RSは、グループB規定に合わせて1983年に登場。サファリラリー制覇を目標に開発されたマシンは1986年までWRCを戦ったが、並み居る海外ワークス勢がターボ4WDマシンでパワー競争へと突入していく中で、ついに勝利を挙げることなく表舞台を去っていった。
240RSのベースは、そのスクエアなスタイリングから察しがつくようにS110シルビア2ドアの後期モデル。エクステリアを最も特徴づける角型オーバーフェンダーを始め、ボンネットやトランク、前後バンパーはFRP製に交換され、フロント以外のウインドウをポリカーボネイト製に置き換えるなど徹底した軽量化を施し、カタログ値970kgという車重を実現している。
尚、角型オーバーフェンダーはベースのS110に対して片側10cmのワイド化を実現し、レギュレーションで定められた最大リム幅11Jまでのホイールが装着できるように設計されている。ホイール&タイヤは当時、14インチのエンケイ製3ピースAP-5(6J)+ダンロップSP310(215/60R14)が標準だったが、16インチのPPF1(8JJ)+前ポテンザRE11S(205/50R16)、後ポテンザRE55S(225/45R16)に交換。また、フロントブレーキにECR33純正キャリパー&ローターを移植して制動性能も高めている。
エンジンは240RSのために専用設計されたFJ24。ボア径φ88.0×ストローク量92.0mmから2340ccの排気量を稼ぎ、最高出力240ps、最大トルク24.0kgmというスペックを誇る。ちなみにFJ24は、エンジン型式からはFJ20の排気量拡大版と理解されがちだが、それは間違い。両エンジンの共用パーツはほぼ皆無で、FJ24はあくまでもWRCグループBでの使用を前提につくられているのだ。
燃料供給は、すでに国産各メーカーが実用化していた電子制御式ではなく、2基のミクニソレックス50PHHが担当。エアクリーナーボックスも標準で備わり、ワンタッチで脱着できるなど、実戦でのメンテナンス性を考慮した作りとなっている。電子制御式は、まだ今ほど緻密な燃料コントロールができず、当時WRCという過酷な舞台で使うには耐久性や信頼性に大きな課題が残っていたはず。さらに、それまでの実績や状況に合わせたセッティングの容易さなどからキャブレターが採用されたと想像できる。
また、EXマニは4-2-1集合の等長タイプを装着。ただでさえFJ系エンジンは振動が大きく、しかもWRCという過酷な状況下での使用を想定しているため、フランジと各パイプ、集合部には、クラックや割れの防止を目的に補強プレートが装着されている。
ちなみに、左フロントタイヤハウスの前方に取り付けられたのはブレーキマスターシリンダー。前後用が別個に設けられ、カスタマー仕様はオプションで、エボリューションモデルは標準で、前後ブレーキバランサーを装備した。
もちろん、エンジンに合わせて駆動系も強化。クラッチはボーグ&ベック製ツインプレート、ミッションは左下が1速となるレーシングパターンとされたクロスレシオの5速直結MT、F5C71Bが搭載された。
グループBのホモロゲーションを取得するために必要だった生産台数200台の内訳は、左ハンドル仕様が150台、右ハンドル仕様が50台。そのうち約30台が日産ワークスカーとして使われ、残りが海外カスタマーに販売された。また、後に15台ほどが逆輸入され、現在10台前後が実動状態にあるという。
取材車両はオーナーのH氏が93年に購入し、01/02/03/06年には自らがステアリングを握って、タスマニア島で行われる公道レース“タルガタスマニアラリー”に出場。06年はクラス優勝も飾っているという1台。貴重なクルマだが、単に所有して満足するのではなく、持てるポテンシャルを解き放つべく、国内外のイベントで思い切り走らせているのが素晴らしい。
実は12年前、この240RSを筑波山で取材したことがある。タルガタスマニアに出場する前だったため、ボディがまだ白一色だった頃のことだ。
その時、H氏の厚意によって試乗…それも、レブリミットまでキッチリ使った全開走行を思う存分、楽しませてもらった。
ちなみに今回は、駆動系がタルガタスマニアを走ったままの仕様…クラッチは標準のボーグ&ベック製ツインプレートからOS技研製強化シングルプレートに交換、ミッションはトップスピードを稼ぐため、5速オーバードライブのHCR32純正5速MT(FS5W71C)に換装されていたため、ギヤ比が適度に離れていて街乗りでは快適に走れたが、それは240RS本来の走りではない。
そこで、机の奥深くに眠っていた12年前の取材ノートを発掘。詳細なメモを元に、素の240RSの試乗インプレッションをお届けしたい。
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バケットシートに腰を降ろして、イグニッションキーをひねる前にアクセルペダルを2~3度あおる。キャブ車ならではの“儀式”さえ済ませておけば、FJ24はあっけないほど簡単に目を覚ます。ステンレス製のワンオフストレートマフラーから吐き出されるエキゾーストノートは、1300rpmという高いアイドリング回転もあって盛大だ。
ダッシュパネルはアルミ製で、フロントウインドウへの映り込みを抑えるためマットブラックで塗装され、助手席側グローブボックス部にはラリーコンピュータを装備。取材車両には、当時サファリラリー参戦を見据えて開発された試作エアコンが装備されていたが、軽量化のため取り外されていた。ミッションは左下が1速となる直結5速MT、F5C71B(ギヤ比は1速から順に2.818/1.973/1.470/1.192/1.000)が標準だが、タルガタスマニアのコースに合わせて、中身だけをR32用5速MT、FS5W71C(同3.321/1.902/1.308/1.000/0.759)に交換してギヤ比を最適化。尚、ファイナル比は標準4.625のままで変更なし。
