2020年01月06日
1/11.12のオートサロンチケット〜!
M'z SPEED様からのプレゼントされましたオートサロンのチケットを
youjiさんから譲って頂きました♪
これで11日に行けそうだ~
この記事は、
プレゼント企画ですよーについて書いています。
Posted at 2020/01/06 22:39:00 | |
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プレゼント | 日記
2020年01月06日
【平成のクルマを支えた新技術(1)】フルレンジ電子制御5速AT/マツダCCS/ミラーサイクルエンジン
令和も2年を目前に、すでに平成も遠くなった感があるが、平成時代は自動車メーカーがその時々の技術の粋を集めて、走行性能、安全性能を高めた時代といえる。ここではそんな時代に生まれたテクノロジーを7回に渡って見ていこう(タイトル画像はフルレンジ電子制御5速ATを搭載した日産セドリック)。
平成元年(1989年)
フルレンジ電子制御オートマチック ●搭載車種:日産セドリック/グロリア
1989年にマイナーチェンジしたY31セドリック/グロリアに採用された電子制御5段変速オートマチックは、世界に先駆けるシステムだった。アナログ式に油圧を利用して行っていたそれまでの変速制御を、フル電子制御にしたのだ。それまで運転は楽でも伝達効率がイマイチで変速が鈍かったATだが、これによってアクセルの踏み方に対応して1速から5速まで、感性に合った加速を得ることを可能としたのだ。また、D、3速、2速を使い分けることでMT的な走りも可能としている。ここからどんどんMTが姿を消してATが当たり前の時代に入った。
平成2年(1990年)
マツダCCS ●搭載車種:ユーノスコスモ
それまではホンダがエレクトロジャイロケーターと称し、ジャイロセンサーと距離センサーによりクルマの移動する方向と距離を検出するカーナビを出していたが、90年にマツダがユーノスコスモにGPSを備えたマツダカーコミュニケーショシステム(CCS)を採用した。これはマツダと三菱電機が共同開発したGPSを用いたナビゲーションシステムで、世界で初めての実用化となった。ナビ、オーディオだけでなくエアコンの設定もCCSを介して行うことができた。画面にはタッチパネル機能も備えていて現在のカーナビの原型でもある。カーナビが大きく前進した端緒となった。
平成5年(1993年)
ミラーサイクルエンジン ●搭載車種:ユーノス800
オットーサイクルエンジンでは圧縮行程と膨張行程が同じになるが、圧縮行程よりも膨張行程を長くして、高効率としたのがミラーサイクルエンジン。量産車初となったこのシステムでは、圧縮時に吸気バルブを少しの間開いておき、吸気の一部を逃がして実質的な圧縮を短縮し、膨張行程を長くした。ただ、これだと吸気を逃がす分実質的な排気量が小さくなるので、専用開発のリショルムコンプレッサーで吸気量を多くしたのもポイントだ。燃費に優れるこの方式は、とくにハイブリッドエンジン車では当たり前のシステムとなる。
【平成のクルマを支えた新技術(2)】INVECS-II/VSC/GDIエンジン
令和も2年を目前に、すでに平成も遠くなった感があるが、平成時代は自動車メーカーがその時々の技術の粋を集めて、走行性能、安全性能を高めた時代といえる。ここでは平成生まれのテクノロジーを7回にわたって見ていこう(タイトル画像はINVECS-IIを搭載した三菱FTO)。
平成6年(1994年)
INVECS-II ●搭載車種:三菱FTO
基本的な機構はコンベンショナルなトルクコンバーターとプラネタリーギアを仕様した4速ATだが、シフト制御内容を高度化、高精度化して、最適制御をするとともに、個々のドライバーの好みや習性を判断し、それに合わせてシフトタイミングを修正する学習制御を導入した。同時にMT感覚の運転が楽しめる日本初の「スポーツモード」機能を搭載した。スポーツモードとしてシフトセレクターを左に倒し、押すとアップ、引くとダウンというシーケンシャルMT的な操作を可能とし、高回転まで引っ張ってのシフトアップや、コーナー手前でのシフトダウンが任意で可能になったのだ。MT的(レーシングカー的)に使えるATとしてもINVECS-IIは好評を得た。
平成7年(1995年)
VSC(Vehicle Stability Control) ●搭載車:トヨタ クラウンマジェスタ
障害物回避などの急激なハンドル操作をした時や滑りやすい路面に進入したときなど、ドライバーのコントロール能力を超えた横滑りが発生した場合、自動的に各車輪のブレーキ力とエンジン出力を最適化する車両安定制御システム。ドライビングミスによるアンダーステアやオーバーステアをクルマがリカバリーするデバイスともいえる。
平成8年(1996年)
GDIエンジン ●搭載車種:三菱ギャラン
低燃費、低公害が重要視される中で出てきたシステムだ。混合気ではなく、空気のみをシリンダー内に送り込み、ガソリンを直接噴射してスパークプラグによって点火するもの。こうすることによって、当時不可能だったレベルの緻密な燃料供給と超希薄燃焼を狙った。低燃費と高出力、CO2の排出量の削減を謳い、現在、当たり前に行われるようになったガソリンエンジンの直噴の先駆けという面では画期的な技術だった。ただし、当時の技術では限界もありモード燃費は良好でも、実燃費はイマイチだったことや、PM(黒煙)の発生によるエンジン内のカーボンの堆積によるエンジン不調などもあったのも事実。ちょっと時代の先を行きすぎたのかもしれない。
【平成のクルマを支えた新技術(3)】THS/ホンダナビゲーションシステム/ホンダIMAシステム
令和も2年を目前に、すでに平成も遠くなった感があるが、平成時代は自動車メーカーがその時々の技術の粋を集めて、走行性能、安全性能を高めた時代といえる。ここではそんな平成のテクノロジーを7回にわたって見ていこう(タイトル画像はTHSを搭載したプリウス)。
平成9年(1997年)
THS ●搭載車種:トヨタ プリウス
トヨタのハイブリッドシステムTHS(トヨタハイブリッドシステム)は、ガソリンエンジン、モーター、ジェネレーター、インバーター、ニッケル水素バッテリー、回生ブレーキ、ハイブリッド用トランスミッションなどからなる。ハイブリッドの区分けではシリーズパラレル方式だ。この方式を成り立たせるためには、エンジンと駆動軸をクラッチですることが必要で、そうしないとモーターのみでの走行ができない。しかしTHSではそこをプラネタリーギアの動力分割機構でまかなってしまうのが画期的なところ。走行状態によってモーターだけ、エンジンとモーターと協調による駆動に切り替えることができる。THS−IIになると、EV走行モードも追加されて、ハイブリッド方式のスタンダードとなり、令和の現在まで使用されている。
平成9年(1997年)
ホンダ ナビゲーションシステム ●搭載車種:ホンダ オデッセイ
ホンダナビゲーションシステムでは、インターネットとナビゲーションの連携を実現する「ナビゲーション専用WWWブラウザ」と「インターナビ拡張フォーマット」を世界で初めて開発、採用した。第一世代ではインターナビ情報ページにアクセスすることにより、ドライブに役立つ情報と同時に、位置情報をナビゲーションシステムに伝達することで経路誘導を可能とした。後に同サービスのデータが2011年の東日本大震災の被災地での支援活動「通行実績情報マップ」などにつながったという点でも画期的だった。
平成11年(1999年)
ホンダIMAシステム ●搭載車種:ホンダ インサイト
エンジンを主動力、モーターを補助動力としたパラレル方式のハイブリッドシステム。エンジンとモーターはつながったままで、モーターがアシストする形だ。エンジンは1ℓリーンバーンVTEC、モーターアシスト機能は薄型DCブラシレスモーターとニッケル水素バッテリー、PCUからなっている。このエンジンと空力を突き詰めた(Cdt値:0.25)ボディ形状でガソリン車として世界最高の35.0km/L(10・15モード)を実現した。オートアイドリングストップ機構も装着される。エンジンが主とということで、トランスミッションはCVTの他に5速MTも選べた。
【平成のクルマを支えた新技術(4)】レーンキープサポートシステム/SH-AWD/インテリジェントアラウンドモニター
令和も2年を目前に、すでに平成も遠くなった感があるが、平成時代は自動車メーカーがその時々の技術の粋を集めて、走行性能、安全性能を高めた時代といえる。ここではそんな平成のテクノロジーを7回にわたって見ていこう(タイトル画像はレーンキープサポートシステムを搭載した日産シーマ)。
平成13年(2001年)
レーンキープサポートシステム ●搭載車種:日産シーマ
直線路走行時、クルマが車線に沿って走行するようにハンドルに力を加えて、ドライバーのハンドル操作を支援するのがレーンサポートシステムだ。仕組みは車線検出センサー(カメラ)およびハンドル舵角、車速から、車線のほぼ中央を走行するための力を算出し、その一部を補助的にハンドルに加えるもので、クルマが車線から逸脱しそうになると、音と表示により警告する。これが世界初のステアリング支援システムとなり、後の同社の運転支援技術「プロパイロット」につながる。
平成16年(2004年)
SH-AWD ●搭載車種:ホンダ レジェンド
世界初の前・後輪の駆動力配分制御と後輪左右駆動力を独立に制御する4WDシステムで、ホンダ レジェンドに採用された。ドライバーの運転操作や走行状況から最適な前後左右の駆動力配分を判断し、リアデフ内のダイレクト電磁クラッチにより、前後配分を30対70から70対30、後輪左右配分を100対0から0対100まで無段階制御する。駆動力を走るためでなく旋回にも利用することで車両の運動性能を向上させた。さらにドライバーのステアリング操作に忠実な旋回性能や高い車両安定性の実現を図っている。後にモーターと組み合わせたSPORT HYBRID SH-AWDに進化し2014 年登場のレジェンドや2016 年登場のNSXなどにも採用されることになる。
平成19年(2007年)
インテリジェントアラウンドビューモニター ●搭載車種:日産エルグランド
運転席ディスプレイに自車両を上方から俯瞰したような画像を表示することにより、前後左右の方向感覚を把握しやすくし、よりスムーズな駐車ができるようにしたシステムがインテリジェントアラウンドビューモニターだ。エルグランドが世界で初めての搭載車となった。これは日産の研究のみならず、ソニーの130万画素CMOSセンサーと180度のレンズを搭載した高解像度・超広角カメラ、Xanaviによる俯瞰画像変換技術を取り入れたコントローラーなどがあって成り立つ。登場以降は駐車の苦手なドライバーだけでなく、便利な機能として一般的に普及していく。
【平成のクルマを支えた新技術(5)】S-AWC/アイサイト/フルEV
令和も2年を迎えて、すでに平成も遠くなった感があるが、平成時代は自動車メーカーがその時々の技術の粋を集めて、走行性能、安全性能を高めた時代といえる。ここではそんな平成テクノロジーを7回にわたって見ていこう(タイトル画像はS-AWCを搭載したランサーエボリューションX)。
平成19年(2007年)
S-AWC ●搭載車種:三菱ランサーエボリューションX
ランサーエボリューション、パジェロなどで長年電子制御4WD技術を培ってきた三菱が、「独自の車両運動統合制御システム」を謳いランサーエボリューションXに搭載したのがS-AWCだ。具体的には、それまでのACD(アクティブセンターデフ)、AYC(アクティブヨーコントロール)、スポーツABSに加えASC(アクティブスタビリティコントロール)が採用された。これらのデバイスを統合してコントロールすることで、駆動性能、旋回性能、安定性能を向上させ、どんな路面でもドライバーの操作に忠実な車両挙動の実現を目指している。「TARMAC(舗装路)」、「GLABEL(未舗装路)」、「SNOW(降雪路)」という3つのマニアックな???制御モードが選択できるのも特徴となっている。
平成20年(2008年)
アイサイト ●搭載車種:スバル レガシィ
