2020年06月20日
スバル「レヴォーグ」の変遷 シリーズ1 25年目のフルモデルチェンジ 初代レヴォーグ誕生(Aタイプ)
レヴォーグ Aタイプ2014-2015
レヴォーグは2014年4月、スバルのGTツーリング コンセプトを具現化した日本市場専用のスポーティ ステーションワゴンとしてデビューした。それから6年を経て、いよいよ2020年秋に2代目レヴォーグが登場する。そこで、改めて初代レヴォーグの変遷をたどってみることにしよう。
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レガシィを引き継ぐ新ブランド誕生
新型レヴォーグは2014年4月に発表され、6月に発売された。SUBARUはレヴォーグの登場まではレガシィ ツーリングワゴンがフラッグシップのポジションに位置していたが、レガシィはアメリカ市場での主力車種として急速に成長。そのためアメリカのインディアナ工場で生産されるようになった。また商品企画としてもアメリカ市場からの要求を積極的に採り入れる必要が出てきた背景がある。
そのためレガシィはボディサイズなども含め、日本市場に最適とはいえなくなってきた。そこでスバルは日本市場に合わせたボディサイズで、スバルが目指す「GT」と呼ぶにふさわしい走りの性能を備えたステーションワゴン(スポーツツアラー)の新たなブランドとしてレヴォーグを開発した。
新生レヴォーグのキャッチフレーズは「25年目のフルモデルチェンジ」であった。これは25年前にデビューした初代レガシィの生まれ変わりを意味していたのだ。
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技術のフラッグシップモデル
初代レヴォーグのボディサイズは全長4690mm、全幅1780mm、全高1485mm、ホイールベース2650mmで、1世代前の4代目レガシィ(BP型)とほとんど同サイズだ。それでいてラゲッジ容量は当時のレガシィ(BR型)を上回る522Lを実現し、優れたパッケージングを実現していた。
さらにレヴォーグは、スバルの技術的なフラッグシップという新たな役割も与えられている。その証として、当時の最新の知見を投入し、後にSGP(スバル グローバル プラットフォーム)となる高剛性のボディ骨格構造を採用。
ステレオカメラのカラー画像化、認識距離、認識角度の拡大といった要素を盛り込むことで自動緊急ブレーキ性能を向上させただけでなく、アクティブレーンキープなど新機能を実現したアイサイトver3を採用している。
またエンジンも、最新の直噴システムを採用したFA20型DITターボ、FA16型DITターボを新開発して搭載している。レギュラーガソリンを使用するFA16型DITは圧縮比11.0という高圧縮比で、走りと燃費性能を両立。一方のFA20型DITは300ps/400Nmのハイパワーを発生するスポーツ エンジンとして仕上げられていた。
AWDシステムは、1.6Lモデルが油圧多板クラッチ制御のアクティブトルクスプリット式、2.0Lモデルは遊星ギヤ式センターデフのVTD式を採用。また全モデルがアクティブ トルクベクタリングを標準装備している。
アクティブトルクスプリット方式=ACT4(アクトフォー)とは
前後の駆動トルク配分の基本は60:40で、センターデフの代わりに電子制御油圧多板クラッチを採用。走行状態に合わせて前後トルク配分を可変制御する機能を備えている。走行状態に合わせ油圧多板クラッチの締結力をコントロールし、滑りやすい路面ではクラッチはロック状態になり50:50の配分になる。
また、このACT4は制御を変えることでさまざまな性格の車種に展開できる特徴があり、悪路走破が想定されるフォレスターでは、発進時のトラクション性能を向上させ、スタックの状況での脱出性能を上げている。また、ブレーキLSD機能を盛り込んだXモードも追加し、片輪が空転するような状態でも走破することができる能力を持っている。
VTD方式とは
