2020年12月22日
電動SUVによるエクストリームE、2021年春に開幕
電動SUVによる第1戦はサウジアラビアで開催予定。ハミルトンやニコ・ロズベルグも関与
電気自動車(EV)によるオフロードレースとして準備が進められてきた「エクストリームE」が2021年春に開幕する。その名を聞いたことのない人も多いと思われるが、プロジェクトは2019年にスタートしており、フォーミュラEのノウハウを生かしながらも、バギー風の迫力あるEVマシンを使い、2台ずつバトルを繰り返しながら砂漠や山岳路を駆け抜けるレース形態が考えられてきた。
今年9月にはF1王者のルイス・ハミルトンがチーム「X44」を立ち上げてエクストリームE参戦(ハミルトン自身がステアリングを握るわけではない)を発表し、10月にはやはりF1ドライバーのニコ・ロスベルグのチーム「RXR」が参戦すると発表。イベントパートナーとしてプロジェクトに関わり、タイヤ供給も担当するサプライヤー最大手のコンチネンタルが公表したもので、サウジアラビアでの初戦開催に向けてムードが高まっている。
新型コロナウイルスの影響により2021年1月に予定されていたシリーズ開幕は春にズレ込むことになったが、500psといわれるバギー風マシンの走りは迫力たっぷりで、男女1名ずつのドライバー参戦が義務づけられるなどユニークなレギュレーションも興味深い。日本のメディアがこのEVモータースポーツをどの程度とり上げるか分からないが、環境保護を訴える視点が受け入れられる可能性もあり、レース自体もフォーミュラEより見応えがありそうだ。ハミルトンやロズベルグ自身がステアリングを握って参戦することも期待したいが……。
エクストリームE、初の”フルパワー”合同テスト実施。ローブやサインツ親子も参加
2021年にスタート予定の、電動SUVによるオフロードシリーズ『エクストリームE(XE)』。その合同テストがモーターランド・アラゴンで行なわれた。この2日間のテストでは、全9チームが550馬力に相当する400kWのフルパワーモードで走行した。
XEは10月に南フランスのシャトー・ド・ラストゥールでシェイクダウンを行なったが、この際は低出力モードでの走行だったという。アラゴンで行なわれたこのテストでは全9チームが参加し『ODYSSEY 21』のフルパワーを試した。
XE創立者のアレハンドロ・アガグは次のように述べた。
「我々はこの日に向けて2年以上も努力してきました。夢がついに現実のものとなり、このような才能あるドライバーたちが一堂に会したことを誇りに思う」
「このチャンピオンシップは、世界で最も強力なドライバーのラインナップを持っている」
このテストには、セバスチャン・ローブやカルロス・サインツ、Wシリーズ王者のジェイミー・チャドウィックなどのドライバーも参加。また、F1ドライバーのカルロス・サインツJr.も、父親であるサインツが所属するアクシオナチームへの出資者として、このテストに姿を現した。
「僕は父がエクストリームEに関わることを期待していた。父も興味を持っていたからね」
そうサインツJr.は語った。
「そして父はここ3~4ヵ月、このプロジェクトに忙しくしていた。これまでにない挑戦であり、チームの競争力を出来る限り高いものにしようと、一生懸命に取り組んでいるのが分かる」
「エクストリームEが掲げる機構に対するメッセージは、本当に大切なものだ。ショーを生み出し、いいレースをしながらも世界で起こっていることを人々にもっと意識させる必要があるんだ」
XEのマシンは最終準備のために各チームに戻された後、XEの”フローティングパドック”として使用される予定の『RMSセント・ヘレナ号』に積み込まれる予定だ。
XEとフォーミュラEのレースディレクターであるスコット・エルキンスは、アラゴンでのテストについて次のように語った。
「霧が出ていたので、天候には少し苦戦したが、全体的にはとても良かった」
「テストでは2つのコースを使用したが、1つ目のコースはより長く、よりオープンなコースで、マーカーや一般的な名称でコースがレイアウトされているという点では、より実際のイベントに近い形だった。もう一方のコースはクローズドで、ダートだけで構成されていた」
「今回のテストでは、全員にとって2021年のレースに向けて様々な環境を知る良い機会となった」
Posted at 2020/12/22 20:46:19 | |
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2020年12月21日
890kgの車体に600馬力の「怪物」! プロでも操りきれない「ランチア・デルタS4」の恐るべき走り
市販車ネーム「デルタ」は名ばかりのモンスター
WRCで1983年から導入されたグループB。過激なモンスターマシンが暴れまくり、人気を博したカテゴリーだったが、イタリアの名門ランチアは当初は「ラリー037」で参戦したものの、アウディのクワトロなど、フルタイム4WDが勃興してきたことから、リヤミッドシップの後輪駆動では次第に戦えなくなってしまう。時代の趨勢だけに仕方がない面もあったが、指を加えて見ているわけにはいかなかった。
最終兵器たるツインチャージャー
そこで作られたのが「デルタS4」だ。グループBの規定は非常にゆるく、ベース車両として認められるためには競技向けも含めて年間200台を作ればよかった。WRCで勝つためだけに誕生しただけに、市販車のデルタの名がつくとはいえ、シャーシも含めてまったく別物だった。
エンジンは「ラリー037」同様にアバルトが手掛けたもので、1759ccの直4をリヤミッドに縦置きしつつ、スーパーチャージャーとターボの二段過給を採用している。低回転をスーパーチャージャーが担当して、回転が上がってくるとターボに切り替わることで、ターボラグを解消するのが目的だった。 また、小排気量としたのは車両規定によって、車重の規定が有利になるためで、890kgしかなかったとされている。急造だったのも影響してか、デザインについてはフロントは当時のランチアのラリー車らしい顔つきだが、リヤまわりは寸詰まりでお世辞にもかっこいいとはいえないものだった。
無冠のWRC帝王「アレン」と「S4」と
「ラリー037」に代わって、WRCに実戦投入されたのは1985年のこと。最終戦のRACラリーに参戦して、いきなり1位・2位に入ってデビューウインを飾る。1986年に入っても好調だったが、第5戦のツール・ド・コルスでコースアウトして崖下へと転落、炎上。
ドライバーのトイボネンとナビが死亡するという事故を起こしてしまったことから、過激化するグループBが問題視され、1986年内でのグループB中止が決定されてしまう。
その後も勝利を重ね、マニュファクチャラーとドライバー(マルク・アレン)の両部門を制覇したものの、第11戦のラリー・サンレモでのプジョーの規定違反についての裁定が覆って、両タイトルとも剥奪されてしまう。ランチアが無冠に終わったのは歴代通して「デルタS4」のみで、マルク・アレンが無冠の帝王と呼ばれたのもこの一件が関係している。
890kgしかない車体に、最終的に600馬力は出ていたとされるエンジンを積んでいただけに、プロドライバーでもコントロールが難しかったのは事実。カテゴリーがなくなってしまうほどの事故を起こしたこともあって、S4の進化は続かず、インテグラーレにその道を譲り、WRCからは姿を消してしまった。
Posted at 2020/12/21 22:13:04 | |
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2020年12月21日
アルファロメオが北米で「4Cスパイダー 33 ストラダーレ トリブート」を発表。限定台数わずか33台!