2008年に登場したアイサイトは、世界で初めてステレオカメラのみで全車速追従クルーズコントロール機能や歩行者、自転車を対象としたプリクラッシュセーフティ機能を実現したシステム。1991年発表のADAの進化版ともいえる。本格的に採用されたのは2010年の新型アイサイト(アイサイトver.2)からで、自動ブレーキによって車両を減速・停止させる「プリクラッシュブレーキ」が注目された。これは前方衝突の回避または衝突被害の軽減を図るとともに、通常の追従走行に加えて先行車が停止した場合も追従して停止制御する「全車速追従機能付クルーズコントロール」の追従性能の強化を図った。ぶつからないクルマとして注目を浴びることになった。
平成21年(2009年)
フルEV ●三菱i-MiEV/日産リーフ
走行中にCO2を排出しないエコカーであるEV(電気自動車)。1947年に発売された、たま電気自動車などEV(鉛電池使用)の歴史は古い。諸説あるが、鉛電池EVを除外すれば法人向けに09年から、個人向けに10年から市販された三菱i-MiEVが世界初の量産電気自動車、普通車としては10年に発売された日産リーフが世界初と考えて良いだろう。いずれもバッテリー、モーター、モーター制御のPCUというシンプルな構成となっている。航続距離が常に課題だが、その点リーフはバッテリーを中心に改良が加えられ、平成末年には1充電当たりの走行距離もJC08もモードで570kmと実用的になった。ただ、車両価格の高さやインフラの整備は未だネックとなっているのが実情だ。
【平成のクルマを支えた新技術(6)】踏み間違い防止アシスト/SKYACTIV TECHNOLOGY/スポーツハイブリッドi-MMD
令和も2年を迎えて、すでに平成も遠くなった感があるが、平成時代は自動車メーカーがその時々の技術の粋を集めて、走行性能、安全性能を高めた時代といえる。ここではそんな平成のテクノロジーを7回にわたって見ていこう(タイトル画像は踏み間違い防止アシストを搭載したエルグランド)。
平成24年(2012年)
踏み間違い防止アシスト ●搭載車種:日産エルグランド
ブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故の軽減を目的とした世界初の技術が踏み間違い防止アシストだ。。アラウンドビューモニターの4台のカメラと超音波ソナーを使い、駐車操作の低速走行時に運転者がブレーキと間違えてアクセルを踏み込んでしまった場合などに、クルマが誤操作を検知して壁などに衝突する事故のリスクを軽減することができる。駐車枠検知機能付きで、駐車場の白線を検知し、間違えてアクセルペダルを踏んでしまっても自動的に加速を抑制する。ドライバーの高齢化にともないブレーキとアクセルの踏み間違いによる事故が社会問題化する中で登場した。
平成23年(2011年)
SKYACTIV TECHNOLOGY ●搭載車種:マツダCX-5
2010年、マツダは「走る歓び」と「優れた環境・安全性能」の高次元での両立をイメージした次世代技術の総称を「SKYACTIV」と呼称し、11年よりデミオにSKYACTIV-Gエンジンを初搭載するなどの展開を見せた。12年になると「SKYACTIV TECHNOLOGY」をフルに採用した車種としてCX-5を発売した。以後、SKYACTIVの名のもとパワートレーン、シャシー、ボディなどを統合的に作り上げることで車両性能の向上を図った。具体的にこういう技術がSKYACTIV TECHNOLOGYというものではなく、設計思想や概念といえるが、以後、全車種のイメージを統合することに成功、新しくなったマツダを表す戦略として成功した。
平成25年(2013年)
スポーツハイブリッドi-MMD ●搭載車種:アコードハイブリッド
スポーツハイブリッドi-MMDは、エンジンと走行用モーター、発電用モーターの2モーターを内蔵した電気CVTからなり、ここにはエンジン直結クラッチも設けられている。バッテリーはリチウムイオンだ。EVドライブモードのときはエンジン直結クラッチを切り、走行用モーターで駆動、減速時はエネルギーを回生する。ハイブリッドドライブモードでは、エンジンで発電しモーターを駆動するシリーズ方式となる。エンジンドライブモードではクラッチをつなぎ、エンジンと駆動軸を直結して高速クルーズに最適なギアレシオとエンジン回転域で走行する。エンジンとモーターの効率のいいとこ取りで効率を高めたのがポイントだ。
【平成のクルマを支えた新技術(7)】ダイレクトアダプティブステアリング/量産型FCV/TNGA
令和も2年を迎えて、すでに平成も遠くなった感があるが、平成時代は自動車メーカーがその時々の技術の粋を集めて、走行性能、安全性能を高めた時代といえる。ここではそんな平成のテクノロジーを7回にわたって見ていこう(タイトル画像はダイレクトアダプティブステアリングを搭載したスカイライン)。
平成24年(2012年)
ダイレクトアダプティブステアリング
●搭載車種:スカイライン
ダイレクトアダプティブステアリングは、ステアリングの動きを電気信号に置き換えてタイヤを操舵するシステム。基本的にステアリングホイールはスイッチとなる世界初のステアリングバイワイヤーとなる。ステアリングシャフトを介さず、ステアリングの動きを小型モーターと一体化したセンサーにより電気信号に置き換えているのが特徴だ。これにより路面からの不要な情報を抑えて直進安定性を高め、ドライバーにはレスポンスの良い操舵感や走行安定性をもたらした。ドライバーの意図を読み取った操舵ができるシステムといってもいいだろう。ステアリグシャフトも残されているが、これはシステム故障時などにフェイルセーフとして使用される。バイワイヤー技術ということで、今後の自動運転に向けて応用が期待されている。
平成26年(2014年)
量産型FCV ●搭載車種:トヨタMIRAI
基本は電気でモーターを駆動するEVだが、FCVの場合は水素を高圧水素タンクに蓄え、酸素と化学反応させ、そこで発生した電気でモーターを駆動する構造となる。EVが充電するのに対して、水素を充填して車内で発電をしてしまおうというのがその考え方。トヨタMIRAIの場合満タンで650km(JC08モード)走行でき、航続距離の長さはメリットだ。水素は安価で大量に生産できることから「究極のエコカー」などともてはやされたが、高圧タンクの製造コストなどによる車両価格の高さや、補給の際の水素ステーションなどのインフラの整備、また水素生成過程でCO2の排出があるなど課題も残る。究極…になるかどうかはこれから見届けたいところ。
平成27年(2015年)
TNGA ●搭載車種:トヨタ各車
トヨタが提唱するクルマづくりの思想で、パワートレーンユニットとプラットフォームを刷新し、一体的に新開発することにより、クルマの基本性能や商品力を向上させることを目指すもの。世界規模での標準化や調達先着も含まれ、コストの削減も含まれている。一般にトヨタの共有プラットフォームとして使われるが、それは一部分でしかなく、エンジン、補記類、ハーネスなどクルマのあらゆる構成要素の設計などが含まれる。ルノー日産ではCMF、スバルではSPGなどと呼ばれている。
Posted at 2020/01/06 22:02:53 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年01月06日
【スバル インプレッサ 改良新型】正常進化を遂げたスバルの顔[詳細画像]
スバルのハッチバック『インプレッサ スポーツ』、セダン『インプレッサ G4』がビッグマイナーチェンジを経て発売。今回は、エクステリアやサスペンション、総合安全性能を改良。
5世代目となる現行スバル・インプレッサは、新世代プラットフォーム「スバル・グローバル・プラットフォーム」や国産初の歩行者保護エアバッグなどを採用したモデル。パワーユニットには、1.6リットルと2.0リットル直噴エンジンを設定。
新プラットフォームを活かすべく、今回のビックマイナーチェンジでは、サスペンションを改良するなど乗り心地やハンドリング性能の向上に努めた。
また、ドライバーの運転負担を軽減するアイサイト・ツーリング・アシストを全車標準装備。対向車を検知し、ハイビームの勝者範囲をコントロールする「アダプティブドライビングビーム」が新たに採用された。
モデルチェンジに合わせてエクステリアも刷新。バンパー開口部やグリルを中心とした、新デザインのフロントフェイスやリアフォグランプ、アルミホイールを導入した。インテリアでは、ダッシュボード中央に取り付けられたマルチファンクションディスプレイやシート、メーターのデザインに手を加えた。
機能面では日常使いに役立つ装備を追加。アクセスキー対応運転席シートポジションメモリー機能やドアミラーメモリー・オート格納機能、フロントビューモニター、リバース連動ミラーを新たに搭載する。
充実した装備を搭載し、お買い得な価格とした新たなハイクオリティモデル「1.6i-S アイサイト」をハッチバック、セダン共にラインナップ。
大幅改良を受けたスバルインプレッサは200万2000円から。2.0リットルモデルは2019年11月15日発売。1.6リットルモデルは、2020年1月9日発売を予定している。
【試乗】新型 スバル インプレッサスポーツ|しなやかな乗り心地は評価できるが、あまり変化を感じないビッグマイナーチェンジだ
誕生時点から素晴らしいモデルだった
5代目にあたる現行型インプレッサは、2016年に登場した。
今でも、新たなアーキテクチャーによってつくられたスバルグローバルプラットフォーム(SGP)の出来栄えを思い出す。
登場当初から、とにかく素晴らしかった。
当時、「このプラットフォームは剛性が高くバネレートを下げずに乗り心地が良くなる。スタビライザーに大きく頼ることなくロールも抑えられる」と、スバルの藤貫氏は大きく誇ることなく説明していた。
氏は車両研究実験第一部部長で、レガシーなどのプラットフォームに磨きをかけた人物だ。
あれから3年が経過。A型から始まった改良型はD型まで成長した。
今回は、その最新のD型を採用したインプレッサの試乗だ。インプレッサには1.6Lモデルと2.0Lモデルがあるが、今回の試乗は2.0Lモデルのみ。1.6Lモデルも試してみたかった。
良くも悪くも変わらない乗り心地
さっそく、試乗した感想に入ろう。
まず乗りこんだ印象だ。登場当時の2016年と比べれば、質感の向上は理解できたが、競合他社の質感の向上にはすさまじいものがあり、正直、発売から3年経過した現時点での古さは否めない。
エンジンを始動する。
水平対向4気筒なれど、独特な感じもなく至って静粛性は高い。CVTによるトランスミッションとの相性だが、発進時のトルクを意識したセッティングは評価するものの、発売当初からあるギクシャクとした設定にスムーズさの改良はないように思った。
ここがもう少し滑らかになると、質の向上を感じるだろう。
一方で、一度走り出せばこのギクシャク感は皆無だ。
乗り心地はとてもしなやかだ。
これが、このモデルで一番に評価できる点であるが、それは登場時から良くも悪くも変わらない。
発売したときの基本性能が高かったせいか、この3年間で、さらなる磨きをかけることはできなかったのか……。
試乗会当日、勢揃いしたスバルのエンジニアたちから、それらに関する内容を聞くことはできなかった。
彼らは、プラットフォームに自信をもっているのであろう。
開発者の布目氏にもまったく危機感がないように思う。
D型による大幅改良をアピールしてほしいという位置づけの試乗会であったが、正直、その改良は感じ取れなかった。何をアピールすればよいのか……というのが素直な感想である。
もちろん、内外装の衣装変更はきちんとなされているが、それのみではスバリストは合点がいかないはずだ。
アイサイトも今回、久しぶりに試してみたが、他社に比べ、精度に物足りなさを感じてしまった。
このままでは地道にやってきたエンジニアリング主導の製品と商品が衰退するのではないかと不安を覚えずにいられない。
一方で、あくまでもプロトタイプということで乗せていただいた、インプレッサにSTIのサスペンションを組んだモデルには期待が持てた。
今までなかったようなしなやかさと、奥行きがあるストローク。ラリーやレースで培えたノウハウがサスペンションに投入されている。
