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2020年01月06日 イイね!

流石にレガシィのカタログは持ってないな~

流石にレガシィのカタログは持ってないな~【懐かしのカーカタログ】名機「EJ20」を語る上で外せない2台…初代レガシィ&インプレッサWRX STI

平成から令和へと元号が変わった2019年。自動車業界でもさまざまな節目があった。そのなかのひとつが、スバルの「EJ20」エンジンの生産中止。実に30年もの長きにわたりスバル車に搭載され、第一線で実力を発揮し続けた名機が姿を消す。

ご承知のとおりEJ20は1989年1月、初代の『レガシィ』とともにデビューした。その直前には、米アリゾナ州のテストセンターにおいて平均速度223.345km/hのFIA公認10万km世界速度記録を達成。スバル『1000』に始まり『レオーネ』まで同じく長くスバル量産車の主力エンジンだった“EA型”に代わる新時代エンジンとしての任を負っての登場だった。

水平対向エンジンはスバルにとって伝統、様式といえるが、進化させられるポテンシャルの高さもわかっていたという。当然、将来的な高性能化も視野に入れての開発だった。

◆初代 レガシィ RS

写真のカタログは初代『レガシィ』に設定された高性能モデル、「RS」のもの。「アクセルワーク、ステア、シフト……すべての運転操作に歓びを見出し、人とクルマが一体となって自在に駆ける様を夢見る」と、最初のページにはこんな文面が。今ならさしずめ“最新のコネクテッド機能を搭載し……”などと書いてあるところだが、いかにもピュアないい時代だったと感じる。

もちろんRSは高い性能を誇るモデルで、搭載するのは諸元表の型式欄に“EJ20ーTURBO”とあり、最高出力220ps/6400rpm(ネット)、最大トルク27.5kg-m/4000rpmというもの。大容量水冷式ターボ&オイルクーリングシステム、水冷式インタークーラー、過給圧電子制御ほか、4カム16バルブ、フライホイールハウジング一体構造シリンダーブロック、5ベアリングクランクシャフトなども採用していた。

当時の広報資料には、ターボはRHB 52型でタービンローター/コンプレッサインペラ径=52.5/56.0mm、最大過給圧=450mmHg、インターセプトポイント=2800rpm、A/R=20とある。そして組み合わせられるトランスミッションは当初は5速のMTのみで、通常50:50の前後トルク配分のフルタイム4WDシステムには、ビスカスLSD付きのセンターデフとリヤデフを採用していた。

低圧ガス封入式ダンパー、オーバーオールギヤレシオ15.0のラック&ピニオン式車速感応型油圧反力電子制御パワーステアリング、フロント2ポッドキャリーパーの4輪ベンチレーテッドディスクブレーキなど、走りにかかわる部分のスペックは実に手厚い。この後、競技用ベース車両として装備を省いた「RS typeR」、EJ20にも手を入れた「RS typeRA」も登場している。

◆インプレッサ WRX STi Version III

さてEJ20といえば、先ごろ最終型『WRX STI EJ20 Final Edition』の受注生産を打ち切った『インプレッサWRX』は外せない。写真のカタログは'96年の「WRX STi Version III」が登場した時のもので、ページを開くと、'95年のWRCでドライバー・チャンピオンに輝いたコリン・マクレーの姿も。

“BOXER MASTERー4”の呼称が付いたEJ20ーTURBOは280ps/33.5kgーmの性能をモノにしており、改良点は「低フリクションピストンの採用、高回転化を可能にするバルブシステム、さらに、吸気系、ターボシステムの一新」とカタログにも記されている。ピストンはモリブデンコーティングとスカートサイズの短縮、バルブでは中空員テークバルブの採用などがその内容。レブリミットの引き上げ、低背圧マフラーの採用、空冷インタークーラーのサイズアップとインタークーラーコアの水平置きへの変更による冷却効率の向上なども。

パワーウエイトレシオ4.250の「WRX typeRA」ではインタークーラーウォータースプレイの標準装備化も実施。……というような、市販車としてはマニアックな記述がカタログに並ぶ。さらに「STi VersionIII」はトルクが35.0kgーmと高く、鍛造ピストンを始め専用スペックが与えられたほか、「RA」にはドライバーズコントロールセンターデフ付きトランスミッションも搭載した。

EJ20は長かっただけに、より子細に変遷を辿るとしたらジックリと腰を据える必要がある。とはいえ常にライバル車を見据え「今とは違い、開発の現場ではとにかく走りの性能、数値を上げることが第一だった」(スバル関係者)という。ちなみに環境対応が強く意識されたのは、2ー4集合等長排気が採用されたいわゆる“等長等爆”から。この時「WRX STi、同specC」では最大トルクが40.2kgーmまで高められた。
Posted at 2020/01/06 21:14:26 | コメント(0) | トラックバック(0) | 富士重工 | 日記
2020年01月06日 イイね!

あえてのレガシィのDOHCでNAのアレをあげてくるか

あえてのレガシィのDOHCでNAのアレをあげてくるかついに30年の歴史に幕を閉じる! スバルの名エンジン搭載車5選

■スバルの飛躍をあと押しした名機「EJ20型」エンジン

 1980年代後半から経営危機が噂されていた富士重工業(現:スバル)は、大規模な組織改革を実施し、1966年の「スバル1000」から改良を続けてきたプラットフォームを捨てて、すべて新規設計となる「レガシィ」を1989年に発売し、大ヒットします。

 この初代「レガシィ」に搭載されたのが、2リッター水平対向4気筒の「EJ20型」エンジンです。

 後に、EJ20型はバリエーションを増やし、さまざまなスバル車に搭載され、名機と呼ばれましたが、2019年度内に生産を終了すると発表されました。

 そこで、EJ20型エンジンを搭載したモデルのなかから、記憶に残る5台をピックアップして紹介します。

●初代「レガシィ」【EJ20型初搭載】

 長年にわたってスバルが磨き上げてきた水平対向エンジンに関するノウハウと、「レオーネバン」から始まった乗用車型4WDの技術を集約して開発されたのが初代レガシィです。

 1989年に発売され、FIA公認10万キロ世界速度新記録を樹立し、新しい時代のスバルが誕生したことを世界中に知らしめました。

 そのレガシィの心臓部は、新開発されたオールアルミ製シリンダーブロックとシリンダーヘッドとした2リッター水平対向4気筒DOHC16バルブのEJ20型エンジンです。

 レガシィには1.8リッターのモデルもありましたが、販売の主力は2リッター自然吸気で最高出力150馬力と、十分なパフォーマンスを発揮。

 さらに、トップグレードのセダン「RS」に与えられた2リッターターボエンジンでは、クラス最強となる最高出力220馬力を誇り、俊足セダンのマーケットを賑わせました。

 初代レガシィは世界ラリー選手権にも参戦し、スバル初の優勝を勝ち取り、いまに続くシンメトリカルAWDの優位性をアピールしたのです。

 また、初代レガシィは、当時のスキーブームという背景からツーリングワゴンが大ヒットを記録。ステーションワゴン市場も活性化させました。

●2代目「レガシィ」【EJ20型初のツインターボ&初の280馬力】

 1993年にレガシィが2代目にモデルチェンジされ、初代に比べて全長が70mmから85mm、全幅で5mm大きくなったことで居住性が高められました。

 他車が3ナンバー化するなかで5ナンバー枠にこだわり、上級クラスに負けない室内空間を確保したということです。

 また、ドアビーム、エアバックなどの安全装備の充実や、ターボモデルでは、低回転ではシングル、高回転ではツインターボとなる「2ステージツインターボ」を採用。

 水冷式から空冷式にあらためられたインタークーラーを装着し最高出力250馬力までパワーアップしました。

 米国ユタ州のボンネビルスピードウェイでは「ツーリングワゴンGT」が平均速度249.981km/h の「世界最速ワゴン記録」を樹立するなど、発売前から速さが話題になりました。

