2020年01月22日
未来のSUBARUは“電気”でどうなるの!?
SUBARUは、ファンの期待に応えるかのように、新エンジンを開発し、環境対策車を次々と市場に投入する計画を、1月20日に発表した。
SUBARUといえば、水平対向エンジンとフルタイム4WDシステムの組合せが代名詞。「新しい時代になっても、このふたつの技術は絶やしません」と、技術部門を統括する大拔(おおぬき)哲雄CTO(Chief Technology Officer)が述べた。SUBARUファンには嬉しい”宣言”だ。
SUBARUの電動化戦略について述べる大拔哲雄氏(取締役専務執行役員 技術統括本部長 CTO)。技術ミーティングには、中村知美代表取締役社長も参加した。中村氏は冒頭の挨拶で「100年に1度と言われる変革の時代においても、SUBARUが長年培ってきたクルマづくりに対する姿勢は変わりません。私たちは、その“SUBARUらしさ”をさらに磨き、お客様にとってSUBARUが“different”な存在となることを目指します」と、述べた。1月20日にSUBARU本社(東京都渋谷区)でおこなわれたマスコミ向けの「SUBARU技術ミーティング」では興味深い話がいくつもあった。大拔CTOは続けて、「SUBARUの技術的な特徴は守りつつ、2030年までに、全世界販売台数の40%以上を電動車にします」と、ぶちあげたのだった。
大拔CTOによると、SUBARUはさまざまな新しいパワートレイン(エンジンおよび変速機から成る動力系)を今後発表するという。2020年の1.8リッター(リーンバーン=希薄燃焼)水平対向4気筒ガソリンターボ・エンジンを皮切りに、2020年代前半にはBEV(バッテリー駆動EV)、2020年代中盤にはストロング・ハイブリッドを、それぞれ発表する予定とのこと。
会場には、2020年前半の販売を目指し、開発中の電動SUVモデルも展示された。うちBEVとストロング・ハイブリッドは、トヨタとの共同開発。2018年からフォレスターに導入しているマイルド・ハイブリッド「e-BOXER」や、米国市場で展開中のプラグ・イン・ハイブリッドにくわえ、環境対応車のラインナップを拡充していく。
大拔CTOはまた、「THS(トヨタ・ハイブリッド・システム)と弊社独自の技術を融合し、SUBARUらしさを際立たせます」とも述べた。具体的には、センター・ディファレンシャル・ギアを使ったメカニカルなAWD(全輪駆動)システムにモーターを組み込む新システムを導入するという。
開発途中のPHVシステムのカットモデルも展示された。発表では、2030年代前半までに生産・販売するすべてのSUBARU車に電動技術を搭載する計画。そして、2050年までに、新車のCO2排出量を2020年比で90%以上削減することが目標という。
安全面では、先進安全装備群「アイサイト」の技術を進化させるそうだ。なかでも興味ぶかかったのは、「エアバッグを連動させ、高齢者ドライバーの保護を考えている」という大拔CTOの発言だ。
高齢者は、骨が若者より強くないそうで、衝突事故のとき、セイフティベルトとエアバッグの力で骨折するケースが少なくないという。
そこで将来は、アイサイトのシステムが衝突事故を予見すると、衝突直前にエアバッグを展開させ、少ししぼんでいくときのやや弱めの圧力で、ドライバーを受け止められるようにしたいという。さらに、現行のフォレスターに搭載されている顔認識システム用の車載カメラとも連動させるそうだ。
SUBARUの未来をおおいに期待させてくれる技術ミーティングだった。
文・小川フミオ
スバル 中村社長「われわれは本気で死亡事故ゼロを目指す」…スバル技術ミーティングで中長期の環境や安全方針
SUBARU(スバル)は1月20日、都内の本社で中村知美社長や大拔哲雄専務執行役員(CTO)が出席して報道関係者向けの技術ミーティングを開いた。
このなかで中村社長は、脱炭素社会への貢献を図る環境対応の長期目標や、スバル車が関与する死亡交通事故ゼロに向けた安全技術開発などの方針を提示した。環境対応では2050年に新車の走行時平均でのCO2(二酸化炭素)の排出量を、油井から車輪までを意味する「Well-to-Wheel」ベースで2010年の実績から90%以上の削減を図ることとした。
その目標に向け、30年までに全世界の販売台数の40%以上を電気自動車(EV)およびハイブリッド車(HV)とし、30年代前半にはすべてのスバル車に電動技術を搭載する計画を掲げた。HV化では、トヨタ自動車から2モーター式による、いわゆるストロングHVの技術供与を受け、20年代中盤に市場投入する方針を公表した。
このHVはスバル車の特徴であるAWD(全輪駆動車)仕様とするため、モーターを縦置きとするなど「単にトヨタさんのユニットを導入するのでなく、トランスアクスル(動力伝達装置)を再設計し、スバルらしい愉しい走りのストロングHVを造っていく」(大拔専務)としている。
EVについては昨年、トヨタとの共同開発で合意しており、20年代前半にCセグメントのSUVから商品化する計画だ。EVについては同日「デザインスタディ」としての試作車を初公開した。環境対応では、独自の水平対向エンジンの進化も重要施策としており、20年には希薄燃焼による1.8リットルのリーンターボエンジンを新たに市場投入する。
一方、スバルは30年に死亡交通事故ゼロを目指すと表明しており、その実現に向けた道筋も提示した。死亡事故ゼロ化のうち、65%は「アイサイト」の進化などによる「先進運転支援システム」でカバーし、残り35%はAACN(事故自動通報)の活用と、新たなエアバッグの採用といった衝突安全の継続強化でまかなうとしている。
アイサイトは20年代前半に、交差点での出会い頭衝突や歩行者などの巻き込み事故対応への強化を図るほか、カーブ予測自動減速や渋滞時ハンズオフ運転などの新機能搭載を進める。衝突安全の強化ではすでに実用化している歩行者に加え、自転車の運転者を保護するエアバッグの開発も進めている。
中村社長は、CO2削減の長期目標やEVなどの導入計画について「50年にCO2を90%以上削減するという目標のロードマップとして、30年時点までには(EVとHVを)4割をやっておかなければならない。世界の各マーケットで電動車がどのように普及するかを見定めながら取り組んでいきたい」と指摘した。また、事故対策については、関係技術の総合的な高度化により、「われわれは本気で死亡交通事故ゼロを目指していく」と、強調した。
スバルの次世代戦略 2030年代前半に全車電動化と死亡交通事故ゼロを目指す
スバルは2020年1月20日、メディア向けに「スバル技術ミーティング」を開催した。その内容は、久しぶりとなるスバルのブランド戦略と次世代技術の方向性を示すものであった。最初に中村知美社長がブランド戦略と、自動車メーカーとしてのアジェンダを語り、最高技術責任者の大抜哲雄取取締役専務が、スバルが目指す技術についてプレゼンテーションを行なった。
ブランド戦略