このSTIがチューニングしたセッティングこそ、スバルがもつ本物の実力なのだ。量産車への移行が楽しみである。 文/松本英雄、写真/篠原晃一【試乗車 諸元・スペック表】●2.0 i-S アイサイト 4WD型式DBA-GT7最小回転半径5.3m駆動方式4WD全長×全幅×全高4.48m×1.78m×1.48mドア数5ホイールベース2.67mミッションCVT前トレッド/後トレッド1.54m/1.55mAI-SHIFT-室内(全長×全幅×全高)2.09m×1.52m×1.2m4WS-車両重量1400kgシート列数2最大積載量-kg乗車定員5名車両総重量1675kgミッション位置フロア最低地上高0.13mマニュアルモード◯標準色アイスシルバー・メタリック、クリスタルブラック・シリカ、ピュアレッド、ダークブルー・パール、クォーツブルー・パール、マグネタイトグレー・メタリックオプション色クリスタルホワイト・パール掲載コメント-エンジン型式FB20環境対策エンジンH17年基準 ☆☆☆☆種類水平方向4気筒DOHC使用燃料レギュラー過給器-燃料タンク容量50リットル可変気筒装置-燃費(JC08モード)15.8km/L総排気量1995cc燃費(WLTCモード)-燃費基準達成H27年度燃費基準達成車最高出力154ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm196(20)/4000型式DBA-GT7駆動方式4WDドア数5ミッションCVTAI-SHIFT-4WS-標準色アイスシルバー・メタリック、クリスタルブラック・シリカ、ピュアレッド、ダークブルー・パール、クォーツブルー・パール、マグネタイトグレー・メタリックオプション色クリスタルホワイト・パールシート列数2乗車定員5名ミッション位置フロアマニュアルモード◯最小回転半径5.3m全長×全幅×全高4.48m×1.78m×1.48mホイールベース2.67m前トレッド/後トレッド1.54m/1.55m室内(全長×全幅×全高)2.09m×1.52m×1.2m車両重量1400kg最大積載量-kg車両総重量1675kg最低地上高0.13m掲載用コメント-エンジン型式FB20種類水平方向4気筒DOHC過給器-可変気筒装置-総排気量1995cc最高出力154ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm196(20)/4000環境対策エンジンH17年基準 ☆☆☆☆使用燃料レギュラー燃料タンク容量50リットル燃費(JC08モード)15.8km/L燃費(WLTCモード)-km/L燃費基準達成H27年度燃費基準 達成車
スバル新型「インプレッサ」アイサイトが進化してより安全に! STIチューンで走りはどう変わった?
■スバルの屋台骨を支えるインプレッサとXVの安全性能が向上
2016年に登場した5代目「インプレッサ」は、スバルの走りの理想を実現するために開発された「SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)」を初めて採用した、次世代スバル第1弾のモデルです。
奇をてらわず実直に基本性能を大きく引き上げた結果、素性の部分は「WRX」などのスポーツモデルの領域、数値に表れない動的質感の部分はフラッグシップの「レガシィ」を軽く超えるレベルを実現。その実力は高く評価されており、2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞しています。
翌年2017年に登場した「XV」は、インプレッサをベースにしたクロスオーバーSUVですが、その走りは「目線の高いインプレッサ」というオンロード性能と、「下手なクロカンSUVを超える」オフロード性能を両立しており、インプレッサシリーズをけん引する存在にまで成長しました。
その実力は販売台数にも表れており、いまではインプレッサ、XVを合わせると、スバルの国内販売台数の44%を占めるほどです。
その一方で、トヨタ「カローラスポーツ」やホンダ「シビック」、マツダ「マツダ3」など日本のCセグメントハッチバックが、軒並みレベルアップをおこなっており、インプレッサもウカウカしていられない状況になっているといえます。
従来モデルはバランスの良い性能を備えていますが、良くも悪くも“普通”でした。インプレッサとXVは、スバルの裾野を広げるミッションがあるため、普通であることは大事なことですが、昨今のライバルの進化を体感すると、インプレッサを指名買いしたくなるような個性がもう少し欲しいと感じるようになったのも事実です。
そこで4年目を迎える2019年に、インプレッサのビックマイナーチェンジ(通称:D型)が実施されました。同時にXVは、改良を受けています。
筆者(山本シンヤ)は、スバルの本質は「安心と愉しさ」だと考えていますが、今回の改良ではスバルらしさが引き上げられました。
まず「安心」の進化ですが、インプレッサ/XV共に先進安全支援システムのアイサイトが「バージョン3」から「ツーリングアシスト」へアップデートしました。
全車速追従機能付クルーズコントロールにステアリング制御がプラスされたシステムで、「レヴォーグ」「WRX S4」「フォレスター」に続いて、インプレッサとXVの全車に標準搭載。これはつまり、安全性能において車種による差はないことを意味しています。
アイサイトツーリングアシストは、車線と前走車の情報をもとにステアリングを制御して車線の中央を走行するのですが、混雑時に車線が見えづらい場合には車線と前走車の状態を組み合わせて運転を支援し、渋滞時に車間距離が短くて車線が検知できない状況でも前走車を認識しながら追従走行します。
実際に渋滞した首都高速で試してみたところ、アクセル、ブレーキ、ステアリングの操作をアシストしてくれるため、ストレスが軽減されることを実感しました。
このアイサイトツーリングアシストの搭載のほかにも、ハイビームの照射範囲をコントロールする「アダプティブドライビングビーム」や死角を低減する「フロントビューモニター」も新たに採用され、安全性能がアップしました。
一方、「愉しさ」の変更では、内外装と走行性能のアップデートがおこなわれています。
XVの外装は、ヘッドライトとリアフォグランプの小変更のみですが、インプレッサはフロントバンパー、グリル、ヘッドライトを刷新。
インプレッサの新しい顔は、VW「ゴルフ」に似ているようにも思えますが、新デザインのアルミホイールも相まって従来モデルよりもスポーティさはアップしています。
内装は表皮材の見直しや表面処理、触感といった細かい部分を中心に、実感できる質感の見直しがメインとなり、さらにリバース連動ミラーや運転席シートポジションメモリー機能、ドアミラーメモリー&オート格納機能など、利便性も向上しています。
なお、公式にはアナウンスされていませんが、ステアリングの革の触感も良くなっているように感じました。
■走りの質感はSTIスポーツのレベルを実現
「愉しさ」においては、走行性能についても磨きがかかりました。
フットワークの部分は、誰もが日常で感じられる走りの愉しさを追求するため、フロントクロスメンバー/リアサブフレームの剛性バランスのビルドアップと、インプレッサはサスペンションのセットアップ変更もおこなわれています。
実はこの変更は、独自理論で走りの質を引き上げるコンプリートカーやスポーツパーツをリリースしているSTIと協力をしながら実施されたといいます。つまり、走りに関しては、最初からSTIスポーツに相当する性能が与えられているといえます。
これらの改良が施された新型インプレッサの走りは、従来型モデルと似ているようで違うと思わせる部分がありました。
操作に忠実で、コーナリングの一連の動きの連続性、しなやかな足さばき、4つのタイヤを上手に使うといった基本的な部分はより純度が増した感じで、これはインプレッサとXVに共通する印象ですが、インプレッサはそれに加えてよりスポーティな方向にシフトしています。
具体的にはより滑らかでスッキリしたステア系、無駄な動きが減りキビキビ感が増したクルマの動きなど、まるでSTIのフレキシブル補剛パーツをプラスしたかのような印象を受けました。
街中を走る中低速の速度域では従来モデルより骨太な印象で、若干引き締まったように感じましたが、快適性は犠牲になっていません。逆に速度が上がるにつれて滑らかさがより増していきます。
XVのパワートレインは、これまであった2リッターガソリン車がラインナップから落ち、2リッター水平対向4気筒エンジン+e-BOXERと、2020年1月9日より追加される1.6リッター水平対向4気筒ガソリンエンジンの2機種になります。
インプレッサのパワートレインは、従来型から変わりはなく、1.6リッター水平対向4気筒ガソリンと2リッター水平対向4気筒ガソリンの2機種。
今回試乗した2リッターガソリン車は、細かいブラッシュアップがあったのか、それとも個体差なのかはわかりませんが、アクセルを踏んでからの反応が軽やかに感じました。
※ ※ ※
今回の試乗のおまけとして、新型インプレッサをベースに、STIがダンパーチューニングのみを施して「WRX STI」の応答性を実現させたというテストカーに乗せてもらいました。
このテストカーでは、より重厚なステアフィール、よりロールを抑えたフットワークとリアのガッシリした安定感があり、これらの変化をダンパーチューニングのみで実現できることに驚きました。
STIによると「細かい変更でもクルマが大きく変わるのは、SGPの基本性能の高さの証明です」と説明します。
筆者はこのフットワークに1.6リッター直噴ターボを組み合わせたら、3代目インプレッサにラインナップされていた「S-GT」が復活できるのではないかと思いました。
今回新型インプレッサ/XVに乗って「スバルが目指す未来」が少し見えたような気がしました。
2020年後半には新型「レヴォーグ」が登場する予定です。新型レヴォーグにもSGPが採用されることになっているので、期待が高まります。
【試乗】走りの質感を高めたスバル・インプレッサ&XV! 運転する愉しみをもっと体感できる熟成ぶりに納得
動き出しからわかるハンドリングの良さ
スバル初のSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)や、国産車初の歩行者保護エアバッグ採用など、革新的な進化を遂げて2016年に登場した5代目インプレッサ。高すぎないボディフォルムで都会的な雰囲気を持ちつつ、スバルらしい走破性を兼ね備え、2017年に2代目となったSUBARU XV。どちらも現在、フォレスターと並んで人気の国内主力モデルです。
そんな2モデルが2019年10月に改良を受け、さらに進化して登場しました。とくにインプレッサは、デザインやサスペンション改良、先進安全装備の拡充と、なかなかトキメく内容です。さっそく、都心から横浜みなとみらいまで、一般道と首都高速道路で試乗してみました。
デザインは、一見すると「どこかが新しいけど、どこが変わったの?」と首を傾げてしまう感じ。でも旧モデルと比べてみれば一目瞭然、艶やかな面が強調されて洗練され、より低くワイドな印象を与えるフロントマスク。ヘッドライトにはアダプティブドライビングビームが新採用されて、先進的な雰囲気も増しています。そして、ホイールデザインが一新され、止まっていても躍動感がアップ。17インチと18インチでそれぞれ新デザインになりました。
そして室内に入ると、インテリアはさらによくよく見ないと変更に気づきにくいものの、ダッシュボード中央のメーターナセルが革張りになっていたり、センターパネルにピアノブラックが採用されていたりと、全体的に上質感が高まっています。試乗車のグレードはインプレッサSPORTの2.0i-S Eyedight。スタートボタンを押すと、水平対向のボクサーエンジンが穏やかに動き始めました。
駐車場から車道へ出る際の段差ですでに、乗り越え方がしっとりとしているように感じます。手のひらに吸い付くようなステアリングの感触も心地よく、期待を高めつつ首都高の入り口へ。今回は、サスペンション以外に大きな改良はないとのことですが、40~50km/hで走っていても、なんとなく直進安定性がさらによくなり、カーブを曲がる際にも低重心感が強まっているような? いや、気のせいか? などと思いつつ、首都高に入って周囲の流れに合わせて少し速度を上げていくと、やはりしっかりと路面を捉えてカーブでもフラット感を保ってくれる感覚や、路面の継ぎ目を乗り越える際にもゴトンッとくることなく、しなやかに越えていく乗り味など、明らかに進化していると感じます。