 さらに1996年のマイナーチェンジでは、国産2リッターエンジンの280馬力(セダンRSのMT車)に到達。

 ビルシュタイン製倒立式ダンパー、17インチホイール、ワイドタイヤなどが装着されていましたが、一見すると大人しそうに見えるセダンでした。最高出力280馬力を発揮するエンジンを搭載したことで、まさに「羊の皮を被った狼」と呼ぶに相応しいクルマでした。

●「インプレッサS202」【歴代インプレッサ最強の320馬力】

 走行性能を徹底的に高め「インプレッシブ・スポーツセダン」をコンセプトに開発されたスポーティセダンが「インプレッサ WRX」シリーズです。

 2000年に登場した2代目は、全幅1730mmの3ナンバーサイズボディでありながらショートホイールベースの走りに特化した4ドアセダンで、可変バルブタイミング機構付きのEJ20型を搭載し、自然吸気は155馬力、ターボは250馬力、STiモデルでは280馬力を発生していました。

 2002年には、インプレッサWRX STiシリーズのコンペティションモデル「type RA spec C」をベースにチューニングしたコンプリートカー「インプレッサ S202 STi version」がSTiから限定400台で発売されました。

 吸気系の見直しと、チタン製スポーツマフラーを採用し、高回転域の伸びを重視する出力特性に変更された専用スポーツECUにより、最高出力320馬力を発揮します。これは歴代インプレッサ最強の出力です。

 さらにコーナリング性能向上のため、リアサスペンションにピロボールブッシュのラテラルリンク、トレーリングリンクを組み込み、リニアでシャープな挙動を実現。

 また、2段階角度調整式のリアウイングはカーボン製で、軽量化と高ダウンフォースを両立していました。

■EJ20型搭載のハイパワーSUVとNAセダンとは!?

●初代「フォレスターSTi」【ハイパワーSUVの誕生】

 1997年にデビューしたクロスオーバーSUV「フォレスター」も、インプレッサとプラットフォームを共有していたことからEJ20型エンジンが搭載されていました。

 2000年には「S/tb」をベースにエアロパーツを装備し、ローダウンなどSTiによる専用チューニングが施された「S/tb STi」が追加されます。

 そして、2001年にはSTiがモータースポーツフィールドで培ったノウハウを注ぎ込んで、フォレスターが本来持つ卓越した操縦性能をさらに向上させた「STi II Type M」を限定800台で発売しました。

 吸排気系の効率を高められたエンジンは、専用のスポーツECUにより最高出力250馬力を発揮。ブレーキはフロントに大径16インチを採用し、専用ストラット&コイルスプリングで足周りを締め上げ、RAYS製17インチ鍛造アルミホイールに225/45R17タイヤを装着。

 ブレーキ冷却用ダクトが新設された専用フロントバンパー、専用リヤバンパー&大型リアスポイラー、サイドアンダースポイラーを装着して、ルックスも只者ではないことをアピールしていました。

●4代目「レガシィB4」【自然吸気で最高の190馬力】

 2003年にモデルチェンジされた4代目「レガシィ」は、「走りと機能と美しさの融合」をテーマに開発されたツーリングワゴンとスポーツセダン「B4」の2タイプボディで、全幅を1730mmの3ナンバーサイズとしてトレッドを拡大し、ホイールベースも延長したことで操縦安定性の向上が図られていました。

 より低重心化されたエンジンは、2リッター水平対向4気筒SOHC16バルブとDOHC16バルブ、DOHC16バルブターボの3種を用意しました。

 スバルのスポーティモデルではターボエンジンが常識でしたが、2リッター自然吸気エンジンを搭載する「2.0R」グレードは、11.5の圧縮比から最高出力190馬力を発揮(MT車のみ)する高回転型エンジンを搭載。

 自然吸気エンジンならではのリニアな加速とアクセルレスポンスや、気持ちよく吹け上がるフィーリングが高く評価されました。

※ ※ ※

 スバル車の走りを支え続けたEJ20型エンジンの生産終了にあたり、2019年に特別仕様車「WRX STI EJ20 Final Edition」を555台限定で発売しました。

 30年間に渡りスバルのモータースポーツシーンで活躍し続けたエンジンですので、「スバリスト」と呼ばれるスバル車マニアはもちろん、多くのクルマ好きから注目を集め、すでに完売しています。

 WRX STIも生産を終えますが、近い将来に復活するとスバルも明言しているので、まだまだ目が離せません。



個人的には4代目レガシィならSOHCのNAもアタマが軽くてレギュラー仕様って事も含めて嫌いじゃないんだけどね~
経年劣化でプラグホールからオイル漏れとかするんだけど、車上でヘッドおろしとかはギリギリ出来るクリアランスあったし
Posted at 2020/01/06 21:12:55 | コメント(0) | トラックバック(0) | 富士重工 | 日記
2020年01月06日 イイね!

色々試して見たくなるんじゃない~

色々試して見たくなるんじゃない~北欧の凍結湖を空冷ポルシェ 911で走る! ウィンター・パフォーマンス・トレーニングをレポート

Porsche 911 (964) Carrera 2 Coupe

ポルシェ 911 (964) カレラ 2 クーペ

964カレラ2を使った凍結湖でのドライビングレッスン

1991年式ポルシェ911(964)カレラ2が、まるでフィギュアスケーターのように氷上に美しいサークルをトレースする。それは美しい白昼夢のような光景だった。

チーム内でドライバー同士がポイントをつけ合うということは滅多にないだろう。しかしここスウェーデン・ラップランドの凍結した湖で行われている「ウィンター・パフォーマンス・トレーニング」では、コースから外れたドライバーにはペナルティとして「ムース(ヘラジカ)ポイント」が与えられる。

コースオフした場合は1ポイント、雪壁に突っ込み脱出に牽引フックを使用する場合は3ポイント。これは厳しい罰則だろうか。いや違う、ここには楽しさしかない。ムースポイント・バッジをジャケットにピン留めして、誰もが笑顔を浮かべるだけなのだ。

まず覚えなければならないのは、クルマをスライドさせるとコースを台無しにしてしまうということ。登場するのは、雪と氷のコースを作るという重要な任務を持った男「アイスメーカー(Icemaker)」だ。

コース設備を担当する地元出身の“アイスメーカー”

アイスメーカーのシーズンは12月1日にスタートする。なぜ12月の初日というキリのいい日になったのだろう? この問いに対してアイスメーカーのヨハン・セルボムは「いつもそうだったからですよ」と、肩をすくめた。

31年前にスウェーデンで生まれた彼は、ストックホルムから北へ859kmの位置にある湖​​の3分の1を所有している。スノーモービルや特殊な工具が取り付けられたトラクターなど、ヨハンが所有する“大部隊”は見るからに強力で、その隣に置かれたポルシェ911がまるでオモチャのようにも見える。

「凍結湖の準備は、いつも氷の厚さを測定することから始まります。その後、担当者がコースレイアウトを決定します」と、セルボム。

氷上に積もった雪を吹き飛ばし、ヘラジカの道を意味する「ムースロード(moose road)」をつくる。作業から170時間後、湖を横断するコースの下準備が完了。GPSデータに基づき、セルボムはムースロードの左右にある雪と氷でスノーバンクを作り、コースを形作っていく。そのレイアウトはベルギーのスパ・フランコルシャンのコーナーなど、有名なレーシングコースにもよく似ている。

アイスメーカーはドリフトも得意だ。「時間があれば、ここでインストラクターとして働くこともあります」と、セルボムは笑顔を見せた。また、コースを後にする前にコーナーに積もった雪を払うのも彼の日課だ。夜間にも雪は降るため、早朝に再びコースを完璧に整備する。

講師は元プロレーシングドライバーのパトリック・サイモン

この地でアイスメーカーに次いで重要なのが、イベントの講師である「ぺトロールヘッド(Petrolhead)」だ。ドイツ・ウィスバーデンで生まれたパトリック・サイモンは、現在ニュルブルクリンクVLN耐久選手権のサーキットインタビュアーを務め、ADAC GTマスターやフォーミュラEでは中継のコメンテーターとしても活躍している。

