2020年07月04日
【EVと直4ターボで復活】ACコブラ、2つの特別仕様車を発表 58台限定
クラシック・スポーツが現代に復活
text:Lawrence Allan(ローレンス・アラン)
英国の名門ブランドACカーズは、アイコニックなコブラ・ロードスターの限定モデルを発売した。
クラシックモデルを新時代に向けて電動化するという最近のトレンドに加わり、ACコブラ・シリーズ1は電動パワートレインを積んだEVとなっている。
1962年のオリジナルと同じデザインを維持している点が特徴だ。
初代の登場から58年経ったことにちなんで、生産台数はわずか58台、価格は13万8000ポンド(1824万円)となっている。
312psの電気モーターをフロントに搭載し、54kWhのバッテリーから電力を供給する。
ACカーズによると、航続距離は約240kmで、0-97km/h加速のタイムは6.7秒、最高速度は193km/hに達するという。
電動パワートレインが積まれているにもかかわらず、複合材ボディのおかげもあって、車重は1250kg以下に抑えられている。
伝統的なラダーフレームのシャシーはそのままだ。
ステアリングとブレーキが改良され、「1962年のスタイルと魅力を損なうことなく、2020年の究極の乗り心地とハンドリングを提供する」ようにしているという。
インテリアは「伝統的」なスタイルを維持し、カラーバリエーションとして4色が用意されている。
英国での納車は年末から開始される。
また、EVモデルとは別に、ガソリン仕様の140チャーター・エディションも用意されている。
こちらもオリジナルとほぼ同じ外観だが、フォード・マスタング由来の2.3L 4気筒ターボエンジンを搭載し、355psを発揮する。
チャーター・エディションは、当然のことながらEVモデルよりもはるかに安く、価格は8万5000ポンド(1124万円)となっている。
同じく58台のみの生産となるが、カラーバリエーションは豊富に用意されている。
初のフルEV仕様「AC コブラ シリーズ 1 エレクトリック」、58台限定でデビュー
AC Cobra Series 1 electric
AC コブラ シリーズ 1 エレクトリック
オリジナルボディに搭載された最新電動パワートレイン
伝説の名車が生まれ変わり、同時に中身がアップデートされることは稀有な出来事だと言えるだろう。今回、英国を拠点とするACカーズは「ACコブラ シリーズ」にふたつのニューモデルを発表した。1台目は完全新規開発された専用EVパワートレインを、もう1台は最新のフォード マスタングから供給される高性能直列4気筒ガソリンエンジンを搭載する。
「AC コブラ シリーズ 1 エレクトリック」は、ACマークを冠した史上初の電気自動車。このゼロエミッションモデルは58台が限定生産される。「58」という数字は、初代ACコブラの生産開始から58年周年を記念したものだという。
最高出力230kW・最大トルクは500Nmを発揮
フルEV仕様は、1962年に登場したACコブラの外観を纏っているが、パワーユニットから発せられるサウンドはまったく異なるものになる。オリジナルのACコブラをベースにしながら、バッテリーを含む電動パワートレインを搭載するためにラダーフレームが最適化された。
搭載されるバッテリー容量は54kWh、最高出力は230kW、最大トルクは500Nmを発揮。0-62mph加速は6.7秒、最大航続距離は150マイル(約241km)を実現している。
電動化に際して、重量増に対応すべくステアリングやブレーキなどに様々な改良が施された。しかしその全てが、1962年のスタイルと魅力的なボディワークを損なうことなく、2020年に相応しい乗り心地とハンドリングを提供すべく設計された。ボディワークは高品質複合素材を採用しながら、インテリアはACコブラらしい伝統的な雰囲気が残されている。
ボディカラーはACエレクトリック・ホワイト、ACエレクトリック・ブルー、ACエレクトリック・ブラック、 ACエレクトリック・グリーンの4色を展開。税別価格は13万8000ポンド、デリバリーは2020年後半からスタートする。
ガソリンモデルもEVと同様に58台を限定生産
ガソリンエンジンが搭載される「AC コブラ 140 チャーター エディション」のエクステリアデザインは、基本的にEV仕様のAC コブラ シリーズ 1 エレクトリックと同一となる。搭載されるのは最新のフォード マスタングと同一のフォード製2.3リッター直列4気筒ガソリンエンジン。最高出力は350bhp、最大トルクは440Nmを発揮する。