よくよく聞けば、じつは今回の改良にあたり、重視したのは「誰もが日常で感じられる走りの楽しさ」。これまでも、インプレッサは意のままに操れることを重視してきましたが、さらにそこを突き詰めるために、STI社の開発者にもチームに加わってもらったそう。ロールが少なくリニアに反応する操作性や、ステアリングの応答性にもこだわり、WRXまではいかずとも、それに近づけるよう再設定したというのです。
そのため決して高いスピードを出したり、カーブを攻めたりしているわけではないのに、とてもキビキビとして思うように動いてくれる、爽快かつ上質な走りが感じられたというわけです。
試乗の途中で、特設会場にてSTI社がダンパーチューニングのみを施したというインプレッサでパイロンスラロームにトライ。もうそれは、どうしてこんなに思い通りに向きを変えてくれるのか、と驚くほどで、ボディ全体のカタマリ感がギュギュッと凝縮されたようで、とても愉しく走ることができました。
さらに、今回の改良のアナウンスにはなかったのですが、なんだかシートの座り心地がよくなったような? と思って聞いてみると、シートの骨格や中身に変更はないのですが、表皮を変えたとのこと。デザイナーの磯村さん曰く、表皮を変えただけでも身体への感触が変わるため、座り心地が変わったかのように感じられるのだということでした。
こうして、ひと目見ただけではなかなか気がつかない細やかな部分をコツコツと突き詰め、完成したのが新しいインプレッサ。室内の広さや荷室の使い勝手にはもともと定評があり、最新のアイサイト・ツーリングアシストが全車に標準装備となったことも、大きな魅力アップですね。北米仕様にはアイボリーのインテリアがあるのですが、国内向けはカラーがブラック系のみなので、もう少し華やかで女性がトキメくようなインテリアカラーが欲しい、という希望はあるものの、このクラスで最小回転半径が5.3mと扱いやすく、女性や初心者にもさらにオススメできるクルマになっていると感じました。
e-BOXERの愉しさに磨きをかけたXV
さて、続いては今回の改良で2Lガソリンモデルが廃止され、代わりに2Lのe-BOXERグレードが拡充されたXV。1.6Lガソリンモデルもありますが、e-BOXERがメインという印象です。デザインやメカニズムに変更はないものの、こちらも最新のアイサイト・ツーリングアシストが全車標準装備となっています。XVは、最低地上高をガッツリと200mm確保しつつ、全高を機械式駐車場にも対応する1550mmに抑えるという、ライバルがいそうでいない希少な存在。なので、そこに先進の運転支援技術が揃っただけで、最強のバランスを手にいれたと言えそうです。
室内は、インプレッサよりも少しカジュアルな印象がアップし、海へ山へのレジャーや子どものいるファミリーにもぴったりな空間。後席の足もと空間も広く、開放的な雰囲気が気持ちのいいクルマです。走り出すと、低速域ではゴツゴツとくるシーンもあるものの、加速はなめらかでパワーも十分。ステアリングフィールにシビアさはまったくなく、少し遊びのあるおおらかな感覚がXVに合っているなと感じます。
今回、e-BOXERグレードを拡充した理由として、やはり挙がったは走りの愉しさの部分。とくにXVでは、新型フォレスターと同じ2モードのX-MODEを採用し、モーターによる+10%の出力アップをここぞという場面で引き出せるようにしたことで、オフロードでの走破性にさらに「FUN」が加わったとのこと。今回はオフロードの試乗はできませんでしたが、そう聞くだけでどこか自然のなかへと走りに行きたくなる、そんなワクワクを感じました。
そして、帰路の高速道路はほとんどアイサイト・ツーリングアシストを作動させて、アクセル、ブレーキ操作はお任せ。白線を読んでくれるところではステアリングアシストも効いているので、とても頼もしい気持ちで走れます。カーブや合流などが複雑な首都高速では、多くのメーカーがその制御の開発に難儀していますが、私の主観ではアイサイト・ツーリングアシストはかなり高いレベルで難しい合流やタイトなカーブをクリアしてくれると感じます。目の前に大型トラックがいても白線を見失うことがないし、急に隣りの車線から他車が割り込んできても、すぐに減速して対応してくれるのが、とくに秀逸。ブレーキ操作も自分でやるより上手なのでは、と思うほどなめらかで感心しました。これが全車標準装備とは、素晴らしいのひと言です。
見た目には「あんまり変わってないのかな?」と思われがちなインプレッサ、XVの改良モデル。でもじつは、ユーザーに嬉しい進化が盛りだくさんでした。これはぜひ、実際に乗ってみて違いを感じてほしいと思います!
【試乗】新型 スバル XV|成熟が期待できるプラットフォームだけに、さらに先のマイナーチェンジも楽しみなモデル
2.0L NAグレードを廃止し、e-BOXER化
スバル XVは、マットブラックのフェンダーおよびバンパーの一部に加飾を施すなど、シティ派ながら力強いイメージのデザインに定評があるモデル。ご存じのとおり、このデザインは、2代目モデルで磨かれ、アイデンティティとして3代目にも継承された。
この3代目・現行型は、張り出したテールランプなどデザインの部分が更に磨かれた。そして、なんといっても大きな変化は、5代目インプレッサで採用されたSGP(スバルグローバルプラットフォーム)の採用であろう。
乗用車からSUVまで網羅しなければならないプラットフォームのつくりは難しいところであるが、過去の乗用車をリフトアップさせて実績を得てきたスバルにとっては、新たなプラットフォームにもそのあたりのノウハウと、既存フレームではできなかったサスペンション設計の自由度も盛り込んでいるはずだ。
だからこそ、マイナーチェンジモデルにも期待がもてるのである。
4人乗車が思いのほか好印象
乗用車ベースにつくりこんだプラットフォームは、リフトアップするとサスペンションのしなやかさが減少する傾向にある。
3代目XVは、これから成熟が期待できるプラットフォームだけに、発売から2年経過したマイナーチェンジではどのように変わったのだろうか。
なお、内装や装備の変更は、ある意味スバルらしくないと感じたので割愛させていただく。この記事では、乗ってみたフィーリングを報告したい。
パワーユニットは、1.6Lモデルと、今回のマイナーチェンジで「e-BOXER(スバルの電動化技術)」仕様に切り替わった2.0Lモデルの2本立て。今回は、後者の2.0L e-BOXERモデルの最上級グレード「アドバンス」の試乗となる。
スタートは、東京タワーからだ。芝公園から首都高速に入り横羽線でパシフィコ横浜へと向かうコース。
大人4人と4人分の荷物を積んでの試乗となったが、走り出しに不満はない。静粛性も高く、「こんなに静かだったっけ?」なんて会話するぐらい、前席・後席の会話も弾む。
首都高速に入る。芝公園の入り口から本線合流までのアプローチは非常に短いが、スムーズな加速を見せてくれた。電動アシストの働きが押しつけがましくなく感じる。
ここから横羽線は、逆バンクのコーナーがあったり路面のアスファルトが古い感じだったりで、ロードテストにはとてもいいコースだ。
XVのいいところは、スポーティなハンドリング。切り始めの車の動きは、オーバーハングがあるエンジンを搭載していながら軽快である。
今回は4人乗車ということもあり、より乗り心地がいい。上から押さえられているので、さらにしっとりとした感じなのだろう。トランクにはカメラマンの重装備も満載。荷物を積んだときこそ発揮できるポテンシャルをもつのは、スバル車らしい。
アイサイトもあらためて試してみた。逆バンクのカーブは難しいが、緩やかな部分はそれなりに追従する。センターレーンキープ機能も搭載しているが、首都高速の直線や車線の幅で大きなアドバンテージの性能は、我々が試乗したモデルではわからなかった。首都高速のような道路でも確実なセンターキープアシストを期待したい。
以前、試乗した2.0L e-BOXERモデルは、フルロードの加速時にCVTによるエンジンノイズが気になったが、それほどフルロードをかけずに首都高速を走っているせいか、至って静かである。
川崎あたりの道路の継ぎ目も気持ちよくいなしてくれる。あらためて良いモデルと言える。
しかも、AWDのスペック的にも素晴らしい素質がある。例えば、最低地上高は200mm。マツダのCX-30と比べると、40mm余計にクリアランスがあるということだ。シティ派の顔をしながらも、実は本格的なことが分かるだろう。
ちなみに雪上での性能も、以前、思う存分走った経験上、理解できているが、このスペックで300万円を切るのだから、極めてお買い得である。
今回は4人乗車で荷物もたくさん積んだ状態の、極めて実情にかなったシチュエーションであったが、それが意外と良かった。
この押しつけがましくない電動アシストは、もう少しと思う人もいるかもしれない。しかし、このマイルドなトルクがあらゆる路面に対してリベラルなトルクを発揮し、姿勢に悪影響を残さず動力として使うことができるという考え方もある。
こういった控えめなところはスバルらしい。次のマイナーチェンジでは、さらに熟成した味わいに接するのが楽しみである。
文/松本英雄、写真/篠原晃一【試乗車 諸元・スペック表】●2.0 アドバンス 4WD型式5AA-GTE最小回転半径5.4m駆動方式4WD全長×全幅×全高4.47m×1.8m×1.55mドア数5ホイールベース2.67mミッションCVT前トレッド/後トレッド1.56m/1.57mAI-SHIFT-室内(全長×全幅×全高)2.09m×1.52m×1.2m4WS-車両重量1550kgシート列数2最大積載量-kg乗車定員5名車両総重量1825kgミッション位置フロア最低地上高0.2mマニュアルモード◯標準色アイスシルバー・メタリック、クリスタルブラック・シリカ、ピュアレッド、ダークブルー・パール、クォーツブルー・パール、サンシャインオレンジ、クールグレーカーキ、マグネタイトグレー・メタリックオプション色クリスタルホワイト・パール、ラグーンブルー・パール掲載コメント-エンジン型式FB20環境対策エンジンH30年基準 ☆☆☆☆種類水平方向4気筒DOHC使用燃料レギュラー過給器-燃料タンク容量48リットル可変気筒装置-燃費(JC08モード)19.2km/L総排気量1995cc燃費(WLTCモード)15km/L└市街地:11.5km/L└郊外:15.5km/L└高速:16.8km/L燃費基準達成R02年度燃費基準+10%達成車最高出力145ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm188(19.2)/4000型式5AA-GTE駆動方式4WDドア数5ミッションCVTAI-SHIFT-4WS-標準色アイスシルバー・メタリック、クリスタルブラック・シリカ、ピュアレッド、ダークブルー・パール、クォーツブルー・パール、サンシャインオレンジ、クールグレーカーキ、マグネタイトグレー・メタリックオプション色クリスタルホワイト・パール、ラグーンブルー・パールシート列数2乗車定員5名ミッション位置フロアマニュアルモード◯最小回転半径5.4m全長×全幅×全高4.47m×1.8m×1.55mホイールベース2.67m前トレッド/後トレッド1.56m/1.57m室内(全長×全幅×全高)2.09m×1.52m×1.2m車両重量1550kg最大積載量-kg車両総重量1825kg最低地上高0.2m掲載用コメント-エンジン型式FB20種類水平方向4気筒DOHC過給器-可変気筒装置-総排気量1995cc最高出力145ps最大トルク/回転数n・m(kg・m)/rpm188(19.2)/4000環境対策エンジンH30年基準 ☆☆☆☆使用燃料レギュラー燃料タンク容量48リットル燃費(JC08モード)19.2km/L燃費(WLTCモード)15km/L└市街地:11.5km/L└郊外: 15.5km/L└高速: 16.8km/L燃費基準達成R02年度燃費基準 +10%達成車
【どれだけ進化したのか!? 衝突被害軽減ブレーキ最新事情】一時代を築いたアイサイトはまだ世界一なのか!??