2.0Lエンジン搭載モデルにはVTD方式が組み合わされ、VTDとは、電子制御センターデフ式のユニットで、前後の駆動トルク配分の基本は遊星ギヤの組み合わせにより45:55としながら、前後可変トルク配分が可能。300psのレヴォーグ2.0、WRX S4などの高出力モデルに採用している。複合遊星ギヤ(プラネタリーギヤ。位置はトランスミッション直後に設置)と電子制御油圧多板クラッチを組み合わせたセンターデフ式となっている。
差動はプラネタリーギヤによる減速を利用し、コーナリング時に前輪のトルク配分を少なくすることで、前輪の横グリップ力を確保し、コーナリング性能を重視しているのが特徴。
ファンのハートをガッチリ
デザインも、その後のスバルのデザインのベースとなる「ダイナミック×ソリッド」を具現化している。またエクステリア、インテリアの質感、静粛性なども従来の常識を破る高いレベルに高めている。
ボディカラーは、新色のスティールブルーグレー メタリック、クリスタルホワイト パール(有料色)、アイスシルバー メタリック、ダークグレー メタリック、クリスタルブラック シリカ、ライトニングレッド、ギャラクシィブルー シリカの全7色が設定された。
このようにしてデビューしたレヴォーグのラインアップは、1.6GT、1.6GTアイサイト、1.6GT-Sアイサイト、2.0GTアイサイト、2.0GT-Sアイサイトの5車種となっていた。
GT-Sモデルにはビルシュタイン製の倒立式ダンパーを装備するなどスバル ファンのハートをがっちり掴むモデルもラインアップしているあたりがポイントだ。なお実際の販売面では、80%が1.6Lモデルとなっていた。
このように1.6Lモデルが好評なため、レヴォーグの初年度モデル(Aタイプ)で、2014年12月に、特別仕様車「1.6GT アイサイト Sスタイル」が追加設定されている。
このモデルは18インチアルミホイール、LEDロービーム+ハロゲンハイビームヘッドランプ、運転席8ウェイパワーシートなど、上級グレード用の装備を追加しながら、買い得価格に設定した特別モデルとなっていた。
スバル「レヴォーグ」の変遷 シリーズ2 安心安全性能の進化 2015年モデル(Bタイプ)
レヴォーグは2014年4月にスバルのGTツーリング コンセプトを具現化した日本市場専用のスポーティなステーションワゴンとしてデビューした。それから6年を経て、いよいよ2020年秋に2代目レヴォーグが登場する。レヴォーグも他のスバル車同様に年次改良が行なわれており、2015年以降は年次改良を追って行くことになる。
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Bタイプ(2015年モデル)
レヴォーグは2014年にデビューし、翌年の2015年4月に1回目の年次改良が行なわれBタイプとなった。このBタイプからスバルとして国内初採用となる先進安全装備「アドバンスドセイフティパッケージ」をメーカーオプションとして展開した。このパッケージ オプションには、ミリ波レーダーが搭載され、リヤビークルディテクションに含まれる後側方警戒支援機能や、サイドビューモニター、ハイビームアシスト、アイサイトアシストモニターの4つの機能をセットで装備することができた。
アイサイトはいうまでもなく前方をモニターして、警報や自動ブレーキ、操舵アシストする機能を持つが、側方や後方(超音波センサーは装備されているが)に関しては、無防備だった。この「アドバンスドセイフティパッケージ」の登場により、ようやく全方位のモニターができるようになったという意味では画期的だった。
この「アドバンスドセイフティパッケージ」では、車両の全方位の安全性をさらに向上させることができる、ヘッドライトのハイビーム/ロービームの自動切替機能も実現していた。
つまり、アイサイトver3と、この「アドバンスドセイフティパッケージ」を組み合わせることで、国産車ではトップレベルの先進安全装備を実現し、レヴォーグは走りと高い安全性を両立させた独自のブランド価値を確立した。そして、ますますレヴォーグの安全性が高く評価されるようになったのだ。