サイモンは1988年にカートでレースキャリアをスタート。ポルシェ・カレラ・カップ、ドイツ・ツーリングカー・チャレンジ、ドイツやヨーロッパのフォーミュラ・フォード、ニュルブルクリンク24時間レースへの参戦経験を持つ。彼は現役レーシングドライバーの時代から、冬の時期はラップランドに4週間滞在してきた人物だ。

「ヒストリックカーの魂を体験するのはいつだって楽しいことです。飽きるなんてありえません。凍結湖でポルシェを運転するのは最高に気持ちがいいんです」と、サイモン。

身長193cmの偉丈夫な彼には怖いものなど何もないように見える。冷静さを特徴とするが、自身が手がけたウィンター・パフォーマンス・トレーニングについて語り始めると、途端に情熱が溢れ始めた。

「ここは夢が叶う場所です。ヒストリックカーを使って限界レベルに近い走りができるなんて他にあるでしょうか?」と、サイモンは911 カレラ2のシートで微笑んだ。

数日間をかけて氷上での適切なドライビングを習得

この冬は3回のウィンター・パフォーマンス・トレーニングが開催される。サイモンは夏の間にプログラムを用意し、ポルシェ以外にもいくつかの車両を準備してきた。

「このプログラムにおいて、参加者は凍結湖で制御されたドリフトを体験します。トレーニングでは正しいブレーキング、回避行動、荷重移動の練習など、ステップバイステップでドライビングを学ぶことができます。様々なハンドリングコースを舞台に、参加者は小グループに分かれてクルマと自身の限界を同時に経験できるのです」と、サイモンは説明する。

参加者は前を走るサイモンの車両を追ってコースを走行。彼はレッスン中、左手にトランシーバーを持ちながら、器用にマシンを操作していた。そして、ウィンター・パフォーマンス・トレーニングの初日に、彼は華麗なテクニックで美しいドリフトを披露してくれた。

参加者誰もがモチベーションに満ち溢れていた。周囲の世界を忘れて、完璧なステアリング角度、適切なスロットル開度、ブレーキング、ドリフトを始める完璧なタイミングなどに没頭していた。そして氷上で完璧なドリフトを決めた瞬間、そこには「ついに欲しいものを手に入れた!」という得難い感情が溢れてくるだろう。

ドライブ後、腕や首に残ったどこか心地よい痛み

ラップランドほどドラマチックな夕焼けが見られる場所はないかもしれない。日没前の数分間、小さな雪の結晶が目の前で輝き美しいダンスを繰り広げる。冬には気温がマイナス40度まで下がり、少しの幸運と忍耐があれば空に舞うオーロラを見られるかもしれない。

参加者がオーロラを探して空に視線を移し始めると、ウィンター・パフォーマンス・トレーニングでは厳しいナイトセッションがスタートする。暗闇を切り裂くのはスノーバンクに反射したヘッドライトの光だ。

この頃になると参加者たちには競争心が芽生えてくる。もちろんレースやタイムアタックは行われない。誰もがここでずっとドライブしていたいという純粋な想い、「もっとうまくなりたい」という欲求だけを持っている。そしてステアリングを強く握り、指の関節が白くなるまでひたすらコースで走り込む。

参加者はトレーニングを通して、氷上ではヒストリックカーだろうと最新のスーパースポーツだろうと、グリップの限界は変わらないことを理解するだろう。そして、凍結路での集中的なドライブはまた、腕や首に筋肉痛をもたらす。その心地よい痛みは、トロフィー以上の価値があると感じるはずだ。


歴代ポルシェ911をサーキットで乗り比べる至高のひととき『CLASSIC PORSCHE PREMIUM DRIVING』

ポルシェ911と聞いて、あなたが想像するのはどのモデルでしょう?

「最新のポルシェは最良のポルシェ」というフレーズだけならばカーライフのなかでもたびたび耳にすることがありますが、歴代全モデルを乗り比べたことがある人は、自動車評論家やよほどのマニアでもない限り、そうはいないのではないかと思われます。

さて、このたびそんな歴代911のなかから厳選された5台を乗り比べちゃおう!という願ってもみない機会に恵まれましたので、その模様をお伝えいたします!

進化をたどるドライビングプレジャー、5台のラインナップとは?!

今回『CLASSIC PORSCHE PREMIUM DRIVING』が開催されたのは、天候もなんとか曇りでとどまった2019年12月19日(木)。

貸し切り状態の筑波サーキット・コース1000にて、じっくり堪能させていただくことができました。

車両ラインナップは…
*911 (1966年式/4MT)
*930 Slant Nose USspec. (1987年式/4MT)
*930 Speedster (1989年式/5MT)
*964 CARERRA RS (1992年式/5MT)
*996 CARERRA (2003年式/5AT)
どれもオリジナルコンディションという、垂涎モノな面々。

すべて主催のInter-Upさま所有の貴重なクルマたち。
ペースカー付きで安全な速度域を保ちつつではありますが、素人玄人問わず自らステアリングを握らせてくださるとは、なんとも太っ腹な心意気!
(この日の準備のために前日20時頃までメンテナンスに追われていたそうで、いやはや本当にありがたい限りです…)

これら5台を10数名の参加者さんで走行表どおりにローテーションし、1台ごとに約10分刻みの走行枠でコース1000を4~5周ほど回ります。

フラッグやウィンカーの出し方など、ルール説明もしてくれるので、サーキット初心者でも安心です。また、ヘルメットとグローブの貸し出しもあり、長袖長ズボンさえあれば気軽に参加できるのも嬉しいポイント。

ゲストにはプロドライバーの丸山浩さんもいらしてくださいました!

全体の様子は後ほどご紹介するとして、まずは独断と偏見による試乗インプレッション(もどき?)からまいりましょう!

元祖を知らずして911は語れず?!911(1966年式/4MT)編

まずこれだけは断言できます…筆者は日頃そこまでクラシックカーに乗る機会がないので、このあたりの年式の扱いに関してはほぼド素人!
…であるにも関わらず、幸か不幸かよりにもトップバッターでいわゆる「ナローポルシェ」のコックピットに身を沈めることになろうとは。

現代のクルマとは仕様の異なる、レザーのフラップが付いたシートベルトをスタッフさんに手伝ってカチャカチャ締めてもらいます。
シートポジションを一番前まで出したりと、このあたりはいつもの儀式同様。

身長166cmの筆者、腕ピン脚ピンは好みじゃないので、適度に関節が曲がるくらいにしようと思うと一番前のノッチまでスライドさせるのがベストでした。
(その他モデルも最前がいちばんしっくり)

さて1速に入れようと、パターン記載のないシフトノブをクイっとやると、なんとバックしかけたではありませんか…(笑)。
「おぉ!手前がローか!」と慌てて一番左手前に持ってくるも、最初はなかなか一発でギアが入ってくれませんでした。

たまにちょっとギアが入らないなんてことは、別のクラシックカーでも経験済みなので、何度かニュートラルと行き来させた末ようやく噛んだ感を確認。

ややミート幅が狭いかと思しきクラッチも、ピットという平地であればなんのその、ココだというところでナローくんが今にも走りたそうな素振りを見せてきます。
そしてこれまた不慣れなオルガンペダルでスロットルを開け、いざコースイン!

