2020年04月30日
【ヒットの法則216】素のポルシェ ケイマンの動きには感動を通り越して畏敬の念すら覚えた
2005年にフランクフルト・モーターショーでデビューしたケイマンSに続いて、2006年にはベーシックな素のケイマンが登場している。「S」モデルの後では「もの足りなさ」を感じることはないのか、なぜスタンダードモデルが後から出るのら。様々な疑問を抱きながら向かった国際試乗会の模様を振り返ってみよう。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2006年9月号より)
シンプルに「ケイマン」と名付けられた「素のモデル」
北米市場では、導入スタートからわずか半月で1000台の販売を記録。2005~2006年の事業年度全体でも、「1万台のハードルを軽く突破する販売が現実のものになりそう」、そんな幸先の良いスタートを切ったポルシェ最新のブランド「ケイマン」シリーズに、大方の予想通りの新たなパリエーションが加えられた。
まずはヨーロッパ/米国を中心に2006年7月末からセールス開始の予定というこのモデルの正式名称は、単純に「ケイマン」と、ごくシンプルなもの。これまでのケイマSに対し、何のグレード名も与えられない「素のモデル」が、よりベーシックな位置付けを狙う価格訴求性の高いものであるということは、現在のポルシェラインアップに少しでも興味のある人ならば、911やボクスター、そしてカイエンでの前例から「ははん」とすぐに察しが付くはずだ。
実際、そんな前例と同様にケイマンSに対するケイマンの特徴は、まず「エンジンキャパシティがより小さく、出力/トルク値もSモデルに対して明確に小さくなる」という点が最大のニュースとなる。
ケイマンに搭載されるのは、「ボクスター」同様2687ccという排気量のフラット6ユニット。その最高出力は245ps、最大トルクは273Nmとアナウンスされている。
……と、こんなスペックを耳にした時点で脳裏を「!?」マークがよぎった人は、現行ボクスターのオーナー、もしくは相当なポルシェ通を自認する人だろう。そう、前出の各数字は、実は現行ボクスター用ユニットのそれと同じではない。最高出力と最大トルクはそれぞれ5ps/3Nmのアップとなり、その発生回転数も6500/4600~6000rpmとボクスター用の6400/4700~6000rpmから微妙に変化している。
ちなみに、ドライバー正面に置かれたブラック地にホワイトの目盛りで表示をされるタコメーターは7200rpmからがレッドラインで、その左隣にレイアウトされた同様のカラーリングのスピードメーターは、フルスケールが280km/hとされている。
こうして同じ排気量の両者の出力データが、わずかながらも異なる点には、実はハードウェア上でも明確な理由がある。ボクスター用ユニットが採用する吸気系バルブ駆動系の制御システムは「バリオカム」。対してケイマン用が採用をするのは、ポルシェが従来から「バリオカムプラス」と称する、より高度なメカニズムを用いるシステムなのだ。
いわゆる「可変バルブタイミングシステム」のバリオカムに加え、「可変バルブリフトシステム」も備えるのがバリオカムプラス。さらには可変インテークシステムも含めて、これらを運転状況に応じて総合コントロールし、気筒あたり2つの排気バルブ間に設けられたインジェクターホールで、この付近の熱負荷を下げ、それによって圧縮比をボクスター用の11.0から11.5へと高めることで、高出力化と低燃費化を図ったのだ。
エンジンバリエーションはボクスターと同じ
というわけで、オープンモデルであるボクスターのキャラクターとさらに明確な差を付けるべく、排気量は同様ながらもその心臓はこうして細部に専用設計を採用、とハナシを続けたいのだが……実は発表された2007年モデルのボクスターには、先に紹介の「ケイマン用ユニット」がやはり搭載をされることになるという。加えればボクスターSの2007年モデルには、排気量が3.4Lへとアップされた最高出力295psエンジンが搭載されるとも発表された。
と、こうして説明すると随分とややこしくも聞こえるが、要は「2007年モデルではボクスターシリーズとケイマンシリーズは同じエンジンバリエーションの持ち主になる」ということ。「えっ? ケイマンは『ボクスターと911の狭間のマーケットを狙ったモデル』ゆえに排気量にも差が付けられ、だからこそ前者の方が価格が上という設定も説得性を備えていたのではなかったか!?」と思わずそんなツッコミも入れたくなってしまいそう。
