2020年01月29日
レースで培った空力性能を追究したエアロを採用「SUBARU BRZ STI Sport GT CONCEPT」
インテリアの質感をグッと高める特別な装備
東京オートサロン2020(千葉県・幕張メッセ)のSUBARU/STIブースにSUBARU BRZ STI Sport GT CONCEPTが展示されていた。SUPER GTに参戦中のBRZ GT300マシンをモチーフに、STIがレースで培った経験を最大限注ぎ込んだ、走りに特化させることを狙ったコンセプトモデルだ。
エクステリアは、新デザインのフロントアンダースポイラーがまず目を引いた。大きく前にせり出したインパクト大の形状に加え、バンパー裏側からアンダーカバーを巻き込むような形状にすることで、空力面も向上させている。
サイドに装着されたカナードは、レーシーな見た目の演出だけではなく、フロントの接地性を高めホイールが巻き込む空気の流れを計算した形状となっている。
また、バックスタイルにはスワンネックタイプのGTウイングを採用。SUPER GTのBRZ GT300を意識したデザインという意味だけではなく、空気の流れも考慮されている今回のウィングは機能美アイテムとしてのポイントが高い。エアロ類は全て風洞試験を実施し、最新のデータを元に作られているとのこと。
リヤの下回りには、軽量化に重きを置いて開発された試作のSTI performanceエンブレム付きのSTI製チタンマフラーが装着されていた。マフラー単体で約6.8キロという超軽量で、会場内では実際にマフラーを持ちあげて、現行型マフラーとの重さを比較することができた。
足元には、SUBARUの国内モデルで初となるマットブロンズカラーのBBS18インチ鍛造ホイールを装着していた。ベースとなるのは市販されているBBS RE-Vだ。タイヤは、現行BRZ STI Sportではミシュラン製を履かせているが、このコンセプトモデルはBRZ GT300と同じダンロップ ディレッツァを採用する。
インテリアは、内装を落ち着いた雰囲気のシルバーとブラックのモノトーンで仕上げている。シートはRECARO製を採用しており、カラーは内装と同じモノトーンだが、サイドにRECAROのロゴを刺繍。レッドとブラックのラインのアクセントが入っている。ドライバーが運転に集中できるようにと内装全体はモノトーンで仕上げられているが、ドアを開けて乗り込むときの高揚感を上げるために、サイドの加飾が見えるようなお洒落な工夫が施されていた。
ドアスピーカーのまわりやセンターコンソールのサイドにも明るめのシルバー系のレザーをアクセントとして使用されている。これらのアイテムも運転中の視界には入りにくいが、ドアを開けた時には目を引くようなポイントになっている。
インパネとステアリングには、ウルトラスエードを使用し、高級感を演出するとともに、ステアリングに関してはキビキビとした操作性を上げるために手に馴染む素材として採用したそうだ。
内装をモノトーンでまとめてはいるがシフト周りだけは赤ステッチが使われており、ドライバーの気持ちを高めるために、ここはあえて赤を選んだそう。
今回のモデルに採用されたボディカラーは、新色のギャラクティックWRブルーメタリックという青色で、これまでのWRブルーパールよりも煌めきが強く、GTやラリーなどのモータースポーツのシーンで輝きを放ちながら圧倒的な存在感を放てるように開発された色だそう。煌めきを強めただけではなくトーンアップもしており、次世代SUBARUを担うコーポレートカラーにもなるようだ。
SUPER GT300を意識して走りと質感の両方を高めたこのモデルは、BRZのフラッグシップモデルという位置づけだ。コンセプトではあるが、かなり市販モデルに近い仕上がりと言っても過言ではないので、登場を期待をしても間違いないだろう。
Posted at 2020/01/29 22:09:16 | |
トラックバック(0) |
富士重工 | 日記
2020年01月29日
GRヤリスにトラブル発生? 4WDなのに熱問題でFFに…どう改善したのか、真相を激白
豊田社長の「野性味が足りない」の意味とは
正式発表となった東京オートサロン2020のプレスブリーフィングにて、まだトヨタ自動車のマスタードライバーであるモリゾウこと豊田章男社長から合格点をもらっていないと明かされた、GRヤリス。その直後に行われた囲み会見でモリゾウ氏は「野性味がない」のだと、その意味を説明してくれたというのは、前回お伝えしたとおりである。
