2020年04月05日
800馬力のスーパー4ドアクーペ誕生へ…メルセデスAMG GT に「73」、充電口も存在も確認
メルセデスAMGの4ドアスポーツクーペ、『GT』の頂点に設定される『GT 73』の開発車両を再びカメラが捉えた。
「73」の名は、パガーニ『ゾンダ』にも搭載された7.3リットルV型12気筒エンジンに由来する。1998年から2001年まで2ドアクーペ『SL』に『SL73 AMG』が設定されていた。その「73」の車名が19年ぶりに復活することになる。
スウェーデン北部で捉えたプロトタイプは、鍵型のLEDデイタイムランニングライト、大きなパナメリカーナグリルを装備。巨大なコーナーエアインテークが完全に露出しており、下に位置する『GT 63』とほぼ同じフロントエンドがみてとれる。
またクワッドエキゾーストシステムやディフューザー、バンパーもGT 63のデザインを継承しているようだ。唯一異なるのは、テールライトのすぐ下に充電ポートが隠されている点だ。多くのPHEVモデルでフロントまたはリアクォーターパネルに備えられているが、GT 73は独自のレイアウトとなっている。
充電ポートを備えていることからもわかる通り、GT 73に搭載されるパワートレインはV型12気筒ではなく、コンセプト同様に4.0リットルV型8気筒+モーターのハイブリッドモデルだ。最高出力は800馬力以上、最大トルクは900Nm以上と予想されており、0-100km/h加速3秒以内のハイパフォーマンスを誇る。
ワールドプレミアは、2020年と予想されている。
Posted at 2020/04/05 10:20:25 | |
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メルセデスベンツ | 日記
2020年04月05日
【外出自粛】アストン マーティン、ヴァルキリーの塗り絵素材を公開 新型コロナウイルス感染拡大を受けて
アストンの塗り絵 第2弾
新型コロナウイルスの感染拡大によって自由に外出できない人々のために、自動車メーカーにできることもある。
英国の高級スポーツカーメーカーのアストン マーティンは、子ども達やクルマ好きのために、ハイパーカー「ヴァルキリー」の塗り絵素材を公開した。
ハッシュタグ「#StayHome」が付いた投稿には、「好みの色のヴァルキリーを描こうよ」というメッセージとともに、ヴァルキリーの輪郭が印刷されている。
傑作はリツイートを
先週、同社のSNSにDB5の塗り絵素材が掲載されて話題となった。
アストン マーティンは、今回のヴァルキリーについても、気に入った作品をリツイートで投稿するように呼び掛けている。
一見するとシンプルな塗り絵素材であるが、どこまでの完成度を追い求めるかは自分次第。世界中から届けられる作品を見ていると、こんな表現もあったのかと感心させられる。
ヴァルキリーの塗り絵素材は、同社の公式SNSからダウンロード可能だ。
【外出自粛】英ケータハム・カーズ 「セブン」の塗り絵素材を公開 新型コロナウイルス
大人だって楽しみたい
新型コロナウイルスの感染拡大による世界的な外出自粛の動きを受けて、自動車メーカー各社が、子どもと過ごすための様々なアイデアを提案している。
塗り絵素材はその1つで、今回は英国の軽量スポーツカーメーカー、ケータハムが公開したものをご紹介したい。
「子ども達が(実のところ、大人も)楽しめるものを紹介しよう。セブンを好みのカラーリングにしようよ」というメッセージとともに、同社のSNSに投稿されたのはセブンの5面図。
前後・左右・上方から見た車体の輪郭だけを印字したシートが掲載されたのだ。
「皆さんの作品を拝見できるのを楽しみにしています」と、投稿されているから、完成した塗り絵はリツイートして世界中の人に見てもらうこともできる。
ケータハム・セブンの塗り絵素材は、同社の公式SNSからダウンロードすることができる。
【外出自粛】英ランドローバー、ディフェンダーの塗り絵素材を公開 新型コロナウイルス
野生動物の保護に活躍
英国の高級車メーカー、ランドローバーが、新型コロナウイルスの感染拡大によって外出を制限されているファンのために、塗り絵素材を公開した。
題材となるモデルは、新型ディフェンダー。アフリカのナミビアで野生動物の保護にあたっているシーンを切り取った。
3月25日から同社のSNSに投稿が始まり、これまでに5種類の塗り絵素材が公開されている。車体に加えて、象、カバ、キリンといった動物も一緒に描かれているので、男女を問わず多くの子ども達にとって楽しい時間となるだろう。
タスクとともに
ディフェンダーは、アフリカの野生動物保護団体である「タスク(Tusk)」とともに、生息地の保護活動を行っている。
過酷な環境のなかで4×4モデルの能力を発揮して、動物と人類の共生に貢献しているのだ。