しかし、本拠地ドイツで開催された国際試乗会の場で、ボクスターとケイマンのプロダクトダイレクターにそんな疑問を呈すると、「搭載エンジンで両モデルを格付けする考えは、そもそも当初から存在しなかったのだ」とちょっと期待外れ(?)の回答が返って来ることになった。
そうなると、今度は発表されたばかりの2007年モデルの価格設定に、「パワーユニットが同じで『ルーフが固定されただけ』のケイマンシリーズが、何ゆえボクスターシリーズよりもこれほど高いのか」と、そんな声も上がりそう。
もっとも、そんな疑問に対するポルシェ本社の回答は「ケイマンシリーズの方が走りのスポーツ度も居住性も荷物の積載性も、すべての点でボクスターシリーズのポテンシャルを凌ぐ。それらの実現により多くのコストが必要となっている部分も存在するし、その対価としてカスタマーに負担をして貰う額が多少大きくなるのも当然」と、そんなコメントが聞こえて来るのであるのだが……。
ボクスターとボクスターS、カイエンとカイエンS、そして911カレラ系と911カレラS系の関係がそれぞれそうであったように、ケイマンとケイマンSを識別するのは、エクステリアでもインテリアでも簡単なことではない。ボディ本体はもちろん前後バンパーなどの樹脂パーツ、そしてインテリア各部のデザインは、そのすべてが「基本的には同一」と言ってもよいものだからだ。
そうは言っても「リアのエンブレム以外はグレード識別が不可能」というわけでもない。前出のそれぞれのモデルたちと同様、そこには「見る人が見ればわかる」的なちょっとした化粧の違いによる差別化が、いくつか用意されているからだ。
たとえば、楕円形処理のテールパイプエンドやブラック色のブレーキキャリパー、また、カラーのフロントスポイラーリップが、ケイマンだけの専用アイテム。サイドビューでは、ケイマンSの18インチホイールに対してケイマンでは17インチが標準装備であるのが唯一の相違点。ただしこちらには18、そして19インチもオプション設定されるので、オーナーの好みでそれらへの交換が行われた際には、当然「識別は不可能」ということになる。
濃厚な人車一体感には感動を通り越した驚き
そんな「ケイマン」の走りのテイストは、「大方予想をした通りの印象」と言えるものであった。
バリオカムプラスが与えられた最新の2.7Lユニットは、ボクスターよりも70kgほど軽く「911カレラのそれにほぼ匹敵する」というコメントが聞かれるケイマンのボディを軽快に加速させてくれる。
せいぜい4000rpm付近までを使う日常的なシーンでは、両者の力感に大きな差は見出せないものの、違いが明確なのはその先。特に4500rpm付近からレッドライン向かってのエンジン回転の伸び感は、これまでのボクスター用ユニットに対して、明らかにそのシャープさと力強さが上乗せされたもの。
加えれば「クーペ専用に新しく設計」と伝えられるエキゾーストシステムを通して奏でられるサウンドも、こうした領域では心なしかボクスターのそれよりも迫力を増して感じられる。
ちなみに標準の5速MT、オプションの6速MTで同一値の6.1秒という0→100km/h加速タイムは、ボクスター比でコンマ1秒の短縮、ケイマンS比ではコンマ7秒のビハインドというデータ。5速MT仕様で258km/hという最高速は、ボクスターと同じ0.29というCd値を発表しつつもプラス2km/hという結果になっている。
ところで、ポルシェの国際試乗会での通例通り、足まわりの仕様と装着シューズは、今回も様々なテストカーに数多くのバリエーションが用意をされていた。が、まずはオプション設定のPASMについては、「もはやポルシェ車にはMUSTの存在」というのがこのクルマにも当てはまる。
今回の試乗会では標準の17インチ、オプションの18インチを履いたモデルで「PASMなし」を経験。が、そのいずれもが「70km/h程度以下では路面凹凸を拾っての上下Gが強めで、特に50km/h以下に落ちると、それは決して快適とは思えない」と報告したくなる印象だった。
中でも、18インチ車の場合には鼓膜を圧迫するドラミングノイズも強く発生。一方、このあたりを劇的に改善してくれるのがPASM装着車で、こちらであれば18インチ装着仕様でも快適性は文句なしとなる。クーペボディならではの剛性感の高さをより明確に味わうためにも、最優先で選択をオススメしたいオプションアイテムがこのPASMだ。