2020年12月25日、アルファロメオは1960年代の伝説的なスポーツカー「33 ストラダーレ」の栄光を受け継いだモデル「4Cスパイダー 33 ストラダーレ トリブート」を北米で発表、33台が限定生産される。
往年の名車をオマージュしたスペシャルアイテムを装備
アルファロメオ 4Cは、2013年に発表されたミッドシップ スポーツカーだ。日本でも2014年から発売され、翌2015年にはルーフをソフトトップにしたスパイダーも追加設定されている。
今回、米国ミシガン州オーバーンヒルズで発表された「4Cスパイダー 33 ストラダーレ トリブート」は、その名が示すとおり1967年にモンツァ サーキットでデビューした、アルファロメオのアイコンモデルともいうべきミッドシップ スポーツカー「33 ストラダーレ(ティーポ33 ストラダーレとも呼ばれる)」の栄光を受け継いだモデルだ。
そのボディカラーには、には、3層コートが施された専用カラー「ロッソ ヴィラデステ」が採用され、グレー/ゴールドの5穴アルミホイール(前18インチ/後19インチ)、ブラック ディナミカ スエードとタバコ レザーを組み合わせたスポーツシートが装備される。
コクピット内のダッシュボード/サイドシル/センターコンソールには専用プレートが装着され、センターコンソールのプレートにはシリアルナンバーも刻印されている。
さらに、4Cのデザインコンセプト、テクノロジー、素材、モデナの組み立て施設、そして33 ストラダーレの歴史を記録し、チェントロ スティーレ(デザインセンター)によってデザインされた記念ブックも付属している。このブックは、ディナミカ スエードによる装丁が施され、シリアルナンバーも印刷されている。
4Cの特徴であるカーボンファイバー製モノコックシャシには、今回初めてクリアレッド仕上げが採用された。また、通常モデルではオプション設定とされていた、アクラポヴィッチ製デュアルモード センターマウント エキゾースト、レースチューンド サスペンション、バイキセノン ヘッドライト、バッテリー充電器、ボディカバー、カーボンファイバー製ハロ、リアウイング、イタリアンフラッグ ミラーキャップなどが装備されている。
これらの特別装備の総額は、数千ドル(数十万円)の価値があるものだ。加えて、「チェントロ スティーレ アルファロメオ」エンブレム、ピアノブラック フロント エアインテークとリア ディフューザーも装着される。
パワートレーンは、通常モデルと同じ240psと350Nmを発生するオールアルミ製の1.75Lターボエンジンに6速DCTを組み合わせる。0→60mph(約96km/h)加速は4.1秒、最高速度は160mph(約257km/h)というパフォーマンスを発揮する。
アルファロメオ 4Cスパイダーの最終生産モデルとなる「4Cスパイダー 33 ストラダーレ トリブート」、北米向けの生産台数はわずか33台で、米国におけるメーカー希望価格は7万9995ドル(約832万円、コンテナ取扱い料金を除く)。
ちなみに、この限定車が日本に導入されるかどうかは未定だが、4Cスパイダーの最終生産モデルとなるだけに、ぜひ実車を見てみたいものだ。
アルファロメオ アメリカで限定33台の「4Cスパイダー33ストラダーレ トリビュート」を発表
アルファロメオは2020年12月14日にアメリカ・ミシガン州で、アルファロメオの伝説的なミッドシップエンジン・スポーツカー、「4Cスパイダー33ストラダーレ トリビュート」を発表しました。この4Cスパイダー限定モデルの北米向け生産台数は、わずか33台という貴重なスペシャルモデルで、「1967アルファロメオ33ストラダーレ」の栄光を受け継いだスペシャル スポーツカーです。
1967年のイタリアF1グランプリ前夜祭が開催された8月31日に、モンツァ・サーキットでデビューしたアルファロメオのアイコンモデルが33ストラダーレ。イタリア語のストラダーレは「ロードゴーイング」を意味し、最高速度は約260km/hをマーク。
また33ストラダーレは、1968年のデイトナ24時間レースでクラス優勝したティポ33レーシングカーをベースに、フランコ・スカリオーネがデザインしたハンドビルドのエキゾチックなミッドシップエンジン スポーツカーです。製造された車両はわずか18台で、完成車のほとんどはアルファロメオを象徴するレッドで塗装され、グレーゴールドのホイールとブラック/タバコのインテリアを備えていました。
この「4Cスパイダー33ストラダーレ トリビュート」を発売するにあたり、アルファロメオ・グローバル責任者のティム・クニスキスは、「2014年の発売以来、4Cスパイダーはアルファロメオを象徴するモデルとして、世界中で熱狂的なファンを獲得し、アメリカにおけるアルファロメオ・ブランドの人気を再構築する原動力となってきました。アルファロメオの伝統を受け継ぐ4Cスパイダー33ストラダーレ トリビュートは、2021年に生産を開始するTonale(トナーレ)PHEVクロスオーバーをはじめとする、次世代のアルファロメオ・モデルにバトンを引き渡す役割を担っています」と語りました。