EV仕様よりも150kg車重が軽いため(1100kg)、0-62mph加速は6秒と、より軽快なドライブを楽しむことができるという。税別価格は8万5000ポンド、こちらも58台限定、デリバリーは2020年後半から開始される予定だ。
ACカーズのアラン・ルビンスキーCEOは、2台のニューモデル発表に喜びを隠さない。
「ACカーズの長い歴史を紐解けば、少量生産のスポーツカーの製造がけして簡単ではないことが分かるでしょう。しかし、私たちのブランドへの強い信念は、長年にわたり世界中のACコブラ・オーナーの忠誠心とサポートによって支えられてきました」
「今現在だけでなく、明日のために設計されたこれらの素晴らしいニューモデルによって、ACカーズの明るい未来を確信しています。今後に向けてさらにエキサイティングなプランもありますが、まずはこの2台の製造に集中します」
Posted at 2020/07/04 21:33:36 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年07月04日
【ワゴンに秘めたボクサー6】スバル・レガシィ3.0R 4代目 英国版中古車ガイド
4代目を選ぶなら改良を受けた後期型
text:John Evans(ジョン・エバンス)
translation:KENJI Nakajima(中嶋健治)
中古車市場でも高い注目を集める、スバル・インプレッサ。ラリーで活躍したハードコアなイメージと少し距離を起きたい、円熟したエンスージァストなら、スバル・レガシィ3.0Rという選択肢がある。
4代目レガシィが英国へ導入されたのは2004年だが、今回は2006年にフェイスリフトを受けた後期型に注目したい。内容の濃い改良を受け、より多くの人気を獲得した。
インテリアの質感は飛躍的に向上。5速ATにはパドルシフトが付き、SIドライブと呼ばれるドライブモードが追加されている。
フロントグリルとテールライトはスマートになり、スポーティなイメージを向上。繊細な曲面を持つフェンダーラインが、洗練されたルックスを生んでいる。ルーフに取り付けられたスポイラーと、ウインカー内臓のドアミラーも見た目をモダナイズさせた。
アルミホイールは18インチとなり、10スポークのデザインで足元を引き締める。ボディタイプは、サルーンとステーションワゴンが選べた。
もともと切れの良かったサスペンションも、手直しが入っている。シリンダーが下側に来る、フロントダンパーが特徴だ。四輪駆動車システムはそのままで、ビスカスカップリング式のセンターデフとリミテッド・スリップデフを装備する。
そして3.0R一番の注目が、3.0Lの水平対向エンジン。英国仕様では244psを発揮し、0-100km/h加速を6.7秒でこなした。AT車の場合、1.2秒遅くなる。
周囲を驚かせる走りのツーリングワゴン
選びたいのはマニュアル車だが、英国でも珍しい。AT車もシフトパドルのおかげで、トルクコンバーターのマイルドさを最大限解消はしてくれる。
コーナーへ突っ込みすぎると、ビークル・ダイナミクス・コントロール(VDC)が介入し、クルマの姿勢を整えようとする。しかしVDCをオフにすれば、後輪へ伝わるトルク割合が増加。笑みが溢れる走りが楽しめた、ドライバーズカーだ。
3.0Rは控えめな見た目とは裏腹に、高い運動性能を秘めていた。大きな荷室を備えたツーリングワゴンが本気を見せれば、周囲の人を驚かせるのに不足ない走りを披露する。でも4ドアサルーンなら、民主化された全天候型モデルとして、ジェントルに運転する方が良いと筆者は思う。
燃費は伸びず、長距離向きではない。経済性を重視したSIドライブ・モードを選択すれば、活発な3.0Lを、穏やかな2.0Lユニットのように回すことはできる。
SIドライブは、センターコンソールのロータリースイッチで選択できた。ステアリングホイールのスイッチでも、変更が可能だ。
英国で流通する中古車の場合、5000ポンド(66万円)以下のクルマは、過走行距離車が多い。しかし、インテリアの痛みが少なく整備を受けてきたレガシィなら、気配りのきく新しいオーナーを楽しませてくれるだろう。
8000ポンド(105万円)を超えたあたりから、走行距離が短くなり、日本からの並行輸入車が出てくる。このあたりのレガシィはかなり魅力的。ありふれたインプレッサにかわる選択肢として、検討する価値は十分にある。
不具合を起こしやすいポイント
エンジン