ブランド戦略では、スバルの独自性は真面目なクルマづくりと、ユーザーとのコミュニケーションの深さを源泉とし、アメリカ市場で成功しているような「スバル・ラブ」を追求して行くことをアピールした。
このスバルの独自性(Different)は、トヨタとの提携を深めつつあるスバルがトヨタ化するのではないかという懸念に対する回答だ。
こうしたブランドの独自性と、同時に自動車メーカーとして課せられるのが社会的な責任だ。これに対して中村社長は、2030年にスバル車による死亡交通事故をゼロを目指すことを宣言した。もちろん、そのためにはさらなる技術的な投入が求められることは言うまでもない。
もうひとつの、地球環境保護に対しては、長期的なテーマとして「2050年にWell to WheelでCO2排出量を2010年比で90%以上削減する」こととし、中期目標としては「2030年までにグローバルでの販売台数の40%以上を電気自動車とハイブリッド車にすること、2030年代前半にはすべてのスバル車に電動技術を搭載する」ことを明らかにした。
電動化戦略
もちろん、そのためには電気自動車、ハイブリッド車については、トヨタとのアライアンスを活用することが前提となっている。すでにスバルはヨーロッパでは販売台数が少ないため高額ではないものの、企業平均燃費に対してペナルティを支払う状況となっており、電動車、ハイブリッド車の投入は待ったなしの状況だ。
電気自動車に関しては、2019年6月にトヨタとCセグメントのSUV・AWD電気自動車、Dセグメントの電気自動車を共同開発することが合意されており、2021年後半には市場投入される計画だ。
※関連記事:トヨタとスバル EV専用プラットフォームとSUVモデルを共同開発
このAWDの電気自動車は、各社の合弁会社「EV C.A.スピリット」で構想された電気自動車プラットフォームを採用する第1弾となる。このSUVのEV・AWD車のデザイン・スタディ・モックアップが今回初披露されたが、デザインもスバルが担当し、もちろん開発もスバルが担当するので、事実上のスバルの電気自動車ということができる。
よりハイレベルな走りの追求
スバルの次世代に向けた技術的な方向性は、ブランドを守るために走りの質を高めること、AWD技術の向上、より高次元な安全性の追求のためにAI技術を盛り込んだ高度運転支援システムの実現、コネクティビティの併用、エンジンジン技術では、希薄燃焼などを採用し、ハイブリッド向けのエンジン開発がテーマとなる。
また電動化では、電気自動車、トヨタ・ハイブリッド技術を採用するハイブリッド/PHEV、現在の「e-ボクサー」に加え次世代のマイルド・ハイブリッドという3本立ての展開とすることが明らかにされた。
まずは走り=SGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)について。スバルは、ラインアップ車種が少ないため、SGPはモジュラー化を追求するプラットフォームというよりは走りの質(動質)を高めるために使用されており、このプラットフォームと強固なボディ骨格を組み合わせることで、衝突安全性能を高める手段と位置づけている。
そのため、今後もスバルのブランドを際立たせ、自動運転時代であっても安心で楽しい走りを実現するために、SGPをより発展させるという。そのため、車両応答の良さ、車両応答の正確さ、外乱に対する直進性の高さを追求し、さらに将来的にはAI技術を組み合わせることで、フィードフォワード制御を実現していくとしている。
具体的には2020年秋に登場する新型レヴォーグが第1世代・SGPの最終型となり、2021年以降は第2世代へと進化していく。特に車両応答の正確性や、高速での直進安定性の良さはさなどは、運転支援システムの性能向上に直結するため、ステアリングの取り付け剛性や摩擦抵抗の少なさ、サスペンション・メンバーの取り付け剛性向上など、細部にまでこだわった開発を進めることにしている。
またスバルのアイデンティティの一つであるフルタイムAWD技術もさらに高めることにも努め、人間の体が心地よく感じ、運転がうまくなっと感じるような走りを開発していくとしている。
安全性能の向上
安全性能に関しては、これまでにスバルは各国のNCAP評価試験などでトップ・レベルの結果を得ているが、リアルワールドでも、スバルの分析によればアメリカ市場、日本市場でともに主要他メーカーより死亡事故率は明確に低い傾向にある。
今後、0次安全ではドライバー・モリタリング・システム(DMS)機能の拡張、走行安全では車両運動制御技術の向上、予防安全ではアイサイトの画像認識性能の向上、衝突安全では歩行者に加えサイクリストの保護性能の向上、運転支援システムの機能向上による衝突事故の回避、さらには通信技術を利用した事故自動通報システムを盛り込むことで、2030年の死亡事故ゼロを目指すことになる。
死亡交通事故を実現するロードマップは、高度運転支援システムの性能向上により65%低減させ、事故自動通報システムと衝突安全性能の向上で35%低減できれば、自車起因の事故、他車起因の事故を含めて死亡事故ゼロを実現できるとしている。
アイサイトに関しては、新型レヴォーグでは高精度デジタルマップを採用することで渋滞時の手放し運転、高速道路でのカーブ自動減速、レーンチェンジ支援などが実現する。その後はステレオ・カメラのさらなる性能の向上、カメラ+AI技術の搭載を行ない、市街地道路での事故の回避性能の向上を図り、インフラ設備との通信利用や、自動駐車技術の導入、アイサイトとドライバー・モニタリング・システムの協調なども組み合わせ、事故回避性能、運転支援レベルの向上を図ることにしている。
内燃エンジンの進化
新型レヴォーグでは、スバル初の希薄燃焼を採用した新開発の1.8L直噴ターボ・エンジンを搭載する。リーンバーンと出力を両立させるためにアップサイズしたエンジンで、熱効率は40%を超えているという。つまり、リーンバーンの採用によりガソリンエンジンとしてトップレベルの熱効率と、ターボ過給による高出力を両立させているエンジンということができる。
こうした技術をベースに、さらなる圧縮比の向上、よりリーン(希薄)での燃焼、高速燃焼、ノック限界の向上、断熱化など冷却損失の低減、フリクションの低減などを追求し、熱効率45%超えを狙うとしている。
ハイブリッドに組み合わされる専用エンジンは、より運転領域を狭くできるため、現状の熱効率40%からさらに高効率化を目指している。
主流はHEVとM-HEV
今後のスバルのパワートレーンは、ハイブリッドとマイルドハイブリッドが主流になる。スバルは既に2018年春から、アメリカでPHEVを採用したXV(アメリカでの車名:クロストレック)を市場投入している。
そのハイブリッド・パワートレーンは、スバル製のハイブリッド専用エンジンと、トヨタのFR用ハイブリッド・モーター/電気的無断変速システムをスバル用に設計し直した縦置きハイブリッドシステムを組み合わせて採用している。