「4Cスパイダー33ストラダーレ トリビュート」は、スペシャルモデルにふさわしく、3層コートの専用カラー「ロッソ・ヴィラデステ」が採用され、グレー/ゴールド5穴アルミホイール(フロント18インチ、リヤ19インチ)、ブラック ダイナミカ スエードとタバコ・レザーを組み合わせたスポーツシートが装備されています。
コクピットは、ダッシュボード、サイドシル、センターコンソールに専用プレートが装備され、センターコンソールのプレートには車両のシリアルナンバーも刻印されています。
さらにこのモデルには、4Cのデザインコンセプト、テクノロジー、素材、モデナのマセラティ工場での組み立て施設、33ストラダーレの歴史を記録し、チェントロ・スティーレ(デザインセンター)によってデザインされた記念ブックも付属しています。このブックは、ダイナミカ スエードによる装丁が施され、シリアルナンバーが印刷された貴重な記念本となっています。
軽量なミッドシップスポーツカー「4C」は、最先端のF1マシンにヒントを得たカーボンファイバー製モノコックシャシーを採用していることからも、レースの血統を物語っています。そのため、カーボン製モノコックフレームはアドラー プラスチック社でプリプレグ カーボン材を使用して製造され、マセラティのモデナ工場で組み立て・架装され、軽量で超高剛性を誇っています。そしてこのボディに、今回初めてクリア・レッド仕上げが採用されました。
さらに、「4Cスパイダー33ストラダーレ トリビュート」には、通常モデルではオプション設定されているアクラポヴィッチ製デュアルモード・センターマウント エキゾースト、レースチューンド サスペンション、バイキセノンヘッドライト、バッテリー充電器、ボディカバー、スエード/レザーシート、カーボンファイバー製ハロ、リヤウィング、イタリアンフラッグ・ミラーキャップなどが特別装備されています。
これらのコンポーネントは、通常の4Cスパイダーに追加装着すると、50万円以上の価値があります。加えて「チェントロ スティーレ アルファロメオ」エンブレム、ピアノブラックのフロント エアインテークとリヤディフューザーにより、特別に洗練されたエクステリアとなっています。
「4Cスパイダー33ストラダーレ トリビュート」は、オールアルミ製の直列4気筒1750ccの直噴ターボチャージャーを搭載。このエンジンは、デュアル インタークーラー、可変バルブタイミングといったテクノロジーを採用したスポーツエンジンでミッドシップに搭載されています。
組み合わされるトランスミッションは6速アルファ ツインクラッチ・トランスミッションです。エンジンの最高出力は241ps、最大トルクは350Nm。車両重量は約1134kgと軽量なため、馬力荷重は約4.78kg/psで、0-100km/hは4.1秒、最高速は258km/hを実現しています。
「4Cスパイダー33ストラダーレ トリビュート」はアメリカの指定ディーラーで注文が可能で、アメリカにおけるメーカー希望価格は830万円(コンテナ取扱料金を除く)となっています。
なお、アルファロメオ4Cスパイダーは、今回の「4Cスパイダー33ストラダーレ トリビュート」が最終モデルとなっています。
約830万円の「4Cスパイダー 33ストラダーレ・トリビュート」は33台限定!
■伝説の「33ストラダーレ」のエッセンスが散りばめられた「4Cスパイダー」
2020年12月14日、アルファ ロメオは伝説的なミッドシップ エンジン・スポーツカー、1967年のアルファ ロメオ「33ストラダーレ」の栄光を受け継いだモデル、「4Cスパイダー 33ストラダーレ・トリビュート」を発表した。
この4Cスパイダーの限定モデルは、北米向けに33台のみ生産される。
4Cスパイダー 33ストラダーレ・トリビュートには、3層コートが施された専用カラーのロッソ・ヴィラデステが採用され、グレー/ゴールドの5穴アルミホイール(フロント18インチ、リア19インチ)、ブラック ダイナミカ スエードとタバコ・レザーを組み合わせたスポーツシートが装備される。
コックピットには、ダッシュボード、サイドシル、センターコンソールに専用プレートが奢られ、センターコンソールのプレートには、車両のシリアルナンバーも刻印されている。さらに、このモデルには、4Cのデザインコンセプト、テクノロジー、素材、モデナの組み立て施設、33ストラダーレの歴史を記録し、チェントロ・スティーレ(デザインセンター)によってデザインされた記念ブックも付属。このブックは、ダイナミカ スエードによる装丁が施され、シリアルナンバーが印刷されるという凝りようだ。
アルファ ロメオ・グローバル責任者のティム・クニスキス氏は、次のようにコメントしている。
「2014年の発売以来、4Cスパイダーはアルファ ロメオを象徴するモデルとして、世界中で熱狂的なファンを獲得し、北米におけるアルファ ロメオ・ブランドの人気を再沸させる原動力となってきました。
アルファ ロメオの伝統を受け継ぐ4Cスパイダー 33ストラダーレ・トリビュートは、2021年生産を開始するトナーレPHEVクロスオーバーをはじめとする、次世代のアルファ ロメオ・モデルにバトンを引き渡す役割を担っています」
■カーボン・モノコックシャシがクリア・レッド仕上げに!