もうひとつ、アイサイトアシストモニターは、メーター部を見なくても、ダッシュボード上のLEDの点灯状態を見るだけでアイサイトの作動状態が直感的にわかるという便利な機能も持っている。
この他に、標準グレードのGT系サスペンションは、よりフリクションを低減した新ダンパーを採用。作動時のフリクションを抑えることで、微小なストロークでもダンパーの減衰力が働くようにし、路面の凸凹を乗り越えた際の振動を抑え、乗り心地を向上させている。
さらに後席まわりに制振材や吸音材を追加することで、高速走行時の風切り音やロードノイズを一段と低減し、静粛性を向上させている。この静粛性の向上により、ドイツのアウトバーン走行といった条件でもヨーロッパの競合車と同等レベルになったという。
細部では、1.6GTアイサイトの燃費性能を17.6km/Lに向上させている。他に、電動チルト&スライド式サンルーフをメーカー装着オプションとして設定。そしてボディカラーはピュアレッド、ラピスブルー パールを新たに設定している。
また、この年次改良を機に、最廉価モデルの1.6GTは廃止され、全グレードがアイサイト標準装備モデルとなっている。
Bタイプは2015年6月に、特別仕様車「プラウドエディション」シリーズを追加した。このシリーズは、JNCAPの予防安全性能アセスメントでアイサイトを搭載したすべての対象車が、最高ランクの「先進安全車プラス(ASV+」を獲得したことを記念した特別仕様車だ。
装備は17インチアルミホイール(ガンメタリック塗装)、クリアビューパック(フロントワイパーデアイサー、リヤフォグランプ)、LED ヘッドランプ(光輝タイプ)、運転席8ウェイパワーシートを装備している。
さらに2015年の12月には特別仕様車「1.6GTアイサイトSスタイル」を発売した。この特別仕様車は、パールスウェード/本革シート、運転席シートが前後スライド/前チルト/リフター/リクライニングする8ウェイパワーシートを装備。シルバー塗装の18インチアルミホイールや、ダークメッキ+ブラック塗装のフロントグリル、LEDロービーム+ハロゲンハイビームヘッドランプ(ブラックベゼル)、クリアビューパック(フロントワイパーデアイサー、リヤフォグランプ)を特別装備している。
関連記事:スバル「レヴォーグ」の変遷 シリーズ1 25年目のフルモデルチェンジ 初代レヴォーグ誕生(Aタイプ)
スバル 「レヴォーグ」の変遷シリーズ3 STIスポーツ登場 2016年型(Cタイプ)
レヴォーグは2014年4月にスバルのGTツーリング コンセプトを具現化した日本市場専用のスポーティなステーションワゴンとしてデビュー。今回は年次改良を繰り返すレヴォーグのCタイプについてお伝えしよう。
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スバル「レヴォーグ」の変遷 シリーズ2 安心安全性能の進化 2015年モデル(Bタイプ)
年次改良という独特の制度
ここで取り上げているレヴォーグに限らず、SUBARUは以前から全モデルに「年次改良(年改)」という制度を採用している。これは知る人ぞ知るという独特のシステムだ。この年次改良記号は、デビューした年がAタイプで、次年以降はB、C、D、・・・と記号が付けられる。そのため「アプライド(applied)記号」とも呼ばれることがあり、何年型であるかが判るわけだ。
この制度は、スバルの源流である中島飛行機時代からの伝統で、例えば有名な隼(一式戦闘機は、初期モデルがキ43-I、次がキ43-I乙、キ43-I丙、キ43-II初期、キ43-II中期、キ43-II後期、キ43-IIIというように年次改良、新技術を投入して性能を向上させている。
その中島飛行機が富士重工になり、SUBARUになった現在でも、この年次改良システムは生き続けている。1年間を経過した時点、そのクルマは改良を加え性能を向上させるという思想のもと、年次改良では、たとえ僅かな部分でも手直しが行なわれることになっている。いわゆるマイナーチェンジのような内外装の手直しを行なうこととは意味が違っている。