フロント側のタイミングチェーン・ケースとエンジン下部からのオイル漏れに注意。プラグ交換はしにくく、何年も使い続けると点火不良を起こす場合がある。
ヘッドガスケットからのオイル漏れや、オイルフィラーキャップを開けて、オイルが乳化していないかを確かめる。特に過走行車の場合、ラジエター・クーラントパイプが腐食していないかも確認したい。
トランスミッション
信頼性は高いが、MTはシンクロの状態を、ATは変速のもたつきを確かめたい。AT車の場合、シフトパドルの操作と同時に速やかに変速されるかも確認する。
可能であれば複数台試乗し、ドライブトレインからのノイズの違いを聞き分けたい。ドライブシャフトやセンターシャフトは、基本的に不具合は起こさない。
サスペンション
フロント・サスペンションのコントロールアーム・ブッシュの状態を確かめる。フロント・ウイッシュボーンのブッシュ類の状態もチェックしたい。
リア・サスペンションでは、トレーリングアーム・ブッシュが劣化しやすいものの、車検には通ることが多い。OEM部品も質は良い。
ブレーキ
フロントのブレーキキャリパーが固着する場合がある。リア側は不具合が起きにくい。
ボディとシャシー
基本的に錆びにくい。錆びている場合は、事故の修復跡であることが多い。
インテリア
SIドライブのモード変更が可能か、試乗して確かめる。モードを変えると、しっかり変化がある。スポーツシャープ・モードは、インテリジェント・モードとはかけ離れた走りをする。
オーナーの意見を聞いてみる
マーク・ハリス
「これまで9年ほど、後期型のレガシィ3.0Rツーリングワゴンを所有しています。妻がインプレッサに反対したこともあり、選びました。2006年式で、距離は27万8400kmも走っていますが、非常に信頼性は高いです」
「エンジンオイルは1万1000kmごと、トランスミッションとデフのフルードは2年毎に交換しています。エンジンは故障知らずです」
「インプレッサの魅力は変わりませんが、レガシィ3.0Rはパワーもありストレスを感じません。でも、自動車税は高く、燃費は8.9km/L以下。そこが悩みのタネですね」
知っておくべきこと
多くの専門家が、レガシィのアキレス腱として、左右のエグゾーストパイプ中央のYセクションをあげる。錆びて、排気ガス漏れしやすいという。交換部品は安価ではないが、軽度であれば修復が可能だ。
いくら払うべき?
2000ポンド(26万円)~3999ポンド(52万円)
英国では2006年式のサルーンとツーリングワゴンが中心。14万8000km走った状態の良いサルーンのAT車が、3995ポンド(52万円)で見つかった。
4000ポンド(53万円)~6999ポンド(92万円)
走行距離が短めになる。9万9000km走った2006年式のAT車で、整備記録が整ったものが4990ポンド(65万円)。フェイスリフト前の、日本からの並行輸入車も出てくる。
7000ポンド(93万円)~1万ポンド(132万円)
2006年式以降で、日本からの並行輸入のツーリングワゴンは8000ポンド(105万円)くらいから。2008年式のツーリングワゴンで、9万9000kmほど走ったAT車も7990ポンド(105万円)で見つかった。こちらは整備記録も揃い、黒いレザーのインテリアだ。
英国で掘り出し物を発見
スバル・レガシィ3.0R スペックB 登録:2006年 走行:14万8000km 価格:3995ポンド(52万円)
状態の良い3.0R。色も良く、整備記録も揃っている。ブラックレザーの内装に、サンルーフも付いている。過小評価されていることを示す、かなり手頃な価格だといえる。
Posted at 2020/07/04 21:26:11 | |
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富士重工 | 日記
2020年07月04日
コロナ禍なのに「WRX S4 STI Sport #」が完売! 500台を瞬時に売りさばけるスバル限定車の強さの秘密
コロナ禍でも限定車があっという間に売り切れた
コロナ禍で世界経済が危機的状況に陥っても、 SUBARUの限定車人気は健在だった。WRX S4のトップグレードSTI Sportをベースとした限定車「WRX S4 STI Sport #」は、予約の受付を開始した5月26日から2週間でオーダーストップ。7月6日の正式発表を待たずして、限定の500台が売り切れたことになる。