さて、それでは野性味とは一体どんな意味なのだろう? 続いてはトヨタ自動車副社長であり、またGRカンパニーのプレジデントである友山茂樹氏、そしてGRヤリス開発責任者の齋藤尚彦氏に、モリゾウ氏の言葉の意味、そして今も続けられている開発の様子、さらにはプロトタイプ試乗で抱いた疑問に対する答えなど、さまざまな話をうかがったので、紹介したい。
友山氏「まだまだ課題があります。いじりはじめるときりがなく、終わりはない。どこで出すか、どこでやめるかですね」
ゴーサインが出るまで開発は続くし、あるいはその後でも継続していくものだろう。では、われわれが試乗したプロトタイプの段階から「野性味」を加えるというのは、具体的にはどんなことが行われているのだろうか。
斎藤氏「それは音だったり、あとはステアリングから伝わるフィーリングですね、まずは。モリゾウさんは五感で、あるいは第六感かもしれないですが、野性味を求められています。特に音は、ご存知のとおり法規もあるので、どの辺まで出せるのか試行錯誤しています。量産車だけでなく、サーキットやラリーという舞台に持っていったときの音も含めて、このクルマが使われるであろうシーン全体で、乗って見てもらっている最中です」
車内に聞こえる音ならスピーカーを使ってもいいが、競技車両ではそうはいかない。また、レースやラリーということを考えるなら、外に聞こえる音も大事になってくるだろう。音量ではなく音質という面で。いずれにしても、もっと特別感があるべきだという話である。
友山氏「やっぱり400万円するクルマを買って、多少それって生活を犠牲にしてる部分がありますよね、リヤがあんなに低くて、後席の居住性もよくないですよね、しかも2ドアでしょ。WRCホモロゲーションに最高のクルマをつくるということでこういうクルマにしたんですけど、そこに400万円を払ってくれる人にしてみたら、やっぱり一般の4ドア車、ハッチバック車とは違った野性味が必要だというのは、何となくわかりますよね。単純に、しなやかに速く走るというのではなくて、何か演出がいるんじゃないのかというところを、これから作り込めるものは作り込んでいくというところです」
プロトタイプ試乗で気になった
4WDなのにFFになってしまったあの問題
一方でパフォーマンスとしては、すでに目標値はクリアしているという。しかし、その部分でもやはりまだ開発は終わったわけではない。
斎藤氏「最初に立てた目標は達成していますけど、走る、曲がる、止まるの総合性能の部分で、われわれがスポーツカーの開発を20年間やっていなかったことによって、まだまだわからないことがたくさんあるんで、そこをプロのレーシングドライバーの方々に手伝っていただいています。石浦(宏明)さんはよく『もったいない』と言うんです。性能はあるのに、ここで損してるよって。そのデータを解析すると『ああここのことを仰ってるんだ』とわかって、直していく。その繰り返しです。じつは友山さん、石浦さん、大嶋(和也)さんと、年末に合宿をやったんです」
友山氏「合宿やってるんですよ、サーキットで(笑)。しかも夜の9時、10時まで走ってるんですよ、筑波で寒い中」
走りの性能の話になったところで、ひとつ聞いてみた。レポートに上げているようにGRヤリス、プロトタイプの舗装路面での走行の際に、4WDシステムのカップリングが熱をもってしまったとかで後輪への駆動伝達がカットされ、FF状態になってしまったのだ。これは一体何が起きていて、解決はされたのだろうか。
斎藤氏「実際の話をすると、前回乗っていただいたときには保護制御というのが、温度推定をしちゃってたんです。(今は)改良して、ちゃんと実際の温度を見てホントに熱い時にFFにするってことにしましたんで、そこは解決しています」
何と! そういうことだったのか…。GRヤリスの4WDシステム“GR-FOUR”は電子制御多板クラッチカップリングを使い、前後輪の回転差を検知して後輪に駆動力を配分する。ポイントは通常状態から前後輪の減速比に差をつけておくことで、後輪にも常時、駆動力を配分することができている。ただし、常時スリップしているので熱が問題になる、というわけだが、実際の温度を見て制御することで、FF状態になるのを回避できるということは、つまり本当に熱くなることはそう滅多にないということなのだろうか。
斎藤氏「ないです。ですので踏んだ量、リヤを滑らせた量で推定して『このくらいだと危ないよね』と制御していたのを、直接見ることに変えました」
友山氏「ですが発表のとおり、ROOKIE RACINGがGRヤリスでスーパー耐久に出るんです。ここではもっと過酷な状況が出てくるかもしれません」
まずはひと安心と思ったら、開発陣にとっては、まだまだ油断できる状況ではないようだ。何しろそのマシン、厳しい厳しいテスターであるモリゾウ氏がステアリングを握る可能性が高いのだから。