それにしても用意されたテストカーのどんな仕様に乗ろうとも「フロントサスの設定は同一であるものの、リアのスプリング/ダンパー、スタビライザーについては、車両重量や出力の違いを考慮してケイマンSよりもややソフトな設定」という脚を備えるこのモデルの、あまりに濃厚な人車一体感には驚くばかりだった。
まるで自らの手足の運動能力が大幅に増幅されたかのようにも思えるこのクルマの動きには、もはや「感動」を通り越して「畏敬の念」すら覚えてしまうほどだ。
一方、そんな印象を抱かされつつもやはり最後まで心のどこかに引っ掛かるのは、その価格と言うべきだろうか。同じパワーパックを搭載に至った最新ボクスターに対しておよそ50万円増しという設定を「リーズナブル」と評するか否かは、人によって大きく判断が分かれそうだ。(文:河村康彦/Motor Magazine 2006年9月号より)
ポルシェ ケイマン 主要諸元
●全長×全幅×全高:4341×1801×1305mm
●ホイールベース:2415mm
●車両重量:1300kg
●エンジン:対6DOHC
●排気量:2687cc
●最高出力:245ps/6500pm
●最大トルク:273Nm/4600-6000pm
●トランスミッション:5速MT(6速MT/6速AT)
●駆動方式:MR
●0→100km/h加速:6.1(6.1/7.0)秒
●最高速: 258(260/253)km/h
※欧州仕様
Posted at 2020/04/30 21:59:30 | |
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ポルシェ | 日記
2020年04月30日
空冷ポルシェ911はなぜ暴騰しているのか?
空冷エンジンを搭載するポルシェが、近年、中古車市場で暴騰している。とくに911のタイプ930や964は好例である。では、なぜ暴騰しているのか?
2億円超で取引されるモデルも!
ここ1~2年は沈静化したものの、2015~2017年頃の国際クラシックカー市場は、まさしく“暴騰”というべき市況だった。
象徴的だったのは、レーシングモデルを頂点に、日本円にして億単位の取引が当たり前になってしまったフェラーリ。あるいは、それまでモデルによっては300~400万円でも充分に購入可能だったはずの空冷ポルシェ「911」が、あっという間に1000万円オーバー級にランクアップしてしまった点だろう。
今回、かつて比較的身近なクラシック・スポーツカーであったはずの空冷ポルシェが、“高嶺の花”になってしまった理由について、筆者なりに考察したい。
ひとことで“空冷の911”と言っても、1963年から1996年まで実に33年間も生産されたので、歴代モデルは多岐に亘る。
まずは、もともとは「901」の車名とともに1963年にデビューした「Oシリーズ」から、1977年モデルの2.7リッター水平対向6気筒エンジン搭載の「Lシリーズ」に至る、いわゆる「ナロー」。次に、前後の大型バンパーを終盤のナローから受け継ぎ、排気量を3.0リッター/3.2リッターに拡大した「タイプ930」(1978~1989年)。さらに、エンジンを3.6リッターまで拡大し、エクステリアも格段にモダナイズされた「タイプ964」(1989~1993年)。そしてサスペンションやディメンションにも大幅に手がくわえられた、空冷エンジン搭載最終モデルの「タイプ993」(1994~1997年)に至るまで、4世代にわたって生産された。
いずれのモデルも、2010年代中盤のクラシック カーおよびヤングタイマー クラシックの国際マーケットにおいて、高騰したのだ。
とくにナロー世代の人気は凄まじいもので、一時はロードカー仕様の「ツーリング」でも1億円を越えた。レースのホモロゲーション用に少数が製作されたライトウェイト仕様の「カレラRS2.7」(1973年)にいたっては、その2倍、2億円超の価格で取引されていた。
タイプ930は、通常の「911SC」や「911カレラ」であっても1000万円前後で流通する事例が多い。
一方、空冷911でも比較的リーズナブルと言われたタイプ964は、やや人気の低かった4速AT「ティプトロニック」仕様や、この世代で初設定された4WDの「カレラ4」でも500~700万円。「カレラ2」のマニュアル仕様ならば800万円を超え、さらにハードコア版の「カレラ2RS」や「スピードスター」は、最盛期、5000万円前後の正札も見られた。
