日産 GT-R NISMO に新ターボ採用、2020年型は21万0740ドルから…米国発売へ
日産自動車の米国部門は7月8日、『GT-R NISMO』(Nissan GT-R NISMO)の2020年モデルを7月12日に発売すると発表した。現地ベース価格は、21万0740ドル(約2295万円)と公表されている。
日産『GT-R』シリーズの頂点に位置するハイパフォーマンスモデルがGT-R NISMOだ。2020年モデルでは、モータースポーツから得られた最新ノウハウを導入し、さらなる性能アップを目指している。
◆3.8リットルV6ツインターボは600hp
2020年モデルには、GT-RのGT3レーシングカーに2018年から使用されている新開発のターボチャージャーを装着する。NISMO用の新たなタービンブレードは、枚数を減らすとともに、最新の流体・応力解析を用いて、形状を見直した。これにより、出力をダウンさせることなく、レスポンスをおよそ20%向上。コーナー立ち上がり時など、アクセルを踏み込んだ際の立ち上がり加速性能を高めているという。
GT-R NISMOの2020年モデルには、3.8リットルV型6気筒ガソリンツインターボエンジンを継続搭載する。米国仕様の場合、最大出力600hp、最大トルク66.5kgmを発生する。
◆カーボンセラミックブレーキは世界最大級サイズ
2020年モデルでは、新開発のカーボンセラミックブレーキを装備した。このカーボンセラミックブレーキは、世界最大級のサイズ。世界トップクラスの制動性能やサーキットでの高Gでの効きの良さと、一般道などでの低Gでのコントロール性の両立を目指す。ブレーキローターの大径化に合わせて、ピストン配列を最適化した専用の高剛性キャリパーと、新しい摩擦材のブレーキパッドを開発した。高負荷状況だけでなく、日常的な使用で優れた制動力とコントロール性の両立を狙う。
なお、この新開発のカーボンセラミックブレーキと、カーボン製の部品やレカロ製シートなどを合わせて、従来比でおよそ30kgの軽量化を成し遂げている。
2020年モデルでは、電子制御サスペンションのセッティングも変更した。軽量化したブレーキとの相乗効果で、ばね下重量を大幅に削減する。これによって、路面をより確実にとらえ、路面の凹凸に合わせてタイヤのグリップを最大限使用することが可能に。高速域ではステアリングの修正が最小減に抑えられ、コーナリング時の旋回Gが向上し、より速いコーナリングを実現しているという。
◆カーボン製外装パーツで10.5kg軽量化
2020年モデルの外装には、GT-R NISMOのGT3レーシングカーと共通イメージのフロントフェンダーエアダクトを採用した。このエアダクトは、エンジンルームからの熱を逃がすとともに、エンジンルームの内圧を下げる。また、エアダクトの排出風によって、フェンダー表面の流速を下げることにより、表面リフトを減少させることによって、フロントタイヤのダウンフォースを増やす効果を発揮するという。
ルーフやボンネット、フロントフェンダーには、カーボン素材を導入した。車両重心点から遠い部品を軽量化することにより、コーナリングの性能を引き上げるのが狙いだ。ルーフにはカーボン素材の間に、より低比重の材質を挟み込むサンドウィッチ構造を採用。さらなる軽量化を追求した。これらの部品によって、従来比でおよそ10.5kgの軽量化を果たしている。
車両の軽量化、空力性能の向上に加えて、9本スポークの軽量&高剛性な鍛造アルミホイールを装着した。新開発のハイグリップゴムを使用すると同時に、走行中の接地面積を最大化したハイグリップタイヤも新開発している。
インテリアには、新開発のレカロ製シートを装備した。車両とドライバーの一体感をさらに高めるために、ドライバーの肩甲骨から脇腹、骨盤を安定して支えるデザインを導入する。また、カーボンシェルにコアフレーム構造を追加することにより、軽量化と高剛性化を両立させた。ドライバーは、車両の動きを手に取るように感じ、車両を意のままに操ることができるという。
【独占試乗】「日産GT-R NISMO」20年モデル日本仕様を全開! 衝撃の進化っぷりとは
注目のカーボンブレーキは従来品ではなく完全新設計!