そう、GRヤリスのテストは市販直前の今もまだまだ続いている。きっと市販が開始されてもなお、カイゼンはエンドレスに行われていくに違いない。
〈文=島下泰久〉
Posted at 2020/01/29 22:07:34 | |
トラックバック(0) |
自動車業界あれこれ | 日記
2020年01月29日
【現代版コブラ登場】ジャナレリー・デザイン-1 日産製V6+6速MT採用 499台限定
もとは自身のためにデザインしたクルマ
text:Andrew Frankel(アンドリュー・フランケル)
photo:Tom Gidden(トム・ギデン)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
今回ご紹介するのは、ジャナレリー・デザイン-1。車内は窮屈で、乗り降りがしにくい。計器類は見にくい。水たまりを走ると、足が濡れてしまう可能性がある。どれも大して重要な問題ではないけれど。
ジャナレリー・デザイン-1の名前は、ドバイを拠点にするデザイナーのアンソニー・ジャナレリーから取られた。彼はフランス人で、Wモータースのモデルを何台か手掛けている。思わず息を呑むスタイリングの、フェニア ・スーパースポーツやライカン・ハイパースポーツなどは代表例だ。フェニア ・スーパースポーツは日本へ正規導入されている。
デザイン-1に取り組み始めたのは、およそ5年前。生産する予定はなく、自身のためにデザインしたクルマだった。しかし発表すると数名の顧客が興味を示し、ボートの製造を手掛けるフレデリック・ジュイヨとチームを組み少量生産をスタート。
これまでに20台ほどのデザイン-1が作られ、まだ70台ほどのバックオーダーがあるという。だが別の計画もあり、499台でデザイン-1の製造は終了させる予定だという。
英国でも8万5000ポンド(1215万円)で、正式に販売がスタートしている。右ハンドル仕様になっており、オシャレなディーラーがロンドンに置かれている。
標準でルーフレスのロードスターとなるが、7600ポンド(108万円)を追加すれば、跳ね上げ式のカーボンファイバー製ハードトップを装備できる。まともなスパナを持っていて、使い慣れていれば、数分で脱着できるという。
もし徹底的なハードコアがお好みなら、フロントガラスを薄いエアロスクリーンへ変更もできる。こちらは2000ポンド(28万円)が別途必要。
概念はレトロでも信頼性は現代水準
クルマの構成は見た目のとおり、懐かしいシンプルなスタイル。ボディの内側も同様だ。鋼管製のスペースフレームが組まれ、自然吸気の3.5L V6ガソリンエンジンが搭載されている。
トランスミッションは6速マニュアル。リミテッド・スリップデフはオプション。4輪ともにサスペンションはダブルウイッシュボーン式で、エアバックとABSは付いていない。トラクションコントロールは、オプションで付けられるという。
エンジンと6速マニュアルなど、大部分のメカニズムは日産製だ。ジャナレリーによれば、ケーターハムとコブラの中間のような仕上がりだと話す。これよりわかりやすい説明は、少し考えないと思いつかない。
クルマのコンセプトは恥ずかしげもなくレトロだが、日産譲りのメカニズムだから、信頼性は現代的。車重はわずかに850kgほどと軽量で、運転は楽しく扱いやすい。エアコンも付いており、USBポートや充分な荷室も備わっている。
クルマの構成内容も特徴といえる。ロードスターとハードトップなど3種のボディスタイルから選べるほか、サスペンションは全調整式。体格に合わせてシートをオーダーできたり、ペダルボックスの位置を指定できたりする。
今回わたしが試乗したのは、ハードトップ付きのデザイン-1。身長は190cm以上あるけれど、ヘッドルームは問題ない。ペダルは奥の方にずらしてもらった。
モーガンより洗練、TVRより一体感
座り心地は想像以上にとてもいい。いままで運転してきたどんなクルマより、フロントガラスが顔の近い位置に迫っている。視界は良好で、控え目に並ぶスイッチ類の位置も合理的。計器類は小さくて見にくい。
わたしの場合、充分な大きさのシンプルなメーターが不可欠だ。小さなアナログではなく、レトロな雰囲気を台無しにするかもしれないが、高精細のモニターを正面に置きたいところ。
運転席に座り、湿った道へゆっくりと進み出る。他のこの手のクルマなら、どんな印象なのか想像してみる。
乗り心地は硬い。これまで運転したどんなモーガンより、洗練度は遥かに高い。反応の瞬発性は、ケーターハム・セブンや、もちろんアリエル・アトムには及ばない。以前わたしが乗っていたTVRより一体感があるが、突出したロータスほど滑らかではない。
