2020年10月29日
なぜ爆騰?「80スープラ」が1000万円超え!? 新車時の3倍に価格が高騰するワケ
■ハイスペックで手に入りやすい価格で人気だった80スープラ
トヨタを代表するスポーツカーといえば、忘れてはならないのが直列6気筒エンジンをフロントに搭載する本格FRスポーツの「スープラ」ではないでしょうか。
2019年5月には5代目スープラが発売され、国内スポーツカー市場のなかでも大きな存在感を示しています。
その一方で4代目に相当する通称「80スープラ」の希少価値が上がり、中古価格が高騰しているようです。
スープラの歴史は長く、1978年まで遡ります。元々は「セリカXX」として発売されていましたが、海を渡って北米で販売された時に「スープラ」に名前を変更して販売されました。
後にセリカは直列4気筒エンジン搭載のFF、スープラは直列6気筒エンジンにFRと、大きな違いが生まれます。
こうして車体構造でセリカとの関連性が薄れていき、1986年に登場した3代目から、日本でも「スープラ」として販売されるようになりました。
これまでのスープラはグランドツーリングカー的なイメージを持つモデルでしたが、1993年に登場した4代目A80型スープラから本格的なピュアスポーツカー路線に変更します。
「80スープラ」と呼ばれるようになった4代目のエクステリアを見てみると、ヘッドライトはこれまでのリトラクタブル式から固定式へと変更。
スポーツカーらしい流れるボディデザインと大型のリアスポイラーの採用など、大幅なイメージチェンジを実施しています。
発売当時から瞬く間に人気モデルの仲間入りを果たしたため、「スープラ」という名を聞くと「80スープラ」をイメージする人は多いでしょう。
80スープラには3リッター直列6気筒エンジンが搭載されていますが、自然吸気(NA)とターボの両方を設定。シーケンシャル式のツインターボからは最高出力280馬力、最大トルク44kgf・mを発揮します。
足回りは前後ダブルウィッシュボーン方式が採用され運動性能も大幅に向上。1994年8月には17インチホイールに大径ブレーキ仕様も追加で設定されました。
また、ターボモデルにはビルシュタイン社製サスペンションや横Gセンサー付ABSを搭載し、より高いスポーツ性を備えた「SZ-R」が自然吸気エンジンモデルに追加されています。
さらに1995年になると、ターボモデルである「RZ」から必要な装備を見直し、価格を抑えた「RZ-S」が追加されることになります。
ハイスペックでありながら比較的手届きやすい価格も用意されていたため、当時の若者からの人気が非常に高いモデルでした。
■走行距離約1.6万キロの極上ワンオーナー車で1000万円!
そんな80スープラの極上品が発見され話題となっています。
このスープラは、アメリカ・フロリダ州のボカラトンにある「アトランティスモーターグループ」という中古車販売店から販売されています。
1994年式で走行距離は1万6243キロ。カスタムされていないノーマル状態を維持しているため、かなりの極上車ともいえます。
車両を所有していたオーナーは新車購入後、約25年間手放さず大切に保管しながら乗っていたそうです。
走行距離からもわかるように、たまにクルマの状態を保つために走行する程度しか利用していないため、新車同様の状態ともいえます。
北米仕様のスープラですので、左ハンドルであることはもちろん、マイル表示のメーターとなり、インテリアはブラックで統一された本革を採用。本革シートの中古車でありがちなひび割れや擦れも無く、純正フロアマットの汚れもありません。
ミッション形式は4速AT。センタークラスター辺りには純正のオーディオやエアコンのスイッチが並んでいるのがわかります。