車両や歩行者を検知し、衝突の危険がある場合には強いブレーキを掛け事故の回避や被害を軽減してくれる自動ブレーキの進歩は大変著しい。そのなかでも自動ブレーキの普及にボルボと並んで多大な貢献をしたのがver.2以降のスバルの「アイサイト」である。
アイサイトはver.2の登場から2020年で10年が経過し、アイサイトも着実に進化しているものの、他社の自動ブレーキの進歩もここ数年で急速なものとなっている。当記事ではアイサイトの歴史を振り返り、アイサイトの現在の自動ブレーキ業界におけるポジションを考察してみた。
文/永田恵一
写真/SUBARU、TOYOTA
【画像ギャラリー】次期型アイサイトを搭載する最初のモデルになる! 次期レヴォーグの外観をチェック!!
■スバル「アイサイト」の歴史
ステレオカメラと呼ばれる、2つのカメラを人間の目のように使うことで自動ブレーキなどの情報源とする「アイサイト」の歴史は、1999年に登場した3代目「レガシィ」ファミリーのランカスター(現在のレガシィアウトバックに相当)に搭載された「ADA」(アクティブドライビングアシスト)にさかのぼる。
1999年に登場した「レガシィ ランカスターADA」。車両価格は324万8000円(税別)だった
この時のADAの機能は、ステレオカメラからの情報を基にした
・車線逸脱警報
・車間距離警報
・先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール
・カーナビによる経路案内中のカーブ警報&シフトダウン制御
という運転支援で、実用化には約10年が費やされ、価格は約50万円だった。
ADAに大きな進歩があったのは、レガシィが4代目モデルとなった2003年だ。この時には、情報源にミリ波レーダーが追加され、より詳細に前方の状況が把握できるようになり、運転支援機能にはアダプティブクルーズコントロールのブレーキ制御、ふらつき警報機能、前車発進モニター機能などが追加された。
しかし、機能は向上したもののミリ波レーダーの追加により、ADAは70万円とさらに高価なものになってしまったためまったく売れず、3年ほどで姿を消してしまった。
だが、ADAは2008年の4代目「レガシィ」の最終型が登場した際に、名前をアイサイトに変え復活する。この時のアイサイトでは、情報源を再びステレオカメラだけにするなどし、価格は20万円+消費税と大幅に値下げされた。
機能も、当時の法規の問題で停止まではしないものの、歩行者や自転車も検知する緊急ブレーキによる被害軽減、AT 誤発進抑制制御、停止まで対応するアダプティブクルーズコントロールなどと、当時としては非常に充実していた。なお、4代目レガシィと同様のアイサイトは7人乗りミニバンの「エクシーガ」にも設定された。
そして、アイサイトがブレイクしたのは2010年に5代目レガシィの2年目の改良の際だった。ver.2となったアイサイトは緊急ブレーキが停止まで行うなどの性能向上に加え、価格は10万円+消費税と一気に値下げされ、アイサイトを大きな理由にレガシィを選ぶ人が増えたほどだった。
このあと、アイサイトは「BRZ」や「WRX STI」を除くスバルの各車に設定され、スバル車の基幹技術に成長。2014年に現行「レヴォーグ」が登場した際のver.3でステレオカメラのカラー化や小型化が行われ、その後は運転支援機能を中心とした改良が続いている。
こちらは5代目レガシィから投入されたアイサイトver.2。その後、大人気となった4代目フォレスターなどにも搭載され、一気に普及することとなった
■アイサイトの現在のポジション
アイサイトの性能は、価格まで考慮すれば世界トップクラスだった。それが明確になったのは2014年度に国が行うJNCAP(自動車アセスメント)に自動ブレーキに代表される予防安全装備のテストが加わってからだ。
アイサイトは当時から、停止車両に対して50km/hでの停止が確認されており、このころは停止車両に対し50km/hで停止できないクルマが多々あったのを考えると、アイサイトの総合力は圧倒的だった。
だが、2016年度からJNCAPの予防安全装備のテストに成人と子供のダミー人形を使った、単純な飛び出しと駐車車両を想定した遮蔽物からの飛び出しという対歩行者の項目が加わってから、アイサイトの優位性に陰りが見え始めたのも事実だった。
対歩行者のテストでは、世界トップと言われるモービルアイ社の単眼カメラを使うマツダと日産が台頭。アイサイトは「得られる情報量を増やすために、ステレオカメラの横方向の感覚を広げたいのだが、広げて情報量が増えると今度はCPUによる情報処理が間に合わなくなる」という課題が目立つようになってきた。
さらに、2018年になると現行「アルファード」のマイナーチェンジモデルで登場し、「クラウン」や「カローラファミリー」、「RAV4」にも採用されるミリ波レーダーと単眼カメラから構成されるトヨタセーフティセンスの最新版が夜間の歩行者にも対応するようになった。
最新版のトヨタセーフティセンスは、前方の車両や歩行者(昼夜)、自転車運転者(昼)をミリ波レーダーと単眼カメラで検出する
といったことを総合し、現在実施済のJNCAPの予防安全装備のテスト結果(表参照)から日本車の自動ブレーキの性能を順位付けしてみると、
◆トップ 最新「トヨタセーフティセンス」&「レクサスセーフティシステム+」
◆2位グループ 最新「アイサイト」(夜間の街灯なしの歩行者に対するテスト結果が最新のトヨタのものに見劣りするため)、最新「日産エマージェンシーブレーキ」
◆3位グループ 最新「ホンダセンシング」、最新「マツダスマートブレーキサポート」
となる。
しかし、まだJNCAPの予防安全装備のテストは受けていない世界トップクラスの運転支援システムである、日産が「スカイラインハイブリッド」に搭載した「プロパイロット2.0」は周囲の情報収集にトライカムと呼ばれる三眼カメラと多数のレーダーを使っている。
それだけにコストが非常に高いのはいなめないにせよ、自動ブレーキの性能も最新のトヨタのものを凌駕するのは濃厚で、現在のアイサイトはスカイラインハイブリッドがJNCAPのテストを受けると、3番手グループとなる可能性は高い。
マイナーチェンジしたスカイライン。こちらはV6、3.5Lハイブリッドを搭載したモデル
「スカイライン」のハイブリッドモデルに、先進運転支援技術「プロパイロット 2.0」を採用。高速道路における同一車線内でのハンズオフ機能を実現している
そのなかでのアイサイトのアドバンテージとしては、
・カラーカメラなので、赤信号や先行車のブレーキランプの点灯も把握している。前者は赤信号をクルマが把握した際にブレーキ操作がなかった場合の警告(ブレーキは掛からない)、後者はアダプティブクルーズコントロールを使った際の追従のスムースさに貢献している。
・スバルはマツダと同様にトヨタ、日産、ホンダのように車種が多くないため、最新の自動ブレーキの社内での展開が早く、メーカー別に見た際の平均点が高い。
ということが挙げられる。
■2020年、自動ブレーキはどうなる?
2020年も自動ブレーキの進化の度合いは大きいと予想される。現在わかっていることとしては、
・トヨタは、「ヤリス」のものが最新トヨタセーフティセンスとなるだけでなく、トヨタ初となる右折時の直進車と右左折後の横断歩行者への対応が加わる。
・ホンダは、次期「フィット」の単眼カメラが、日産とマツダも使うモービルアイ社のものに変更されるため、特に夜間も含めた対歩行者への性能向上が期待される。
といったことが挙げられる。
またスバルも、2019年の東京モーターショーでプロトタイプが出展された次期レヴォーグのアイサイトは、ステレオカメラの横方向の間隔を広げ情報収集能力を高める(CPUの情報処理能力の向上も含む)だけでなく、情報収集に前方のミリ波レーダーも加わり、見通しの悪いところなどでの出会い頭や右左折時の事故防止に対する性能も高まるという。性能向上はもちろん大歓迎だが、値上がりはちょっと心配なところだ。
いずれにしても、スバルのような大きくないメーカーのクルマには何らかの飛び抜けた性能が欲しいだけに、アイサイトも次期レヴォーグでかつてのような輝きを取り戻すことを期待したい。
【ムービー】走り出しから違いを体感! 大幅改良が施されたスバル・インプレッサの進化を試す!
STIのノウハウも注ぎ込んで走りを熟成!
スバルの顔ともいえるインプレッサ。そして、コンパクトなボディに本格SUVの実力を融合させたSUBARU XV。この両車が10月に改良受けて熟成した。
その改良モデルである、インプレッサSPORTに、まるも亜希子さんが試乗した。乗り込んだのは、2.0i-S Eyesight。その実力は? 都内から横浜までの道のりでインプレッションした模様を動画でお届けしよう。
【スバルの屋台骨が新型にチェンジ!!】インプレッサ&XV改良で捲土重来を期す!!
スバルの主力車種「インプレッサ」とSUV版の「XV」がマイナーチェンジ。話題のマツダ車と似て非なる持ち味と長短とは?