あれこれ引っ張り出していて思いついた。1990年代にケーターハム21というクルマがあったあが、その現代版があったのなら、こんな感じだったかもしれない。
しばらくして道路の前方が開けた。許された時間は短いから、あちこち流している余裕もない。
エンジンには特別な印象を持たなかった。ベースとしているのは北米や中国、中東などで販売されている、日産マキシマのものがベースだからだろう。
だがエグゾーストノートは威勢よく、軽量な車体にとても精密なマニュアルギアが付いていて、ドライビングフィールは最高だ。
目を覚ますのに丁度いい一撃
アクセルペダルを半分ぐらい踏んでいる限り、エンジンは静かだが、深く踏み込むと突然性格が変わる。1960年代のフェラーリ製V型12気筒エンジンを彷彿とさせる。
デザイン-1は威勢よく前へ進む。湿った路面でもトラクションが素晴らしい。リアサスペンションが柔らかく、ミドシップ・レイアウトであるためだろう。
湿った路面で短時間の試乗だったから、操縦性のすべてを確認することは難しかった。しかし、ステアリングやペダルの重み付け、アシストのないステアリングの精度の高さと感触の濃さ、しっかり効くブレーキは秀逸の仕上がり。
デザイナーが趣味で作ったスポーツカーではない。れっきとした、ちゃんとエンジニアリングが施されたドライビングマシンだ。
英国での価格、8万5000ポンド(1215万円)が正当かどうかは個人による。英国で売られる初めの5台は特別仕様で、カーボンファイバー製のユニオン・ジャックをあしらったエンジンカバーとサイドグリルが付き、11万5549ポンド(1652万円)となる。
少なくとも筆者が明言できることは、ジャナレリー・デザイン-1は見た目に相応しい走りを備えているということ。日常的に使いたいと思えるほどの実用性を備えた、速く、高価で、軽量なスポーツカーだ。
鎮静剤の効いた、個性の薄い、大きく膨らんだ高性能クロスオーバーやSUVに麻痺しそうな現代。ジャナレリー・デザイン-1は、そんなわれわれにとって、目を覚ますのに丁度いい一撃となりそうだ。
番外編:ジャナレリーが展開する計画
ジャナレリーが進める計画は、デザイン-1だけではない。間もなく、より大きく快適で、パワフルなデザイン-2が登場する予定。そのぶん、価格も高い。
エンジンはV6ではなくV8となり、デザイン-1とは比べ物にならない高性能が得られる見込み。ジャナレリーにデザイン-2のデザインスケッチを見せてもらったが、とても期待ができるものだった。ご紹介できないのが残念だ。
「デザイン-1がコブラのようなクルマだとしたら、デザイン-2はフォードGT40になるでしょう」 とジャナレリーが表現した。それだけで充分素晴らしいモデルになることが想像できる。
新しく就任するCEOの存在も大きい。名前はここでは載せられないが、スーパーカーの世界では世界的に知られている、尊敬を集める人物だ。拠点もドバイではなく、自動車製造に適した別の場所へ移転する計画だという。
アンソニー・ジャナレリーは、読者の多くがまだ聞き慣れない名前かもしれない。だが、将来的には何度も耳にする、自動車業界の有名人になる可能性は高そうだ。
ジャナレリー・デザイン-1のスペック
価格:8万5000ポンド(1215万円)
全長:3860mm
全幅:1840mm
全高:1080mm
最高速度:217km/h(リミッター)
0-100km/h加速:3.9秒
燃費:-
CO2排出量:-
乾燥重量:850kg
パワートレイン:V型6気筒3498cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:329ps
最大トルク:37.6kg-m
ギアボックス:6速マニュアル
Posted at 2020/01/29 22:01:11 | |
トラックバック(0) |
自動車業界あれこれ | 日記
2020年01月29日
自動車技術の高度化に対応した完成検査 国交省の検討会が中間とりまとめへ
国土交通省は、「完成検査の改善・合理化に向けた検討会」を1月29日に開催し、自動車技術の高度化、生産技術の変化、検査技術の進展を踏まえて完成検査の改善・合理化についての中間とりまとめを検討する。
自動車の完成検査では、日産自動車やスバル、スズキなど、複数の自動車メーカーが不適切な検査を行っていたことが発覚したことから、国土交通省が「適切な完成検査を確保するためのタスクフォース」を設置し、2018年3月に中間とりまとめを策定した。