そして、空冷911のファイナルモデルとして、ヤングタイマー・クラシック市場で独自の人気を得ることになったタイプ993は、同等グレードのタイプ964に対してプラス100万円くらいの高価格を維持していた。
一時期に比べると、空冷ポルシェ911のオークション落札価格や、あるいは国内外のスペシャルショップにおける正札価格は落ちついてはきたものの、それでも、今世紀初頭までの相場からすれば数倍にも相当する価格で推移しているからすごい。
わかりやすいからこそ人気
ところで、2010年代後半に巻き起こったクラシックカー市況の大暴騰であるが、旧いクルマすべてが爆発的に高騰したわけではない。
暴騰したモデルは、冒頭で述べたフェラーリやポルシェにくわえて、ランボルギーニ「ミウラ」やアストンマーティン「DB5」、メルセデス・ベンツ「300SL」、あるいはジャガー「Eタイプ」など、いずれも世界の誰もが知る“わかりやすいスポーツカー”だった。
そもそもクラシック カーの暴騰は、グローバルな金融業界のバックアップを受けた大手オークショネアやスペシャルショップが、中国やロシアといった新興国のカーマニアたちを対象に、ビジネスを展開したことから、全世界に拡大したと言われる。ちなみに、金融業界によるクラシックカー マーケットへの資本投下を支えていたのは、それら新興国の投資家たちだったとも言われている。
ヨーロッパやアメリカ、あるいは1990年代のバブル景気を経て目の肥えた人が増えた日本など、いわゆる“成熟市場”では、既にクラシックカーに対する知識も豊富で、人気モデルばかりがもてはやされるようなトレンドではない。逆に、クラシックカーへのなじみが薄い人の多い新興国では、わかりやすいクラシックカー&ヤングタイマーの代表格が人気を集めた。したがって、名車中の名車として誰しもが認める空冷911が人気を博したのだ。
くわえて成熟した市場でも、目の肥えた上級エンスーにとって、空冷ポルシェ固有の奥深さは、まだまだ探求心や所有欲をそそるのも事実。しかも年々、状態の良い個体は減っている。タイプ993の最終モデルでも、生産終了から23年経つから無理ない。また、排ガス規制が厳しい今、空冷モデルが再生産される可能性がきわめて低いといった事情もあるはずだ。
今後グローバル市場において、空冷911の相場が大幅に下落する可能性があるとすれば、新型コロナウイルスによる経済状況の悪化など、外的要因に限られのでは? 思う。とはいえ、一時的な下落にとどまる可能性は高い。なぜなら、2010年代に巻き起こったクラシックカー バブルは、2008年に発生したリーマンショック後に起こったかただ。
したがって、空冷ポルシェ911のマーケット価格は、今後も浮き沈みこそあるかもしれないが、長い目で見れば“高値安定”になるだろう。一定のレベルで推移するのでは? と、予想したい。
Revive the Passion 2011 - No 026-028Sabine Braun文・武田公実
Posted at 2020/04/30 21:56:46 | |
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ポルシェ | 日記
2020年04月30日
中古車価格1000万円オーバー必至のモデルとは!? スバルの激レア限定車3選
■即完売したモデルも!? スバルの限定車を振り返る
スバルの自動車製造は1954年に市販されなかった「1500 P-1」、そして1958年の市販1号車「スバル360」から始まりました。
その後、水平対向エンジンを開発し、4WDと組み合わせての他メーカーにはない独特なラインナップを形成。そして、1989年に発売された初代「レガシィ」からは、高性能モデルを数多く販売してきました。
これまで販売されたクルマのなかには、限定販売の特別なモデルも存在。そこで、スバルの激レアな限定モデルを3車種ピックアップして紹介します。
●スバル「インプレッサ S201 STiバージョン」
スバルのモータースポーツ活動を担う「スバルテクニカインターナショナル」(以下、STI)が、これまで手掛けてきたコンプリートカーは数多く存在します。
そのなかでも、初代「インプレッサWRX」をベースとしたコンプリートカーの「インプレッサ S201 STiバージョン」(以下、S201)は、非常にアグレッシブな外観が話題となりました。
2000年に発売されたS201は、ラリーをイメージさせるインプレッサにおいて、オンロードでの走りを追及したモデルとして開発。