WRXの2ペダル版として2014年の夏に登場したWRX S4は、誰でも運転できるハイパワースポーツとして人気を博し、時にはWRX STIの倍以上の販売台数を記録。WRX伝統の硬派な走りと大人5人が普通に乗れる中型セダンのパッケージング、悪天候時の安定性や運転システムアイサイトをはじめとする高い安全性などトータルバランスが高く、スポーツセダン好きから幅広く支持されている。
ミッションがCVTであることをネガ要素として指摘されることも多いが、一般的なCVTとは一線を画すフィーリングと性能を高く評価する声もまた多く、オーナーの満足度が高いことも事実。クルマ好き界隈での評判はともかく、実際に所有する人たちからCVTに対する不満はあまり聞こえてこない。2ペダルであるがゆえに一定以上の販売台数が維持できることもあり、WRXというクルマが存続できるのも、S4あってこそと言える。
モータースポーツ活動で磨いた実績がユーザーの信頼につながった
今回の「WRX S4 STI Sport #」はそんなWRX S4の現行型の集大成として登場。エクステリアはSTI限定車のS208やEJ20ファイナルエディションで好評のブラック基調のエアロパーツを装着するなど、各部にニュルブルクリンク24時間耐久レース参戦で培った空力性能がフィードバックされている。新採用の「フレキシブルドロースティフナーリヤ」以外の架装は、過去の限定車でも採用された内容ながら、逆に実績が豊富で性能や乗り味が信頼できることもあり、カタログが間に合っていない状況でも短期間で完売にいたった。
2016年に発売された「WRX S4 tS」も予想以上の人気を博し、想定していた台数より200台以上売れた実績(期間限定だった)を思い出すと、2ペダルWRXの高性能版を所望する人は想像以上に多い模様だ。
「STIは限定車を乱発しすぎ」との指摘もあるが、コロナ禍でも絶大な人気が衰えないところをみると、少なくとも市場からは求められていることが証明された。
今年のレースは延期されても、過去12年のNBR(ニュルブルクリンク)24耐久レース参戦の実績により、今のWRXというクルマには「ニュルでの戦いで磨いた高性能」とのイメージが完全に定着していることも、限定車の強さの秘訣となっている。たとえば、先代XVハイブリッドベースの限定車は販売面でやや苦戦した。
やはりWRXの限定車の人気が突出して高いのは、長年にわたりレースやラリーで「戦う姿勢」や「挑戦」を続けているからこそだろう。今回の「WRX S4 STI Sport #」早期完売をうけて、STIの関係者は「モータースポーツ活動を継続することの意味と重要性を改めて認識した」としみじみ語っている。
いちユーザーとしても、SUBARU/STIがモータースポーツ活動を継続してくれることを願ってやまない。
Posted at 2020/07/04 21:23:55 | |
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富士重工 | 日記
2020年07月04日
「WRブルーはズルイぞ!」スバルWRX S4の覆面パトカーがステルスすぎる件
埼玉県警・高速道路交通機動隊の隠し球か!
「所沢301 め 35-27」には気をつけろ!
WRX S4の覆面パトカーに遭遇したのは、東京外環自動車道の新倉パーキング(上り)。ちょうど路側帯でプロボックスを取り締まっている最中だったために気づく事ができたが、走行中だったら間違いなく見逃していただろう。
なにせ、スバリストが愛する伝統のWRブルー(正式名:WRブルー・パール)だ。クルマに詳しい人ほど「WRブルー=クルマ好き」という先入観を持っているわけで、非常に憎たらしいチョイスである。
グレードはおそらく2.0GTアイサイト(343万2000円)。300ps/40.8kgmを誇る、直噴ターボのFA20DITを搭載したハイパフォーマンスセダンだ。
ある情報筋によると、この覆面パトカーは埼玉県警の高速道路交通機動隊に1台だけ配備されているレアモデルのようで、青森県と高知県にも同型のWRX S4が覆面パトカーとして導入されているとのこと。
ちなみに、今回遭遇したWRX S4のナンバーは「所沢301 め 35-27」。仕事などで外環をよく使うという方々は、くれぐれもご注意を!
Posted at 2020/07/04 21:21:08 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年07月04日
かつてモーターサイクルも生産していた自転車メーカー『MIYATA』は創立130周年 その歴史とは?
