先日レンタカーでスズキ「スイフト」が来たのでレポートしておく。
丁度「
スイフトスポーツ」をテストした直後だったので、ベースモデルのスイフトに乗れたのはタイミングが良かった。
私は歴代の「スイフト」が大好きで、モデルチェンジの度に試乗レポートを綴ってきたが、現行モデルになってどうにも雲行きが怪しくなった。
2016年末に登場した現行「スイフト」に
試乗した際の印象があまり良くなかったのがその主要因。
新プラットフォーム「HEARTECT」を採用し、大幅な軽量化に成功した事は大変素晴らしいが、「欧州車よりも欧州らしい」と評した走りの質感や安定感が軽量化の代償として失われたように感じられたと記憶している。個人的にコレが結構ショックで、それ以降現行「スイフト」から遠ざかっていた。
先日テストした「スイフトスポーツ」がかなり良かったので、改めて最新の「素イフト」がどの様に熟成されたのかを検証したい。
今回のテスト車は2020年式「XGリミテッド」(AWD/CVT)で161万円。メーカーOPは装着されていない。2WDなら146万円のモデルだから、最近、価格上昇が著しい軽自動車と比較しても割安感がある。
まず、結論から言ってしまえば、走り出して直ぐに「おや?」と戸惑うくらい走りが良くなっていた。何がどう良くなったと正確に指摘するのは難しいが、発売当初の違和感がかなり改善されたのは間違いないだろう。
念の為、発売当初のテスト車はマイルドハイブリッドの「HYBRID ML(FF/CVT)」で、埼玉の試乗車に対し、今回はベーシックな純ガソリンモデル「XGリミテッド(AWD/CVT)」で札幌のレンタカー。
ハイブリッドの有無に加え、駆動方式やテスト環境も違うから「熟成が進んだ」と安易に判断するのは抵抗があるが、個人レベルの限界としてお察し頂きたい。
さて。発売当初に感じたネガティブポイント「安定感に欠ける脚回り」と「違和感の有るCVT」。この2点について。
改善効果が大きいのは「脚回り」。今回のテスト車も、先代モデルまでの「欧州車よりも欧州らしい」と評したくなるカチッとしたドイツ風フィーリングとは趣が違うが、初期モデルより俄然脚が良く動くようになり、路面のいなしが格段に滑らかになったのは収穫。ステアリングも路面のフィーリングを適度に伝えてくるから、運転していて飽きないタイプだ。
先代までの「スイフト」がガチのドイツ志向(オペル的なイメージ?)ならば、現行モデルはドイツとフランス(もしくはイタリア)の折衷タイプという感じだろうか。
「この脚に惚れて即購入!!」と物欲スイッチが押されるほどの衝撃を感じた訳ではないが、発売当初からこの仕上がりだったら....と残念。
次に「CVT」。こちらは以前の印象を覆す大幅な進化こそ感じないが、こちらの道路事情がCVTの嫌なフィーリングを目立たせない側面もあり、相対的に「嫌だな」と感じるポイントが減少していた。
混雑する街中からちょっとしたワインディングまで色々なシーンを試したが、一定速度でピタッと巡航するのは苦手だが、違和感のあるラバーバンドフィールはかなり抑えられていた。但し、パドルシフトが無く、シフトレバーにも「+/-」セレクターが無いため、マニュアルシフトは不可。昔のAT車みたいに「D」→「L」へシフトダウンするしかないのは興醒めだ。
「XGリミテッド」はちょっと不思議なグレードで、本来エントリーモデルのポジションだが、スポーティな本革ステアリングや220km/hまで刻んだスピードメーターにはレッドの縁取りもされる。(↓写真あり)
一方で、外観はチープなハロゲンヘッドランプとホイルカバーで随分と損をしている。なんと言うか、内外装のデザインテーマが統一されておらず、なんともチグハグな印象を受けてしまうのは残念。
そろそろ結論を。
発売当初イマイチだった「スイフト」だが、熟成が進んだ最新モデルは、随分と「脚周り」が改善され走りの印象が良くなった。軽量ボディを活かし、街中を軽快に走り回るには最適なコンパクトカーに返り咲いていた。
一方「マイカー候補」の目線で見ると、チープな外観とスポーティな内装のチグハグ感に代表される商品性の疑問点が散見され、スズキの迷いもしくは苦悩を感じる。残念ながら、マイカー候補としては魅力を感じなかった。
「スイフトスポーツ」(2WD/6AT)が208.8万円で買えることを考慮すると、「スイフト」を買うなら「スイフトスポーツ」一択。これが私の結論である。
「スイフトスポーツ」を推すと、AWDが無い、燃料がハイオク、最低地上高が120mm...と色々実用上の課題を指摘されるだろうが、箱型(ソリオとかスペーシア)モデル全盛の時代、わざわざ実用性に劣るパーソナルなコンパクトハッチを選ぶならば、より本気のモデルを選ぶべきだろうね。
個人的に現行「スイフト」(スポーツを除く)は国内市場向けに全幅を縮め、5ナンバーサイズへ収めた国内専用ボディを採用したが、恐らくこれが失敗の原因と推察している。
どうしても私の目には海外仕様から無理して削り落とした様な貧相なボディワークに見えてしまう。トヨタ「ヤリス」も同様の手法を採用しているが、こちらは割と上手く処理している。次期モデルはどうするのだろうか。
「スイフトスポーツ」ではなく、他車種も含め...ということであれば、コストパフォーマンスと走りを高次元で両立している
マツダ「MAZDA2」を推薦する。
特に先日テストした
「15S Smart Edition(AWD/6AT)」は180.7万円(税込)。スイフトより若干高価だが、カーナビ相当のマツコネが標準装着されるから、実質的には同価格帯だろう。(2WDなら159.8万円)
いやぁ..クルマって色々難しいですね。
↓これが海外仕様の「素イフト」。やはりコレがオリジナルですよね。
Posted at 2021/05/08 13:28:58 | |
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