「ポルシェで、911で、しかも古い!」と緊張していたのも最初だけ、走り出してしまうととても良い意味で普通。年式も年式だし、いたわってあげないといけない面はありそうですが、すぐさま『クルマとしてあるべき姿』を見せつけてくれるナローポルシェ。

ステアリングはちょっとバスやトラックみたいに大径で、腕のアクションもやや大きくなるのが大変ですが、タイトなコーナリングもまるでコマのようにクルリ。

そして背中から聞こえる空冷フラット6サウンドが、心地よくも愛らしくも感じられるんです!
(パワステがないから、かえって大径ハンドルの方がラクってことになるのかな…?このあたりは日々ノンパワステ車に乗っているのでよくわかりません…)

「ナローって、こんなにもキャラクタリスティックなのかぁ!なんてカワイイ子なんだろう!!」

レトロで丸目で、それはもちろん見た目もカワイイですよ。でもそれだけじゃない。こんな“今日いきなり乗りました”みたいなドライバーにも、ちゃんとインフォメーションを伝えてくれて、人に寄り添ってくれる。そして人もクルマの鼓動や挙動を感じられて、切磋琢磨しながらともに走る…これぞ『クルマとしてあるべき姿』。

加えて座り心地の良いシートに、後席まで完備、シンプルな五連メーターも実に視認性がイイ。

欠点を探す方が難しいレベルですが、現代目線で言うなれば、ブレーキがノンサーボなので今時のクルマの感覚で踏んではいけないことと、シフトストロークが長いこと、あとは助手席側にサイドミラーがないことくらいでしょうか?それでも搭乗員がドライバー1人である分には、右後方の視界も広いので、大して困ることもなさそうです。とにかくすべてが愛嬌で済んでしまう程度(笑)。

実際に維持するとなると、もしかしたら困難な場面に出くわすこともあるのかもしれませんが、今回のように元気に走る姿を堪能した限りでは、911シリーズの礎(いしずえ)がここまで完成していたからこそ、今日まで世界中で愛され続けているのだと実感しました。

そしてまた、初代ナローに執着するファンが多いのも納得です!

どっかんターボがリビドーを刺激する!930 Slant Nose USspec.(1987年式/4MT)編

時代は進み、年式が筆者の生まれ年に近付いてまいりました。

他の参加者さんの走行中、なにやら「パパパーーーーン!」と猛烈にアフターファイア音をさせている個体があるなぁと見ていたら、その犯人はこの子。
930の中でもかなり生産台数が限られた、リトラクタブルフェイスのフラットノーズ(スラントノーズ)です!

初代と比べてまだ決して短くなったとは言い難いストロークではありつつも、コクコク感が向上したような気がするシフトフィール。
ミッションそのものが現代的になってきたためか、扱いやすさはナローポルシェから確実に進化を遂げています。
コックピットまわりの質感もだいぶ平成のクルマに近付きましたが、初代を彷彿とさせるレイアウトは健在。

さてこの約300馬力を叩き出す剛腕フラットノーズくん、めちゃくちゃどっかんターボ!!

死語となって久しいこの言葉、筆者も免許を取得しマイカー所有の頃合いとなったときには、もうすでに新車の世界にはないも同然のシロモノでした。

あまりの刺激の強さに、頭のてっぺんからバーンと花が咲いたような心地にさせられます!もはや俗世から別フェイズへぶっ飛んでしまった感!クルマの加速がこんなに官能的でよいものか?!

…と、とにもかくにも言葉で表しがたい快感が訪れるのは、記憶の限りではおそらく4000rpm前後くらいからだったかと。

この辺で!急激に!背中をどかーんと押されるような加速感がやってくるわけです!!

そしてぐわっと踏み込んだアクセルを戻した際の、パーン!と弾けるサウンドもたまりませぬ…。
一度味わったら病みつきになってしまう、「リビドーに直撃する」という表現がふさわしいかもしれません。

ドンピシャ世代で911のターボモデルに憧れを抱いた方々…さぞかし刺激的な青春時代をお過ごしになられたことでしょう(笑)。
いやはやとてつもないモノの味を占めてしまった気が…(汗)。
今でもあのゾクゾク感が忘れられません。

「な、なんだったんだあれは…えへへへへ」。

可能性を秘めたニューエイジ!930 Speedster(1989年式/5MT)編

続く3台目、形式としては先のフラットノーズと同じ930ですが、こちらはNAのスピードスター。2000台限定生産されたオープン2シーターであり、さらにこちらはターボルックと呼ばれるワイドボディをまとっています。

今回はコース走行ということで幌を閉めた状態でしたが、スピードスターならではの外観のひとつとして、他の930よりもフロントガラスが寝そべっている点があげられるでしょう。

前項フラットノーズはとにかくどっかんターボにシビれてしまい過ぎたので、ここでは初代911ナローと930の比較にも着目してみたいと思います。

コックピットまわりは同世代のフラットノーズとほぼ同一、座席の前後もこの当時としては贅沢装備である電動式なのも一緒ですが、唯一異なる点と言えば、ウィンドウがクルクルハンドルを採用して軽量化に一躍買っているところ。

また、930末期まで4速のままだったターボモデルとは異なり、NAモデルは5速に進化。
さらに89年式のこの子には、ゲトラグ製G50ミッションが搭載されています。

そして感じたこと。

「フラットノーズ・スピードスターともに、ナローからたった1世代過ぎただけなのに、なんだかめざましい進化を遂げているのでは…?」

安全性能向上にともなってビックバンパー化こそしたものの、見た目からくるレトロ感は健在なはずなのに、ドライビングフィール・装備ともどもほとんど犠牲にしていません。
エアコン(もしかしたら経年で不調な個体もあるかもしれないけど)は付いているわ、椅子は電動スライドだわ、ロングストロークとはいえ的確にギアは決まるわ、ブレーキタッチは軽くなったわ…あ、あとハンドリングも軽くなっている!

エンジンがSOHCと聞けば、やっぱり旧式なクルマなのだとは思えますが、ナローの頃と比べて明らかに、クルマの方が人に寄せてきている感が強いんです。

けれど決してつまらなくなったというわけではないことが、コースを走らせているとわかります!
とりわけこのスピードスター、コーナリング中にタイヤが鳴るシーンが幾度かありました。
それでもヒヤッとさせられるようなことはなく、あくまで「あぁ滑り気味だなー」程度。相変わらずコマのようにくるんと曲がるし、ピーキーな挙動はないのでスキール音がしても平常心。

これが930の個性なのか、スピードスターならではなのか、はたまたタイヤの特性なのかまではわかりませんが、高速コーナーを飛んでみたらさぞかしドラマティカルな運動性能を見せてくれるのではないでしょうか?

また、ミッションが5速化したことにともなって、よりオイシイ部分を使い分けて走らせやすくなった点も高評価。
せっかくのスピードスター、ぜひオープン状態でも走らせてみたいですね!

すべてに合点がいく優等生!964 RS(1992年式/5MT)


筆者にとって、子供時分のおぼろげな記憶の中にあるポルシェというと、この“濃いピンク色”のクルマでした。

後々それが「ルビーストーンレッド」というボディカラーだと知ることになるのですが、クルマに興味がわくまで漠然と”ポルシェ”と認識していたモノはまさにこの型、3代目911である964。

さまざまな技術のアップデートにともなって、過去2世代と比べればややポッテリした感も否めませんが、リアスポイラーの電動化など、当時では斬新な手法でエアロダイナミクスに貢献。初代から並べてみても、お顔立ちはしっかりナローの系統を受け継いでいます!

なかでもひときわスパルタンだと注目されたカレラRSは、ベーシックモデルではエアコン・パワステ・オーディオ類を撤去(今回の車両には後付けの1DINオーディオが組まれていました)、シートはレカロ製のフルバケ、ウィンドウもクルクル(手動)式で、ドアノブにいたっても紐を引っ張る方式と、軽量化に力を注いでいることが見てとれます。

そこまで徹底しながらも、ちゃんと座面・シートベルト・ドアハンドルをボディカラーとコーディネートしていたり、視覚的な楽しみを犠牲にしないところがまたポルシェのニクいところ。

さて“クラシック”から“ネオクラ”の領域?まで911の軌跡をたどってきたわけですが、もうこのあたりになると筆者の緊張もどこへやら。
それほどまでにデキが良いのです、このRS!

何がいいのかと申しますと、ずばりクルマとしての在り方のバランス。

さまざまな快適装備を削ったうえでも、乗り手に多くを強いることがない。それでいて、ドライバー自ら操る愉しみをしっかり残してくれています。

冬場のサーキット走行なのでエアコンレスなのはどうでもいいとして、パワステがなくともさして重さを感じません。むしろスッカスカのハンドリングよりもレスポンスが伝わってくるので操りやすい。

最初にナローで味わった、あのコマのようなコーナリングもしっかり受け継ぎ、そしてサウンドの心地よさも旧モデルほどではないにせよ健在!