メーター周りは至ってシンプル。左から1万rpm&200km/hフルスケールのタコ&スピードメーター、油圧/燃料/水温/電圧計が整然と並ぶ。タコメーターはレブリミットの7500rpmにスパイ針がセットされ、油圧計は2.5キロ以下になるとワーニングランプが点灯する。ちなみに、エンジンスターターボタンはセル始動の不具合対策として後から追加したものだ。
運転席、助手席ともに日産純正バケットシートを装着。シートベルトはFIA規定を満たす3インチ幅のタカタMPH-430だ。ロールケージも日産純正で6点式+サイドバーの8点式となる。
フロア後方に設けられたガゼットプレート。徹底した軽量化と同時にボディ補強も抜かりなく行われ、登場から30年が過ぎようとしている今でも、十分な剛性を感じさせてくれる。
設計が古いツインプレートクラッチは、それなりのペダル踏力を要求。左足にグッと力を込めてシフトレバーを左下に倒し、1速を選ぶ。ゼロ発進時のクラッチ操作には気を使うが、アイドリング回転のままでも注意深くミートさせれば、スルリと動き出す。思いのほか厚い低速トルクと1トンに満たない車重の軽さを、まず感じる瞬間だ。
キャブセッティングが完調のFJ24は思いのほか繊細で、右足のつま先に込める微妙な力加減にも敏感に反応するほどレスポンスが良く、アイドリングから7500rpmまでおそろしくスムーズに吹け上がる。FJ20では苦しくなる5500rpm以上でのパワー感もケタ違い。FJというエンジン型式から勝手にトルク型と思っていた特性が、実は高回転高出力型だったということを、そこで初めて思い知る。
6500rpmあたりからシフトレバーに伝わる振動が大きくなって共振音も出始めるが、お構いなしにタコメーターのスパイ針が示す7500rpmまで回してシフトアップ。2速へは5500rpmで、3速へは6000rpmでバトンタッチする。
見事にクロースしたギヤ比に加え、仮に8000rpmまで回しても5速での最高速が200km/hという全体的にローギヤードなギヤレシオは、筑波山のようなワインディングを走るには打ってつけ。途切れのない豪快な加速がくり出される。2~3速のシフトチェンジが縦方向の操作のみで完了するレーシングパターンも、ハイペースで走るにはすこぶる具合がいい。
軽量かつ十分な剛性が与えられたボディと、225幅タイヤのグリップ力(以前のポテンザRE711ではタイヤが勝ちすぎていたため、取材時はポテンザDAGGを装着)に負けないよう、固めて固めて横G剛性を出す足回りによって、コーナリングは軽快そのもの。
ただし、ボール&ナット式ステアリングは操作初期のレスポンスが鈍く「実際、カウンターステアが遅れてスピンしたことが何度かある」とH氏。しかもパワステレスのため、強めのキックバックを感じながら常にステアリングを抑え込んでおく必要がある。基本的に、力ワザでねじ伏せなければならないわけだ。また、アクセルオフ時にテールが若干巻き込むが、派手にブレイクすることはなく挙動はマイルド。その特性さえつかんでしまえば、積極的に向きを変えるキッカケとして使える。
オーバーフェンダーによって全幅は1.8mに達するが、運転席からの眺めは完全に5ナンバー感覚。スクエアなボディデザインは、四隅の見切りの良さに大きく貢献している。パワフルなエンジンやクロスレシオミッション、軽量な車重がもたらしてくれる高い動力性能や運動性能を引き出せるのは、実はドライバーが着込む感覚で操れる、このボディがあるからこそ、なのだ。
グループBマシンだけに「転がすだけでも手強いのでは?」と思っていたが、試乗を終えて強く印象に残ったのは、あっけないほど乗りやすく、ドライバーの操作に忠実なクルマだったということ。WRCという舞台で世界の強豪たちと戦うには、ドライバーに必要以上の労力やストレスを与えないことも、クルマに求められたひとつの重要な性能だったのだと思う。
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今回、撮影を終えて12年ぶりに240RSのステアリングを握らせてもらった。筑波山で取材した時のようにレブリミットまで回すことはなかったが、タルガタスマニアを走ったままの仕様は、12年前よりも軽快にエンジンが吹け上がり、ターマックのみに的を絞った足回りセッティングとSタイヤ装着によって、ハンドリングもより機敏さを増しているように感じた。
登場から30年が過ぎようとしている今、“超”が付くほどのグッドコンディションを保っているだけでなく、競技でも好成績を収めているという事実に、240RSに対するオーナーH氏の計り知れない愛情を感じずにはいられなかった。
■SPECIFICATIONS
車両型式:BS110
全長×全幅×全高:4330×1800×1310mm
ホイールベース:2400mm
トレッド(F/R):1410/1395mm
車両重量:970kg
エンジン型式:FJ24
エンジン形式:直列4気筒4バルブDOHC
ボア×ストローク:φ92.0×88.0mm
排気量:2340cc
圧縮比:11.0:1
最高出力:240ps/7200rpm
最大トルク:24.0kgm/6000rpm
トランスミッション:5速MT
サスペンション形式:Fストラット/R 4リンクリジッド
ブレーキ:Fベンチレーテッドディスク/Rディスク
タイヤサイズ:FR215/60R14
PHOTO&TEXT:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
Posted at 2019/08/29 20:01:10 | |
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2019年08月29日
「NA版RB26“DE”+4速ATを載せるR32スカイライン」オーテックバージョンはオトナのセダンだ!【ManiaxCars】
軽く吹け上がるエンジンフィールはATでも十分に楽しめる!