したがってこのTHSハイブリッド・システムはトヨタ製のモーター/ジェネレーター、トヨタ製の電気エネルギー・マネージメントシステムを採用しているが、今後はさらに量産拡大し、PHEV/ハイブリッド用として採用することになっている。
このハイブリッド・システムにはAWDシステムを採用しており、前後の車軸は電子制御カップリングで締結されてる。通常の2輪駆動のハイブリッドより、AWDの方が前後輪で回生できるため減速回生の効率が約30%高く、さらにカップリングを制御することで滑りやすい路面での安定性も確保できるというAWD技術との組み合わせの有利さが訴求点となっている。
その一方で、現在では日本、中国などでトランスミッションにモーターを組み込んだ「e-ボクサー」をラインアップしているが、今後は「xEV」と呼ぶ、第3のマイルドハイブリッド、おそらくは高電圧の1モーター・ハイブリッドもラインアップされる計画で、THSハイブリッドと合わせ、3本立ての戦略で2030年代前半には全モデルを電動化することが想定されている。
また現在開発中の電気自動車SUVは、EV専用プラットフォームを採用し、前後にそれぞれ駆動モーターを配置したAWDで、ホイールベースはCセグメントながら2800mmに近いとされ、その一方でオーバーハングは極端に切り詰められたEVフォルムとなっている。また2モーターをそれぞれ精密に制御することで、高い走破性や安全性、操縦安定性などを実現し、操ることの楽しいAWDを目指すとしている。
スバル2020年代前半に電動SUV市場投入! 30年までにEV・HV比率を4割以上拡大へ
■電動モデルでもスバルらしさを目指す
スバルは2020年1月20日、報道関係者を対象に開催した「SUBARU 技術ミーティング」において、2030年までに全世界販売台数の40%以上を、電気自動車(EV)とハイブリッド車にする方針であることを公表しました。
スバルのEVモデルは、2020年代前半にCセグメントSUVから導入される予定で、ハイブリッド車においては、これまでのマイルドハイブリッド(e-BOXER含む)や北米で販売されている「クロストレック ハイブリッド(日本名:XV)」に加え、ストロングハイブリッドの開発も進められることになります。
ストロングハイブリッドの開発では、スバルグローバルプラットフォームやシンメトリカルAWD、水平対向エンジンなどのスバルの独自技術と、トヨタのハイブリッドシステムを融合し、走りの愉しさと環境性能を高次元で両立するとしています。
さらに、2030年代前半には、生産・販売するすべてのスバル車(OEM供給除く)に電動技術を搭載するとともに、2050年にWell-to-Wheelで新車平均(走行時)のCO2排出量を、2010年比で90%以上削減することも明らかにしました。
スバル独自の水平対向エンジンをはじめ、AWD(全輪駆動)、優れた走行性能や安全性能、高度運転支援システム「アイサイト」や環境対応技術など、これまでにスバルが生み出してきた多様なコア技術をさらに進化させることで、新しい時代においてもスバルらしさを際立たせ、安心と愉しさを提供し続けるとしています。
SUBARU 技術ミーティングにおいて、社長の中村知美氏は次のようにコメントしました。
「100年に一度といわれる変革の時代においても、スバルが長年培ってきたクルマづくりに対する姿勢は変わりません。私たちは、その『スバルらしさ』をさらに磨き、お客様にとってスバルが“Different”な存在となることを目指します。
同時に、地球環境保護をはじめとする社会的責任を果たすため、個性と技術革新によって、脱炭素社会の実現に貢献していきます」
※ ※ ※
自動車と航空宇宙事業を柱とするスバルは、「大地と空と自然」を事業フィールドと位置付けています。
そのフィールドが広がる地球の環境保護こそが、社会とスバルの未来への持続性を可能とする最重要テーマとして考え、すべての企業活動において取り組んでいます。
とくに、気候変動は社会・経済に与える影響が大きく、喫緊の課題であると捉えているといいます。
今回公表した生産・販売する自動車からのCO2排出量削減だけでなく、スバルグループの工場やオフィスなどから直接排出されるCO2(スコープ1および2)については、2030年度までに30%削減(2016年度比 総量ベース)することをすでに公表しています。
スバルは、開発・調達・生産・物流・販売・使用(走行)・リサイクルという事業活動全体で、気候変動対策・地球環境保護への取り組みを進めていくとしています。
スバル、2030年代前半に全車電動技術搭載へ…スバル技術ミーティング
SUBARU(スバル)は1月20日、報道関係者らを対象とした「SUBARU 技術ミーティング」を開催した。
スバルは、独自の水平対向エンジンをはじめ、AWD(全輪駆動)、優れた走行性能や安全性能、高度運転支援システム「アイサイト」や環境対応技術など、多様なコア技術をさらに進化させることで、ユーザーに「安心と愉しさ」を提供し続けてきた。今回のイベントでは、その具体的な技術開発の取り組み状況を示した。
中村知美社長は、「100年に一度と言われる変革の時代でも、SUBARUが長年培ってきたクルマづくりに対する姿勢は変わらない。私たちは、その『SUBARUらしさ』をさらに磨き、顧客にとってSUBARUが“Different"な存在となることを目指す。同時に、地球環境保護をはじめとする社会的責任を果たすため、SUBARUは個性と技術革新によって、脱炭素社会の実現に貢献していく」と語った。
また、脱炭素社会の実現を目指すにあたっての長期目標を公表した。2050年にWell-to-Wheel(EVなどが使用する電力の発電エネルギー源まで遡った指標)で新車平均(走行時)のCO2排出量を、2010年比で90%以上削減。また、2030年までに、全世界販売台数の40%以上を電気自動車(EV)+ハイブリッド車、2030年代前半には、生産・販売するすべてのスバル車に電動技術を搭載するとした。
自動車と航空宇宙事業を柱とするスバルは、「大地と空と自然」を事業フィールドと位置付け、地球の環境保護こそが、社会とスバルの未来への持続性を可能とする最重要テーマとして考え、すべての企業活動にて取り組んでいる。特に、気候変動は社会・経済に与える影響が大きく、喫緊の課題であると位置付けている。
今回公表した生産・販売する自動車からのCO2排出量削減だけでなく、スバルグループの工場やオフィス等から直接排出されるCO2については、2030年度までに30%削減(2016年度比 総量ベース)することを既に公表。開発・調達・生産・物流・販売・使用(走行)・リサイクルという事業活動全体で、気候変動対策・地球環境保護への取り組みを進めている。
スバルがトヨタと共同開発中の電動SUVのデザインスタディを公開。そのディテールに迫る
フェンダートリムの処理にも空力のこだわりを感じる。トヨタ版との違いは前後だけとか?!