4Cのレースの血統は、最先端のF1マシンにヒントを得たカーボンファイバー製モノコックシャシに明確に表れている。このシャシには、今回初めてクリア・レッド仕上げが採用された。
さらに、4Cスパイダー 33ストラダーレ・トリビュートには、通常モデルではオプション設定されていた、アクラポヴィッチ製デュアルモード・センターマウント・エキゾースト、レースチューンド・サスペンション、バイキセノン・ヘッドライト、バッテリー充電器、ボディカバー、スエード/レザーシート、カーボンファイバー製ハロ、リアウイング、イタリアンフラッグ・ミラーキャップなどが装備される。
これらのコンポーネントは、4Cスパイダーに別途装着すると、数千ドルのオプション費用がかかるものである。
加えて「Centro Stile Alfa Romeo」エンブレム、ピアノブラック・フロント・エアインテークとリア・ディフューザーによって、洗練されたエクステリアとなっている。
4Cスパイダー 33ストラダーレ・トリビュートは、6速アルファ・ツインクラッチ・トランスミッション、オールアルミ製1750cc直列4気筒直噴ターボチャージャー・エンジン、デュアル・インタークーラー、可変バルブタイミングといった高度なテクノロジーを採用。
エンジンの最高出力は237hp、最大トルクは258lb-ftである。車両重量約1134kg未満の4Cスパイダー 33ストラダーレ・トリビュートのパワー・ウェイト・レシオは、約4.78kg/hp。0-60mph(約96km/h)加は4.1秒、最高速度は160mph(約257km/h)を実現している。
そして、この4Cスパイダー 33ストラダーレ・トリビュートが、4Cスパイダーの最終生産モデルとなる。
米国における4Cスパイダー 33ストラダーレ・トリビュートの車両価格は7万9995ドル(邦貨換算約830万円、コンテナ取扱料金を除く)となっている。
アルファロメオ 4Cスパイダーに最終モデル、「33ストラダーレ・トリビュート」…限定33台は北米向け
アルファロメオは12月14日、『4Cスパイダー33ストラダーレ・トリビュート』(Alfa Romeo 4C Spider 33 Stradale Tributo)を発表した。「4Cスパイダー」の最終モデルとして、北米市場向けに33台が限定生産される予定だ。
◆1967年に発表された『33ストラダーレ』がモチーフ
同車は、アルファロメオ4Cスパイダーをベースに、アルファロメオの伝説的なミッドシップエンジンスポーツカーである、1967年に発表された『33ストラダーレ』の栄光を受け継ぐモデルとして開発された。
33ストラダーレは1967年8月31日、イタリアF1グランプリ前夜祭が開催されたモンツァサーキットでデビューした。「ストラダーレ」というイタリア語は、「ロードゴーイング」を意味し、最高速はおよそ260km/hの性能を発揮した。33 ストラダーレは、1968年のデイトナ24時間レースでクラス優勝したレーシングカー、「ティーポ33」をベースに、フランコ・スカリオーネがデザインしたハンドビルドのミッドシップスポーツカーだ。
33ストラダーレは現在でも、レーシングテクノロジーにインスピレーション溢れるデザインを融合したスポーツカーとして、ファンの支持を得ているという。その伝統は、4C スパイダーに受け継がれている。33ストラダーレの生産台数は18台で、ほとんどはアルファロメオを象徴するレッドで塗装され、グレーゴールドのホイールとブラック/タバコのインテリアを備えていた。
◆3層コート仕上げの専用カラー「ロッソ・ヴィラデステ」
4Cスパイダー33ストラダーレ・トリビュートには、3層コートが施された専用カラーの「ロッソ・ヴィラデステ」が採用された。足元には、フロント18インチ、リア19インチのグレー/ゴールド5穴アルミホイールを装着する。
シャシーには今回初めて、クリアレッド仕上げが採用された。さらに、4Cスパイダー33ストラダーレ・トリビュートには、通常モデルの4Cスパイダーにオプション設定されていた「アクラポヴィッチ」製デュアルモードセンターマウントエキゾースト、レースチューンドサスペンション、バイキセノンヘッドライト、バッテリー充電器、ボディカバー、カーボンファイバー製ハロ、リアウィング、イタリアンフラッグ付きドアミラーカバーなどが装備されている。
また、4Cスパイダー33ストラダーレ・トリビュートには、「Centro Stile Alfa Romeo」エンブレム、ピアノブラック仕上げのフロントエアインテークとリアディフューザーも採用されている。
◆ブラックの「Dinamica」スエードにタバコレザーを組み合わせたスポーツシート
4Cスパイダー33ストラダーレ・トリビュートのインテリアには、スエード/レザーのスポーツシートを装備した。このシートは、ブラックの「Dinamica」スエードとタバコレザーを組み合わせたものだ。コックピットには、ダッシュボード、サイドシル、センターコンソールに専用プレートが装着されている。センターコンソールのプレートには、車両のシリアルナンバーも刻印された。
さらに、4Cスパイダー33ストラダーレ・トリビュートには、『4C』のデザインコンセプト、テクノロジー、素材、モデナの組み立て施設、33 ストラダーレの歴史を記録し、イタリア本国のデザインセンター、「チェントロ・スティーレ」によってデザインされた記念ブックも付属する。このブックは、Dinamicaスエードによる装丁が施され、シリアルナンバーが印刷されている。
◆237hpターボが0~96km/h加速4.1秒で最高速257km/hの性能を発揮
4Cスパイダー33ストラダーレ・トリビュートには、排気量1750ccの直列4気筒ガソリンターボエンジンが搭載される。デュアルインタークーラー、可変バルブタイミングなどのテクノロジーを導入し、最大出力237hp、最大トルク35.7kgmを引き出す。トランスミッションは、6速の「アルファツインクラッチ」を組み合わせた。
4Cスパイダー33ストラダーレ・トリビュートは、車両重量がおよそ1134kgで、パワー・ウェイト・レシオは、およそ4.78kg/hpとした。0~96km/h加速は4.1秒で駆け抜け、最高速は257km/hに到達する。
4Cスパイダー33ストラダーレ・トリビュートは、北米向けに33台を限定生産する。アルファロメオは、4C スパイダーは2014年の発売以来、アルファロメオを象徴するモデルとして、世界中でファンを獲得し、北米におけるアルファロメオブランドの人気を再燃させる原動力となってきた、としている。
販売は33台! 伝説の「33ストラダーレ」をイメージした特別な「アルファロメオ4Cスパイダー」が登場!