適度な速さに上質感もプラスされたGTカー
R32で16年ぶりにGT-Rが復活し、シリーズの頂点に位置するモデルとなった。3代目S54以降、スカイラインにはレースのイメージが強くついているが、同時にGT=グランドツーリングカーという側面も持っていた。R32オーテックバージョンは、それを引き出すモディファイが加えられている。
その最たる例がRB26DEの搭載で、GT-R譲りのRB26DETTからツインターボユニットを外してNA化。オーテックジャパン設計の専用ハイコンプピストンとカムシャフトを組み、等長ステンレス製エキマニを装着し、専用ECUで制御することで、NAらしいパワーフィールとレスポンスを実現している。
ミッションは4速ATのみの設定。スポーティなNAユニットなら5速MTが欲しいところだが、質の高いGTカーを目指したと考えれば、ATの方が相応しいと理解できる。
インパネ周りはベースとなったHNR32に準じるが、ステアリング中央のオーテックのロゴが入ったホーンボタンなどは専用品。また、電子制御フルオートエアコン&サウンドシステムからなるアクティブアメニティシステムを装備するなど、快適性の向上に重きが置かれる。
シート形状はタイプM系と同じだが、表皮がオーテックバージョン専用のエクセーヌ&ダブルラッセル地となる他、ドアトリムにもエクセーヌが用いられる。滑りにくい生地でドライビングポジションを一定に保ちやすいため、長距離ドライブでも疲労を抑えられる。
一方、足回りもコーナリング性能と乗り心地を両立すべく専用チューニング。新車時には専用タイヤとして205/55R16サイズのエクスペディアS-01が装着された。ブレーキはGT-R同様、キャリパーはアルミ製でフロント対向4ポット、リヤ対向2ポット、ローターはドリルドタイプとされ、フロントφ296、リヤφ292が組み合わされる。
取材車両はフルノーマルで走行距離わずか1万3000km。ボディ塗装や内装にもヤレはまったく感じられず極上のコンディションを保っている。もともと生産台数が少なく、最終デリバリーから四半世紀近くが経っているのに、こういう個体が残っていることに驚く。北海道まで足を運んだ甲斐もあるというものだ。
今回は撮影敷地内で軽く試乗しただけだったが、それでもオーテックバージョンの個性を理解することはできた。まず、アクセル操作に対するエンジンのピックアップがやたらといい。RB26からツインターボを外した時点で、「なにやっちゃってんの?」と思ったクルマ好きは少なくないだろうが、ATセレクターレバーでDレンジを選び、走り出した瞬間からそんな思いは吹き飛ぶ。
オーテックバージョンは1480kgという車重だけでなく、ミッションギヤ比もファイナル比もベースのGTS-4と同じ。低中速トルクは排気量が600cc大きいRB26DEの方が上回っていて、それに対してファイナル比が4.375と低めなこともあり、アクセルを踏み込んだ瞬間の加速感はレスポンスの良さも手伝って、「速いっ!」と思えるもの。加えて、軽く吹け上がるエンジンフィールはATでも十分に楽しめる。
設定されたボディ色は専用イエロイッシュグリーンパールメタリックのみ。光の加減によって緑やグレーに見えるなど、表情豊かな色と言える。ホイールもスポーク部がボディ同色とされた専用品でサイズは6.5J×16オフセット+38。標準では205/55R16サイズのエクスペディアS-01が組み合わされていた。
また、ボディのサイズ感がちょうどいい。4ドアセダンとして見た場合、後席の居住性は正直ホメられたものではないけど、アクセルやステアリング操作に対してクルマがリニアに反応してくれることも含め、オーテックバージョンでは“クルマを着る”感覚を味わえるのだ。
適度な速さとドライバーの意に沿った走り。そこに上質感もプラスされたオーテックバージョンは、なるほどGTカーとしての資質を高めていると実感することができた。
■SPECIFICATIONS
車両型式:HNR32改
全長×全幅×全高:4580×1695×1360mm
ホイールベース:2615mm
トレッド(F/R):1465/1465mm
車両重量:1480kg
エンジン型式:RB26DE
エンジン形式:直6DOHC
ボア×ストローク:φ86.0×73.7mm
排気量:2568cc
圧縮比:10.5:1
最高出力:220ps/6800rpm
最大トルク:25.0kgm/5200rpm
トランスミッション:4速AT
サスペンション形式:FRマルチリンク
ブレーキ:FRベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:FR205/55R16
PHOTO&TEXT:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
Posted at 2019/08/29 19:55:15 | |
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2019年08月29日
ポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ、その戦闘力をサーキットで試す【初試乗】
Porsche 911 GT2 RS Clubsport
ポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ
最新クラブスポーツのポテンシャルを測る
マシンはコースのオーバル部分へと差し掛かった。迷うことなく全開で加速。3速ではトラクションコントロールの警告灯が点灯したままになっている・・・。私が911 GT2 RSクラブスポーツの凄まじいパワーを実感した瞬間だった。
2019年7月17~18日の2日間、ポルシェは世界中のジャーナリストから厳選した20名をラウジッツリンクに招待、「ポルシェ トラックテスト ディ」を開催した。幸運にもこのイベントに招かれた私は、同社最新のクラブスポーツ・モデル3台をサーキットで思う存分走らせる幸運に浴した。
テストの舞台はドイツ東部のラウジッツリンク
舞台となったラウジッツリンクは、シュトゥットガルトから北東に560kmほど離れたドイツ東部に位置する。コースレイアウト図に見るように、大小様々なインフィールドコーナーを囲んで3本の直線が走り、それぞれの直線を高速コーナーが結ぶオーバル状の外周路から成り立つ。私は以前このサーキットで911 RSRや911 GT3 Rを試乗した経験はあるが、その時はショートコースだった。今回は1周4.534kmのフルコースを使う。