この中間とりまとめでは「今後における一層の自動車技術の高度化、生産技術の変化、検査技術の進展等を踏まえ、完成検査の改善・合理化を含め、生産される自動車の保安基準適合性の確保のあり方について継続的に見直しを行う」とされたため、2019年4月に産学官の有識者で構成する「完成検査の改善・合理化に向けた検討会」を設置した。
検討会では、2019年度末までに策定する「完成検査の改善・合理化に向けた中間とりまとめ(案)」について議論する。
Posted at 2020/01/29 21:57:05 | |
トラックバック(0) |
自動車業界あれこれ | 日記
2020年01月29日
【大人買い?】マルティニ・カラー、6台のランチア 総額8億円で売出し中
クラシケ取得済み
6台のランチアが、イギリスで売り出されている。まとめて購入するのなら、750万ドル(8億1772万円)というプライスで手に入る。
もっとも販売店は、1台1台を個別に売ることを望んでいるが……。
今回のコレクションは、WRCウィナーのデルタHFインテグラーレに加え、ル・マン参戦マシンが3台など、どれかを選ぶというよりも、まとめて大人買いする方が懸命な顔ぶれである。
6台のクラシック・ランチアは、起業家でレーサーでもあるジョン・ジョゼフ・カンピオンからの委託で市場に出ることとなった。
いずれも、アバルト・クラシケ、ランチア・クラシケを取得している極上品である。アメリア・アイランド・コンクール、クエイル・モータースポーツ・ギャザリングといったAUTOCARでお馴染みの有名イベントにも出場している個体たちだ。
デルタHFインテグラーレ8VグループA
編集部のオススメは、なんと言っても1988年式のデルタHFインテグラーレ8VグループA。
ミキ・ビアシオンが、同年のラリー・ド・ポルトガル、オリンパス・ラリーを制し、88年、89年とタイトルを連覇したときの車両だ。
なんと、総計で36回もワールドラリーをステージ優勝(ワークスでのエントリー)している。嬉しいのは、ラリー・ド・ポルトガル参戦時のオリジナル仕様にレストアをされていることだ。
037ラリーエボ2グループB
続いて、1984年式の037ラリーエボ2グループB。20台製造されたうちの1台で、シャシーナンバーは411。
マルク・アレンが、84年の1000湖ラリーで、レッキの際に使用した。その後、ジョリー・クラブの車両となったほか、ヨーロピアン・ラリー・チャンピオンシップにダリオ・セラートのドライビングで参戦している。
85年にはイタリアのシリーズとなるラリー・チッタ・デ・マントバをグラチアーノ・ロッシ(バレンティーノ・ロッシの父親)の走りで優勝している。
デルタS4コルサ・グループB
1985年式デルタS4コルサ・グループBは、セラート、アレン、ビアシオンとともに闘ったもう1台。
モンテ・カルロ、スウェディッシュ・ラリーでワークスのテストカーとして登場したもの。
86年のラリー1000ミリアが、最初の戦いの場となり、見事に勝利をあげている。
特筆すべきは、アメリア・アイランド・コンクールデレガンスにおいて、「ベスト・イン・クラス」の栄誉に輝いた1台であることだ。
LC1グループVI
3台のレーシングカーの方も魅力的な面々が揃った。
例えば1982年式ランチアLC1グループVIは、同年のル・マン24耐久レースのために製造された4台のうちの1台。
F1、ル・マン、セブリングで活躍したミケーレ・アルボレート、F1優勝経験者で言えばリカルド・パトレーゼが、さらにワールド・スポーツカー・チャンピオンのテオ・ファビがステアリングを握っている。
1982年のニュルブルクリンク1000kmでは、その3人のドライビングで優勝を果たしている。
LC2グループC
ランチアLC2グループCも、ル・マンを闘った1台。1983年のワークスカーである。
83年、84年の世界耐久選手権に参戦し、日本人のF1ファンには馴染みのあるアレッサンドロ・ナニーニ、ル・マンを4度制したアンリ・ペスカロロなどの愛馬としてシーズンを闘った個体である。
ベータ・モンテカルロ・ターボ・グループV
最後は、1981年式のベータ・モンテカルロ・ターボ・グループVだ。
こちらもル・マン参戦車両となり、80年、81年の世界スポーツカー選手権を闘っている。
販売委託者の名にちなみ、「カンピオン・コレクション」と呼ばれているクラシック・ランチア。6台をまとめて買うもよし、お気に入りの1台を選ぶもよし。
どちらにしても、相当な財力が必要だ。
Posted at 2020/01/29 21:53:39 | |
トラックバック(0) |
自動車業界あれこれ | 日記