また他のメーカーが不定期で実施する、ランニングチェンジ(仕様変更)とも意味が違っている。ランニングチェンジでは部品の設計変更や仕様変更などを行なうことが多く、対外的に発表されない変更である。またランニングチェンジでは往々にしてバリューアナルシス(VA)の発想のもと、代替部品を採用することでコストダウンを図ることが主目的になっていることが多いのだ。
ヨーロッパやアメリカの自動車メーカーはイヤーモデル、つまり年式制を採用し、年次改良を行なう例も多いが、日本ではスバルだけが採用してきた。ただ、最近ではレクサス、日産GT-Rが年次改良制を取り入れている。
スバルの年次改良制度は、モデルライフの中でも絶えず改良を加え、熟成を進めるという思想を象徴しているのだ。
Cタイプ(2016年モデル)
前置きが長くなったが、レヴォーグは、2016年4月にCタイプとなる改良モデルが登場した。このCタイプでは、前面衝突時、瞬時にシートベルトを巻き取り乗員を拘束する「シートベルトプリテンショナー」を左、右、リヤシートにも採用した。さらにリヤシートのクッションも安全性の高い構造に改良するなど、後席の乗員保護性能を向上させている。この他にフロントドアにアッパービームを追加し、側面衝突への対応も強化している。
デザイン面では、エントリーグレードの1.6GTアイサイトには、新デザインの17インチアルミホイールを採用。ガンメタリック塗装と切削光輝を組み合わせ、さらに空力性能の向上と軽量化も実現したホイールとなっている。
GT-Sグレードには、上級グレードにふさわしいスポーティで上質なブライトパール内装をメーカーオプションとして新設定。パールのような輝きを持つシルバー基調のレザーとブルーステッチによるコーディネートによりインテリアの質感を大幅に高めている。
細部ではフロントドアの室内側ショルダー部のウェザーストリップを2重化して、室内への透過音を低減。リヤクォーターガラスの板厚アップやカーゴルームの吸音材追加なども行ない、走行中の静粛性を向上させている。
トップグレードのSTIスポーツ登場
そして7月には、5月から先行予約を受け付けていたレヴォーグの最上級グレードとなる「STIスポーツ」が発売された。この「STIスポーツ」は、STIと共同開発したスポーツ&ラグジュアリーモデルで、コンセプトは走行性能、走りの質感、内外装の質感をトップグレードにふさわしく大幅に高めることであった。
なおSTIスポーツは、エンジン、トランスミッションは標準モデルからの変更はなく、動力性能は標準モデルと同じだ。一方でシャシーを専用チューニングし、内外装をアップグレードさせている。
サスペンションには専用チューニングされたビルシュタイン製の可変減衰式の「ダンプマチックII」を専用のコイルスプリングとともに採用している。
サスペンションのチューニングにより、操縦安定性と乗り心地の良さを両立させている。さらにステアリングギヤボックスの取り付け剛性を向上させるスティフナーを追加し、操舵応答性を高めるなど、操舵フィーリング、走りの質をトップグレードにふさわしいレベルに高めている。
エクステリアは、専用設計のフロントバンパー、フロントグリルとLEDフロントフォグランプを採用。専用18インチアルミホイール、専用大型デュアルマフラーカッターを装着し、車体前後にはSTIのオーナメントを配置している。ボディカラーはベース車の7色に「WRブルー・パール」を追加している。
インテリアは「STIスポーツ」専用のテーマカラーのボルドーカラーでコーディネートして、大人の上質感を強調している。レッドステッチやピアノブラックのパネルと組み合わせることで、スポーティでありながら落ち着きのある上質なインテリアに仕上げられている。
また、専用アイテムとして、STIロゴを配置した専用ルミネセントメーター、ステアリングホイール、サイドシルプレート、運転席/助手席ヘッドレストを採用し、スポーティさと高い質感を両立させている。
この「STIスポーツ」は発売1ヶ月で3000台を超える受注となり、最上級モデルにも関わらず人気モデルとなった。
特別仕様車「1.6GTアイサイト スマートエディション」
