
伝統の一戦
ロングビーチ。
まだ記憶に新しい
1年前。
琢磨はここで
インディカー日本人初優勝を果たしました。
そして、今年。
俄然、注目は集まります。
そんな中、琢磨は予選では苦しみました。
タイミング悪く、不運にもハンターレイに対するアタック中の妨害のジャッジが下ってしまい
ベストタイムを削られて、Q1ノックアウト。
15番手スタートとなりました。
しかし、新品のレッド(ソフト)タイヤを2セット残し、決勝に望みを繋げます。
そして、これまでは通常のローリングスタートでしたが、
今年は
スタンディングスタートが採用されました。
これによって特に第1ターンでの混乱のリスクもありますが、
ロングビーチのようなレイアウトではスタート後最終ターンの立ち上がりから離さることがなくなり
中盤以降から上位を狙っていく琢磨にとっては良いでしょう。
スタート直後は大きな混乱はなくレースは始まって行きましたが、
琢磨はサンドイッチされる形で後ろから前車にプッシュされる形となり
フロントウイングの左側を破損してしまいます。
順位は下がるし、これによって予定より早めにピットインをしなくてはならなくなり
7周目で入ります。
さらに、ラップダウンはされてしまうし、予定の2→3ピットが必要となってしまいました。
ここで琢磨は23位を走行。
ここまでは非常に流れが悪かったのですが、この後
運が向いてきます。
ブルデーのクラッシュによるフルイエロー等にも助けられ、
琢磨は余分にしなくてはいけなかった2回目のピットインを良いタイミングで消化できた上に
中段まで順位を戻せました。
しかし、終盤の山場。
トップでコースに戻ったニューガーデンと後ろから迫るハンターレイの絡みに始まる
ターン4での多重クラッシュがあり、それに引っかかる形となってしまいました。
止まっていたニューガーデンのマシンに左フロントをヒット。
サスの根元から曲がってしまい、琢磨はリタイア(22位)となりました。
GAORA中継を見ているだけでは全く分からなかったのですが、
実はこの“直前”に琢磨の最終ピットインがあり
インディカーのオーソリティー天野さんの琢磨インタビューによると
そこでムニョスとのピットバトルで問題があったようです。
ピットボックスから先に出た琢磨が前を走っていたのに、
ピットレーンのスピードリミッター解除を後続のムニョスが
その規定ラインよりだいぶ前から実行し琢磨を抜いて行ったとのことです。
これは想像ですが、その直後のターン4でのクラッシュには少なからず
この心理的なところが働いていたのではないでしょうか。
ムニョスはターン4を抜けて、結果3位表彰台。
一方の琢磨は、ターン4で若干オーバースピードで入ってしまい
避けきれず引っ掛かってリタイア。
そして、このムニョスの行為に対してはペナルティー無し。
ペナルティー無しで不可解だったのは
パワーのパジェノーに対するターン1インへの突っ込みもそうでしたし
気になりますね。
インディカーシリーズは折角競争を接近拮抗させているのに
こういうのが時々目につき、残念に思います。
琢磨は今回このような結果に終わりましたが、
セッション通して悪い流れから調子を呼び戻すようなところが見られ
次に繋げてもらいたいですね!
佐藤琢磨(22位)
「厳しい週末になりましたが、多くのファンに声援を送ってもらえたことに、深く感謝しています。今日のレースも厳しい戦いになりました。スタートでの加速が悪く、異様に混雑していたターン2では後方からヒットされ、前のマシンにぶつかってフロントウイングを傷めてしまいました。しかし、その後、早めにピットに入るなどの作戦にレース展開が味方してくれ、ポジションを上げていくことができました。決勝でのマシンは、予選までとは違って競争力のあるものに仕上がっていたんです。土曜日のものとはガラリと違うセッティングをファイナルプラクティスで試し、マシンを速いものにできたのは今週末の大きな収穫でした。残念だったのは、レースが終盤に入ってからのターン4で多重アクシデントが発生し、自分たちもそこでレースを終えねばならなかったことです。3台が絡んで進路をふさいでいたため、避けることができませんでした。私たちは今週つかんだプラスの面を武器にして、次のバーバー・モータースポーツ・パークでのレースを戦いたいと思います。」
<決勝>
順位 No. ドライバー エンジン 周回数 タイム/差
1 20 M.コンウェイ シボレー 80 1:54'41.6418
2 12 W.パワー シボレー 80 +0.9005
3 34 カルロス・ムニョス Honda 80 +1.5591
4 2 P.J.モントーヤ シボレー 80 +2.0226
5 77 シモン・パジェノー Honda 80 +2.8169
6 7 ミハイル・アレシン Honda 80 +3.8574
7 16 オリオール・セルビア Honda 80 +4.9621
8 25 マルコ・アンドレッティ Honda 80 +8.1948
9 17 S.サーベドラ シボレー 80 +8.9029
10 18 カルロス・ハーティス Honda 80 +24.2295
13 15 グレアム・レイホール Honda 79 +1Lap
15 98 ジャック・ホークスワース Honda 77 +3Laps
16 19 ジャスティン・ウィルソン Honda 64 +16Laps
19 67 ジョセフ・ニューガーデン Honda 55 +25Laps
20 28 ライアン・ハンターレイ Honda 55 +25Laps
21 27 ジェームズ・ヒンチクリフ Honda 55 +25Laps
22 14 佐藤琢磨 Honda 55 +25Laps
<ポイントスタンディング>
ドライバー 順位 No. ドライバー エンジン 総合ポイント
1 12 W.パワー シボレー 93
2 20 M.コンウェイ シボレー 66
3 77 シモン・パジェノー Honda 60
4 3 H.カストロネベス シボレー 55
5 28 ライアン・ハンターレイ Honda 54
6 9 S.ディクソン シボレー 51
7 34 カルロス・ムニョス Honda 48
8 2 P.J.モントーヤ シボレー 47
9 7 ミハイル・アレシン Honda 46
10 17 S.サーベドラ シボレー 42
12 19 ジャスティン・ウィルソン Honda 38
13 14 佐藤琢磨 Honda 36
14 67 ジョセフ・ニューガーデン Honda 34
17 15 グレアム・レイホール Honda 33
18 25 マルコ・アンドレッティ Honda 32
19 18 カルロス・ハーティス Honda 32
20 16 オリオール・セルビア Honda 26
21 98 ジャック・ホークスワース Honda 24
22 27 ジェームズ・ヒンチクリフ Honda 20