特別仕立ての内外装で「4Cスパイダー」の有終の美を飾る
FCAはこのほど、北米市場向けの限定モデルとして、「アルファロメオ4Cスパイダー」に「33ストラダーレ・トリビュート」を設定。33台を発売すると発表した。米国での販売価格は7万9995ドル(約828万円)とのこと。なお、この限定モデルは4Cスパイダーの最終生産モデルとなる。
この限定モデルは、1967年に登場したアルファロメオの伝説的なミッドシップスポーツカー「33ストラダーレ」の栄光を受け継ぐモデルとして企画されたもの。
33ストラダーレは、1967年のイタリアF1グランプリ前夜祭が開催された1967年8月31日に、モンツァ・サーキットでデビューしたアルファロメオのアイコンモデル。「Stradale」というイタリア語は「ロードゴーイング」を意味し、最高速度は162mph(約260km/h)をマークした。この33ストラダーレは、1968年のデイトナ24時間レースでクラス優勝したティーポ33レーシングカーをベースに、フランコ・スカリオーネがデザインしたハンドビルドのエキゾチックなミッドシップエンジンスポーツカーである。
そんな33ストラダーレは今日に至るまで、最先端のテクノロジー、レーシングテクノロジー、インスピレーション溢れるデザインを融合したクルマとしてファンの熱狂的な支持を得ており、その伝統は4Cスパイダーに受け継がれている。製造された車両はわずか18台で、完成車のほとんどはアルファロメオを象徴するレッドで塗装され、グレーゴールドのホイールとブラック/タバコのインテリアを備えている。
4Cのレースの血統は、最先端のF1マシンにヒントを得たカーボンファイバー製モノコックシャシーに明確に表れている。このシャシーには、今回初めてクリア・レッド仕上げが採用された。さらに、4Cスパイダー33ストラダーレ・トリビュートには、通常モデルではオプション設定されていたアクラポヴィッチ製デュアルモード・センターマウント・エキゾースト、レースチューンド・サスペンション、バイキセノン・ヘッドライト、バッテリー充電器、ボディカバー、スエード/レザーシート、カーボンファイバー製ハロ、リヤウィング、イタリアンフラッグ・ミラーキャップなどが装備されている。これらのコンポーネントは、4Cスパイダーに別途装着すると数千ドルの価値があるものだ。加えて「Centro Stile Alfa Romeo」エンブレム、ピアノブラック・フロントエアインテークとリヤディフューザーによって、洗練されたエクステリアが完成している。
ボディカラーは3層コートが施された専用のロッソ・ヴィラデステが採用され、グレー/ゴールド5穴アルミホイール(フロント18インチ/リヤ19インチ)、ブラックDinamicaスエードとタバコ・レザーを組み合わせたスポーツシートが装備される。
コックピットには、ダッシュボード、サイドシル、センターコンソールに専用プレートを装着。センターコンソールのプレートには、車両のシリアルナンバーも刻印される。さらに、このモデルには、4Cのデザインコンセプト、テクノロジー、素材、モデナの組み立て施設、33ストラダーレの歴史を記録し、チェントロ・スティーレ(デザインセンター)によってデザインされた記念ブックも付属する。このブックは、Dinamicaスエードによる装丁が施され、シリアルナンバーが印刷されている。
この限定車の発表に際して、北米におけるアルファロメオ・ブランドの責任者であるティム・クニスキス氏は次のようにコメントしている。
「2014年の発売以来、4Cスパイダーはアルファロメオを象徴するモデルとして、世界中で熱狂的なファンを獲得し、北米におけるアルファロメオ・ブランドの人気を再沸させる原動力となってきました」
「アルファロメオの伝統を受け継ぐ4Cスパイダー33ストラダーレ・トリビュートは、来年生産を開始するTonale(トナーレ)PHEVクロスオーバーをはじめとする、次世代のアルファロメオ・モデルにバトンを引き渡す役割を担っています」
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Posted at 2020/12/21 22:08:47 | |
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2020年12月20日
ポルシェが新型911GT3カップを発表。自然吸気510馬力、カップ初のワイドボディにも注目
独ポルシェは12月12日、タイプ992型「911」をベースにしたサーキット専用車、新型「911 GT3カップ」を発表した。
911のカップカーは、1990年に当時のタイプ964に初設定された「911カップ」まで歴史を遡ることができる。当初その最高出力は260hpだったが、5世代、4,251台の生産を経て、最新の992型GT3カップではついに500hpの大台超えを達成。4.0Lフラットシックス自然吸気ユニットは先代比プラス25hpとなる510hpを発生するに至った。
さらに新型は、カップカーとして史上初めてターボスペックのワイドボディを採用。全幅は1,902mmと先代のリア周りを28mmも上回り、ホイールハウス手前にはフレッシュエアーを導くインレットが新たに設けられている。こうしたワイドトレッド化により、サーキット走行時のハンドリングとドライバビリティは一段とレベルアップ。しかも、ボディの素材をスチール70%、アルミニウム30%へと変更したことで、乾燥重量は1,260kgと軽量だ。
最新のエアロダイナミクス技術を取り入れたことで、ダウンフォースも一段と強力。その主役はひときわ存在感を放つ大型のスワンネック型リアスポイラーとフロントエプロンで、前者は11段階に調整が可能、後者にも形状が工夫されたリップスポイラーがビルトインされ、ハイスピードコーナーでの安定性が向上した。
また、2020年代のレーサーらしく、パワーユニットは合成燃料に対応し、レース走行時のCO2排出量が大幅に低減している。それでいて同一条件で比べた場合、ラップタイムを1%近く短縮しているという。
2018年からスタートした新型911 GT3カップの開発は、2021年シーズンにおけるレース参戦をもって完結することとなる。投入されるシリーズは「ポルシェ・モービルワン・スーパーカップ」および「ポルシェ・カレラカップ」が予定されており、ドイツ、フランス、アジア、ベネルクス3国、そして初めて北米での参戦も実現するとのことだ。注目の車両価格は225,000ユーロ(約2,800万円)と発表されている。
新型ポルシェ911 GT3 カップ誕生! タイプ992をベースにした初のレース専用モデル 【動画】
Porsche 911 GT3 Cup
ポルシェ 911 GT3 カップ
2021年シーズン開幕から各国カップに投入
ポルシェは、ワンメイクレース用レーシングカーの最新世代、新型911 GT3 カップを発表した。デリバリーは2021年2月からのスタートを予定している。
2021年シーズン開幕から、ポルシェMobil 1スーパーカップのほか、ドイツ、フランス、日本、アジア、ベネルクスで開催されるポルシェ カレラカップに投入。また、2021年に初開催される北米にも登場する予定だ。
華やかなエクステリアを与えられた新型911 GT3 カップは、現行のタイプ992をベースにした初のレーシング仕様であり、カップカーとしては初めてターボモデル用のワイドボディをベースにしている。