アナログ式のダイヤルやカセットテープのオーディオなどが備え付けられており、1990年代の雰囲気を醸し出しています。
極上の程度であることから、室内保管されていたことはいうまでもありませんが、なんと長期間運転しないときはホイールを外し、温度管理された場所で保管されていたようです。
そのおかげでローターやディスクの錆もほとんど見当らず、もちろんスペアタイヤに関しても同様です。
写真でエンジンルームを確認しても、ゴム部品のひび割れや金属の腐食もほとんどなく、もはや博物館に展示できるレベルの状態と言っても過言ではありません。
また、前オーナーはマニュアルやウインドウステッカー、車載工具などの付属品はすべてプラスチックケースに入れて保管されていたようです。
気になるその価格は、約1000万円とかなり高額に設定されています。
日本の中古車市場も調べてみると、400万円から800万円程度で販売されており新車販売当時の価格290万円から480万円と比べるとかなり高額であることもわかります。
ちなみに同年式で走行距離が近い車両で探してみると、1994年式走行距離1万キロの車両だと約1100万円程で販売されています。
ひと昔前の世代のスポーツカー自体が全体的に希少価値が上がって来ていることに加え、とくに海外では希少なエアロトップであることや映画「ワイルドスピード」にも登場する車であることが、このような価格となる大きな理由ではないでしょうか。
中古車は一点物で、この先二度とお目にかかれない車両と考えれば、例え1000万円といえども決して高すぎる値段ではないはず。
今後時間が経つにつれ、さらに価値が高まると考えると、どのように値段が変わっていくのかにも注目していきたいところです。
Posted at 2020/10/29 22:12:11 | |
トラックバック(0) |
自動車業界あれこれ | 日記
2020年10月29日
【試乗】新型 スバル レヴォーグ (プロトタイプ)|タイヤをしっかり路面に接地させる走りと自動運転を見据えたEyeSight X
先代レヴォーグはスバルらしく進化し続けていた
初代レヴォーグのプロトタイプに試乗してから6年以上が経過した。
日本の立地に適合したサイズで人気を得て、現在ではよく目にするモデルに成長した。
2年前に再度試乗をしたとき、外観に大きな変化はなかったがサスペンションとステアリングフィールの改良により乗り心地はしなやかさを増していた。
常に改良を重ねているところに、スバルがエンジニアリングで主導しているメーカーだということがよくわかる。
特に1.6L直噴ターボはレギュラーガソリン仕様のダウンサイジングでありながら、ドライバビリティは水平対向ユニットならではのものである。これで十分だと今でも感じる。
お家芸であるEyeSightも次世代を予感させる角の取れた制御となった。好みは分かれるが、より広範囲で細かく制御されるようになっていた。
そして今回、スバルグローバルプラットフォームのシャシーを使った新型レヴォーグのプロトタイプに限定的なシチュエーションではあるが試乗をしてきたのでその様子をお伝えしたい。
新開発の1.8リッターターボは2.5リッター以上にも感じる加速!
コースは一般道を想定した速度レンジによるスラロームと、段差時のサスペンションの評価ができるように作られている。
エンジンの始動はとにかく静かで、静粛性はひとつ大きなクラスに乗り替ええたような雰囲気だ。
ドアを閉じた感じも先代よりもフロントは重厚感が増した。ただし、前席に比べると後席のドアはそこまでではない。
新たなユニットは1.6リッターから排気量をアップした新開発の1.8リッターターボで、走り出しはスムーズかつパワフル。軽量化されたクランクシャフトの恩恵も相まってレスポンスも良く、2.5リッター以上にも感じる加速だ。