スバルは、メカニズムから外観のデザインまで、すべての車種に共通する持ち味がある。統一された車造りは、メルセデスベンツやBMWのような欧州ブランドに似ている。
ちなみに、マツダの開発者は「マツダ車を買う、とブランドで選ばれるメーカーになりたい」という。
スバルは「ブランドで選ばれたい」とは主張しないが、以前からそのような車を造ってきた。今のマツダは、スバルを追いかけているともいえるだろう。
このスバルの主力車種となるインプレッサとXVが、2019年11月15日にマイナーチェンジを実施した。2車種を試乗して改良の成果を確認するとともに、同じ方向を目指すライバルのマツダ3、CX-30とも比べてみたい。
文:渡辺陽一郎
写真:奥隅圭之、SUBARU
【写真ギャラリー】従来型と同じようで違う!? 新型インプレッサの気になる中身
地味ながら着実に熟成!! 新型インプレッサの改良点は?
改良型インプレッサ。バンパー付近がシンプルで滑らかな形状になり、フロントグリルの上下幅を10mm狭め、なおかつ上側へ10mm持ち上げた
まず、インプレッサスポーツ「2.0i-Sアイサイト」を試乗した。
フロントマスクは、以前に比べて存在感を強めている。バンパー付近がシンプルで滑らかな形状になり、以前に比べてスッキリさせながら、インパクトを強めている。
走りに関する変更では、前後のクロスメンバー(ボディ底面の左右方向に装着された骨格)に補強を加え、ショックアブソーバーの作動も最適化した。そのために以前よりも乗り心地が向上している。
装着されていたタイヤサイズは18インチ(225/40R18)で、銘柄はヨコハマ アドバンスポーツV105。指定空気圧は前輪が230kPa、後輪は220kPaだから改良前と同様
改良後は路上の細かなデコボコを直接的に伝える粗さを抑えた。40km/h以下では少し硬く感じるが、ミドルサイズハッチバックでは快適だ。
ステアリング操作に対する車両の動きも正確になり、なおかつ自然な印象だ。もともとスバル車は操舵に対する車両の動きが穏やかで、それが良好な視界や広い室内と相まって、独特のリラックス感覚を生み出してきた。
機敏な方向に振りすぎると、スバル本来の特徴を損なうが、改良されたインプレッサは走行安定性、操舵感、乗り心地のバランスを巧みに保っている。以前と同様に後輪の接地性が高く、カーブでも、直進時でも、常に安心できる運転感覚を提供する。
安全装備と運転支援機能のアイサイトは、レヴォーグやWRX S4と同様の「ツーリングアシスト」に進化させた。
カメラが路上の白線を読みにくい渋滞時でも、先行車の動きに追従することで、操舵支援を続けられる。通常の操舵支援や車間距離を自動調節するアイサイトは、おおむね良好だ。
マツダ3と比べてどうか!? インプレッサの持ち味は??
インプレッサスポーツ/全長×全幅×全高:4475×1775×1480、価格帯:200万2000~270万6000円
インプレッサスポーツをマツダ3と比べたらどうなるか。
試乗したインプレッサ「2.0i-Sアイサイト AWD」の価格は270万6000円(前輪駆動車は248万6000円)だから、マツダ3に当てはめると、ファストバックに2Lエンジンを搭載する「20Sプロアクティブ」(251万5741円/2WD)がライバル車に該当する。
外観の評価は見る人によって異なるが、視界と取りまわし性はインプレッサが優れる。マツダ3ファストバックは、リヤピラー(柱)が太く、リヤサイドウインドウは極端に狭い。縦列駐車や車庫入れもしにくい。安全性にも悪影響を与える。
内装の質は互角か、マツダ3が少し上質だ。前席の居住性は同等になる。
マツダ3/全長×全幅×全高:4460×1795×1440mm、価格帯:222万1389~368万8463円
後席はインプレッサが広い。身長170cmの大人4名が乗車して、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半を確保したからリラックスできる。
マツダ3は握りコブシ1つ半だ。前席の下に足が収まりやすく、大人4名の乗車は妨げないが、インプレッサよりは狭い。長身の同乗者が座る場合、マツダ3は後席の居住性を確認して選ぶ必要がある。
2Lエンジンは、両車とも車重に対して動力性能が足りない。実用的には充分だが、マツダ3の1.5L、インプレッサの1.6Lと比べて、排気量を1.3倍に増やした効果を実感しにくい。
それでもマツダ3は、6速MTを採用した効果もあり、4300回転付近から速度の上昇が鋭くなる。加速の仕方はインプレッサよりも少し活発だ。
操舵に対する反応は、マツダ3が少し機敏に感じる。小さな舵角から車両が正確に向きを変える。インプレッサもマイナーチェンジで正確性を高めたが、マツダ3に比べるとマイルドだ。これは持ち味の違いで、良し悪しではない。
峠道を走った時も、マツダ3は車両の向きを変えやすく、旋回軌跡を拡大させにくい。その替わり後輪の接地性は少し下がるが、挙動変化は穏やかで、アクセル操作によるコントロールもしやすい。インプレッサは回頭性が少し下がるが、後輪の接地性は高く、安定指向に仕上げた。
流行りのクロスオーバー真っ向勝負!! 新型XVとCX-30の一長一短
XV/全長×全幅×全高:4465×1800×1550mm、価格帯:220万~292万6000円
次はXVの「ハイブリッドアドバンス」を試乗した。
以前のXVは、2Lガソリンエンジンも用意したが、今は廃止されて2Lハイブリッドと1.6Lのみだ。背景には将来の燃費規制があり、ほかの車種も今後の2Lはハイブリッドに順次置き換えていく。
ハイブリッドのモーターは最高出力が13.6馬力と大人しいが、エンジン回転数が下がった状態では、駆動力を効果的に支援する。
乗り心地はマイナーチェンジを受けて少し柔軟になった。インプレッサに比べると少し硬めに感じるが、おおむね快適だ。
XVは最低地上高が200mmに達するから、悪路のデコボコを乗り越えやすい半面、峠道のカーブを曲がるとインプレッサに比べてボディの傾き方が少し大きい。それでも挙動の変化が穏やかに進むから不安はない。
CX-30/全長×全幅×全高:4395×1795×1540mm、価格帯:239万2500~371万3600円(※2020年1月下旬発売予定のSKYACTIV-X含む)
マツダCX-30と比べると、居住性は、後席の足元空間の広いXVが快適だ。CX-30の後席はCX-3よりは広いが、マツダ3と同程度でXVよりは狭い。荷室容量は同程度だ。
XVの試乗車はハイブリッドの「アドバンス」(292万6000円)で、この価格に見合うCX-30は、2Lエンジンを搭載した「20Sプロアクティブツーリングセレクション」の4WD(297万円)になる。
低回転域の駆動力を比べると、モーター駆動の支援もあってXVに少し余裕があり、WLTCモード燃費はXVが15km/L、CX-30は14.8km/Lだ。XVはハイブリッドだが、燃費数値と価格はCX-30と同等になる。
走行安定性はユーザーの好みによって評価が変わる。XVは後輪の接地性が高く安心感を伴うが、峠道などでは若干曲がりにくい。その点でCX-30は、安定性は一歩譲るが、車両を内側へ向けやすい。ここは互角だろう。
乗り心地は両車ともに低速では少し硬く、速度が高まると快適になる。CX-30ではディーゼルよりも2Lが良好だ。開発者に尋ねると「マツダ3とCX-30のプラットフォームでは、ボディの軽い方が足まわりが柔軟に動く傾向にある」という。
「実用」のスバルと「情緒」のマツダ
改良型のインプレッサ&XV。マツダの競合車はフルモデルチェンジ直後と新しさも武器だが、それとは異なる持ち味で勝負。今後の販売動向にも注目だ
以上のようにスバル インプレッサ&XVと、マツダ3&CX-30を比べると、機能的にはスバル車の優れた面が目立つ。走行安定性が高く、後席も広くて荷室は実用的だ。さまざまな機能をバランス良く向上させた。
一方、マツダ車は、実用よりも情緒を重視する。
マツダ3とCX-30のボディパネルは、一種のスクリーンで、周囲の風景が美しく映り込む。いわば走るシアターだ。安全に直結する走行安定性には力を入れたが、操舵した時の機敏な反応など、ドライバーと車両の一体感も重視している。
「マツダ車を買う」とブランドで選ばれるメーカーになるためには、マツダのやり方が近道かも知れない。ただし、多くのユーザーに理解を得やすいのはスバルだろう。
特に視界の優れたボディは安全性も高めるから、情緒で攻めるマツダよりも説得力が強い。
それにしてもスバルとマツダは、日本のメーカーでは規模が小さい部類に入るが、トヨタや日産とは違う分かりやすい特徴を備えている。
地道な進化とは? 新型スバル インプレッサ スポーツ試乗記
2019年10月、スバルの国内主力モデル「インプレッサ」と、そのインプレッサをクロスオーバーSUVに仕立てた派生モデル「スバルXV」が同時にフェイスリフトを受けた。発売はどちらも11月半ばの予定だったけれど、日本列島を襲った台風19号の影響で出荷が遅れ、販売店でのフェアに間に合わなかった。師走になって、ようやく国内の全拠点に試乗車の配備が完了し、仕切り直しということで、プレス向けの試乗会を開いたのだった。
ここでは、東京タワーの麓から横浜みなとみらい地区まで、首都高速を含む一般道およそ40kmの往路で試乗したインプレッサSPORT 2.0i-S EyeSight AWDについての印象を述べたい。
【主要諸元(2.0i-S EyeSight AWD)】全長×全幅×全高:4475×1775×1480mm、ホイールベース2670mm、車両重量1400kg、乗車定員5名、エンジン1995cc水平対向4気筒DOHC(154ps/6000rpm、196Nm/4000rpm)、トランスミッションCVT、駆動方式4WD、タイヤサイズ225/40R18、価格270万6000円(OP含まず)。インプレッサには1992年にデビューした初代以来、4ドア・セダンと5ドア・ハッチバックの2種類のボディがあり、それは2016年に登場した現行モデル、第5世代のインプレッサもおなじだ。前者は「G4」、後者は「スポーツ」と呼ぶ。
エンジンは生産中の自動車用ユニットとしては世界でオンリーワンの水平対向4気筒、別名“フラット4”の自然吸気で、1.6リッターと2.0リッター直噴の2種類があり、ギアボックスはリニアとロックと呼ばれるCVTと組み合わせられる。駆動方式は2WD(前輪駆動)とAWD(全輪駆動)の2種類がすべてのグレードに用意されている。
試乗車は車名が示すごとく5ドア・ハッチの2.0リッター、AWDで、Sは18インチのタイヤ&ホイールを履いたスポーティ仕様であることを表す。車両価格は270万6000円で、インプレッサにおける最上級モデルということになる。
インプレッサは5ドア・ハッチバックの「インプレッサ スポーツ」と、4ドア・セダンの「インプレッサ G4」が選べる。3年目のフェイスリフト、まずは外観がチラッと変わった。と、筆者なんぞは思ってしまうけれど、オーナーのかただとものすごく雰囲気が変わったと受け取られるかもしれない。ビフォアは左右、真ん中と独立していた3つのバンパー下部の開口部が、アフターは水平基調のラインでつながり、たいへんスッキリし、安定感が増した。
ヘッドライトのデザインは変わっていないのに、目元までスッキリした印象を受けるのは筆者だけかもしれないけれど、より機能主義的で、よりモダンになった、といえるのではあるまいか。鎖がまが回転しているみたいな18インチ・ホールのデザインも新しい。
最上級グレードのアルミホイールは18インチ。ほかのグレードは16~17インチ。インテリアではダッシュボードの表皮の面積を増やしたり、液晶ディスプレイ周辺のデザインを見直したり、シート表皮の材質を変えたりしている。目的はもちろん品質感をあげるためだ。たいへん地道な変更で、これまた前期型モデルのオーナーだったら、ちょっと悔しい思いをするかもしれない。