招待されたジャーナリストは経験をかなり積んだドライバーばかりだったので、完熟走行やコース説明の類いは一切なく、いきなり「はい、スタート!」という感じで始まった。レーシングドライバーの私がこのイベントに呼ばれた理由はズバリ、ポルシェがサーキットにフォーカスしたモデルを全開で走らせる能力を買われたからだ。
早速、フルスロットルに終始したトラックインプレッションを3回に分けてお届けしよう。第1回の主人公はポルシェ 911 GT2 RSクラブスポーツ(以下、GT2 RSクラブスポーツ)だ。
911 GT2 RSより80kgの軽量化を施し戦闘力アップ
GT2 RSクラブスポーツは、現行ポルシェで最強の市販車911 GT2 RS(以下、GT2 RS)をベースにしたサーキット専用モデル。開発を担当したのはヴァイザッハ研究開発センターだ。見た目の印象がGT2 RSとずいぶん違うのは、エアロダイナミクスの追求からボディサイズが大型化されているから。CFRPを多用して軽量化を図った結果、車両重量は1390kgとGT2 RSより80kgも軽くなっている。
3.8リッターのツインターボ・フラット6こそGT2 RSと共用だが、ブレーキはもちろん強化されており、エアジャッキも備わる。そしてコクピットにはロールケージとRECARO製レーシングバケット。GT2 RSクラブスポーツはピットに佇んでいても、レーシングカー特有のオーラを発散している。
公称スペックの700hp以上に感じるほど刺激的
実は、今回の試乗は最初に718ケイマンGT4クラブスポーツに乗り(その印象は後日、詳しくお伝えする)、その次にGT2 RSクラブスポーツに乗った。それだけにGT2 RSクラブスポーツの強烈なエンジンパワーは印象的だった。ポルシェが公称する最高パワーは700hpだが、実際にはそれ以上あるのではないかと感じてしまうくらいパワフルで刺激的である。冒頭に記したのは、それを端的に感じたシーンだ。
7000rpmまで回るこのエンジンの美点はほかにもある。強烈なトルクと高回転域の圧倒的なパワー、そして大型のタービンを使っているとは思えないほどターボのレスポンスが鋭いことだ。
怒涛のごとく湧き上がるパワーと電光石火のシフトスピード
走り始めた当初、低速コーナーで2速か3速か迷う場面があった。そこでPDKを駆使して3速で走ったり、コーナーのボトム付近で一瞬2速に入れすぐに3速にチェンジしたりと様々なことを試したが、結局3速をキープして低回転からのトルクを使うとスムーズに走れることがわかった。
低速コーナーを2速で回ると、パワーがかかりすぎてリヤのパワースライドを誘発するのだ。もちろんTC(トラクション コントロール)はオンにしていたので制御はするが、怒濤のごとく湧き上がるパワーゆえ、コントロールはやはりシビアになってしまう。3速をキープできるのは、大型タービンのターボエンジンでありながら低速域からのレスポンスを有効に使えるからだ。
そして、このマシンの特徴であるPDKも素晴らしいのひと言に尽きる。シフトスピードは電光石火の速さで、GT3カップカーに装着されているレース用トランスミッションと比べてもまったく遜色ない。しかも2ペダルなのでスタートが楽。つまり速く走るのに必須なドライビングテクニックがひとつ減るわけで、ドライバーフレンドリーなモデルと言える。
GT3マシン並みに挙動を抑制したバランス
次にマシンバランスに触れよう。サスペンションはやや硬めでバンプに対して少し跳ねる傾向があったが、ラウジッツリンクのオーバル部分は非常にバンピーなのでこれは仕方ないかもしれない。ただし、ロールやピッチングはGT3マシン並みに抑制が効いている。ハイスピードからのブレーキングや、中速コーナーおよび高速領域でのリヤの安定感が高いことも好印象だ。
4速で回る高速コーナーではややアンダーステア気味だったが、おそらく今回の試乗向けにスピンを防ぐ目的から、リヤを安定させてアンダーステア方向にセッティングされていたためと思われる。どちらにせよ、GT2 RSクラブスポーツのような高性能マシンでは、高速領域でのリヤの安定性は非常に大切で、大型化されたボディとエアロの効果は絶対的な効果をもたらす。今回はそのことを踏まえたセッティングだと感じた。
ダイレクト感とコントロール性重視のブレーキ
一方、ブレーキバランスの影響だろうか、低速コーナーの進入でブレーキを残してターンインを開始すると、少しリヤがルーズな時があった。これはブレーキバランスを調整すれば解決すると思う。
ESC(エレクトロニックスタビリティコントロール)に関しては、オフのほうがコーナリング中に向きを変えやすく挙動も自然だった。オフでもリヤがナーバスにならず、スライドに移行するプロセスが分かりやすいのは安心だ。
ステアリングのレスポンスはウルトラシャープというよりは、意図して少し遊びを持たせているように感じた。ヴァイザッハの技術陣は、ダイレクト感は若干落ちることを承知のうえで反応が鋭すぎてシビアになるのを避けたのかもしれない。
ブレーキの踏力はGT3マシン並み。思い切り強く踏んでコントロールするタイプである。レーシングカーとして、ダイレクト感とコントロール性を重視したハードなブレーキシステムだ。
無類のハイパワーを使い切れる絶妙なセッティング!
無類に強力なエンジンパワーをしっかりと受け止められるセッティングに仕上げたのがGT2 RSクラブスポーツだ。タイヤを含めた総合的なグリップが盤石なのでパワーをロスすることなく、思い切りアクセルを踏める。つまり持ち前のパワーを使い切って走れるわけだ。
ピットに戻った私は、征服感に一脈通じる快感に浸っていた。乗り手に最高の安心感を与えつつ、強烈なポテンシャルを秘めたマシン。こんなマシンはなかなか体験できない。そう思わせる911 GT2 RSクラブスポーツだった。
REPORT/田中哲也(Tetsuya TANAKA)
TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)
【INFORMATION】
9月中頃、YouTube「GENROQ Web Channel」にてこの模様を収めた動画を公開する予定。乞うご期待!