スバルがSUBARU技術ミーティングを開催、2020年代~2030年代に向けた各種技術のロードマップを示しました。その内容としては『2030年までにスバル車が関わる死亡事故ゼロを目指す』、『ステレオカメラと人工知能を融合』、『2020年代前半でのストロングハイブリッドの追加』などなど充実したもの。さらに間もなくデビューする新型レヴォーグの1.8Lリーンターボエンジンでは最大熱効率が40%に達した上、将来的にはまだまだ上を目指すというボクサーエンジンへのこだわりも感じさせる発表もありました。その上で、2030年までにグローバル販売の40%以上を電動車(EV・HEV)にするといった目標が明言されたのです。
もちろん究極の電動化といえるBEV(バッテリーEV)の開発についての言及もありました。すでにトヨタとCセグメントクラスSUVのBEVを共同開発することは2019年6月に発表されていますが、今回の技術ミーティングでは、そのEV専用プラットフォームを前提としたBEVのデザインスタディモデルが展示されていたのです。
その中身についての詳細な説明はありませんでしたが、スバル車のアイデンティティであるAWD(四輪駆動)を採用しているのは確定といえます。おそらく前後独立レイアウトの駆動モーターとなり、モーターならではの高応答性を活かした緻密な駆動力配分により運転の楽しさを追求するというのがメカニズムでの狙いといいます。
というわけで、デザインスタディを眺めて見ると、ブラックのフェンダーモールによりSUVテイストを出しているあたりは、SUBARU XVなどに通じる部分。タイヤにファルケンのM+S規格を履いているのもSUV的ですが、245/50R20というサイズ感はデザインスタディだからこそという印象。そして、フェンダーモールをよく見るとボディからの張り出しは最小限で表面もつるつるに仕上げられています。このあたり、BEVの航続距離を稼ぐための空力への意識が強いことを感じさせます。
フロントマスクはBEVだけにグリルレスとなっていますが、切れ込みによるスバルのアイデンティティといえるヘキサゴンのグリル形状を表現したものとなっています。小ぶりなヘッドライトながらスバルらしい顔つきといえそうです。
一方、リアの処理はBEVらしい新時代を感じさせるものとなっています。あたかもコンテナをはめ込んだような処理は十分なラゲッジ性能を予感させるものでアクティブに使いたくなるもの。「SUBARUらしいBEV」を目指しているという発表にも合致するテイストといえます。
現時点では充電リッドやドアハンドルなどは見当たりませんが、デザインスタディの段階が、まだ初期にあるということでしょう。ただし、ドアミラーがカメラタイプとなっているのは、2020年代前半のローンチということからすると、かなり現実味があります。
サイドビューを眺めているとタイヤが四隅に置かれていて、スタンスの効いたシルエットに思えますが、こうしたロングホイールベースであることはバッテリーの搭載性にもプラスになるはずで、BEVとしての要件を満たしつつ、SUVらしいスタイリングを目指していると感じられるものです。
ところで、このBEVはトヨタとスバルが共同開発ということで、86/BRZがそうであったようにトヨタからお兄弟車がリリースされることになります。デザイン部の石井守部長にうかがったところ、ボディは共通で、前後バンパーなどによってそれぞれの個性を出すことになるそうです。
電気駆動系というのは、制御による味つけの幅が広いのも特徴です。スタイリングだけでなく、走りの面でもスバルらしい個性をどのようにして表現するのか、電動車時代のブランディングとして、そのあたりのフィニッシュにも期待したい一台です。
文・写真:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
見えてきたスバルの近未来。「ストロングハイブリッドも投入か」
去る1月20日、スバルの今後10年間の技術指針を明らかにする「SUBARU技術ミーティング」が開催された。CASEの時代にあってこれからの10年、“SUBARUらしさ”をどのように表現していくのか。そこで明かされたロードマップから、近未来のスバル車を占ってみよう。(タイトル写真は1月20日に世界初公開となったスバルEVのコンセプトモデル)
電動化が加速するもスバルらしさは不変
スバルが新中期経営ビジョン「STEP」を発表したのは2018年7月のこと。2025年の「ありたい姿」を定めた同計画では、「モノを作る会社から笑顔を作る会社へ」の脱皮を宣言した。
それを受けた今回の技術説明会では、同中計実施期間に盛り込まれる次世代技術群、さらにその先にある目標がより具体的に明らかにされた。冒頭、中村知美社長は「2030年には(スバル車が関係する)死亡事故ゼロを目指す」、「2030年までに全世界販売台数の40%以上を電気自動車(BEV)とハイブリッド車にする」、「2030年代前半には生産・販売するすべてのスバル車に電動技術を搭載する」ことを宣言した。一方では「電動でもスバルらしい商品=車両を提供し続ける」ことも強調。ユーザーの期待に応えるクルマを作り続けることがスバルの存在価値と位置づけていた。
まずは下図をご覧いただきたい。これは「STEP」発表時に発表された、将来商品計画のイメージ図である。まったくの新型車は2025年前後に投入予定の「グローバル戦略SUV」と2022~23年と予想されるBEVの2台。一方、既存車種についてはフルモデルチェンジを間断なく行うとしており、すでに北米市場向けの新型レガシィとアウトバックを発売(2019年:どちらも現段階では日本導入は未定)。
次に控えているのが、国内では2年ぶりのニューモデルとなる新型レヴォーグだ(2020年夏に国内発売)。おそらくこの後に続くのは新型WRX、そしてインプレッサ、XV、フォレスター・・・、ほぼ1年間隔でモデルチェンジを実施すると見られる。これら既存車種にもフルモデルチェンジ、もしくは年次改良のタイミングでこれから説明する新たな技術が投入されていくことは間違いない。では、今後どんな技術がどのタイミングで投入されていくのか、順を追って説明していく。
新設計1.8Lリーンターボエンジン
今夏国内発売される新型レヴォーグから搭載が始まる、リーン=希薄燃焼を採用した新設計の直噴ターボエンジン。「STEP」発表以前の中期経営ビジョンでは1.8Lのほかに1.5Lのラインアップも検討されていたが、今回の発表になかったことを考えると(1.5Lの)開発計画自体が見直された可能性が高い。ともあれ、この新型1.8Lエンジンは、今後のスバル・エンジンの主役として、既存のFB、FA型の代替として新型レヴォーグ以降、徐々に搭載車種を増やしていく。
<主な搭載車種(予想)>
・新型レヴォーグ(2020年)ほか
ストロングハイブリッドのラインアップ
今回初めて明らかにされたのがストロングハイブリッドの存在だ。スバル2012年に初めて当時のXVに完全自社開発のマイルドハイブリッド搭載車を設定。2018年11月には同システムを改良して「e-BOXER」と名付け、フォレスターに搭載している。さらに同年にはトヨタTHSの技術を採用したプラグインハイブリッドシステムを開発し、北米向けにクロストレック(≒XV)に搭載している。