加速していく途中でCVTの設定が先代とは違うことがわかる。スムーズというよりも多段のイメージを意図的に作っており、逆に不自然な印象でもある。
しかし、エンジンのトルク特性が濃厚なことから、中間加速はとても良い。快適なロングツーリングが約束されているかのようだ。
短い距離で時速70キロから時速30キロまで落とすとブレーキのタッチが非常に良い。剛性感があって踏めば踏むほど制動力が生まれる性能だ。
ただし、負荷をかけたtoki のコントロール性は新たなブレーキシステムということもあるのだろうか、不自然さが残る。これからの熟成が楽しみだ。
そのままコーナリングをすると、シャシーのしっかり感が先代とはまるで違う。安心してフラットライドで走り抜けることが可能だ。
ロールをしてもタイヤがしっかりと路面に追従している感じがとてもする。地に足がついたサスペンションとはこういうセッティングであろう。
スラロームでのアクセルコントロールと素早いステアリング操作が一体となって、よりスムーズな進入と脱出が可能となる。
新たなZF社製の電子制御ダンピングシステムは、一般道で初めてその効力を発揮しそうな装備だが、今回通常のダンパーと乗り比べてわかったのは、電子制御式のダンパーは路面の変化に細かく対応してボディがバイブレーションを起こる前にちゃんと収束させている。
通常のダンピングユニットだと、中速域あたりで様々な路面のアンジュレーションに対してボディの振動を収束できない場面もあった。今回はプロトタイプなので、量産型での公道試乗が楽しみである。
自動運転を見据えたアイサイトの進化
今回の試乗の目玉は、EyeSight Xという新しいバージョンの運転支援システムである。
これは自動運転を見据えているのは当然であるが、追従システムがまだ完全ではないようで私のときは誤動作もあって十分に試すことができなかった。
追従では、ブレーキの制動制御や車間のコントロールは滑らかで上手な制御である。
車線変更をウインカーひとつで行うことができるシステムもとても滑らかだ。
相当運転が慣れた人の車線変更である。
よそ見をしていると警告を発する装置があり、これも便利ではあるものの相当の時間、横を向いていないと反応しなかった。
もう少し早めの警告が望ましいが、プロトタイプなので量産時はそのあたりのソフトウエアも含めた部分がより確実なセットアップとなるはずだ。
あらかじめ地図のデータを3D化して入れておくと、料金所で自動的に速度に落としてETCゲートを通過できる機能も付いた。仮設の料金所を通ってみたがちゃんと速度を落としていた。
これは疲労の軽減に寄与し、実際の場面でうまく作動したら自動運転がどんどん現実となる。
車の性能は申し分ない。
先代よりも確実にしっかりとした骨格で、安心感を得られる電子制御のサスペンションとブレーキシステムである。そうでなければ高高度の運転支援システムはものにならないに違いない。
スバルはそう見込んで、新たなレヴォーグにしっかりとした車本来の性能に高度な電子デバイスを装着して安全性を増していることが、新型レヴォーグを試乗することによって理解できるのであった。 文/松本英雄、写真/篠原晃一
Posted at 2020/10/29 22:08:57 | |
トラックバック(0) |
富士重工 | 日記
2020年10月29日
「エクシーガに水平対向6気筒エンジンを換装!?」スバリスト垂涎のボクサーミニバン究極形態!【ManiaxCars】
フラット6のEZ36&5速ATをエクシーガに搭載しつつアイサイトまで稼働!
複雑な制御系も攻略した超変態ミニバンの産声!