発売から12年目に入り、さらなる「深化」を遂げた日産自動車のR35型「NISSAN GT-R」2020年モデル(以下MY20)。先日リポートした「GT-R Premium edithion」の公道試乗に続き、日本国内初となる「GT-R NISMO」のサーキットインプレッションにも成功! スーパーGTをはじめ、世界中の各カテゴリーで活躍しているレースマシン「NISSAN GT-R NISMO GT3」のDNAを受け継いだGT-Rのフラッグシップモデル、その走りを全開で試す!
2019年4月17日にMY20として発表された3つのGT-R。ひとつは基準車となる「GT-R Pure edition/Black edition/Premium edition」、もうひとつはGT-R生誕50周年を記念した期間限定販売の「GT-R 50th Anniversary」(ベースはPremium edition)。そして、3つ目がMY20の真打ちと言っていい「GT-R NISMO」である。
2007年にデビューしたR35型GT-Rは、「いつでも」「どこでも」「誰でも」その超絶性能を味わうことができるマルチパフォーマンススーパーカーを標榜していた。それゆえ、基準車は街乗りからサーキット(世界一過酷なドイツのニュルブルクリンクを含む)まですべてをカバーすべく開発されたのだ。
しかし、2013年4月1日にGT-Rの開発チームが一新されたことで、MY14以降は「GT」と「R」というふたつのベクトルを追い求めたモデルが個別に用意されることになった。前者は文字どおり「グランドツーリングカー」としての上質な乗り心地を持たせた基準車、後者が「レーシング」の領域、すなわち速さを徹底的に磨いたNISMOである。
レースマシン譲りの本格的なエアロを纏ったNISMOは、外観のみならず専用エンジンも与えられ「最高出力:600馬力/最大トルク:652N・m」と、国産スポーツとしては最高峰のスペックが与えられている。また、専用接着剤を用いたボンディングでボディ本体を強化するなど、基準車のGT-Rに対して大幅なポテンシャルアップが図られた特別なモデルという位置付けだ。
GT-R NISMOはこれまで、MY14/MY15/MY17/MY18と進化してきたが、今回発表されたMY20で特筆すべきは、軽くて強い「ドライカーボン」の使用部位を、従来モデルに比べて拡大した点である。
もともと、前後バンパーやトランクリッド、リヤスポイラー、サイドステップなどにカーボンを用いていたが、MY20ではこれらに加え、フロントフェンダー/エンジンフード/ルーフパネルまでもカーボン化。もはや、外板面積はカーボンの比率のほうが高いのでは?(ドアはアルミ製、フロントピラーおよびリヤクオーターは鋼板)というほどに気合いが入っている。なお、各部のカーボン化により、ボディ上屋は合計で約10.5kgの軽量化を実現しているという。「たかが10kg?」と侮るべからず。その効果に関しては後述しよう。
さらに、MY20のNISMOのトピックと言えるのが「カーボンセラミックブレーキ」の標準装備。かつて、R35の軽量バージョンである「スペックV」にも同様のカーボンブレーキが装備されていたが(のちにエゴイストやプレミアムエディションにもオプション設定された)、今回のブレーキシステムはGT-R NISMO用に新規開発されたモノで、ローターをカーボンセラミックとするのみならず、ブレーキキャリパーも専用の大型タイプに置き換えられる。
ちなみに、ブレーキローター径はフロント=410φ/リヤ=390φという世界最大級のサイズを採用(基準車は380φ/370φのスチール製)。NISMO専用となる新デザインのRAYS社製20インチ9本スポークホイールから覗くその姿は、まさに「パツパツ」状態! スポークの裏やリム内側とのクリアランスは、メーカー純正ブレーキとしては異例なほどに「攻めて」いる。
大型化されたキャリパーは若干重量が増したというが、カーボンセラミックローターおよび新ホイールの採用で、従来モデルよりもバネ下重量は16.4kgも軽くなっているそうだ。一般的にバネ下1kgの軽量化はバネ上換算で10kgのマイナスに等しいという説があるだけに、運動性能に及ぼす影響は言わずもがな、であろう。
ウエット路面を忘れさせる圧倒的パフォーマンスを披露