新設計のストロングハイブリッドは、このPHVユニットをリファインした2モーター式。しかも、組み合わせるエンジンはハイブリッドシステムの効率を最大化するために専用開発された水平対向4気筒だ(前述の1.5Lターボエンジン開発は、途中でこのハイブリッド専用エンジンの開発に切り替わった可能性が高い)。
シンメトリカルAWDのメリットを活かし、前後ホイールをカップリング機構を挟んだ直結方式とすることでハンドリングと回生エネルギーの回収効率を大幅にアップしているのもスバルならでは。凍結路ではFFに比べ約30%のエネルギー回収を達成すると同時に4輪に回生制動力を分散させることで、ハンドリング/安全性能はもちろん、走り味の動的質感も高めることができるとのこと。ちなみにスバルは、マイルドハイブリッド(e-BOXER)、ストロングハイブリッドを当面電動化の柱として搭載車種を増やし、2030年には(BEVも加えて)、全世界販売台数の40%以上を電動車とするのが目標だ。
<主な搭載車種(予想)>
・新型XV(2022年)ほか
SGP(スバル グローバル プラットフォーム)の進化
クルマの土台となるプラットフォームも日々進化していく。すでにスバル車のほとんどに採用されているスバル グローバル プラットフォーム(SGP)だが、新型レヴォーグもようやくSGPに移行する。このタイミングでSGPもVer.1.5とでも呼ぶべき進化を果たす。
まずはレーンチェンジなどでの応答遅れ改善と正確性向上をめざし、ステアリングシステムの摩擦低減、ボルト締結部の剛性最適化、車体ヒステリシス解析による接合方法の最適化が行われる。さらに車体とサスペンションの取り付け点の精度向上によってもハンドリングの正確性向上が図られるとともに、動的質感の向上も期待出来そうだ。
<主な搭載車種(予想)>
・新型レヴォーグ(2020年)ほか
AWD技術の進化~旋回性能を大幅にアップ
前述のストロングハイブリッド投入と同じタイミングでの登場が期待出来るのが、新たなAWD制御技術だ。直結AWDながら安定性を保証しながら、コーナリング時には前後の駆動力配分をリニアに可変する。たとえば減速時にはフロント>リアで安定、コーナリング時にはフロント<リアでFR車的な旋回を味わわせ、コーナー出口ではフロント=リアとすることで、だれでもクルマを操る愉しさを堪能できるという。
<主な搭載車種(予想)>
・新型XV(2022年)ほか
2.74kmに及ぶ実走風洞実験の導入
スバルが目指す「安心で愉しい走り」をさらに向上させAWDのもつ直進性をさらに伸ばすべく、2022年より実走風洞実験を行うことが発表された。通常の風洞実験施設は車体を台上に固定して走行風をあてることで計測されている。一方、2022年から稼働予定の実走風洞は英国CARF(Catesby Aero Reserch Facility)によって開発された直線部2.74kmにも及ぶトンネル状の施設で、実走により温度や自然風などの影響を受けることなく、より精度の高い計測が可能な画期的な施設だ。スバルではこの施設を活用することで、足回りのジオメトリー最適化とボディの空力特性向上により、さらなる直進性向上を目指している。
<主な適用車種(予想)>
・新型フォレスター(2024年)ほか
さらに進化する新世代アイサイト
運転支援技術はステレオカメラによる「アイサイト」を核として進化していく。直近に実現しそうなのが「交差点・市街地事故への対応強化」である。巻き込み事故、右直事故、出会い頭の事故、さらに自動ステア回避技術などが盛り込まれそうだ。その実現のため、ステレオカメラを刷新して視野を拡大、データ処理能力のアップ、さらに車体の四隅に配されたレーダーによる全周囲センシングとの統合制御により認知・判断能力を大幅に向上させる。また、車線変更支援、カーブ予測減速、渋滞ハンズオフ機能なども実用間近なほか、DMS(ドライバーモニタリングシステム)とアイサイトを連携させることで、ドライバーの見守り機能も強化。さらにその先、2020年代後半には、ステレオカメラとAIを組み合わせて、あらゆる道路・状況での安全性を高める技術も実用化されそうだ。
これらの技術は、新型レヴォーグから順次採用範囲が拡大されていく。
<主な適用車種(予想)>
・新型レヴォーグ(2020年)ほか
今回の技術説明会では、ほかにもすでに北米では一部実用化されているコネクト技術「STARLINK」の国内展開も発表されたほか、2020年代後半の導入を目指す、自転車にも対応範囲を拡大した次世代外部エアバッグなど、さまざまな技術のアウトラインも明らかされた。またトヨタとの共同開発となるEVのコンセプトカーが初めて公開されるなど、2020年代(とくに前半)にスバルがやろうとしていることが(網羅的ではあったが)一望できる機会であった。CASEの時代にスバル車がそれをどのように咀嚼し、スバルらしさを際立たせていくのか。今回発表されたロードマップはスバリストの期待に十分応えるものだったと言える。
スバルの電動化戦略:「SUBARUらしさ」を出せるかを問う…スバル技術ミーティング
SUBARU(スバル)は20日、「技術ミーティング」というプレスイベントを開催した。以前から技術系の記者発表会は行われていたが、中村知美社長自ら登壇し、アイサイト、新型エンジン、ストロングハイブリッド、BEVのプロトタイプを発表するという異例の会見だった。
記者発表の詳細やスバルの技術ロードマップについては既報を参考にしてもらうとして、ここでは、中村社長に続いて発表技術の各論を担当した大抜哲雄 専務取締役執行役員 CTOが強調していた「SUBARUらしさ」について考えてみたい。
発表された、新型の1.8Lリーンターボエンジン、水平対向エンジンとTHSを融合したストロングハイブリッド、スバル初となる市販BEV、次世代アイサイトは、どれも新しい技術だが、同時に「SUBARUらしさ」と自らのアイデンティティを再確認しようとしているようにも見えた。もっといえば再構築だ。
◆パワートレイン3種と次世代アイサイトを発表
今回発表された情報をロードマップから整理してみよう。
●1.8リットル・リーンターボエンジン
●トヨタと共同開発中のEV(Cセグメント SUV)
●水平対向エンジン+THS(トヨタハイブリッドシステム)
以上の3つが今回の発表の主軸だ。これに自動運転やコネクテッドカーを見据えた次世代アイサイトも加わる。
1.8リットルエンジンは高圧縮とターボによる過給でリーンバーンを実現するもの。2020年に市場投入される。アプローチはマツダのSKYACTIVエンジンと共通するもので、熱効率で40%以上を目指す。スバル内燃機関エンジンの最終的なターゲットは45%としている。
次に市場にでてくるのはBEV(EV)だ。トヨタと共同開発中のプラットフォームの車両となる予定だ。スペックなどはプロトタイプなので未定・非公開。トヨタ『86』/スバル『BRZ』と同様な姉妹車の形で、トヨタとスバルから同じEVのSUVが登場すると思われる。
BEVの後にストロングハイブリッドのパワートレインが投入される。これも詳細は未定だが、4気筒の水平対向エンジンにトヨタのTHSを組み合わせたものになる。前述の1.8Lエンジンになるのかどうかも未定だという。スバルはすでに独自のマイルドハイブリッドのシステムe-BOXERを持っているが、国内でのストロングハイブリッドはこのパワートレインが最初となるはずだ。
◆トヨタ共同開発とTHS採用でスバルらしさが変わる?