エンジンは2リッター水平対向4気筒DOHCターボ「EJ20型」をベースに、専用ECUと吸排気系の変更により、最高出力はノーマルから20馬力アップの300馬力まで向上させました。
足まわりには車高調整式サスペンションと、ピロボールを用いたリンク類が組み込まれ、オンロードに特化したセッティングによりダイレクトな操縦性を実現。
外観には、グリル一体式のフロントエアロバンパー、大型エアスクープ、砲弾型ドアミラー、サイドスカート、ダブルウイングリヤスポイラー、ディフューザー形状のリヤエアロバンパーなどが装着され、ノーマルとはまったく異なった迫力あるフォルムに変貌しています。
STIが製作した歴代コンプリートカーのなかでも、S201はひと際異彩を放つモデルです。
限定台数は300台で、当時の価格は390万円(消費税含まず)でした。
●スバル「インプレッサ 22B-STiバージョン」
かつて、スバルといえば世界ラリー選手権(以下WRC)や、国内のラリー選手権、ダートトライアルなど、モータースポーツの世界で活躍していました。
なかでも本格的なWRC参戦は初代レガシィから始まり、インプレッサWRXへ受け継がれると次々と勝利を重ね、スバルのブランドイメージの向上にも貢献します。
そして、1997年以降はレギュレーションの変更により改造範囲が広がった「WRカー」による戦いが始まり、スバルは2ドアクーペの「インプレッサ リトナ」をベースにした「インプレッサ ワールドラリーカー97」を投入。
このマシンのロードゴーイングモデルとして、「インプレッサ 22B-STiバージョン」が1998年に400台限定で発売されました。
インプレッサ 22B-STiバージョンはSTIが製作したコンプリートカーで、ブリスターフェンダーによるワイドボディの外観は、WRカーそのものです。
エンジンも「EJ22改型」の型式が付与された最高出力280馬力の2.2リッター水平対向4気筒ターボを搭載。
ほかにもクイックレシオステアリングやツインプレート・セラミックメタルクラッチ、ビルシュタイン製ショックアブソーバー、アイバッハ製スプリング、BBS製鍛造アルミホイール、ピレリ「P-Zero」タイヤなどを装備し、見た目だけでなく走りにもハイレベルなチューニングが施されています。
当時の価格は500万円(消費税含まず)とかなり高価でしたが、発売してすぐに完売し、いまでは中古車が1000万円以上の価格で取引されているようです。
■即日完売の軽量高性能モデルとは!?
●スバル「WRX STI タイプRA-R」
スバルの高性能セダンである「WRX STI」をベースに329馬力のエンジンを搭載し、ベースモデルより約10kgの軽量化をおこなうなど、圧倒的なパフォーマンスを誇るモデルとして開発された「WRX STI タイプRA-R」は、STI創立30周年を記念して販売されたコンプリートカーです。
2018年7月に限定台数500台で発売され、同年12月までの受注としていましたが即日完売。価格は499万8240円(消費税込)と高額で、しかも6速MTのみにもかかわらず、凄まじい人気でした。
スバルではこれ以前も「WRX STI」をベースにした高性能限定車「S207」「S208」を販売してきましたが、それらよりも「WRX STI タイプRA-R」は130万円から200万円ほど安く、同仕様のエンジンを搭載しているということで、お買い得感があったのかもしれません。
国内仕様の「WRX STI」は2019年の「EJ20 Final Edition」の発売後に生産を終了してしまったので、すでに新車は手に入らないため、さらに希少なモデルになってしまいました。
※ ※ ※
近年は、旧車といわれる1980年代から1990年代のクルマや限定車の価格が世界的に上昇しています。
理由はさまざまで、投機目的であったり実際に人気が上昇したモデルもあり、現在も価格は高値で安定しています。
一方で、新型コロナウイルス感染拡大による経済への影響からか、直近ではオークション相場が下落傾向という見方もあり、この先の不透明感はしばらく続きそうです。
Posted at 2020/04/30 21:49:29 | |
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富士重工 | 日記
2020年04月30日
日本未導入のS209にスバリスト女子が試乗! 「走りを極めれば安全になる」の極致
アメリカ専売のS209が群サイに現る!