10月にはボクサーエンジン50周年記念モデルとして、特別仕様車「1.6GTアイサイト スマートエディション」が発売された。
1.6GTアイサイトをベースに、アドバンスドセイフティパッケージを標準装備化し、エクステリアには専用17インチアルミホイールやブラックカラードドアミラーを採用した。
その他に上級グレードである1.6GT-Sアイサイトと同デザインのLEDヘッドランプ(ブラックベゼル)、ダークメッキ加飾+ブラック塗装フロントグリルを採用。インテリアには運転席8ウェイパワーシートとアルミパッド付スポーツペダルを標準装備としたモデルになっている。
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Posted at 2020/06/20 09:08:47 | |
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富士重工 | 日記
2020年06月20日
一代限りだったのに気合入りすぎ!? 贅沢な軽自動車3選
■一代限りで消えた魅力的な軽自動車を振り返る
近年、軽自動車は諸性能の向上や装備が充実し、日本でもっとも売れているクルマとなりました。それに伴い、新車価格の高騰も顕著で、もはや気軽に買えないほどのモデルもあります。
かつて軽自動車といえば安価で装備も簡素だったため、庶民の足として活躍しましたが、これまでも贅沢なモデルが存在。
そこで、一代限りで消えたものの、かなり開発に気合が入っていた軽自動車を3車種ピックアップして紹介します。
●ダイハツ「ソニカ」
2006年に発売されたダイハツ「ソニカ」は、新世代の軽スペシャリティカーとして開発された2BOXタイプのモデルです。
すでに軽自動車市場ではトールワゴンが主流だったにも関わらず、1470mmに抑えられた低い全高によるスタイリッシュなフォルムが斬新でした。
軽スペシャリティカーを具現化するために、ボディ各所に風切り音やロードノイズを低減させる技術を採用することで静粛性を向上。
また、ドアの解錠や施錠、エンジンの始動と停止が可能なキーフリーシステムや、一部グレードには花粉除去モード付きのオートエアコン、セキュリティアラームが採用されるなど、装備も充実しています。
搭載されたエンジンは最高出力64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボのみとされ、CVTが組み合わされ余裕ある走りを実現し、さらに、低い全高による低重心ボディとロングホイールベースにより、優れた走行安定性と乗り心地の良い快適な走りを両立。
当時、ソニカの走りや品質は高く評価されていましたが、市場には軽スペシャリティカーのニーズがなく販売は低迷。発売からわずか3年後の2009年に販売を終了してしまいました。
●ホンダ「Z」
1970年に発売された軽スペシャリティカーのホンダ初代「Z」は、特徴的なリアゲートのデザインから「水中メガネ」の愛称で親しまれたモデルです。
そして、1998年に登場した2代目は、初代とはコンセプトが大きく異なり、エンジンをリアミッドシップに縦置きで搭載するユニークなレイアウトで、ビスカスセンターデフを備えたフルタイム4WDの軽SUVです。
パワートレインが後部座席の下に搭載されていることからホンダは、「UM-4(UNDERFLOOR MIDSHIP 4WD)」と、新ジャンルのモデルとして位置づけました。
ボディはスクエアな3ドアのトールワゴンタイプで、15インチの大径タイヤと高い車高によってSUVらしさを強調しています。
グレードは、自然吸気とターボのエンジンタイプによる2モデルをラインナップ。1トン近い車重だったため、64馬力のターボモデルじゃないと、余裕ある走りは厳しかったようです。
エンジンやドライブトレインのレイアウトは、軽商用車の「アクティ 4WD」をベースにしていたものの、多くの部品は新開発され、ホンダとしてもZは意欲作でしたが3ドアのみでは使い勝手に劣り、販売は低迷。
2002年に一代限りで生産を終了してしまいました。
■じゃじゃ馬ぶりがすごかった軽自動車とは!?