じつは、すでに北米スバル『クロストレック』(日本名:『XV』)に同様な構造のプラグインハイブリッドを発表している。ハイブリッド部分はトヨタ『プリウスPHV』と同じ(THS)ものだ。プリウスの4WDは後輪に独立したモーターを搭載するタイプで、クロストレックもこの方式のAWDシステムになっている。
しかし、スバルのストロングハイブリッドは、プロペラシャフトを持ったタイプのAWD(4WD)となる。プリウス方式の4WDは、回生ブレーキを強くすると、減速時に姿勢を乱しやすいが、スバル方式なら回生ブレーキの制御を最適化できる。
BEVはトヨタと共同開発で、ストロングハイブリッドは、THSのOEM供給を受ける形になるので、この場合、SUBARUらしさの鍵は、コンポーネントの組み合わせと制御方法となる。THSは、変速機能を含めた出力特性をエンジン出力と駆動モーターのカップリングで制御する。
AWDでは、前後のトルク配分をどうするか、センターデフまたはそれに相当する機構をどうするか。部品をつなぐだけならそれほど難しいことではないかもしれないが、エンジニアたちは製品化までに「どうすればSUBARUらしい車になるか」を自問自答を繰り返すことになる。
◆スバルならではのADAS・自動運転プラットフォーム
ただし、スバルの安心・安全性能は次世代車両でも独自性を発揮しそうだ。アイサイトを源流とするスバルのADAS機能、自動運転機能の肝は画像認識技術にある。発表された次世代アイサイトでは、インフラ協調(コネクテッド)やレーダーによるセンシングも積極的に取り入れられる予定だが、制御の基本はカメラである。
自動運転にはLiDAR(3Dスキャナ)が必須というイメージがあるが、現在、LiDARで認識できる情報はカメラ画像の処理でも大きな差はない。テスラは明確にLiDARは使わないとしている。値段や大きさも改善されているとはいえ、まだCMOSセンサーの比ではない。カメラの光学的性能と画像補正技術によって、夜間・逆光などの認識性能が上がっている。
スバルはドライバーモニタリングシステムを乗用車にいち早く搭載している。メータークラスタと車載インフォテインメントシステムのECUプラットフォームを共通化(QNXハイパーバイザー)しているので、車両情報、車内カメラ、クラウド連携を統合管理しやすくなっているのも特徴だ。車両制御とクラウド連携がしやすくスケールさせやすい。
スバルでは、アイサイトや電子制御基盤を活用し、車線がない道路や雪で隠れた道路の通行帯認識、衝突予測によるエアバッグ制御、ブレーキ+ステアリング介入による衝突回避(高度な進路計画)といった安全機能を開発中だ。テスラのレベル2オートパイロットでは、類似の機能が実装されているが、これも周辺環境を総合的に把握できる画像処理を、制御の軸に据えたから機能追加や応用が早いという側面がある。この点で、スバルのアイサイトベースのADASは、自動運転向きのプラットフォームといえる。
ADASと自動運転は、SUBARUらしさをいちばん表現できる領域といえるだろう。
◆スバルの本質はエンジンだけではない
多くのスバルファンにとっては、水平対向エンジンとAWDが残ってもスバル車がプリウスっぽくなってほしくないと心配かもしれない。THSはサプライヤーの変速機のひとつと解釈すれば、そう極端なことにはならないだろう。
いまは業界の変革期でもあるので、スバルも次の世代に向けて生まれ変わろうとしているのは確かだが、筆者は状況を楽観視している。スバルの本質が「安心と愉しさ」であり「技術志向」ならば、共同開発だろうが内燃機関だろうが電気モーターだろうが関係ない。
なお、筆者としては、EVのトルク特性は、充電の不便さを超える「愉しさ」を提供してくれると思っている。むしろ、スバルは4インホイールモーターの独立制御AWDで信地旋回ができる車を出してほしいくらいだ。
Posted at 2020/01/22 09:11:53 | |
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富士重工 | 日記
2020年01月22日
スバル/STI ニュルブルクリンクへの挑戦 2020仕様へWRX STIをモディファイ中
スバル/STIのニュルブルクリンク24時間レースへの挑戦は、前回11月のテスト報告から始まっている。NBRマシンは2019年完全優勝をしたものの、まだまだ改善すべきポイントがあるという。チーム総監督の辰己英治氏は、自ら課題を課して2020仕様のモディファイに取り掛かっている。そうした2019年の年の瀬も迫る中、辰己総監督が率いるスバル/STIのNBRチームは富士スピードウエイで再びテストを行なっていた。
全領域の見直し
11月のテストで2020仕様の大まかな方向性を示し、年末12月25日のテストでは2020年のベースとなる仕様を使って修正ポイントを確認していくテストが行なわれていた。キャリーオーバーされたWRX STIマシンではあるが、空力ボディ、サスペンションを変更し燃料タンクやブレーキの変更なども行なっており、全領域での見直しが行なわれている。
この日のテスト課題は、ハンドリングのキモとなるジオメトリー変更の確認だ。かねてから辰己総監督は、ロールセンターを上げるなどのジオメトリーには課題があるとしていたのだ。この日は、そうした取り組みからの変更がどこまで成熟できているのか、その確認だ。また、燃料タンクの変更、ABSの制御変更と摩材変更によるマッチングなどの確認作業も同時に行なわれていた。実は、この日スーパーGTのGT300に参戦するBRZ GT300もテストがあり、ドライバーはSGTを山内英樹選手が担当し、NBRを井口卓人選手が開発担当する役割でテストしていた。
ポイントはアッカーマン
辰己総監督によれば2020仕様の中心となるジオメトリー変更の狙いは、如何に抵抗なく滑らかにコーナリングをしていくか、ということでAWDの特性を活かしつつ旋回抵抗を減らすジオメトリーを目指しているという。
11月のテストの時のレポートでもお伝えしたが、アッカーマンジオメトリーが一つのキーになるという。アッカーマンジオメトリーは後輪車軸の延長線上に旋回半径の中心があり、フロントタイヤの操舵時の中心点までの距離と角度でスムーズなコーナリングが生み出される。それを、スクラブ半径やホイールのオフセットなどの影響も含め、タイヤに旋回抵抗のかからない理想的な旋回を目指そうというのが2020仕様の狙いになる。
関連記事:スバル WRX STI 2020年ニュルに向けて始動開始
辰己総監督によれば、操舵初期に内輪もきちんと横力を発生させるようにした方が回頭性は高くなり、物理的には不可能ではあるが、完全アッカーマンを目指したいという。これまでの旋回は内輪に抵抗が生じ、外側タイヤがメインで旋回しているが、そうした常識を覆していくということかもしれない。
そこでトライしているのがロールセンターとリヤのサブフレームだ。ロールセンターをこれまでより20mm上げることとし、そのためにアップライトを新規に作り直してこのテストに装着してきた。リヤのサブフレームは、前回のテストで前後ともにピロボールへ変更したものの、ドライバー評価が低かったために、従来どおり後ろ側をブッシュに戻している。
ただし、ブッシュのすぐり角を回転方向とは逆の角度へ変更することで、トー変化は従来とは異なり、理想のアッカーマンへと近づくのではないかというトライだ。そしてドライバーの体感的には全体に剛性感が上がったように感じるという。井口選手からも同様のコメントがあり、狙いどおりに仕上がってきていることがわかる。
