冒険心を感じる世界観を創りたい ─ 新型スバル・XVのデザインが目指したもの(前編)
先代は、インプレッサシリーズ販売台数のほぼ半数を占める人気車種となったXV。今回のデザイン・インタビューでは、新型となったインプレッサとの違いを中心に話を伺います。
── はじめに。XVはインプレッサがベースですが、開発自体は同時進行だったのでしょうか?
「はい。スバルとしては両車は別車種と位置づけていますが、実際にはほぼ同時でしたね。新しいインプレッサ5ドアのスポーティさと、XVのしっかり感をどうやって両立させるかの検討を行いました」
── その「しっかり感」を出すための基本的な考え方はどこにありましたか?
「インプレッサの上屋のスポーティさを残しつつ、下回りをガッチリたくましい表現にすることで、強いコントラストを出したかった。ただ、やはりあくまでもXVとして、人気だった先代をどう進化させるかが優先されたと思います」
── では新しいXVとして、造形上の独自のキーワードはあったのですか?
「ファン・アドベンチャーですね。商品というより、XVの世界観を創りたいという趣旨から考えたものです。ユーザーの方に乗っていただき、あたかも冒険をしているかのような楽しさを感じてほしい」
── 上下に約25ミリ伸びたグリルの周囲は、シルバーではなくブラックでまとめたのが特徴です
「ここはトレッキングシューズをモチーフとして、がっちりしたソールのイメージなんです。また、グリルの左右両端には、フットボールのヘルメットを意図したガードパーツも施しているんですよ」
── ブラックのパーツで質感を表現するのは難しいと思えますが?
「ええ、シルバーを外すのは確かに勇気が要りましたね(笑)。今回、アンダーグリルからもシルバー素材を外したのですが、形状自体にリズムを付けるなどをした結果、社内の評判はなかなかいいんですよ。それと、シルバー色については、今回ウイング部分やサイドウインドウで使っていますので、全体としての質感は出せていると思います」
インプレッサとはまったく異なるモチーフを想定し、独自の世界観を標榜したXV。もっとも印象的なフロントフェイスでそれを打ち出したのが印象的です。後編では、ボディのサイド面からお話を伺います。
[お話を伺った方]
株式会社SUBARU商品企画本部 デザイン部デザイン部長兼商品開発企画部長 石井 守 氏
(インタビュー:すぎもとたかよし)
明るいボディと素材色のコントラスト ─ 新型スバル・XVのデザインが目指したもの(後編)
「ファン・アドベンチャー」を掲げた新型XVのデザイン・インタビュー。冒険心の要はどこにあるのか。後編はボディのサイド面から伺います。
── さて、後編はボディのサイド面から伺います。まず、特徴的なホイールアーチモールの形状はどのような意図があるのですか?
「リズム感です。先代は、シンプルな同心円状のモールの一部を切り取ったものでしたが、新型は後方を四角くして、より強くリズム感を演出しています。ここもトレッキングシューズからの発想で、必要な部分にのみしっかり張り付いている表現ですね」
── そのモールは、ブラック以外にブルーなど他の色の設定は考えませんでしたか?
「実はやりたかったんですが、コスト面がありまして(笑)。ただ、今回素材色ではあるのですが、新しくシボを入れることでグレーにも見えるし、質感自体も上がっているんです」
── ルーフレールは、面がしっかりした形状になりましたね
「先代はシンプルなバーに樹脂の脚だったのですが、今回はすべてアルミの引き抜き材としています。脚も斜め45度にカットし、ルーフレールがあることで空力が悪化しないよう工夫しています」
── 先代同様、切削タイプのアルミホイールは18、17インチの2種類がありますが、それぞれのモチーフは何ですか?
「18インチは、コンセプトカーのVIZIV 2のサイドラインのV字をイメージして、それを5つ配置したものです。17インチは先代の正常進化版で、より立体感を与えました。いずれも、XVだけにマッチするデザインとして考えています」
── ボディカラーでは、オレンジの色合いがより明るく変更されていますね
「先代は、下地が透けないよう塗装の際に白を混ぜていたんですね。今回はラインを改良してそのままの色で塗装が可能になり、オレンジ色の彩度も上がったんです。新型のインテリアは全車オレンジのステッチを施しましたが、この明るいオレンジと合うように考えたものなんです」
── では最後に。新型はあくまでもXVとして、先代の評判をうまく引き継げたとお考えですか?
「はい。先代が評価された大径タイヤとプロテクターによる安定感、特徴あるホイールデザイン、そしてカラーアワードも受賞した新鮮なボディ色。これらすべての点で進化ができたのではないかと思います」
ハッチバックの「クロス化」は世界的な流行ですが、単にモールを追加して車高を上げただけでは物足りない。そこにどんなアクセントやスパイスを施すかが問われます。XVは、先代の成功でそのあたりの勘所をつかんだのかもしれません。
[お話を伺った方]
株式会社SUBARU商品企画本部 デザイン部デザイン部長兼商品開発企画部長 石井 守 氏
(インタビュー:すぎもとたかよし)
良くも悪くもキープコンセプトって事なんだろうね
そう考えると先代XVって全体的な完成度高かったんだろうね
【新型スバルXV試乗】内外装の樹脂パーツに共通するひし形のシボがプロテクション感を演出
スタンダード状態(ルーフレール未装着)での全高が1550mmと、都市型SUVに仕上げられたSUBARU XV。
それでいて、フェンダーやバンパーコーナーを守る樹脂パーツによるクラッディングがタフなイメージを強めていることが、スタイリングのアクセントとなっているのは見ての通りです。
新色の「クールグレーカーキ」とのコントラストも見事で、クルマのキャラクターにマッチしている樹脂パーツ。その表面にはひし形を重ねたようなシボ(模様)が付けられています。目を近づけていったときに見せる立体感は、車格を上げて感じさせるのではないでしょうか。
そして、このシボはフェンダー部分を守るクラッディングに限った模様ではありません。
テールゲートを開けて、ラゲッジルームを確認してみると、ちょうど荷物などで傷つきやすい箇所に、同じシボの入った樹脂パーツが確認できます。
まさに、ボディを守るという意味を込めたシボであり、こうした内外装を区別しない共通性もまた、SUBARU XVのクロスオーバーSUVとしてのデザイン性を、さり気なく示しています。
なお、トランクスペースは先代モデルから+5リッターほど容量アップした385リッター。ゴルフバッグ3個を後方視界を犠牲にすることなく収納できるというゼロ次安全を考慮した積載性となっているのも、スバルらしい機能性といえそうです。
●SUBARU XV 2.0i-S EyeSight 主要スペック車両型式:DBA-GT7全長:4465mm全幅:1800mm全高:1595mm(ルーフレール装着車)ホイールベース:2670mm車両重量:1440kg乗車定員:5名エンジン型式:FB20エンジン形式:水平対向4気筒DOHCガソリン直噴総排気量:1995cc最高出力:113kW(154PS)/6000rpm最大トルク:196Nm(20.0kg-m)/4000rpm変速装置:CVT燃料消費率:16.0km/L (JC08モード)タイヤサイズ:225/55R18メーカー希望小売価格(税込):267万8400円※ルーフレールとシャークフィンアンテナのメーカーオプションは5万4000円
(写真:SUBARU/門真 俊 文:山本晋也)
Posted at 2017/04/20 00:45:32 | |
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富士重工 | 日記