ディフェンダーの塗り絵素材は、英ランドローバーの公式SNS上で、高解像度のデータが公開されている。
子どもに限らず、大人も色えんぴつを手に取ってみよう。出来上がった作品は同社のSNSにリツイートすることもできる。
Posted at 2020/04/05 10:15:32 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年04月05日
スバル、米国工場に続き群馬製作所の生産停止 コロナで需要減 部品調達も影響
スバルは1日、群馬製作所の稼働を11日から5月1日まで休止すると発表した。世界的な需要減に加え、米国など海外製部品の調達が困難になった。減産台数は約3万9千台となる見込み。国内乗用車メーカー全社が新型コロナウイルスの影響で生産停止を決めたことになる。
完成車工場の本工場、矢島工場、エンジンやトランスミッションを生産する大泉工場を稼働日ベースで17日間停止する。再開は長期連休明けの11日となる。群馬製作所の正規社員は約1万400人で、非正規を含めて給料は全額支給するとともに雇用は維持する。車種にもよるものの、2月時点で平均1~2カ月程度だった納期が遅れることになりそうだ。
3月23日から稼働を停止している米国の生産拠点も再開日を4月20日に遅らせる。直近では7日に再開する予定だった。約3万2千台の減産となる見込みだ。スバルが1月に発表した2020年暦年の生産計画は群馬製作所が69万台、米国が41万台だった。
スズキとスバル、国内工場の操業を一部停止 新型コロナウイルス影響
◆スズキ、4月16日以降も国内5工場の操業を一部停止…新型コロナで海外調達部品が不足
スズキは、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、4月6日以降も国内工場の操業を一部停止する。
スズキは、新型コロナウイルス感染拡大で、海外から調達している部品が不足していることから国内5工場の操業を4月1日から3日まで停止した。しかし、今後も海外調達部品の一部で納入に影響が出ることが見込まれるため、4月6日以降も操業を一部停止する。
『アルト』『スペーシア』『ワゴンR』『ハスラー』『ジムニー』などを生産する主力の湖西工場(四輪)は、4月9日、10日、17日の操業を停止。『エブリイワゴン』『エブリイ』『キャリイ』などを生産する磐田工場は4月9日、10日、17日、18日の操業を停止する。
『イグニス』『スイフト』『ソリオ』『クロスビー』の生産およびエンジン組立などを行う相良工場は、4月6日から17日まで、交代勤務から1勤へ変更する。『GSX-R1000R』『Vストローム1000XT』『SV650X』など二輪車を生産する浜松工場および湖西工場(船外機)は、4月10日の操業を停止、それ以外も交代勤務から1勤へ変更。鋳造部品の製造などを行う大須賀工場も4月10日の操業を停止、4月9日および17日は一部操業となる。
なお、4月20日以降の工場操業については、状況などを見極めた上であらためて判断するとしている。
◆スバルも新型コロナウイルス影響で国内工場の稼働を一時停止
スバルは4月1日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う部品調達の影響と世界的な需要減少に対応して生産調整するため、国内工場の生産を停止すると発表した。
スバルが新型コロナウイルスの影響で国内生産拠点を停止するのは初めて。これで国内乗用車メーカー8社すべてで国内生産が一時停止することになる。
スバルは完成車を生産している群馬製作所の本工場と矢島工場、エンジン・トランスミッションを製造している大泉工場について4月11日から5月1日まで生産を停止する。生産停止日数は稼働日ベースで17日間で、約3万9000台程度の減産となる見通し。
5月2日から10日まではゴールデンウィークで休業となるため、操業再開は5月11日で、約1カ月間、生産停止となる。
スバルでは米国工場も3月23日から4月17日まで操業停止を決めている。
景況感7年ぶりマイナス、スバルも工場休止---国内自動車全8社“緊急事態宣言”[新聞ウォッチ]
気になるニュース・気になる内幕。今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析する新聞ウォッチ。…………
昨年10月以降の消費増税と新型コロナウイルスの感染拡大で、企業の景況感が著しく悪化しているようだ、