辰己総監督によれば、ドライバーがそう感じられれば、等価的にはスプリングを硬くしたのと同じ効果があり、逆にスプリングは柔らかくセットアップできるので、より乗りやすくなるはずだという。
ブレーキの変更
ブレーキはブレンボのローター&キャリパーに変更はないもののサイズを少しダウンさせ、またABS制御変更を行なっている。そしてエンドレスのブレーキパッドも藦材変更をしている。
その理由だが、19年仕様は冷えた状態ではかなりレベルの高いブレーキ性能だったというが、レースで温度が上がった状態になるとABSの介入が早くなる傾向があったという。井口選手によればニュルの路面はミューが低いので繊細なブレーキタッチが要求されるということで、ABSが介入されるたびにタイムロスしていることを感じているという。
そのため、ブレーキシステム全体の見直しを行ない、とくにABSの介入に関する制御変更を行なったという。変更後群馬のテストコースでABSテストをしてみるとブラックマークがきれいにつながるような制御になったという。19仕様だと、ブラックマークが途切れ途切れになり、ロック状態が繰り返していたことがわかったという。
燃料タンクも変更
燃料タンクは100Lタンクを搭載しているが、ニュルのレースでの給油は通常のガソリンスタンドで使う一般的な給油ノズルを使う。だからタンクからの逆流があるとノズル先端のセンサーが働き、給油が自動でストップする仕組みのそれだ。そのため、給油中、満タンになるまで何度もカチカチとガングリップを握る動作を繰り返すことになる。そこには十数秒のタイムロスが生じているのは言うまでもない。そこで、給油された燃料が逆流しないような、タンク内の空気の抜けがいい形状に設計変更して今回搭載してきたのだ。そして、テストでは一度も給油が止まることなく、99Lまで給油できたという。
この変更で、1回の給油時間も十数秒の短縮になるという。それが24時間のレースでピット回数が18回あるので、数分の短縮へとつながり、課題としている1スティント9ラップの目標も可能になるという施策だ。
エアロボディ
空力変更ではフロントフェンダーの形状変更とリヤウイングの変更があった。こちらはまだ、風洞テストができておらず、ダウンフォースの変化などデータはない。フロントフェンダーはエアアウトレットを大きくサイズ変更し、タイヤハウス内の空気の抜けとエンジン房内のエアの抜けを改善し、冷却効果もありメリットは大きいという。また、フロントフェンダーはサスペンションのジオメトリー変更にともない、トレッドが若干狭くなった。片側-3mm縮小しているので、その分フェンダーは内側に入り、正面からみた時にくさび型のルックスへとなっている。肉眼ではその違いまでは確認できないが、そうした違いからも前面投影面積も変わり、いい方向に変更されていると辰己総監督は話す。
リヤウイングはステータイプから吊り下げ式のスワンネック形状へ変更し、それに伴い、ウイングのサイズ変更も行なわれている。しかし、この日はウイングの角度調整などのレベルまではテストできておらず、次のテスト段階に入ってからの調整になるようだった。
エンジン、トランスミッションには大きな変更はなく、クラッチに変更を加えたレベルだという。これはギヤ比の設定でハイギヤード化していくと1速のギヤが高くなり、発進がしにくくなっているからで、高回転で繋ぐとクラッチは一瞬で滑ってしまうので強化をしたという。そしてエンジン自体もピットレーンに侵入した時点でエンジン回転を絞る信号を出すように変更し、不注意から起こるトラブルを未然に防ぎ、ドライバーの負担軽減にもなる対策をしているわけだ。
このように、NBRはベース車両が19年のチャンピオンマシンだけに順調に2020仕様へと変貌を遂げている。ベースモデルがしっかりできているため、リヤサブフレームのように、仮に変更してよくない結果になれば元に戻すこともできるアドバンテージがある。そうした余裕があるからなのか、さまざまなトライができており、さらに戦闘能力が高まっていっているように感じられるテストだった。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>
Posted at 2020/01/22 09:00:30 | |
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富士重工 | 日記
2020年01月22日
MAPLUSキャラdeナビ、サブスクリプションサービス開始…月額500円で5種類のナビゲーターが楽しめる
エディアは、徒歩・カーナビアプリ「MAPLUS キャラ de ナビ」にて、毎月変わる5種類のナビゲーターが月額500円(税抜)で使い放題になるサブスクリプションサービス「ゴールドパス」の提供を1月20日より開始した。
MAPLUS キャラdeナビは、基本利用料無料のナビアプリ。キャラチェンジセット(有料)を購入することで、声優陣の演じる個性豊かなキャラクターへ切り替えることができ、それぞれの世界観に合わせたセリフや、案内表示ボタン・背景などとともに目的地まで案内してくれる。また、車の走行中だけでなく徒歩でのナビゲートにも対応するほか、利用シーンに合わせて案内音声以外のセリフもキャラクターが話しかけてくれ、楽しくナビゲートする。
今回開始したゴールドパスは、月額500円で毎月変わる5種類のキャラクターのナビが使い放題になるサブスクリプションサービス。初回に限り、利用後2週間はお試し期間(無料期間)となる。
1月のラインアップは、ゆるキャン△「各務原なでしこ&志摩リン」(CV.花守ゆみり・東山奈央)、すーぱーそに子(CV.すーぱーそに子)、けものフレンズ「どうぶつビスケッツ」(CV.尾崎由香・小野早稀・本宮佳奈・内田彩)、STEINS;GATE「岡部倫太郎」(CV.宮野真守)、大塚明夫の5種類を予定。2月はゆるキャン△「各務原なでしこ&志摩リン」(CV.花守ゆみり・東山奈央)、STEINS;GATE「牧瀬紅莉栖」(CV. 今井麻美)、けものフレンズ「アルパカ・スリ」(CV.藤井ゆきよ・内田彩)、杉田智和、ラティ(CV. 釘宮理恵)の5種類を予定している。
エディアでは、毎月5種類の個性豊かなキャラクターを手頃な価格で提供し、手軽に何気ない日常をエンターテインメント性にとんだ楽しい時間にするサービスを目指していく。
Posted at 2020/01/22 08:58:10 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年01月22日
「転売するだけで1億円の儲け」と言われたフェラーリF40の真相
バブル景気に踊らされた”走る不動産”
日本が好景気に沸いた1980年代中盤、1台のスーパーカーがデビューする。そう、「フェラーリF40」である。
1987年にフェラーリが創業40周年を記念して開発したリアミッドシップ、後輪駆動の2シータースポーツカーで、それまでのカタログ値ではなく、掛け値なしに”最高速300km/hオーバー”の実力を持つ公道最速のフェラーリだった。”Tipo F120A型”と呼ばれる2936ccの排気量を持つV8ツインターボエンジンは、最高出力478馬力を発生。公称ながら最高速度は324km/hとアナウンスされ、当初発表された生産台数は350台とも400台ともいわれた(最終的には約1300台が生産)。