軽量化+強力なブレーキシステムの導入こそが、GT-R NISMOの走りをさらなる領域に高める。R35GT-Rの統括責任者である日産自動車の田村宏志さんは、新しいNISMOに関して「パワーを上げずとも、トータルバランスを高めることでクルマの走りはガラリと変わります。全開でぜひその性能を試してみてください」と自信満々に語ってくれた。そう、筆者はまだ正式発売前のGT-R NISMO MY20にサーキットで試乗する特別なチャンスを得たのだ。試乗ステージは北海道東部の雄大な平野に位置する「十勝スピードウェイ」。生憎のウエットコンディションとなったが、思う存分新しいNISMOの走りを堪能することができた。
十勝を走るのは10数年ぶりということもあり、1周目はゆっくりとコースに慣れることに徹することにした。トランスミッションはM(マニュアル)ではなくA(オートマチック)のRモードを選択。サスペンション/VDC-Rのスイッチも同様にRモードにセットしてコースイン。ピットアウトする際、サスペンションが低速でもしっかりと動くことがわかる。ダンパーの減衰力がもっともハード側に固定されるRモードにも関わらず、である。
軽く加速したあと、1コーナーのかなり手前でブレーキを「試し踏み」してみたところ、これまでGT-Rでは味わったことない、地面にグイッと食い込むような減速感に襲われる。もはや全開にするまでもなく、MY20のNISMOが従来モデルとは別物であることを悟ってしまった。
ウォームアップランを終えると、翌周からは自然とペースがアップ。ピットアウト直後のファーストコンタクトで、そのポテンシャルの高さを即座に感じることができたからだ。ブレーキが利くクルマほど安心なモノはない。加えて、R32型以降のGT-Rの伝家の宝刀とも言えるアテーサE-TSのトルクスプリット4WDも、ウエットコンディションでの恐怖心を確実に和らげてくれる。試乗前は「雨か……」と思っていたが、逆にウエットだからこそ新しいGT-R NISMOの進化がリアルに伝わってきたと言えよう。
3周目以降はマージンを残しつつ、ある程度限界まで攻め込んだ走りを試してみた。従来モデルのハンドリングも重量級のハイパワー車としてはクイックだったが、MY20はさらに輪を掛けて「曲がる」クルマに変貌。ステアリングを切り込んだ瞬間からリニアにノーズがインを向き、コーナリング中は4輪がしっかりと接地して路面を掴む、そして立ち上がりでは4WDのトラクションを生かしてグイグイ加速。これまで、雨のサーキット走行が楽しいと感じられることはあまりなかったが、今回は違う。
そしてもうひとつ忘れてはいけないのは、その楽しいコーナリングの手前にある「減速」だ。カーボンセラミックブレーキはペダルの初期から奥まで制動コントロール性の幅が広く、ABSが介入してもしっかりとした減速感が伴う。ペダルに伝わってくるABSの反力も決して大げさではない。カーボンセラミックおよび大径化というマテリアルに起因するものだけではなく、ABSの制御の緻密さと精緻さもそこから感じ取ることができる。
また、摩擦μの低いウエットにも関わらず、フルブレーキング時の減速Gも相当なモノで、これがドライ路面だったら「どれだけ止まるの?」と思わずにはいられない。機会があればぜひもう一度サーキットで試してみたい。そう思わせるほどのキャパシティを持っているブレーキだ。
どうしてもインパクトの高いブレーキに目が行きがちだが、今回感じたポテンシャルは軽量化されたボディ上屋に起因する軽い身のこなしやサスペンションのリセッティング(バネ/ダンパーともに仕様を変更)、そしてトレッドパターンやコンパウンドに留まらず、構造まですべてを見直したというNISMO専用のランフラットタイヤ(ダンロップ製)によるところも大きいと思われる。
仮にその内のどれかひとつでも性能的に欠けていたら、とてもじゃないがウエットのサーキットをここまで安心して走ることはできない。つまり、これこそ田村宏志さんが言っていた「トータルバランス」の成せる業、ということなのだろう。
「速さの追求」=「パワーアップ」という手段だけにあらず。GT-R NISMO MY20の速さは、絶大な安心感と高バランスの上に成り立っていることを実感できる試乗であった。気になるGT-R NISMO MY20の正式発売は2019年10月予定とのこと。なお、GT-R NISMOおよび基準車のMY20のインプレッションに関しては、2019年8月1日発売予定の「GT-R Magazine」でさらに詳しくリポートする予定だ。
これが新型NISMO!? 何が変わった? 日産「GT-R NISMO」2020年モデル最速試乗!