スバル唯一の3列シート7人乗りミニバン(オペルザフィーラのOEM、トラヴィックは除く)として存在感を放っていたエクシーガ。2015年の生産終了後にはクロスオーバー7なんていうSUVが存在したが、これも2018年をもって販売終了。次に乗りたいクルマが見つからないスバルファンは多く、それだけに未だエクシーガは根強い人気を誇っていたりする。
そんなエクシーガで様々な仕様を手がけてきたのが“オートプロデュースA3”。これまでGRBやBP/BL9改(S402)のパワートレインを移植した“ミニバンの格好をしたスポーツカー”を作ってきたが、そこにEZ36型エンジンと5速ATを載せる新たな1台が加わった。
「そういえば6気筒のエクシーガは作ったことないなぁと思って。エクシーガって基本フロント周りがBP/BL系、リヤ周りがBR/BM系レガシィと同じなんですよ。で、BP/BL系にはEZ30型を搭載したモデルがあったし、EZ36型はEZ30型とサイズが同じだから、エクシーガにEZ36型を載せるにも寸法的には問題ないだろうと」と、オートプロデュースA3の武田さん。
実際、モノコック側は無加工で、干渉するウォッシャータンクを小加工しただけでEZ36型を搭載できたそうだが、マウント方法が見直されている。というのも、EZ36型を載せるBR/BM系は振動の低減を目的として、ゆりかご状のフレームにエンジンをマウントするクレードル構造を採用。
それに対してフロント周りがBP/BL系に準じるエクシーガへの換装では、クランクケース(シリンダーブロック)下側2ヵ所のマウントと、クランクケース後方をバルクヘッドと連結するバッファーロッドによる3点留めへと改められてるのだ。
最も、その辺りの構造的な違いやエンジン換装にあたっての解決策は、スバル車を知り尽くした武田さんには想定内。何よりも厄介なのが制御系だった。
「基本的にはBR/BM系のメインハーネスを間引いてエクシーガのメインハーネスに移植するんですけど、これが地道な作業で。ウチでは、やむを得ない場合を除いてハーネスを継ぎ足すことはせず、純正カプラーから端子を抜いて次に差し込みます。これまで作った中身GRBやS402は4気筒同士の組み替えでしたが、今回は4気筒から6気筒への変更なので、困難を極めましたね」と武田さん。
例えば、インジェクターや点火の信号線は2気筒分追加されるし、4気筒なら1系統のO2センサーも6気筒だと2系統ある。さらに、クルマ全体で統合制御が図られる今どきのクルマらしく、アイサイトもBR/BM系のものを移植して作動させないとエンジンにフェイルセーフが入ってしまったりする。
ちなみに、ミッションは6速MT化を予定していたが、制御系に問題が残るだろうと考えて断念。結果、フロアパネルの一部を張り替えた上で5速ATが搭載された。
車両に繋いだ故障診断機のオープニング画面には、“3.6DOHC”と表示される。EZ36型エンジンの搭載をちゃんと認識しているわけだ。純正ハーネスで制御系を構築している証と言っていい。
ステアリングホイールはプローバ製の小径Dシェイプに交換されているが、それ以外は純正然としたダッシュボード周り。電動パワステが合わないという問題があったものの、初期型エクシーガのステアリングラックと、BR/BM系と同じ配線のパワステ用ECUを移植することで解決できた。
恐らくエクシーガオーナーでなければ気づかない変更点がメーター。実はメーターユニットはBR/BM系のモノに交換されているのである。というのも、電動パーキングブレーキの制御がメーターで行なわれているから。メーターナセルの形状が違うのに、まるで違和感なく装着しているのが見事だ。
ATセレクターレバーの前方右側はエンジン特性を切り替えられるSI-DRIVEの操作ダイヤルで、これはベース車2.5iスペックBに備わるモノ。その左が、移植された電動パーキングブレーキのスイッチだ。始めから存在していたかのように、自然に装着されている。
ブレーキはS206などに使われるフロント6ポット、リヤ4ポットキャリパーで強化。ちなみに、駆動系はプロペラシャフト以降、BR/BM系のパーツを流用。エクシーガ用に比べ、デフサイズが大きくドライブシャフトも太いなど容量アップされている。