【SPECIFICATIONS】
ポルシェ 911 GT2 RS クラブスポーツ
ボディサイズ:全長4743 全幅1978 全高1359mm
ホイールベース:2457mm
車両重量:1390kg
エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:3800cc
ボア×ストローク:102.0×77.5mm
最高出力:515kW(700hp)
トランスミッション:7速PDK
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前ストラット 後マルチリンク
ブレーキディスク(ディスク径):前後ベンチレーテッドディスク(前390mm 後380mm)
ブレーキキャリパー:前6ピストン 後4ピストン
タイヤサイズ(リム径):前27/65-R18(10.5J)後31/71-R18(12.5J)
車両本体価格:40万5000ユーロ(約4800万円/税抜)
【問い合わせ】
ポルシェカスタマーケアセンター
TEL 0120-846-911
新型ポルシェ935 初試乗! 往年の姿を纏うレーシング ポルシェを田中哲也が試す
Porsche 935/19
ポルシェ 935/19
サーキット専用に製作された限定モデルの935/19
「ポルシェ トラックテストデイ」の第2回目にあたる今回のレポートの主役は、私自身も非常に興味のあるポルシェ935/19だ。わずか77台しか製作されず、巷間伝えられるところでは即完売だったというサーキット専用モデル。ジャーナリストといえども、こういうレアなマシンのステアリングを握れるチャンスはそうあるものではない。早速、トラックインプレッションを始めることにしよう。
伝説のル・マンカー、935/78をオマージュ
ポルシェ70周年記念モデルとして登場したポルシェ935/19は、1978年のル・マン24時間耐久レースで366km/hの最高速を記録した935/78へのオマージュとして企画されたマシンだ。ベースは911 GT2 RS(以下、GT2 RS)で、冒頭に記したように77台の限定生産。特定のレースを前提にしたホモロゲーションモデルではないので、レギュレーション的には何の制限もなく設計されている。
直噴3.8リッターフラット6は基本的にGT2 RSと共通で、可変タービンジオメトリー(VTG)を備えた大型のツインターボチャージャーが過給する。こうして得られる最高出力700hpもGT2 RSと同値。だだし実際に走らせると、エキゾーストシステムの違いにより935/19のほうが少し太いサウンドを発する。一方、エンジン特性に関しては特に両車で違いは感じなかった。
このフラット6ツインターボと組み合わされるのは専用ギヤレシオの7速PDK。ステアリングホイール上に備わるパドルで変速を行う。
911 GT2 RSをベースに935由来のエアロボディを纏う
外観上935のイメージを完璧に残した935/19。その見どころは充実した空力処理にある。例えばフロントフェアリングのホイールアーチの通気口は911 GT3 Rの技術を導入して、フロントアクスルに掛かるダウンフォースを増強する。一方、幅1909mm、奥行き400mmのリヤウィングが空力バランスを保つ。
935/19は外観のディテールも凝っている。ホイールを覆うキャップは935/78の再現。リヤウイングエンドプレートに備わるLEDテールライトは、919ハイブリッドLMP1レースカーからの流用。サイドミラーはル・マンを制した911 RSRが由来。チタン製テールパイプは1968年の908を模している、といった具合で新旧の技術が入り混じった非常に面白いマシンだ。
最新のクラブスポーツとサーキットを比較試乗
935/19と911 GT2 RSクラブスポーツ(以下、GT2 RSクラブスポーツ)は、基本的にはGT2 RSをベースにしている点では同じなのだが、GT2 RSクラブスポーツに乗った後に935/19に乗ると、マシンのバランスは明らかに体感できるくらい違うことがわかった。
935/19はGT2 RSクラブスポーツとはボディワークがまるで別ものなので、結果的にエアロダイナミクスも大きく異なる。具体的に言うと、935/19の挙動はGT2 RSクラブスポーツよりアンダーステアが少なく、フロントのグリップが高く感じる。だからGT2 RSクラブスポーツより明らかによく曲がるのだ。
GT2 RSクラブスポーツだと、4速で回るスピード領域でのコーナーでアンダーステアが強かったのだが、935/19はアンダーステアが明らかに少ない。もう少し細かく観察すると、コーナーのミドルの部分でアクセルをオフにするとリヤが軽くなるときがある。この場合には少しアクセルを踏み足してバランススロットルを使うとリヤは安定を取り戻す。それさえ心得ておけばとにかくよく曲がってくれる。
秀逸な旋回性能と安定したブレーキ性能を両立
そんなわけで、多少リヤの挙動に注意を払う部分もあるが、基本的に旋回性能は秀逸でコーナリング速度はGT2 RSクラブスポーツより高い。従って、コーナーからの脱出速度も速かった。
それでいて不思議なもので、高速域でのブレーキングはGT2 RSクラブスポーツと比べてもほとんど差を感じないくらい安定感がある。さらに低速コーナーのブレーキングではむしろGT2 RSクラブスポーツより安定していて、制動時にオーバーステアが発生することは少なかった。
GT2 RSクラブスポーツ以上に旋回性能が優れ、しかもブレーキング時の挙動が安定している。ドライバーにとって望ましい2つの要素を両立させた935/19は、サーキット走行に特化したマシンとしての資質を高いレベルで実現している。
911 GT2 RSクラブスポーツのタイムを上回る
これだけよく曲がるマシンなので、GT2 RSクラブスポーツではESC(エレクトリックスタビリティコントロール)はオフにした方が自然だったのとは対照的に、935/19ではオンの方が自然だと感じた。
ダウンフォースはGT2 RSクラブスポーツより若干大きくなり、バランスはやや前寄りになった。体感的にはストレートでのドラックは935/19の方が大きいような気がしたが、タイムはGT2 RSクラブスポーツよりわずかながら速かった。
透明度の高いステアリングインフォメーション