先代から25psの最高出力アップを実現
パワーユニットは、最高出力510ps(375kW)・最大トルク470Nmを発揮する4.0リッター水平対抗6気筒エンジンを搭載。先代から最高出力は25ps向上した。さらに合成燃料での走行も可能になっており、レース条件下においてCO2排出量を大幅に削減している。ラップタイムに関してはサーキットレイアウトや条件によるが、1%ほど短縮されると見られている。
1990年にタイプ964ベースの初代カップカーを投入して以来、ポルシェはワンメイク用レーシングカーを実に4251台も製造してきた。先代のタイプ991だけでも1410台を製造。このうち991第1世代が673台、2017年から投入された第2世代は737台が、世界各国にデリバリーされている。
ポルシェ・モータースポーツのセールスディレクター、ミハエル・ドレイスラーは、次のようにコメントした。
「カップカーは、カレラカップとポルシェMobil 1スーパーカップ用モデルとして、歴史に名を残してきました。新型911 GT3 カップは今、新章をスタートさせました。私たちの目標は、今後数年間で生産台数5000台を突破することです。このモデルは歴代モデルと同様に、才能ある若いレーシングドライバーを支援し、世界中のカスタマーモータースポーツのベースとなります」
チームの運用コストも抑えた設計に
2018年から次世代カップカーに関する基礎開発がスタート。具体的な開発は2019年初頭に開始された。プロジェクトマネージャーを務めるヤン・フェルドマン率いる開発チームは、さらなる性能向上、よりアグレッシブなデザイン、素直なハンドリング、耐久性の向上などを、開発目標に掲げた。
さらに、これらの性能アップを、よりリーズナブルなメンテナンス費用で実現させることも求められている。製造はこれまでと変わらず、シュトゥットガルト・ツッフェンハウゼンの911市販モデル生産ラインで行われる。
「私たちは、新型911 GT3 カップのパフォーマンスをプロも満足させるレベルに向上させつつ、同時にチームが運用する際の費用対効果を高めたいと考えていました」と、フェルドマン。
「アグレシッブなエクステリア、改良されたサスペンション、インテリジェントな電気系統など、新型911 GT3 カップは大きく進化しました。ハンドリングはより正確で、さらにドライブが楽しくなっています。ポルシェがこれまでに手掛けたなかで最高のカップカーになったと断言できます」
最適化されたエアロダイナミクス
新型911 GT3 カップの最も大きな変更点となるのが、最適化されたエアロダイナミクスだろう。先代との違いが一目で分かるマッシブなエクステリアが与えられた。これは、カップカーとしては初めて、ターボモデル用のワイド仕様軽量ボディが採用されていることが大きい。
リヤアクスルは先代モデルから28mmもワイド化された1902mmとなり、リヤフェンダー前に冷却用大型エアインテークが追加された。フロントもオーバーフェンダー形状のフレアフェンダーが採用されて1920mmに拡大。これによってフロントに12J、リヤに13Jのワイドリムを組み合わせることが可能になった。
エアロダイナミクスの最適化により、ダウンフォースレベルは大幅に向上。これは、専用設計されたフロントエプロンとリヤウイングとの組み合わせによって実現した。特に大型化されたリヤウイングは、11段階調整可能なスワンネックマウントを採用。リヤアクスル付近に最適なエアフローを実現している。これらの空力性能の向上により、特に高速コーナーにおける安定したハンドリングを得られたという。
あえてアルミに拘ったボンネットフード
タイプ991の2世代目カップカーのボディは、スチール70%、アルミニウム30%。一方、新型911 GT3 カップではその比率がアルミ70%、スチール30%と比率が入れ替わっている。乾燥重量は1260kgと、35kgほど重量が増加。これはスチール製セーフティセルにストラットが追加されていることなどが理由となっている。
取り外し可能なルーフのエスケープハッチは、最新のFIA安全規定に準拠。911 GT3 カップのウィンドウはすべて軽量ポリカーボネート製で、傷に強いハードコート仕様を採用した。
ドア、エンジンフード、リヤウイングはカーボンファイバー製。特徴的なエアアウトレットとエアインテークを備えたフロントフードは、911カレラと同様にアルミニウム製となっている。これは、アクシデントによるダメージの修理費用を低く抑えるためだという。
デザインを一新したステアリングホイール
コクピットに関しては、新開発の2段階の高さ調整機能付きレーシングシートを採用。調整可能なステアリングコラムと組み合わせることで、あらゆる体格のドライバーが理想的なドライビングポジションを取ることができる。
また、様々な厚さのパッドが用意されているため、ドライバーのニーズに合わせてシートを調整することも可能。カーボンファイバー製モータースポーツ用マルチファンクション・ステアリングホイールはデザインを一新。911 GT3 Rのオーナーから得たフィードバックを受けて、イルミネーションボタンの配置が変更されている。
コクピットのラバースイッチパネル(RSP)は、ポルシェ919ハイブリッドのコントロールエレメントを彷彿とさせるもの。これらのスイッチは、レース中の高い気温下でも使いやすく、灯火類やベンチレーション、ブレーキバランスの調整、ドライタイヤからウェットタイヤへのタイヤセッティング変更など、様々な機能が備えられている。
中央に配置された10.3インチカラーモニターはデザインを刷新。ディスプレイには、レース中の重要なデータや情報が優先的に表示される。シフトレベルやエンジン回転数のほか、水温や油温、エラーメッセージ、路面コンディションなどを表示。データの読み出し後、ドライバーとレースエンジニアが同じ情報を見ることができるよう、ディスプレイとコンピューターモニターの両方のデザインが調整されている。
911 GT3 カップにおける細かい変更点として、エレクトロニクス系機器の搭載位置変更がある。モータースポーツ・コントロールユニットとデータロガーは、従来の助手席足元から、右リヤコンパートメントに移設。この結果、「レーシング・タクシー・ドライブ」などのファンサービスにおいて、セカンドシートの搭載が容易になった。
フロントにダブルウィッシュボーンを採用
リヤサスペンションは市販モデルと基本的に変わらないが、フロントの足まわまりは現在のトップレーシング仕様である「911 RSR」と同様に、ダブルウィッシュボーン+ユニボールベアリングの組み合わせがチョイスされた。
これによりより正確なターンイン挙動が保証され、フロントアクスルのフィーリングが向上。ショックアブソーバーも919ハイブリッドと、911 RSRから最先端のバルブ技術を継承している。
そして今回、電動機械式パワーステアリングが911 GT3 カップとしては初めて導入された。これにより、パワーステアリング用の油圧ポンプと油圧ラインが不要になっている。
ギヤボックスは、重量72kgのドグタイプ6速シーケンシャルギヤボックスを採用。シフトチェンジはステアリングホイールのパドルシフトで行われ、ギヤボックスのマイナーチェックは、レース走行60時間後を推奨。大規模なオーバーホールは、レース走行120時間後に義務付けられている。
VIDEO
ポルシェが992世代ワンメイクレース車の新型「911 GT3カップ」を発表!