以前、BLE型レガシィB4でEZ30型に試乗したことはあったが、排気量3.0Lなのに低速トルクが薄くて愕然とした。そんな記憶があるため、「もしかしてEZ36型も…」などと思っていたのだけど、さすが600ccも大きいだけあってアイドリング回転+αの領域から十分なトルク感がある。というか、アクセルペダルに軽く足を乗せてるだけでグングン加速していく感覚だ。
漲るトルクを感じつつ、右足の踏み込み方ひとつでそれを即座に引き出せるし、振動なくスムーズにエンジン回転を高めていく上質なフィーリングは、レシプロエンジンの中でもフラット6ならではのもの。
しかし、何より凄いのは、始めからEZ36型を載せたモデルが存在したのではないか? と思えるほどの高い完成度に尽きる。これは完全にメーカーレベルの仕事。オートプロデュースA3の実力を示した超大作だ。
TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)
●取材協力:オートプロデュースA3 大阪府岸和田市稲葉町216-5 TEL:072-479-2760
Posted at 2020/10/29 22:04:55 | |
トラックバック(0) |
自動車業界あれこれ | 日記
2020年10月29日
対策実施済を示す「リコールステッカー」を廃止へ
国土交通省は10月23日、自動車メーカー各社から、リコール改善措置が実施済みであること周知するため車両に貼付している「統一的なリコールステッカー」を11月1日から廃止するとの報告を受けたと発表した。
自動車メーカーは、リコール改善措置が実施済みであることを自動車ユーザーに周知するため、リコールステッカーを対策実施済の車両に貼付している。
いっぽう最近では、メーカー各社のウェブサイトからリコール情報や、改善措置の状況が容易に確認できる環境が整っている。また、今後、本格導入される無線通信を経由したソフトウェア更新によるリコール作業では、ディーラーへ車両を入庫することなく改善措置が実施可能となる。
こうしたことを背景にステッカーの貼付は、自動車ユーザーの利便性を損なうことになりかねないことから、11月1日以降のリコールから自動車メーカー各社はステッカーの貼付を廃止することを決定し、国土交通省に報告した。
リコールの情報は自動車メーカー各社のホームページのリコール対象車両・実施状況から検索できる。自動車メーカーは運転先ディスプレイにリコール改善措置が実施済みであることを表示するなど、実施状況を確認できる識別方法をホームページに掲載する。
Posted at 2020/10/29 21:59:29 | |
トラックバック(0) |
リコールなど | 日記
2020年10月29日
スバルの名機が欲しいなら待ったなし!! 最後のEJ20搭載車「WRX STI」が高騰!
平成の30年間スバルを支えたエンジンといえば、EJ20型 2L水平対向4気筒ターボエンジンだ。2019年末をもってEJ20型エンジンを搭載していた「WRX STI」が生産終了となり、輝かしい歴史に幕を閉じた。
その生産終了直後の2020年1月にWRX STIの中古車事情を執筆したが、WRX STIの中古車の流通台数は約84台で、特別仕様車はおおむね1~2台流通していた。
2017年5月に行われたマイナーチェンジで前後期を分けると、2020年1月の時点では前期型が約73.9%、後期型は約26.1%と圧倒的に前期型の中古車が多かった。
平均価格は全体的には値上がり傾向であったものの、2015~2016年式の初期モデルは値落ちしていたのだ。また、限定車も「S207」が約476万~約486万円、「NBRパッケージ」が約578万円。そして「S208」は約639万円そして、「NBRパッケージ」が約700万~約857万円だった。
それから約9カ月が経過した現在、絶版車となったWRX STIの中古車事情はいったいどうなっているのだろうか。1月の時点予想したとおり値上がり傾向となっているのであろうか。
文/萩原文博
写真/編集部、SUBARU
【画像ギャラリー】2019年12月をもって受注生産の注文受付を終了した「WRX STI」 その詳細をチェック!!