●マツダ「AZ-1」
1980年代の終わりから、マツダはラインナップの拡充を目的として5つの販売チャネルを展開しました。
そのひとつのオートザムから1992年に発売された「AZ-1」は、軽自動車唯一のガルウイングドアを持つ2シーターのミッドシップスポーツカーです。
スズキ「アルトワークス」に搭載されていた、最高出力64馬力の660cc直列3気筒DOHCターボエンジンをリアミッドシップに横置きに搭載。トランスミッションは5速MTのみとされました。
新開発されたシャシは一般的なモノコックですが、外装にFRPを多用し、720kgの軽量な車体を実現。
さらに、ステアリングのロック・トゥ・ロックが2.2回転と、国産車では類を見ないほどのクイックステアで、公道を走るゴーカートとも評されました。
しかし、軽量なボディとクイックステアによる高い運動性能は、反面、気難しい操縦性となってしまい、ドライバーの技量によっては速く走らせることが難しい、じゃじゃ馬な性格のクルマとなっています。
同時期にはホンダ「ビート」、スズキ「カプチーノ」と、軽スポーツカーが存在していましたが、AZ-1は2車よりも後発で149万8000円(消費税含まず)と高額だったことや、実用性の無さもあって販売は苦戦を強いられ、1995年に生産を終えました。
一方で、海外のマニアから注目されており、中古車が海外に流出。現在、状態の良い物件は新車価格以上で取引されています。
※ ※ ※
現在販売中の軽自動車は登録車と何ら変わらない装備で、価格は200万円台のモデルが存在し、もはや庶民の足というポジションではありません。
一方で、小さな車体に凝縮された技術には、目をみはるものがあります。
昨今では軽自動車不要論もありますが、日本独自の規格として進化してきたことで、海外には無い優れた技術の集大成といえる存在ではないでしょうか。
Posted at 2020/06/20 08:11:56 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年06月19日
ドゥカティ、電動キックボードや電動アシスト自転車7モデルを欧州発売 6月20日から
ドゥカティ(Ducati)は6月20日から順次、電動キックボードや電動アシスト自転車を合計7モデル、欧州市場で発売すると発表した。
◆イタルデザインと協力して電動アシスト自転車を開発
電動キックボードと電動アシスト自転車は、イタリアのMTディストリビューション社と提携して開発された。都市型モビリティに向けて、電動キックボードと折りたたみ式の電動アシスト自転車を発売する。
渋滞の多い大都市では、車に代わる交通手段に対する需要が高まっており、持続可能な交通手段の市場は、成長傾向にある。ドゥカティはこれらの市場のニーズに応えて、40年以上にわたってこの分野で豊富なノウハウを蓄積してきたMTディストリビューション社と提携した。
7種類のニューモデルは、「ドゥカティ」、「ドゥカティ・コルセ」、「ドゥカティ・スクランブラー」の3ブランドから発売される。7種類の内訳は、電動キックボードが4台、折りたたみ式電動アシスト自転車が3台で構成される。デザインと独創性を重視する顧客に向けて設計されており、ラインナップ全体が2020年中に購入可能になる予定だ。
電動キックボードの開発には、ドゥカティデザインセンターが参画した。また、ドゥカティデザインセンターは、折りたたみ式の電動アシスト自転車の開発において、イタルデザインと協力した。その結果、魅力的なデザインの革新的なコレクションが生まれたという。
◆電動キックボードのPro IIは350Wモーターと280Whバッテリー
ドゥカティとMTディストリビューションが共同開発した電動キックボードには、出力250Wから500Wのモーターが搭載された。電動アシスト自転車には、法規制の上限となる最大出力250Wのモーターが搭載される。欧州市場に投入される最初の2種類の電動キックボードは、『Cross-E』と『Pro II』と名付けられ、それぞれ6月20日、7月6日に発売される予定だ。
中でも、Pro IIには、連続出力350Wのブラシレスモーターと蓄電容量280Whのバッテリーを搭載する。リアサスペンションと10インチのパンク防止チューブレスタイヤも装備されており、25~30kmを快適に移動できる。車両の安全性と使いやすさは、ドゥカティの製品ラインナップに共通する基本性能という。電動キックボードには、電動フロントブレーキとリアディスクブレーキを採用した。すべての設定をモニターし管理するために、大型の3.5インチLCDディスプレイが装備されている。