…であるにも関わらず、公道仕様車としてのお役目もしっかり果たし、ゆっくりの時はいたってジェントル。でも本気になれば獣が牙を剥くこのメリハリが秀逸です。

圧倒的なラクチンぶりを求めるならば、もちろん以後の911やティプトロには適いませんが、「すごく古い個体はちょっと心配だけど、それでもクルマに乗せられているだけじゃつまらない!でもってポルシェと言えば空冷でしょ!」と思う層にはダントツおススメな964。

エアコンがないと困る方はキットを組むか、快適仕様のツーリングパッケージに乗るか、その他のカレラをどうぞ(笑)。
原点の味を保ちつつ、とりあえず911ワールドがどんなものか、触りだけでも気になる人には、一番ベストなモデルと言えそうです。

新たなる刺客となりうるか?!996 CARERRA(2003年式/5AT)

さて残す1台は、993を飛ばして第5世代となる996。長きにわたって911のアイデンティティとされてきた、空冷エンジンと決別したニューフェイズモデルです。
アイデンティティといえば、フロントからのルックスもガラリとイメチェンされました。

今まで一貫してきた丸目ヘッドライトから、目頭の切り込まれた独特の涙型に変化。これには全世界のポルシェフリークが度肝を抜いたことでしょう。

この点以外は、真横からみた流麗ラインもそそるヒップも、ちゃんと911スタイルなのですが、水冷採用と相まって、とにかく今までとは何もかも違う雰囲気。
いつの間にやらドアにもランプが付いているではありませんか!

今回乗車したのは2003年式とほぼ最終形態、いわば完成形に近い996と言えそうです。

加えて今回試乗した5台のなかで唯一のAT、ポルシェ的に言うところの“ティプトロニック”。964時代に初めて導入された、トルコンATだけどちょっとMTっぽく遊べるよという嬉しい機構。
「オトコは黙ってマニュアルだ!」という声も聞こえてきそうではありますが、ここは「時代の流れ」と寛容にとらえるとして…(笑)。

筆者はこの日、自らによる走行体験だけでなく、プロドライバー丸山浩さんの駆る996カレラのナビシートにお邪魔させていただくこともできました!

「せっかく走るならとりあえずカチャカチャしたいよね!」と、まずはシフターの位置を確認。ステアリングに設けられたスイッチは左右どちらも同じ働きで、上がUPの下がDOWN。パドルではない形状が、慣れていないとややとっさに判断しにくいでしょうか。

タイムスケジュールに追われながらのコースインなので、詳しく機能を把握することはままなりませんでしたが、自分でシフトダウンをしても回転が上がると勝手にクルマがシフトアップし始め、ギア固定や完全手動化などのモードはないシステムかと思われました。

これは恐らく、ティプトロに限らずどのトルコンATのMTモードでも言えることですが、コーナー進入時のシフトダウンにはややタイムラグが目立つ…かな?

でもそれ以外のシフトアップなどは、普通に走行する分にはさほど神経質になる必要もないレベル。ティプトロ、結構優秀で楽しいです。
(ここでまた「オトコは黙ってマニュアルだ!」という声が聞こえるようなないような…筆者は一応生物学上♀です…)

まぁこのあたりは好みの問題もありますし、クルマの普及にAT化は必須ですからね。

しかしこの996カレラ、特筆すべきは驚くべき安定性!

丸山さんがちょっとやんちゃに走らせても、まったく速度感を感じません!
まるで「あぁ今自分はクルマに守られている…!」的な(笑)。

ちょうど良いロール幅と、ボディがしっかり1つの箱として成立しているからこそのフィーリング。
とりわけ最終型ということもあり、これぞ996型の真骨頂なのでしょう。

時代を越えて初代から大きさもパワーも飛躍的に進化した996。

今では991・992が一世を風靡しておりますが、それもこの996の功績あってのことだと実感しました。

911が911である限り、それはホンモノなのですね!(相田み〇を風)

歴代911、勝手に表彰式

それでは5台すべてのレビューを終えたところで、本項ではさらに独断と偏見に磨きをかけ、“勝手に表彰式”をおこなってみます。
(維持やら費用やらはさておいて、クローズドコースにおけるドライブフィール、および感覚値だけでジャッジ)

左から
*911 (1966年式/4MT)
*930 Slant Nose USspec. (1987年式/4MT)
*930 Speedster (1989年式/5MT)
*964 CARERRA RS (1992年式/5MT)
*996 CARERRA (2003年式/5AT)
の5名様。

◎刺激が強すぎで賞
930 USspec.Slant Nose (1987年式/4MT)
現代のクルマでは到底味わえない、どっかんターボにシビれたい方は迷わずこの子!

◎ベストフレンドリー賞
911 (1966年式/4MT)
色々ローテクなところもあるけれど、クルマと対話している感はダントツナロー!
930 Speedster (1989年式/5MT)
次点は930型のこの子に決まり。オープン2シーターの気ままさが魅力。

◎万人におススメで賞
964 CARERRA RS (1992年式/5MT)
アイポイントの低さとガッチリした脚はまさに公道を走れるレースカー!操作性のバランスも良く、ポルシェを楽しく操ってみたいならぜひ!
996 CARERRA (2003年式/5AT)
次点はティプトロ搭載車のこの子でしょうか。初めてでも気後れすることなく乗れるのがいいですね。

◎カワイイで賞
911 (1966年式/4MT)
いつまでも眺めていたいシンプルでキュートな丸目。ボディが小さいところもイイ!
964 CARERRA RS (1992年式/5MT)
カラーがルビーストーンレッドだから…(笑)内装もオシャレスパルタン。

◎もし所有できるならほしいで賞
930 USspec.Slant Nose (1987年式/4MT)
完全にホレました…あのターボならではのワイドフェンダー、漆黒のボディからリトラクタブルライトを起き上がらせて、闇夜を駆け抜けたいです。
964 CARERRA RS (1992年式/5MT)
911らしさと世代の塩梅がちょうどいいと感じました!

◎恋人に乗ってほしいで賞
930 Speedster (1989年式/5MT)
屋根を開けて、あのダブルバブルカバーを付けてドライブに連れて行ってくれたら最高!途中で運転代わってってお願いしちゃう!

…以上、かなりの蛇足っぷりですが、911人に1人くらいの参考になれば幸いです(汗)

さいごに『CLASSIC PORSCHE PREMIUM DRIVING』についてご説明!

今回筆者が参加してまいりました『CLASSIC PORSCHE PREMIUM DRIVING』、こんなにも贅沢な体験ができちゃうスペシャルイベントだったわけですが、決してメディア・報道関係などを対象とした特殊なものではなく、事前申し込みをすれば誰もが911を堪能できるという志向の催しでした。

主催者であるInter-Upさまが珠玉の名車(しかもオリジナルコンディション!)を提供してくださって、われわれ参加者はタイムスケジュール上で割り振られたクルマに変わりばんこで乗るだけ、まさに至れり尽くせり!

ヘルメットとグローブのレンタルもあるので、「今日が初サーキット」っていう人でも無問題。
長袖長ズボンと、運転しやすい靴だけ着用してくればOKなんです。

今回の参加費用は¥30,000(税別・筑波サーキットは入場無料)。

歴代ポルシェをサーキットで楽しめちゃうだけでも大いに価値がありますが、なんとプログラム一番最後にはフリー走行枠もあり、マイカーで普通のスポーツ走行をすることもできるんです!追加料金は発生せず、レンタル品のメットとグローブも引き続き利用可能。

その上タイミングが合えばプロレーサー丸山さんの助手席も体験できて、運がよければフリー走行時にもレクチャーしてもらえるかも…なんて、とんでもビックリコンテンツ!

そんなInter-Upさま、今後はクラシックポルシェ以外の企画として、漫画『頭文字D』登場車種をラインナップした体験会も開催する予定なのだそう。

連載期間も長かったイニDですから、登場車両も数えきれないほどありそうですが…果たしてどんなクルマがチョイスされるのか、今後の活動からも目が離せません!
(ちらっとお伺いした話では、主人公のハチロクをはじめFD3S、S2000などの用意が決まっているとか…?)

もちろんポルシェ会も継続されるそうなので、今後の動向はぜひHPをチェックしてみてくださいね!