目玉のひとつは、2016年の発表時に全車標準化されたアイサイトver.3がその最新バージョンのアイサイト・ツーリングアシスト付きに進化した点である。ステレオカメラだけで認識するスバル独自の運転支援システム、アイサイトの後ろにツーリングアシストの文字が合体すると、0~120km/hの範囲でアクセル、ブレーキ、ステアリング操作をアシストする。ようするに自動運転的なことをしてくれる。渋滞時にも、先行車をカメラが認識して、ストップ&ゴーに対応してくれる。
インテリアはインパネやシート表皮などが見直された。デザインはほぼおなじ。安全装備面ではアダプティブドライビングビームと呼ばれる、夜間のハイビームとロービームの自動切り替えシステムや、運転席のシートポジションメモリー機能等が新たに装備されている(グレードによって改良内容は異なるのでご注意ください)。
万能ファミリーカーじつは筆者、この型のインプレッサに乗るのは初めてでありまして、正直その乗り心地のよさと駆動系のスムーズさ、静かさに驚いた。5代目インプレッサの最大の特徴は、“SGP”と略称される新プラットフォームを初採用したことで、当時のスバルのプレスリリースは誇らしげにこんなふうに書いている。
「動的質感では、新プラットフォームを採用しボディとサスペンションの剛性が大幅に向上したことで、不快な振動騒音が無く、思い通りに走り、快適な乗り心地を実現しました」
スバルは基本的に1989 年発表の初代レガシィを起源とするプラットフォームをおよそ30年、正確には27年にわたって、軽自動車を除く、あらゆるモデルに使ってきた。改良の積み重ねで、いわばツギハギだらけで、重くなってもいた。それが一新された。その効果がもっともストレートに出ているのがインプレッサだろう。そう筆者は直感した。
JC08モード燃費は15.8km/L。駆動方式はFWD(前輪駆動)と4WDが選べる。搭載するエンジン(直噴システム付き)は1995cc水平対向4気筒DOHC(154ps/6000rpm、196Nm/4000rpm)。SGPはインプレッサよりも大きくて重いフォレスターそのほかのスバル車の骨格にも使われることが想定されている。そのなかで、インプレッサは1番小さい。同じ骨格であれば、ボディはちっちゃい方が、もちろんパワートレインとの相性もあるにせよ、少なくともより骨太になるはずである。
じつはシャシー面の改良も、3年目のフェイスリフトではおこなわれている。SGPの改良点はどこか? ひとつは、サスペンションの取り付け部のクロスメンバーの溶接方法を変えるというシブい手段によって剛性をあげている。それに合わせてスプリングとダンパーも変えている。ダンパーそれ自体は、製品はおなじだけれど、特性を最適にしているという。
最小回転半径は5.3m。トランスミッションは全グレードCVT(リニアトロニック)のみ。電動パーキングブレーキは標準。225/40 R18の「ヨコハマ・アドバン・スポーツ」というスポーツと名のつくタイヤを履いているにもかかわらず、乗り心地はしなやかで、ドッシンバッタン、まったくしない。いや、1度だけ、首都高速羽田線のトンネルのなかで、路面の凸凹を拾ってドシンというショックを伝えた。そのことを開発責任者の布目智之さんに立ち話で申し上げると、布目さんは落ち着いたまま、こう言った。
「限界はあります。そのときに大切なのは収束を早くすること」
なるほどシルバー・メタリックのインプレッサは、そのあと何事もなかったかのように走り続けたのだった。
ステアリング・ホイールには運転支援およびオーディオ用スウィッチ付き。メーターはアナログ。インフォメーション ディスプレイはフルカラー。ステレオカメラを使った運転支援技術「アイサイト」は全グレード標準。衝突被害軽減ブレーキや全車速追従機能付きクルーズコントロールなどを含む。ただし、Sの文字がつくにもかかわらず、いわゆるスポーティ・カーではない。1995cc直噴フラット4は最高出力154ps /6000rpm、最大トルク196Nm/4000rpmと、トルク重視の実用エンジンである。印象的なのは、水平対向4気筒特有の完全バランスから生まれるスムーズさ。そのスムーズさはCVTとの組み合わせと、SGPなる新プラットフォームによってより強調されている。
乗り心地とエンジンのスムーズさはもちろんつながっている。少なくとも、エンジンがスムーズであると乗り心地もスムーズになるのは自明だ。くわえて、フラット4ならではの低重心とAWDによる安定感。室内も荷室も広いし、雨や雪にも強い。3年を経たいまも、インプレッサはVWゴルフ・クラスの万能ファミリー・カーとして、世界で唯一無二の相棒になってくれるだろう。
しかもスバルは、WRCで3度マニュファクチャラーズ選手権を制し、3人のドライバーをチャンピオンに輝かせた、ニッポンの宝石のようなブランドである。
前席は8ウェイ電動調整機能付き。リアシートはセンター アームレスト付き。レザー表皮はオプション。ラゲッジルーム容量は通常時385リッター。リアシートのバックレストは40:60の分割可倒式。パナソニック製のカーナビゲーションはディーラーオプション。個人的には、ステアリングのレスポンスがもうちょっとクイックだったらなぁ……と、思ったので、そう布目さんに申し上げると、こんな内容の答が返ってきた。
「インプレッサは初心者からマニアまでユーザーの幅が広い。どこを目指すべきか、社内で検討するために、STI社がダンパーのチューニングを手がけて応答性をあげたハンドリングのベンチマークとなるクルマをつくった。それを今回、持ってきているので、ぜひ乗って、ご意見をお聞かせください。」
ごめんなさい。結局、筆者は乗る機会を逸してしまいました。逸したのに書いたのは、スバルの開発陣は、謙虚に前に進もうとしている、ということをお伝えしたかった。くわえて、インプレッサSTI の可能性も。
文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)
Posted at 2020/01/06 21:43:43 | |
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富士重工 | 日記
2020年01月06日
メルセデスAMG、ニューモデルを予告、AMG GT 4ドアクーペの高性能版「AMG GT73」か
メルセデス-AMGは12月20日、ニューモデルの登場を予告する映像をYouTubeに公開した。
公開された映像は、メルセデスAMGのモータースポーツシーンにおける活躍をダイジェストで伝えるもの。その映像の終盤(2:18付近)で、謎のニューモデルが登場する。ネット上では、それが「AMG GT 73」では? とひそかな盛り上がりを見せている。
AMG GT73の登場はかねてから噂されていた。それはAMG GT 4ドアクーペをベースにさらなる高性能を果たしたもので、最高出力は800psに達すると言われれいる。現行のAMG GT 63Sで最高出力は639psを実現しているため、800psというのは非現実的なものではないだろう。
具体的なことは公表されていないが、このタイミングで予告映像が出るということは、デビューが近づいている可能性が高い。GT73、2020年に出るか。大いに期待したい。
【800ps超え】メルセデスAMG GT 73 4ドア・プラグインハイブリッド 2020年に登場
GT 73プロトタイプの詳細
text:Will Trinkwon(ウィル・トリンクウォン)
近日発売予定の、メルセデスAMG GT 73のプロトタイプモデルが公開された。
GT 73は、2017年にジュネーブで発表されたGTコンセプトをベースにしていて、GT 63 Sに代わりラインナップ中のトップモデルとなる。
この新しいGT 4ドアクーペは、コンセプトモデルと同様、フロントアクスルに電気モーターを備え、4.0L V8ツインターボ・ガソリンエンジンを搭載した、プラグインハイブリッドとなることが予想される。
最高出力は、GT 63 Sの639psと、ポルシェ・パナメーラ・ターボSEハイブリッドの680psを超え、800ps以上となると言われてる。
GT 63 Sと同じ9速オートマティック・ギアボックスを介した四輪駆動で、0-100km/h加速は3.0秒を切ると予想される。
ラインナップの中で最も経済的で、最大31マイルのエミッションフリー走行が可能になると期待されている。
メルセデスは、GT 73の発表時期をまだ公表していないが、3月に行われるジュネーブ・モーターショーで発表される可能性が高いだろう。
メルセデスAMG GT に「73」か、新型車のプロトタイプ映像
メルセデスベンツの高性能車部門のメルセデスAMGは、現在開発中の新型車のプロトタイプ車両の映像を、公式サイトを通じて公開した。
この新型車は、4ドアクーペのメルセデスAMG『GT』がベースだ。メルセデスAMGによると、「未来のパフォーマンス」を明確にする1台になるという。
メルセデスAMG は2017年、創業50周年に合わせて、メルセデスAMG『GTコンセプト』を発表した。4ドアクーペのメルセデスAMG『GT』の前身となった同車は、「AMGフューチャーパフォーマンス」を開発のテーマに掲げていた。
メルセデスAMG GTコンセプトには、高性能な電動パワートレインを採用していた。フロントに4.0リットルV型8気筒ガソリンツインターボエンジン、リアにモーターを搭載する4WDで、システム全体で805hpのパワーを引き出し、0~100km/h加速3秒以内の性能を可能にしていた。
メルセデスAMGが現在開発中の新型車のプロトタイプ車両は、この高性能な電動パワートレインを、4ドアクーペのメルセデスAMG GTに搭載したモデルの可能性がある。噂されているメルセデスAMG『GT 73』として、登場する可能性もありそうだ。
Posted at 2020/01/06 21:22:56 | |
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メルセデスベンツ | 日記
2020年01月06日
【ヒットの法則99】初代ケイマンSはボクスター以上の人車一体感と911以上の軽快な身のこなし
2005年のフランクフルト・モーターショーでついにその姿を現したケイマン。ミッドシップスポーツカーの走りはどういうものか。ボクスター、911とはどう違うのか。大きな注目が集まる中、デビュー早々にイタリアで国際試乗会が行われている。(以下の試乗記は、Motor Magazine 2005年11月号より)
大いなる魅力を放つクーペならではの美姿
待ちに待ったポルシェケイマンSの国際試乗会。それは、このモデルが初めて一般に公開されたフランクフルトモーターショーのまだ会期中というタイミングに、イタリアはシエナでの開催となった。最寄りのフィレンツェ空港からアウトストラーダを送迎シャトルに揺られること1時間と少し。中世の小さな村をそっくりリファインした、この地方の歴史を感じさせるリゾートホテルが今回の試乗会の拠点であった。
レセプションでキーを受け取り、自らの部屋へと一歩足を踏み入れるとテーブルの上には何と全長50cmほどの可愛いワニのぬいぐるみが! ちなみに、中南米産のワニを示す「cayman」というこの綴りを、ポルシェ本社のスタッフたちは自国(ドイツ)語モードの会話では「カイマン」と発音する。もっとも、マーケティング上は全世界の市場で『ケイマン』で統一することになるという。「小型で俊敏な動きをするところが、このクルマのキャラクターにぴったり」と、その名の由来をポルシェ本社のPRスタッフは教えてくれた。