■減少する流通数 後期型の最終モデルが最多に
現在、WRX STIの中古車の流通台数は約64台と2020年1月の約76%に減少している。
年式では2014~2017年までの前期型が約22台、後期型が約42台となり、比率も前期型が約34.3%、後期型が約65.6%となりわずか9カ月で大きく様変わりしている。
2014年に登場した「WRX STI(前期型)」。かつては、インプレッサの「 WRX STI」というグレードだったが、フルモデルチェンジを受けてひとつの車名として独立した
WRX STI(後期型)。それまで機械式LSDを組み込んでいたDCCD(ドライバーズコントロールセンターデフ)を、電磁式LSDのみのフル電子制御に変更するなど、見た目でなく走りに直結する部分も変更された
年式別でも2014年式が10台、2015年式が9台、2016年式が3台、2017年式が17台、2018年式が4台そして2019年式が21台となっている。特に注目なのは2019年の最終モデルで、1月時点ではほとんど流通していなかったが、現在は最も多い年式となっているのだ。
続いて、WRX STIの中古車のグレード構成を見てみる。最も多いのは約54.6%の「STI タイプS」。続いては、STIの「標準車」で約34.3%。そのほかは特別仕様車で「S207」が1台、「S208」が5台、「タイプRA-R」が1台となっており、9カ月経過しても「EJ20ファイナルエディション」は出回っていない。
2019年末に555台限定で販売された「EJ20ファイナルエディション」。9カ月経過した現在でも出回っていない
■プレミア価格の中古車も! 値上がり傾向で購入なら待ったなし
それでは、各モデルの価格帯を見てみよう。まずは中古車の流通台数が最も多い「STIタイプS」だ。中古車の価格帯は約237万~約638万円で、新車時価格の414万8000円を上回るプレミアム価格の中古車が14台も出回っている。なかには走行距離30kmという未使用車もある。ボディカラーは人気のWRブルーを中心に、黒、白、そしてシルバーの順となっている。
続いては、STIの「標準車」だ。中古車の価格帯は約245万~約650万円でこちらも新車時価格を上回る中古車が10台以上もある。ボディカラーはWRブルーが中心だが、タイプSでは見られなかった赤のボディカラーも数は少ないものの見つけることができる。
さらにWRX STIの特別仕様車を見てみる。まずは2015年10月に400台限定で販売された「S207」。2020年1月の時点では数台流通していたが、現在はわずか1台だけで、価格は約436万円で値落ち傾向となっている。
WRX STIベースの特別限定車第1弾が「S207」だった。NBR チャンレジパッケージ(写真右)は最大数100台があっという間に完売した
2017年10月に限定450台で販売された「S208」。S208の標準車は2台流通しているが、価格は1台が約670万円で、もう1台は応談。走行距離がわずか2000kmなので800万円近いと考えられる。WRX STIの特別仕様車で最も多いのが、4台流通している「S208 NBR チャンレジパッケージ カーボンリアウィング」。価格帯は約800万~約850万円で値上がり傾向となっている。
インプレッサ&WRX STIベースのS200シリーズの日本での最後のモデルが「S208」。写真はニュルブルクリンクチャレンジパッケージのクールグレーカーキ
そして1台だけだが、2018年7月にSTI創立30周年を記念して発売された「タイプRA-R」も流通している。価格は約700万円で1月の時点より大幅な値上がりを示した。流通台数が減少したS207は値落ちしているが、そのほかの特別仕様車は値上がり傾向や高値キープといった状況だ。
2018年7月、STI創立30周年記念モデルとして500台限定で発売された「タイプRA-R」
最後にWRX STIの年式ごとの平均価格の推移を見てみる。2014年式は3カ月前の約300万円から現在は308万円へと値上がり。2015年式は約328万円から約347万円へと値上がり。2016年式は約302万円から約307万円へと値上がり。2017年式は約371万円から約404万円へと値上がり。2018年式は約394万円から約451万円へと値上がり。そして2019年式は約550万円から約595万円へと各年式とも揃って値上がり傾向となっている。特別仕様車で複数台流通している「S208 NBR チャンレジパッケージ カーボンリアウィング」は約830万円付近で横ばいとなっている。
●ベストカー厳選!! これ以上値上がりする前に手に入れたい「WRX STI」最新中古車情報はコチラ!