■CLASSIC PORSCHE PREMIUM DRIVING

PORSCHE CLASSIC 911 DRIVING EXPERIENCE


*イベントに関するお問い合わせはInter-Up LLCまで直接お電話いただくかe-mailにて
e-mail:gaccar_info@inter-up.com
tel:03-4455-4707

*丸山さんが930スピードスターをレビューする動画があるのですが、シフト操作時の腕に要注目!たくましいスジがたまりませんね…眼福、眼福(と、変態発言。腕フェチの女性人口はかなり多いハズ…)

憧れのクルマは眺めているだけでも楽しいけれど、やっぱり乗ってなんぼと思えた1日でありました。

「最新のポルシェが最良のポルシェ」…これについては結局筆者の中で答えは出ず。
ただ1つ、素のモデルが優秀だったからこそ、今も911の名を冠したクルマが生み出され続けている…これだけは紛れもない真実でしょう。

さて、筆者が今年お届けする記事はこれが最後となります。

読者のみなさま、良いお年をお迎えくださいませ。

令和2年もたくさんの方がステキなカーライフをエンジョイできますように!

[ライター・カメラ/細谷 明日葉]



ラリー仕様の空冷ポルシェ 911、渋滞頻発・劣悪路面のロサンゼルス市街地を走る

Porsche 911 3.2. Carrera “Safari”

ポルシェ 911 3.2 カレラ “サファリ”

理想的なシティカーを求めたモータージャーナリスト

「すべてのシティカーが、同じような使用環境にあるわけではないのです」

モータージャーナリストであり、人気ユーチューバーとして活躍するマット・ファラーはそう指摘する。ニューヨークからアメリカの西海岸に拠点を移してすぐ、ファラーはロサンゼルス(LA)では公共交通インフラが崩壊しつつあることに気がついたという。

従来考えられていた都市における通勤風景というよりも、日々のドライブが山岳部のトレイルランのようになっていたのだ。巨大な州間高速道路405号線からベニスビーチのダウンタウンにあるひび割れた道まで、あらゆる路面をスムーズに走れたのはバハ仕様に改造されたピックアップトラックだけだった。

「ここには、地球上で最もスポーツカーのドライブに適したエンジェルス国立森林公園やマリブ・キャニオンのワインディングロードがありますが、都市圏の移動はまさに悪夢です」と、ファラーは苦笑いする。

「交通インフラは完全に崩壊しています。道路補修はめったに行われていませんし、高速道路のジョイントはスポーツカーオーナーとっては考えたくもない悪夢です。そして、LAのように拡大を続けている都市は、いつだって渋滞が起こっています。車高の低い現代のスポーツカーにとって非常に厳しい環境です」

理想的なシティカーは車高の高いピックアップトラック?

そんな劣悪な交通環境において、オフロードサスペンションを備え、巨大なサイドウォールを採用しながらも都会的なエクステリアを持つピックアップスポーツ「フォード ラプター」は、まさに“ゲームチェンジャー”と言える存在となった。しかし、クルマでの移動がしやすいLAでさえ、タイトな市街地での走行にはその巨大なボディを持て余すことになる。そこでファラーはあるアイディアを思いついた。

「ラプターのようなクルマが欲しかったのですが、ボディは小さくあってほしい。その答えは車高を上げたラリーカーでした。レー・キーンが手がけた『サファリ911』をドライブした瞬間、稲妻が響いたのです。『探していたのは、コレだ!』と」

グランダム・ロレックスGT選手権を2度制し、熱狂的なポルシェ・ファンでもあるレー・キーンは、どこにでも移動できるクルマを望む人に向けて「サファリ911」を開発した。彼はかつてサファリ・ラリーやダカール・ラリーで活躍したラリー仕様の911を現代に蘇らせようとしたのだ。

ファラーはキーンと友人関係にあり、サファリ911の1号車をドライブする機会を得た。そして、この不思議なアピアランスを持つ911をドライブした瞬間にオーダーを決めたという。「多くの人が911に望むスタイルとは明らかに違っていました。でも、すぐにレーに小切手を送りました」とファラーは笑う。

911 Gシリーズをベースにラリー仕様へとコンバート

キーンが手がける「キーン・プロジェクト(The Keen Project)」は、ベースモデルとして1979年から1989年に生産された911 Gシリーズを必要とする。キーンがベース車両を用意することもできるが、カスタマーが自分で持ち込むことも可能だ。ファラーはカラーや年式、インテリアを自分で選びたかったので後者をチョイスした。

ダイレクトなシフトフィールがある「G50ギヤボックス」が重要だったことから、ファラーはカシスレッドのボディカラーを持つ1987年式「911 3.2 カレラ」をベース車両に選んだ。あえて経年劣化を感じさせる“クスミ”を残しているが、これはサファリ911のカスタマーの多くが選ぶ仕様だという。

くすんだカシスレッドが活かされたファラーの911

しかし、ファラー自身はこのボディカラーでよいのか少し悩んだという。

「ボディカラーに関しては少し悩みました。 もともと私が好きなダルメシアンブルーにリペイントするつもりで、G50ギヤボックスを搭載したコンディションのよいクーペを探していたのです。私が見つけた911の元のオーナーはアニー・リーボヴィッツのような芸術家ではなく、正午にクルマを撮影していたのでカシスレッドが凄まじい色に見えましたよ。まるでシンディ・ローパーのリップグロスのようでしたから(笑)」とファラーは肩をすくめた。

「インスタグラムにアップされていた写真ですから、実際の色味とは少し違うことは分かっていました。でも、ペイントし直すし問題ないと考えたのです。しかも価格も安く、ドライブトレインにも問題がない。その後購入して実車を目の当たりにすると、信じられないほど素晴らしい色合いだったんです。すぐにリペイントするのをやめました」

純粋な都市内での移動に活躍するサファリ911

ベース車両は購入後、様々な改造を施すためにアトランタにあるキーンのファクトリーに直送された。パーツリストはタミヤ模型のパンフレットのように表示されている。

シートやステアリングなどの様々なインテリア装備、アニマルガード、スキッドプレート、ラリー・ライトポッド、シェード付きサイドドアミラー、大型バンパー、特製モータースポーツ・ホイール、エレファント・レーシング製サファリ・サスペンション、専用LSD、BFグッドリッチ製K02タイヤといった具合だ。このKO2は、彼のピックアップと同じタイヤである。

エンジンのリビルドを実施したあと、ついにファラーのラリーカーが完成した。カシスレッドのサファリ911を見た人は、これが“シティカー”だとは思わないかもしれない。だが、これこそがファラーが望んでいた1台だった。

「このクルマは、文字通り毎日の通勤用シティカーです。最近、リヤシートにファイヤーウッド製のバスケットを取り付けました。私はこれでワインディングロードやサーキットに行くつもりはありません。お店やオフィスの往復、買い物やちょっとしたお出かけに使うためのクルマですからね」

LAという”サファリ”にぴったりなシティカー、あなたも1台いかがだろうか?


Posted at 2020/01/06 21:01:02 | コメント(0) | トラックバック(0) | ポルシェ | 日記
2020年01月06日 イイね!