935/19の美点はそれだけではない。ステアリングの出来映えが秀逸なのだ。インフォメーションを透明度高く伝えてくる。操舵感はしっかりしていてダイレクト感に溢れ、リニアリティも高いから、路面やマシンの状況をはっきり確認できる。この辺り、レーシングマシンの製作に長い歴史を持つポルシェの面目躍如といったところか。
GT2 RSクラブスポーツより曲がりやすく、気持ちよくコーナーを攻めることができるマシン、それが935/19だと思う。
新旧レーシングポルシェのアイコンを採用
規定の周回数を終えた私は935/19をピットに戻した。すぐに降りずにシートに座ったまま、コクピットをあらためて見回してみる。そこで気づいたのだが、このマシンには新旧のポルシェ・レーシングマシンのアイコンが随所に散りばめられているのだった。
シフトレバーのノブはウッドでできており、かつての917や909ベルクスパイダー、あるいは最近のカレラGTを思い出させる。CFRP製ステアリングとカラーディスプレイは2019モデルイヤーの911 GT3 R用を流用しているのだが、ディスプレイの両側にはアナログメーターが残されている。メーターの針の動きを見ていると昔のマシンへの郷愁にかられた。
もちろんサーキット走行が前提なので、安全面の配慮に抜かりはなく、コクピットには巨大なロールケージが張り巡らされ、レース用バケットシートには6点式セーフティベルトが備わる。ちなみに助手席シートもオプションで用意されており、エアコンも装備されるので、コクピットは適切な温度に保たれる。
珠玉と呼ぶに相応しい現代に蘇った935
私は935/19から降りて思った。この素晴らしいスタイルのマシンに乗っている自分を見られないのは残念だと。外観はクラシカルでありながら、マシンバランスに優れており、現代のクラブマンレースでも充分な競争力を秘めている。
最後に、このマシンの開発にはニュルブルクリンク24時間レースでマンタイ・レーシングから参戦していたマーク・リーブがエンジニアとして関わっていることをお伝えしよう。935/19の奥深さには、そうしたバックグラウンドも関係していると思った。
REPORT/田中哲也(Tetsuya TANAKA)
TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)
【SPECIFICATIONS】
ポルシェ 935/19
ボディサイズ:全長4685 全幅2034(サイドミラー含む) 全高1359mm
ホイールベース:2457mm
車両重量:1380kg
エンジン:水平対向6気筒DOHCツインターボ
総排気量:3800cc
ボア×ストローク:102.0×77.5mm
最高出力:515kW(700hp)
トランスミッション:7速PDK
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前ストラット 後マルチリンク
ブレーキディスク(ディスク径):前後ベンチレーテッドディスク(前380mm 後355mm)
ブレーキキャリパー:前6ピストン 後4ピストン
タイヤサイズ(リム径):前29/65-R18(11.5J)後31/71-R18(13.0J)
車両本体価格※税抜:70万1948ユーロ~(約8312万円~)
ポルシェ 718 ケイマン GT4 クラブスポーツ初試乗! 田中哲也の全開インプレッション
Porsche 718 Cayman GT4 Club Sport
ポルシェ 718 ケイマン GT4 クラブスポーツ
最新ポルシェ・クラブスポーツ、一気乗り第3弾!
2日間に渡りドイツ本国で開催された「ポルシェ トラックテストデイ」の模様をレポートする本稿。第3回目にあたる今回は、718ケイマンGT4クラブスポーツを取り上げる。
GENROQ Webの読者には、サーキット走行を趣味にする向きや、これからサーキット走行にチャレンジしたいと考えているスポーツドライビング愛好家が大勢いることと思う。そうした方々に広く紹介したいのが、この718ケイマンGT4クラブスポーツである。
サーキット専用にチューニングされたGT4 クラブスポーツ
718ケイマンGT4クラブスポーツは、ボディパーツに天然繊維を採り入れた複合素材を使った初のレーシングカーにして、現在、レースの世界で注目を集めているGT4クラスのマシンでもある。今年から日本で始まった新シリーズ「ポルシェ スプリント チャレンジ ジャパン」への参戦を前提とすることもあって注目の1台だ。
ミッドシップに積まれるのは3.8リッターの水平対向6気筒で、先代モデルを40hpも上回る最高出力425hpを発揮し、トランスミッションは6速PDKを採用。室内にはロールケージやレーシングバケットシート、6点式シートベルトなど、レーシングカーに必要な安全装置を完備する。しかもエアコン装備の状態で車両重量を1320kgに抑えたのは立派だ。
走行前にコクピットドリルを受ける。「ABS(アンチロックブレーキシステム)はダイヤル調整式だが3番か2番を試して欲しい。TC(トラクションコントロール)とESC(エレクトロニックスタビリティコントロール)はオン/オフ可能でこれも試してOK」とのこと。デジタルメーターに様々な情報が表示され、特にラップタイムとタイヤプレッシャーがわかるのは助かる。
さていよいよコースインの時間がきた。試乗車はミシュランの新品スリックを履いている。タイヤに熱が入っていないので、走り始めは気をつけるようにとのクルーの言葉に送られてピットロードから発進。
アウトラップはマシンとコースを確認しながらゆっくりと走った。PDKなのでスタートは簡単。エンストがないので非常に気分が楽だ。気温が高いことも影響して、くだんのスリックタイヤは思ったより早くからグリップを発揮したのはありがたい。タイヤの内圧が低すぎると構造破壊のリスクがあるので、内圧をしっかり確認しながら与えられた計測5ラップを思い切り堪能した。
レブリミットまできっちり使い切るタイプのエンジン
ピュアで癖のないレーシングカー。これが718ケイマンGT4クラブスポーツの第一印象だ。なによりPDKのお陰で、最初からドライビングに集中できる。正直に言って、このマシンはPDKを備えることでレーシングマシンとしての敷居がグンと低くなったと思う。
変速はスムーズでなんら不快感がなく、シフトスピードも十分。レーシングカーとして全く問題を感じない。それどころか、スタートやシフト操作が誰でも簡単にできるメリットは非常に大きいと思う。PDKの採用により、以前よりレーシングカーに気軽に乗れるようになったと断言できる。