2020年1月の時点ではまだ値落ちしている年式もあったのだが、現在は全年式で値上がり傾向となっており、もう今後値落ちするケースは考えにくくなった。これからは高値安定もしくはさらに値上がりという二者択一になると考えられる。欲しいと考えている人はもう待ったなしとなった。
新型レヴォーグで勢いに乗るスバル なぜ一斉に受注終了? 燃費規制にまつわる厳しい事情とは
■ほとんどのモデルが受注終了の“怪”
2020年10月15日、スバルから新型「レヴォーグ」がいよいよ発表されました。数少ない国産スポーツワゴンであり、高度運転支援システムである「アイサイトX」が搭載されているなど発売前から大きな話題を呼んでいました。
また、10月8日にはスバルの主力である「インプレッサ」と「XV」の改良モデルを発売。加えて、「フォレスター」も10月22日に“C型”と呼ばれる新モデルへ年次改良されます。
さらに、次期「BRZ」のティザー画像も公開され、ほとんどすべての主力車種を刷新するなど、ここ最近はスバルの勢いを感じます。
一方で、主力モデルのモデルチェンジや改良がここまで重なるのは、非常に珍しいことだといえます。そして、必ずしも喜ばしいことともいえません。
一般的に新モデルと旧モデルを併売することはあり得ないため、モデルチェンジ直前に旧モデルを売り切る必要があります。
在庫状況を見計らって受注を終了しなければならないため、モデルチェンジの前後ではクルマを買えないタイミングができてしまいます。また、新モデルの情報が見られるようになると、ユーザー側も買い控えが起こります。
実際、2020年7月から8月にかけて、上記の主力モデル以外にも「レガシィ」や「アウトバック」、「ジャスティ」「ステラ」「サンバー」などほぼすべての国内でスバルが販売するモデルが受注終了となりました。
受注終了が相次いだ理由として販売店は、「モデルチェンジが重なったため」と話します。
しかし、自動車メーカーのモデルチェンジカレンダーは数年先まで決められているのが普通で、生産やマーケティング上の都合で多少前後することはあるものの、一斉にモデルチェンジをすることはありません。
一時的とはいえ、売るものがない状態なので販売店も厳しい状況だったことが想像できます。
じつは、これほどまでにモデルチェンジが重なった理由には、スバルとしてやむを得ない事情がありました。
世界的に見ても日本は燃費規制の厳しい国です。石油資源をほとんどもたない日本にとって、燃費の良いクルマを増やすことは至上命題であり、そうした背景も合って日本ではハイブリッドカーなどが普及してきました。
これまでの燃費規制は、原則としてそのモデルごとに設定されるものでした。しかし、年々規制が厳しくなる燃費基準に合わせようとすると、すべてのラインナップをハイブリッド化するなどする必要があり、メーカー側としても柔軟なクルマづくりができなくなるという問題点があります。
そこで導入されたのが通称「CAFE規制」と呼ばれる「企業間平均燃費」による規制という考え方です。これは、モデルごとではなく各メーカー全体の販売台数における平均燃費を基準とするものです。
実際の計算式は非常に複雑なため割愛しますが、現在の基準では販売された新車の燃費がおおよそ20km/Lを超えている必要があります。
この数値は、あくまで販売台数の平均であるため、たとえばエコカーを多く販売していれば、燃費の悪い大型車やスポーツカーもある程度販売できることになります。
その点で、モデルごとに燃費基準を設けるよりも、メーカーにとっては多様な戦略をとれるという点でメリットがあります。
CAFE規制はすでに北米や欧州でおこなわれており、一定の成果を出していることから、日本でも導入されることになりました。そして、このCAFE規制が導入されるのが2020年度だったのです。
スバルのモデルチェンジラッシュは、このCAFE規制が影響しているといえます。スバルの魅力のひとつである水平対向エンジンは、その独特のフィーリングに定評がありますが、燃費という観点で見るとライバルに見劣りするのも事実です。
また、スバルは、トヨタやホンダのようなフルラインナップメーカーではなく、いくつかの主力モデルが販売をけん引するという構成です。
そして、その主力モデルに搭載されている既存の水平対向エンジンでは、CAFE規制をクリアできないことは明らかだったのです。
そこで、新型レヴォーグでは、CB型と呼ばれる新開発の1.8リッター4気筒水平対向エンジンを搭載しました。
さらにインプレッサにはハイブリッド仕様である「e-BOXER」をラインナップするなど、環境性能に優れた新型車を投入することで、厳しい規制への対応を図っているといえます。
つまり2020年度基準を達成するために、主力モデルのモデルチェンジを急いだというのが真相だと考えられるのです。
■北米一本足打法のツケ? 今後のスバルはどうなる?