価格がまず普通じゃない気が…

価格がまず普通じゃない気が…意外とフツーに乗れる? お値段2256万円! ダラーラ「ストラダーレ」を一般道で試してみた

■コクピットに乗り込むまでがひとつの儀式

 イタリアのコンストラクター、ジャンパオロ・ダラーラが手掛けたレーシングマシンをそのまま市販車にしたようなダラーラ「ストラダーレ」が、日本のオーナーへとデリバリーをスタートしました。そこで、ダラーラ・ストラダーレが公道で本当に快適に走ることができるのか、確かめてきました。

 ダラーラ・ストラダーレの公道試乗がおこなわれたのは、正規輸入元・販売元である株式会社アトランティックカーズのサービスセンターでした。ワインディングロードやサーキットでこそ真価が発揮されるダラーラ・ストラダーレですが、購入を考慮している人にとっては、自宅ガレージ近辺の一般道でも普通に走行できるのかが気になるところでしょう。
 
 ダラーラ・ストラダーレは、ベースはバルケッタスタイルで6速マニュアルトランスミッションとなります。車両価格は2256万5000円(消費税別以下同様)です。
 
 サービスセンターには、これからデリバリーされるダラーラ・ストラダーレが5台揃っていましたが、そのすべてがフルオプションを装備したクーペスタイルでした。
 
 クーペスタイルにするには、まず「ウインドシールドフレーム&HVAC(221万9000円)」を装着して、スパイダー仕様にする必要があります。
 
 次に「T-フレーム(109万6000円)」を装着して、タルガ仕様となります。そして最後に「ガルウイングドア(104万3000円)」をプラスして、クーペスタイルの完成です。ちなみに「リアウイング」は127万円です。
 
 試乗車は6速マニュアルトランスミッションではなく、オプションの「パドルシフトギアボックス(172万5000円)」です。これだけで試乗車のオプションプライスは、735万3000円となります。

 ダラーラ・ストラダーレには、普通のクルマにあるようなドアがありません。そのため乗り込むためにコツが必要となります。
 
 まず、ボディサイドに軽く腰掛け、お尻を軸にして身体を90度回転させながら右足をコクピット内に入れます。右足はフルバケットシート座面中央にある「STEP HERE」と表示された場所に置きます。脚の長い人ならば、そのまま跨いで右足を所定の位置に置くとよいでしょう。
 
 次に右足に重心を移して、左足を車内に収めます。この時に擦り傷がつかないように、ボディにシューズが触れないよう気をつけます。
 
 シートに身体を収めたら、ガルウイングドアを閉じます。T-フレームの箇所にガルウイングドアを閉じるためのプレートバーがあるので、それを思い切り引いてドアを閉じます。
 
 次にペダルの位置を調整します。普通のクルマはシートをスライドして調整しますが、ダラーラ・ストラダーレはペダルを前後することで位置調整をします。
 
 ペダル調整のレバーは、普通のクルマのドアパネルにあたる部分にあり、このレバーを引いてペダルを任意の位置に合わせ、レバーを離します。なお、シートベルトは4点式です。
 
 エンジン始動はセンターコンソールにある「START/STOP」ボタンを押しておこないます。
 
 試乗車はパドルシフトギアボックスなので、右のパドルを引いて1速にギアを入れ、サイドブレーキをリリースして発進準備が完了です。
 
 パドルシフトは、シフトアップが右、シフトダウンが左です。ニュートラルにする場合は、左右のパドルシフトを同時に引きます。リバースにギアを入れる際は、一度ニュートラルしてから、左のパドルを引きます。
 
 ターンインジケーターは、ステアリングにあるスイッチで点灯させます。左右それぞれのスイッチを親指で押して、右と左のターンインジケーターを点灯させるのですが、ステアリングを切り戻してもターンインジケーターは点灯し続けるので注意が必要です。
 
 右左折が完了したら、もう一度、同じスイッチを押すことでターンインジケータは消灯します。
 
 以上でダラーラ・ストラダーレを公道で走らせるための予備知識は完了です。

■公道で感じた、ロータスとマクラーレンのいいとこ取りの乗り味

 試乗したルートは、足立区の一般道、クルマの往来が激しい日中です。さっそく一般道の交通の流れでダラーラ・ストラダーレを走らせてみます。

 停止状態から発進しただけで身体に伝わってくるのは、乾燥重量が855kgというダラーラ・ストラダーレの驚異的な軽さです。
 
 ダラーラ・ストラダーレに搭載されるエンジンは、2.3リッターの直列4気筒エンジンで、フォード「フォーカスRS」に積まれているものと同じです。
 
 最高出力は400馬力/6200rpmで、最大トルクは500Nm/3000-5000rpmです。4気筒エンジンということもあり、V型12気筒エンジンを搭載したスーパーカーと比べると物足りないパワーだと感じる人もいるかもしれませんが、まったくそんなことはありません。
 
 ダラーラにゆかりのあるランボルギーニの最新モデルとパワーウェイトレシオを比べてみると、よくわかります。
 
「アヴェンタドールS」の2.13kg/馬力、「ウラカンEVO」の2.22kg/馬力と比べて、ダラーラ・ストラダーレは2.05kg/馬力なのです。
 
 そして最初の交差点を低速で左折した時に、ボディの軽さが身にしみてわかりました。いくらパワーを上げたとしても、クルマそのものが持つ質量は変えられません。わずかなコーナーでもランボルギーニに比べて半分近い重量差をすぐに感じ取ることができます。
 
 試乗した車両は、パドルシフトギアボックスですが、デュアルクラッチ(DCT)ではなく、シングルクラッチを採用しています。これはDCTが40kgから50kgの重量であるのに対し、シングルクラッチだと8kgの重量で済むからです。
 
 ATモードもありますが、パドルシフトでシフト操作した方がイメージ通りのドライビングができるでしょう。シフトアップのタイミングは、メータパネル上部に設けられたインジケーターが知らせてくれます。
 
 一般道ではインジケーターが赤点灯する前にシフトアップすると、周囲のクルマのペースに合わせて楽にドライブすることができます。
 
 軽量化のために遮音材などは使われていません。そのためホイールハウス内にタイヤが小石などを巻き上げる音がダイレクトに伝わってきます。アトランティックカーズの担当者によると、それでもボディには目立つ傷はつかないとのことでした。
 
 ブレーキペダルは、ローターとパッドが十分に熱が加えられていなかったせいもあり、踏み始めはあまり効きがよくないのですが、じわりとペダルを踏み込んでいくとあるポイントから急激に制動力を発揮するので注意が必要です。
 
 あくまでも、法定速度50km/h以下での話ですが、車重が軽いということと、ブレーキの性能がよいことが相まって、ブレーキペダルを強く踏み込むと4点式シートベルトが身体に食い込むほどの制動力が加わります。
 
 シートは固定されたバケットシートなので、ダラーラ・ストラダーレのハードコアな見た目からして、サスペンションの突き上げも予想していましたが、道路の段差やマンホールなど、適度にいなしてくれます。むしろしっとりとした感触です。
 
 試乗車はオプションの車高調整機能付きの「アジャスタブルサスペンション/ダンパー(50万8000円)」を装着しており、スポーツモードに設定していました。
 
 一般道ではシフトチェンジが忙(せわ)しないと思っていましたが、3速ホールドのままでも十分です。信号で停止した際は、自動的にシフトダウンして1速になっているので、シフトチェンジしながら減速する必要もありません。
 
 高速道路を走ることができない代わりに、狭い路地を試乗してみました。想像していたよりも取り回しも楽です。これならば、たいていのガレージにアプローチすることができそうです。
 
※ ※ ※

 一般道を試乗しての印象は、ロータス「エキシージ」をさらに洗練させ、マクラーレン「570S」をもっとプリミティブにした感じです。
 
 エキシージと570Sのいいところをミックスしたというか、その中間というべきか。ただし、これもサーキットを試乗したらガラリと印象が変わるかもしれません。
 
 イタリアのサーキットで実際にダラーラ・ストラダーレのテスト車両に試乗してきたプロレーシングドライバーによると、「まるでフォーミュラカーみたいだ」とのことでした。

 クローズドコースでの試乗が、これほどまでに楽しみな1台もないでしょう。

●ダラーラ・ストラダーレ
・車両価格(6MT・バルケッタ):2265万5000円(消費税別)
・全長:4185mm
・全幅:1875mm
・全高:1041mm
・ホイールベース:2475mm
・車両重量:855kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHCターボチャージャー
・排気量:2300cc
・エンジン配置:リアミッド横置き
・駆動方式:後輪駆動
・変速機:6MT/6AT
・最高出力:400馬力/6200rpm
・最大トルク:500Nm/3000-5000rpm
・0-100km/h:3.25秒
・最高速度:280km/h
・サスペンション:(前)ダブルウィッシュボーン式、(後)ダブルウィッシュボーン式



【試乗】公道を走れるレーシングカー「ダラーラ ストラダーレ」に乗った!