2007年の日産「GT-R(R35型)」の衝撃的な登場から12年が経過しました。これまで「最新のGT-Rは最良のGT-R」と手を止めることなく進化/熟成をおこなわれてきました。
常に進化するGT-Rは、2020年モデルになったことでどこが変わったのでしょうか。
さらに進化した日産「GT-R(2020年モデル)」 最新スペックは2020年モデルとなり、今回は2019年7月に受注が開始され同年10月に発売予定の「GT-R NISMO」に、ドイツ・ベルリン近郊の一般道や速度無制限のアウトバーン、そしてサーキット(DTMも開催されるユーロスピードウェイ)で試乗をしてきました。
2013年よりGT-Rの開発責任者を務める田村宏志氏は「私が担当して以降は主に『GTゾーン』である基準車を強化していきましたが、2020年モデルは『Rゾーン』のNISMOにフォーカスしました。600馬力を一つのに区切りとしてほかのバランスを上げていくことを目標にしました」と語っています。
いきなり結論になりますが、2020年モデルは従来のGT-R NISMOのRゾーンをより懐が深く研ぎ澄ますと同時に、その対極のGTゾーンも引き上げた走りに仕上がっています。
筆者(山本シンヤ)は、ある意味GT-Rの掲げたいつでも・どこでも・誰でも高い性能を味わうことができる「マルチパフォーマンススーパーカー」の“集大成”だと感じました。実際にどのようなアップデートが施されたのでしょうか。
パワートレインは、3.8リッターV6ツインターボ(VR38DETT型)で、600ps/652Nmのスペックに変更はありませんが、レスポンスを上げるためにタービンの羽の枚数変更(11枚→10枚)と形状を最適化させた新型ターボを搭載。もちろん、それに伴いエンジンとのマッチングも再チューニングされています。
6速デュアルクラッチ式のトランスミッションはハードの変更はありませんが、エンジンの変更に合わせて制御を変更。とくに、Rモードのシフトスケジュールはサーキット走行をDレンジでおこなっても、ドライバーの意志に見合ったものを採用。
シャシ側も多岐にわたるアップデートがおこなわれています。田村氏は「クルマはトータルバランスが重要なので、当然だと思っています」とサラッと語っていますが、その規模はフルモデルチェンジに匹敵するレベルといっていいと思います。
ブレーキは従来モデルも十分な性能を持っていましたが、「サーキットや超高速で効かなくなってくる」という声から、新たにカーボンセラミックブレーキを採用。GT-R史上最大の大径ディスク(フロント直径410mm、リア直径390mm)に専用の高剛性キャリパーの組み合わせにより、世界レベルの効きと普段の走行でも優れたコントロール性、そしてバネ下重量の大幅低減を実現。
さらなるコーナリング性能アップのためにサスペンションのセットアップを変更に加えて、グリップ力と接地面積を向上させたタイヤと従来品よりも軽量かつ高剛性を実現させたアルミホイール(9本スポーク)を新開発。その結果、速さの指標となるコーナリングフォース(CP)は5%向上しています。
また、GT-Rのボディはデビュー当初から強靭な事で有名ですが、今回シャシ性能を引き上げたことでより強固にする必要があり、新たにルーフ/エンジンフード/フロントフェンダーをカーボン製に変更。結果として10.5kgの軽量化も実現。
インテリアは、新設計されたレカロ製のバケットシートが特徴です。これはシャシの性能向上に剛性が足りなくなり、形状はもちろん骨格まで新設計されました。シートバック全体のねじれ剛性を20%アップしながら、約2.8kg/台の軽量化を実現しています。
2020年モデルいざ、市街地での試乗へ!! まず、ベルリン近郊のホテルからユーロスピードウェイまで、市街地からアウトバーンを含めた約135kmのツーリングです。
出発前は「一般道はハードだろうな」と思ってスタートしましたが、第一印象は「これ本当にNISMO?」でした。硬い柔らかいでいえば硬い部類ですが、従来モデルよりも足の動きがスムーズかつ軽やかで、路面の凹凸を実に巧みに吸収する「しなやかで洗練された硬さ」で、快適性は高いレベルです。
これは、カーボンセラミックブレーキ採用によるバネ下重量軽減、より引き上げられたボディ剛性、それに合わせてリセッティングされたサスペンションと新開発されたタイヤの相乗効果でしょう。サスペンションをコンフォートモードにすると初期モデルの基準車よりも優しい乗り味だと感じました。
さらに進化した日産「GT-R(2020年モデル)」 カーボンセラミックブレーキは、街乗り領域でも繊細なコントロール性と優しいタッチに感激。高性能ブレーキ特有の“鳴き”も、今回乗った限りは全く感じませんでした。