新型「911 GT3カップ」が搭載する自然吸気式4L水平対向6気筒は従来型から25ps上乗せとなる510psを発揮
12月12日、ポルシェは911のワンメイクレース車両「911 GT3カップ」の新型を発表した。新型911 GT3カップは、2021年シーズンの初めから「ポルシェ・モービル1スーパーカップ」のほか、ドイツやフランス、アジア、ベネルクス(ベルギー、オランダ、ルクセンブルクの3カ国)、そして北米で開催されるポルシェ・カレラカップにて実戦投入される予定だ。
新型911 GT3カップは、現行992型911をベースにした最初のワンメイクレーサー。搭載されるエンジンは、従来の自然吸気式の4L水平対向6気筒を踏襲するが、最高出力は25ps上乗せとなる510ps/8400rpmを発揮。最大トルクは470Nm/6150rpmだ。ギヤボックスは6速シーケンシャル・ドグミッションで、ステアリングホイールに備わるパドルシフトでの変速が可能だ。
ボディはアルミニウムとスチールのハイブリッド構造を基本に、ドアやリヤフード、リヤウイングにはCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)が、そしてウインドーはポリカーボネイトが用いられた。これらにより、総重量は1260kgという軽さを実現している。
フロントバンパーはスポイラーリップ付きの幅広タイプとなり、リヤウイングは「スワンネック」マウント付きで11段階にポジションの調整が可能。これにより大きなダインフォースを発生する。リヤウイングはスワンネックにより、特に高速コーナーでより安定したハンドリングを保証する。
エアロダイナミクス性能が最適化された新型のボディは、さらに筋肉質なルックスとなった。市販の992型911がワイドボディに統一されたことで、全幅はフロントが1920mm、リヤは1902mmとなった。特に後部は従来モデルより28mmワイドになり、リヤフェンダー前方に配置されているエアインテークの存在感が高まった。
鍛造アルミニウム製コントロールアームとトップマウントを採用したサスペンションは剛性が最適化。ショックアブソーバーは「919ハイブリッド」や「911 RSR」に採用された最先端のバルブ技術を採り入れている。パワーステアリングは完全な電気機械式を911 GT3カップで初めて採用したことで、油圧ポンプおよび関連部品が不要になった。
ホイールはセンターロック式の18インチ。タイヤはフロントが30/65-18、リヤが31/71-18。ブレーキは前後ともに380×32mmサイズのスチール製ディスクを採用。フロントには6ピストン、リヤには4ピストンのアルミニウムモノブロックレーシングキャリパーを組み合わせる。
シートやステアリングホイールはポジション調整が可能となり、あらゆる体型のドライバーが、より最適なドライビングポジションを取れるようになった。ステアリングホイールはカーボンファイバー製のモータースポーツ用多機能仕様で、ドライバーからのフィードバックを受けて各種ボタンの配置が、より扱いやすいように変更されている。
メーターパネルは10.3インチのカラーモニターで、エンジン回転数のほか、水温や油温、現在のギヤポジション、エラーメッセージなど、レース中の重要情報を表示する。そしてその右手にあるスイッチパネルは、919ハイブリッドのコントロールエレメントを彷彿とさせるもので、ライトや空調のほかタイヤの設定をドライからウエットに変更できる。
そのほか、内側のドアオープナーは緊急時により安全で素早く脱出できるようクイックリリース機構が採用されていたり、レース中にエンジンが停止した場合にはハザードランプが自動的に点灯して周囲に注意を促せるなど、ドライバーや周囲の競技者の安全性を高める策も積極的に講じられている。
ポルシェ 911 新型に初のレーサー、ターボボディに510馬力フラット6搭載…「GT3カップ」発表
ポルシェは12月12日、新型『911 GT3カップ』(Porsche 911 GT3 Cup)をデジタルワールドプレミアした。新型「911」シリーズ(タイプ992)をベースにした最初のレーシングカーだ。
◆累計4000台以上が生産された世界で最も成功を収めているレーシングカー
ポルシェ911 GT3カップは、世界で最も成功を収めているレーシングカーだ。プロダクションカーに近いカスタマー向け競技車両として、1990年以来、ポルシェはこのワンメイクカップレーサーを累計4251台製造してきた。ドイツ・ツフェンハウゼンの911シリーズの組み立てラインからは、「991.1」世代の911 GT3カップが673台、2017年に発売された「991.2」世代の911 GT3カップが737台、ラインオフしている。
新型911 GT3カップの開発は、2018年の半ばに開始された。新型レーシングカーがどのように見え、何ができるか、何を改善し、カスタマーチームから何を期待されているか。エンジニアやメカニック、ドライバーやチーム関係者の意見に耳を傾け、現行モデルの課題を洗い出した。大量の情報を収集することにより、新しいグローバルモデルの開発に適切な優先順位つけられるようになったという。
パフォーマンスに関しては、新型911 GT3カップは大きな飛躍を遂げているという。サーキットでのラップタイムをはじめ、エンジンやサスペンション、エアロダイナミクスやブレーキ、電子機器や人間工学に至るまで、すべての分野で性能を引き上げている。
◆カップカーとして初めてワイドなターボボディ採用
新型911 GT3カップの特長の1つが、最適化されたエアロダイナミクスと、より筋肉質になったフォルムだ。カップカーとして初めて、ワイドなターボボディが採用された。リア部分の全幅は1902mmと、従来型に対して28mmワイドになった。ホイールの前側には、新たに冷却空気の取り入れ口が設けられている。
フロントアクスルも、従来型よりも大幅にワイドになっている。拡幅されたフロントフェンダーによって、新型911 GT3カップのフロント部分の全幅は、1920mmに。これにより、前後ともに、さらに大径化されたホイール&タイヤの組み合わせを可能にしている。
新型911 GT3カップは、従来型よりも多くのダウンフォースを生み出す。これは、大型リアウィングとリップスポイラー付きのフロントバンパーの組み合わせの効果だ。大型リアウィングには、「スワンネック」と呼ばれるマウントが備わり、11段階の調整が可能。とくに高速コーナーにおいて、いっそう安定したハンドリングを実現しているという。
新型911 GT3カップの乾燥重量は、1260kgで、従来型よりも約35kg重い。これは、安全性を強化するために、スチール製のセーフティセルに支柱が追加されたためだ。ルーフ部分の取り外し可能なエスケープハッチは、最新のFIA(国際自動車連盟)規格に準拠したもの。すべてのウィンドウは軽量のポリカーボネート製で、傷がつきにくいハードコートグレージングが施された。ドア、エンジンフード、リアウィングはCFRP(カーボンファイバー強化プラスチック)製。エアダクトと中央の空気取り入れ口を備えたフロントフードは、市販車の「911カレラ」と同様に、アルミ製とした。
◆新開発の10.3インチカラーモニター