日銀が発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の景況感を示す業況判断指数(DI)はマイナス8。7年ぶりにマイナスに転落し、悪化幅も7年3カ月ぶりの大きさになったという。非製造業や中小企業の景況感も急速に落ち込んでおり、日経などは「新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞が影を落としている」と伝えている。
きょうの読売も社説のテーマとして取り上げており、文中、自動車などの輸出企業への影響にも触れて「心配なのは、欧米経済が停滞を余儀なくされていることだ」としながら「例えば、国内の主要自動車メーカー7社の取引企業は、下請けや孫請けを含め3万社近くに上る。企業心理が一段と冷え込めば、幅広い企業の設備投資や採用の計画にマイナス」と指摘する。
その国内の自動車メーカーでは、北米市場が生命線のスバルが、国内唯一の完成車工場の群馬製作所(群馬県太田市)の生産を来週11日から5月1日まで一時停止すると発表した。新型コロナウイルスの感染拡大で海外からの部品調達が難しくなっていることや、需要が減っていることに対応するという。
すでに、トヨタ自動車や日産自動車なども生産ラインを停止しており、最後にスバルの発表で乗用車8社全社が一部の生産ラインを含め国内の稼働停止を余儀なくされることになる。全社の生産停止は2011年3月の東日本大震災以来で、日本経済全体にも急ブレーキとなりかねず、とくに業績悪化で“緊急事態宣言”の日産などは深刻だ。
2020年4月2日付
●新型コロナ、国内新たに267人感染、都内は66人(読売・1面)
●車大手8社一時生産停止、震災以来、スバル部品調達できず(読売・6面)
●景況感7年ぶりマイナス、日銀短観、宿泊・飲食・急落(朝日・1面)
●車減産派遣社員しわ寄せ(朝日・3面)
●新入社員の春異例ずくめ、1人ずつ入社式、辞令は電子ファイル(朝日・6面)
●国内新車販売3月9.3%減、6か月連続の前年割れ(朝日・6面)
●米、車燃費規制緩和、メーカーに配慮、新基準(毎日・6面)
●鮫洲免許試験場の感染職員、症状自覚後100人に講習(産経・19面)
●タクシー新料金制度、国交省、定額、相乗り、変動迎車料金(産経・22面)
●ベトナム工場、ホンダが停止、自動車と二輪、15日まで(日経・10面)
●EVサプライズ、ソニーの遊び心(日経・12面)
●ホンダ、バーチャル展示会、コロナ対応、バイクショー中止で(日経・12面)
●中古車購入ネット契約、トヨタ、全国の在庫共通化(日経・13面)
●日産、険しさ増す再建、新型コロナ国内外で生産停止、1000億円規模の減益要因(日経・17面)
●ガソリン店頭136.3円、10週連続下げ(日経・20面)
スバル 国内、アメリカ工場で生産停止【新型コロナウイルス】
スバルは、新型コロナウイルスの感染拡大で部品調達が難しいことから、工場の操業を4月11日から5月1日まで停止することを明らかにしました。この群馬県太田市にある群馬製作所は生産したクルマのおよそ8割をアメリカなどに輸出していますが、世界的にクルマの需要が落ち込んでいることもあり、一時停止を決めということです。
これによって、国内の自動車メーカー8社がすべて、国内の一部、またはすべての工場を停止することになりまり、国内外で影響が拡大しています。
また、すでに生産を止めているアメリカの工場についても停止期間を4月17日まで延長し、スバルは国内と海外のすべての生産拠点で操業を一時停止することになります。
Posted at 2020/04/05 10:11:02 | |
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富士重工 | 日記
2020年04月05日
WRC、2022年のハイブリッド規定導入に向けシステムの単独サプライヤーを決定
昨年、世界ラリー選手権(WRC)は2022年からの最高峰クラス“ラリー1”の次世代マシンに100kWのハイブリッド・システムを搭載することを決定。その入札が行なわれた。
そしてその独占サプライヤーにコンパクト・ダイナミクス社が選定され、先日行われたWMSC(世界モータースポーツ評議会)で行われた投票により承認を受けた。
コンパクト・ダイナミクス社はアウディのテクニカルパートナーシップを確立しているシェフラーグループの一企業だ。彼らは駆動システムやモーター・ジェネレーターユニット(MGUs)のスペシャリストであり、それらはメルセデスF1チームや、アウディのフォーミュラEプログラムにも供給されている。
FIAのラリーディレクターであるイヴ・マットンが昨年motorsport.comに対して明かした内容によれば、ハイブリッドシステムはロードセクションや一部のスペシャルステージで使用されるだろうが、平均スピードの上昇を避けるためにオーガナイザーの裁量となるだろうという物だった。