425hpのエンジンはとても軽快。しかも力強い加速を感じられるので、レーシングカーとして十分満足できるレベルである。低回転域のトルクで走るのではなく、7800rpmのレブリミットまできっちり使い切るタイプ。PDKを駆使して回転数をパワーバンドにキープしつつ高回転で走ると軽快な走りを楽しめる。とても扱いやすい特性のエンジンだ。
よく曲がり動きが自然で唐突な挙動を見せない
次にマシンバランスを含めたコーナリングのポテンシャルに触れよう。ひと言で言って、アンダーステアが少なくよく曲がるのが印象的。サスペンションはややソフトで、ロールやピッチングを自然かつダイレクトに乗り手へと伝えてくる。バンプもスムーズにクリアして見せた。
そのおかげでドライバーは容易に荷重移動を発生させて、マシンバランスを変えられる。例えば、コーナリングの途中でパワーオフするとリヤの荷重が抜けてテールがアウトに振れる。それはマシンとしてダメなところかというと決してそうではない。アクセルワークや荷重移動を学べるということを言いたいのだ。丁寧に正確なコーナリングを行うことにより、タイヤにしっかり荷重がかかりタイヤの性能をフルに発揮できる。
レーシングカーとは、ドライビングの仕方により挙動が大きく変わるものだ。718ケイマンGT4クラブスポーツは、基本的なグリップレベルが高くてしっかりしているし、先に述べたアクセルオフによる荷重移動を使って向きを変えられる。だから気持ちよくコーナーをクリアできるのだ。もちろんESCのオン/オフでも、この部分の挙動は変わる。マシンの向きを積極的に変えたいときはオフにしたほうが走りやすかった。
コーナー出口でパワーを思い切りかけていっても、パワースライドはほとんど発生しない。TCをオフにしてもオンにしても違いをあまり感じることがないくらい、コーナー出口のトラクションはよかった。
つまりマシンの動きが自然なのでわかりやすく、唐突な挙動が少ない。極端に言うと、ゆっくりした動きの中で基本的なマシンの動きを体験できる。これは718ケイマンGT4クラブスポーツの際だった美点だ。
繊細なコントロールが可能なブレーキと体感できる空力
ブレーキはむやみに踏力が重くなく、フィーリングもほぼノーマルに近い。それでいて繊細なコントロールもかなり高いレベルで行えるので不安感が少なく、「止める」と「荷重移動による姿勢づくり」に集中した操作ができる。
ABSのポジションは最初3でスタートしたが、介入が少し多いと感じたので2にするとちょうどよい感じになった。このようにABSは状況によってこまめに調整すると効果的だ。
エアロバランスについては、中速や高速からのブレーキングでリヤがしっかりしているので空力の効果を感じた。
タイヤのグリップレベルはちょうどよいと感じた。グリップ過多ではないし、タイヤのグリップに頼った走りをすることもない。ドライバーがグリップをしっかり感じ取りながら走れて、とてもフィールのいいタイヤだった。
プロからアマチュアまで満足できる懐の深さが魅力
718ケイマンGT4クラブスポーツはプロのドライバーが乗っても十分満足できるレベルに仕上がっており、GT4マシンとしてのポテンシャルは相当高いところにある。それはニュルブルクリンク24時間レースを見ても実証されているし、今回の試乗でもその秘めたる力を実感した。
しかしそれ以上に強く感じたことは、レース経験の少ない人や基礎を学びたい人のトレーニングに絶好のマシンだということだ。とにかく挙動が素直なので、これならドライビングの基本を学べると断言できる。
個人的には718ケイマンGT4クラブスポーツのようなマシンをきっかけにレースを楽しんで欲しい。レースの基本を学ぶのに最適で、しかも十二分に速いマシンだと真剣に言いたい。ピーキーすぎることがなく、許容範囲も大きめなので、ドライバーへの優しさを感じる。だから大きな緊張感なしに、GTカーの雰囲気を存分に体感できる。本格的なレースに参加する前にレーシングカーを体験するには絶好のマシンだと言い切れる。
「ポルシェ トラックテストデイ」で試乗した3台のポルシェ・クラブスポーツ・モデル。それぞれが、サーキット走行に最初の一歩を踏み出そうとするビギナーから、GT3レースで走れるレベルの上級アマチュアにいたるまで、幅広いドライバーのニーズを満たす、いかにもポルシェらしい製品だった。3回に分けてお届けしたレポートが、GENROQ Web読者のモータースポーツ・ライフを豊かにする参考になれば幸いだ。
REPORT/田中哲也(Tetsuya TANAKA)
TEXT/相原俊樹(Toshiki AIHARA)
【INFORMATION】
9月中頃、YouTube「GENROQ Web Channel」にてこの模様を収めた動画を公開する予定。乞うご期待!
【SPECIFICATIONS】
ポルシェ718ケイマンGT4クラブスポーツ
ボディサイズ:全長4456 全幅1778 全高1238mm
ホイールベース:2456mm
車両重量:1320kg
エンジン:水平対向6気筒DOHC
総排気量:3800cc
ボア×ストローク:102.0×77.5mm
最高出力:313kW(425hp)/7500rpm
最大トルク:425Nm/6600rpm
圧縮比:12.5
トランスミッション:6速PDK
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前後マクファーソン
ブレーキディスク(ディスク径):前後ベンチレーテッドディスク(前後380mm)
ブレーキキャリパー:前6ピストン 後4ピストン
タイヤサイズ(リム径):前25/64-18(9.0J)後27/68-18(10.5J)
【問い合わせ】
ポルシェカスタマーケアセンター
TEL 0120-846-911
「MT設定のみ」は伊達じゃない。とことん走りに振ったピュアなスポーツマシン
いよいよ登場したポルシェ718ケイマンGT4の試乗の舞台はスコットランド。エジンバラ空港を出て北に50kmほど走った辺りに位置するノックヒルサーキットである。朝、ホテルを出て現地に着くと、クルマはすでに用意が整っていた。促されてドライバーズシートに滑り込んだら、すぐにスタートだ。初めての逢瀬で、いきなり全開走行である。
キーを捻りエンジンを始動する。その心臓は、新開発の水平対向6気筒4.0ℓ自然吸気ユニット。レブリミットは8000rpmとなる。ポルシェ718ケイマンGT4。718シリーズとなり、主力エンジンを水平対向4気筒ターボユニットに切り替えた718ケイマンの最高峰モデルは、マニア垂涎のエンジンを得て登場したわけだ。