新型911 GT3カップのインテリアは、ドライバーのために人間工学を重視して設計された。新開発のレーシングシートは角度に加えて、2段階に高さを調整できるようにした。調整可能なステアリングコラムと組み合わせることにより、すべてのドライバーの体格に理想的なフィット感をもたらすという。カーボンファイバー製のマルチファンクションステアリングホイールは、「911 GT3 R」から採用されたアイテムだ。ドライバーのフィードバックを受けて、照明付きボタンの位置が見直されている。
右側に10個の大きなボタンがある「ラバースイッチパネル(RSP)」は、ポルシェ「919ハイブリッド」のコントロールエレメントがモチーフだ。これらのボタンは、レース中の暑さでも使いやすく、照明や換気などの機能を作動させたり、タイヤの設定をドライからウェットに変更したりできる。ブレーキバランスの調整も可能にしている
10.3インチのカラーモニターは刷新された。画面は、レース中のドライバーにとって、重要なデータと情報の表示を優先する。エンジン回転数とともに表示されるのは、水温と油温、選択しているギア、エラーメッセージ、雨天レースでの「ウェット」など、重要な設定に関する情報だ。データの読み出し後、ドライバーとレースエンジニアが同じ情報を見ることができるように、ディスプレイとコンピューターモニターの両方のデザインが変更されている。
電子機器は、エラー分析を容易にし、問題解決に具体的に役立つように、ユーザーフレンドリーな設計とした。約700の診断オプションが利用可能だ。ソフトウェアが、すべての情報をより明確かつわかりやすく要約する。カレラカップの多くで、システムオフとなっているABSやトラクションコントロールなどは、デジタルコードを介してアクティブ化できる。
モータースポーツコントロールユニットとデータロガーは、助手席の足元から、車両の右後部のコンパートメントに移動した。「レースタクシー」で助手席が必要な場合などで、助手席の設置を容易にしている。
◆最大出力は従来型を25hp上回る
リアアクスルは、基本的に市販車から変更されていない。フロントは、ポルシェのトップレーシングモデルの「911RSR」と同様、ダブルウィッシュボーンとユニボールベアリングによってコントロールされる。ショックアブソーバーには、919ハイブリッドと911RSRのバルブ技術を採用した。フル電動のパワーステアリングが911GT3カップに初めて導入された。これにより、油圧ポンプや油圧ラインを不要にしている。
エンジンに関しては、新型911 GT3カップも自然吸気を継続する。新型には、排気量4.0リットルの水冷水平対向6気筒ガソリンエンジンが搭載されており、最大出力は、従来型を25hp上回る510hpを発生する。ドライサンプ潤滑を備えた高回転ユニットは、従来型の7500rpmから8400rpmへ、最大出力の発生回転数を引き上げた。レッドゾーンは8750rpmから。最大トルクは47.9kgm/6150rpmを引き出す。
2つのレゾナンスフラップを備えたシングルスロットルバタフライシステムは、レスポンスを向上。触媒コンバーター付きのレーシングエキゾーストシステムと組み合わせて、刺激的なサウンドを発生するという。参戦カテゴリーやレギュレーション、サーキットに応じて、3種類の排気システムが選択できる。エレクトリックエンジンマネジメントシステムは、ボッシュ製の「MS6.6」とした。
新型911 GT3カップは、合成燃料でも走行できるため、レースでのCO2排出量を大幅に削減できる。また、サーキットのレイアウトにもよるが、新型のラップタイムは、従来型よりも1%短縮されているという。
なお、新型911 GT3カップは、「ポルシェMobil 1スーパーカップ」や「カレラカップ」の2021年シーズンに、実戦投入される計画だ。
ポルシェ新型「911GT3カップ」登場! 992型で初のレース専用モデル
■4リッター「フラット6」は先代より25馬力アップの510馬力
独ポルシェは2020年12月12日、992世代をベースとした初のワンメイクカップカー、新型「911GT3カップ」を発表した。納車は2021年2月からの開始を予定している。
2021年シーズン開幕から、ポルシェ・モービル1スーパーカップのほか、ドイツやフランス、日本やアジア、ベネルクスで開催されるポルシェ カレラカップで登場、さらに2021年から初開催される北米のカレラカップにも登場する予定だ。
今回登場した新型911GT3カップは、現行型992型をベースとした初のカップカーで、初めてターボモデル用のワイドボディを採用したのも特徴だ。
搭載される4リッター水平対向6気筒水冷自然吸気エンジンは最高出力510ps/8400rpm、最大トルク470Nm/6150rpmを発生。これは先代911GT3カップを25ps上回っている。さらにE20の合成燃料での走行も可能で、レース状態でのCO2排出量を大幅に削減している。ラップタイムに関してはサーキットレイアウトや条件によるが、従来よりも1%ほど短縮すると予想されている。
新型911GT3カップは、カップカーとして初めてターボスペックのワイドボディを採用したこともトピックだ。全幅は1902mmと、先代よりも28mmも拡大。またホイールハウス手前には新たにインレットが設けられている。
このワイドトレッド化により、サーキット走行時のハンドリングとドライバビリティは一段とレベルアップしているという。
新たに「スワンネック」マウントとなったリアスポイラーや改良されたリップスポイラーを採用することで、先代より大きなダウンフォースを生みだすという。リアウイングはカーボン製で11段階調整式だ。
コクピットは人間工学をもとにさまざまな改良が加えられている。高さ調整可能なシートやステアリングコラムと合わせ、多くのドライバーにフィットする。さらに911 GT3 Rから採用されたオープントップの多機能ステアリングは、ドライバーからのフィードバックを得てスイッチ類を再配置した。また10.3インチのカラーモニターも見やすく刷新された。
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ポルシェのカップカーの歴史は古く、1990年に最初の911カップカーを発表している。これは964型をベースにしたモデルで、最高出力は260psを発生したモデルだった。1993年からはF1のサポートプログラムとしても運営された。これまでに5世代の911カップカーが登場し、4251台が生産されたという。
ポルシェ・モータースポーツのセールスディレクター、マイケル・ドライザー氏は「カップカーはカレラカップとポルシェモービル1スーパーカップのベースラインモデルとして歴史を築きました。1990年以来、911ほど多くのユーザーに愛されたレーシングカーはほかにありません」とコメントする。「新型911GT3カップの目標は、今後数年間で5000台を超える生産を達成することです。このモデルはモータースポーツへの道を歩む新しい世代の才能あるレーシングドライバーを支援し、世界中のお客さまのモータースポーツの取り組みを後押しします」と語った。
Posted at 2020/12/20 23:10:35 | |
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