WMSCで議論された項目の中には、ラリー1のエンジンテクニカルレギュレーションもあり、そこでは現在のWRCカーと同じエンジン(1.6L直列4気筒直噴ターボ)が維持されること、そしてコスト削減の措置がとられることも含まれていた。
なおラリー1の完全なテクニカルレギュレーションは未だ公表されていない。この遅れは、WRCに参戦しているメーカーのマーケティング上の狙いが異なっていること、FIA側は可能な限り厳しくコストをコントロールしたいという希望を持っていることから、両者の間での妥協点を探っているためだと思われる。
コスト面についてはFIAによって開発される全車共通のサバイバルセルを採用することで達成できると考えられており、ハイブリッドシステムと合わせることにより、多くのメーカーがチャンピオンシップへ参戦することが期待されている。
Posted at 2020/04/05 10:03:09 | |
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自動車業界あれこれ | 日記
2020年04月05日
オークションで1億円以上は必至! ポルシェ「904GTS」は実用性も兼ね備えた名車だった【THE CAR】
■「904GTS」は、ポルシェ「GTS」の開祖
ポルシェでは、「928GTS」以来途絶えていた「GTS」のバッジを、997系911に設定された「911GTS」を皮切りに、今や911シリーズや「718ケイマン/ボクスター」などの純粋なスポーツモデルはもちろん、「パナメーラ」や「マカン」、「カイエン」などのセダン/SUVにも設定。また、ブランド初のBEVとなった「タイカン」にも、いずれは追加されると見込まれている「GTS」グレード。その歴史は、遥か半世紀以上も昔に開発された伝説的レーシングモデルまで遡ることができる。
その名は904GTSこと「カレラGTS」。ポルシェの栄光の歴史に輝く、小さいけれども偉大な一台である。
第二次大戦後のスポーツカーレースにポルシェが関与していない時期は、ほぼ皆無に等しい。ポルシェは、1948年の創業から3年後にあたる1951年から、ル・マン24時間レースに挑戦し、クラス優勝を獲得したことに端を発し、特に1960年代後半からは「グループ6」、1970年代の「グループ5」、1980年代の「グループC」、そして2010年代の「LMP1」と、その時々のトップカテゴリーにおいて、数々の勝利とタイトルを獲得してきたのだ。
ここ数年は、ヴァイザッハのファクトリー自らがチームを結成して、トップカテゴリーに参戦することこそなくなっているものの、それでもGTEカテゴリーでは、プライベーターにデリバリーされたおびただしい数のポルシェ911の大軍勢が熱戦を繰り広げている。
時にはプライベーターの駆るGTカーが、しばしば総合優勝をはじめとする好成績を挙げて、ポルシェ全体のスポーツイメージのボトムアップをしている状況だ。実は、そんな図式が、いまから60年近く前にもあった。
国際自動車連盟(FIA)のもとスポーツカー/GTレースを管轄していたCSIが、1963年からのスポーツカー世界選手権GTカテゴリーのホモロゲート取得に必要な最低生産台数を「100台」に改訂したことから、ポルシェはその直前までGTタイトルを闘ってきた「356B 2000GS」に代わるニューマシンとして、より先進的かつ戦闘力の高いミッドシップ車を開発する。
これが巷では「904GTS」とも呼ばれることの多い「カレラGTS」である。
904では、550スパイダー以来のポルシェ「レン・シュポルト(レース用スポーツカー)」で伝統となっていた、鋼管スペースフレーム+アルミ製ボディ表皮という手法を、生産性を向上させるためにあっさりと放棄する。
深さ20cmにもおよぶプレス鋼板で組んだ箱型断面のラダー型フレームと、そのフレームに強固に接着されることによって、構造材として応力も担うハインケル社製FRPボディシェルが組み合わせられた。
一方パワーユニットについては、904プロジェクトがスタートした当初の案では、のちの後継車となる「カレラ6」にも搭載された911系フラット6の搭載で開発が進められたが、これは結局間に合わなかった。
そこで、旧カレラ2000GS系の587/3型空冷水平対向4気筒4カムシャフト(バンクあたりDOHC)1966ccユニットを選択。サイレンサーを持たないレーシングバージョンでは最高出力180psを絞り出し、265km/hの最高時速を標榜していた。
その一方で、ポルシェの名作901(のちの911)のアウトラインを引いたことでも知られるハンス・トマラ技師ほか、当時のポルシェ技術陣がこの904の性格付けをいかなるものと考えていたかは、以下の装備を与えたことから窺い知ることができる。