■国産開発の成功で自転車を大衆化、モーターサイクルの生産にも挑戦
2020年、日本を代表する自転車メーカーのひとつ『MIYATA』(現ミヤタサイクル)が創業130周年を迎えました。1890年(明治23年)に日本初の純国産自転車の製造に成功したMIYATAの歴史は、日本の自転車産業の歴史といっても過言ではありません。また、かつてはモーターサイクルも生産していたこともあるなど、その足跡はライダーにとっても大変興味深いものです。
ミヤタサイクルのルーツは、1881年創業の『宮田製銃所』です。その名の通り、ライフルなどの鉄砲を製造するメーカーでしたが、1890年に日本初の“安全型自転車”(ダイヤモンドフレームやチェーン駆動を特徴とする自転車。今日の自転車の原型)の開発に成功すると、その2年後には銃製造業から自転車製造業に転向し、社名も『宮田製作所』に改称しました。
当時の自転車は一部の富裕層だけが所有できる高価な輸入品であったため、国産化によって大衆化が進めば大きな産業へと成長する可能性があったのです。なぜ銃の製造メーカーが自転車を手掛けたかというと、金属パイプの加工や溶接、焼き入れといった銃身の製造技術が転用できたためです。
こうした例は日本だけではなく、海外でも見られました。スペイン最大の自転車メーカー「オルベア」もライフルや拳銃を製造するメーカーが前身でしたし、バイクメーカーとしても有名なイギリスの「BSA」もそうです。
国産自転車のトップメーカーとなった宮田製作所は、1913年にトライアンフを模倣した「旭号」というモーターサイクルの生産も開始。「アサヒ号A型」(1933年)や改良版の「アサヒ号AA型」(1935年)などの小排気量車を手掛け、陸王やメグロと並び、戦前を代表する国産モーターサイクルメーカーのひとつになります。
戦後も「アサヒ350JA」(1956年)や「アサヒLA500」(1959年)、「ミヤタOA」(1961年)といった意欲的なモデルを送り出すものの、モータリゼーションの本格化に伴う過当競争に生き残ることができず、1962年にモーターサイクル事業から撤退しています。
宮田製作所は1952年に日本初の粉末消火器も開発しており、自転車との二本柱になる事業へ成長させます。2011年に自転車部門の『株式会社ミヤタサイクル』と、防災部門の『モリタ宮田工業株式会社』は分社化されますが、後者では現在も消火器の生産を続けています。
戦後、右肩上がりの高度成長期になると自転車の需要が急大し、1950年代、60年代にはスポーツサイクルによるサイクリングブームが訪れます。
70年代になると石油ショックの影響により、アメリカへ日本製スポーツサイクルが大量に輸出されるようになり、宮田をはじめ、ブリヂストンやパナソニックといった日本の自転車メーカーが欧米の市場を席巻します。
宮田はオランダの自転車メーカー「KOGA」社と契約し、ヨーロッパのプロサイクリングチームのスポンサードなど、ロードレースシーンでも存在感を発揮します。1981年には日本製のロードフレームでは初となる「ツール・ド・フランス」での区間優勝も達成しました。
■MTBのムーブメントを経て「e-BIKE」の時代へ
1980年代になると、アメリカから新しい自転車のムーブメントがやってきます。未舗装路走行に特化して設計されたマウンテンバイク(MTB)です。宮田を含む日本の自転車メーカーは当初、海外MTBブランドの生産を行っていましたが、後に自社ブランドでもMTBを展開。宮田「リッジランナー」は1989年のMTBダウンヒル競技の世界選手権で優勝するなど一時代を築きました。
しかし、90年代から自転車の生産拠点が中国・台湾へとシフトしたことによって、日本の自転車メーカーは急速に世界市場での存在感を失うことになります。
2000年代後半になると、次世代の交通機関として世界的にスポーツサイクルが注目されます。宮田はかねてから技術支援を行い、世界第2位の規模にまで成長した台湾の自転車メーカー「メリダ」の輸入代理店となり、日本国内におけるブランド認知度を大きく高めることに成功しています。
現在、ミヤタサイクルはメリダが筆頭株主となり、スポーツサイクル、とくに電動アシスト付き自転車「e-BIKE」を積極的に展開する国内メーカーの筆頭として存在感を発揮しています。
一般的にはまだまだ未知な乗り物であるe-BIKEですが、ミヤタが長年培ってきたクラフトマンシップへの信頼があれば、そう遠くないうちに多くの人々へと浸透することでしょう。
Posted at 2020/07/04 21:19:13 | |
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