2020年の初夢試乗はダラーラ ストラダーレ。どこぞのクルマだ?と思うなかれ。レースファン、特にフォーミュラカーレースが好きな人にとってダラーラはリスペクトする存在である。イタリアのヴァラーノ・デ・メルガーリに本社を置く「ダラーラ・アウトモビリ」が、世界のフォーミュラレースを支えているといっても過言ではない。なぜなら、ダラーラはフォミューラのシャシーコンストラクターとして超有名なのだから。そのダラーラが送り出したロードゴーイングカーがストラダーレであり、このたび、国内でのデリバリーが開始された。これが初夢試乗の相手である。

現在のフォーミュラレースのカテゴリーでは、ほとんどがダラーラのシャシーが使用されている。北米最高峰のレースであるインディカーのシャシーや欧州を中心にしたF2、F3は、ダラーラのワンメイク状態。F1でもホンダが1998年にシャシー開発を開始していたときに製造を担当(設計はホンダ)したのは有名な話だ。レースシーンではメジャーな存在だが、公道を走ることができるスーパースポーツの開発は、このストラダーレが初だ。

ストラダーレの開発は、ダラーラ・アウトモビリの創始者であるジャンパオロ・ダラーラ氏の80歳を記念するアニバーサリーモデルとして2015年から開発が進められた。20人のエンジニアと5人のメカニックによるチームがプロジェクトを推進し、現在のレーシングテクノロジーとエアロダイナミクスを存分に生かしたスーパースポーツが誕生した。2017年11月16日、ジャンパウロ氏81回目の誕生日に、彼の故郷にほど近いヴァラーノ・デ・メルガーリの地で第1号車が手渡されたという。日本ではインポーターの老舗であるアトランティックカーズが正規輸入・販売を行う。

このような特別なモデルの試乗はとてもうれしいと同時に、クルマの成り立ちを聞くほどにじつは不安にもなった。生粋のレーシングコンストラクターがリリースするスーパースポーツの試乗に、筆者は恐れを抱いていた。レースはかじったことはあるが、フォーミュラカーはドライビングしたこともない。市販車ベースでもレーシングカーとなると別物が多いというのはよくわかっているから、市販車とはいえフルカーボンモノコックのミッドシップスポーツをうまく走らせられるか正直不安だった。

ストラダーレの“素”のモデルは、フロントウインドーが付かないバルケッタ(オープン)だというから、やはりレーシングカーを想像させる。バルケッタにフロントスクリーンを付けると“ロードスター”になり、そこにTフレームを追加することで“タルガ”に進化。さらにガルウイングドアを取り付けることでクーペのスタイルになる。ちなみにリヤウイングもオプションで、今回試乗したのは、最終形態(?)のリヤウイング付きクーペ仕様だ。

ガレージでストラダーレと対面すると意外にコンパクトであることに驚いたが、真黒なカーボンボディカラーはオーラに満ちていた。クーペスタイルのフロントスクリーンの中央には垂直にワイパーブレードが置かれている。まるでFIA世界耐久選手権(WEC)のマシンのようだ。

簡単なコックピットドリルを受けてストラダーレに乗り込むとき、試乗に対する不安がピークに達した。ガルウイングドアはあるものの、その開口部は驚くほど狭く高い位置にある。ボディサイドに腰掛け、足を先に入れて乗り込む乗車スタイルはレーシングカーそのものだ。こうした乗車方法は初体験だし、足元のシートに書かれた「STEP HERE」で素性を確信した。体を滑り込ませて薄いシートに腰を下ろすと周りの景色が違う。明らかにアイポイントが低く、周りがカーボンで囲まれているのも特別な雰囲気だ。シートはボディと一体で固定され、フロアから立ち上がるアクセルやブレーキペダルの調整は、シートサイドに隠されたレバーを握ることで手前にスライドする。もちろんシートベルトは4点式でレーシングカーと同様の調節。

センターコンソールのスターターボタンを押すと、背後でエンジンが目を覚ました。ダラーラ ストラダーレに積まれるエンジンはフォード・フォーカスRS用の2.3リットル直列4気筒ターボ。だが、もちろんノーマルのままではなく、ボッシュの電子制御システムが組み込まれ、最高出力は400馬力を発生する。車両重量(乾燥重量)は、たったの855kg(ベースモデルの数値で試乗車とは異なる)。パワーウエイトレシオは2.14だ。スポーツカーとして2019年に久々の復活を果たしたトヨタ スープラRZは同4.47だからその数値からポテンシャルの高さは容易に想像できる。

2ペダル仕様(基本は6速MT)のため、アクセルペダルを踏むとあっさりと、そしてスムーズに発進。スナッチやギクシャク感は皆無だ。背後からはパドルシフト用のオイルポンプの作動音が聞こえ、やはりレーシングカー直系のモデルであることを実感させる。荒れた一般道では引き締められたサスペンションによってバウンジングと突き上げ感があるが、カーボン製ボディの剛性がしっかりしているため不快ではなく、薄いシートでも乗り心地は意外に快適。カーブでステアリングを切るとノーズが超正確に動く。決して過敏ではなく操作したぶんだけ忠実に動くさまは、精密機械のようだ。スウェードの小径ステアリングが手ににじむ汗を吸ってくれ、徐々にストラダーレに慣れてきた。

あいにく路面が濡れていたためアクセルを踏み込めなかったが、高速道路下の乾いた路面でちょっとだけアクセルを踏むと、弾けるような加速を示した。5000回転を過ぎるとさらにエンジンの吹き上がりが鋭くなるが、一般道ではここまでが限界。ボディが軽いためあっという間にスピードが乗り、法定速度に達してしまうからだ。タイヤが温まったこともあって路面の砂をタイヤが拾い、それがタイヤハウスを叩く音はレーシングカーそのもの。こうして流して走るだけでも胸が高鳴り、高揚感もある。特別なモデルだからこそ感じられる、特別なドライブフィールだ。

一瞬、サーキットを走らせたいと思ったが、ちょっと手に負えないことも自覚している。レーシングカー直系の最新の空力ボディは、280km/hのトップスピードで820kgものダウンフォース(リヤウイング装着時)を発生させ、コーナリングの横Gは2Gを超えるというから驚く。一般道ではオーバーサーボ気味のブレンボ製ブレーキ(鋳鉄ローター)システムは、きっとサーキットで真価を発揮するのだろう。サーキットでタイムアタックするには、それなりの腕と“風”を読む力が必要になる。



〈価格〉
6速SMT:2671万9000円(税別…2429万円)
6速MT:2482万1500円(税別…2256万5000円)

■ダラーラ ストラダーレ(MR・6速SMT)主要諸元【寸法・重量】 全長:4180mm 全幅:1870mm 全高:1150mm ホイールベース:2475mm 最低地上高:95~105mm 車両重量:855kg(乾燥重量) 乗車定員:2人 【エンジン・性能】種類:直4ターボ 総排気量:2261cc 最高出力:400ps/6200rpm 最大トルク:500Nm/3000~3000rpm 【諸装置】サスペンション:前後ダブルウイッシュボーン ブレーキ:前後Vディスク タイヤ:前205/45ZR17 後255/35ZR18 車両価格:2671万9000円 ※ベース車の諸元。試乗車はオプション装着のため諸元が異なり、価格は3964万5100円となる

ダラーラ ストラダーレ公式WEBサイト
http://atlantic-c.jp/dallara-stradale/

アトランティックカーズ
http://atlantic-c.jp

*製品仕様・価格(税込み)などは掲載時のもの

〈文=丸山 誠 写真=driver@web編集部〉
Posted at 2020/01/06 20:57:33 | コメント(0) | トラックバック(0) | 自動車業界あれこれ | 日記

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「@がんしっぷ 実際リアルに履き替えたタイヤの石を全部取ってから積み込みしてくれとか言われることありましたからね〜ジャッキアップポイントは潰れるからメンバーとかの部分でジャッキアップしてくれとか場所指定される事なんかもしばしば」
何シテル?   12/18 19:57
初めまして。 インプレッサG4に代替を致しました~ 自分色に染めて行こうと思います 燃費を気にする割にアクセル踏んじゃうんですよ~ バトンに関し...

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