まずは、レーシングカーとしては当たり前の直管エキゾーストに加えて、パワーは155psまで低下するものの、ロードユーズも可能とするサイレンサー付エキゾーストが選択できた。また、メーカー指定のタイヤも通常のレーシング用ではなく、165HR15のロード用ラジアルとされ、レース参戦時にはそれぞれのエントラントが各自、タイヤメーカーから供給を受けることになっていた。
さらに市販モデルである904には、レーシングモデル/ロードバージョンを問わず、当時のレーシングカーとしてはおおよそ無縁とも思われていた装備、独ヴェバスト社製のガソリン燃焼式ヒーターまで全車に標準装備されていたのだ。
つまり、904に与えられたキャラクターは、より理解しやすくするために近年のポルシェ製レン・シュポルトになぞらえると、その時々のレギュレーションが要求する生産台数によって性質にいささかの違いはあるだろうが、本質的には往年の「962C」や「911GT1」、あるいは「919ハイブリッド」の祖先というよりは、現代の「911GT3RS」や「ケイマンGT4」に近い存在だったとも考えられる。
それは、当時のポルシェ技術陣が構築した企画コンセプトにもはっきりと謳われ、曰く「自宅からサーキットまで自走で往復できるため車載トラックを必要せず、ユーザーに優しい」GTカーという性格づけがなされていたのだ。
■オールマイティ、あるいは文武両道
発売当初、「カレラGTS」というシンプルな名称とともにデビューした904は、ポルシェ首脳陣の見込みどおり、世界スポーツカー選手権GTカテゴリーで素晴らしい強さを見せる。
当時の2000cc以下クラスでライバルだった「アルファロメオ・ジュリアTZ」や「アバルト・シムカ2000GT」を圧倒するが、さらに驚くべきはル・マンなどのビッグレースにおいても、フェラーリ勢やシェルビー・コブラ・クーペに続く7位入賞を果たすとともに、当然のごとく2000ccクラスを制覇。
そしてイタリア・シチリア島の「タルガ・フローリオ」では堂々総合優勝まで獲得するなど、排気量や所属カテゴリーさえも超越してしまう。
つまり、904はGTカテゴリーのために開発された市販車ながら、1963年シーズンまで上位の「スポーツカーカテゴリー」で闘っていた「RS718」系8気筒シュポルト・スパイダー/クーペ後継モデルの役割まで、立派に果たしたことになるのだ。
しかも、904が強さを示したのはサーキットレースのみならず、レーシングカー上がりのスーパースポーツには似つかわしくない、本格的なラリー競技でも実力を発揮した。
なかでも伝説となっているのが、1965年のモンテカルロ・ラリーにおいて、ポルシェとオイゲン・ベーリンガー/ロルフ・ヴュッターリッヒ組に総合2位入賞をもたらしたことだろう。ちなみに前述したヒーターは、氷点下を大きく下回ることも多いラリーのスノーステージにおける厳寒対策としても、大いに役立ったといわれている。
結局、904は1964から1965年の2シーズンにわたって大活躍することになり、当初の予定から20台増産された120台が製作された。そして1966年シーズンに向けて、新たに50台の生産でホモロゲートできるFIAグループ6カテゴリーに照準を当てた後継車「カレラ6」こと906が製作されることになる。
ポルシェ906では、ミッドシップやFRP製ボディなどは904から踏襲されたが、新たにポルシェ技術陣のリーダーとなった、若き日のフェルディナント・ピエヒ博士の意向によって、再び鋼管スペースフレームに戻されることになった。
エンジニアとして純粋主義的だったピエヒ博士は、904のオールマイティな一方、どっちつかずとも取れるキャラクターに懸念を示していたという。
しかし、906以降に開発された本格的レーシングスポーツについても、904で実証された人間工学に基づいた設計は大いに反映され、その後のスポーツカー耐久レースにおける強さを決定的なものとしたのも事実である。モータースポーツ史に輝く傑作である904は、その点についても偉大な一台と言えるだろう。
快適性・実用性を重視しつつも、クラスの常識を超えた高性能をまとった904。現代ポルシェが「GTS」の名跡を復活させた要因には、904から構築された哲学がいまなお受け継がれていることの証でもある。
※ ※ ※
●Porsche Carrera GTS
ポルシェ・カレラGTS
・生産年:1964年
・全長×全幅×全高:4090×1540×1065mm
・ホイールベース:2300mm
・エンジン:水平対向型4気筒DOHC
・総排気量:1966cc
・最高出力:180ps/7200rpm
・最大トルク:20.5kgm/5000rpm
・トランスミッション:5速MT
Posted at 2020/04/05 09:58:08 | |
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ポルシェ | 日記