◆電動キックボードのCross-Eは500Wモーターと375Whバッテリー
一方、ドゥカティ・スクランブラーブランドの電動キックボードがCross-Eだ。6.5インチサイズのホイールに、110/50サイズのパンク防止チューブレスタイヤを組み合わせ、ラフロードでも高い走破性を追求する。ブラシレスモーターは連続出力500Wで、発進や上り坂でも優れた性能を発揮する。蓄電容量375Whのバッテリーは、最大30~35kmの航続を備え、平均速度は15km/hの性能を持つ。フロントのダブルヘッドライトは、夜間に優れた視認性をもたらす。3種類のライディングモードを含むすべての機能の管理は、大型の3.5インチLCDディスプレイで行う。
今後数週間で市場に投入される折りたたみ式電動アシスト自転車については、現時点では詳細は公表されていない。ドゥカティによると、革新的なデザインを備え、サドル後部に組み込まれたリアライト、フレーム一体設計のバッテリー、アクティブライトなどが装備されるという。なお、すでにドゥカティは、欧州で電動アシスト自転車の『e-スクランブラー』を発売している。
なお、ドゥカティは、電動キックボードや電動アシスト自転車の一部モデルは、ドゥカティのディーラーやドゥカティのオンラインショップで購入できる、としている。
Posted at 2020/06/19 22:24:13 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年06月19日
BMWのPHVスポーツカー『i8』、生産終了…ブランドで最も成功したスポーツカーに
BMWグループは6月11日、プラグインハイブリッド(PHV)スポーツカーの『i8』(BMW i8)の生産を終了した、と発表した。
◆0~100km/h加速4.4秒で最高速250km/h
i8は、BMWグループのサステイナブルブランド、「i」のPHVスポーツカーとして、2014年に発売された。当初はクーペボディのみだったが、後にオープンボディの『i8ロードスター』 が追加され、iブランドは『i3』を含めて、3車種にラインナップを拡大した。
i8のPHVパワートレインは、前輪をモーター、後輪をエンジンで駆動する。エンジンは1.5リットル直列3気筒ガソリンターボで、最大出力231hp、最大トルク32.6kgmを発生する。モーターは最大出力143hpで、エンジンとモーターを合わせたPHVシステム全体で、最大出力374hpを引き出す。
モーターとエンジンがフル稼働した状態では、i8クーペの場合、0~100km/h加速4.4秒、最高速250km/h(リミッター作動)のパフォーマンスを発揮する。二次電池は、蓄電容量11.6kWhのリチウムイオンバッテリーだ。EVモードでは最大55kmをゼロエミッション走行できる。この効果もあって、i8クーペの場合、欧州複合モード燃費55.5km/リットル、CO2排出量42g/kmの優れた環境性能を実現している。
◆世界限定200台の最終限定車
BMWグループは、このi8の最終限定モデルとして、「アルティメット・ソフィスト・エディション」(Ultimate Sophisto Edition)を世界限定200台発売した。
外観には、ソフィストグレー・ブリリアントエフェクトと呼ばれる特別なボディカラーが用意された。このボディカラーには、フロントグリル、サイドスカート、リアバンパーに、銅のような色合いの「Eコッパー」と呼ばれる専用のアクセントが配される。専用のスポークデザインの20インチアルミホイールで足元を引き締めた。このアルミホイールは、ブラックをメインに、Eコッパーをあしらった2色仕上げとなる。
アルティメット・ソフィスト・エディションでは、クリアガラスのテールライトが、i8シリーズで初採用された。 i8ロードスターのアルティメット・ソフィスト・エディションには、Cピラーのトリムエレメントやハイグロスブラックのテールゲートインレイなどに、シャドウラインが追加された。クーペとロードスターともに、ブレーキキャリパーはハイグロスブラックで塗装され、ブルーのディテールとBMW iバッジが添えられる。