2019年1月15日、日本のスバリストたちは揃って肩を落とした。いや、そんな表現すら生ぬるいほどの落胆である。
この日、デトロイトモーターショーにて、スバルのSシリーズの最新モデル「S209」が公開された(現地時間:2019年1月14日)。本来、新たなSシリーズの発表となれば、スバリストには歓喜の瞬間であり、ライバル車に乗る自動車ファンも注目必至のイベント……のハズだ。
だがしかし、なんとこのS209、Sシリーズ初のアメリカ専売モデルであり、日本での販売の予定はないとアナウンスされたのだ。
私も一丁前に肩を落としたスバリストのひとり。S208で626万~710万円というプライスタグ。私に買えるわけはないのだが、S201から国内向けに販売されてきたSシリーズの歴史、また日本の道を颯爽と駆け抜けるS209を見ることはないのかと思うと、絶望的な気持ちになった。
Sシリーズとは、スバルのモータスポーツへの参戦や、それを反映した車両やパーツの開発を手がけるSTI(スバル・テクニカ・インターナショナル)が生み出すコンプリートカーの最高峰。「tS」との違いはエンジンチューニングまで施されている点だ。
WRXをベースとするS201、S202、S203、S204、R205、S206、S207、S208、S209、レガシィをベースとするS401、S402が存在し、R205は公道の走りにこだわって開発されたため、唯一Sではなく「Road(ロード)」頭文字「R」が与えられている。
各モデル台数限定で販売され、S209はその名にちなんで209台限定。余談だがGRB型WRX STIオーナーの私は愛車にR205のマフラーを入れたいと考えたことがあったが、オプションでは用意されておらず、正規ディーラーでの購入にはR205の車検証が必要とのことだった(あぁ、あのバリバリといった音が憧れだったのに……)。それだけSシリーズはSTIが心血を注いで生み出された至宝であり、その走りを味わえるのは手にした人だけの特権なのだろう。
涙に暮れた1月15日の私には、まさかそんなS209に触れられる日が来るとは思いもしなかった……。だがしかし、奇跡というのは突然起こるもの。スバルからの「S209取材会」の案内。一瞬脳がフリーズするも、我に返る。上司に土下座する勢いで懇願し、現場に行く許可を得た次第だ。
そんなワケで、ある意味コアなスバリストの聖地、群馬サイクルスポーツセンターでS209と感動の対面を果たす。フロントアンダースポイラーやフロントバンパーサイドカナード、ドライカーボン製リヤウイングなどのエアロパーツやカーボンルーフ、そして見慣れぬワイドボディを纏ったVAB(最終型WRX STI)の威厳たるや、そびえ立つ赤城山も真っ青である!
国内のWRX STIのエンジンは2リッターターボの名機EJ20であったが、米国仕様には2.5リッターターボのEJ25が搭載される。震える指でスタートボタンを押し、エンジンをかけてみると、迫力に溢れ、新鮮ではあるがどこか懐かしい排気音が耳に届く。思えば、EJ25はエキマニが不等長だ。かつてスバリストたちが愛した、もう日本の現行車では聞くことのできないボクサーサウンドに心酔せずにはいられない。
男前な見た目からは想像もつかない乗り心地にギャップ萌え
さらにS209にはこのEJ25に専用チューニングが施されている。吸気系には専用の大型エアクリーナーや吸気ダクトを採用することで、吸気抵抗を軽減。また専用開発のターボチャージャーを配置しているという。
さらに大口径テールパイプを備えた専用設計の低背圧マフラーを採用。これらを専用ECUで制御することによって341馬力と、歴代のSシリーズのなかでも最高の出力を誇る。
足まわりは265/35R19のダンロップ製ハイグリップタイヤにBBS製鍛造アルミホイールを組み合わせ、専用開発のビルシュタインダンパーや専用コイルスプリング、強化ブッシュがこの幅を拡げたボディに収められている。メカメカしく存在感のあるオーバーフェンダーがまた、たまらない。
ストラットタワーバーやフロントのドロースティフナーと、STIのコンプリートカーでお馴染みのフレキシブル系パーツも健在だが、注目すべきは後席とトランクをつなぐボディ境界部に設置されるリヤのドロースティフナーだ。いかにも剛性が高まりそうな装着位置ではあるが、世界的なラリースト、新井敏弘選手によると、剛性が上がっているだけではなく応答性が向上しているという。このパーツによってステアリングの操作がリヤのタイヤに早く伝わり、リヤの安定性が上がるのだそうだ。関係者からは「リヤドロ」と呼ばれ、今後カタログモデルのオプションパーツとしての導入も予定されている。