フランクフルトのショー会場では、メルセデス・ベンツの新型SクラスやアウディQ7などとともにショーの主役の1台となったケイマン。そんなショーモデルの印象に比べると、ホテルの敷地内にある広場で再度の対面となった自然光の下でのこのクルマは、ぼくには多少印象が異なって見えた。
中でも、リアのフェンダー上部から「120km/hになると80mmほど上方に伸びる」という可動ロジックを備えるダックテール調リアスポイラー部分へと続くパネルのうねりの具合は、ショー会場で目にしたそれよりもグンとシャープでメリハリが効いた印象。そんな雰囲気の違いは、様々な方向からのライティングで陰影が消されがちなショー会場の展示に対し、太陽という天然の照明によって照らされるところにも起因しているのかも知れない。ボクスターと基本デザインを共有するもう見慣れたフロントセクションよりも、ぼくはそんなこのクルマのリアセクションの造形により大きな魅力を感じることになった。
インテリアのデザインは、基本的にはやはりボクスターのそれと共通だ。メーターフード上に新たな金属メッシュが採用されるといったディテールの違いは存在するものの、ドライバーズシートに収まり前方に目を向ける限り、そこに広がる風景は「ボクスターと同様」ということになる。ちなみに、ルームミラーを通しての後方視界も含め、前後左右への視界の広がりは十分に大きい。同じクーペとは言え、例えばアウディTTのそれなどより遥かに開放的なのがこのクルマのキャビンの印象。
当然ながらそのドライビングポジションもボクスターと同様だ。テレスコピックに加えてチルト調節機能も加わったステリアングコラムの採用により、体型にかかわらず誰もが簡単に理想のポジションを見つけ出せるというのも、ボクスターと同じコメントになる。
ところで、ケイマンのラゲッジスペースの充実ぶりは、他の2シーターモデルの追随を許さない。ボクスター/911と同じ150Lの容量のフロントトランクに加え、巨大なハッチゲートの下には上下ステップ状にトータル260Lのスペースを用意。すなわち合計では410Lというちょっとしたセダン並の空間を得ることができるという計算だ。
実際、これらのスペースを使いこなせば、ミドルクラスのスーツケースを前後にひとつずつ楽に収容可能。個人的な経験からすると「2人が乗り込みさらにその2人分の海外旅行用の荷物を積み込む」というのは、大半の2シーターモデルにとっては相当に厳しいタスクであるもの。しかし、エンジン部分の日常的なメンテナンスは床下側から行うデザインとし、いわゆるエンジンルームを封印してしまうことでこうしたユーティリティ性を実現させたケイマンのレイアウトは、実はそれ自体が「画期的」と表現できるほどに興味深いものだ。
ボクスターと911とケイマンとの境界線
今回発表されたケイマンは「S」グレードのみ。ただし、ポルシェ本社主催の国際試乗会での通例として、用意をされていたテストモデルたちには車両ごとに様々なオプションアイテムが装着されていた。
インテリアのトリムレベルやオーディオ、シート表皮の違いなど、さしあたりは走りに直接の影響を及ぼさない部分の話題はここでは割愛するとして、走りの印象記はそれら装着オプションの走りへの影響も適宜織り込みつつ、報告して行くことにしよう。
低い雲がたち込める曇り空の1日目にテストドライブを行ったのは、スポーツクロノパッケージ(PASMを含む)とPCBというオプション付きモデル1台に限られた。
1.3トン台の車両重量に3.4Lエンジンという組み合わせもあり、スタートの瞬間からさすがに太く、力強いトルク感が印象的。特に急ぐのでなければ、市街地モードでは1→3→5速といったズボラな操作でも周囲の流れには十分乗れる。
シフトフィールはもちろんボクスター同様の秀逸さ。ちなみに、アイシン製の6速MTを用いる911に対し、こちらはボクスターと同じゲトラグ製。こうしてサプライヤーを分けた理由を、パワートレーン担当エンジニア氏は「よりトルクの大きなエンジンへの対応を踏まえて歯幅などを決定したアイシン製をケイマンにも積むことは、重量などの点で得策ではないため」と回答してくれた。
アクセルペダルをさらに踏み加えてみる。と、当初は「ボクスターの、それも2.7Lバージョンの方とほぼ同じだナ」と思えていたサウンドがグンと力強く、しかも官能的な音色へと変化して行くことに気づく。特に、5200rpm付近からレッドラインの引かれた7200rpmにかけては、そのボリューム感もかなりのもの。背後から身体を包み込む力強いボクサーサウンドは、スポーツ派ドライバーには間違いなく歓迎されるに違いない。
「ボクスターS用に対して、1速2速の減速比をやや大きめへとリファインした」というトランスミッションは、1速で70km/h弱、2速で125km/hプラス、3速で160km/h……といった各ギア最高速をマーク。ちなみに6速での100km/h巡航時のエンジン回転数はおよそ2600rpm。この状態からダウンシフトを行うと5速が3000rpm、4速が3600rpm、3速が4500rpm……といったデータになる。
いずれにしても、各ギア間のつながり感はバツグン。実は今回、AT仕様に乗る機会には最後まで恵まれなかったが、前述のような秀逸なMTフィールを投げうってまで、あえてAT仕様に乗りたいという思いは、ぼくには全く浮かばなかった……。
ところで絶対的には「文句ナシ!」と評することのできるイマンSの動力性能だが、そこにはどこかに「兄貴分である911に遠慮した」という空気が感じられたのもまた事実だった。
もちろん、ケイマンSの速さは文句なしだ。エンジン回転の高まりに対してのパワーの盛り上がり感なども含め、フィーリング的にも前述のように非常に優れているのは間違いない。けれども、それでもそのような演出ぶりというのは、もしも911という兄貴分がいなければさらにシャープで派手なものになったのではないか?という思いも残る。
具体的には、3.4Lにして295psという最高出力の値は、明らかに同じ3.4Lという排気量であった996時代の911が発表していた300psという数字を意識してのものであるようにぼくには思える。
ハードウエア的にはオーバー300psを達成するのはまったくわけのないことだろう。仮に1L当たり出力を現在よりも3psほど高めた90psとすれば、この心臓が発する最高出力はおよそ305psに……。ポルシェがケイマンのリリースに際して最も恐れるのは、「911との食い合い」という現象であろう。実際、今回のケイマンSのリリースによって、これまで911に興味を示してきた顧客のいくばくかの目が、こちらに向いてしまうことは避けられないはずだ。そこで、911とケイマンの間に明確な線引きを行いたいポルシェとしては「ケイマンには300psという記号は与えない」という決断を下したのではないだろうか。事実、前出のパワートレーン担当エンジニア氏は、そんなぼくの推測に対して「確かに、295psという数字にはある程度政策的な意味が込められている」とこっそり打ち明けてくれた。
抜群のボディ剛性感と優れた乗り心地
ところで、そんなケイマンSの走りで印象的な部分。それはそのボディが生み出す剛性感の高さにもあった。
「曲げ剛性値はボクスターの2倍以上、ねじり剛性値は911のクーペに迫るレベル」と発表されたこのクルマのボディは、久々に「メタルの塊を繰り抜いてできたような」といった比喩を使いたくなる、すこぶる高い剛性感の持ち主。それゆえに、振動減衰能力の高さが優れた乗り心地を味わわせてくれることもある程度は予想がついたものの、このテスト車の場合はオプションのPCCB採用によるばね下重量の小ささとPASMによる電子制御のダンパーコントロールがそれを一層引き立ててくれた印象だ。
ちなみに、これが同じ18インチタイヤ(今回のテスト車両装着タイヤはすべてミシュランのパイロットスポーツ2)を履く仕様であっても、PCCBなし/PASMなしという組み合わせになると、やはり特に60km/h程度までの速度でのしなやかさが若干低下することを、翌日のテストドライブで知った。
一方、オプション設定19インチタイヤをチョイスすると、PASMの有無による乗り味の差は18インチの場合よりもさらに明確だ。PASM付きだと「50km/hくらいまでがちょいカタい」という感触で、PASMなしでは、それがばね下重量軽減に貢献するPCCBとの組み合わせであっても「60km/h程度までは揺すられ感が強く現れる」とそんな表現を使いたくなるものだった。
おそらくはコーナリングの絶対的な限界では19インチタイヤに軍配が上がるとは思う。が、ケイマンSとの全体的なマッチングという観点からすれば、18インチタイヤの方が総合バランスは上を行くという評価を与えたい。
ケイマンSが最も得意とするのはその自在なハンドリングの感覚だ。今回のシエナ近郊をベースとしたテストルートは、その多くの部分が日本の山岳路ともイメージがラップする、2速ギアが主体となる比較的タイトなコーナーの連続。しかもテスト2日目は朝のスタート時からヘビーウエットというコンディションだった。
しかし、そんな状況の中をケイマンSは、まさに「水を得た魚」のごとく自在に駆け回ってくれた。ミッドシップレイアウトの持ち主らしいしっかりとしたトラクション能力を基本とした上で、それにプラスされる軽快なノーズの動きの感覚は、やはりボクスターとの走りのDNAの共有をイメージさせるもの。
ただし「サスペンションのセッティングも全面的に見直した」というケイマンSのハンドリングは、ボクスターSに比べると「より低重心感が強く、路面とのコンタクト感もさらに濃厚で人車一体感がワンランク以上は上」とそんな表現をしたくなるものでもあった。
前述のようなコース設定ゆえ、今回のコーナリングスピードはせいぜい100km/h程度までの範囲に限定された。その中でいえば、いわゆるハンドリングの特性というのは「あくまでもニュートラルな感覚」。が、そうした上で意識的なアクセルワークによって積極的なコーナリングフォームを作り出して行ける懐の広さを感じさせてくれるのもこのクルマの特徴。例えばPSM(ポルシェ・スタビリティ・マネージメントシステム)をオフし、アクセルワークによって車体のスリップアングルを果敢にコントロールしていくといった操作に対しても、それにしっかりと応えてくれる。
確かに、兄貴分である911(特に3.8Lモデル)に対しては、絶対的な加速力ではまだ明らかなビハインドを持ってはいる。すこぶる高いと思えるボディの剛性も、「絶対的にはまだ911クーペの方が上」というのが開発陣のコメントでもある。
しかし、このクルマには911よりも明らかに数段上と思える軽快な身のこなしという能力が備わり、ボクスターとは一線を画す走り全体の剛性感と低重心感が認められる。
あくまでも個人的な見解ではあるが、ケイマンSを食してしまった今、「自分はもうボクスターには戻れない」と、ぼくはそんな印象をハッキリ感じてしまうことになった……。(文:河村康彦/Motor Magazine 2005年11月号より)
ポルシェ ケイマンS(2005年)主要諸元
●全長×全幅×全高:4341×1801×1305mm
●ホイールベース:2415mm
●車両重量:1340kg
●エンジン:水平対向6DOHC
●排気量:3864cc
●最高出力:295ps/6250rpm
●最大トルク:340Nm/4400-6000rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:MR
※欧州仕様
やっぱり987Cのケイマンいいなぁ~
Posted at 2020/01/06 21:17:21 | |
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ポルシェ | 日記