自動車の歴史は規制対応の歴史でもあり、それはスバル以外のメーカーも同様です。
一方で、CAFE規制が導入されること自体は以前から決定していたものであるにもかかわらず、なぜスバルがこれほどまでに急いで対応をしているのでしょうか。
それは、2010年代以降スバルが採用してきた「北米一本足打法」の戦略があります。2019年のスバルの世界販売台数は104万1712台ですが、そのうち北米では70万117台を販売しています。日本国内の販売台数は13万1261台と、北米の20%程度しかありません。
そして、北米は日本よりも燃費基準が緩やかな地域です。また、スバルが強いとされるアメリカ中西部では、電動化のニーズもそれほど高くありません。
つまり、スバルは北米での販売を優先させたため、相対的に環境規制への対応が遅れたと見ることができます。
そこで新規開発のCB型エンジンに期待がかかるわけですが、じつはこのエンジンそのものは決して圧倒的な燃費性能を持っているわけではありません。
実際、このエンジンを搭載した新型レヴォーグのカタログ燃費は、WLTCモードで13.7km/L(17インチ車)と、従来型から改善しているとはいえ、決して低燃費とはいえません。
このように考えると、新型レヴォーグを投入したからといって、CAFE規制の基準をクリアできるかどうか定かではありません。おそらく、難しいでしょう。
燃費規制を主導する国土交通省と経済産業省は「未達成の製造事業者等には、相当程度の燃費の改善をおこなう必要がある場合、勧告、公表、命令、罰則(100万円以下)の措置がとられる可能性がある」としています。
2019年の売上高が3兆円を超えるスバルにとって、せいぜい100万円程度の罰金は痛くもかゆくもないでしょう。しかし、お金で解決するのは得策ではありません。
上述の通り、環境対応は国家の至上命題であり、国民全体が目指していくべき方向です。
もしその方向に従わないのであれば、極端な例ですが、国土交通省は車両認可をおこなわない、つまりそもそも新車を販売させないということもできてしまうのです。
そのように考えると、CAFE規制をクリアできるかどうかよりも、それに向けて努力しているという姿勢を見せることが先決だと考えたのかもしれません。
しかし、燃費基準は年を追うごとに厳しくなり、2030年には25.4km/Lの企業間平均燃費を達成することが求められます。
燃費向上技術も年々進歩しているとはいえ、既存のガソリンエンジンのみで達成することはかなり難しく、遅かれ早かれ電動化が急務です。
すでに北米では、クロスオーバーSUVの「クロストレックハイブリッド(日本名:XV)」というPHEVモデルを販売しています。
また2020年1月にスバルは、「2030年までに全世界販売台数の40%以上を電気自動車+ハイブリッド車にする」ことと「2030年代前半には生産・販売する全てのスバル車に電動技術を搭載する」と発表。さらには2020年代に投入予定のバッテリーEVのSUVコンセプト(トヨタとの共同開発)を公開するなど、準備を進めている段階です。
今後は、スバルは新型エンジンをベースにしたハイブリッド、もしくはプラグインハイブリッド(PHEV)を発売することが予想されますが、いまはそれまでの時間稼ぎのタイミングと見ることもできるでしょう。
※ ※ ※
もし主力市場である北米の燃費規制が急速に厳格化するなどして、スバルの燃費対応が間に合わなかった場合はどうなるでしょうか。
そうなると、エコカーを多く販売しているより大手のメーカーに吸収されるしかないでしょう。たとえば、すでに資本関係があり、世界でもっとも多くのハイブリッドを販売しているあのメーカーかもしれません。
Posted at 2020/10/29 21:53:49 | |
トラックバック(0) |
富士重工 | 日記