アルティメット・ソフィスト・エディションのエンブレムと、室内のドアシルプレートには「1 of 200」のシリアルナンバープレートが装着される。専用ボディカラーに合わせて、インテリアは ブラック&Eコッパーの「Accaro」内装でコーディネートした。装備は充実しており、BMWヘッドアップディスプレイ、ライトパッケージ、ハーマンカードン製Hi-Fiスピーカーシステム、セラミック加工コントロールスイッチが採用される。i8クーペには、アンスラサイトのヘッドライナーが装備された。また、クーペとロードスターには、それぞれエクステンディットストレージとトラベルパッケージが付属している。
◆6年間に約2万0500台を生産
このi8の最終モデルが6月11日、BMWグループのドイツ・ライプツィヒ工場からラインオフした。ポルティマンブルーで塗装されたi8ロードスターは、ドイツの顧客に向けて出荷された。
BMWグループは、およそ6年間に、約2万0500台のi8を生産した。BMWグループは、ブランドの歴史において、i8は最も成功したスポーツカー、としている。
Posted at 2020/06/19 22:20:07 | |
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BMW | 日記
2020年06月19日
アウディ撤退で窮地のDTM、2021年は休止? ゲルハルト・ベルガー会長「それは良い案ではない」
昨シーズン限りでアストンマーチンが、そして今シーズン限りでアウディが撤退することになったDTM(ドイツ・ツーリングカー選手権)。これにより、来季以降も参戦する可能性が残っているのはBMWの1社のみとなり、シリーズの存続が危ぶまれている。DTMを運営するITRは、シリーズ存続のために、様々な選択肢を考慮している。
スーパーGTとの共通レギュレーションであるClass1規定を維持するのか、あるいはGT3レギュレーションに切り替えるのか、または2021年シーズンの1年間に限り、シーズンを休止するのか……いくつかの選択肢がある。
休止という選択肢には前例もある。かつてのDTMは1996年限りで一旦廃止となり、2000年からメルセデス、アウディ、オペルの3メーカーが参戦して新たなスタートを切ったのだ。
2021年を休息に充て、2022年にシリーズとして復活する可能性について尋ねると、ITR会長のゲルハルト・ベルガーは次のように語った。
「休息……私はそんなこと考えていない。それはうまく機能しないだろう」
そうベルガー代表は語った。
「少し大きな会社があって、その活動を1年間止めることになれば、全ての生産ラインが止まるということになる。それを再び元に戻すのには、大変な労力が必要だ」
「それはDTMでも同じだと思う。すべてがあるべき位置にあり、準備が整っている。もし1年間停止するということになれば、それは良い選択肢ではないだろう。でも、現時点ではどんな可能性も除外するつもりはない。なぜなら、解決策がどうなるのか、まだ分からないからだ」
ベルガー曰く、ITRが現在の危機をどう乗り切るのか、それについての答えはまだないとしつつも、GT3で流行しているパフォーマンス・ハンデキャップのシステムは好きになれず、DTMでその方式を採用することはないと断言した。
「我々は現在、あらゆる可能性を検討している。しかし正直なところ、まだ答えは見つかっていないので、お答えすることができない」
そうベルガー代表は語る。
「現時点では、アウディが参戦を中止したことにより何が起きるのか、その全体の状況を明らかにし、今年をより良いシーズンにするために今何をしなければいけないのか、そして将来のDTMにどんな可能性があるのか……それについて議論しているところだ」
「Class1以外のレギュレーションは、それほど多くない。基本的にはGT3カーということになるが、それは異なる哲学だ。BoPなどに戻ることになるんだ」
「それが不可能だとは言わない。しかし現時点では、それが将来の問題を解決することになるとは言えない。将来について考える前に、まず解決しなければならないことが他にもあると思う」
Posted at 2020/06/19 22:12:13 | |
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