もちろん、誰でも簡単に購入できるものではなく、当時の輸入元である「コーンズ」が設定した4650万円という車両価格もそうであるが、選ばれたオーナーでなければ購入の権利が与えられなかったのも事実。少なくとも過去にディーラーからフェラーリを何台か購入した実績のある、マラネロ本社が認めたオーナーでなければオーダーリストに載ることさえできなかった。
1987年7月21日、イタリアのマラネロで開かれたF40の発表会は、当時89歳になるエンツォ・フェラーリ自身が出席するという特別なものであった。参加できたのは、F40をオーダー済み、もしくは購入候補者としてディーラーから案内された人でなければならなかったという。イタリアはマラネロまでの交通費は、もちろん自腹だ。
日本での上陸イベントは、1988年4月に伊豆までのツーリングという形で実施。フェラーリのオーナーが愛車を駆って多数参加し、その日舞台となった伊豆スカイラインは、さながらフェラーリの大名行列のようであった、と当時を知る自動車メディア関係者は証言してくれた。
まったくの余談だが、イベントが開催されたのは4月19日(火)で、その模様を当時26日発売の自動車専門誌が掲載。現在のようなデジタルではなかった銀塩フィルムでの撮影と記事制作、雑誌印刷から店頭に並ぶまでの時間を考えれば、かなり驚異的なスピードでの掲載だったといえ、関係者の間では今でも語りぐさになっているそうだ。撮影した画像がスマホで数秒後にアップできる今とは隔世の差である。
F40の影響は他モデルの高騰化にもつながる
日本の好景気、つまり折からのバブル期も重なって”簡単に購入できない”F40は、取引価格をグングンと上昇。ドイツやスイスでデリバリーされた個体があれば、たとえ倍の価格でも購入者は後を絶たず、輸入販売業者のウエイティングリストには何十人もの名が連なったという。最盛期、その価格は2億5000万円までになったといわれている。
もちろん、先に購入できた幸運なオーナーは「転売するだけで1億円の儲け」といわれたが、それも大げさではなかった。ごく短期間のことではあったが、転売される度に値を上げ、多くのオーナーの懐を潤したのだ。
そして、F40に引きずられるようにほかの銘柄も高騰する現象が巻き起こる。当時のラインアップといえば、180度/V12エンジンを搭載する「テスタロッサ」をフラッグシップに、V12エンジンをフロントに搭載した2+2の「412」、3.2リッターV8エンジンをリアミッドに横置きした2シーターモデルの「328」、同じくV8をリアに搭載した2+2の「モンディアル」というラインアップだったが、そのどれもが軒並み高価格で取引された。それは、いまでこそアメ車の一部に残る新車並行輸入販売業者の最盛期とも符合。当時はアメリカよりも圧倒的に欧州からの輸入が多かったのだ。
例えば、フェラーリ・テスタロッサの1990年当時の価格は2580万円だったが、倍以上ともなる5000~6000万円で販売。程度にもよるが、中古車でも3000万円前後で取引された例が多かったと記憶している。
しかしながらバブル崩壊後の相場は、イッ気に下落。特に”新車並行”は見向きもされずに店頭在庫となり、運が悪ければ業者の塩漬け物件に。スーパーカーを取り扱っていた中古車店の倒産や夜逃げが増えたのは当然である。1970年代後半のスーパーカーブーム後の需要の落ち込みを凌いだ(といっても、子供中心のブームだったので実害は少なかったらしい)、東京・目黒の老舗スーパーカーショップA社や、後にランボルギーニ正規輸入元となったJ社、東海地方で勢力を拡大し自動車専門誌に派手な広告を掲載していたI社も21世紀を待たずして消えてしまったのである。
さきほどのテスタロッサについては、後継モデルの512TRやF512Mの登場もあって徐々に値を下げ、もっとも安いプライスでは800万円台まで下がりきった例もあった。
いっぽうフェラーリの新車は、しかるべき従来のフェラーリコレクターに、正規ディーラーを通じて正規の価格で納車されていったので、それほど大きな影響はなかったと聞く。もちろんだ。正規ディーラーでフェラーリを購入する顧客に、プレミア価格は適用されることなどないからである。
全世界の需要に対してフェラーリ社の生産が追いつかず、納期が通常よりもかかったという影響はあっただろうが、いってしまえば影響はその程度。割を食ったのは優良顧客とは到底呼べない、バブル景気に踊らされ、フェラーリを”動く不動産”と呼んだクルマを金融物件扱いした残念な人たちだったという、至極当たり前のオチである。
Posted at 2020/01/22 08:49:22 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年01月22日
【生産中止へ】BMWのハイブリッド・スポーツカー「BMW i8」 4月に生産中止へ EVモデルに注力のため
BMW i8生産中止
text:Felix Page(フェリックス・ペイジ)
BMWは、「i8」プラグイン・ハイブリッド・スポーツカーの生産を4月で終了することを明らかにした。
2014年の発売から6年近く続いた歴史に幕が下りることとなる。
BMWは、「iX3」コンパクトSUV、「i4」サルーン、「iネクスト」SUVフラッグシップなどの特注のEVモデルに力を注ぐため、このポルシェ911のライバルの生産中止を決めている。
BMWは、i8の生産終了の具体的な日程を公表していないが、同社の広報担当者は「受注生産に興味のある英国のお客様は、2月末までにお近くのディーラーで注文してください」と呼びかけている。
すでに、i8の大幅な値引きを行っているディーラーもある。
定価11万5105ポンド(1600万円)のハードトップモデルを、2万ポンド(280万円)近く割引きして、9万3115ポンド(1300万円)で提供しているところもあった。
2009年のフランクフルト・モーターショーで、ターボディーゼル・コンセプトとして初めて発表されたi8は、i3電動ハッチバックを超える、当時のBMWのiシリーズの高性能フラッグシップとして2014年に発売された。
ミッドエンジン2+2は、生産期間を通じて、低出力の電気モーターに接続された1.5L直列3気筒ガソリンターボエンジンの1つのパワートレイン・オプションのみで販売されていた。
2018年のアップデートにより出力が362psから374psに増加したが、パフォーマンスの数値はほとんど変化しなかった。
将来的なi8後継モデル
BMWの研究開発のトップは昨年、AUTOCARに対し、i8の将来についてはすでに決定が下されており、第2世代のテスラ・ロードスターとアウディR8 eトロンのライバルとして生まれ変わる可能性があると話していた。
将来的なi8後継モデルのドライブトレインやデザインについては、ほとんど知られていないが、フォーミュラEと「i」部門との「明確な関連性」を高める、「レースから公道へ」戦略をもとに開発がすすめらている。
昨年のビジョンMネクスト・コンセプトにもとづいた新しいスポーツカーは、今後5年以内に登場する予定となっている。
Posted at 2020/01/22 08:42:31 | |
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BMW | 日記