GTスポーツステアリングホイールやブラッシュアルミニウムを使ったインパネまわりなどインテリアも特別仕立てだ。従来のケイマンGT4が当時の911カレラSのエンジンを流用していたのに対して、今回のそれは新開発。新設計のシリンダーヘッド、ピエゾインジェクターを使った燃料噴射システムなどを採用したこのエンジンは、スペックは最高出力420ps、最大トルク420Nmにも達する一方、ボクサーエンジン初の気筒休止システムの搭載など、環境性能にも大いに配慮されているのが特徴である。
しかもギアボックスは6速MTのみが設定される。もちろん、このクルマを選ぶような人にとって、それが不満の種となるはずが無いだろう。
今回の大きなトピックスでもあるのが空力性能の向上。リアウイングだけで約20%のダウンフォースを発生し、先代比では約50%も向上。200km/hで約12kg相当のダウンフォースが得られるという。ミドシップ+4ℓNAエンジンという珠玉の組み合わせいよいよ走り出すと、まずは高回転化を意識してのクランクジャーナル径拡大の効果か、エンジンのいかにも剛性感の高い回り方に痺れる。レスポンスはきわめて鋭く、右足のわずかな動きにも忠実に回転を上下させる。自然吸気の旨味を、低速域でもたっぷりと味わえる。
もちろん本領を発揮するのはアクセルをより深く踏み込んだ時だ。すさまじい勢いで回転が高まり、特に5000rpmを超えた辺りからは硬質なサウンドも更に迫力を増して、一気に8000rpmまで回りきる様は、突き抜けるような快感だ。ショートシフターが組み込まれた6速MTのタッチも剛性感たっぷり。「AUTO BLIP」スイッチをオンにしておけば、シフトダウン時の回転合わせを自動で行なってくれて、右足をブレーキングに集中させておくことができるのも有り難い。
このパワートレインだけでも買う価値アリ。そう思わせるのだが、こんな風にアクセルを存分に踏み込むことができるのは、格段の進化を遂げたフットワークのおかげでもある。ミドシップらしく、操舵に対して即座にクルマが向きを変えようとするだけでなく、そうした時のリアの接地性が盤石で、もし滑り出したとしても姿勢のコントロールの自在性が大幅に高まっている。この辺り、ちょっと不満も感じられた先代ケイマンGT4と較べると、懐が俄然深くなっているのだ。
これには、911GT3譲りのパーツをふんだんに使用するなどして大幅にポテンシャルを高めたシャシーはもちろん、空力の進化も大いに貢献している。トピックは、床下最後部に横に置かれているマフラーを鞍形とすることでリアに大型ディフューザー、つまり車体下面の空気を素早く引き出すことで負圧を発生させるアイテムの装備が可能となったこと。これと大型の固定式リアスポイラーと合わせて、リアのダウンフォースは実に50%も向上したという。
ボディサイズは全長4456×全幅1801×全高1269mm。車両重量は1750kgで、スポーツカーの性能を計る指針である0-100km/h加速は4.4秒となっている。普段の街乗りから刺激が欲しい人へ丘陵地帯にあってアップダウンの激しいノックヒルサーキットは空力的な要求も大きいはずだが、そんな舞台でもいきなりダンフォースが抜けたり、唐突にグリップを放棄したりといったことがなく、高いスタビリティを発揮してくれたから、初めてのコースだというのに頭が真っ白になるぐらい攻めるのに没頭できた。一般道での乗り心地を試す機会は無かったが、それでも十分、十二分に満足して試乗を終えたのだった。
トランスミッションは6速のMTのみを設定。気分を高揚させるブリッピング機能なども備えている。サーキットを楽しむためのスポーツギアとして、この718ケイマンGT4の完成度はきわめて高い。いや、きっと一般道主体の使い方だって、精緻にして豪放なこのエンジンをマニュアルギアボックスで操っていたら、充足感は凄まじいものがあるだろう。
スポーツシートは中央部をアルカンターラにし、ヘッドレストにはGT4のロゴをレイアウト。オプションでスポーツシートプラスや18WAY調節機能を備えたアダプティブスポーツシートプラス、カーボンのフルバケットシートなども用意されている。価格は1237万円と、従来より約200万円も上がってしまったが、この内容なら納得せざるを得ない。但し、日本仕様は右ハンドルのみの設定である。これまでポルシェでスポーツドライビングに親しんできた人にとって、これは頭の痛い話かもしれない。ともあれ、718ケイマンGT4は限定ではなく、当面のあいだ生産を予定しているということだから、じっくり悩む時間はありそうだ。
文・島下泰久 写真・ポルシェ ジャパン 編集・iconic
控えめだけどスゴイ…ポルシェ 911GT3 新型、ツーリングパッケージは2020年デビューへ
ポルシェ『911』(992世代)に設定される高性能スポーツ、『911 GT3ツーリングパッケージ』開発車両をSpyder7のカメラが捉えた。
「ツーリングパッケージ」は、最高の911と称される1973年の『911カレラRS』、通称「ナナサンカレラ」が元祖。2017年には伝統的なドライビングプレジャーを重視するスポーツカーファン向けのモデルとして、先代911に設定されたばかり。大型ウィングを持たない控えめな外見と、GT3ゆずりのハイパフォーマンスが特徴だ。
捉えた開発車両は、911新型の標準的リアスポイラーを装備しているが、アグレッシブなディフューザー、GT3同様のセンターロックホイール、大型ブレーキ、センター2本出しエキゾーストパイプなどが見てとれる。
ボディは911ベースモデルより44mmトレッドを拡大するほか、20mm以上ローダウンされ、かなりスポーティなルックスとなるはずだ。6速MTと組み合わされるパワートレインは、4.0リットル水平対向6気筒自然吸気エンジンが引き続き搭載される可能性が高いが、最高出力は現行モデルの500psから527psとも、550psとも噂されている。
ポルシェは9月のフランクフルトモーターショーでGT3新型を初公開する予定で、ツーリングパッケージは2020年以降の公開となりそうだ。
Posted at 2019/08/29 19:45:52 | |
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