ステアリングにはパドルスイッチ。なぜMT車なのにパドル? じつはそのスイッチ、熱による性能低下を抑えるインタークーラーウォータースプレイのものだという。
撮影も順調に進み、有り難いことにスタッフもこのクルマを試すチャンスを得た。私もこのクルマを試せるのだ! なんという僥倖! しかしながらS209に乗れるという感動のあまり左ハンドルであることを忘れていた。思えば生まれて初めての左ハンドルかつMT。そんな初体験のパートナーがS209であるという感激もさることながら、実際動かしてみると、慣れるまでは脳トレ状態……。
それはさておきこのクルマ、太いタイヤなどからは想像もつかないほど乗り心地が良く、運転しやすいのだ。常にギャップやアンジュレーションに晒される群サイにおいて、サスペンションやタイヤの縦バネも含めて動きはしなやか、荒れた路面でもタイヤがシッカリとに接地しているのがわかる。それでいながらハンドリングはシャープで、思ったとおりに曲がるのだ。じつに懐が深いクルマである。
徐々にペースを上げていく私の右足の動きに合わせて響く不等長サウンドに呼応するように、500ccの余裕か、EJ20よりも低速トルクに溢れ、スムースに加速する印象。試乗前にはカリッカリのスーパースポーツをイメージしていたのだが、走りは意外にもジェントルな印象を受けた。聞けばEJ20に対してEJ25はアメリカの環境に合わせ、ターボのきき始めが高回転からなのだそうだ。
見た目やその内容から走りにはかなり本気であることがうかがえ、初めは私に操れるのか不安だった。しかし左ハンドルに慣れてからはムダな神経を使わず、純粋に運転を楽しむことができたのだ。なるほど「走りを極めれば安全になる」というスバルの思想はこういうことか。
スバル車はアメリカでも人気を誇り、2019年の新車販売台数は70万台を超えた。アメリカではスバルファンやスバルオーナーの所有車に愛情を込めて「SUBIE(スビー)」と呼ぶ。そんなアメリカのスビーたちからは以前から「Sシリーズ」が欲しいという声が多かったと言い、今回、彼らの永年の夢が叶ったのだ。国境を越えてスバルを愛する人たちと語り合い、共感し合えたら素敵じゃないか。S209の素晴らしさを知り、アメリカ専売であることに不満を抱いていたことを深く反省、考えを改めたのであった。
そしてスバルの最新の「市販車最高峰」の走りを味わった今、絶えず高まるスバル/STIの技術がこれからも国内外の現行車に反映されていくと思うと、スバル車の今後に期待せずにはいられない。
Posted at 2020/04/30 21:35:25 | |
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富士重工 | 日記
2020年04月30日
スバル、群馬製作所 生産再開後も稼働調整 海外で需要低迷
スバルは27日、稼働を停止している群馬製作所(群馬県太田市)で追加の生産調整を実施すると発表した。当初の予定通り、5月11日に生産再開するものの、29日まで昼のみの1直体制で稼働する。完成車を生産する本工場と矢島工場は従来、2直だった。海外の需要低迷や部品調達網、販売活動への影響が継続しているため、生産ペースを落とす。
パワートレインを生産している大泉工場も完成車工場の生産ペースに合わせて生産調整する。稼働日ベースで15日間の生産調整となる。群馬製作所の3工場は4月9日に稼働を停止。停止前の1日あたり平均生産台数は2300台だった。
スバル、国内生産拠点の稼働再開後も生産調整へ
スバルは4月27日、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、国内生産拠点で5月11日以降、減産すると発表した。
同社では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う新車需要の減少と、部品調達の問題から国内生産拠点を停止しており、連休明けの5月11日に稼働を再開する予定。世界各国での外出禁止などが実施されており、市場低迷が長引くことや、部品調達網も当面、不安定なことから、稼働再開後も生産調整を実施する。
5月11日から29日まで、完成車を製造している本工場と矢島工場で通常、早番・遅番の2直操業のところ早番のみの1直で操業する。エンジン、トランスミッションを製造する大泉工場は完成車拠点の1直操業に合わせた形で稼働する。
Posted at 2020/04/30 21:28:27 | |
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富士重工 | 日記