アウトバーンでもその印象は変わりません。エアロデバイスによる空力操縦安定性とよく動くサスペンションの相乗効果で、手に汗に握ることなくクールに200km/hオーバーの“ハイスピードクルージング”を楽しむことができます。
今回の試乗車は、サーキット向けのアライメント値でしたが、それを差し引いても直進時安定性は非常に高いレベルでした。ちなみにアウトバーンの速度無制限区間での最高速チャレンジはメーター読みで308km/hを記録しています。そこからのブレーキングも絶大な信頼性を持っています。
エンジンは従来モデルでは600ps/652Nmのパフォーマンスと引き換えに、実用域のレスポンスやターボラグなど、ある意味チューニングカーらしい荒々しさが残っていましたが、新型はハイスペックなのに滑らかで洗練された印象です。
低速域のマナーも整えられた上に振動やノイズも抑えられた6速DCTの熟成も相まって、ストップ&ゴーも含めた実用域でもストレスなくスムーズに走らせることができます。
ただ、高速域では6速だと巡航回転数が高くなってしまい、助手席との会話が大声になってしまうのが残念な所です。欲をいえば7速、8速と多段化を期待したい所ですが、それは現状では叶わぬ夢。ただ、ボディ剛性アップで音の伝達が変わったのかメカニカルノイズが減っており、結果的にエンジンの澄んだサウンドが心地よく聞こえるようになったのは嬉しい誤算です。
サーキットでの実力はいかに? サーキットでの試乗は、比較用として従来モデル(2017年モデル)も用意されていました。見た目はソックリですが乗り味は異なります。2020年モデルに乗ると、まるでクルマがより小さく軽くなったかのような錯覚に陥ります。
さらに進化した日産「GT-R(2020年モデル)」 ユーロスピードウェイのコースは200km/hを超える直線と奥のRがきつくなるコーナーで構成されていますが、とくにS字のような切り返しのあるコーナーで、2017年モデルは「ヨッコラショ」と上屋が動くのに対して、2020モデルは重さを感じにくく身のこなしも軽やかです。車両重量は2017年モデルに対して約20kg軽量ですが、上屋の部分が軽くなったことで体感はそれ以上です
ハンドリングは、アンダーステアが減ったのとトラクション性能のアップ、さらにドライバーの細かな操作にクルマがより忠実に反応するようになったのが印象的です。今思うと2017年モデルの性能を十二分に引き出すためにはドライバーのスキルも必要でしたが、2020年モデルはその性能を誰でも引き出しやすいクルマになっています。例えるならNISMOの絶大な安心感と基準車の自在性が融合した走りです。
ちなみに、VDC-Rモードで2017年モデルと2020年モデルを同じように走らせてみると、明らかに2020年モデルのほうが制御の介入が少なく、さまざまな要因がありますが、そのなかでもタイヤの進化が大きいといえます。
パワートレインはレスポンスアップが速さに確実に効いています。ユーロスピードウェイには6速DCTだとギアが合わないコーナーがいくつかありますが、2017年モデルだと一瞬ラグがありモタつく状況でも2020年モデルはスーッと前に押し出してくれて、この立ち上がりの差はストレートエンドのトップスピード差に繋がっているはずです。
カーボンセラミックブレーキは絶対的な制動力の高さはもちろん、何周走っても変化のないフィーリングやタッチ、耐フェード性の高さなど、一度味わってしまうとあれだけ凄いと思っていたスチールブレーキが不安に感じてしまうほどです。価格は高いですがそれ以上の価値はあると断言できます。
今回は、タイム計測をおこなっていませんが、もし筆者(山本シンヤ)がアタックをおこなったら2017年モデルと2020年モデルのタイム差はトータルバランスがアップし、より速さを引き出しやすくなったことでプロドライバー以上の違いが出ると思います。
ちなみにニュル24時間で勝ちを狙うには、瞬間的な速さだけではダメで、24時間を楽に安心して速く走ることができる性能が必要となりますが、恐らく2020年モデルの進化はそんなイメージだと考えています。「GT」と「R」のバランスを整える、それがR35 GT-Rの進化の歴史だったのでしょう。
価格は2500万円近くといわれ、誰でも買えるクルマではありませんが、もし買える余裕がある人であれば確実に手に入れておくべき一台だと思います。
ゴーンの影響があるかどうかは別にしてシャシの古さは影響あるのかね?
Posted at 2019/07/11 22:43:57 | |
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